[さて、あれから同性婚について色々調べてさ。

海外で同性同士で結婚する場合
結婚許可証？とかそういうのを発行して貰う必要があって
なんやかんや手続きがいるみたい。
まあそこまでしても日本で効力はないらしいけど、
結婚したってことは公的に残るんだとか。

め、めんどくせえ〜〜〜〜〜〜って正直思ったけど
まあ俺もね、やるときはやりますよ。
あ、ちなみに式する時はタキシード着たい！とは言いました。
俺が着たいっていうか要のを見たい。

まあでも式挙げる前に旅行かなー。
せっかくだし１週間くらいは滞在しようぜって
あれこれ予定の調整とかしてた、そんなある日。]

なんかさあ〜〜あれこれ見てると
どれがいいのかよくわからんくなってくるよなー。
お前どれか気に入ったのあった？

[お互いの誕生石のピアスと
付き合って間もないころに貰った指輪。

あれはずっと身に着けてるんだけど、
左手に嵌める時のやつは
一緒に選ぼうぜって言ったのも覚えていて。

どういうのがいいかなって選ぶべく
休日に店をはしごして物色していた。

俺的にはブランドとかそこまで拘りないし
女の子と違ってでかい宝石とかはいらんし。
歳食ってもつけるものだからさ、
シンプルなやつのがいいかなとは思うんだけど。

いくつか店員の対応が良かった店と
俺的にいいかなって思ったやつをピックアップして、
喫茶店で休憩しながら要に見せたりして。]

そーいやさ。
ぼちぼち要んち挨拶しに行きたいんだよな。
何だかんだ行きそびれてたじゃん。

[要は報告したところでふーんで終わるって言うので
俺もまーいっかなーってなってたところあるんだけど
なんだろな、向こうの反応云々って言うよりは
一種のケジメみたいな感じ？
特に反対されなさそうなら気楽っちゃ気楽だし。

要がどんな人に囲まれて育ってきたのか、
単純に興味もあるしさ。
アイスティー飲みながらそう切り出してみたんだった。**]

そうそう。その、手続の多さが。
我らはマイノリティーなんだなって実感させられる。
普通に好き同士が暮らしてりゃ良いと思うんだけどな。
責任だって、全てに関しての委任状で済むんならそれも考えなくはなかったけどそれはそれで面倒で。
んでもって、やっぱり結婚って形は憧れる。
みんなに認められてるって気がしてさ。
育夢に認められてるだけで良いじゃんって？
いやいや、育夢だってみんなに認めてもらいたいじゃん。俺としては。
　
　
「まあ、タキシードは着るかな。
　あんまり男のは種類もないしなあ、ドレスに較べて。
　王子様っぽいやつもあるけど流石になあ。
　MtFってわけじゃないから、今回はドレスはパスかな。
　指輪は、俺は内側に刻印は必ずするとして
　それ以外はあんまり？」
　
　
良さそうなところ。
>>1育夢がピックアップしてくれたところは俺も気に入ってるからそれで良い気がする。
指輪は結婚指輪はシンプルな方が良いとも思ってるし、今の指輪もあるけど重ねてつけるつもりはあんまりないからシンプルかつ良いものを選びたいな。
社会人だし。学生時代とは資金も違う。
そんなふうに喫茶店で話してて。
　

　
「え〜、まあ良いけどさ。
　俺んち、女四人男三人兄弟で先ず数多いし
　一先ず会うのは俺の両親だけでも良いかな？
　姉貴二人は遠方に嫁いでるし。
　両親だけでも、あっちこっち人に呼ばれて出歩くの多いから
　予定合わせるので一苦労しそうだし。
　そもそも、話では男と付き合ってるのは言ってあるよ。
　家から出る理由でさらっとな。」
　
　
まあ、結婚するつもりなら改めて俺も育夢のとこに挨拶必要かな？
なんだかんだ、育夢の兄貴に許されてない気はしてるし。
アイスコーヒーを飲みながら、そんな風に首を捻る。
ちなみに両親の反応は「へ〜」だった。
　
人脈オバケ、いろんな人が知り合いにいるためにそう言うこともあるだろうの範囲が広すぎるのはある意味ありがたい。
否定されない、その一点で。**
　

[マイノリティを実感するっつったらあれよな、
指輪選ぶのにしてもそうなんだよな。
やっぱ結婚指輪扱ってるような店に
男二人で入ると片方連れかなんかだと思われるみたいで
そこでまず躓いちゃったりしてさ。

まー俺はもともと割と図太い性格だから
それで堪えるとかはなかったけど
要はずっとこんな感じで生きてきたんだなあと
ちょっと思いを馳せたりもしてた。]

[んで、微妙な反応だったところを除外して、
その中でデザインが気に入ったのをピックアップすると
そこまで選択肢は多くない。

じゃあこれかなあ、って選んだのは
結局定番大手ブランドのシンプルなシルバーリング。
裏に刻印してもらえるやつな。

生活費なんかは二人で折半してるとはいえ
所詮社会人なりたての若者だし、旅行資金も要るし。
そんなに予算が潤沢にあるわけじゃないけど。
でも一生大事にするものだって思うとちゃんとしたのを選びたいよな。

式の話も、そんな感じかなあって相槌打ちながら
ずずっとストローを啜って。]

あー、別にそれで構わんけどさ。
じゃあ日時決まったら教えて。
まあ機会あったら紹介してよ。他の家族にも。

[忙しい両親ってのは知ってるし、
そんな大人数に集まってもらうのも大変そうなので
要の提案に同意する。
ゆくゆくは要のきょうだいにも会ってみたいけど、それはぼちぼちな。

ちなみにうちの家族についてだけど。
式挙げようと思うんだけどさ〜ってのは
こないだ実家帰った時に話した。

要がウチに挨拶来た時から月日が経って
この件には不干渉貫いてた親父も
時々「上手くやってんのか」くらいは聞いてくるようになって、
ある程度受け入れモードにはなってたんだけど
案の定というか流石に驚かれたよねー。]

[まあでも、唐突に男と付き合いますって連れてきた時点で
親ももう若干諦め入ってるのか、
お前はもう好きにしたらいいんじゃないか、みたいな感じだったし
母さんやキミちゃんは何だかんだで海外来たら
楽しんで満喫しちゃうんじゃない？とか思ってるし。
父さんもそれに引きずられて丸め込まれちゃいそうだし。

……ただ、兄貴…兄貴な〜。

家出てからはマジでお互い接する機会なく
平和にやってたんだけど、
その話した時ちょうど兄貴も帰ってきててさ。
ちょっとひと悶着あったっていうか。]

[「結婚って…子供の遊びじゃないんだぞ。一生のことだってわかってんのか？」から始まって、
皆こいつに甘いんじゃないかとかなんとか、
あれこれ難癖つけるもんだから、

なんつーかもうこいつ俺にケチつけたいだけじゃん！？
俺が気に入らねえのは100歩譲ってまあいいけど
俺と要の何が分かんの！？ごちゃごちゃうるせー！って
罵り合いのマジな喧嘩になりまして。
この話は要にしてねーんだけどさー。

その場は母さんが仲裁して一応収まったけど、
こんなんあって気まずいままだから
どーしたもんかなって思ってはいる。
あと要と兄貴絶対相性悪そう。
主に兄貴の側が一方的に渋い顔しそう。

…って、まあそれはいったん置いといて。]

[要が予定調整してくれたら、
俺もそれなりにパリッとした格好して（髪は染めたままだけど）
手土産もって弥勒家に挨拶しに行ったかな。

家族の反応がどうであれ、
要の実家行くってことに俺は割とうきうきしてて
お前の部屋ってどこだったんーとか言ってたと思うけど。**]