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人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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視点:


【人】 小夜啼鳥 ビアンカ

【街中】

女がひとり、さんざんに人々の靴底で削り取られた石畳を
さらに踏みつけて歩いていく。

大きく広がったフレアスカートは
ストッキングに包まれた女の細い足にときたまぐるりと絡みつき、
浜の真砂のようにさらさらと解けてまた広がる。

手に持ったままの傘で顔の上半分を覆い隠すようにして、
喧しいファンファーレの雨を払いのけた。

「これだから、マフィアは嫌い」


傘の天蓋は、女の視界を覆い隠す。
内で呟かれた、そんな言葉も閉じ込めて。
(8) 2022/08/08(Mon) 22:56:13
 
「近頃は、随分と」

祭りに華やぐ街の喧騒。
時折紛れ込む雑音。
その音は鼓膜を揺らさない。

「幻聴がひどいな」

在り得ざる残響は真実のものではない。
否定的な言葉も、肯定的な言葉も、何れも幻聴でしかない。
そうでなければならない。

「だが、あんたの声だけは聞こえない」

「もしも漸く全てが正しくなり始めたなら……」

酒、異性、熱狂。



少々口を滑らせるくらいなら薬に頼らなくていい。
このどれか、もしくは全部を浴びせれば良い。

そうして得たものを流すだけでちょっとした小遣いになる。
大変有難い事に。

罪悪感が全くないわけではない、が。



ただし、



バレる訳にはいかない。決して。
万に一つでもこの小遣い稼ぎがバレた。

その時は――

【街中】

祭りの影響か、どこもかしこも賑やかな喧騒に溢れている。
さざめき行き交う人波を眺める少年は、どこか所在なさげに息をつく。
スニーカーのつま先が、トンと石畳を蹴った。

口元の笑顔は標準装備。余裕ありげな表情に大きな身体、仕立てのいいスリーピーススーツ、磨かれてぴかぴかと光を照り返す革靴。羽織った外套を風に踊らせ、肩で風を切って歩く男は、まあそれなりに目立つ方。

君はため息をついて、足元に目を向けたのだろうか。

「君、一人?」
「子どもが一人で​────迷子かい。どう、良ければ僕が保護者に」

俯いていたならぴかぴかの革靴が、顔を上げていたなら柔和な笑顔が、その目に映ったことだろう。


夜半。暗い路地裏を、硬く、鈍く、重く、靴底が打つ。
祭りの喧騒の裏側で、葬列が墓場を歩むように、ただ粛々と。

「──掃除屋が死体を作るなんざ」

「世も末だと思いませんか、あんたも」

答えは返らない。
端から答えを求めてもいない。
見下ろす眇目には、生者への情は無い。

「……家族が?へえ、そりゃ知らなかった…」



「で、あんたが浅はかな事仕出かす前に
 顔を思い出せもしなかった程度の家族が、何だって?」

──乾いた銃声が、ひとつ。