「虹色って、幻覚とか画面で見るのは、良くないみたいだけど。」

幻覚は見た事あるが画面は実際どうだかはわからない。

「…。需要があるのは、医療系の会社…だと思う。
色々、供給が足りないみたい。」

「うーん」
「将来というものはずいぶん難しい」

高校一年生だからか、見通しが甘い様子である。

「祀られるのが夢かもしれない」

急に突飛なことを言い出したぞ。

「祀られるって、何。神社とか？」

「お供え物で暮らしていきたい」

どうやら神社の認識で間違っていなさそうだ。

「じ、じゃあありがたくお墨付きは受け取っておくけど──
　将来の夢、は──むずかしいなぁ」

「──今で、精一杯だもん。
　差しあたっては、今このゲームで
　ほんとうに精一杯だけど」

秘密暴露ゲームは、まだまだ続くのです。

「神社に祀られるのいいじゃん。
　ちやほやしてもらえるし、かっこいい！
　ちなみに僕の将来の夢は……」

手元のメモにいくつか候補を書いて
あみだくじを開始した。

辿り着いた答えはお花屋さんだ。

「ぼくの夢はお花屋さんのようだね。
　お花屋さんになったらお花食べ放題だし、
　可愛い子が買いに来てくれるかもしれないし」

「あんまりまだ実感のないところかもしれないが、
　そろそろ具体的な進路を決めておいたほうが良い人間もいるんじゃないか。
　選ぶ学校だって就職先だって、決まってくるだろう」

「しんろ……」

浮かれていたがすっと目を閉じ
現実逃避に走った。

「進路………」

なーんにも考えてないです。の顔だ。
どうしようね。

「進路は、あたし大学は決まってるしなぁ。
　附属高だから──」


と一瞬彗さんに視線を向けましたが、
なんだかキラキラしていたので追求しませんでした。

「夜川妹、『のようだね』とはどういう……」

食べ放題もほかの選択肢も変だ。

「一年生だからまだ大丈夫と思っていると、
　あやふやなまま三年生になっていがち。
　最近は楽しくて時間すぎるのがとてもはやい」

「祀られること以外は……楽しい遊びをしたい」

「っくしゅ…！は、え。ご、ごめん。」

身震いして耐えていたくしゃみがでてしまった。恥ずかしい。

「甘い花もあるよね。
僕は…あまり進路は考えられないけど…

病名がわからないものを診察できる、医者になりたい、かな？カウンセラー…？難しいけど。」

「進路かぁ」
ひょっこり会話に加わって。まあさっきまでもいたのだろうけど。みかんとか、剥いてました。スジとか、とってました。

「うーん……………なんにも思いつかない。とりあえず真面目に勉強はしてるし、なにかしらの資格取ったりすれば将来は困らない気がするなぁ、たぶん」

「進路、っていうかさ。
　将来何するかとか、展望がないっていうか……どうやって決めるもんなんだろね」

お座敷でのびている。お行儀が悪い。

「将来はとにかく普通の女の子になりたいな〜。
　何事も普通が一番。
　私はそう思うよ」

「俺は、普通の男の子にはなれない。たぶん」

「いーね、普通の女の子。
　戸森もそれにしようかな〜……って、結局進路をどうしたら普通になれるのかって話よね」

うーん。

「なんか……普通にホワイト企業に就職して、
　時には普通に結婚して、
　普通にいい感じになっていくみたいな……」

ふわっとした『普通』感であった。

「進路……特に決めてないわね。
　その時になったら面白い方へ進むと思うわ」

「あーでも、そうだなあ。
　普通に恋して、普通に誰かと過ごしたいって気持ちはあるかも。
　結婚……までは考えたことないけど」

「不破、それってさあ。
　言えるんじゃん？

　どうすんのさ、まだとんでもない秘密抱えてる人がいるかもしれないっしょ」

>>+41　不破

「…あ、長い名前のオカ研あるって、言ってたかな。そこが強い、みたいな…。」

思い返せば名前を聞いた事はある。
かなりうろ覚え。

「変人っていうより、勉強熱心だなって、思ったけど。」