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人狼物語 三日月国


260 【身内】Secret

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視点:


 

[ 喉が鳴る音が近くから聞こえるのが居た堪れなくて、
  まるで幼い頃に戻るように戯れを重ねた。
  したいと言った思いに嘘はないのに
  許容量を越えそうな現実が、判断を鈍らせる。 ]


  えっ、えと、じゅう……?


[ 十秒しか猶予がない遊びだったか、あれは。
  今この場では至極どうでもいい二人のルールを、
  必死に思い出そうと海馬に潜る。

  いや三十秒だったじゃん!などと言ったとしても、
  どのみち時間制限があることに変わりないのだが。 ]

 

 

  ……あぅ……。


[ 恥ずかしいからといって反射で動かなければよかった。
  着実に進み続けるカウントダウンに、
  むしろその時を意識してしまう。

  今更やめた、など通用しない空気になってしまった。
  身を守っていたショーツが横に避けられ、
  もう意味も無い可愛いだけの布一枚になる。

  触れられる距離にいるのに、触れられない。
  お預けに似たことをしたのは自分なのに
  そのくせ落ち着かない気持ちになりながら。
  律儀に数え続ける彼へ、つい昔の影を── ]

 

 

  ────ッは、反則……!


[ 見なかった。
  素直な少年は狡い大人になり、早口でカウントを終え
  面影を辿る時間を奪っていく。

  そのまま彼の手が自分の手に重なって熱を帯びる。
  幼子のじゃれあいのようなやり取りは終わって、
  ここにあるのは、体温を融かしあう二人の男女だけ。 ]

 

 

[ 息を吐く。
  少しの間忘れられていた腹部の熱が重く疼いて、
  そろりと彼の目から手を離した。

  見つかってしまったら、鬼は交代。
  ────けれど今回に限っては、
  ありきたりなルールは返上になるだろうか。 ]


  ……みつかっちゃった。
  ふふ、懐かしい
  昔はよくこうして遊んでた、けど。


[ 今と全く同じ言葉を紡いで、
  彼を見つける側に回ったものだった。

  夜の匂いなど無かった頃の話。 ]

 

 


  …………ああもう、…だめかも。
  はずかしいと、わたし、言葉が多くなっちゃう。

  ……お兄さん。
  あのね、……しゃべれないくらい、きもちよくして。


[ ぎゅ、と彼に再び抱きついた。
  そのまま首へ吸い付いて痕を残そうとしたけれど、
  経験が足りないのか、上手く赤がつかなくて。

  代わりにかぷりと首筋を噛む。
  ふふんと笑って、「浮気防止」と呟いた。* ]

 

[ルミが自分を見つめてくれていないまま
再会していたら、傷つけろと迫る自分を被虐趣味だと
勘違いされただろうか。

恐らく意味のない仮定だ。
ルミが頑張って見続けてくれていなければ、
自分達の道は交わることはなかった。

ふつうの家庭に生まれた少年と
家庭環境に恵まれていない5歳下の少女が
あの公園で知り合えたことも奇跡だった。

それを運命にしたのはルミのきずで、
その運命の糸を赤く染め続ける為に自分のきずを足したいと願っている。

他の誰かに繋がっているかもしれない糸よりも赤く。]