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人狼物語 三日月国


124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】

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視点:


【人】 灯守り 白露


[もしも相手が、封筒の中に畳まれた便箋に気づくことがあれば、もう一枚手紙が増えたことだろう]

(202) 2022/01/30(Sun) 14:16:00

【人】 灯守り 白露

[処暑様

寒気はなはだしき折、お元気にお過ごしでしょうか。
処暑様の隣の統治域の灯守り、白露と申します。
一度か二度、来ていただいたことがあったかと思います。
経済的なことを言えば、綿などを卸してくださりありがとうございます。

今度、白露域で春物の洋服の展示会をする予定です。
処暑域産の綿を使った作品が、全面に出されると聞いております。

つきましては、日頃の感謝をこめて、招待させていただきたく思います。
お時間が合えば、是非。

白露]**
(203) 2022/01/30(Sun) 14:16:12
[いつからかほとんど姿の変わらないお姉ちゃんに
なんの疑問も抱いていなかった。
早くお姉ちゃんみたいに大きくなりたい、
大人になってお姉ちゃんを支えられるようになりたい。
そんなことばかり考えていた。

もしお姉ちゃんが、
この先もずっと変わらなくて
私だけが変わっていってしまったら?

私はお姉ちゃんより先に老いて、よぼよぼになって
お姉ちゃんより先に命のともしびが消えて……

それでもお姉ちゃんは、
私のお姉ちゃんで居てくれるのかな。]

[──師匠に初めて出逢ったのは
ある初夏の夕方のことだった。
雨上がりの芒種域の空には虹が掛かっていて
通い慣れたあぜ道はぬかるんで滑りやすくなっていた。

私は学校の帰り道で、とにかく早く帰りたくて
いつものように家に向かって走っていた。
調理実習で作ったロールケーキが上手に出来たから
お姉ちゃんにも早く食べて欲しかったんだ。

あともう数十メートルで家に着く、というところで
滅多に聴くことのない馬の嘶きが鼓膜を裂く。
どん、と身体に衝撃が走って
気付いたら青空に放り出されていた。]


[『あぶないからはしってはだめよ』と
あんなに何度も言い聞かせてくれていたのに。
お姉ちゃんの言いつけをちゃんと守っていれば、



            ごめんなさい、お姉ちゃん。

             ごめん、なさい…………、


                    …………



                      ……]

 

[──次に目を醒ました時、私はベッドの上に居た。
男の人か女の人かわからないけれど
初めて見る綺麗な人が私の手を握って、
パパとママと一緒に私の顔を心配そうに覗き込んでいた。

身体はどこも痛くなかった。
私と一緒に飛ばされてぐちゃぐちゃに崩れてしまった
ロールケーキを見て事の次第を聞かされるまで、
自分の身に何が起きたのか思い出せないくらいに。
ただ、頭は靄がかかったみたいにぼんやりしていて
腕と足は上げるのも辛いほどに重たかった。

その綺麗な人曰く、私は馬車に轢かれて
その人の能力で一命を取り留めたらしい。
お忍びか、視察か、親睦を深める為にか
たまたま芒種域を訪れていたその人こそ先代立春。
それが、師匠との出逢いだった。

『綺麗な淡い、オレンジ色の灯りだね。
 早春の陽だまりみたいだ。
 僕の灯りの色に少し似ている。

 ……良かったら君、僕の弟子にならないかい?』


今にも消えてしまいそうな灯火に師匠の手が触れると
輝きを取り戻したように燃え上がって、すごく綺麗で
何故だか涙が零れ落ちたのを憶えている。]

[故郷から遠く離れた見知らぬ土地で
弟子として暮らすことを最初は多少躊躇った。
師匠がなぜ私を弟子に欲しがったのかも、
娘を心配してくれるパパとママを
師匠がどんな風に説得したのかも私は知らない。

大好きなお姉ちゃんや両親から
離れて暮らさねばならないことに抵抗はあったし、
実際移住して数年間は度々ホームシックに陥っていた。
けれど、師匠の弟子になれば、
蛍としてお仕事を学ばせてもらえれば。
何かお姉ちゃんの役にも立てる日が来るんじゃないか。
何より、喪うはずだった命を救われたから
誰かの為に役立てられるなら役立てたいと思ったんだ。

今は師匠の眠るこの土地立春域から、離れることは出来ない。
私が灯守りの役目を務め果たすのが先か、
私の灯りが尽きるのが先かは私にもわからない。

どちらにしても、いつか私が
灯宮に還る日が来たときには──……


……お姉ちゃんに見送ってもらいたいな。
なんて、
いちばんのわがままはまだ言えずにいる。]

 

  『  わたしも、世界が嫌いだわ  』


[ それが、彼女の答えだった。
 ななしに、世界が好きかと問うということは、質問者は世界に対して何かを抱いているのではないか、と。
 返ってきた答えは予想通り、と言えばそうなのだけど、驚いた気持ちを覚えたのも現実だった。

 魂の管理者、人を守るために存在する“灯守り”。
 私は、“灯守り”というものは、基本的には人間を慈しんでいるものであると思っていた。
 しかし大寒の灯守り彼女は、世界を嫌いだと言う。
 私と同じ想い。世界を嫌いなまま、この地位に居る。
 だからこそ、興味を持った。そして……共感も。 ]
 

 
[ ――灯守りになった当初、無気力な私に対し、職員は「灯守りを務めるつもりがないのならば、さっさと灯りを他に譲ればいい」という事を口にしていた。
 私はそれに応じるどころか、返答をする事もしなかったのだけど、
 そうすると、「先代はどうしてあれを後継に選んだのか」という話が聞こえてくるようになった。
 彼は、立派な統治者であり、灯守りであった。それは未来永劫語られる事だろう。
 ……が、私の存在によって、彼の尊厳が危ぶまれている。それは、あってはならない事だと思った。

 彼の願い、彼の尊厳、それを守るために、きちんと継がなくてはという思いはあった。
 ――けれど、私には出来なかった。
 向いていないというのもあるけれど、どうしても、この世界を愛そうとすると吐き気を覚えてしまう心地がした。
 
 それならば、他の人間に灯守りの位を譲るべきだった。
 けれど、私はそれも出来なかった。
 彼が私に託したものを、他の人に渡したくなかった。
 彼が残してくれた想いを、中途半端に、自分に都合の良いように解釈しながら、私は今も、この地位にいる。
 最初から、私はずっと彼のことばかりで、民の事など何も考えていなかった。
 ]
 

 
[ 『処暑の灯守り』が代々継ぐ能力『風星』。

 先々代の処暑様は、人前での演説等以外では、一般市民の前に姿を見せる人ではなかった。
 けれどその代わり、この能力で、人々を近いところで見守っていた、らしい。

 先代の彼は、自らが人々の近い所へ行く人だったため、この能力は、先々代程は使ってはいなかったらしい。
 とはいえ、彼の足が及ばないところや、目の届かないところまでも気遣うために、風を“目”としていたようだ。

 ……私はというと、灯守りになった当初は、領域の外へ出る事が出来なかった。
 彼へと悪意を向けた世界。そんな悪意に私も殺されるのではないか、と怖かったからだ。
 故に、人の手の入ったものも、長く口に出来なかった。

 そのため『風星』で“外”を見て回るのが常だった訳だけれど。
 彼の愛した処暑域。けれど、そんな彼を裏切った世界。
 見れば見る程に、分からなくなってしまう。
 この地は、この人間達は、守る価値があるのだろうか、と。
 彼が命を賭してまで守るものであったのかと。
 ]
 

 
[ 降り募っていく不信感。
 全他者に対しての嫌悪感。
 故に私は、部下になった行政職員に対しても心を開くことが出来なかった。
 
 それでも右も左も分からない状態であった頃は、職員の助けがなくてはならず、領域へ入る事は許可していた。
 しかしあの事件――私の個人的な日記を勝手に持ち出されて以来、私は領域へも人を入れなくなった。
 ――やはり人間はどうしようもないのだと、私はその時点で心を閉ざしてしまったから。

 蛍は当然置こうと思わなかった。
 『処暑号の蛍』そのものを私は憎んでいて、到底受け入れられなかった。

 だから私の領域へは、灯守り以外誰も入れないままに、
 今日も私は世界との関わりを絶って、領域へと引きこもっている。 ]
 

【人】 灯守り 白露

[宴酣の時
さてそろそろ解散、という空気の流れが漂いはじめて
わたしも帰ろうと、広げた荷物を片付け始めた

荷物の中には、少しばかりの招待状>>203があって
刷り上がったばかりのものを少しだけ持ってきたものであった
持ってきたは良いがどうしようかと会場を見渡して…]

 ……
立春様っ


[ふと帰ろうとする背を見たのなら、荷物もそこそこに慌てて声を掛けた
こんなもの、いつでも渡せはするのだけれど
-なんなら送っても良いのだから
- 、今が良いと思ったので]

 ……えと……
 こ、今度……展示会を、するんです……
 ……来て、
ほしい……です


[ずい、と渡すハガキ
もちろん、もうすぐ立春ということもあり、お祭りの準備などで忙しいであろうこともわかっている
それでも、来て欲しかったのだ
わたしの住む街に、わたしの住む白露に
忙しいと渋い顔をされたなら、しゅんとしつつもハガキだけでも、と食い下がるつもりである]

 ……
待ってる……

 茉莉お姉ちゃん……

[去り際に、微笑みひとつまたね、と手を振り
呼ぼうと思い続けていた名前を呼べたなら、満足そうに笑っただろう**]
(256) 2022/01/30(Sun) 18:42:52
ーー先代の記憶ーー


「ねー、ゆきちゃん。」


[旅に出て冬至の温泉に入っていた頃だっか
またしばらく経って寄った時だったか。
何かを思いついたような、悪戯っ子のような顔で
一緒に入っている冬至の君へと顔を向けた。]
 




「月が綺麗だねー。」



[珍しいほどの満面の笑みで、彼女を見ながらそう宣う。
一瞬たりとも月なんか見ちゃいないくせに!]

  

 

[それがどういう意味だったのか、誰に訪ねても。
ーーもう、誰にも語れない。*]

 


    
( 雪の冷たさすらよく知らなかった )

 


[ まるで故郷の長い冬のように、
 閉じた屋根の下で過ごす時間が長かった。

 
(どこかの灯守りや蛍のように)

 閉じ込められていたとかそういうわけではなく、
 必要火急でもないと外出することが難しかった。

 風が吹けば消えてしまいそうな灯りは
 尋常でない移ろい方をしていたものだから
 おそらく、能力があると
 それ以外の原因を考えられなかったのだけれど

 何を起因として発動するものであるのか、
 当初、誰も特定することができなかったのだ。 ]
 


[ 自覚のないまま行使される、

 “あと少し”なんてありふれた望みが
 そのたびに灯りいのちを削っていく。

 その瞬間を捉えるなんて難しいに決まっていた
 何せわたし自身、何もわかっちゃいなかったのだから ]
 


[ 冬の入口をくぐったような
 冷たくて、からっとした凩の吹く日
 収穫を終え春まで眠りに就く畑で枯れ草を燃やす人々

 よくある風景だ。
 ぱちぱち散る火花。

 風に乗せられて飛んでいって、
 あ、とめなきゃ、って、

 ――その後のことは何も覚えていない。 ]

 


[ その性質が明るみになってからは
 いたずらに削られることはなくなったけれど
 容赦する必要もなくなってしまったから
 結局のところ、あまり良い思い出はない。

 扱いづらい厄介事は放棄してしまって、
 都合のいいことだけ利用していきたいだなんて

 そんなの、疲れてしまうもの。 *]
 


 
 ────どうか、幸せに、お眠り下さい。

          
悪夢は、私が全て喰らうから。


*

 

  
―――いつか、貴方と見た月


[ 温泉にくゆる月を見上げていた

 何も無い夜にともるそれは
 そのひと時は 私にとっての陽であった ]


    ?


[ 隣りで 名を呼ぶ声がして
 ふっと見上げた先の満月 ]


  ――…そうですね。

[ 小さく笑って また月を見る。

 このひと時が 続いてほしい
 そんな叶わぬ願いを 天にとかしながら ] *