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人狼物語 三日月国


77 【ペアRP】花嫁サクリファイス 弐【R18/R18G】

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 ………っは、ぁ

[鬼の舌先は傷よりも大きく、広げられてしまいそうだった。
しかし、傷口を抉る柔いものより、容赦無く腕を掴む力の痛みより
背筋を走る刺激が強くて、呻きの代わりに吐息が漏れる。

歯は獲物を抑え込むように甘く噛むばかりで肉に突き立てられないのは、喰らう前に味わっているのかはたまた、抵抗する理性が残っているのか。

早く喰ってほしいのに。花嫁として、全てを腹に収められたいのに。
今も咥えられている指を更に押すと関節が歯に引っかかり、ごり、と骨が鳴った。肉を食い千切る部位に強く当たる痛みに切なげに眉を寄せる。

満たされる期待と焦らされるもどかしさが、更なる行動に駆り立てる。]



 なあ……
 此処に牙を立てたら、もっと沢山飲めると思わないか

[囚われていない手が衿元を引き、もっとよく見えるよう緩める。

思い通りに操られる他者を嘲る笑みは何処にも無い。
ただただ、求められることを求めて熱に浮かされているだけ。]

 全部喰ってしまったって、構わないんだぜ
 俺の血も肉も命もあんたのもの、そうだろう?

[逞しい身体に包まれるように片手が背に半端に回る。
そうすればきっと、視界に、すぐに噛みつける位置に首筋があるだろう。]

 ぁ、あッ……!

[声を上げることを赦されて、
触れることを赦されて。
腰をくねらせればさらに奥へ、奥へと熱は割り入ってくる。
胎がいっぱいに埋められるような錯覚に、浅く息を吐いてはまた啼いて。
切っ先が、最奥を貫かんと、]

 ひぁ、あんッ!

[強く押し上げられるような鋭い刺激に一際高い聲を上げた。
はくはくと、声にならない声で唇を戦慄かせ、触れた手の甲にかりりと爪を立てる。
ぼろぼろと止まらぬ涙が零れ落ちて敷布を濡らす。]

 ぁ……あ……ッ

[『嬉しい』問われるままに、青年は何度も頷く。
嬉しかった、ひたすらに悦んでいた。
青年自身には何が何やら分かってはないが、とにかく嬉しかった。
表情こそ、慣れぬ刺激に歪んではいるが、悦ぶ目の色は隠しようもなく。
ゆっくりと、言葉で身体で煽り立てられて、子供じみた分身も健気に天を突こうと立ち上がって震える。]

[『気持ちいい』と天狗さまが言うから。
                 
嬉しくて。

『我慢できない』と天狗さまが求めるから。
                    
悦んで。


間断なく与えられる衝撃に泣きながら、笑み浮かべる。]

 ぁ、あっあぁッん…ッ!

[強引に引きずり上げられるように、青年の身体も高みへと、叩き込まれるようにして、
あ、あ、気持ちい、気持ちいい、って
もう、そればかりしか考えられなくて、]

 

 ぅあ、あ……ッん……!!!!!


[ずん、と最奥に叩き込まれた重たい衝撃に、
ぴんとつま先までを強張らせ、絶頂を迎えた。]
 

[青年はそれが何か、勿論知らず、知らぬまま、ちかちかと脳裏を占める白い光の中に揺蕩うように、全身を投げ出して、明け渡して、暫くは息も忘れたように、呆然としてしまう。
じわじわと、胎の奥に広げられた熱に呼び戻されるようにして、手足の感覚が戻ってくると、そ、と腹を撫でる。
新たに腹を汚す白は無かったが、それすら気づかぬままに、胎の内で脈打つ熱を、そ、と噛みしめるように、感じて。

漸く、深く深く息を吐いた。

じわじわ、じわじわ。
胎に注がれた毒を、青年の身体は貪欲に飲み込む。

甘い、甘い
のような
は、
   青年の身体を内側から
犯して
侵して


そうして青年の身体を巡る体液と混ざり合い、
            青年の身体はそれを……


                  
受け入れた。
]


[ 日常に埋もれ蔑ろにされていた、断ち切れぬ本能が血肉を求める。

 ほんの一筋の細やかな芳香に乗せられるまま誘われ、
 舌を痺れさせる味に夢中になるのは、果たしてそれだけが原因か。
 ひと思いに齧りつかずに蜜の壺を探るように舐め続けるのは何故か。

 この状況で漏らすには異様な、顔に掛かる甘く熱い吐息のことすら
 意識の外にある今、分かるわけがない。 ]



[ 薄い肉越しに当たる骨、喰い応えの無さそうな身体。

 しかし、
 苦しげな顔──としか、今は思うことはない──に唆られる。

 追い詰めていく感覚は、たまらない。
 他の獣を喰らう獣も、人を喰らう鬼も
 その瞬間にどうしようもなく昂ぶることに変わりなく。 ]



[ 己の手で肌を晒し、自ら胸に収まって大人しくなる身体。
 生を諦めた小動物のようで、
 ついに捕えたと、今こそ喰らえと本能が騒ぐ。

 指を離し、顎が更に開けば鋭い犬歯が見えて
                     そして──── ]



[ 欲を誘う首筋に流れる、あの日から見つめ続けた白色が

 此の男が獲物ではないことを、鬼に思い出させた。 ]


  ─ さとという女 ─


 「あら、見つかったわ」


    「折角逃げようとしていたのに」

[許可なく山に立ち入ってはならない。深くまで踏み入れば命はない。
この村に住まう者は誰しもが知っている。

繊細な花の刺繍を施された白い着物を纏った女は、向き合う角の生えた大男を見上げ、少しも悪びれない声で呟き
白魚のような手の右を頬に添え淑やかに微笑んだ。]



 「紅鉄坊様には見えないの?
  わたしの首に掛かった、運命の縄が」

[何処か夢見がちな顔で女は語り、締め上げる如く己の細首に触れる。
何度目かの失敗を遂げた、ある日のこと。

幾度鬼と面しても怯え一つ見せることはなく反省もせず、追い返されても村の者に連れ戻されても、懲りることもなくやって来る。
遂に廃寺の中まで入り込むようになり、咎める声にも気にした様子もなく山での暮らしや鬼という生き物について聞きたがる程に懐いていた。

鬼の落ち着いた振る舞いと、見目に合わない優しさがそうさせたのだ。

望まぬ許嫁の花嫁となることが受け入れ難い。
ただそれだけとは言えない事情が、彼女の足を山に向かわせ続ける。
しかし若い女が追手を巻きながら一人下るには山は険しく、大型動物より危険なモノたちが暗がりに犇めく。
望みは中々叶うことはなく、鬼との親交だけが深まっていく。]



 「従順な道具で在らないのは、そんなにも罪かしら」

   「女には思考の権利すら、無いのかしら?」

 「知っているのよ。あの家がなんでこんな息苦しい村に来たのか」

   「幕府のお膝元の呉服問屋を分家に任せて逃げるように……、」

[鈴を転がす声色が、吐き捨てる一言を発する時だけは低くなる。

優しい母は立場も心も非常に弱い、父や兄に逆らうことは出来ない。
女にとって胸の内を打ち明けられる存在は鬼だけだった。]

 「一つしかない人生を、家と兄様の為にすり減らしたくないの」

[分かるでしょうと影の中の紅い光を見上げる。]



 「心配してくれているのね。紅鉄坊様は、いつもそう」

  「村の皆とは違うわ。
   自分の為ではなく、ただ心から誰かを想っている」

 「…………、一体どちらが鬼なのか分かったものじゃないわね」

[選ばれる言葉の節々から、穏やかな低い声から伝わるもの。
性を理由にしてもそこにあるのは嘲りや見下しではない。
弱者と定義されながらも女の胸に憤りがないのは、ただただ目の前の鬼が真摯であり続けるからこそ。]

 「でもわたし、どれだけ辛くてもいいの。自由になりたい
  何の苦しみもない世界には、喜びだって存在しないでしょう?」

[理解しながらも頷くことが出来ないのは、夢があるから。
女の身で男達と同じように働くことが、必ずしも不可能だとは思えなかったから。]





 「ねえ紅鉄坊様、わたし好きな人が出来たの。
  向日葵より綺麗な御髪の、異人さんよ。
  お父様に会う為に、村に来たんですって」

[ある日初めて、逃げるでも苦しみを語るでもなく幸せそうな笑顔で鬼の元へやって来ることとなる。
道で足を挫いた女を、海の向こうからやって来た異国の商人である男が助けてくれたのだという。

彼の目的が父親だったこともあり、二人は何度も顔を合わせ語らう機会があった。自立を望む女の想いを理解し、外の世界について沢山の面白い話を聞かせてくれた。
幼子のようにはしゃぎ語るその頬は赤らんでいた。]



 「わたしを連れて行ってくれるって
  一緒に船に乗って、彼の祖国に行こうって」

 「あの花がまた咲く頃に、迎えに来てくれるのよ」

 「ええきっと、国を渡るのはとても大変なことだわ
  それでもわたし、理由を探して諦めたくない。
  あの方となら、頑張れる気がするの」

[だからその時は──……と女は願う。
鬼にも立場がある、あの約束を結んだことも知っている。
それでも、愛する人と山を越える為には彼を頼る以外には無かった。]