104 【R18G】異能遣い達の体育祭前!【身内】
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生殺与奪の権を他人に握らせるな。
なんて、近頃良く聞く言葉を思い出しながら『薬』を飲む。
頭の奥がずしりと重くなる感覚も、ずっと重いままなら慣れるもので。それよりもまともに考えが追い付くこと、喋れることの恩恵と比べればあまりにも軽いデメリットで。
「ぼくの生き死には柏倉先輩次第……か」
楽を知らぬまま不便の中を踠いて生きている状態と、一度楽を知ってしまった後で不便に戻るのとでは話が大きく違う。
自分は強い人間じゃない。今から前の状態に戻ればきっと『踏み外す』。物理的にか倫理的にかはその時にならないと分からないが。
なんにせよ、二者択一の選択肢から外れるためには、とるべき行動はひとつしかない。
異能を制御する。
今まではできないと思っていたし、実際できなかった。
けど薬で異能が封じられると言うことは、少なくとも特定条件を揃えられれば異能を止められる、ということでもある。
とはいえ独力では取っ掛かりすら掴めないのも事実。
柏倉先輩の親を頼るか、同類異能らしい鏡沼先輩を頼るか、とりあえず同じクラスの面々にツテを聞いてみるか。
……いいや、該当者の中で最初に見つけた相手に聞いてみよう。なんて肝心なところを雑に決めながら、神谷は廊下を歩いていく。
鏡沼
誰に、とは言わない。
わかっている。
それよりも、だ。
「────本当かい?」
疑うような鋭い視線。(当社比)
自分が馬鹿を見て、それで終わりだと片付けた事件。
……被害者じゃなくて、加害者なのだとしたら?
犯人からの取調べが行われそうになる。
「…………私が、意識を失った後、
何があったのか、聞いてもいいかな?」
瞳が揺れる。
鏡沼
「じゃあ、今ビンタされるのと
後でビンタされるのとどっちがいいかな?」
もっと大きな理不尽で返してきた。
何でもないのであれば、敢えて外すようなこともするまい。
乾いた笑いに対して、瞳は湿っていく。
「────お願いだ
鏡沼クン、教えておくれ
……それとも、言えないようなことがあったのかい?
そうじゃないのなら、私を安心させて……?」
ピンポンパンポーン
『もうすぐ下校時間になります
校内に残っている生徒は作業を中止し、
速やかに下校の準備を始めてください』
『繰り返します』
『もうすぐ下校時間になります
校内に残っている生徒は作業を中止し、
速やかに下校の準備を始めてください』
ピンポンパンポーン
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