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【人】 ミア[ ……こどもの癇癪に、近かったように思う。 怒っていたのは違いなく、 叱ろうとしていた、のも、正しかった。 掠れていた声の理由に 赤はないのに、喉が熱い。 滲んだよな視界の端。 染まってしまった指先が通ってしまえば、 なに って ちぃさく、こぼれ落ちてゆく。 ] (434) 2020/06/01(Mon) 0:57:14 |
【人】 ミア[ 嗚呼 それはもう、 一生残ってしまう傷だろう。 ─── こんな、夢に見たよな夜に、 赤色の化粧なんかされてしまったならば! ] (435) 2020/06/01(Mon) 0:57:43 |
【人】 ミア[ 見開いた碧 は。 明らかに困惑が色づいていた。 落ちた手を追おうとしても、宙を切る始末で、 迷った矢先に、こみ上げる"何か"を隠すよに。 ……艶さえあった赤色が、唇まで辿るから、 音を作るときに舌先が鉄の味を報せる。 飲み込んでしまって、覆った両手の奥で、 ] (436) 2020/06/01(Mon) 0:58:21 |
【人】 ミア[ たとえば、あの蝶々は 不自然だったとしたら? 羽の模様も、形も、いっそ飛ぶさますら 他と異なっていたとしたら? 認めてくれたのが彼の妻だけだったとしたら? ] (448) 2020/06/01(Mon) 1:46:43 |
【人】 ミア* [ 見舞いにしては荷物が多いと、誰かが言った。 鞄の中に何もかもを押し込んで、 ( ─── ドレスは あの後 やってきた執事に突き返した。 ) 正面の門を潜ることなく、庭への道を歩んでいる。 約束すらしていないのに、 頼まれごとすら、していないのに。 多少の懐かしさすらあれど、慣れた歩みは、 尻尾を大きく揺らす犬たちに導かれた故のもの。 ] (449) 2020/06/01(Mon) 1:47:48 |
【人】 ミア[ 何時かくり抜いた果物のよな 夕焼けを背に、 身軽に"向こう側"へと移り、 怪我人だなんて気にせずに 真白の海へと 飛び込んでやった! ─── だって自業自得じゃない とは、 まったく他人を思いやらない言である。 ] (450) 2020/06/01(Mon) 1:48:42 |
【人】 ミア[ みみもと。 ] [ ……飛び込んだ理由のひとつに、 顔を隠すというのはあったかも知れず。 何せ、はじめて告げた、あの日は何も残っていない。 秘密の声で、きっと、酔ったときに言えれば、 或いは、へびのよな文字で書き連ねれば良い方だ。 ] (452) 2020/06/01(Mon) 1:50:32 |
【人】 ミア[ 誰でもない 何でもない誰かの幕引きは、 童話にも記されていない。 何処かのインクに、微かに痕跡があったと、 何時かの誰かが、見えない未来で語るのだろう。 淘汰されたにんげんのおわりだなんて、 それでいいとすら思っている。 だから、これが、誰も知らない誰かの幕引き。 たったひとりに名を呼ばれた ……蝶々の話。 ] (453) 2020/06/01(Mon) 1:50:48 |
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