[それから村雨は彼の元に通い詰めた。色々話を聞いて貰った。
先々代には蛍はいたが、彼が着任する時同時に共に頑張ろうと手を取り合った友人同士。年も年だった。先々代の引退と同士に引退すると明言していた。
先々代は人間としての寿命で終わる事を望んでいた。後継が必要だった。
先々代はそんな環境でも心根を曲げなかった村雨を気に入って、雨水になる話を持ち掛けた。
彼は受け入れた。
家族にはその後、今頃という清々しさですり寄られたが、最低限の仕送りだけ確約して近づかないよう約束させたのだった。
灯守りになってからは大変だったけれど、やりがいもあった。先代に蛍だった人がが手伝ってくれたし他の灯守りや中央の人間にあれこれどうしたらいい? と問いかけるのを恥じない男だった。
なお、その当時既にそこそこおじさんの年になっていて。今更外見を若くするのはそっちの方が恥ずかしくないか? とそのままにしたという。
やっと居場所を手に入れた。
その幸福感で満ち溢れていた。]