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人狼物語 三日月国


139 【身内】花咲く日、蜜の香りと踊る【RP村】

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ルヴァ! 今日がお前の命日だ!

/* ラキ〜〜〜〜〜!?!?

/*
ど、どうして……

「………


* ルヴァは気づきました。
* 自分の胸元から消えたものに。
* ああ、そうか。取られてしまったんだ。

「………………」

* 首を振ります。ええ、しょんぼりなんてしていません。
* だってリボンも付けましたし。しょんぼりなんてしませんとも。

「ルヴァはパン屋さん。
 ……なのは、いいのだけれど」

「ラキ…………」


蜜を取られた青年は、多くは語らない。
首飾りをなんとはなしに撫でて、微笑んで、

あ〜、と仕方なさげに声をあげた。

「ま、こういうこともあるってこったな」

「さて、オオカミ少年が何を企んでいるのかしらね〜」

お手並み拝見、とでも言わんばかりにリュシーを見やる。

「ラキが早々に脱落したのは勿体なかったわね。
 蜜の妖精にはもう少し派手に暴れて欲しかったんだけど……
 ルヴァくんと一緒に脱落したところを見ると、なーんか怪しいわね」

「ユッピーが生かされてるのはちょっと意外。
 アニキもなんやかや生きてるし、意外とあたし達の事ってバレてないのかな〜。
 或いは敢えて見逃されているのか」

「次ラキの番だったのに、いなくなっちゃったぞ……悔しい〜〜〜!」

えーん、皆で蜜取って勝ちたかったね。
悔しいけど、まだ2人残ってるから。頑張って勝とう。ラキのためにも。

「えっと 順番の約束だから、次はニアが決めるか〜?」

「…お疲れ様。そう落ち込まず…、応援しよう」

頑張っているなあ、と。
なんにせよほのぼのした気持ちになる催し物だ。
蜜を取られてしまった少年にのんびりと声を掛けつつ。

さてそろそろ、とばかりにインク屋に立ち寄った男は、
画廊めいたその光景と、佇む大男――と表現するにはいささか線の細い印象か――をなんとなく眺めていた。
そういえば、昨日の絵も彼が描いたのだろうか。

「お、落ち込んでない!」

* 慌てて反論です。
* ちょっと寂しくなっただけなのです。
* いえ、なってません。寂しくもなってません。
* ………そういう、つよがりなのですけれど。

「………うん」
「応援、してるよ。
 僕たちの仇とってよね……」

「……あちゃー。蜜、取られちゃいましたね。
 思ったよりうまくいかないもんですねえ。
 リュシーさんも言ってましたが、大変なんですねっ」

ルヴァの傍らを通りすがりに、先日買った小さなポプリをお裾分けした。



「!」

* お花の良い香り。
* ちいさな袋を見つめて、ルヴァは少しだけぱちくりと。
* それから、それから。渡してくれたあなたの方を向きます。

「あ、」
「ありが、とう……?」

* 落ち込んでいるように見えたから、なのでしょうか。
* さすがのルヴァも、きちんとお礼を言わなくちゃと思いました。
* 慌てて言ったものですから、少しばかり声が裏返ったりして。
* あとからほっぺが赤くなりました。

俺もルヴァみたいに甘やかされたい〜

「もしかして恋人さんだったのかしら」

もしそうならきっと落ちてからでも楽しめているだろうけれど。
そうでないのなら勝利をもぎ取り、彼の手にも握らせてあげたい。
なにより、今は目の前の男の子の為に。

「……ん、次は私が蜜を取ってくる番、かぁ。
 どうしようかなぁ、実は気になっている人はいるのだけど。
 イタズラしても怒られないかな。どう、かな……」

 

* ルヴァは、そんな声を聴いたのでしょうか。
* 甘やかされているように見えたのは少し恥ずかしいですけれど。
* 確かに、あなたも、そしてもう一人も。
* 今日で蜜を取られてしまったのは、同じですもんね。

「…………」

* 何か、何かあったかな。ルヴァはポケットをあさります。
* そして、見つけた小さな飴ちゃん二粒を。
* ラキと、イクリールにこそこそと渡しに行きました。
* 恥ずかしいので、半ば押し付けるようにしてすぐに去っていきましたけれど。



少々うわずった礼の言葉に、肩越しに振り向いてひらり手を振った。
元気を出してくれると良い。
折角の祭り、まだ楽しむ余地はある。彼は近隣の住民のようだから、自分よりも詳しいだろうが。



ついでとばかりに脱落組となった女性と青年にも。
小さなポプリは指先でつまめる程度で、邪魔にはならないだろう。

 ルヴァ

「おっと、気にさせちゃったかな……
 あとで謝、いや、せっかくの気持ちだし、
 有難く受け取っておかなきゃね」

やった、飴ちゃんだ!
摘まみ上げて嬉しそうに眺めては、口に放り込んだ。

謝るのはいいとして、お礼も何か考えなきゃな。

 ミン

口説かれる。
自分に?
きょとんと一つ目を瞬いて、彼女を見た。
数秒間、思案の間を経て、杖を持たない片手で頬を掻く。

「……これは……叱られるべきところだろうか。
 いや…、まあ…嘘は無い。言い訳はするまいよ」

とはいえ、年頃の女性に少々申し訳無かっただろうか。
失礼した、と言った声にやや釈然としない響きが混じっている事も、彼女が笑う種になれば良いが。


 ミン

「――…それならば、良かった。
 私にとって……貴公とこうして言葉を交わした事は、
 幸いだったが。 貴公にとってもそうであれば、
 …何よりだと思う」

独り言も捨てたものではない。話をしてくれた切欠を思い返す。
自分が漸く未来に目を向けられる様に、
彼女の見つめる未来もまた穏やかで優しくあれば良い。

ひとつ増えた荷物を手に持ったまま、頭を下げる。

「…ありがとう、ミリアン殿。
 今年の祭りの間も…、また顔を合わせるだろう。
 …どうか、今は…楽しんで」


――そうして彼女を見送った頃。
手に持った荷物と顔を見合わせて、一人顎を撫でる事になる。

「そうだったら、ラキも寂しくないなー?
 でも、きっとリュシーたちが勝った方が喜んでくれるはずだぞ!」

頑張ろうな〜!と気合を入れなおして。

「ん、決まってるのか〜?
 だったら、勇気出して頑張るんだぞ!勝つためなら、しょうがないんだぞ……きっと、怒られないはずだ!
 リュシーも、怒られはしなかったもんな」

「……ん、そうだね。私達が頑張らないと。
 たくさん集めた蜜をラキに『どうだ〜』って見せたいものね」

ぐっと両手を握り込んで、一緒に気合を入れ直す。

「よくしてもらった人からは、蜜を奪いたくないけど……。
 一度でも話したことがある人の方が、ちょっぴり安心で。
 だから次はね、テレベルムさんの蜜を取ってくるつもり」

 テレベルム

「――…ああ、…不躾に見てしまい、申し訳無…」

視線がかち合ってから漸く言葉が出て来た。
しかし出て来た言葉は、その全てを紡がれる前に消えた。

横切る
白いふわふわ
そのものと、
白いふわふわ
から発せられている? なにものかの声。
思いきり目で追ってしまった。あれは、誰にも見えるものだろうか。自分はそれなりに“見える”方なので、判断に迷う。

「……、赤色? ああ…、髪の…事だろうか。
 そういえば昨日も、絵を描いて……………」

またも意識が削がれて言い切る前に阻害されてしまう。
謎の声は、今対面している彼のそれではないらしい。

 テレベルム

「……では…遠慮無く。 長閑な絵を、描くのだな。
 私は絵には明るくないが…ふむ、色ひとつが単調でなく、
 …豊かな事は解る。 赤…と一口に言うにも、
 こうも深みが出るものか…」

一旦
白いふわふわ
を意識の外に置いて、この祭りの間に描かれたのだろうものから並ぶものまで絵をまじまじと眺める。
持ち帰る提案をされると首を傾げた。
これを自分が買うのも、どうなのだろう。……まあ良いか。一緒に描かれている少女にあげても良いのだし。

「値札が無いようだが…、買えるのなら頂こうか。
 インクの方も、是非見て行こうと思う。 ……」

あ、見えて良いものなのか。

「……邪魔という訳では……気には、なるが……
 今、妖精王の使いと… …ああ、そう雑に…。
 …テレベルム殿の使い魔ではないのか」

攻防を宥めようとして、余計な事を言ってしまった。
使い魔という表現は怒らせる気がする。

 テレベルム

彼の笑みも声音も穏やかで、まるで何事も無い様だが。
こちらは少し、どうしたものか分からなくなっていた。
いや、差し出された作品は有難く受け取るとして。

「鏡……。貴公の目を通せばこうも鮮やかになるのかと…
 思って、いたが。 そう言われると少しばかり、
 …何と言うか…照れ臭いな」

隠しきれず苦笑するのはその無欲さ、無垢さと、騒ぐ白いふわふわの小さくも強い主張に。

「…では、頂くよ。ありがとう。折角だ、リボンも。
 しかし……商売っ気が無いな。
 …気が向いたら描く、といったところだろうか?」

彼と彼の作品への興味の傍ら、無視できなくなって笑う。
白いふわふわにも目を遣って。

「………それは、身に余る誉れだな。どうもありがとう」

 ラサルハグ

「いえ…、ふふ、私もちょっと意地悪が過ぎたかもしれません。
ラサルハグさんが純粋にそう思って仰ってくれたことは分かってますから。ごめんなさい、気にしないで下さいね。」

やや腑に落ちてなさそうな謝罪には笑顔を返して。
頭を下げられれば少しばかり驚いた様子を見せるが、同じように礼を返す。

彼は後何度、誰かの笑顔に出会うのだろうか。
穏やかに進み始めた彼の時が、刻む一秒一秒が、
須らく幸福なものであることを、私は祈っている。

「…ただの、フィールドワークのつもりだったんですけれど
まさかこのお祭りでこんな素敵な出来事があるなんて思っていませんでした。
――人生、何が起こるかわかりませんね。
だから、こちらこそ。ありがとうございます。

…お祭りも舞踏会もまだ続きますからね。
ラサルハグさんこそ、ゆっくり楽しんで下さいね。」

一時の別れを告げて、笑顔で手を振る。
そうしていくらか歩いた先で、手元で香るポプリに誘われるようにして振り返ってみれば、遠くで手渡した荷物と顔を見合わせる彼が見えてまた一つ、笑顔を零した。

 




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