246 幾星霜のメモワール
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
「…………」
「………成程、な」
「…………それが、選択、か」
であるならば自分は。その選択に従うのみだ。教会の壁に背中を預けたまま、獣の顎の下で光る痣を撫でた。
「結局誰も返すつもりなかったんじゃないの?
……その方がよっぽど自然だわ、ほーんと」
数多のオーナメントを施した広場を眺めて、
一息つきながら、溜息をもう一つ。
全くもう。呟いてから気分を入れ替えるために両頬を叩く。
「さて、あとは招待状を届けるだけかしら。
最後の一仕事、張り切らなくっちゃね」
「きっとなんでもできるわ 女の子
すてきな魔法が 花ひらく
あまい夢をみせて 目も心も奪っちゃえ」
広場の中心で楽し気に、子どもっぽい唄を口遊む。
野次馬を遠ざけるため幻惑作用のある花の香を漂わせ、
蔦でこっそり帰す魔法を編み、それらを痣の無い人だけに。
一日頑張ってそこそこの庭を緑で一杯にする、
魔女の力を最大限に生かした舞台作りだ。
「ミラクルプリシラフラワリラ!
かわいい花の魔女、プリシラにな〜れ!」
くるりと翻って決めポーズ。
それはひとつの呪文。自分の中のギャップを埋めて、
夢を全力で楽しむ、まるで自己暗示じみたような。
「……な〜んてっ!
本当に、なんでもできたらよかったのにね」
そして、これから生きる現実には必要ないもの。
飽いた子供のように腰を椅子の上に投げ出す。
#パーティ会場
「もう、好きな人の心を手に入れられるわ。
色んな病気を和らげるための素を育てられるし。
ふわふわ飛んでいくことだって簡単なのよ!」
出来ることを指折り数えて、
昔から積んできた時間の一つ一つを振り返る。
「でも、それでも──魔法の世界からは出られないのね」
あーあ。なんて。やはり割り切れないことは多い。
まだまだ叶えたい夢はあったのだ。
それらを捨て去るにももう少しだけ時間が必要だった。
「魔法の国に帰って行ったあの子も……
もしかしたら、そうだったのかしら?ふふっ」
自分が魔女を名乗りたいと思った切欠の相手に想いを馳せる。
彼女もまた、幾つもの挫折を経験したのだろうか。
踊り、歌い、独り言。一人遊びの手段は豊富である。
#パーティ会場
やっぱり場違いだろう、なんて思いながら。
飾り付けられた舞台に足を運んで。
普段着のまま、1人遊びに興じる女の姿を眺めている。
今日ばかりは、モップも煙草も仕舞い込んで。
「よくここまで用意したもんだ」
感心まじりにそう呟いていた。
#パーティ会場
「わ!」
流石に人の目があるのとないのとでは大違い。
知ってる声がすればぴんと姿勢を正して、
それから視線を向けては苦笑した。
「何でもあたし一人でやったってわけじゃないのよ?
お祭りでの縁を頼って頼ってなんとかってくらいで……
ほら、正にダーレンさんも手伝ってたじゃないですか」
参加までしてくれるなんて、お人好しなんだから。
「他に誰も参加しなかったら、
あなたが時間一杯あたしの相手することになるわよ。
ダンスのひとつでも考えておいてね」
#パーティ会場
アンジュ
「へぇ、可愛い。
いいね今度その髪にあうバレッタでも作ってあげようか」
髪型のイメージチェンジをするのかもいいかもしれないと提案しながらひとまず歩を進めた。
賑やかな声に包まれて、目を細めながら紙袋の中身を渡しつつ屋台群を横切っていく。
時折魅惑的な串焼きや色鮮やかなフルーツに視線を奪われてくすくすと声を出して笑った。
「そっか、祭りがいい機会になったかな。
私も店のやり方変えようと思っているんだ」
「どっかの街でちゃんとした店構えようかなって」
一度あなたの前で見せた切羽詰まった表情とは打って変わった顔には何が見えているだろう。
堅苦しかった愛想なしが砕けたように笑みをこぼしていた。
少し前にも、女友達であるあなたには見せはしていたかもしれないが。
「アンジュはどう思う?
間接的にとはいえ、私はどこか遠くに行かなくなったわけだけど」
「誰かに頼ってでも、いいもんにしようと思うところも含めてだよ」
人柄ももちろんあるだろうが。行動力まで含めての感心だ。
自分だって、あてられたようなもので。
今ここにいるのだって、魔法の行く末を見て見たかったからなのかもしれない。
「ダンスねえ……」
「どうせ相手するんなら、お前が考えといてくれよ。
見様見真似の不格好なダンスでも良いってんなら、それでもいいけど」
殆どダンスの経験なんかないもので。
しかしまあ。誰も来ないなんてことはないだろうとは思いつつ、そんな風に返すのだ。
#パーティ会場
アンジュ
「よかったアンジュなら何でも似合う。
髪も肌も私にない色ですてきだから飾り付けたかったの」
勇気を出した言葉に快い返事が返ってくれば自然に表情も緩む。
いつもあなたは拒否から入らず話をしようとしてくれていたのに、
断られる前提で緊張してしたのは悪い癖であった気がするな。
一緒に冒険していた時よりも、互いの距離は近くなった。
そう感じているのは自分だけじゃないといいのだけれど。
「んーそうね、はっきりいって今も不満はある。
続きは大声で言うことじゃないから、あっちに座ろうか」
人ごみから避けて視界に人々が見えるベンチに誘う。
だってあなたの俯いた顔を見たくないから。
そう手を引いて、座らせれば同じ位置で目線を合わせてみせた。
→
アンジュ
「私あの時言ったように、
私じゃない人が光ればいいのに思ってた」
そろそろいいだろう。既に聖女の痣が光るものも既に大半。
むしろ貰えていない方が落ち込んでいるようにも見えてきたし、祭りの終わりが見えるこの日もあなたの身は無事だったから。
それでも言葉選びは少しだけ慎重になる、この痛みが自分だけのものじゃないってわかってるし。
「祝福だってみんなは思っているけれど。
……この痣が光らなかったら、助かる子がいたの。
どこかに閉じ込められた女の子。
今でもあの子は外に出たいんだって感じる」
「私、その子の事本当によく知ってて、大事で。
だから直ぐに思ったのが助けなきゃだった」
決してお人よしの話ではない。
ほんの少しだけ認識をずらした例え話、誰かが淘汰されて誰かが生きているお話。
自分の人生の加害者に大事な人を入れずにすんだ、そんな都合のいい展開で栞が挟まれて止まっている。
「うまくいけば私が閉じ込められて、その子が助かる。みたいな。
ずっと心配してくれたのに無茶言っててごめん……。
頼りないわけじゃないわ、ずっと助かってたしこれからも助けて欲しいと思ってる。
だから気にしないで、えっと、……傍にいてくれるかな」
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