113 【身内】頽廃のヨルムガンド【R18G】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
『……残念だよ、〈泥掬い〉
せっかく、身を清める素晴らしい機会を与えてやったと言うのに……』
男は肩を竦めて、何かを取るために後ずさる。
かつ、かつ、靴が床で擦れるような音だけが部屋に響く。
『ああ、付いた汚泥は綺麗に洗い流さなくてはな……穢れが移る……』
手に取ったのは何かの液体が入った瓶。
それは仄かに光を放ち、まるで闇を照らす灯りのようでもあった。
「…………それ、は」
「……まさか、知らないわけではないだろう?
穢れた死霊を清め、焼き尽くし、天に御返しするためのもの
そして、貴様たちのようなものが何よりも嫌がるものだからな」
──〈破邪の聖水〉
魔物に対しても用いられる強力な聖水。
特にアンデッドに対しての効果は覿面で。
扱いを間違えれば生きた人間すらも焼き尽くしてしまう、そんな代物。
じわり、と嫌な汗が噴き出す。
流石の死霊術師と言えど、
これから起こることを思えば、涼しげな顔のままでいるのは難しい。
こんな時は気付かないほうが幸せなのか、それとも。
気付くほうが、気付いてしまうほうが幸せなのか……
死霊術師は、自らの勘の良さを恨んだ、この時ばかりは。
──男が手を振れば、降りかかる聖水がペトルーシャの身体を焼く。
「────────!!」
まるでマンドラゴラのような、声にもならない恐ろしい悲鳴が上がる。
〈匙〉も〈焔喰らい〉もない。
今のペトルーシャに抵抗する手段は、何もなかった。
『まだ終わりじゃないぞ、〈泥掬い〉め。
どれだけあれば貴様の穢れが浄化できるのか……
試してみようじゃないか、ええ?』
男は、中身のなくなった瓶を、そのままペトルーシャに投げつける。
それに対して小さな呻き声を漏らしたかと思えば。
すぐに次の清めに打ち消されてしまう。
それは、喉すらも、焼けてしまいそうなほどに続いた。
──何度も繰り返される絶え間ない責め苦の合間。
ぼそり、ぼそり、と口を開いて、亡者の喚きのように呟いて。
「…………滑稽、ね」
「……私が、こうなると理解してて、何もしていないと、思ってるのなら」
どういうことだ、と清めの手は一度止まり──
「ふふ……!あははっ……!
実はね、教えたのよ……私の他にいるの。
貴方たちが知りたい秘密、知られたくない秘密……
なんでも知れちゃう方法……それができちゃう、冒険者……」
気を失ってしまいそうなのを必死に堪えながら
それは誰だ、と問い詰める男に対し不敵に笑って……
……その顔面に唾を吐きかけた。
「……教えるわけないでしょ、腐れ脳みそ」
「……眠れぬ夜を過ごしなさい。
墓に埋めようと……過去は追いかけてくるもの」
その言葉を残して、ペトルーシャは意識を失う。
これ以上は、政府の名目も潰れてしまうかもしれない。
男は部下に命令させ、あの首輪を持って来させる。
気を失った死霊術師は物々しい首輪を装着され、
乱雑に引き摺られて留置所に放置されることになった。
まるで塵芥のように。
同じような目に合った者たちとひとまとめにされ、
受けた傷の手当もロクに受けさせられないまま……
その夜、今まで見た夢の中で一番気味が悪く最悪な夢を見た。
──時間は移り、だいたいお昼くらい。
「…………」
酷く痛めつけられたペトルーシャが酒場にふらりとやってきた。
物々しい首輪を装着され、その顔は焼け爛れた醜いものとなっている。
「……最悪の夢見だったわ」
しかし、第一声はこれだった。
皮肉にもそれが、彼女が疑われる理由となってしまったのかもしれない……と思った。
いつもの席に忘れ物をしていた。空の椅子の上に赤いリボンがちょこりと乗っている。
「ああ、捕まえてくる。だから……待っていてほしい
……、では……調理場は、たのむ……」
あなたにも協力を頼むほどには、間違いなく、本気だった。
上手いチキンの素材である何かを、狩ってくる。
そう宣言したからには遂げて見せる。
無事に、美味しい明日がやってくるといい。
「…………それで、次は誰を、」
小銃を抱えなおす。ひとまず美味しい食事の話はさておき
できること、やるべきことを、遂行する。
「……ミズチ」
ぽつりと呟いた。自分で決めたというよりは
突然脳内に振って来たような。以前と同じ様式でそうするようだ。
「そこの男連中と一緒に踊らされる夢」
と、酒場にいる面子の何人かに視線を向けた。
「…………悪夢だったわ」
アイシャの姿を見た。こんなことをしていても、あなたには……
レイ
「……レイ」
痛めつけられた身体では、落とし物を拾うこともままならない。
あなたの厚意を拒むことはなく、全てを拾い終えて向き直る。
そして、ため息をひとつ。
「……あいつらから奪われたもの、取り返す手段」
ペトルーシャの姿を見てみれば、いつも持っている装備がない。
肌身離さず持っていた〈匙〉も〈焔喰らい〉も。
あなたはそれらが死霊術師にとって大切ものだと知っているだろう。
とは言え、そんなものを用意しろと言われても無茶がある。
「……それか、何か冷たいものが飲みたいわ。
蒸し暑くて仕方ないのよ、ここの酒場……」
貴方が美味いチキンの素材として魔物も視野に入れているとは露知らず、これは調理場……必要なら調理してくれる人も探しておくだろう。
美味しいならば
「わかりました。私は……」
暫し、悩むように間を置いて口を開く。
「今日は、彼の役者を調べてみます」
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