71 【R18】歪んだ愛の形【身内】
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[ 高校生活はたくさんの習い事で
とても忙しいものでした。
勉強もありますから、
過酷、と言われればそうなのかもしれません。
ですが、大御門家にいさせてもらっているのです。
そう思えば、人から見たら過酷でも
辛いとは思いませんでした。
素質があったのかは……
書道やピアノなんかはよく褒められていましたが、
華道はよく活け方をを直されていましたので
難しい…といつも思っていました。 ]
…清玄さんが分かったのならいいのです。
何色、ですか……?
清玄さんはどんな色が好きですか?
[ 清玄さんはいつも褒めてくれるので
彼が喜ぶ色がいい、なんて思うのです。
何色でもいいと言われてしまうのなら、
青とか紫とか寒色系の色をあげていくことでしょう。
モダンな柄も興味がありますが、
正統派のものを選んだほうが
もし成人式以外で着る機会があるのなら
役に立つのではないか、なんて思うのです。 ]
[ メイドさんに深く頭を下げられると
少し今でも困ってしまいます。
お嬢様としてふるまうのなら
気にしなくていいのでしょうけれど、
清玄さんはともかく、私は普通の生まれなのです。
それでもありがとう、とお嬢様らしく
振舞おうと努力したことでしょう。 ]
ふふ、仲良しですよね、直哉さんと。
わぁ…凄いです…!
私は会話には自信がなくて……
海外旅行で困ってしまいますね……
[ 清玄さんのご友人は何度かお見かけした気がします。
仲がよさそうなのを見ると
にこにこしてしまうのです。
何故でしょう、嬉しくなってくるのです!
海外旅行を、と言われたら
断りはしませんが、少し不安なそぶりは
隠せないでしょう。文化も違いますし
言葉が違うのは心配なのです。 ]
わかりました!
卒業式の日が楽しみですー!
[ 中学までは見に来る人がいませんでした。
だから、卒業式に見に来てくれる人がいるのは
とっても嬉しいのです!
何か言いかけたようで首をかしげますが、
特に大事なことでないのなら
深くは追及しなかったでしょうね。 ]*
うん、そうして?
お昼も別に、
どっかで買ったっていいわけだしさ。
[ 実際自分なら昼はどこかで適当に買って
食べる気がする。お弁当を毎日作るって
すごい大変だと思うし。
まりんの料理を食べれると思うと
今から期待してしまうけど。
荷物については、料理をしてもらうのだから
それくらい持たせて、と譲るつもりはない。
てか一応力はある方だから苦じゃないし。 ]
え、でも折半……
その、両親に相談しますね。
[ ベッドとかを見に行こう、
なんて話になりつつ、美味しく
夕食を食べていた。
家賃の話は……俺の一存で決められることじゃない。
両親に相談すると言っておいた。
多分俺が出せない分を親が出すことになった…
んじゃないかなと思うけど、
親同士の話し合いだからそれを聞くのは後の話。 ]
―――――
だーかーらー!
2つ要るって言ってるだろ?
なんでそんなこと言うんだよ……
[ 休みの日。
認識のずれが明らかになって、
滅多にしない喧嘩をしそうになっていた。
二部屋ある場所、っていう条件からして
一緒に寝るのをまりんのご両親が
想定してるわけもないし、
何より俺が寝れないから嫌だ。
……まりんがどこまで思ってるのか知らないけど
俺はそんなすぐ手を出すような奴になりたくないし。
まさかまりんが譲らないとは思わなくて
ほとほと困り果てていた。
とりあえず一緒に寝るかはさておいて
二つ買おう、じゃないと困る
なんて宥めようとして…それでもだめなら
ちょっと子供っぽいことを口にしただろう。
俺たち以外にも少し大人っぽいカップルがいるし、
あんまり口論したくないんだけど…。 ]*
僕自身は……紫とか、好きだよ。
でも、理子が好きな色が1番。
[ 彼女が悩んでいるのなら、
沢山見繕うことにしたことだろう。
4年の間に、彼女が振袖を着ることは
ないだろうけれど、もしかしたら
着せてどこかに連れて行きたがる
彼の母親が舞い戻るかもしれない。 ]
まぁあれは……腐れ縁のような感じ。
僕と一緒にいるなら大丈夫だよ。
[ 不安そうな彼女の顔を見れば、
彼は安心して、と髪を撫でてあげた。
卒業式の日は二手で別れていくか、と
考えながらのんびりとその日を過ごして。 ]
────────
………卒業した。卒業証書貰った。
[ 卒業式途中、彼は隣にいる友人に確認をとった。
晴れて彼女は高校から卒業した。
待ちきれない気持ちを抑えて、
彼女がこちらを見つけて駆け寄ってくるのを
彼女の教室前の廊下で待っていた。
彼女には、チェーンを渡しているから
エンゲージリングは今制服の下にあるはず。
彼の薬指には、それがあるけれど。 ]*
……名前というか名字、かな。
ぐずな葛葉…って。
[
ひどい、なんて言われれば苦笑いして。
まあ許さないとは思っているけれど
過去の事ですから。
引きずっているわけでもないのです。
連絡先はそのまま登録されたようです。
デートをしようなんて囁かれて
ドキッとしてしまいました。
……遊びでってこと、ですよね?
真意がよくわからなくて
わからないまま、頷いてしまうのです。
―――断れないのが私の悪いところです。
ジュースとサンドイッチを渡されて
私がそれを食べる間に
彼はシャワーを浴びに行ったようです。
食べ終わったら入れ替わりに
シャワーを浴びることになるでしょう。
]
*
……わかり、ました。
[
いつも軽い口調の彼が
真面目に言うものだから、思わず敬語に。
結果から言えば、お金を渡されてしまったので
産婦人科に行って薬をもらうことになります。
そのおかげか、運がよかったのか
妊娠はしなかったのです。
……責任感があるのかないのか
よくわからない対応で、混乱してしまいます。
彼は何を思っているのでしょうか……。
]
おうじくん。
私……恋人に愛されてなかったんですね。
気づかせてくれて、ありがとう。
[
部屋を出る前にお礼を言うのです。
ええ、お礼を言うどころか
文句を言っても多分、一般的には許されることを
彼にはされましたけれど。
それでも……私にとって
ひと時の救いになったのは
ごまかしようのない事実なのです。
―――あの優しさまで嘘だと思いたくないのです。
両手を頬に添えて唇を軽く重ねて
私なりに感謝を伝えたのでした。
]
……また、ね?
[
またたくさんしようなんて言われて
返答に詰まってしまいましたが
にこにこと手を振られて
手を振り返すのでした。
]
[
誕生日の出来事としては散々、でしたが。
でも、怪我の功名といえばいいのか。
元恋人への未練はすっかり断ち切れていました。
彼のおかげ、かもしれません。
……別に連絡先を交換したからといって
会う義務なんてないですし、こちらから消せば
それでおしまいのはずです。
それなのに、私は……
]
『来週の土曜日、空いてますか?』
[
なんて電話をしてしまうのです。
理由は……もう一度だけ、なんて
思ってしまったから。
それが一度になるわけがないと
薄々思ってはいても、そういい聞かせて
連絡を取ってしまうのでした。
案の定、一度きりで済まなくなるのですが。 ]*
うん、わかった!
お昼も、一緒に食べてくれる…?
[ お休みの日にアルバイトがあるなら、
全く問題ないけれど、大学では
出来るだけお昼も一緒に食べたいな、なんて。
海斗くんがおうちに帰った後、
まりんのお父さんは誰かに電話をかけて
お金のお話をしていました。
結局、家賃が8万円のお部屋を
借りることになりました! ]
──────────
海斗くんと一緒に住むのに1人嫌!
[ 意固地になって、まだ声のトーンは
抑えていますが限界ギリギリです。
まりんは海斗くんと一緒に住むのに
一緒に眠れないの嫌です。
むうぅっっとしかめた表情でいると
近くを通った緑の髪のお兄さんが
『とりあえずふたつ買って、
寂しくなったらひとつでええやん』
と、呟いて過ぎていきました。 ]
……ダブルベッド、ふたつ…
買っても、いいかな?
[ まりんは海斗くんにごめんなさいをして
そう提案するのです。
海斗くんにお兄さんの呟きが聞こえていたか
分からないのですが、聞こえてなければ
それで全然よくって。 ]*
そういうこと言う人間ぼく嫌い。
……人の名前とかで遊ぶやつは、最悪。
[
ムッとした表情を見られただろうか。
しかし彼はすぐに表情を戻して、
デートに了承の頷きを見れば
楽しみ、なんて単語を口にしたり。
シャワーを上がれば、
彼女は少し動けるようになったみたいで
ゆっくりしておいで、なんて
声をかけて入れ替わりに
彼女がシャワーを浴びるのを見守った。
]
*
ん………そんなやつのこと、忘れるんだ。
ワンコちゃんの時間の無駄になるから。
[
言われなくても忘れたかもしれないけれど
気になって仕方がなくて。
彼女が背伸びをして唇を重ねれば
優しく頭を撫でて、よくできました、と
褒めてあげた。
またね、と言われればにこにこ笑顔で。
]
[
彼から連絡を入れる前に、
彼女から土曜日に会えないかと電話が来た。
勿論、即OKを出して。
その時は彼女に似合いそうな布製の首輪が
セットになっている下着を渡して着てもらったり
また5回戦まで楽しませてもらったり。
でも、その前にいっしょに食事もしたり。
]
今日は、何か気になるものでもある?
[
また別の日のこと。
今日は昼から彼女とデート。
指を絡めて恋人繋ぎをしても
彼女が怒らないのでさせてもらっている。
甘いものでもなんでも、
彼女が気になるなら付き合う彼はまず
彼女が行きたいところがあるのかどうか
確認をとりながらぶらつくのが楽しくなっていた。
運命のその時はもう近づいているのだけれど。
]*
もちろん、一緒に食べよう。
[ 大学内で彼女をできるだけ一人にはしたくない。
そもそも講義が全部同じだから
別々に食べるほうが面倒なことだと思うけど。
どうやらうちの親と話し合ったみたいで
8万円を折半して、さらにその半分の2万円を
俺が出すことになった…みたいだ。
話し合いの内容までは教えてくれなかったから
よくわかんないけど。 ]
―――――
俺は1人がいいんだけど……
[ あ、だめっぽい。お互い意地になってるから
これこのままじゃ決まんないな、って思っていたら。
大人っぽいカップルのお兄さんの方が
『とりあえずふたつ買って、
寂しくなったらひとつでええやん』
なんて呟いてどこかに。
会話、聞かれてた……なんて思ってたら、
まりんはそれを聞いて考え直したらしい。
……救世主だなあの人、と
お兄さんが行った方をふと見ると
目があったのはこげ茶色の髪の女の人。
不思議そうにこちらを見てから
『何してたの?……何でもない?
ならいいけど…。……ってベッド一つ?!
二つじゃないの?!』
なんてお兄さんのほうに話しかけているようだ。
……ああ、救世主のお兄さん、まりん側かよ
と思ったけど感謝はしておこう。
まりんが謝ってきて、俺もごめんな?
なんて言って。とりあえずその場は収まった。 ]*
うん、そうだね。
そういうこと言う人は最低。
[
彼は一瞬ムッとした表情をしました。
……人の名前で遊ぶ、ね。
されたことはあるのかもしれません。
私が名前をバカにする人が嫌いなのは
勿論自分が笑われたのもあるのですが。
都恋(みやこ)ちゃんという友達が
名前でいじめられているのを見たから、でも
あったりします。名前は読んでもらえなくて
その当てつけか何かのように
色々と言われていたのを、身近で見ていました。
勿論、止められる範囲で止めようとは
していたのですが。
]
ふふ、心配してくれてる…?
ありがとう、もう大丈夫。
[
優しいな、と思ってしまいました。
どうしてそんな言葉をかけるのは
やっぱりわからなかったけれど。
唇を重ねると、頭をなでられて
よくできました、なんて褒められるのです。
……胸がざわつくのはきっと、気の所為。
]
*
[
連絡にはすぐに了承の返事が返ってきました。
……この人暇なんでしょうか、なんて少し。
まさか、彼が布製の首輪付きの下着を用意してる
などとは思わず、びっくりしながらも
押し負けて着てしまって、肌を重ねて。
その前の食事でいくつか質問したりしましたが、
彼のことを知ることは出来たでしょうか?
恋人はつくらないの?とか
仕事は何してるの、とか。
そんな質問を、したと思います。
]
気になるもの……
ケーキ、食べたい気分かも。
[
結局誕生日にケーキを食べ損ねてしまったので
その原因の一つの彼に奢ってもらうくらいは
許されるかもしれない、と思ったのです。
恋人つなぎをして歩くのは……
断れずそうしていましたが、
……それはダメと言うべきだったかも。
何故なら―――
]
『桜子、お前もう彼氏作ったのかよ?
案外軽い女だったんだな??』
[
―――元恋人に、遭遇してしまったから。
気づかなかったんです、彼のほうを見ていたから
元恋人がいることにも、こっちに来ていることにも。
彼との時間が楽しかったから
周りなんて、見てなかったんです。
声をかけられて、固まってしまいました。
ぎゅうっと反射的に彼の手を
握って俯いて。何も言えなくなったのです。
]*
[
名前をきちんと読んでもらえないことは
彼の中で許容範囲のことだった。
でも、そこから派生して
名前をつけた両親を揶揄したり、
全く違う呼び方を悪意を持ってしたり、
そういうことをする奴らがいて
彼は自分の名前が嫌いだった。
セフレをセフレで止めてるのは、
彼女たちもまた笑ったから。
本名だよっていうと笑った彼女たち。
だから、穴として使うだけ。
そこに優しさなんてものはなくて。
]
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