113 【身内】頽廃のヨルムガンド【R18G】
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| 「そうかいそうかい。賑やかが過ぎると、骸狩りのきみはより多忙になりそうだ。」
そういいながら、花占いの言に微笑まし気にへえ、と口元を緩めて身を乗り出した。
「俺はコレ(末小吉omikuji)にしようかなあ」 (@0) 2021/12/10(Fri) 21:32:28 |
| 「………。……どうにも、不思議な……」
聴取だな、と、首を傾げる。
「見た目の怪しさで言えば、よほど君や俺の方が引っ張られるにふさわしい見た目をしているんだがなあ。」
なあ?なんて、冗談めかして掃除屋の青年に声をかけながら、葡萄酒の瓶を傾ける。
「……聴取にかこつけて、見た目の……いや、それだとチェスティーノが最初に目を点けられたかがわからんし」 (@1) 2021/12/10(Fri) 21:34:58 |
| >>2:78 フランドル 「貝になじみがない。魚には骨が。 となれば、蟹」 人差し指を立てて、揺蕩うように笑う酔っ払いだ。 「うってつけじゃあないか、「役者」殿?」 (@2) 2021/12/10(Fri) 21:37:02 |
| (t0) 2021/12/10(Fri) 21:43:14 |
| 「きみが饒舌になると」
溜息を一つ。とはいえ、困った風情でもない。
「いよいよという感じだねえ……。さてさて。いよいよ襟元まで手が迫ってくると、去る準備でもしておいたほうが良いのかなあ、と思うが。スカリオーネ、きみは?ここに骸を埋めるかい」 (@3) 2021/12/10(Fri) 21:48:34 |
| >>10 アイシャ ふは!と笑った。目を輝かせて、 「ごまかし」 続けて。 「上品!はっはっは。いいなあ。実にいい。ありがとうアイシャ。 …………」 フランドルの言葉に、目を伏せて、微笑んだまま。 「…………花売りの手に、シミターなんぞは握れないと思うのだがなあ」 (@4) 2021/12/10(Fri) 21:50:08 |
| >>12 スカリオーネ 「きみのプロとしての矜持には感心する。そこまで人生をかけるに相応しい仕事かい、骸狩りは」 揶揄するよりも静かな口調で続け、どうか、と無言で葡萄酒の瓶の口先をゆらした。 (@5) 2021/12/10(Fri) 22:06:55 |
| >>17 ノアベルト 「泳がしておけばいいぐらいに思われているのかなあ。 まあ、オレは貴族のお歴々の旅先のアバンチュールなんかを彩る仕事をしているものだから。代わりの学士を見つけるまで捕らえられないのかもしれない。 おまえさんも、ちょっと掃除中にいいものでも見てしまったのかもしれないよ」 かっかっか、と愉快そうに笑いながら、足をゆっくりと組み直した。 「あれが、かあ?にしては、その後は随分綺麗所が続く。とはいえ、完全に牢に入れるわけでもないんだから、自分のものにしようという貴族のちょっかいでもなし……。本当に、真面目すぎる貴族でもやってきたかね」 ”〜中央政府から左遷されて砂漠の都市に派遣された俺が無双〜、とでもいったところかな”、などと戯けた事を言いながら、葡萄酒の口先をあなたにも向けた。憂いを掃うため。とはいうが、この男は割といつでも呑んではいる。 (@6) 2021/12/10(Fri) 22:30:26 |
| >>18 エドゥアルト 「酒が、だ。手放せないもの。依存するもの。なくてはならないもの。快いと思うもの。 エドゥアルト、おまえさんも、そういう思い入れのあるものがあるんじゃあないか。ヒトでも構わんが」 ただ、自分が見る限り、特定の相手とずっとつるんでいる、という様子でもない。どちらかといえば”物”かと尋ねてみた。 「フム。……う〜ん、難題だぞ。好き嫌いがない。それは問題だな……。であれば……魔女殿」 貰うぞ、と勝手に奥へ入り、勝手に二瓶の酒を持ってきた。 片方は黒みがかった色合い。 片方は淡い桃色の酒瓶だ。 それを小さなグラスに2つ注ぐ。 「まずは、好き嫌いを確かめてみよう。……蟹なあ。多分あるとは思う。なぜなら、もうキャンサー退治に行った連中もいるだろうからな。俺の地獄耳によれば、だいぶてこずって捕らえてきたイキのいいのが裏のレストランに入った。だから、言えばすぐだ。」 にや、と口の端を曲げて、 「食ってみるか?”踊り食い”で」 (@7) 2021/12/10(Fri) 22:34:07 |
| >>20 フランドル 「俺は演じる必要などない身だとも。素材の味で売っている」 にこやかな笑顔でからからと笑いながら、忘れずに葡萄酒をすすめるような瓶の動きをした。 「だから食うんじゃないか。明日は何があるかわからない我が身。珍品名品の類は記憶しておきたい。君も役者が生業なら、わかるだろう」 経験の重要さ。 新たなるものとの出会いの意味。 (@8) 2021/12/10(Fri) 22:41:55 |
──日は移り、天から差す月明かりが怪しく華やかな都市を照らす。
それが暗い雲に隠れて、都の底にある陰りが差す、そんな時分の事。
「……わざわざこんなところにまで……ご足労、痛み入るわ」
死霊術師の工房に、ガタガタと物音を立てて衛兵が足を踏み入れる。
"何と穢れた居住まいか!"
"これが〈泥掬い〉の根城……"
"吐き気がする……腐肉の匂いだ"
などと騒ぎ立てる、取るに足るほどでもない画一的な装いのそれらに、
皮肉気に口を聞きながらも抵抗をすることはない。
何かの液体が入っていたであろう小瓶を片手にしながら、
自らを取り囲む衛兵をぼんやり……まるで無関心な様子で見やる。
「……どうしたの? 私を連れていくのでしょう?
貴方たちを自由に操れる、腐った脳みその所まで……」
腫物を触るように警戒する衛兵に、不敵な笑みを向けながら言って。
『気味が悪い……何を企んでいるのだ、この反乱分子め……!』
衛兵のひとりが、その手に持った武器で死霊術師を殴打する。
「……っ……別に、何も……?」
打撃の衝撃に小さくうめき声を上げながらも、やはり抵抗はしない。
"もう、そいつは買い換えないとな……"
なんて、別の衛兵は至って真面目な調子で。
──死霊術師の扱いなんて、凡そ、こんなものだ。
その後も、死霊術師は抵抗もせずにそのまま連行される。
それが却って衛兵たちの恐怖や不信感を煽るのか、
拘束された後も理不尽な扱いは止まることはなかった。
そうして連行され、衛兵たちの長であろう人物の前に引き出される。
打撲や擦り傷など、衛兵に痛めつけられた跡がはっきりと残っている。
……この程度、冒険者をしているのなら軽い傷でしかない。
諦念か、覚悟か。
こうなると理解していた死霊術師の瞳に、恐怖や怯えの色はない。
じとり、纏わりつくような視線を目の前の人間に向け、
下賤な優越感に浸るその姿を収める。
『……最初に見つかった反乱分子は貴様か。
〈泥掬い〉ペトルーシャ……
フ、クク……何の驚きも……
感慨も感じられないよ……どうしてだろうなあ?』
「……あなたたちはそんなに恐ろしいのね、
私たちのような死霊術師が。
金貨500枚だなんて、随分と高く買ってくれるのね。
……うぬぼれかしら?」
『いやいや、お上の方々はお前たちのような……
塵芥拾いの事もよく見てらっしゃる。
だからこそ、下賤の者に関わらずに……
真っ先に連れてきたのだ、こうして──』
『貴様……!いったい何処でそれを知った!』
男は酷く興奮した様子でペトルーシャに詰め寄る、それに向けるのはやはり不敵な笑み。
「……やぁっぱり。
貴方たちが人間を墓に埋めてまで隠したいもの、
墓を荒らしてまで見つけ出したいもの……
死に近い私たちには、何だって筒抜け……
だからでしょう? こうやって、私たちが邪魔だから」
骸糾問。
死霊術師であるペトルーシャが行使できる力のひとつ。
物言わぬ死者から言葉を、情報を、真実を。
あらゆるものを引き出すことのできる術。
口封じに誰かを殺して始末することなど、
古今東西、どんな場所でもありうる話だ。
死人に口無し。
黙して語ることのできない死者が、どれほど喚き、騒いだとしても。
それを聞くことのできない生者にとって、それは無いものと等しい。
……ならば、それを聞くことができるものがいるとすれば?
『ほう、そこまで理解しているのなら話は早い。
早くその情報を渡すといい。袖の下も含めて。
私の気分が変わらない内にな。
そうすれば……わかるだろう?
聡明な貴様なら、皆まで言わなくても──』
「お断りよ、腐れ脳みそ」
『…………』
『……残念だよ、〈泥掬い〉
せっかく、身を清める素晴らしい機会を与えてやったと言うのに……』
男は肩を竦めて、何かを取るために後ずさる。
かつ、かつ、靴が床で擦れるような音だけが部屋に響く。
『ああ、付いた汚泥は綺麗に洗い流さなくてはな……穢れが移る……』
手に取ったのは何かの液体が入った瓶。
それは仄かに光を放ち、まるで闇を照らす灯りのようでもあった。
「…………それ、は」
「……まさか、知らないわけではないだろう?
穢れた死霊を清め、焼き尽くし、天に御返しするためのもの
そして、貴様たちのようなものが何よりも嫌がるものだからな」
──〈破邪の聖水〉
魔物に対しても用いられる強力な聖水。
特にアンデッドに対しての効果は覿面で。
扱いを間違えれば生きた人間すらも焼き尽くしてしまう、そんな代物。
じわり、と嫌な汗が噴き出す。
流石の死霊術師と言えど、
これから起こることを思えば、涼しげな顔のままでいるのは難しい。
こんな時は気付かないほうが幸せなのか、それとも。
気付くほうが、気付いてしまうほうが幸せなのか……
死霊術師は、自らの勘の良さを恨んだ、この時ばかりは。
──男が手を振れば、降りかかる聖水がペトルーシャの身体を焼く。
「────────!!」
まるでマンドラゴラのような、声にもならない恐ろしい悲鳴が上がる。
〈匙〉も〈焔喰らい〉もない。
今のペトルーシャに抵抗する手段は、何もなかった。
『まだ終わりじゃないぞ、〈泥掬い〉め。
どれだけあれば貴様の穢れが浄化できるのか……
試してみようじゃないか、ええ?』
男は、中身のなくなった瓶を、そのままペトルーシャに投げつける。
それに対して小さな呻き声を漏らしたかと思えば。
すぐに次の清めに打ち消されてしまう。
それは、喉すらも、焼けてしまいそうなほどに続いた。
──何度も繰り返される絶え間ない責め苦の合間。
ぼそり、ぼそり、と口を開いて、亡者の喚きのように呟いて。
「…………滑稽、ね」
「……私が、こうなると理解してて、何もしていないと、思ってるのなら」
どういうことだ、と清めの手は一度止まり──
「ふふ……!あははっ……!
実はね、教えたのよ……私の他にいるの。
貴方たちが知りたい秘密、知られたくない秘密……
なんでも知れちゃう方法……それができちゃう、冒険者……」
気を失ってしまいそうなのを必死に堪えながら
それは誰だ、と問い詰める男に対し不敵に笑って……
……その顔面に唾を吐きかけた。
「……教えるわけないでしょ、腐れ脳みそ」
「……眠れぬ夜を過ごしなさい。
墓に埋めようと……過去は追いかけてくるもの」
その言葉を残して、ペトルーシャは意識を失う。
これ以上は、政府の名目も潰れてしまうかもしれない。
男は部下に命令させ、あの首輪を持って来させる。
気を失った死霊術師は物々しい首輪を装着され、
乱雑に引き摺られて留置所に放置されることになった。
まるで塵芥のように。
同じような目に合った者たちとひとまとめにされ、
受けた傷の手当もロクに受けさせられないまま……
その夜、今まで見た夢の中で一番気味が悪く最悪な夢を見た。
──時間は移り、だいたいお昼くらい。
「…………」
酷く痛めつけられたペトルーシャが酒場にふらりとやってきた。
物々しい首輪を装着され、その顔は焼け爛れた醜いものとなっている。
「……最悪の夢見だったわ」
しかし、第一声はこれだった。
皮肉にもそれが、彼女が疑われる理由となってしまったのかもしれない……と思った。
いつもの席に忘れ物をしていた。空の椅子の上に赤いリボンがちょこりと乗っている。
「そこの男連中と一緒に踊らされる夢」
と、酒場にいる面子の何人かに視線を向けた。
「…………悪夢だったわ」
アイシャの姿を見た。こんなことをしていても、あなたには……
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