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人狼物語 三日月国


47 【半再演RP】Give my regards to Jack-o'-Lantern【R18】

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サラリーマン 葛西 聡は、メモを貼った。
(a3) 2020/10/21(Wed) 11:24:39

【人】 サラリーマン 葛西 聡

[何だその生温い笑顔。
思ってたのとなんか違う。

娘を諭す父親が見守りの姿勢に入ってしまった。
ちょっと遠回しにし過ぎただろうか。
『きみだから』とか『きみだけだ』とか
ちょっと含みのある感じで言った方が良かっただろうか?
適度に騙されて勘違いをして欲しいだけだから
如何にもさじ加減が難しい。]
(3) 2020/10/21(Wed) 12:57:49

【人】 サラリーマン 葛西 聡

[まぁその辺の微調整は追々、と丸投げにしたのは
まだ帰るつもりがなさそうだったのもある。

買いに行って戻った飯食ってその後如何する気なんだろうか。
あんまり考えていないんだろうな。
少しでも傍に居たいとか離れがたいとか
考えていたらちょっとかわいい、なんて
浮かれた頭で考える。

此方としてもちょうどいい。
なぁなぁのまま別れて週明け会社で
なんとなくよそよそしくされたら
俺とこいつのやりとりを娯楽にして観察している連中に
明らかに良からぬ憶測をされるに違いないし
なんならガチ勢の同期が沸いて
鼻息荒くこいつに詰め寄るかもしれない。

こいつはどうだかしらないが。
俺は男を抱いただなんて会社の誰にも知られたくはない。
女を抱いてる事実すら悟られないようやってるつもりだ。
男も女も酔えば見境なしなんて印象が独り歩きするのは
流石に避けたい。絶対に。]
(4) 2020/10/21(Wed) 12:58:02

【人】 サラリーマン 葛西 聡

[考え事をしながら食事の支度を始めれば
断る隙を奪ってしまう事になっていたなんて
特に気付かないまま手癖で作業は進んでゆく。

後ろをうろついてるのが餌を心待ちにしてる犬じみてて
なんだかちょっと楽しくなったので
サラダのトマトを毒見に口元へ差し出してみたりする。
角切りにしてアボカドと一緒に
レモン汁とオリーブオイルとクレイジーソルトを
目分量で混ぜただけのやつだ。
毒見が必要なほど奇抜な味になりようもないので
どちらかといえば毒見が口実の餌付けかもしれない。

なんかたのしい。
この気安い空気に浮かれている自分が居る。

誰かの前で、肌着のシャツ一枚にパンツのだらしない姿で
台所に立ってるなんて可笑しな気分だ。
昔付き合ってた女にだってやってないし
友人相手にだってない。]
(5) 2020/10/21(Wed) 12:58:56

【人】 サラリーマン 葛西 聡

[渾身のウィンクを完全に見てた癖に
ちょっと笑われたうえ目を逸らされた。
はい死んだ。見事に致命傷です。
おめでとう、御門は犬から鬼畜生にレベルアップしました。
死に晒せくそが。

しかし羞恥心をかみ砕いて呑み込むくらいできる
いい大人なので即死は免れた。

何か手伝わないと手持無沙汰な様なので
ポットからお湯を注ぐだけの珈琲作成を任せて
その間に鍋とフライパンだけ洗っておく。
待ってた訳ではなく調理中の空き時間や
食事の前に片付けるのが普段通りなだけである。

雑な男の手料理を前に感慨に耽っていた犬が
急に真面目な顔でこき使われることを志願するから
ぬるいコーヒー牛乳を啜りつつ何事か考えて
パンを一口齧ったあたりで、ふと
ああ手料理は嬉しいものなのかもしれないとふと気付く。

ほんとおまえ俺の事だいすきね。
甘くない方のパンと一緒に噛み締めて、
少しだけ満たされたような気持になる。]
(6) 2020/10/21(Wed) 12:59:49

【人】 サラリーマン 葛西 聡


 うん?多かった?
 食べきれなかったら無理せず残していいからね。

 僕、昼は割と雑になりがちなんだよね…
 なんなら菓子パン一つ二つ齧って終わりとか。
 その分朝はに詰め込んでおこうかなぁと。


[ポテトサラダ以外たいして手を加えていないから
失敗もないがそれ以上もない諸々を
随分と幸せそうに食べるから
つられてこっちの口元もにやけそうになる。

やっぱりいいなぁこの、同じ重さの感情っていう見返りを
特に求められてない一方的な好意。きらくで、きもちいい。]
(7) 2020/10/21(Wed) 12:59:56

【人】 サラリーマン 葛西 聡

[洒落てたり流行りだったりのBGMを流す習慣もないから
適当にテレビをつけて朝のニュースを聞き流しながら
如何でもいい話をする。

昨日の夜のことなんて何にもなかったみたい空気が
気楽で、心地良い。

昨日俺に抱かれた癖に。
彼女面しないのがじつにいい。

6個入りをどの割合で消費したか知らないが
シーツがイカ臭くなってないあたり
抱かれたこいつにも使ってたんだろう。
或いは指突っ込むのに使ったりするのか?

……食事時に考える事じゃないなぁと思えば思う程
変に思考はそっちに偏って行く。

スープを口に運ぶスプーンの行方を追いかけて
あの口にしゃぶらせたりしたんだろうかと考える。
薄そうな頬を俺のちんぽの形に膨らませて
息苦しさに眉を顰めながらもうっとりして
鼻息荒く興奮してる目の前の男の顔を夢想して……

……一瞬ムラっときた気がしたが
多分きっと気のせいだと気付かないふりをした。

キスとか、したんだろうか。どんなふうに。
思い出せない感触を夢想する。] 
(8) 2020/10/21(Wed) 13:00:23

【人】 サラリーマン 葛西 聡

[やってくれると言うので皿洗いは任せて
ゲロくさい便所の掃除にいそしむことにする。

調理しながら片付けもある程度してあるので
洗い物はそう多くないし
男二人缶首揃えて皿洗いをする程うちの台所は広くない。

ゴミ袋を取りに顔を出す傍ら
そういえば今日が土曜なら明日返却のDVDがあったなと
思い出してリモコンを弄る。
洋画のアクションものでそれなりに有名なシリーズの何作目か、
思い出せないが視界の端に流れていても
誰にとっても別段不愉快な光景はないだろう。たぶん。

デッキに入れっぱなしの洋画が再生されるのを
前回寝落ちたところまで戻そうと探して
選んだチャプターは戻り過ぎだったので
まぁいいかとそのままニュース代わりのBGMにしておいた。
そのうち目当ての場面まで進むだろうとリモコンを放り投げた。

寝落ちる手前の記憶に残る場面に進んだ辺りで
掃除を切り上げ戻ってくる。

今回のヒロイン役の女と主人公の男が
ちょっといい雰囲気で絡んでる光景をぼんやり眺める。
海外モノは普通の映画でもわりとエロいキスをするし
抱き寄せてからだをまさぐる手付きが
あからさまにいやらしいんだよなぁなんて考えながら]
(9) 2020/10/21(Wed) 13:00:55

【人】 サラリーマン 葛西 聡

[なんとなく、
ほんとうになんとなく、無意識に。
同じ部屋にいる男を思い浮かべていた。]
(10) 2020/10/21(Wed) 13:01:05

【人】 サラリーマン 葛西 聡

[あんなふうに触れたんだろうか。
腰を押し付けて、身体を撫でまわして。
粘膜を擦り合って、
唾液の味を混ぜ合わせるみたいなキスを。

こいつと?

如何にももやもやする。ちがうな、ムラムラする。
多分3発はヤってない。
それだけ出してたらこうはならないと思う、多分。

特に嫌悪感を感じないのは自覚済みだが
男に興奮する趣向はなかった筈だ。

筈なのに。
俺の事を好きなら一度抱いたんだ、もう一度くらい…
望んだら喜んで股を開くんじゃないのか?
なんて、割と最低なことを考えてる。男相手に。

望めばぶち込める穴がそこにあるなら
朝っぱらからもう一発ヤりたいような気分だった。
だって覚えていないんだ。
愛情を証明して見せろと恐喝してくるんじゃなく
俺の事を好きでたまらないって顔してるやつを抱いたのに。

感覚も表情も交わした言葉も、なにもかも。]
(11) 2020/10/21(Wed) 13:03:24

【人】 サラリーマン 葛西 聡

[一度抱かれたくらいで彼女面をする女を
あんなに面倒くさがっていたくせに
一晩抱いただけでもう自分のものみたいな気分でいる
自分への違和感に戸惑う。

週明け会社で可笑しな空気にならないように
適度な距離感を確立するなんて考えは
もうあんまり頭に残っていなかった。

手首を掴まれた体温を思い出す。
そう力は入っていなかったけれど
あの時誘えばもう一発いけたんじゃないかと思う。
無かったことにしたい訳でもなければ
ワンチャンもう一度ないかとあいつだって思ってた
ような、気がするんだが…

それ以降全然そんな気配ないんだよなぁ、と
溜息を零して。

……少し残念がってる自分を自覚した。
抱ける気は微塵もしなかったくせに抱きたい気分になっている。
なんだそれ、って自分で自分に突っ込んで……

どうせ通じやしないだろうと欲を孕んだ眼差しで
その辺に居たやつを嘗め回す様に眺めてやった。
なんか、わりと、いけそうな気がする。してきた。
けれど男の誘い方なんてこれっぽっちも知る筈がなかった。*]
(12) 2020/10/21(Wed) 13:06:45
─空白の時間─

[最初は二人きりじゃなかった。
別部署の俺の友人と彼の知り合いとが顔見知りらしく
軽く一杯ひっかけた二人にそれぞれ別々に誘われて
居酒屋で鉢合わせて四人で飲み始めたのが、最初。

早々に俺がトイレに籠城することになったのは
酔払いが俺の薄いウーロンハイに何かの原液を混入したせいだ。
ウォッカをかぱかぱ水のように空けてた俺の友人か
ずっと泡盛を舐めてたあいつの友人か
犯人は二人のどちらかだと思う。たぶん。

不在の間に同じように酔わされたのか
いい具合にふらふらしてるあいつが用を足しに来て
小便の音をぼけっと聞いてるあいだにまたえずいて。
声で気付いたのか誰であろうと心配したのかは知らないが
あいつが個室を覗きに来た辺りから

たぶん、何かが、可笑しくなった。

如何にも上手く吐けなくて吐き気を持て余して呻いてる俺が
あいつの目に何か可笑しな具合にうつったのか
はたまたいつも通りにねちっこむ触れてくる掌に
俺の頭が誤作動をおこしたのか。

涎でべとべとの唇が気付けばあいつのと重なってた。
手を伸ばしたのがどっちだったか
唇を奪ったのがどっちだったか、
その辺は実に曖昧だった気がする。]

[胃の中身をかき混ぜられてるみたいな不快感が
触れ合う粘膜の心地よさとごちゃ混ぜになって
変にぞくぞくと腰が痺れた。
上手く立ってられなくて、狭いトイレの個室の壁に
あいつの体を押し付けるようにして凭れ掛かった。

気持ち悪いとキモチイイが混ざって
ちょっと訳が分からないくらい興奮していて
抑えつけて、もっとと強請ったのは多分俺の方だったと思う。

次第に深く絡まる口付けに舌の根元を舌で擽られたことで、
漸く胃液が競り上がってきて今迄懐いてた体を押しのけた。
今しがた詰めたばかりでちっとも消化されてない諸々を吐き戻したら
漸くすっきりしたのとなんだか可笑しくなったので
笑い出した俺はもう完全に出来上がっていて。]


 なぁ、みてくれ。
 ふふ、いまので勃った。

 …っ、はは、なんだこれ。


[バグった自分の股間が面白くて。
ちょっと面白いものを共有したくて告白すれば
膨らんだ股間を見下ろすあいつの眼差しが
やけに熱っぽくみえて……
事実どうだったかなんて知らないが
酔払いの俺にはそうとしか見えなくて……]

[かちりと、音を立てて。
完全に、可笑しなスイッチが入った。

貰いゲロしかけてただけかもしれない生唾を飲む所作に
求められてるみたいな錯覚を感じて、
気分がよくなってしまったのは多分酒の所為だけではない。]


 おまえのせいで、こうなったんだ。
 …せきにんを、とってくれるだろう?


[背中をさする為に近かった距離を
首輪に繋いだ手綱みたいにネクタイを捕まえて引っ張って。
げろ臭い吐息に熱を込めて耳元を擽り、ねとりと舐りながら
安物めいた粘ついた甘ったるさで、誘う。

行き場に迷っていそうな手を股間に導いて
堅くなってるのを擦り付けてやった。
物理的な快感に震えた吐息で、濡らしたあいつの耳朶を擽った。

ホテル行こうか、って疑問のない殆ど宣言みたいな
否と言わせない強い口調で伝えて
そのままネクタイを引っ張った。

あいつが頷いたかどうかは関係なかったので見ていない。]

[まだ平然と飲んでる互いの知人二人に、呂律の回らない声で
かえる、とか、おくってもらうからへいきだ、とか
幼い子供みたいなやり取りをして、見送られて店を出た。

家が近いことを知っているのと、足取りがしっかりしているのと
人目があればわりと平然としていることを知っている友人に
とくに止められることも無かった。

犬の散歩みたいにネクタイを引っ張ってた手は
気付いたら何処からかネクタイでなく
あいつの手を掴んでて。
恋人みたいな繋ぎ方をした手が可笑しくってげらげら笑う。
自分が気持ちいいからって指の股を擽ってやったりもした。

ホテルに行こうと誘ったくせに
ずんずん迷わず歩く足取りは何時もの帰路を辿ってることに
帰り道最後のコンビニ前で気付いて立ち寄ったのは
帰りに特に用がなくても立ち寄ってしまう
普段からの癖が出たのかもしれない。]

[立ち寄った口実が飲み足りないだったか
泊ってくなら歯ブラシがないだったか、
或いは何も伝えなかったかもしれない。

店に入ってすぐ手に取った籠を持つと云うから任せて
真っ直ぐ向かった先の棚からコンドームをひと箱
見慣れた数字が掛かれたパッケージを迷わず手に取って
持たせてる籠に放り込んだ。]


 うちにないんだ、必要だろう?


[思い切りガン見していた気がしたから
そう説明してトイレに引っ込む。
精算をおしつけたまままた籠っていたら回収に来た。
ちょっと寝そうでぼんやりしていただけで
吐いていたわけではないからそのまま回収される。

人目がないトイレではぐにゃぐにゃしていたくせに
店員の目につく店内に戻るときには
酔ってすらいないんじゃないかというくらいしゃっきりしてる
その辺の仕組みは自分でもよくわかっていない。*]

―― ウィンドラース修道院 ――

[...が目覚めれば其処は何時もと変わらぬ光景であった。
 部屋の壁は全てが剥き出しの石。
 床には辛うじてふわふわした絨毯が敷かれているが、
 修道院全体が石造りであるために何処を歩いても固い足音が聞こえる。

 カーテンの隙間から差し込む光は朝を告げるものだ。
 窓の外からは相変わらずの風音と空高くから猛禽類の鳥の声が聞こえてくる]


  ……いつもの夢、ね。
  何も変わらないわ、何も……。


[...は頭から布団を被り込んだ。
 視界は再び闇の中であるが夢で見た光景は見えないでいる。
 魔砲少女も、魔法猫も、全ては夢だった。
 領地から遠い峻峰の地は年中怒ったかのように強い風の吹きすさぶ要害の地である。
 壁に囲まれた修道院には各地から曰く付きの子女が送られ、
 子女を世話する者たちが一緒に住んでいる。
 修道院の大きさに比べて人数は余り多くはないのは、
 今現在帝国内は絶賛内乱の最中にあるからだ]

  お父様は今日も無事……ね、きっと。


[でも兄や姉はどうだろう。
 思い浮かぶのは殺しても死ななさそうな面々の顔であった]


  フッ、馬鹿らしい。


[...は瞼を閉じた。
 スピネル選定候の末娘は一等可愛がられた末に、
 元々仲の良かった家に政略結婚に送られた。
 そこまでは良くある話だ。
 ただ、結婚相手がナイチチは嫌だと浮気をし、
 それを知ったスピネル王が激怒した。
 そこまでも良くある話だ。
 普通はその後落とし前をつけさせて解決を図る。

 普通ではなかったのはスピネル王がシオン可愛さに
 相手の領土に攻め入り滅亡させて併合してしまったことにある。
 皇帝は慌てたが時既に遅し。
 報復だなんだのと戦火が広まり今に至る]

  お父様に勝てる相手なんて少ないのにね。
  選定候でも数人……あとは隣の王様くらいか。
  ああ……どうでも良いこと考えたらお腹空いた。
  あの子早く起こしに来ないかしら。


[...は溜息をついた。
 修道院では良家の子女――ここでは王族や貴族だが、
 は自分から起きることはない。
 起こしにくるまでは待つのがシキタリというものだった。

 だからあの子が来るのを待つのだ。
 夢の中でもずっと逢っているあの子を**]

── 修道院 ──

[至る所、灰色だらけの世界。
 壁も、窓の桟も、空さえも灰色い。

 焼かれた日記帳のページの色。
 はたまた、主人を失った蜘蛛の巣の色。

 世界はこんなにも灰色に覆われているのに
 どうして、夢の中はあんなにも色鮮やかなのだろう]

["夢は記憶の整理だ"と人は云う。

 それも一理、あるのかもしれない。

 なぜならば
 夢の中で相対するヒトを私はよく知っている。

 現にもいる相手。
 夢と同じ名を持ち、面影を残すヒト。
 
 けれど、彼女を夢に見る
 その理由が私にはよくわからない。

 夢に見るほど、思うほど
 深いつながりなどない──そのはず、だから]


  ……なんでかしらね

  あぁ、でも猫になりたい
  それぐらいならあるかもしれないけど


[井戸端でぽつり。
 水を汲んだ木桶を持ち上げれば、あかぎれた手指に鈍い痛みが走る。
 ぎしり、と食い込む持ち手の重たさに眉間に皺を作りつつ]


  ────       。
 

[目当ての部屋の前まで来たなら、ノックをまず三度。
 次いで扉を開け、先に汲んだ木桶の水を洗面台へと移し替える。
 部屋の主人が朝の支度をできるよう、そうやって準備を整えてから]


  おはようございます、シオン様
  朝の用意が整いました


[言葉だけは丁寧に。
 けれど、揺り起こすことはしない。
 
 寝台から三歩離れた距離を保ち
 部屋の主人が目覚めるのをいつものように待った*]

―― 修道院・自室 ――

[此処は監獄だ。
 入った者は外に出ることは叶わず、
 死した後も敷地内に埋葬される。
 送られてくる子女は曰くつきの者が多いから、
 当然と言えば当然であろう。

 灰色だらけの世界とは良く言ったものだ。
 季節に応じた草花や天候の変化があり、
 各々の家からは旬の食べ物が送られてくる。
 それでもその全ては味気ない。
 無味乾燥したもののように感じてしまう]


  ……それはきっと、私たちがそうだから。
  終わった年代史に花を添えても意味はないもの。


[...は小さく欠伸をする。
 風は強く空気は冷たい。
 こんな寒い日は部屋の中に籠るに限る。

 ...は生きている。
 心臓は動き、身体は動き、食事をしては寝る]

  ただ生きているだけの生に意味はあるのかしら。
  とは言え、バツイチの行き遅れなんて不要でしょうしね。


[平均寿命が40歳に満たない世界である。
 女は20歳になれば年増であり、30歳になれば婆だった。
 売れ時は10代前半。
 そこで戻ってきてしまえば普通は瘤でしかない。
 普通でも瘤なのにスピネルの末娘は火薬庫でもあった。
 だから修道院の中でも腫れもの扱いで――]


  ……おはよう、カザリ。
  もう随分と暖かくなったわね。


[...はノックの音の後、物音を耳にしていた。
 声が掛かればそこで漸く布団から頭を出して身体を起こし、
 暗に遅かったと告げる。

 別に虐めているわけではないのだ。
 貴女は私にとっては唯一話が出来る相手なのだから。
 夢にまで出てくる存在なのだから]

  ……着替えは?
  早く脱がせてくださる?


[...はベッドから起き上がると三歩離れた距離にいるカザリへと声を掛けた。
 着る衣装は修道院の服だ。
 地味で質素、紺色の修道女の服。
 尤もシオンのそれは内側がえらく精緻に編み込まれたレースを使っていたり色合いが派手なものがあるのだがそれはそれ]


  ほら、早く〜。


[これは我儘なのだ。
 深いつながりはない。
 強い絆もない。
 それはまるで蜘蛛の糸のようなものだけれど、
 灰色だらけの世界で唯一見える色は存在を誇張して見せられてしまうのだ。

 例えそれが錯覚であったとしても、
 縋るものなど存在しないのだから――**]

大丈夫ですか〜。

[やばいなって自覚はあった。
けど久しぶりの深酔いがふわふわして
思いの外気持ち良かったから自制せずに飲んで、
用を足せばちょっとは酒が抜けるかとトイレに向かった。

そこでちょっと洒落にならない声が聞こえたので
誰だか判別出来ない後ろ姿に声をかける。
返事の代わりにまた嗚咽が聞こえたものだから
さすがに本気で心配になって背を擦ったら
振り返った顔がまさかの見知った顔だったわけだ。

相手がトイレに行っている事も覚えてないくらい
俺も大概に酔っぱらっていたわけで
やばいって思ったのは間違いじゃなかったらしい。]

ほんとに大丈夫ですか?

[心配はもちろんしている。
けど苦しさから薄っすら滲んだ涙で潤む目が
妙に艶っぽくて目が離せなくなっていて、
吐くの手伝いましょうか、なんて口実を口にして
しゃがみ込む相手に覆い被さるように身体を寄せた。]

[唾液でわずかに濡れた唇は滑りが良くて
触れたらぬるりと容易に形を指先に伝えてくれた。
その柔らかい感触にぞくりとして
いけない事をしている気になってくる。

けどそれが逆に好くて濡れた跡を辿るように
唇を何度も撫でて、指は次第に口内へ侵入した。
しんどくて抵抗する気力もないのか
それとも酒で完全に頭がやられてしまっているのか、
彼の唇は俺の指を受け入れるみたいに開いた。

歯列や頬の内側を柔く撫で弄って
その度につらいのとは違う息が漏れるのが楽しくて
吐くのを手伝うって言ったくせに
まるで目的を果たそうともせずにしばらく弄ぶ。
その度に唾液が溢れて余計に酷い有り様になった。

そのうち指じゃ物足りなくなって、
気付いたら口を塞ぐように口付けていた。]

[徐々にしんどいのとは違う顔が見えてくる。
可愛いな、なんて調子乗って舌を奥に進めたら
突然強い力で身体を押し退けられてしまった。

やり過ぎたかと一瞬冷静になる。
その上、相手が笑い出したものだから
完全にその気になっていた俺は置いてけぼりを食らう。
けど聞こえたのは想像とは全然違う言葉で。]

はは。うそでしょ。

俺、


男ですよ?

[彼の言の通り、確かにそこは布を持ち上げていて。
素面だったらあり得ない状況に驚いたりするんだろうけど
すでにまともな思考なんてしてないから
自分を棚上げしてからかうみたいな言い方して
主張するそこをやんわり撫で上げてやった。

もっとヤバい事になればいいのに。
そんな悪意が顔を出す。]

[どうやらその悪意は役目を果たせたようで
イエスとしか答えられない問いかけを投げかけられ、
答えを声に出す前に俺はネクタイを掴まれた。

自分からも股間押し付けちゃってめっちゃエロいなあって
可笑しくなってにこにこしてついて行った俺の姿は、
一緒に飲んでいた知人達からしたら特別な事じゃなくて
『憧れの先輩に構われて嬉しそうないつもの俺』程度にしか映ってなかっただろう。

手を恋人みたいに繋いで歩くのなんて
いつもの俺だったら飛び上がるくらい嬉しいのに、
もう頭の中がその先の事ばっかりで
ずんずん先に歩いていく相手がホテルとは別へ向かっても
全然気にしないまま素直に付いて行った。

コンビニのトイレから出て来た時、
彼が割とすっきりとした顔をしていたものだから
もしかして抜けたのかなって少し距離を取る。
正気に戻ってる可能性もある。

けど店を出た途端、やっぱり手は繋がれたから
ああ、まだ酔ってるのかなって安堵した。]