［会いたい］

　［心無き主人虚無なる羊飼いは省みる事はしない］

　　　　［それでも共に在る事は当たり前であり従うだけで満ちるもの］

　　　　　　［身を寄せ］　　　　　　　［よろこびである］

　　［その衣に］　　　　　［その体に触れ］

［語り手たる歌姫はかの如く言い伝える。

　　宙に１点の虚が現れん。
　　黒羊達の支羊飼い配者は、糜爛した様な昏い粒子と共に現れた。
　　何処より現れたのか、彼かの人型を中心に時計廻りに宙を駆ける獣達。
　　羊に酷似したその姿。
　　その輪は次第に広がりて広がるにつれて半透明に姿は巨体となる。
　　全てを喰らい後には何も残らない。
　　あるのは、空白という名の虚無のみだ。

　　星々を文明を、何も無かったかの様に彼らは呑んだ。

　　幾多の世界を存在を。
　　終焉では無く虚無へと還したのだ。

　　星を救う為にあまたの技術が生まれ、
　　そして一匹の黒羊を捕獲するに至り──同時、何事も起きなかったかのように災厄黒羊達とその主人は通り過ぎていった］

［それ以後の事は──知っての通りだ。
　星の守り手として作られた　　[名称消失]は眠りに着いた。
　封印指定の黒羊を封印し続ける為に。
　名が消え、役目機能のみを保持して］

［それから、幾らの時が経ったのか──］

［再度の起動を果たし。
　そして、封印は崩壊をしかけている。
　本当に、本来の機体の封印が解かれていれば、黒羊はここには居ない筈だ。
　暴れてどこかへと主人を探しに彷徨っていただろう］