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人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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視点:


【人】 家族愛 サルヴァトーレ

【街中】
「​────さ、着いた。ほら起きて、お姫様。それとも目覚めのキスが必要かい?」
「……なあに。まだ足りないの? はは、欲張りだなぁ。光栄だけど、僕はこの後用があってね」
「もう、そう拗ねないで。代わりに取っておきのプレゼントがあるんだ​────なんだと思う? 当たり!」
「うん、勿論だ。愛しているよ。また顔を出すさ、すぐにね」
「じゃあまた、可愛い人!」

高級感のある黒い車の扉が開く。小柄な女性が姿を現す。こじんまりとしたアパートのドアを開け、その中へと消えていく。
男はそれを最後まで見送っていた。いつも通りの笑顔を浮かべて。
いつまでも家の前に留まっているのは無粋だろう。少し広めの通りへと車を走らす。再び路肩に止めて降り、伸びをする。時間を確認。まだ予定までは余裕がある。

行きつけのバーで時間を潰すか、手頃なカフェにでも入るか、車内で仮眠を取るか。しばし立ったまま悩むようだ。
(7) 2022/08/08(Mon) 22:54:29
 
「近頃は、随分と」

祭りに華やぐ街の喧騒。
時折紛れ込む雑音。
その音は鼓膜を揺らさない。

「幻聴がひどいな」

在り得ざる残響は真実のものではない。
否定的な言葉も、肯定的な言葉も、何れも幻聴でしかない。
そうでなければならない。

「だが、あんたの声だけは聞こえない」

「もしも漸く全てが正しくなり始めたなら……」

酒、異性、熱狂。



少々口を滑らせるくらいなら薬に頼らなくていい。
このどれか、もしくは全部を浴びせれば良い。

そうして得たものを流すだけでちょっとした小遣いになる。
大変有難い事に。

罪悪感が全くないわけではない、が。



ただし、



バレる訳にはいかない。決して。
万に一つでもこの小遣い稼ぎがバレた。

その時は――

【街中】

祭りの影響か、どこもかしこも賑やかな喧騒に溢れている。
さざめき行き交う人波を眺める少年は、どこか所在なさげに息をつく。
スニーカーのつま先が、トンと石畳を蹴った。

口元の笑顔は標準装備。余裕ありげな表情に大きな身体、仕立てのいいスリーピーススーツ、磨かれてぴかぴかと光を照り返す革靴。羽織った外套を風に踊らせ、肩で風を切って歩く男は、まあそれなりに目立つ方。

君はため息をついて、足元に目を向けたのだろうか。

「君、一人?」
「子どもが一人で​────迷子かい。どう、良ければ僕が保護者に」

俯いていたならぴかぴかの革靴が、顔を上げていたなら柔和な笑顔が、その目に映ったことだろう。

【人】 家族愛 サルヴァトーレ

>>16
君が声をかければ男は顔を上げる。それから車に預けていた腰を戻して、立って。柔らかく微笑むだろう。

「……ああ。君か」
「サルヴァトーレさん、なんて他人行儀だな。トトーって呼んでよ。いつも言ってるだろ?」

白い歯を見せて笑う。落ち着いた色の装いに、色の薄い肌や髪はよく映える。赤に近い紫の瞳が、細められて君を見つめた。

「今、お姫様をお城までお送りしたところだ。勿論丁重にね。
それで次の予定まで時間があるから、暇を潰してる。君は?」
(28) 2022/08/09(Tue) 21:15:44

夜半。暗い路地裏を、硬く、鈍く、重く、靴底が打つ。
祭りの喧騒の裏側で、葬列が墓場を歩むように、ただ粛々と。

「──掃除屋が死体を作るなんざ」

「世も末だと思いませんか、あんたも」

答えは返らない。
端から答えを求めてもいない。
見下ろす眇目には、生者への情は無い。

「……家族が?へえ、そりゃ知らなかった…」



「で、あんたが浅はかな事仕出かす前に
 顔を思い出せもしなかった程度の家族が、何だって?」

──乾いた銃声が、ひとつ。


「…黙って死ぬ、それしきの事もできない奴ばかりだ」

「どうにもあんただけは、違うらしいがね……」

【人】 家族愛 サルヴァトーレ

>>34 マキアート

君が照れくさそうな顔をする度、男はいつも眉を下げた。今も同じようにそうして、幼気な我が子を見るような表情をそのかんばせに浮かべている。
指の長い、大きな手が、ゆっくりとした動きで君の頭に伸びた。

「いいとも。謝らないで、僕のカンディート」
「手のかかる子ほど可愛いとは言うけれど、手のかからない子だって同じくらい気にかかるものだね。何か困ってることはない? 君は少し、従順すぎるから​」

整えられた髪を崩さないように、注意深く撫で付ける。まずは揃えた指の腹で。それから、曲げた指の背で。
仕事上がりなら少しくたびれているだろうか。それともプロなりに、清潔な姿を保っているのかもしれない。労うように、慈しむように、見下ろす視線。

そんな保護者然として落ち着いた表情はしかし、君の提案で明るい笑顔に変わった。

「いいの? 勿論! 大歓迎だよ、一人は味気ないからね」
「君の行きたいところに行こう。祭りでも、カフェでも、バーでも、なんでも。どこでも」
(47) 2022/08/10(Wed) 1:14:57