167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】
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【灯台】
夜の帷がいざ上がろうという頃、
灯台の最上階に人影が二つ。
そこで交わされたものを知るのは、
当人たちのみだろう。
【バー:アマラント】
表通りからは離れた路地の一角、
隠れ家のような入り口。
石の階段を下った先の木の扉。
下げられたプレートには『CLOSED』の文字だけ。
明かりのない店内、カウンターの片隅には、
少し萎びかけた数本の花。
本名:ジェロラモ・ロトロ(Gerolamo Rotolo)
死因:頭部を銃弾で撃ち抜かれたことによる失血死
発見場所:灯台の最上階
遺体の様子:未発見。
銃による出血の痕跡、
及びロッシと書かれたネームプレートのみ。
本名:シルヴィオ・モレッティ(Silvio Moretti)
死因:頭部の銃創による脳挫傷、出血死
発見場所・遺体の様子:
人気の少ない路地裏で額から出血している状態で発見される。
アウグスト・グエッラの殺害に使われた手法と酷似しているが、現在は同一犯よりは手口の模倣の可能性が高いと見られている。
本名:ロタール(Lothaire)/孤児のため姓は不明
死因:心臓部を銃弾で撃ち抜かれたことによる失血死
死亡したときの状況:
大通りより一本入った裏路地にて、倒れた状態で発見された。
拳銃で心臓を貫いた弾丸が一つ。この一撃が致命傷となった模様。
【自室】
主を失った部屋には、ほんのりと煙草の残り香。
家具は最低限のもののみが置かれており、殆ど物が置かれていない。
使用感のあるものと言えば、黒のテーブルに置かれた灰皿。
そろそろ捨てるべき量の吸い殻と灰が積まれている。
その脇には、写真立て。
写真には、3人の子どもが写っている。
笑顔の男の子に、少し困ったように笑う男の子、そして、口元をへの字に曲げている男の子。
並んで撮影をした時の、少し古くなった写真だ。
そして、ベッド脇のサイドテーブルに、書きかけの便箋。
何の色のもついていない、シンプルな白のそれに、汚い文字がいくつも並んで、塗りつぶされて。
床には書き損じの便箋がいくつか転がっている。
ちらりと見える内容は、仕事に対するメモ―――あるいは、アドバイス。
結局まとまりきっていなかったのだろう。
この数日で書き上げるつもりだったのかもしれない。
しかし、この部屋に主は戻らない。
この部屋にあるものが、主の手によって何かを為すことはもう二度とないのだ。
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