「朝風呂もいいよなー、俺両方入っちゃおっかな」

せっかくの温泉、沢山入ったほうがお得の理論である。

「入る前に少し汗流しておこうっと。
　ダンスバトル近ぇしな……食べっぱなしじゃいられねぇし」

夕飯の後はダンスの練習をしようと思っているようだ。
夜の雪遊びもたのしいかもとかも考えているが。

誰か入る勇気あるのだろうか。

「流石に水着くらいあるんじゃね？
　って戸森ちゃん興味あんの！？」

強い、この子。

「えっ、えっ。
　一葉平気なん、女の子とお風呂よ、マジ？」

俺の反応のほうが変なのか？

「一葉つえぇ……」

いや、まったくもってその通りではあるのだが。
多感な高校生の自分には刺激が強そうである、かなり。

だが確実に負けてる、色々。

「ってかさー、そりゃプールと同じかもだけど
　色々気分が違いすぎねぇ……？」

ｻﾞﾜ……



女子と裸の付き合い、を？

ｻﾞﾜｻﾞﾜ……



恐ろしい子！！

どゆこと！？

「いや、気にするでしょっていうか……
　入ったら通報されるっしょ……何いってんのマジ……」

察する能力が最底辺。
空気が読めない男である。

色々カルチャーショックを受けながら立ち上がった。
このままではいけない。

「あー……腹いっぱいになったし、俺ちょっと身体動かしに行くわ。ダンスバトル近いんだよ」

ずっとだらけているわけにはいかないと、踊りに向かう様子だ。

子供。

「勝負するか？
　いいぜー、やろうぜ！
　あっ、センパイは無理せず小さいの作ってな」

「俺もスキーとスノボは俺もサマーゲレンデでくらいしかやったことねーけど、まぁなんとかなるっしょ」

この男、運動神経しか誇るところはないらしい。

「俺の一番のライバルは一葉な気がしてきた」

こいつは強敵だ。
ステゴロするやつだし。

「俺は今日、雪合戦と雪だるまとスキー＆スノボをする。
　」

心にそう決めている。
雪で遊び尽くしてやるのだ。

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「ゆっきだるまー、作るぞ！」

とにかくでかいのを作ってやる、と。
そう意気込んでごりごり雪玉を転がしている。
でかい子供である。

「って、うわ、早乙女ちゃん！？
　今、雪にめり込んだけど大丈夫かー！？」

これには棗くんもびっくり。
立てるかー？　と、手を差し出すだろう。