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人狼物語 三日月国


185 【半突発R-18】La Costa in inverno【飛び入り募集】

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視点:


【人】 奏者 イルムヒルト

― 後日譚エピローグ ―

[寝台で眠る壮年の男を、女は見ていた。
時折サイドテーブルに置かれたハンカチで汗を拭き
時に柔らかな小夜曲をリュートで奏で

あの美の競演から数日
かの人は未だ目覚めない。

刃の美、音の美。美へ飽くなき欲を持つ者同士の交わりは
互いの美を喰らいあい、昇華しあった夢のような時間。
あれ程に昂り、鮮やかで、満たされる時間を
過ごせた幸運を噛みしめ。

持病があるのだろうか、或いは。
満足そうな顔をし、体調を崩し未だ眠る男もまた
そうであったのだろうか。満足する時間を――……]

……まだ、ですわ。
  
目を覚まして

  まだ、満足してませんの。
  
ただ、一緒にいたいのです



[もしも美の女神がいるのなら。1つ願いが叶うなら願うのは。]
(3) 2022/11/28(Mon) 19:47:08

【人】 奏者 イルムヒルト

[幾夜、付き添い看病をしていたからか。
貴方の寝台に上半身を突っ伏して
転寝をしかけていた己の意識を浮上させたのは、

名を呼ぶ声と、髪に触る指の感触で。]

 ――……シメオン、さま。

[思わず縋るように、
抱きしめることは許してもらえるでしょうか。

視界が潤むままに、
おはようございます。
と囁く私の声はきっと
震えながらも、嬉しそうな音で。

――まだあなたから、すべての美を頂いていません。
これからのあなたの、美しい生き様を。

だから、強欲な私はまだまだ満ち足りませんの。
貴方もそうであると聞けたなら。
眦に溜まった雫が一筋、頬を流れたことでしょう。*]
(4) 2022/11/28(Mon) 19:47:49

【人】 奏者 イルムヒルト

[足りません。まだまだ、足りないのです。

命だけでなく、未来も。あなたのすべて。
頂くまでは足りません。

貴方だって、足りないでしょう。
私の時間を未だ、全て渡せていない。
まだ喰らう物は、残っているのです。

――強欲愛しいな貴方。]


 ……寝坊、なんて。
   よくお休みになっておられたから。


   寂しかったわ?


[生まれも、境遇も。歩んだ道程も、性別さえ
違う私達の共通点が。

私達の魂を屈み映しにしたかのように
あなたでないとだめなのだと、訴える。]
(9) 2022/11/28(Mon) 21:57:22

【人】 奏者 イルムヒルト

 だって、だって。

[溢れる雫が子供のように、止まらないわ。
――寂しさじゃなく、嬉しさで。

その感情の名前を、今迄抱いたことがなかったそれを
――名付けたのは果たして、何方が先なのでしょう]
(10) 2022/11/28(Mon) 21:57:34

【人】 奏者 イルムヒルト

[貴方に、飢餓を自覚させられた。
私の音。飽くなき美への渇望を。

貴方に、美を見た。
その鮮烈な、ただひとつを極める道を歩む崇高さ。

貴方に、花開かれた。
女であることを、身をもって知った。

女は、そして限りない欲を男へ向ける。
心のまま求めたのは、貴方だけ。

その心の名は。]
(15) 2022/11/28(Mon) 23:06:11

【人】 奏者 イルムヒルト

[その心が生まれたのも、育まれたのも、
貴方であったこそだった。


喰らいながら喰らわれて。
それに歓びを見出だしたのは、
自分の美を磨かれるだけではなく。

貴方に見つめられ、触れられるからでもあったのだと。

頬を撫でる手に、自覚する。

何時か貴方は私のもとを去るのは理解している。
年の差は、神様でさえどうしようもない。
でも、貴方の残りの人生ごと

私は、ほしい。]
(16) 2022/11/28(Mon) 23:06:51

【人】 奏者 イルムヒルト

……いて、ください。
ずっと。傍に。


貴方のいない夜を、貴方の目覚めぬ夜を
遠くにしてください。


…… 、から。
(17) 2022/11/28(Mon) 23:08:16

【人】 奏者 イルムヒルト

[顎を持つ指に、己の手を添えたなら
そのまま顔を寄せ、唇触れ合わそうと

私の、方から。*]
(20) 2022/11/28(Mon) 23:10:19

【人】 奏者 イルムヒルト

[終わりがなければ次はない。
永遠に続く命はないのを知っている

だからこそ、貴方との一瞬が。
ひとつひとつがいとおしい。

終わりの続きも、貴方とならば。
貴方とだけ。

私は紡いでゆきたいのです。]
(32) 2022/11/29(Tue) 0:06:54

【人】 奏者 イルムヒルト

[命が尽きるその日まで、
戦い続ける貴方に見惚れぬことがあろうか、いやない。
貴方と過ごすたびにより貴方への愛が深くなり
心を奪われて、同時に腹に宿る命を
貴方に逢わせてあげられそうにないことに心を痛ませる。

それでも、私達は出逢えて、幸せだった。
私は、幸せだった。
貴方によって美を花開かせ
その指で、眼差しで愛されたことで

私の美は、満たされながら狂おしく叫ぶ。
それほどまでに渇望するものと出会えた幸福よ。

1年という短い期間の貴方との蜜月は濃密で、熱く、穏やかで。
最後の瞬間まで、貴方は誰よりも美しい>>86
誰よりも私を、魅了する。

未練はあるし、もっと共にありたいと願うけれど。
同時に、限りあるからこそ貴方はその命を燃やし尽くし
美しくあり続けたのだろうとも、思うのだ。


もっとともに居たかった。愛しい、貴方


貴方の躰は朽ちようとも、100年。貴方の存在は
私の、人々の記憶に残り続けるでしょう
私の紡ぐリュートの調べに合わせ、貴方の名はきっと千年、万年。*]
(87) 2022/12/01(Thu) 18:43:24

【人】 奏者 イルムヒルト

― 終幕エピローグ

 「お母様、あの曲を弾いて。」

[幼い息子が、目を輝かせて強請る曲がある。
舞台での演奏や、酒場で踊り子と――偶にその庇護者の歌声とともに演奏するときはあるが
その時は一節だけ。旧いリュートを爪弾いて
貴方の若き日の英雄譚を奏でるけれど

この子と2人だけの時は、
貴方の狂おしい程の美への思い、貴方と紡いだ愛の日々を。
貴方の父親がいかに美しく、尊かったかを奏で、歌う。

我が子は、2人きりのときはよくせがんで
顔も知らぬ父を追憶するのを、母は知っている。


生まれる前に貴方は女神のみもとへ旅立ち、
貴方がこの子に残した名を、愛しげに私は呼んで
子の頭を、柔らかく撫でる

貴方と交わした音と刃の演舞の時に見た若き日の姿に瓜2つのこの子は、
画術師に描いてもらった父の肖像のように育つのでしょうか。
或いは、この子も、この子だけの「美」を見つけるのでしょうか。
そのために、飢えながらも希求していくのでしょうか。


今の私や、貴方のように]
(88) 2022/12/01(Thu) 18:44:09

【人】 奏者 イルムヒルト

 「お母様。お父様ってすごいねぇ。」

[無邪気に。歌われる父に思いを馳せる我が子へと
私は微笑み、頷く。
この街で有名な奏者ではなく、母としての。妻としての顔で。

もしも私までこの子を置いていくことになったら
私は母を失ったあの日のように、魔女の店に願いを告げに行くかもしれません
愛しい人との結晶を。守れなくなったら。
辛くて胸が張り裂けてしまいそう。
母も、私に対してこの様な気持ちだったのでしょうか。
――あなたも、私や、腹で育まれていたこの子を置いていくとき。
そんな気持ち、だったのでしょうか。]
(89) 2022/12/01(Thu) 18:44:26

【人】 奏者 イルムヒルト

 ええ。お父様は凄いのよ。
 ――誰よりも美しくて。素敵な人なのよ。


 
ね、シメオン様。



[愛しい人。私は貴方のいない世界で、
貴方を心に抱いて生きていく。

友人や、我が子と共に過ごす日々の中でふと、
音とともに華麗に舞う、浮かぶ刃の軌跡を思い浮かべれば

傍で貴方が微笑んでいる、気がして。
私の口元も小さく笑みを、零すのでした**]
(90) 2022/12/01(Thu) 18:45:04