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人狼物語 三日月国


100 【身内RP】待宵館で月を待つ2【R18G】

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ミズガネと、他愛もない約束をしていた。

トラヴィスは、その冷たさに身震いした。
(t0) 2021/10/21(Thu) 22:07:49

――――

嗚呼
    


  死神。神隠し。     
  嗚呼 なんという不敬。なんという冒涜。

嗚呼
    


  其の不遜たるや 此処に極まりなし。

嗚呼
    


  愚かな真似を。   
  神を名告るでは 飽きたらなんだか。
 

嗚呼
    


  嗚呼 嗚呼 嗚呼
    


  
嗚呼!!

我が金烏を
  勾引かそうなぞ!!!!!!

 

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クロノに言伝を頼んだときのことを思い出す。

シトゥラにノートを借りた時のことを思い出す。

アマノからもらったビスケットの味を思い出す。

ゲイザーが自分のために使用人にお願いをしてくれた、その後ろ姿を思い出す。

キエが開いてくれたパーティのことを思い出す。

ポルクスがとても心配をしてくれた事を思い出す。

テラに貰った、楽しい時間を思い出す。

館の時間が好きだった。

例え夜が来なくても。本物の月がなくても。

ただみんなの優しさに、甘えているだけだったから。

今度は自分から知りたいと、そう思ったのは、あれが1番最初。

トラヴィスは、一歩、舞台に上がった。
(t1) 2021/10/22(Fri) 6:57:36

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トラヴィスは、本当はまだ怖い。けれど、
(t2) 2021/10/22(Fri) 20:29:52

トラヴィスは、舞台へと、もう一歩。
(t3) 2021/10/22(Fri) 20:30:03

【見】 舞台人 トラヴィス


かつ、かつ。
硬い靴底が、床を鳴らす音。
それは広間へ辿り着くと、一際大きく鳴らされた。


「さあさあ皆様、御立合い!」



知る人ぞ知る、とある劇団の街頭即興劇ストリートアクトが始まる合図。


「『僕はしがない吟遊詩人。
 国々へ詩を朗唱して歩くとはよく言ったもので
 夢に縋り、霞を喰い、毎晩酒に浸る……そんな日々さ。』」

よく通る声。
それは広間に留まらず、館内へ響いていく。
強く耳を塞ぐでもしなければ、小耳には挟む事となるだろう。
(@2) 2021/10/22(Fri) 20:32:40

【見】 吟遊詩人役 トラヴィス



「『昨晩のことはよく覚えていない、
 それで良いのさ、
 詩人は気ままに生きるものだ』───詩人は己に言い訳を繰り返し、
 自堕落な毎日を繰り返していた。」


瓶を掴むかのように、荒く何かを飲んでは投げ捨てる動作。
ありもしない帽子を深く被り、目線を隠す。

持ち合わせていない竪琴に手を伸ばしては、ため息を吐く。
正反対の鴉のような黒髪を掻いて、
道行く物を睨み付け、世に希望を見出していないような眼差し。

男の身なりは
それらとは正反対の煌びやかなものだが
立ち振る舞いは、
まさしく廃れた吟遊詩人を幻視させる程であった。
(@3) 2021/10/22(Fri) 20:37:42
トラヴィスは、広間から、廊下へ。廊下から、館の何処へでも。
(t4) 2021/10/22(Fri) 20:38:37

【見】 吟遊詩人役 トラヴィス



「吐き捨てるような日常の最中、詩人は一人の少女と出会う。
 パイを焼く事だけが取り柄の少女だった。
 『嗚呼、嗚呼、この子の笑顔こそが僕の人生に射す光だ!』
 けれどもそんな幸福も、長くは続かなかった。」


大袈裟で、加筆の多い即興の朗読劇。
脚本は紙切れ一枚きり。
演出は全て、男の頭の中。

舞台上から、観客席の誰もへ声が届くように。

時にすれ違う貴方の手を取って、
時に出くわした貴方の頬を撫でて、
時に貴方の背を追いかけて、その手の甲へキスをして。
(@4) 2021/10/22(Fri) 20:41:23
トラヴィスは、館中を自らの舞台へ。
(t5) 2021/10/22(Fri) 20:42:23

【見】 吟遊詩人役 トラヴィス


「『少女は断末魔だけを僕の耳へと届かせ消えた。
 僕は知っている、死神が少女を奪ってしまったと!』」


この即興劇の登場人物は当て書きだ。
詩人ミズガネ少女ゲイザー。それから、


「『どうか君達にお願いだ、
 死神が死者の国へと帰るよう、願ってはくれないだろうか?』……嗚呼、自分でどうにかしろって?」


少女の内に秘められていた死神リーパー


「仕方ないじゃないか、
 『だって僕は───
既に死神に殺されてしまっているのだから。

 僕に出来る事は、こうして透明な詩を叫ぶのみ。』」
(@5) 2021/10/22(Fri) 20:44:02
トラヴィスは、見えない誰かの想いを繋ぐ、伝達人。
(t6) 2021/10/22(Fri) 20:44:48

【見】 吟遊詩人役 トラヴィス


……舞台人が語り歩いたのは、そんな純粋な物語真実だった。


「『少女は苦しんでいた筈だ、今となっては僕には分からない、
 けれども、嗚呼───
この詩が聞こえる者達よ!
』」


託された想いを、願いを、
舞台人は屋敷中へと届ける。


「『どうか少女を、救ってやってはくれまいか─────………』」


詩人ミズガネは、少女に潜む死神にリーパーに殺された。
詩人は姿を隠された今となっても、少女の声を無視したくないと、救いたいと願い、笑顔を望んでいる。
託された螺子を巻かれたから、演じている。


汗が流れ落ち、呼吸が荒む。
演じる事は──やっぱり、どうしたって、心から楽しいと思えた。
(@6) 2021/10/22(Fri) 20:47:07
トラヴィスは、館内を一周して、広間へ。「有難う御座いました!」
(t7) 2021/10/22(Fri) 20:48:02

ポルクスの望みを叶えることは出来ない。それを申し訳なく思う。

夢を見る前、キエの言葉を思い出す。月はとても高い、寒いところにある。

メモを貼った。

メモを貼った。

――青草に透けて、ころりと横たわる少女がひとつ。
規則正しく上下する胸。眠っているのだろう。

ここで“神隠し”にあったものとまごう様態。

日輪に隠された。

その劇を見た。
その男を見た。
その空間を、その空間を彩る全てを見た。

「……っ」

目を奪われる。
自分が頼んだものよりも遥かに大きく、遥かに引き込まれる舞台が目の前に広がっていた。

自堕落に溺れていた心の中に、かっと熱くなるような高揚感が灯っていく。

嗚呼……嗚呼。
そう、そうだった。
己の憧れはそういう存在だった。

メモを貼った。

帽子を深く被り直して、俯く。
熱くなる心のままに泣いてしまいそうで、表情が崩れてしまいそうで。

誰に見られるわけでもないのに、そうしたかった。

「トラヴィス……ありがとう」

暫くの間、広間に立ち尽くしていた。

そこに居ない。

どこにも。誰の目にも届かない。

夢を見ていた。誰もいない、触れたいものにも触れられない、高くて寒い宙の夢。

夢から醒める。「おはよう」と、声がした。

「…………」

目を醒ましたわたしはまず、あんなにこびりついていた
寒さ
がなくなっていることに気付く。

身体を起こして辺りを見回した。
彼の姿がどこにもない。
部屋に戻ってしまったかしら、とそう思った。

「……?」

そしてもうひとつ気が付いた。
あんなに毎日お腹を空かせていたのに、その空腹感がどこにもない。
けれど夜が来たというわけではなさそう。
わたしは魔法がまだ使えない。

「……行かないと」

置き去りにしたいくつかの約束が待っている。
違和感に不安な気持ちを抱きながら、わたしはドアノブに触れようとした。

触れようとして、すり抜けた。
予想なんてしていないものだから、わたしは扉もすり抜けて転んでしまう。

廊下を、使用人が歩いていた。
使用人は、部屋の外で転んだわたしに構うことなく、廊下を横切っていく。

「​──​──え?」

何が起きたかわからなくて、すぐに起き上がることができなかった。
そうする間にも使用人、来賓、数名の往来がある。

その誰ひとりとして、わたしを見る人はいない。
背筋が凍るような心地がした。


多分また、酷い顔色をしているのだけど、それを指摘してくれるポルクスもいない。
ようやく立ち上がったわたしは、広間に向かうことにした。

莫迦ではないから、人とすれ違う度、状況を呑み込んでいく。
どうやらわたしは、誰にも見えていないみたい。

広間でわたしは彼らの姿を探す。
人混みもすべてすり抜けるから、動きやすいといえばさすがに楽観視が過ぎるかしら。

そう、わたしは冷静だった。
なぜか
ぬくもり
をずっと感じていた。
それがなければ、もっと取り乱していたかもしれないけど。

わたしは探す。
わたしに気づいてくれる人を。
少しそそっかしくて、一生懸命なお友達の姿を。
夢の中にまで会いに来てくれた、白い鴉の姿を。
いつの間にか隣からいなくなっていた、優しい、彼の姿を。
大きくてふわふわいつも浮いている、不思議な彼の姿を。

探している。広間を、中庭を、館中を。誰の目にも触れなくても、今のわたしは孤独じゃない。

【見】 くるみ割り人形 トラヴィス


男は、観客から──客演として踏み出した舞台を、
そうして降りた。

詩人に螺子を巻かれただけのくるみ割り人形は
螺子が回り切ったら、煌めく時間はもうおしまい。


広間の、いつもの円卓の一席へ
優雅さの欠片もなく腰を下ろす。
使用人に用意させるのは暖かい紅茶ではなく、ただの水だった。

「………や、長いブランクを抱えているにしては
 悪くない演技だったと思うんだけど。
 なにぶん脚本家が素人なもので。」


ユピテルの方へと視線を向ければ、
疲労の中、はにかんで手を振った。

「ね、ミズガネの竪琴、
 私にも触らせておくれよ。」

言外に、己は詩人と意思疎通を果たしたと知らせながら。
(@7) 2021/10/22(Fri) 23:36:23

【見】 くるみ割り人形 トラヴィス

>>21

宇宙服のそれを一瞥。
0番から降りた男は、もう舞台に興味はなかった。

御伽噺空想で結構さ。
 感想、解釈は自由だからね。
 けれども………そうだな、」

ちらり、と何もない広間に立ち尽くす場所へ視線を向けて、戻す。

「───詩人に直接聞いてくれないか?
 ……なんてね。冗談だよ。
 主演俳優の解釈で良ければ、話せるけれどね。」
(@8) 2021/10/23(Sat) 0:12:32
ポルクスは目を覚ました。

泡沫の夢のよう。
宙に漂いながら俺は見た。

――被害者の顔をして泣く少女。


    
可哀想だ、ごめんねと思う。


――夢の中でも何かを探しさまよう夜の少女。


    
ありがとう、その温もりを手放さないでと思う。


神隠しの顛末にしては陳腐だろうか。
俺の身体は一線を画するこの空間にすら降り立てないらしい。

【見】 くるみ割り人形 トラヴィス

>>25

「そうだな………、」

顎を撫でる。腕を卓上で組んで、長い足をゆるりと組み替えた。

「不器用な詩人には、どちらも救うなんて不可能だから
 他の全てを捨てて、一番大切な少女を選んだんだろう。
 決して死神だけを見捨てた訳じゃない。」

自分だって、きっとそうする。
大切な者達が危険に脅かされた時。
それら以外を捨てる覚悟は─────………覚悟、は、……


かぶりを降った。
脱線している場合では無い。

「死神は……そうだな、一線を超えてしまったからね、
 因果応報。救われる可能性は低いんじゃないだろうか。
 君達は神にでも願って、死神を隠せ投票すればどうだい?」

これは詩人の意思では無い解釈。

以降の舞台に演出は加えないし、その結末は自分の知るところでは無い。
とても無責任な、たった一つの意見であった。

「けれど、この戯曲の結末は、
 君達次第で喜劇にも悲劇にも姿を変えるよ。
 舞台の上の君達よ、どうぞ悔いのない選択を。」
(@9) 2021/10/23(Sat) 1:27:04

【見】 くるみ割り人形 トラヴィス

>>29 ユピテル

「そう」

短い言葉。
代わりに表情に、喜色が余す事なく溢れている。

「居ないよ。
 私を一番輝かせてくれる脚本家は、もう私の側には。」

普段ならば、発さないであろう言葉。
他人の言葉を吐いた後だからか──それとも、この数日で貴方から受けた眼差しのお陰だろうか。
今だけは、少しばかり素直になれた。

汗を拭って貰えば、
やっと有難うと礼を言う。

「君が持っていると聞いたんだ。
 つまりそれは、その竪琴に触れても良い証左だと思わないかい?
 けれども、そうだね、壊すつもりはないよ。
 ……弦を張り替えてやるつもりさ。
 それは私にとっても必要な事だから。」

その瞳に、曇りはない。
貴方の信頼に報いることが出来ると、自信を持てる程に。
(@10) 2021/10/23(Sat) 1:39:59

【見】 くるみ割り人形 トラヴィス

>>31

「道化で結構さ。ご都合主義で上等。
 芸術と愚鈍は紙一重とも言うさ。
 嘲笑の一つくらい、想定内だよ。」

男も、からからと笑った。
二人が笑い合う、それはそれは穏やかな空間だった。

「君がこうして舞台に降り立って、言葉を発した時点で、
 『興味を惹く』狙いは、既に果たされたからね。
 これで良い、私はとても無責任な主演見学さ。」

男の目的は、詩人の言葉を多くの人に伝えることであって、
少女や死神を救うなんて事は関係がなく、どうでもいい。

それの更に先──大衆に受ける事などは視野にない。
最も貴方は、それを理解した上で、
ただ引っ掻き回したくて述べたのかもしれないけれど。

それよりも無反応が一番の批判であると、男は考えている。


「また観においで。次があるならね。
 君は貴重な感想をくれた観客だから、
 その時は、とびきり良い席をご用意させてもらうよ。」

消えるそれを、見送った。
男はどこまでも穏やかに、貴方を見ていただろう。
(@11) 2021/10/23(Sat) 3:00:11
「……トラヴィス。礼を言う。
 …………前のことは一生根に持つが、この恩もまたきっと忘れないだろう」

舞台人の一挙一動を見届けて、独り言つ。
皆が同じように願ってくれるか分からないからこれは賭けだ。
でも、「願えば何かが変わるかもしれない」という予感だけは男の中でほんの少し芽生えていた。
揺蕩っていた夢の底から、少しずつ浮き上がってきているのだろう。


「リーパー。俺を殺して満足したか?神隠しに遭わせてしまえば何も出来ないと思ったか?
 俺が壇上から引き摺り下ろされて大人しくしている人間だと思ったなら。

その身をもって考えを改めることだな、ご愁傷様。
自堕落に溺れる俺を動かしたのは、お前だよ」


男は身勝手な性格で、身勝手な理由で動く人間だ。
だから、どこかの宇宙服に身を包んだ男にもし問いかけられたとしても、「俺が救いたかったのは少女だから知ったことではない」と述べるだろう。
……
少女が『彼も救いたい』と願うなら話は別かもしれないが。

今その少女は、眠りについたままだ。

「本当はお前のこと、もっと知れたのならよかったんだがな」

「少女の内側に潜む殺人鬼。題材としては非常に面白い。
作家はそこからミステリでも悲劇でもなんでも膨らませるだろうし、詩人ものびのびと感情を乗せて歌い上げるだろう。

でもな……」


「すまないな」

「女を傷つけ苦しめる奴の物語など、俺は死んでも歌えない」

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ユピテル

「……ユピテル」

男は振り向かない。貴方は自分と再会した時のように目を閉じているのかもしれないと予想はつくけれど、それでも、顔を合わせる事ができなかった。
断末魔を上げる少女を見捨てる事ができなくて、どうにか考えて動いた結果だ。後悔などしていない。
……けれど、自分だって事情を何一つ聞いていない。

「……いいや、知らない。
 俺だって、聞けるなら聞きたいさ。
 あいつに殺された瞬間はまだはっきり思い出せる。死ぬほど辛くて苦しくて、今も思い出すと怖くて仕方がないけれど」

 誰にも見えないくせにッ! 
 オレと同じ、ひとりぼっちの癖に!!


「……救えるなら、救ってやりたいよ。
 その判断をするユピテルを、俺は否定しない。許さない筈がない」

頭の奥で、かすかに聞こえた似た者同士の残滓が響いている。
殺人鬼の苦しみを完全に理解する事が出来なかったとしても、ひとりぼっちの苦しみは、自分もよく知っている。

……けれど。


「でも、もしそれで、ユピテルが危険な目に遭ったら?」

自分はユピテルのように多くの為に心を砕く事ができない。
自分は親しい者を優先する。酷く身勝手で、ろくでもない人間であることは自覚している。

「もしそれで、お前が襲われて死んでしまったら?」

「そんな考えばかりが、頭に浮かんでしまうんだ」


「お前が死んだら俺はきっとあいつを一生許せない。
 例えお前があいつを救ってくれと願ったとしても」

「俺自身が死ぬことより、お前が死ぬほうがたまらなく怖くて苦しいよ、ユピテル」

消え入る声で呟いた。「本当に、身勝手でごめん」

顔を上げる事ができない。

メモを貼った。

【見】 くるみ割り人形 トラヴィス

>>33 ユピテル

貴方の視線に問われれば
口元へ人差し指を当てて「秘密」と告げた。

そうして竪琴を受け取って
少しだけ躊躇ったのちに、
貴方の頭へ手を伸ばし、撫でました。

「有難う。
 さっきの舞台の公演料なんだ。
 彼の竪琴の音色がね。
 42弦、余す所なく錆びているから
 こうする他ないだろう?」

貴方にとっても大切であろう竪琴。
まるでそれの様子を以前から知っていたような口振り。
しかと手中に収めれば、びょんとそれを鳴らしてみた。
男には、竪琴から綺麗な音を奏でる事は出来ない。調律の知識が少しあるだけだった。


音を整えようと、席を立つ。
それ以上は何も言わない。
男は、この宴の終わりが近い事を、何度も見聞きして知っているから。
恐らく最後くらいは、此方から。

「……またね」
(@18) 2021/10/23(Sat) 8:40:18
トラヴィスは、キエを一瞥して………、
(t11) 2021/10/23(Sat) 8:44:49

トラヴィスは、何も言わなかった。
(t12) 2021/10/23(Sat) 8:44:56

――人はポルクスを称賛した。

    
心優しい王子様だと。

――人はポルクスを称賛した。

    
見目麗しく天才だと。

――人はポルクスを称賛した。

    
神の血を受け継いだ特別な子供だと。


そんなものは嘘だ。
俺は優しくはないし、努力をしただけで天才などではない。
ましてや神の子だなんてありえるわけがない。
俺はただの王の子であり、人間である。

全て特別な力を持って生まれた兄が受けるべき称賛だったはず。
兄が受けるべき寵愛だったはず。
死者に干渉する力というだけで忌み嫌った者たちが自分にはわからない。
我が半身は、力を持った特別な人間だったというのに。