18:37:05

人狼物語 三日月国


168 【飛び入り歓迎】Hospital of Delusion ー妄執の病院ー【R-18RP】

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【人】 空虚 タチバナ

 
[最初から、

   誘い込んだのは私で、>>1:40
     飛び込んだのはあなただった。>>2:43

  この地の主は私たちじゃない。
  いくら未来を語ろうとも、闇から逃れることなど
  決して出来やしないのだ。>>2:L4

 現実を離れた私たちの自由は鳥籠の中だけにある。]

 
(42) 2022/08/16(Tue) 20:19:14

【人】 空虚 タチバナ

― 彼が目覚めてから ―


[もし彼がすぐに力尽きてしまったなら
 身を清める手伝いくらいはしたかもしれないが、
 そうでもなければ今度こそ抜け出すこともない。

 眠る必要もないこの身で、
 彼の与えてくれる不自由を享受していた。
 どこか遠くで夜が明けるのを待っていた。>>24

  ……起きた?

[時間も音も何の意味も持たなかった。
 彼の心音だけを数え、身じろぎに顔を上げる。
 今がいつなんて分からないけど、
 彼が目を覚ましたのだから挨拶に迷うことはない。]
(43) 2022/08/16(Tue) 20:24:06

【人】 空虚 タチバナ


  おはよ。

[目覚めた彼が窓の外を見る。
 ブラインドの隙間から覗く青色と部屋を染める赤色。
 噛み合わない世界の色が歪な時間を表すようだ。

 彼の胸元から離した耳には彼女の歌が響く。
 顔を近づける必要のない大きさのテレビは
 特別室の名に恥じず、自由に見られるようだった。
 購買で入手したテレビカード>>2:82
 テーブルの上で暇をしている。
 画面に黒いサングラスをかけた人物が映ると
 愛を歌う声も拍手と笑い声に混じっていった。>>25
(44) 2022/08/16(Tue) 20:24:22

【人】 空虚 タチバナ

[彼は私をかれん≠ニ呼ぶ。
 その響きはいつだって名前以上の意味を持たない。
 だから何度だって呼んでほしくなって、
 いつも聞こえないフリをしようか悩んでしまう。
 けれど二度と呼ばれなくなるのが怖くて
 結局はすぐに返事をしまうのだった。なぁに?]

  え……。

[彼は服を着替えながら何てことないように尋ねた。
 今度はすぐに返事ができず、
 エアコンを操作する背中をじっと見てしまった。]
(45) 2022/08/16(Tue) 20:24:44

【人】 空虚 タチバナ


  わたしの、たんじょうび……。

[私が生まれた日。ケーキとプレゼントを貰える日。
 プレートの上には「おめでとう」と書かれていた。
 ずっと昔に忘れてしまった、一年に一回ある日。

 プレゼントが楽しみだったのはいつまでだろう。
 生まれた日が生まれてしまった日に変わったのは
 いつからだっただろうか。

 その日がなければ、誰も不幸にしなかったのに。
 その日がなければ、私が……

 頭の痛みが蘇るようで、慌てて結の背に駆け寄った。
 そう遠くない距離すらゼロにして、
 外で鳴くひぐらしのようにくっつく。]
(46) 2022/08/16(Tue) 20:25:12

【人】 空虚 タチバナ


  …………今日。

[言葉を発したのは無意識に近かった。
 しかし音にしてみると思ったよりしっくり馴染む。]

  今日が、いい。

[誰も望んでくれなかった。
 もしかしたら誰かはいたのかもしれないけれど、
 私にとっては何の意味もなかった。

 いつだって苦しくて、何もかもが空虚で。

 空っぽの自分と口にした人の顔が浮かぶ。>>1:28
 そんなことしなくとも目の前にあったけれども。]
(47) 2022/08/16(Tue) 20:25:34

【人】 空虚 タチバナ

[世界中で毎日たくさんの人が生まれ、死んでいく。

 誰かが死んだというニュース>>2:9は見るけれど
 名前すら覚えられずに過ぎていくし、
 誰かが生まれたなんてニュースに至っては
 特別に選ばれた人しか報道されることはない。

 身近な誰かにとってはその人の生も死も
 意味のあるものなのかもしれないけれど、
 ここにはそんな人、誰もいないから。>>2:*25

 誰かがどこで"死んだ"とか>>2:102
 私がいつ生まれたとか、そういうことは、
 その人にとって大切な者だけが知っていればいい。]
(48) 2022/08/16(Tue) 20:26:19

【人】 空虚 タチバナ

[きっと、彼にとって深い意味はないのだろう。
 些細なことなのか、当たり前のことなのか。
 もし彼が不思議そうな顔をするのなら、
 少しずつ話をするつもりだ。

 まだ、怖いけれど。ずっと怖ろしいけれど。
 過去の私の欠片と彼の手で生まれた私の話を。

 準備も何もできない今を望んだ自身に
 彼はどんな反応を見せただろうか。
 そんな彼におずおずと欲しい物があると告げる。]
(49) 2022/08/16(Tue) 20:26:49

【人】 空虚 タチバナ

[時を離したばかりの結なら
 今日≠ェまだ分かるのではと思ったと告げる。
 現実とはく離したこの場所で、
 いつまで正しい時間を認識できるだろうとも。]

  結のこと、いっぱい覚えていたいの。

[結の誕生日。クリスマスイブ。
 その日がまだ先であることは彼の言葉から理解した。

 いつ死んだかも何年経ったかも覚えていないのは、
 眠ることもなく特別な一日もなく、
 一人きり空虚に過ごしてきたからだろう。

 だからこそ一日だって忘却に奪わせるつもりはない。
 全部ほしい。すべてを知りたい。
 彼に向ける執着は彼の持つ探求心に少し似ていた。]
(50) 2022/08/16(Tue) 20:28:49

【人】 空虚 タチバナ

 
[私たちはきっと、
     空虚を隔てた鏡の向こうにいる。>>1:*45
 
(51) 2022/08/16(Tue) 20:29:17

【人】 空虚 タチバナ

[手を繋いで、闇を絡めて、縛って。
 それでいて様子を伺う視線を見せる矛盾した行動。
 彼は私の願いを許してくれただろうか。

 もし願いが叶うのなら、今日は二人でペンを取ろう。
 テーブルに広げて、狭ければ床でもいい。
 子どもみたいに膝をついて、顔を見合わせて。

 私も話したんだから、と結の話も聞こうとする。
 彼にとって人生が希薄だったことは知っているから
 無理やり思い出を絞り出させることはしない。

 しかし彼の病状を聞くことくらいはできただろうか。
 与えられた余命についても。
 もし内緒にしたければ心に秘めていてもいい。

 そうでなくともカレンダーは空白塗れだ。
 それは歪な二人が永遠で埋めていく余白にすぎない。]*
(52) 2022/08/16(Tue) 20:30:49

【人】 空虚 タチバナ

― 特別個室病棟 ―


[目覚めた彼は自身の状態を確認し、
 様々な感情の混じった表情を浮かべていた。>>59
 寝起きの声もふわふわしているように聞こえる。

 普段と少し違う反応に新しい彼を暴いた気がして、
 彼の複雑な心情とは裏腹にほのかに心が躍る。

 これまでより幼くて、ちょっとかわいい。
 自身にもまた新しい感情が芽生えるのを感じながら
 横目でこちらを見る彼に近づき、頬に唇を寄せた。]

  ……からだ、きつくない?

[この場で彼だけが、未だ正しい時を生きている。]
(69) 2022/08/17(Wed) 6:01:34

【人】 空虚 タチバナ

― 彼が目覚めるまでのこと ―


[欲に塗れた身体を清め、彼の姿を見下ろした。
 ぐっすり眠っているのか起きる気配はない。

 気にすべきは彼のことだけで、
 自分やソファの心配は必要なかった。
 この地を包む強い思いがそうさせるのか、>>2:114
 現世とは違いあるべき過去の姿へと戻っていく。
 この身も既に時間から解放されたモノだ。>>1:*56

 本来なら切り離された存在。交わってはならない命。
 誰よりも近く寄りそうことで、彼も徐々に
 自分たちと近い存在へと成り果てるかもしれない。]
(70) 2022/08/17(Wed) 6:01:56

【人】 空虚 タチバナ


  ……なんてね。よっ。いしょ。

[そんな葛藤は彼が迎えに来てくれた時に
 既に振り切っていますので。むしろ歓迎ですので。
 空いた彼の腕の中にいそいそと潜る。

 冷たい肌が触れたせいか、
 彼の身体が反射的に跳ねるのを感じた。

 冷え切った生者の身体とは違い、
 この肌が熱を滲ませることはない。
 せめて彼が芯から冷え切らないようにと
 暖房の温度だけはしっかり上げておいたし、>>25
 ベッドからシーツを引っ張って来て
 彼の肩を覆うようにかけた。

 自分だけでも服を切ればよかった?
 ……だって、肌が触れ合うのきもちいんだもん。]*
(71) 2022/08/17(Wed) 6:02:47

【人】 空虚 タチバナ

― おはようと告げた朝=@―


[朝≠フ準備をする彼の手が二つのカップを取る。
 多くの味を忘れてしまっていたから、
 ただ、「結と同じものがいい」と答えた。

 結はいつも生者じぶんと同じような扱いをするから
 毎回新鮮な気持ちになる。
 次第に慣れるのかもしれないし、
 彼の方が死を理解して馴染んでいくのかもしれない。

 すべてに新鮮な反応を見せる彼を見守っていると、
 予想外の言葉が飛び出したのだった>>25。]
(72) 2022/08/17(Wed) 6:03:09

【人】 空虚 タチバナ

[いつもと変わらない彼の前向きな言葉。
 いつもと同じ、他愛のない穏やかな構想。
 少しずつ、彼とのいつもが増えていくのが分かる。

 でも、今はそういうことじゃなくて。
 急に背中へくっつかれて驚く声が降る>>61
 その後に聞こえたのは同意の言葉だった>>62
 顔を上げると、いつも通りの彼がいた。

 ただ、気のせいかもしれないけれど、
 瞳に欲望が小さな炎のようにちらついた気がした。
 彼の欲はすべて私のもので、だから、炎も私の。
 気のせいだとしてもそれがどうにも嬉しくて、
 死んでようやく"生まれた"今日に浮足立って、
 素直に願いを口にできたんだと思う>>L7。]*
(73) 2022/08/17(Wed) 6:03:26

【人】 空虚 タチバナ

― はじまりの日 ―


[くしゃりと笑った結>>L8の提案は早かった。
 具体的な案なんてなかったのに、
 瞬く間にすべきことが纏められていく。

 彼の言う通り購買には何種類かの筆記具があったし、
 近くのコピー機には真っ白な紙が残っていた。>>63

 必要な物を入手し、
 途中にちょっと寄り道して戻ってきた部屋には、
 空になったカップがふたつ並んでいる>>64。]
(74) 2022/08/17(Wed) 6:03:53

【人】 空虚 タチバナ

 
  何だか子どもに戻ったみたい。

[色鉛筆なんて大きくなってから触った記憶がない。
 あの子たちもこういう物を喜ぶのだろうか、なんて。
 すっかり結に影響された思考が
 ままごとをした幼い子を思い出させた>>1:87。]

  んー……あれ? え、わぁ。
  結って線引くの上手だね。

[真っ白なコピー用紙にガイド線なんて存在しない。
 定規があればそちらも拝借していただろうが、
 なかった時はケースや他の物を利用するしかない。

 どちらだったとしても、
 結はきっと器用に線を引いたのではないだろうか。]

  少なくとも……私よりは。

[彼の引いた線に比べ、線が歪んでいるのは確かだ。
 ほんの少しだけ悔しそうにしながらも、
 二人で刻≠描く作業は一瞬、
 この地とこの身に宿る業さえも忘れさせてくれた。]
(75) 2022/08/17(Wed) 6:04:39

【人】 空虚 タチバナ

[時間の歪んだ世界において、ひとつ提案をした。
 眠らない夜は一日を終えなくていいし、
 置きたくない朝はまだ訪れなくていい。

 甘やかすようで、すべてを彼に与える重さに
 結はどんな反応をしただろう。

 ふたつめは彼からの提案だったか。
 私にとっては味のしない飲み物だが匂いは分かる。
 インスタントの粉がお湯に溶け、
 湯気を立てる様は決して嫌いではなかった。
 彼が自分のために用意してくれるなら尚更。

 断る理由なんて何もなくて、素直に同意を示した。]
(76) 2022/08/17(Wed) 6:05:56

【人】 空虚 タチバナ

[最後の議題は今日を何日とするか≠セった。
 結も当然自身もここに入ってからの時間は曖昧だ。]

  じゃあ……うーん、17ね。
  今日≠ヘ8月17日。

[適当な選択だったのはどう見ても分かっただろう。
 一列七マスの枠の中、中心の辺りに数字を書く。

 日にちや時間に執着はなかった。
 死んでどれだけ経つなんて数えたこともなかったし、
 誕生日だって祝う人がいなければ呪いの日だ。

 ――でも、理由ができれば話は別。]
(77) 2022/08/17(Wed) 6:06:57

【人】 空虚 タチバナ

[数枚奥のコピー用紙を引っ張り出して花丸を描く。
 それから「むすぶの誕生日」と続けた。
 クリスマスの気配はどこにもない。

 重要なのは今日≠ェ今日≠ナあることで、
 ちょっと先に絶対忘れたくない日があること。

 あなたが私に与えてくれたように、
 私もあなたの”生”に祝福を与えたいのだ。]

  …………ダメ?

[たった一日≠サこらで本質が変わるはずもなく、
 不安そうに彼へ尋ねる。
 答えを待つのも怖かったのか、
 返答から逃げるように立ち上がった。]

  あっ、…… あー、そうだ、そうだ。
  シーツ片づけなきゃ。ね。
(78) 2022/08/17(Wed) 6:09:47

【人】 空虚 タチバナ

[購買へ向かった際の寄り道>>74の成果である、
 近くのリネン室にあったシーツへ手を伸ばす。

 いくら時の歪んだ世界だとしても
 昨夜の惨状を見る限りあって困らないという判断だ。

 拭けるし、包まれるし、敷き替えてもいいし。
 それから、]
(79) 2022/08/17(Wed) 6:10:24

【人】 空虚 タチバナ

[腰に巻いてしまえば、
 彼の言っていた服に見えないことは……ない。

 腰からだからスカートなんだけど。
 全身を包めるシーツが余りに余って
 足どころか床まですっぽり覆っているけれど。

 それでも白いパジャマと合わせれば、
 辛うじて形は成り立つはずだ。]

  あの……ね。
  その、むすぶは……ワンピース、好きなの?

[果たして不安確認の逃げ道がこれで良かったのか。
 全然良くないけどもう後戻りはできない。]
(80) 2022/08/17(Wed) 6:14:57

【人】 空虚 タチバナ

[だって、
 もしそうなら、彼の好きなものが着たい。
 そしてもっともっと夢中になって欲しい。

 彼を夢見た時から>>2:L3
 理由も目的もこれから"生まれる"感情も、
 その全てみらいがあなたのものなのだから。

 周囲の景色みたいにいつか慣れてしまったら>>72
 私、怨霊なの。重くて面倒くさい女なの。
 執着と不安が混じった炎が、瞳の中で死と踊る。]*
(81) 2022/08/17(Wed) 6:15:37

【人】 空虚 タチバナ

― 「刻」を描いた日 ―


[広いテーブルに来客用の茶菓子ではなく、
 真っ白な紙と色とりどりのペンが並ぶ。>>84
 別の紙を用いた器用さを披露した結の手にかかれば、
 よろよろとした私の線も滑らかに紙上を踊った。

 手先が器用なことを知った。>>85
 重ねられた手が私よりも大きく固いことに気づいた。

 「手慣れ」だと言う彼に経験を尋ねようとしたが、
 すぐに思い留まって手元に集中する。
 悔しさも忘れて、「もっとやって」なんて。
 作業効率は落ちてしまうけれど、
 最初からそんなことを考慮する気は欠片もない。]
(101) 2022/08/17(Wed) 22:59:39

【人】 空虚 タチバナ


[過去は必要なかった。
 私たちだけが、私たちの未来を決められる。]
 
(102) 2022/08/17(Wed) 22:59:49

【人】 空虚 タチバナ

[彼の名前がちはや むすぶ≠ニいうこと。
 私の名前がたちばな かれん≠セということ。

 相手を呼べる音があれば、他にはもう何もいらない。
 手先が器用なことだって、彼を蝕む病だって、
 もっと彼が馴染めば気にならなくなる。

 だってそれが、それだけが日常なんだから。

 彼が景色に新鮮さを抱くのと同じように、>>60
 次第に日常に馴染んでいくのだろう。]

  ……あれ。

[そういえば、最後に頭痛がしたのはいつだろう。
 彼と強く触れ合う間だけ止まっていた痛みが
 いつの間にか見当たらないことに気づいた。

 線を引く手を止め、前のめりだった身体を倒す。
 背後に体重を預けて顔を上げると、
 彼の顔がさかさまに見えた。]
(103) 2022/08/17(Wed) 23:00:10

【人】 空虚 タチバナ


  なんか……気分いいな。

[もし、子どもの頃に戻ったとして>>75
 こんな気分になれるはずもない。
 戻りたいとも思わない。必要ない。

 元々印象的な思い出があった訳でもない。
 どうしてだったっけ。どうでもいいや。

 私の死が彼を少しずつ蝕むように、
 彼の考えが私を少しずつ変えていく。
 あなたの手が私を形作ってくれる。]
(104) 2022/08/17(Wed) 23:05:50

【人】 空虚 タチバナ


  誰のせいにもしない……うん。分かった。
  じゃあ私も――わた し、も ……っ、ぅ、あ

  ……――私にも、そうしてね。
  私が結をいっぱい困らせたら……叱って。

[彼に寄りかかったまま一日≠フ話をする。
 一つ目の提案に彼は好意的だった。>>86
 その上でもっと柔軟な考えを与えてくれる。

 過去の私にとって叱責≠ヘ恐怖の象徴だった。
 しかし今の私に過去はなく、
 手に取ったのは結と共にする永遠だけだ。

 だから、お願いする時に少し声に詰まったけれど。
 彼を見つめる瞳に恐怖は微塵も滲まなかった。
 そのせいで彼を𠮟る気が全くないことが
 表情から伝わったとしても、許して欲しい。]
(105) 2022/08/17(Wed) 23:06:16

【人】 空虚 タチバナ

[朝≠フ役目を終えたカップが
 真っ白な底を晒してふたつ、寄り添っている。

 明日≠ヘ何色が満ちるのだろう。
 同じかもしれないし、違う色かもしれない。
 明日のことは明日にならなきゃ分からない。
 それでいいんだ。

 彼の提案に頷いて、
 差し出された小指に己のそれを優しく絡めた。]*
(106) 2022/08/17(Wed) 23:06:59

【人】 空虚 タチバナ

― 8月17日 ―


[白を纏った身体は今、彼の腕の中にある。>>89

 彼の返事も待たずに離れ(と言っても数歩程度だ)、
 腰に回したシーツは床まで広がって
 咄嗟に踏ん張ろうとした足先を掬った。
 結果、一瞬だけ全体重を預けることになってしまい、
 あわあわと彼の胸へ飛び込んだ。

 どうやら私の夢が届けた幻ではないらしい。
 再び天才との評価を受けて>>90
 気恥ずかしさを孕んだ表情を隠すように
 額を彼の左胸へと押しつける。]

  そ、そんなの当然でしょ……だって、

[ワンピース大好き。結はワンピースが好き。
 明日≠烽ワたシーツ探しに行こうかな、なんて
 逸る気持ちを抑えつつ顔を上げて、]
(107) 2022/08/17(Wed) 23:07:40

【人】 空虚 タチバナ

[一番とか特別とか、それも間違いではないけれど、
 二番だって普通だって彼のものだから。
 私の全てが、あなただけのモノだから。

 結の手が肩を掴んで隙間を作り、
 彼の視線が広がる白を見下ろす>>90。]

  ……うれしい。

[もっと見て。もっと夢中になって。
 彼が意味をなくした過去が私をもっと貪欲にする。

 「患者むかち」だった私が、
 「ひとりの女の子あなただけのわたし」に生まれ変わっていく。

 結がまた私を抱き寄せた。
 彼の考え>>L11に気づく様子もなく、
 腕の中でうっとりと目を閉じた。]*
(108) 2022/08/17(Wed) 23:10:35

【人】 空虚 タチバナ

 
[その後、互いの「大切な日」を書き記した。
 割れた窓ガラスが散乱していた。

 私にはあと一つしかなくて、最初の紙を選ぶ。
 ベッドはなぜか抉られてスプリングを晒している。



 名づけの意味なんていらない。苗字も不要だ。
 複数人の足音、指示を飛ばす籠った声。

 彼の呼んでくれる響きだけがあればいいから、
 元より成果が得られると思ってなかったのだろう。

 「かれんの誕生日」と綴った。
 「いません」と報告する声は淡々としている。

 
(109) 2022/08/17(Wed) 23:15:08

【人】 空虚 タチバナ

 
[それから彼が描く絵の美しさを知り、
 毎年多くの失踪者がいる中でも有数のスポットだ。

 かと思えば個性豊かな動物たちに笑って。
 隊員たちは慣れた手つきで捜索を勧めている。

 正直、私はすべて動物側の出来だったけれど。
 とある部屋に入った時、一人が口を開いた。



 いつか思い描いた未来>>2:L1より歪だとしても
 どうしてわざわざこんな所に死にに来るんでしょう。

 幸福な日々が、二人の「刻」を彩っていく。
 足元で踏みつけられた薄汚れた紙が音を立てた。
]*
 
(110) 2022/08/17(Wed) 23:15:29

【人】 空虚 タチバナ



[一日一日を指折り数えるようになった。]

 
(121) 2022/08/18(Thu) 21:11:42

【人】 空虚 タチバナ

[「おはよう」と挨拶を交わし、朝が来る。
 結がふたつのカップに飲み物を入れてくれる。
 最初は三つだった選択肢も、
 備えつけだけでなく、購買の物がいくつか増えた。

 コーヒーのことが多かったけれど、
 空が暗く暑い夏は冷たいオレンジジュースにしたり、
 入道雲の広がる乾いた秋は紅茶を選んでみたり、
 眠れない長い夜の後にはホットミルクを準備したり、
 眠らない夜を求めた日はただの水を交わしたり。

 最初の頃はずっと同じ物を望んだけれど、
 味に鈍い私でも炭酸が楽しめると分かってからは、
 ごく稀にこちらから誘うこともあった。

 別々になんてしませんとも。やです。
 だって彼の感じたことのすべてが欲しいんだもの。

 だからと言って彼に無理強いすることはしない。
 一方が支配するのではなく、互いが望むまま、
 話し合うことができるのだから>>87。]
(122) 2022/08/18(Thu) 21:12:07

【人】 空虚 タチバナ


[それから先のことは決まっていない。]
 
(123) 2022/08/18(Thu) 21:12:21

【人】 空虚 タチバナ

[夜は、二人で日記を書いた。>>-231

 色素の薄い彼の髪色に似た色の表紙。
 これまでなかったはずだが、
 待ち構えたように購買へ現れたものだ。

 カレンダーの枠には入らないことに早々に気づき、
 探しに出かけた時のことだ。
 そのせいで彼が書き込むことがない限り、
 カレンダーには二つの特別な日だけが残っている。]
(124) 2022/08/18(Thu) 21:14:36

【人】 空虚 タチバナ

[日記を書き終われば、暖房をつけて一緒に眠った。

 睡眠が必要なのは彼だけだったけれど、
 冷たくて、寝返りの邪魔もしてしまうけれど、
 それでも私は彼の傍を離れない。

 彼の寝息と一緒に心音を確かめるのが好きだった。
 時折解け、また抱きしめてくれる腕が欲しかった。
 眠らない情熱的な夜も、眠る静かな夜も、
 彼のすべてが私に与えられる幸福を享受した。

 実際そうなのか私が抱く夢なのか分からないけれど、
 彼の鼓動は日に日に弱くなっていくようだった。
 時折私の肌へ彼の体温が移るような気もした。]
(125) 2022/08/18(Thu) 21:15:13

【人】 空虚 タチバナ

 
[まるで――まるで、
 ひとつの心臓いのちを共有するように。]
 
(126) 2022/08/18(Thu) 21:15:47

【人】 空虚 タチバナ

 
[少しずつ、私の死が彼にのしかかっていく。
 代わりに彼の抱えた病は鳴りを潜めていたはずだ。
 現世から解放された時間は正しいものではないし、
 私以外が彼を蝕むのを許すはずがないからだ。

 具合が悪そうな様子はないはずだから、
 彼の身体が弱っているという訳ではないと思う。
 本当は私も眠ってしまい、夢を見ているだけかも。]
 
(127) 2022/08/18(Thu) 21:16:19

【人】 空虚 タチバナ



[遠ざかる心音と共に一日一日を数えている。]*

 
(128) 2022/08/18(Thu) 21:17:56

【人】 空虚 タチバナ

― 0年12月24日 ―


[彼の声>>119に促されて目を開くと、
 見慣れた背景といつもの彼がいた。]

  ん、大丈夫。ありがと。

[相変わらず彼は私を生者と同じように扱う。
 彼と二人過ごすようになって半年近くが経ち、
 戸惑うよりも受け入れることが日常になった。

 視線を滑らせると、日常と違う箇所が目に入る。]
(129) 2022/08/18(Thu) 21:18:15

【人】 空虚 タチバナ

[手先の器用な彼は料理も上手にできるようだった。
 あるいは、半年間の成果かもしれない。
 味見のできない私は彼の隣でお手伝いをする。
 彼ほどではないけれど、多少は成長したと思う。

 その結果の料理が皿に乗り、湯気を立てている。
 ワインクーラー代わりのパスタ鍋は少々大きく、
 ラベルを剥がしたペットボトルの白い頭だけが覗き、
 プラスチックの身体を悠々と氷の海に
 半分浸していることが容易に想像ついた。]

  ……今日、結の誕生日だよ?

[何よりも違うのは私自身だろう。
 景色からもっと近い場所へ視線を戻すと、
 主役より着飾った自分の姿が見えた。

 普段パジャマの袖で隠れている白い腕は露わに。
 反対に胸元は彼が与えた白で覆われている。
 腕を持ち上げて頭を触れば、
 三つ編みの凹凸が指の腹を擽った。]
(130) 2022/08/18(Thu) 21:19:27

【人】 空虚 タチバナ


  結が好きなやつだ。

[彼に髪を纏めてもらうのは初めてではない。
 限られたこの世界で、
 彼は私の想像を超えて多くの思い出を紡いだ。
 望む物が手に入る世界の性質>>-230が、
 彼の探求心を後押ししたのだろう。

 誰かの髪を切ることも初めてだったし、
 朝、頬ずりをすると
 髭がちくちくすることも初めて知った。

 長く、永くここを彷徨っていたと思う。
 けれど、彼と過ごした半年間の方がずっと濃くて、
 毎日が永遠で、あっという間だった。]
(131) 2022/08/18(Thu) 21:19:49

【人】 空虚 タチバナ

[評価を待つように、彼がこちらを見ている。>>120
 どこか緊張したようにも見えるその姿は、
 出会った頃に似た服装をしていた。>>L13

 それなら、足りないものがある。ね。]

  結。

[何度名前を呼んだだろう。
 分からなくなるくらい、彼だけを望み、求めた。
 纏めて貰った髪を崩さぬよう、闇が滲む。

 彼の白いシャツを包んだ黒は、
 最初に出会った時のように彼に上着を与える。
 あの時はサマーカーディガンだったけれど、
 今日の主役は彼だからぴしっとしたやつで。]
(132) 2022/08/18(Thu) 21:20:05

【人】 XX タチバナ

[死を孕み、終わりの境界に立つこの場所で、
 ただ一人、彼の生を祝う。]

  生まれて来てくれて……私と 出会ってくれて、
  ありがとう。

  というか、え、と……褒めてくれるのもありがと。
  ……ふふ、照れちゃうね。

[返事を待ちきれなかった彼が笑うから>>L13
 私もXXを湛えた笑みを贈った。]*
(133) 2022/08/18(Thu) 21:22:36

【人】 XX タチバナ

― 0年12月24日 ―


[死に近づこうとも決して消えることのない命>>139
 ゆらめき、瞬き、微笑む。
 ふと何かに気づいた様子で目の前の彼を見上げた。]

  また……伸びたね。

[物も、場所も、私も。
 ここに在るものはすべて解放されているのに、
 彼の心音だけが未だ正しい時を刻んでいる。

 己の目覚めだけが「刻」を示す中で、
 彼は狂うことなく、順応すらしてみせて
 今、ここに在り続けていた。

 彼が元来持っていた思考>>86
 この地に会っていたからなのか、
 吞み込まれたことで少しずつ変異したのか。

 彼が傍にいれば理由なんて何でもいいけれど、
 私の存在が意味になればいいと思う。]
(148) 2022/08/19(Fri) 0:25:15

【人】 XX タチバナ


  もちょっと切っておけばよかった?

[過去は影になった。
 彼にとっての己の価値を見誤ることはないし、
 彼の好意も素直に受け止められる。照れるけど。

 だから彼へ伸ばした手が拒まれることはありえない。
 躊躇も怯えもなく前髪に振れ、毛先を揺らす。

 少しずつ、結が私を埋め尽くしていく。
 欠片の誇張もなく、彼だけのものになっていく。]
(149) 2022/08/19(Fri) 0:25:27

【人】 XX タチバナ

[しっとりと肌を滑る空気が彼の声>>141で霧散した。
 注いだ黒は材質まで再現することはできず、
 重さも感じさせないまま上着の形で停滞している。]

  ふふ……あは、
  主役はお姫さまだったの?

[珍しくくすくすと声を漏らしながら笑ってから、
 彼に心からの祝福を贈り、願いを受ける>>L16。]

  いるんだよ。
  ずっと、一緒にいるの。

[彼の差し出してくれた手を取りながら返事をする。
 XXの言葉というには陰湿で、
 誓いよりも呪いに近い響きを有していた。

 この場に似つかわしくない温度を持って、
 彼がくれた白を纏い、光の下、花のように笑う。]*
(150) 2022/08/19(Fri) 0:26:04

【人】 XX タチバナ

[エスコートされたのもこんな風に食事をするのも
 "生まれて"初めてのことだった。
 椅子を引かれ、腰かける。
 彼と向かい合ったなら、照れたようにはにかんだ。]

  ちょっと緊張するか……も?

[透明なプラスチックを傾け、赤紫色の液体が流れる。
 丁寧な曲線を描くグラスが浅く満たされていった。
 小さな気泡と仄かに甘い匂いが広がる。

 差し出されたそれを受取ろうと手を伸ばしたが、
 私が得たのは別の物>>L17だった。]
(151) 2022/08/19(Fri) 0:26:16

【人】 XX タチバナ

[花が咲いたのはどの指だっただろう。
 彼が触れたことのない場所などないに等しいから
 いずれの指であってもサイズはぴったりだろう。]

  ……。

[一瞬、言葉を忘れた。
 初めて会った時のように何も返せなかった。
 ただまじまじと手元を見つめ、
 驚いた表情を隠さずに彼の方を向き直す。]

  …………いつ、作ったの?

[最初に出たのはそんな気の利かない言葉だった。
 実際、彼の傍を離れることはほどんどない。

 それなのに気づかなかった。隠されていた。
 彼に関して知らないことがあった。
 不満が炭酸の泡のように、ふつりと浮いて弾ける。

 けれど、それは心地よい刺激だった。
 足りないことがもどかしくて、新しい彼がXXしくて、
 何より彼が与えてくれたものすべてが嬉しかった。]
(152) 2022/08/19(Fri) 0:26:48

【人】 XX タチバナ


  ううん……っ、ううん、 いいの。
  これがいいの。これしかやだ。

[おもちゃみたいなんて言う彼に慌てて首を振った。
 指輪を嵌めた手を抱きしめ、胸元に仕舞う。
 押し当てた手の甲が布の向こうにある穴を感じた。]

  ……うれしい。すごくうれしい。
  ありがとう結。ずっと大切にする。

[このむねに広がる感情を、
 どうやったら言葉で伝えきれるだろう。
 口から出た言葉はありきたりな物ばかりで、
 音の不自由さにもどかしさを覚える。

 うっとりと手元を見つめた。
 細い何かを曲げて作ったのだろうか。
 それなのに指先に何かが引っかかる感じはなく、
 丁寧に作られたであろうことは予想できた。

 彼から与えられた物が私に傷をつけても、
 それもまた悦びでしかないのだけれど。


 今は何よりももどかしさが勝って、
 指輪を贈ってくれた彼の手を捕えようとする。]
(153) 2022/08/19(Fri) 0:27:16

【人】 XX タチバナ


  ……わたしは、何をあげられる?

[邪気を感じさせない穏やかな声で尋ねる。]

  私には、私しかないの。
  でも私はもう全部結のものだから……。

[そう、プレゼント。誕生日には必要な物。
 随分と遠ざかっていたせいで思いつかなかった。
 相手の目を盗んで準備する器用さもなく、
 彼を捕らえた手も反対の手も空っぽだ。

 だって、元々全部あげてるし。
 だって、結が寝ている時も離れたくないし。
 そんな言い訳が頭の中を巡る。]

  教えて、結。
 
[だから、今、ここで。彼の願いを求めた。]*
(154) 2022/08/19(Fri) 0:28:10

【人】 XX タチバナ

― 
芽吹く
=@―


[ネタバラシをするあなた>>155は、
 ごめんねと言いながら笑みを漏らす。
 ――私に滲んだ不満すら受け止めてくれるように。

 左手の薬指にぴったり嵌った指輪を抱きしめる私を
 あなたは見つめて、すべてを映してくれる。>>156
 ――私が抱いた喜びを慈しむように。

 あなたに伸ばし、捕らえた私の手に、
 あなたはそっと優しい口づけを落とす。>>157
 ――私の孕んだ欲をXXしてくれるように。]
(164) 2022/08/19(Fri) 3:19:35

【人】 XX タチバナ

[僅かな間を除き片時も離れようとしなくても>>155
 彼はほんの少しだって嫌な顔をしなかった。

 自惚れた私はどんどん欲深くなるのに、
 彼はすべてを呑み込み、また口を開ける。

 ――確かに、空っぽだったのだろう。
 彼のこころはとっても広くて、
 ちょっとやそっとのことじゃ足しにもならない。
 そんな気がした。]
(165) 2022/08/19(Fri) 3:19:52

【人】 XX タチバナ





[熱が、芽吹いた。]*
(166) 2022/08/19(Fri) 3:20:26

【人】 XX タチバナ

― 
花開く
=@―


[彼に名前について聞かれた時>>159
 一瞬、漢字を思い出せなかった。
 壁に一年分貼りつけたカレンダーを見てみるけれど、
 数ヶ月前の自分は響きだけを残したらしい>>109。]

  手、かして。

[いつかの彼>>158とは違い、
 人差し指の腹で掌を擦り、文字を書いていく。]

  ……んーと。

[最初は花だった。それは覚えている。
 ちなんだエピソード>>1:140>>1:141でもあれば
 思い出すきっかけになるのかもしれないけれど、
 生憎何かがあった記憶がない・・・・・。]
(167) 2022/08/19(Fri) 3:20:47

【人】 XX タチバナ

[名前の続きを書く時、ふと左手が目に入った。

 あれからずっとつけたままの指輪は、
 次第に体の一部であるかのように馴染んだ。
 その……いっぱい動く時はなくさないよう外すけど、
 指が寂しくてそわそわするくらいだ。

 シンプルなシルバーリング。
 頂点には小さな花が咲いていた>>L17。]

  花に……蓮≠ナ、かれん。
  ……が、いい。

[いつかに似た言い回し。>>47
 彼は黙って受け入れてくれるだろうから>>62
 自ら「くさかんむり」を書いた部分を指で擦る。
 指先にインクなんてつけてないから、
 擦ったところで彼の掌が赤くなるだけだ。]
(168) 2022/08/19(Fri) 3:21:36

【人】 XX タチバナ



  本当はこっち……でも。

  いっぱいじゃなくて、ひとつがいい。
  …………あなただけの花になりたい の。

[だから、私は名前を芽吹かせる。
 あなたの前で蕾を赤く染めていく。]
(169) 2022/08/19(Fri) 3:22:20

【人】 XX タチバナ

[恥ずかしいことを言ってしまった気がしたけれど、
 彼はからかうことも咎めることもなく
 蓮≠ノ関する話をしてくれた。>>161

 深い池の泥の中に根を張る、人には少し遠い花。
 けれど一度手にすれば、多くの意味を持つと言う。]

  ……んっ、 ちょ …っと、 むすぶ、

[蓮の話をしていた彼の唇がうなじに触れた。
 触れるだけじゃなくて辿るように唇が動けば、
 死の甘い匂いが綻ぶように香り立つ。>>162

 彼は、確かめるように願い>>158を口にした。]
(170) 2022/08/19(Fri) 3:22:45

【人】 XX タチバナ

[名前の由来なんて知らない。>>162
 生まれて来た意味すら分からなかった。

 けれど、それなら全部決めてしまえばいい。
 あなたの中に、私はすべてを見出す。

 私は左手の小指を立てて、結に差し出した。
 小さな花が窓から差す光に照らされて、
 星のように煌めく。]
(171) 2022/08/19(Fri) 3:23:40

【人】 XX タチバナ

[これは余談なのだが。

 「私も結に指輪をあげたい」と相談し、
 本人に習いながら指輪作りに励む未来があるはずだ。

 きっと彼の物より歪になってしまうけれど、
 何らかの意思が働いているのか
 彼の指から勝手に離れることのない銀色が
 やがて彼の左手薬指を彩ってくれるだろう。]
(172) 2022/08/19(Fri) 3:23:57
 




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