[友君の言葉は、どんなに温かい言葉も、
消
えてしまう。
フリクションのコバルトブルーを、
黒板みたいに書いては消してを繰り返したから、
紙面はすっかり毛羽だって、よれよれで、
青いインクは染み込んで、少しずつ消えなくなっていく。
SNSだったら履歴が残るのに。
便箋がたくさんあったら、本だってできるのに。
神様が与えてくれたのは、たった一枚のダサい便箋で、
友君からもらった言葉がどんなにうれしくても、
形には残らない。
せめて黒板みたいに頑丈だったら、
ずっとやりとりができたのに、
本当に、神様は残酷だ。
それでも、限られた条件の中でも、
私が臨む景色を、見せてあげられてたかな。]