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【人】 『弥勒組』若頭 弥勒八咫朗────バシャ [突如頭から浴びせられた冷水に、我に帰った。 なんだか、随分懐かしい夢を見た気がする。 夢は覚めたら忘れてしまう常に漏れず、当時は目覚めた直後にはもう詳細を覚えていなかったものだが。 乱暴に前髪を掴んだ手に、強引に上向かされた顔の正面の、汚い顔を見て現実に引き戻されたところで、今回は同じ夢の内容を割合はっきり覚えていた。 ただ一つ、相手の姿と名前を除いて。 ]ご挨拶だな。 三下は、客人のもてなし方も知らねぇのか? [歯を見せて嗤えば、一瞬だけ怯む気配。 次の瞬間には、殴られる。 椅子に括り付けられた身体では受け身も取れず、椅子諸共と吹っ飛ばされる羽目になるが、こんなモノは慣れた痛みだ。 それよりも、久しぶりに見た夢の方が気になる。 はっきりと思い出されたのは、胎内に焼き付けられた、快楽の記憶。 夢にしては、あまりにリアルな。 走馬灯でもあるまいし。 アレは、死にかけた人間が、記憶の中から生き延びる術を必死に探すためのものだから。 何もかもが、間違っている。 深い深いため息をついたら、イラついた気配がびくりと揺れた。 だからテメェは三下なんだ。] (37) 2020/02/11(Tue) 23:10:50 |
【人】 『弥勒組』若頭 弥勒八咫朗 親爺が危篤の時によォ… タイミングは、選べや! [選んだからこそのタイミングなのだろう、実際は。 ただ、ひたすらに俺の虫の居所が悪かっただけのこと。 憐れなのは三下の方だ、だが、慈悲はない。 俺は、年下に だけ は甘ぇんだ。ばらりと解け落ちた縄に驚く間も与えず、俺はコンクリートの床に手をついてそのまま鉄板の入った踵でそのまま三下の顎を蹴り上げた。 骨の砕ける感触は、なかなか慣れるモノではない。 人体の急所は正中線に寄っている、顎を蹴り抜かれた男からハジキを奪って破裂音を数度、同じ数の人体を積み上げ一息。 顎を砕かれた男にその切っ先を突きつけて、ニンマリ嗤ってやった。] (38) 2020/02/11(Tue) 23:11:11 |
【人】 『弥勒組』若頭 弥勒八咫朗 ほら、言えよ。 言やぁ撃たずにおいてやる。 親爺の酒に毒盛りやがったのは… ……どこの組のモンだ? [顎を砕かれた男は、涙目で首を横に振る。 本当に、知らないのかもしれない。 だがそれも、知ったことか。 破裂音の代わり、殴打の音が一つして、三下の体が横なぎにぶっ倒れた。 バタバタと、複数の足音が近づく気配がする。 バタン、と乱暴に開く扉に振り返り、俺は笑った。] 遅かったなぁ、テツ。 わりぃ、ちとやり過ぎた! [アニキ無事で何よりっす、オヤジも峠越えましたぜ、てかアンタまたですか、自分でどうにかしようとしねェでくださいよ、オレら形なしでしょ、もぅ、あとはいつも通りどうにかしときますんで、アニキはさっさとずらかってください、もうヤツらそこまで来てますよ。] (39) 2020/02/11(Tue) 23:11:37 |
【人】 『弥勒組』若頭 弥勒八咫朗 わりぃわりぃ、んじゃ後頼むわ。 [きっと、また俺の代わりに誰かが塀の内側へ行くことになる。 本当は俺が大人しくしておけばいいのだろうが、与えられた名が俺にそれを赦さない。 導き手たれと、太陽の化身、大鴉の名を親爺に貰ったあの日から。 小汚いガキだった俺が、路地裏で太陽に拾われた日から、俺はいつだって連なるヤツらを引っ張って飛び回る。 それが、俺、弥勒八咫朗の………] (40) 2020/02/11(Tue) 23:12:17 |
【人】 『弥勒組』若頭 弥勒八咫朗[人目を避けるように、襟を立てたコートとサングラスと目深に被った帽子に身を隠し、足早に抜けようとした路地の向こうに、駆け抜けた横顔が、一瞬だけ見えた。] (41) 2020/02/11(Tue) 23:12:46 |
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