情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
【人】 AI研究 波照間 ハテマ--- 天才である事と、人間性に優れていることは両立しない。 僕が思うに、人間っていう生き物はそれぞれ同じような大きさの「器」を持っているんだ。 そこに人間性を入れれば他の何かが入らなくなるし、才能を入れれば人間性がこぼれ出る。 普通の人プラスプラスプラス才能、そして同じだけ社会性をマイナスマイナスマイナス、それが僕だ。 解っている。 普通の人が簡単にできることができない分、僕の生き方はとてもシンプルだ。 アンドロイド研究という分野のトップを走っていればいい。 今は、アカツキに筋肉の代わりに仕込んである繊維の改良実験をしていた。 これは強すぎても体に負荷がかかり、もちろん弱すぎても駄目だ。 どうにか、経験により適切に強化されていくような仕組みを……人間に似た仕組みを……。 …………。 『結局人間に似せるのか』 常に外さないヘッドセットから、声が聞こえる。 幻聴だ。 それでも僕は答える。 「仕方ないでしょ……人類が何十、何百万年もかけて進化して、この形がいいって選び取ったんだ……模倣していくしかない」 『人間を嫌っているお前が』 「アカツキは人間なんかじゃない」 『いつまでそうやって自分を騙す』 「騙してなんか……」 (10) TSO 2019/08/31(Sat) 15:44:43 |
【人】 AI研究 波照間 ハテマ"先生は、たぶん分かってますよ。 見ないふりしてるだけです!" 輝く蒼い瞳で、何か確信を持って僕に投げかけられた言葉が脳をかすめて、頭がひどく傷んだ。 なんなんだよ、もう。 誰も彼も、僕が間違っているって言う。 アンドロイドのすばらしさ……人格と思考を有する不死の存在が有り得るということは、アカツキが証明してくれた。 それなら、憧れるのも当然のことだろう。 老いて、病んで、苦しんで死ぬことが「人間らしさ」かい? いらないね。どう考えてもデメリットしかない。 僕はね、偶然肉体が破損しただけで惨めに死ぬような生き物のままでいたくなんかないんだよ。 僕は、間違って、いない。 意地になって手を動かしていたら、期待をしていた筋線維はぶちぶちとちぎれてしまった。 実験は失敗だ。 過程を(相変わらず汚い字で)メモに留めていたら、いつの間にかアカツキが飲み物を持ってラボに入ってきていた。 (11) TSO 2019/08/31(Sat) 15:46:10 |
【人】 AI研究 波照間 ハテマ彼を見ると、ほっとする。 なめらかな人工皮膚、さらりとした赤毛、宝石のような瞳、しなやかな指とその爪先。 そして、止まることのない思考。気高く唯一無二である自我。 これは僕が作った。 神でも悪魔でもなく、僕が。 「アカツキ……あの……そろそろ……メンテ……」 「またか?」 「う、うん……不具合が、あるみたいだから」 「え、どこに」 アカツキは目を見開いて、手を握ったり開いたりした。 僕は人差し指で、彼のこめかみをつつき、その奥にある脳にあたる部分を示した。 「ここ。思考にバグがあるみたいだ。 えっと……人間になりたい? どう考えてもおかしいよ。 安心して。すぐ治してあげるからね」 (12) TSO 2019/08/31(Sat) 15:46:56 |
【人】 AI研究 波照間 ハテマ僕のアカツキ。 僕の希望で、僕の理想で、僕の憧れの…… 兄さん。 今度こそ、僕は、あなたを守るよ。 [ヘッドセットから流れてくる兄さんの声は、止まない。 きっと、アカツキが完璧になるまで……] (13) TSO 2019/08/31(Sat) 15:48:17 |
【人】 AI研究 波照間 ハテマ■感情書き変え ハテマ→アカツキ アカツキ。 幼くして死んだ僕の兄の名前だ。 厳密に言うと兄ではない。 血は繋がっていない。 彼は近所のお兄さんだった。 快活で優しくて、少し皮肉屋で、幼い僕を振り回してくれた。 森に連れて行き、図書館に連れて行き、「知る」喜びを教えてくれた。 アカツキは、いつも、きらきらしていた。 そんなアカツキは、突然いなくなった。 病気、だそうだ。幼い僕には詳細は教えられなかった。 僕が生まれてはじめて体感した「死」だった。 こんなことが……黄色い悪魔が現れるなんてことがなければ、アカツキにはずっと黙っておくつもりだった。 僕の幼少時の憧憬を、あさましくもキミに重ねていることなんて。 でも、もう、なりふりは構っていられないよね。 (14) TSO 2019/08/31(Sat) 16:40:14 |
【人】 AI研究 波照間 ハテマ「アカツキ、解ってくれ」 僕は彼の手を握る。 万感の思いを込めて。 「人間になんてなろうとするな。 人間はすぐ死ぬ。 すぐ消えてしまう」 伏せていた目をあげて、紅玉の瞳を見つめる。 「それでもNOと言うのなら、僕は、キミに命令しなきゃいけない。 キミの思考回路を書き変えて、キミの望みをデリートするしかない。 そんなこと、させないでよ、ね……」* (15) TSO 2019/08/31(Sat) 16:40:43 |
【人】 AI研究 波照間 ハテマ■感情書き変え ハテマ→マツリカ 「あの……」 僕が声をかけると、マツリカちゃんはびくっと体を強張らせた。 なにをそんなに緊張して……ああ、僕から声をかけることなんて少ないから……? 違うか。マツリカちゃんの願いを僕が知っていることを、マツリカちゃんが自覚してるからか。 どうも僕にはデリカシーが足りないね。 まあ、そこは今更案件だから、諦めてもらうしかないんだけどさ……。 「えっと。僕たち、協力できないかな」 (16) TSO 2019/08/31(Sat) 18:29:07 |
【人】 AI研究 波照間 ハテマ目を伏せてぼそぼそ言う。 マツリカちゃんの才能は目を見張る程のものではないけれども、それでも、ここまで僕についてくるのだから、地力は凄いものがある。 マツリカちゃんにだって、わかっているはずだ。 アカツキが、どれだけ素晴らしい存在なのかを。 彼がただの人間になってしまうことで、アンドロイド学がどれだけダメージを受けるのかを。 人間になりたいと言うアカツキの言葉を、意志を、望みを、僕は欠片も理解できない。 だから、あえてそこは無視した。 「アカツキは……その……これからのアンドロイド研究に、なくてはならない存在、だか、ら……人間になんか、なっちゃだめだよ……。 マツリカちゃんも、そう思うでしょ……? だから、協力、してくれないかな……その……なんだってするからさ……」* (17) TSO 2019/08/31(Sat) 18:29:57 |