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人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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黒眼鏡

「悪いな、俺の口が素直に褒める相手は
 可愛げのある奴だけって決めてるんだ。
 ちなみにひん剥いたらあんた食い千切ってやる」

物騒極まりなく、ため息を零す。

「そうか、じゃあ今度存分に泣いてくれ。
 盛大にするかはさておき、泣けるようにはしてやるよ」

こっちもお手玉。遠くから見る色男に何見てんだオイ色男、
そんな風な視線を送ってやった。

「いーえ結構。寝過ぎて体中痛いんでね。
 あっちの怪我した色男の介護でもしてやったらどうだい」

「なーにがうわ、だおちびちゃんめ」

自分のせいでそうなっている、という事情は置いといて。
わしゃわしゃされてるのを眺めて、
どいつもこいつもよお、とため息を吐いた。

なんだこの平和な感じは。
もしかして尋問で外れを引いたのは俺だけか?
そんな風に肩を落とした。

#収容所

一度だけ収容所の賑わいの横を通り過ぎた。取調の為の一瞬だった。

 カンターミネ

「ハハハ、そういうところがお前のかわいげだな。
 食いちぎるならちゃんと歯を磨いておいてくれよ、
 豆知識だが俺は綺麗好き」

流しているのかどうか、笑いながら。

「おう、頼むわ。いまからハンカチーフを用意しておかないとだな。
 あー、あのドラ猫は俺の世話なんかなくても大丈夫だ。
 独り立ちしてるからな」
「俺はデキる女にはやさしく、デキる男に厳しい」

わっはっは。

#収容所

メモを貼った。

黒眼鏡

「あんたに可愛げって言われるとゾッとするわ。
 生憎ここの牢屋に歯磨きセットは置いてないんでな。
 歯は磨きたいんだけどね、俺も。今すぐ。」

へらへら、いつもの笑みがやっと返ってくる。
……口の中も幾らか赤い。

「腹立ってきたな。ほんとにボロ泣きさせてやろうかな。」
「ふうん。あ、あいつと今度メシ食いに行くから
 旦那も来て珈琲淹れてくれ。あとアレ、ニコロ。
 あいつも引きずってこよう。逆ハーじゃん、笑うね」

わっはっは。

#収容所

 カンターミネ

「おいおい、こんなにも人間的魅力にあふれているのに。
 アー、珈琲が染みちまいそうだな。
 水いるかい?」

どこからかペットボトルをとりだす。
中身はミネラルウォーターだろうか、ちゃぷちゃぷと透明な液体が揺れていた。

「イヤ、お前が嫁入りしたら俺マジで泣くと思うわ」

無礼なほどに真顔で言う。

「オ、マジでか。分かったよ、俺の新作オリジナルブレンドをもってってやるから。
 ハハハ、色とりどりのイケメンが選べて嬉しいだろ〜?」

自分もその中に含めているのだろうか……。

「ちなみに誰が一番好みだよ、オイ〜」

#収容所

 黒眼鏡

「どっから持ち込んでんだよあんたは……貰うわ」

受け取り、……一応キャップを見て臭いをかいで。
大丈夫そうなら、口に含んで洗い流し吐き出す。
床が赤く汚れるのはもう諦めて欲しい。

「あーそうかい。じゃああんたは泣かずに済みそうだな、
 嫁入りする予定はないからな」

こっちもこっちで大概無礼な物言いだが、
まあ軽口には丁度いいんだ、たぶん。

「そりゃいいね。色とりどりのイケメンはどうでもいいが、
 あんたのオリジナルブレンドは楽しみだわ。
 ん〜?そうだなあぁ。そん中じゃ、ニコロじゃね?
 あんたは年齢、あそこの色男は口説きすぎ。
 ニコロの奴はからかい甲斐があるんでな!」

へらへら笑いながら、一応あなたもその中に含めて。

「だが、どいつもタイプじゃないね。
 俺が好きなのは可愛げがあって、したたかで、
 寂しがりで、あとなんだろうな。
 ああそうだ、信用出来る奴!そういう奴なんでね」

 カンターミネ

「企業秘密」

まるでCMみたいに頬にペットボトルを寄せて、にんやりと笑う。
あなたがそれを受け取るならば、
ぱっとかぐ限りは市販のミネラルウォーターと違わないように感じるだろう。
…というか、多分ラベルをはがしたそのものだ。
どうやって持ち込んだのか。

「そこはさあ、どうせならやってやるみたいな危害を見せてほしいもんだね。
 女の幸せが結婚なんて言うつもりはねえが、
 お前はなんだかんだ、なんか見てくれるやつがいたほうが安心……」
「アー。まあ、お前相手じゃ、そういう相手のほうがいいかもな」

へらへらっと笑いを返して、なんだか嬉しそう。

「その条件じゃあ、確かに俺は入らねえな。
 理想の男性を見つけられることを祈ろう、カポとして」

#収容所

黒眼鏡

はいはい、とペットボトルの残りを返す。
あんたと違って持ってたら何言われるかわからないし。

「ふーん。さしもの黒眼鏡の旦那も、ここじゃ鈍ってるな」
「嫁入りしないとは言ったが、結婚しないとは一言も
 俺は言ってないんだけど?」

にんまり。してやったり、という顔だ。
果たして、冗談の内か、本気かは相変わらず
張り付いたにやけ顔でわからないけど。

「ま、早い所ここから出てから全部考えるさ。
 という事で俺の理想の男性を探すより、
 さっさとバカ騒ぎが終結する事を祈っといてくれ」

へらへら笑い、あーどっこらせと立ち上がる。

「傷治すのにどれくらいかかるかなあぁ……
 いってえ〜……伸びも出来ないぜこれ……」

軽口と共に、歩いていくか。
だって、『兄弟の時間』の邪魔はしない方がいいだろうしな。

#収容所

黒眼鏡

「あれは……あれが原因ではないと思います、おそらく。
 だから多分、要するに、いつものです。
 ……理由は教えてくれなかったから、推測ですけど」

いつもの。となると、貴方がよく見逃してやったように、
情報を得ようと躍起になって、見つかるあれの事だ。

隣に座ろうとする動作を見れば、少しスペースを作る。
助けと聞けば、周囲と気さくに話していた様子を思い出して

「でもこんな人望のある貴方を一時でもお借りしていいのかな。私今、こんな状態で碌な話も出なさそうなのに……」

#収容所

 カンターミネ

もーいーのか、なんて言いながら受け取り、スウェットの袂にひょいと隠す。

「何ィ? …こいつは一本だな。
 どちらにせよ、ご祝儀は覚悟しておけよ。
 なんかもう、すごいぞ。びっくりするくらい届けてやろう」

額をぺちんと叩いた後、楽しそうに笑っている。
物理的にびっくりする量が届きそうな手ぶりもしていた。冗談かどうかこちらもまるで分らない。

「おう、そう長くはねえさ。
 これは祈りというか…あれだな、予言だな。
 当たったら褒めてくれ」

偉そうに今はかけていない黒眼鏡をかちゃりとあげる仕草をしてから、

「飯くって寝てりゃ治る。徹夜すんなよ」

体が頑丈な奴の理論を言いながら、歩いていく背中に手を振る。
──いつも通り、アレッサンドロは去っていく者を引き止めることはせず、ただただ静かに見送っていた。

#収容所

 アリーチェ

「さよけ。
 まぁ、あんたの方法を否定するつもりはねえがさ。
 相手によっちゃこうなったりもするから、
 今度からは気をつけな。

 ノッテも警察も、多分色々変わる。どうなるかはわからねえ」
「マフィアに話の効く奴をつくってよ、
 とにかくそいつを窓口にしたほうが話がスムーズだから──……」

──止めたりするそぶりはない。
  ただもっとうまくやんな、とあれこれ挙げる。

そうしながらあなたの隣に無遠慮に腰を下ろすと、

「ハハハ、若いやつ同士で話したいさ、ああいう奴等は。
 そして"ロクな話をしない"といやあ、
 三日月島ではこのアレッサンドロのミドルネームだ」

…なんていって、あなたの隣で鼻歌などを奏でるだろう。
#収容所

黒眼鏡

「……難しいですね、本当にこの手の仕事は。
 自分一人の身であるなら悩む必要はないけれど今回のように
 他にも被害が波及することを考えると、動きが鈍って」

少なくとも教会にまで捜索の手が及んでるとは聞かないから、
今回はひとまず助かったのかもしれないけど、次はわからない。

「なるほど、潜入にこだわらずマフィアに話の効く人を……
 ……怒らないんですね。そんなやり方してるからだ、とか、
 迷惑かけられるのはこっちだ、みたいな」

貴方が挙げる提案を真剣な眼差しで素直に聴き入って。
ふと思いついた疑問は普段警察内で言われている事なのだろう。

「……?えっ、私が若くないみたいじゃないですかぁ……
 でもいつも、ためになる話しかして貰ってないような……」
#収容所

 アリーチェ

「ダメだぞう、自分は大事にしないと。
 自分のやりたいことは、
 自分しかやってくれねえんだから」

──自分の身を第一に、とかそういう話ではないようだ。

「マフィアに一番詳しいのはマフィアだからな。
 それはそれで、信頼できる相手を見つけないといけねえんだが」

そして怒らないのかと言われれば、
にかー、と大仰な――うさんくさい――笑みを浮かべて。

「しょうがねえんじゃねえの。
 あんたがやりたいことがそれなら。
 自分がやりてえこと以外に、自分が大事にすることなんてねえ。
 だったらそれがどうやればできるのか、考えなきゃいけねえよな」
「うちの部下は迷惑がってたが、マ、それも仕事だしな」

本人はどちらかといえば面白そうに。

「イヤあんたは若いけど、ほら……
 なんか変わってるからな。
 面白え女だから。
 
 俺の話をためにすると、今度こそ共犯者になっちまうぞ」

#収容所

壁際にいた男はふい、と顔ごと逸らし。
仁王立ちのようになっていた足を緩め、一歩踏み出した。

向かう先は収容所の出入り口。
おそらくはそれなりに出入りの制限されているだろうそこへ、
迷いなく。止められるとは思っていないような自然な動作で。

そして、実際その通り。
男は立っていた警官と一言、二言言葉を交わし、そのまま場を後にした。

#収容所

 黒眼鏡

「ど〜〜〜せちっちぇよオレは〜〜〜」

今からたくさん食べても貴方程にはなれないだろう。
終ぞ追いつくことはなかった悲しき現実だ。
払い除けないので座るまでは撫でまわされていたわけだが。

ッぃ、ったい!
疑ってません!手に響く!」

肩を勢いよく叩かれきゃんと吠える。でもそこからすぐに腕の中だ。
すっぽり収まってしまうから、ああ本当に追いつくことは無かったなと再度実感させられる。
瞼を伏せた。

「……会った、泣かせちゃった。
 あんな顔させたくなかったのに」
「にいさんなら泣かせなかったんだろうな」

燻る後悔ひとつ、貴方なら牢の中からでも安心させられただろうと。

#収容所

 カンターミネ

「だ〜れがおちびちゃんだ!」
「ちょっと心配してあげたのに……」


口に出せてなかったから無いのと同じだったかもね。
身長、ちょっと気にしてるからつい吠えてしまった。

#収容所

 黒眼鏡

「信頼、は……」

一人、圧倒的な信頼を抱いている人がいるけれども、
収容所であるこの場で名前を出すのは気が引けて、

それじゃあ後は誰だろうかと悩むと、
視線は自然と吸い込まれるように貴方の顔の方に。

「そう。それはその通りなんですけど、その……
 なんだか凄くその、尊重して貰っている気がして。
 自分がやりたい事をやってるからなんでしょうか?」

迷惑がっていた、の台詞には、「ですよね……」と
笑えない笑いが思わず零れ落ちた。今度差し入れでも代わりにして貰おうかとどこかズレた考えをする。

「変わってる、面白い女……これ、褒められています?
 でもためになる話は誰が話し手でも変わりませんから。
 こういった話は受け取る側の問題だと思うので」

こんな酷い人だから話も全て聞かない、意味がないと言うのは女の理念に反するらしく、それで共犯者扱いを受けるのならそれはそれで仕方ない。と言った素振りだ。
#収容所

ニーノ

「ちょっとじゃなくてしっかり心配しろ。
 こっちは拷問受けた乙女だぞ」

乙女らしいので、もっと心配しろと文句をつけた。
こっちも大概身長は低いんだけども。

「あー痛ぇ。俺は休憩するから、
 そこでおにーちゃんと話してな〜」

ひらひら、手を振って歩いていく。

#収容所

自分に出来るだけ天秤を平行にした。

バケツ一杯の水を浴びながら考える。

絶対退所祝いの前に、温泉に行ってやる。

「は〜ぁあぁ〜〜〜」

でっかいためいきを落とす。

「帰りてぇ〜……風呂入りてえ〜……
 情報聞きてぇ〜………………」

仕事中毒な女は午後からの検診に備えて
大人しくしている。やりあった結果受けた傷、
そういうもののちゃんとした処置をやっと受けられるのだ。

その診断の結果。
右拳咬傷、右前腕にヒビ、肋骨二本にヒビ、
鼻軟骨骨折、後頭部軽度切傷、他内出血多数。
まあ、相手よりは軽傷だけど、それなりにボロボロで。

「……え、何その棒。あっまさかあれ?鼻の骨折?
 いや知ってるよ待て待て待てそれ突っ込むんだろ?
 突っ込んでぐりぐりやって骨の位置整えるんだろ?
 待てってそんなん絶対痛いじゃんいやうんわかるよ
 今の内にやらないと不味いってのはわかるが待っ」

それらの治療の結果、尋問中より大きな歌が響いた、とか。

世界がそうでなかろうとも、本日も#バー:アマラント
はいつも通り。
いや、正しくはそうとは言えないのだが。

何かの揺れがない限り、今日のこの店にモブは来ない。
酒場でリンゴジュースを頼む物好きの常連も、
日替わりメニューから気になった品を頼む一見さんだって。

そういう日だと知っている。

それでも店を開いている。いつも通りに。

熱に浮かされている。

「……あの美人さんが?」

本当にダニエラという名前だったのか、と。
女警官からたった今入ってきた囚人の名前を聞く。

「しかし余計なことをして美人の親衛隊に目をつけられると厄介だな。
 それに特に俺に会いたいわけでも……」

あるか? 俺は顔がいいからな


男は誰かに叩かれ殴られた頬を腫らしながら神妙に考え込んだ。
しばらくして、一つの牢屋に向かって歩いていった。

自分の身体のにおいを嗅いだ。まだ臭い気がする。

ニーノ

「ちっちぇえならちっちぇでやりようはあるからな。
 背が低いのが好きな女もいる、
 お前はツラもいい。大丈夫だ」

な、と。
あなたがどれだけ暴れようと、しっかりと腕の中に収めたままで。

「女を泣かせたら、男として一人前だ」
「……で、泣かせたら、男は絶対女に勝てねえ。
 だがそれも、それでこそ男ってもんだから、
 つまり男は男にならねえか、女に勝てねえかの二択になるわけだな」
「俺だってたあくさん泣かせてきたし、
 これからも多分泣かすさあ」

かいかぶりすぎ、と額を小突く。

「特にフィオがな、あいつ泣かすと怖えから。
 お前、俺の代わりにちゃあんと泣き止ませといてくれよ」

#収容所

 アリーチェ
「まぁマフィアなんか信頼できねえと思うが、
 人格的にじゃなくてもいい。
 金でも脅しでも肉体関係でも、なにかしら関係性があるだけで違うもんだからな。
 うまく使えってことで…」

顔を見られていることに気付いて、ぱちぱちと瞬き。
…すぐに、片目を閉じる不器用なウインク。

「そうだな。自分のやりたいようにする女が好みでね。
 それと若者を応援するのが趣味だ。こっちも趣味と実益を兼ねてるから、Win-Winだな」

部下については気にするなよ、とは──まさか差し入れ持ってくるとは思っていないが――言いつつ。

「当然褒めてるよ、あんたみたいなのは中々いねえから、おもしれえわ。
 こんな場所じゃなかったら、珈琲のみに来いっていいたいとこなんだがな」
「ハァ、なんだかな、しっかりしてるね。
 俺は嫌な相手の言葉は、それが100点満点の言葉だろうと素直に聞きたくないが。
 ……まぁあんたが変に絡まれて、迷惑かけちまうのもよくはねえ。
 俺の方でちょっとは配慮しようとは思うけど」

とはいいながら、隣に座ったまま。

「まあ、しばらくはいいか。
 なあ、……アレどうした?
 あれこそ迷惑かけたかもしれんって今思って」

……四角い形をかたどる手ぶり。アタッシュケースだろうか。

#収容所


一人の放蕩息子が檻の中に入れられた理由は、
マフィアであったこと
だ。

その夜、ルチアーノ・ガッティ・マンチーニは
彼を捕まえたリヴィオ・アリオストとそれはもう仲良く歓談しながら警察に出頭していた。

そのあと知人の女性警官にマフィアであった事を泣かれ、
平手打ちをされ殴られ警察沙汰になりかけたが其処は既に牢屋であったため、
大人しく檻の中に入って何もしなくていい時間を怠惰に過ごすことになる。

因みに男は予め警察に大量の金を握らせて、その日一日だけは
別の女性警官を連れながら比較的自由に牢の廊下を歩き回っていたらしい。

一番の罪状はここであったであろうが、そんな事実は忙しない日々と闇の中に隠されていくのだ。

 リヴィオ

男は亡骸のような友人らしき者の前でしゃがみ込んで、暫く観察をしていた。

「お疲れさん」

その頭に手を置いて離せば、緩慢な動きで立ち上がって何処かへ立ち去った。
自分も同じように眠っていたいのだが、これからどれぐらいの時間ここで過ごすのかわからない。
牢獄の中ですら自由に動けるわけもないから、もう少しだけ。

熱は収まったのだろうか、水は多めに頼んでおいてやろう。
あと胃に優しい食事だったか? スープでも構わないか。
劣悪な休暇を少しはいいものに変えて満喫してくれ。

さて、明日からはゆっくり寝られるだろうか。

#収容所

フィオレ

「笑わせてくれる。
 本当に静かに咲く花ならどれだけ話しかけようと、
 そっちから茎をのばしてくることはないだろうに」

ここから先はどこまで行っても言い合いだ。
なんなら、最初の時点でもう己が言っていたはずだ。よっぽどろくでもない相性≠ネのだ、と。
いよいよもってもう認めざるを得ないのだろう。

「……そうだな」

だからその都合の良い言葉も、ほんの一部分だけ。
ほんの端っこのところだけ認めてやらないでもない。

これは毒気にあてられたのではなく、
皿まで食らってやるほうに舵を切っただけの話。
元より枯れてくれるなと思っていたのはこちら側なのだから。

「あんたを特別に危険視しているのには違いない」

そうしてまた線を引き直す。
危険だから、何をしでかすか分からないから、
それはただ遠ざける以外にも道はあるのだと思って。

「見ていろ。何かしでかしたら迷わず捕まえてやる。
 法の導きがなくても、その力は俺にはあるのだからな」


もうじき収容された被疑者の自由時間も終わりの頃、
人も疎になりつつある頃、ふらついた足取りが隅を目指す。
腫れ物のように誰も声をかけない男は、何かの延長線のように出し抜けに声をかけた。

「……お前葉巻持ち込んでやしてねえか」

#収容所

黒眼鏡

「……と言う訳で、はい。頼れるお方は……」

ウインクを返されてしまった。少しの気恥ずかしさに俯きつつ、素直に貴方です。と伝えている。

趣味と実益と聞けば納得したらしく、それでも少し変わっているなとは思ったが突っ込まずにはいる。

「あら、お誘い光栄です。なのですが、
 お店の珈琲って慣れてなくて高級でも味がわからなくて恥をかかないかと緊張しますね……」

紅茶派なのを差し引いても小学生のようなことを言っている。

絡まれることについての配慮は、そんな。申し訳ないと最初こそ断ろうとして、しかし今自分の立場を考えれば素直に見極めのタイミングは言葉に甘えたほうが良いだろうとなった。

「あっそうですよ!何がって札束もですが金塊はもっと困ります。換金するにしてもあの量だと怖がられたり怪しまれたりで……

 飾り付けにするわけにも行かないからお返しに行くか悩んでいた所、逮捕の知らせを聞いて…今はこっそりしまってあります」
#収容所

 黒眼鏡

「別にそこを心配しているわけじゃないし……」

とはいえ貴方に保証されるのは悪い気はしない。
暴れはしないがされっぱなしも感じるところはある。
無意味に寄せた頭をぐりぐりとしていたが、
額を小突かれると「いて」と声を漏らした。

「……その理論でいくと男にはなれたってコト?
 なんだ、でも、別ににいさんでもそうなんだ」
「ならちょっと安心したけどさあ……」

泣かせてしまうことへの罪悪感はあれど。
貴方だってそうしてしまうことが多くあるなら安堵するような。
でも、最後のはいただけなかった。

「オレはオレが泣かせたねえさんの涙の責任は取るけど。
 にいさんがねえさん泣かせたときは自分で責任取れよ」

「代わりになんかは泣き止ませません。
 なんなら一緒に抗議しに来る」

#収容所

 


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