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人狼物語 三日月国


82 【身内】裏切りと駆け引きのカッサンドラ【R18G】

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視点:


/*最高ですわよありがとう……やはりグラトニーあなた最高のエンターテイナーですわ……

/*
体の秘密も唇の秘密も赤窓とは関係のない親切設計です。
秘密の多い女だ。

観客は沸いていた。
もちろんメインはナフの踊りと痴態に。少しだけ、サブの副次的な催しの混乱ぶりに。
そして一部は、女の悪い癖に。

『またエンターテイナーのクセが出ましたな。どうやら処女の子宮では足らないようですぞ』
『ほほ、女の従業員が降りてきていませんからね。あの子も飢えているのではないかしら?』
『あと一歩早ければあの御令嬢の柔肌に存分に噛み付けましたね彼女は! はは、惜しい惜しい』
『まあ、また壊れた従業員があればくれてやりましょう。踊り子達の心が砕けるのが見ものですね』

……古株のVIP達はどうやら、女の悪癖をようく知っているようだった。
どうやら完全に壊れて心の動きを失い、客を楽しませられなくなった従業員達の行き先は……穢れた豺狼の、胃の中であるらしい。
完璧な演技をして見せる女を囲む男達の困惑をも、客達は見世物としている。まるで、ドラマティックな映画のように。

────短く、通信が入る。

「………あなたが交わした取引を」

「どうかお忘れなきように」

それは『誰か』へ向けた警告。
たとえその場に姿が無かろうと
退路を塞ぐ白蛇は、その顛末を見ている。

炎を見た。

/*

と社畜は言うておりますけども、
実際どうするかというところはどうか皆様で
相談してロール的に良きようにしてくださいませね!!

「オーダーは通ったようだ。さあ、踊り子さん。手を取るのかな、きみは」

声はその場ではなく、裏の一室に響いた。項垂れ気味の表情に隠し、柔かな声をスピーカーに届けている。
からかうような声は、従業員となった二人に向けられた。
二人の心を揺り動かすためだけにだ。

「いいね、人当たりよく、愛されるものというのは……それが何であれ、助けてもらえるのだから。
 そう思わないかい? ムルイジ。シルバーキーが開けた扉は君宛ててはなかった。
 ナフが手を取ったならば、ジョーカーは枯れて、君は、ようこそ、最下層(ボトム)へ」

唇を噛んで。

/*朝も連絡しましたが狼お嬢様Aはイベント後のナフのあれそれどうするか何も決めていないので、何もかもアクアリウムブルーさんのお好きなようになさってくださいね!good luck!

何かを伝えたそうにテンガンを見て、小さく首を横に振った。

「そして、最後の輝きだ」

崇め、見上げるような視線が、彼の罪悪感を苛みますように。

/*
『グラトニー』も選択はどうぞご自由に……と述べておきます!
どちらの選択をするにしてもいい感じにシステム処理はやっていきましょう。

「ムルイジはえらばれなかったの?そうなの?ざんねんだったね!
でもだいじょうぶ。ムルイジがさびしくなったら、ううん、そうじゃなくてもわたしがおせわするよ!だってわたしムルイジがだいすきだもの!

ぐらとにー、すろうす、わたしちゃんとできるよ!」

「……『グラトニー』。
くれぐれも、『エンヴィー』の事は任せましたよ」

簡潔に、それだけを残して通信を切る。

それは、きっと夜が更ける前の事。
余興の場に姿を見せなかった、怠惰な仕事中毒者は
まだ"取引"の前準備に奔走している頃だろう。

バーナードを、見ている。

「ええ、いいでしょうとも。貴方はとっても、いい子……。
 存分に、彼の運命は貴方に預けよう。そのほうがきっと双方も嬉しいだろう。
 彼の価値は、貴方が決めるといい」

穏やかな表情で、少女のようになってしまった『エンヴィー』をなだめる。
そこに嘘は一片もなく、貴方の能力を認めているのだから。それを窘める必要はない。

「ええ、『スロウス』、貴方も気をつけて。
 ……いいや、この言い方はふさわしくないね。"期待しているよ"」

踊り子の選択を視界の端でしっかりと確かめ、それで観客が喜んでいることをしかと見て。
彼らを巻き込んでの舞台にした『エンヴィー』の腕前を、改めて評価した。

あのガキッ…と奥歯を強く噛んだ。

うるさい。うるさい。うるさい。

ごめんなさい。

苦しいけれど、本当は逃げ出してしまいたいけれど。

それは、今ではない。それだけの、話。

少年は痴態を晒しながら、もう一度だけ決意を固める。

バーナードを見て、頷いた。

「信じらんねえ…あの、ガキ…」

度重なる凌辱で憔悴した顔で、
壁にもたれかかりながら掠れた声で囁く。
悪魔のような奴らの嘲りを聞きながら。

「まだ……テメェは、ガキだろうがよ……」

『かつての自分』をそこに重ねながら、暗がりで呻いた。

大きくくしゃみをした。ずっと裸だから冷えたか?

「…………あーあーテステス。グラトニー。スロウス。聞こえますか。
ああ、いえ。些細な連絡なので聞かなくてもいいんですけど。

私が薬飲んでる間に喋ったことは忘れてください。

忘れてくださいお願いします。

切実に!!!


……以上です。それでは、また」

通信はそれきり切られた。動揺しすぎて口調が表向きのままだった。

────そして、消灯時間を疾うに過ぎた頃。
簡素な連絡が共犯者の元へ届く。

「──『スロウス』より業務連絡です
取引、及び次の"標的"の身柄は無事完了しました。
これより研修の為の準備が始まるでしょう。
研修に関しては、できるならあなた達二人に任せたい。
僕は彼に随分と嫌われてしまったようなので。ただ…」

調べによれば、彼は一部記憶処理を受けています。

要点はこちらで纏めておきました。必要であれば参照する事。
それを再び顕在化させるような行為はよく考えて行うように。
せっかくこうして修復され、戻ってきた玩弄物を
またすぐに壊してしまっては芸が無いですから」

連絡事項を簡潔に伝えて、報せは一度打ち切られるだろう。
この船の夜は深く、そしてこれからだ。

「うん、わかった。ありがとうスロウス、お疲れ様」

淡々と返す。

「すぐ壊さないようにか……難しいね。少し考えておくよ。公開抽選で連れてこられた人を見てからでもいいだろうし。夜はまだまだ長いのだから」

自分は激情のままに、そして欲望のために動いている。
どれだけ相手を傷つけて心を折るかを主に考えているから、今回は加減に気をつけなくては。
共犯者のまとめてくれたデータを見ながら悩み、一旦置いてスロウスを労った。

「本当に薬にどっぷりかかっていたのだなあ」
自分も決して影響を受けていなかったわけではないが、気軽にお気楽に、少し前の通信を受けてにこにこ。

そして、大事な連絡を受けて通信機に応答した。

「嫌われた? ふふ、だれにでもかの人はアイロニカルな反応をしめすのじゃないかい。
 時が来るまで、それにVIPのリクエストがあるまでそれは少し置いておこう。
 我々の誰が上の不興を買うのか、いつどうなるかはわからないのだしね」

送付された資料をもとに、しばし考え込んでいるような間があった。
少しばかり思いつきはあったようで、続けられた声はそう困ったふうでもない。

「あたらしいことでもしてみればいいのかもね。過去の心傷を引出さぬよう……。
 VIPが再び壊れゆく様子を見たいと言い出さないことでも願おうか。
 お疲れ様、『スロウス』。きみにしばしの休息のあるように」

二人に続いて、やはり『グラトニー』の通信も切れた。

お願いを聞き届けた。

少しだけ、複雑な気持ちを抱いた。

頭の中が白く、浮ついたような気分になっている。

「──いやあ、残念だったねナフ。救出劇は失敗だ。私としては本当に助けてもらってもよかったんだけどね?

君は乗船客と接触し、助けを求めることができたかもしれないチャンスだったけど。みぃんな薬で倒れてしまった。

それじゃあ迎えに行こう。チップもカードも客の金も、きっちり回収するのがディーラー【このわたし】だ」

少年は、未だ止まらない玩具の刺激に体がもたず
濡れた床に倒れ込んで、びく、と時折大きく跳ねるように体を震わせている。

意地で声だけは抑え込んでいるものの、絶頂に伴い吐き出される精はもう薄く量も少なくなっていた。

仮面越しに、近づいてくる声の方に目を向ける。