【人】 小満末候 麦秋至―― なんだかんだで雪見温泉 ―― 見てください、月が綺麗ですよ! [夜の露天風呂の圧倒的な情景に目を奪われる。 空には丸いお月さまが浮かんでいる。 入り口から湯舟までの道を点々と照らすランプよりも明るいんじゃないかってくらいだ。 月ははっきりと見えるのに、雪がしんしんと降っていて、 その雪も、どこかうっすらと光を放っているように見えた。 雪と月、両方が楽しめるなんて粋な計らいじゃないか。 思わず立ち止まって見いっていれば後ろから風が吹く。寒い。 しっかり服を脱いで、タオル一枚巻き付けてるだけだからね。 手に持っているのは風呂桶と、マジョラムflowerの刺繡が施されたてぬぐいだ] はああ……………… [体や頭を洗ってから湯舟につかると、 すぐに温泉のあたたかさが体中に染みわたってくる。 日頃の疲れなんかも溶けていって、ふにゃふにゃになってしまいそうだ] (231) 2022/01/30(Sun) 17:05:42 |
【人】 小満末候 麦秋至旅に出てから、本当に色々なことがありました。 [わたしはまだふにゃふにゃになっていない口を動かした。 長い話を始めるつもりで。 特別な事件の話をしたわけじゃない。 統治域の名物や名産品に触れた。 路銀を稼ぐためにあぶない仕事以外は色々やった。 優しい人がいた。 そうじゃない人もいた。 本で知っているだけの光景を見た。 知らない光景も見た。 どこかで聞いたことのある歌をうたった。 やがて声は夜空に吸い込まれて消えた] (232) 2022/01/30(Sun) 17:07:14 |
【人】 小満末候 麦秋至……わたしは、世界を知ることでわたしを変えたくて旅に出たんです。 でも、なんでしょうねえ、根っこのところは今も変わってない、って、 今なら言える気がします。 色んなものを見てきたけれど、 今でもちゃんと故郷のことが好き。 小雪域のことを退屈だって言ってしまって、ごめんなさい。 [決めていたのだ。 今度はちゃんと小雪さまの目を見て謝ろうって*] (233) 2022/01/30(Sun) 17:08:47 |
【人】 “観測者” 処暑[ 夕焼けを見ていたらしい彼女が振り返る。>>166 二人、向き合って、それでも私は、名前の他何も言うことはなく、唯、手紙に全てを託した。 ] ……………… [ 手紙の返事は声で返ってくる。 目の前の彼女が微笑むのを、私は唯見ていた。>>167 彼女の友人から聞いたという言葉。どこか懐かしむような彼女。 自分の目で見る彼女は、“観測”するよりも、温かみがあると思った。] ………………………………ええ …………また、貴方の灯宮の番が終わった後にでも、どうぞ [ 彼女の内面を私は知らないから、恐らくどんな内容でも興味深い。 上手く話せないというならば、話してもらえるまで、ずっと待つつもりはあった。>>168 私の所へ来る、と聞いたときは、少し驚いたかもしれない。 彼女が、他の領域へと出向く所を、私は見たことがなかったからだ。 彼女の変化を……興味深く思いながら。それを“観測”出来た事は、私の幸せだと思った。 しかし田園風景を見るならば、今の時期でない方が良いのかもしれない。 少なくとも田は、乾いた土が剥き出しになっているだけであるから。 ……領域内では、関係ない事ではある。 ] (234) 2022/01/30(Sun) 17:41:39 |
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