23:00:20

人狼物語 三日月国


47 【半再演RP】Give my regards to Jack-o'-Lantern【R18】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【人】 Jack-o'-Lantern

 
Tá imní orm faoin leibhéal glúcóis san fhuil, mar sin tabhair milseáin saor ó shiúcra dom.
 
(0) 2020/10/21(Wed) 10:00:00
─空白の時間─

[最初は二人きりじゃなかった。
別部署の俺の友人と彼の知り合いとが顔見知りらしく
軽く一杯ひっかけた二人にそれぞれ別々に誘われて
居酒屋で鉢合わせて四人で飲み始めたのが、最初。

早々に俺がトイレに籠城することになったのは
酔払いが俺の薄いウーロンハイに何かの原液を混入したせいだ。
ウォッカをかぱかぱ水のように空けてた俺の友人か
ずっと泡盛を舐めてたあいつの友人か
犯人は二人のどちらかだと思う。たぶん。

不在の間に同じように酔わされたのか
いい具合にふらふらしてるあいつが用を足しに来て
小便の音をぼけっと聞いてるあいだにまたえずいて。
声で気付いたのか誰であろうと心配したのかは知らないが
あいつが個室を覗きに来た辺りから

たぶん、何かが、可笑しくなった。

如何にも上手く吐けなくて吐き気を持て余して呻いてる俺が
あいつの目に何か可笑しな具合にうつったのか
はたまたいつも通りにねちっこむ触れてくる掌に
俺の頭が誤作動をおこしたのか。

涎でべとべとの唇が気付けばあいつのと重なってた。
手を伸ばしたのがどっちだったか
唇を奪ったのがどっちだったか、
その辺は実に曖昧だった気がする。]

[胃の中身をかき混ぜられてるみたいな不快感が
触れ合う粘膜の心地よさとごちゃ混ぜになって
変にぞくぞくと腰が痺れた。
上手く立ってられなくて、狭いトイレの個室の壁に
あいつの体を押し付けるようにして凭れ掛かった。

気持ち悪いとキモチイイが混ざって
ちょっと訳が分からないくらい興奮していて
抑えつけて、もっとと強請ったのは多分俺の方だったと思う。

次第に深く絡まる口付けに舌の根元を舌で擽られたことで、
漸く胃液が競り上がってきて今迄懐いてた体を押しのけた。
今しがた詰めたばかりでちっとも消化されてない諸々を吐き戻したら
漸くすっきりしたのとなんだか可笑しくなったので
笑い出した俺はもう完全に出来上がっていて。]


 なぁ、みてくれ。
 ふふ、いまので勃った。

 …っ、はは、なんだこれ。


[バグった自分の股間が面白くて。
ちょっと面白いものを共有したくて告白すれば
膨らんだ股間を見下ろすあいつの眼差しが
やけに熱っぽくみえて……
事実どうだったかなんて知らないが
酔払いの俺にはそうとしか見えなくて……]

[かちりと、音を立てて。
完全に、可笑しなスイッチが入った。

貰いゲロしかけてただけかもしれない生唾を飲む所作に
求められてるみたいな錯覚を感じて、
気分がよくなってしまったのは多分酒の所為だけではない。]


 おまえのせいで、こうなったんだ。
 …せきにんを、とってくれるだろう?


[背中をさする為に近かった距離を
首輪に繋いだ手綱みたいにネクタイを捕まえて引っ張って。
げろ臭い吐息に熱を込めて耳元を擽り、ねとりと舐りながら
安物めいた粘ついた甘ったるさで、誘う。

行き場に迷っていそうな手を股間に導いて
堅くなってるのを擦り付けてやった。
物理的な快感に震えた吐息で、濡らしたあいつの耳朶を擽った。

ホテル行こうか、って疑問のない殆ど宣言みたいな
否と言わせない強い口調で伝えて
そのままネクタイを引っ張った。

あいつが頷いたかどうかは関係なかったので見ていない。]

[まだ平然と飲んでる互いの知人二人に、呂律の回らない声で
かえる、とか、おくってもらうからへいきだ、とか
幼い子供みたいなやり取りをして、見送られて店を出た。

家が近いことを知っているのと、足取りがしっかりしているのと
人目があればわりと平然としていることを知っている友人に
とくに止められることも無かった。

犬の散歩みたいにネクタイを引っ張ってた手は
気付いたら何処からかネクタイでなく
あいつの手を掴んでて。
恋人みたいな繋ぎ方をした手が可笑しくってげらげら笑う。
自分が気持ちいいからって指の股を擽ってやったりもした。

ホテルに行こうと誘ったくせに
ずんずん迷わず歩く足取りは何時もの帰路を辿ってることに
帰り道最後のコンビニ前で気付いて立ち寄ったのは
帰りに特に用がなくても立ち寄ってしまう
普段からの癖が出たのかもしれない。]

[立ち寄った口実が飲み足りないだったか
泊ってくなら歯ブラシがないだったか、
或いは何も伝えなかったかもしれない。

店に入ってすぐ手に取った籠を持つと云うから任せて
真っ直ぐ向かった先の棚からコンドームをひと箱
見慣れた数字が掛かれたパッケージを迷わず手に取って
持たせてる籠に放り込んだ。]


 うちにないんだ、必要だろう?


[思い切りガン見していた気がしたから
そう説明してトイレに引っ込む。
精算をおしつけたまままた籠っていたら回収に来た。
ちょっと寝そうでぼんやりしていただけで
吐いていたわけではないからそのまま回収される。

人目がないトイレではぐにゃぐにゃしていたくせに
店員の目につく店内に戻るときには
酔ってすらいないんじゃないかというくらいしゃっきりしてる
その辺の仕組みは自分でもよくわかっていない。*]

―― ウィンドラース修道院 ――

[...が目覚めれば其処は何時もと変わらぬ光景であった。
 部屋の壁は全てが剥き出しの石。
 床には辛うじてふわふわした絨毯が敷かれているが、
 修道院全体が石造りであるために何処を歩いても固い足音が聞こえる。

 カーテンの隙間から差し込む光は朝を告げるものだ。
 窓の外からは相変わらずの風音と空高くから猛禽類の鳥の声が聞こえてくる]


  ……いつもの夢、ね。
  何も変わらないわ、何も……。


[...は頭から布団を被り込んだ。
 視界は再び闇の中であるが夢で見た光景は見えないでいる。
 魔砲少女も、魔法猫も、全ては夢だった。
 領地から遠い峻峰の地は年中怒ったかのように強い風の吹きすさぶ要害の地である。
 壁に囲まれた修道院には各地から曰く付きの子女が送られ、
 子女を世話する者たちが一緒に住んでいる。
 修道院の大きさに比べて人数は余り多くはないのは、
 今現在帝国内は絶賛内乱の最中にあるからだ]

  お父様は今日も無事……ね、きっと。


[でも兄や姉はどうだろう。
 思い浮かぶのは殺しても死ななさそうな面々の顔であった]


  フッ、馬鹿らしい。


[...は瞼を閉じた。
 スピネル選定候の末娘は一等可愛がられた末に、
 元々仲の良かった家に政略結婚に送られた。
 そこまでは良くある話だ。
 ただ、結婚相手がナイチチは嫌だと浮気をし、
 それを知ったスピネル王が激怒した。
 そこまでも良くある話だ。
 普通はその後落とし前をつけさせて解決を図る。

 普通ではなかったのはスピネル王がシオン可愛さに
 相手の領土に攻め入り滅亡させて併合してしまったことにある。
 皇帝は慌てたが時既に遅し。
 報復だなんだのと戦火が広まり今に至る]

  お父様に勝てる相手なんて少ないのにね。
  選定候でも数人……あとは隣の王様くらいか。
  ああ……どうでも良いこと考えたらお腹空いた。
  あの子早く起こしに来ないかしら。


[...は溜息をついた。
 修道院では良家の子女――ここでは王族や貴族だが、
 は自分から起きることはない。
 起こしにくるまでは待つのがシキタリというものだった。

 だからあの子が来るのを待つのだ。
 夢の中でもずっと逢っているあの子を**]

── 修道院 ──

[至る所、灰色だらけの世界。
 壁も、窓の桟も、空さえも灰色い。

 焼かれた日記帳のページの色。
 はたまた、主人を失った蜘蛛の巣の色。

 世界はこんなにも灰色に覆われているのに
 どうして、夢の中はあんなにも色鮮やかなのだろう]

["夢は記憶の整理だ"と人は云う。

 それも一理、あるのかもしれない。

 なぜならば
 夢の中で相対するヒトを私はよく知っている。

 現にもいる相手。
 夢と同じ名を持ち、面影を残すヒト。
 
 けれど、彼女を夢に見る
 その理由が私にはよくわからない。

 夢に見るほど、思うほど
 深いつながりなどない──そのはず、だから]


  ……なんでかしらね

  あぁ、でも猫になりたい
  それぐらいならあるかもしれないけど


[井戸端でぽつり。
 水を汲んだ木桶を持ち上げれば、あかぎれた手指に鈍い痛みが走る。
 ぎしり、と食い込む持ち手の重たさに眉間に皺を作りつつ]


  ────       。
 

[目当ての部屋の前まで来たなら、ノックをまず三度。
 次いで扉を開け、先に汲んだ木桶の水を洗面台へと移し替える。
 部屋の主人が朝の支度をできるよう、そうやって準備を整えてから]


  おはようございます、シオン様
  朝の用意が整いました


[言葉だけは丁寧に。
 けれど、揺り起こすことはしない。
 
 寝台から三歩離れた距離を保ち
 部屋の主人が目覚めるのをいつものように待った*]

―― 修道院・自室 ――

[此処は監獄だ。
 入った者は外に出ることは叶わず、
 死した後も敷地内に埋葬される。
 送られてくる子女は曰くつきの者が多いから、
 当然と言えば当然であろう。

 灰色だらけの世界とは良く言ったものだ。
 季節に応じた草花や天候の変化があり、
 各々の家からは旬の食べ物が送られてくる。
 それでもその全ては味気ない。
 無味乾燥したもののように感じてしまう]


  ……それはきっと、私たちがそうだから。
  終わった年代史に花を添えても意味はないもの。


[...は小さく欠伸をする。
 風は強く空気は冷たい。
 こんな寒い日は部屋の中に籠るに限る。

 ...は生きている。
 心臓は動き、身体は動き、食事をしては寝る]

  ただ生きているだけの生に意味はあるのかしら。
  とは言え、バツイチの行き遅れなんて不要でしょうしね。


[平均寿命が40歳に満たない世界である。
 女は20歳になれば年増であり、30歳になれば婆だった。
 売れ時は10代前半。
 そこで戻ってきてしまえば普通は瘤でしかない。
 普通でも瘤なのにスピネルの末娘は火薬庫でもあった。
 だから修道院の中でも腫れもの扱いで――]


  ……おはよう、カザリ。
  もう随分と暖かくなったわね。


[...はノックの音の後、物音を耳にしていた。
 声が掛かればそこで漸く布団から頭を出して身体を起こし、
 暗に遅かったと告げる。

 別に虐めているわけではないのだ。
 貴女は私にとっては唯一話が出来る相手なのだから。
 夢にまで出てくる存在なのだから]

  ……着替えは?
  早く脱がせてくださる?


[...はベッドから起き上がると三歩離れた距離にいるカザリへと声を掛けた。
 着る衣装は修道院の服だ。
 地味で質素、紺色の修道女の服。
 尤もシオンのそれは内側がえらく精緻に編み込まれたレースを使っていたり色合いが派手なものがあるのだがそれはそれ]


  ほら、早く〜。


[これは我儘なのだ。
 深いつながりはない。
 強い絆もない。
 それはまるで蜘蛛の糸のようなものだけれど、
 灰色だらけの世界で唯一見える色は存在を誇張して見せられてしまうのだ。

 例えそれが錯覚であったとしても、
 縋るものなど存在しないのだから――**]

大丈夫ですか〜。

[やばいなって自覚はあった。
けど久しぶりの深酔いがふわふわして
思いの外気持ち良かったから自制せずに飲んで、
用を足せばちょっとは酒が抜けるかとトイレに向かった。

そこでちょっと洒落にならない声が聞こえたので
誰だか判別出来ない後ろ姿に声をかける。
返事の代わりにまた嗚咽が聞こえたものだから
さすがに本気で心配になって背を擦ったら
振り返った顔がまさかの見知った顔だったわけだ。

相手がトイレに行っている事も覚えてないくらい
俺も大概に酔っぱらっていたわけで
やばいって思ったのは間違いじゃなかったらしい。]

ほんとに大丈夫ですか?

[心配はもちろんしている。
けど苦しさから薄っすら滲んだ涙で潤む目が
妙に艶っぽくて目が離せなくなっていて、
吐くの手伝いましょうか、なんて口実を口にして
しゃがみ込む相手に覆い被さるように身体を寄せた。]

[唾液でわずかに濡れた唇は滑りが良くて
触れたらぬるりと容易に形を指先に伝えてくれた。
その柔らかい感触にぞくりとして
いけない事をしている気になってくる。

けどそれが逆に好くて濡れた跡を辿るように
唇を何度も撫でて、指は次第に口内へ侵入した。
しんどくて抵抗する気力もないのか
それとも酒で完全に頭がやられてしまっているのか、
彼の唇は俺の指を受け入れるみたいに開いた。

歯列や頬の内側を柔く撫で弄って
その度につらいのとは違う息が漏れるのが楽しくて
吐くのを手伝うって言ったくせに
まるで目的を果たそうともせずにしばらく弄ぶ。
その度に唾液が溢れて余計に酷い有り様になった。

そのうち指じゃ物足りなくなって、
気付いたら口を塞ぐように口付けていた。]

[徐々にしんどいのとは違う顔が見えてくる。
可愛いな、なんて調子乗って舌を奥に進めたら
突然強い力で身体を押し退けられてしまった。

やり過ぎたかと一瞬冷静になる。
その上、相手が笑い出したものだから
完全にその気になっていた俺は置いてけぼりを食らう。
けど聞こえたのは想像とは全然違う言葉で。]

はは。うそでしょ。

俺、


男ですよ?

[彼の言の通り、確かにそこは布を持ち上げていて。
素面だったらあり得ない状況に驚いたりするんだろうけど
すでにまともな思考なんてしてないから
自分を棚上げしてからかうみたいな言い方して
主張するそこをやんわり撫で上げてやった。

もっとヤバい事になればいいのに。
そんな悪意が顔を出す。]

[どうやらその悪意は役目を果たせたようで
イエスとしか答えられない問いかけを投げかけられ、
答えを声に出す前に俺はネクタイを掴まれた。

自分からも股間押し付けちゃってめっちゃエロいなあって
可笑しくなってにこにこしてついて行った俺の姿は、
一緒に飲んでいた知人達からしたら特別な事じゃなくて
『憧れの先輩に構われて嬉しそうないつもの俺』程度にしか映ってなかっただろう。

手を恋人みたいに繋いで歩くのなんて
いつもの俺だったら飛び上がるくらい嬉しいのに、
もう頭の中がその先の事ばっかりで
ずんずん先に歩いていく相手がホテルとは別へ向かっても
全然気にしないまま素直に付いて行った。

コンビニのトイレから出て来た時、
彼が割とすっきりとした顔をしていたものだから
もしかして抜けたのかなって少し距離を取る。
正気に戻ってる可能性もある。

けど店を出た途端、やっぱり手は繋がれたから
ああ、まだ酔ってるのかなって安堵した。]

[そのうち相手の部屋らしき場所に連れ込まれて、
もう人目もないんだからって壁に押し付けた。]


…責任取ってほしいのは、俺の方ですよ。


[正気に戻られる前にって気が急いて
貪るみたいに唇を少し乱暴に押し付ける。

今まで自慰だけで済ませてたのに。
貴方はノンケだから想うだけにしとこうって思ってたのに。
エサぶら下げて飛び込んできたのはそっちだぞ。
俺の頑張りを無にした責任取ってくれよ。

…酔ってる間だけでいいから。

持っていたコンビニの袋が足元に落ちて、
中に入っていた避妊具の箱が零れ落ちたけど
今すぐ必要じゃないやってそのまま捨ておいた。]*

[ちっとも喉の奥を擽らない突っ込まれた指の動きは
如何にも、口付けを連想させて。
ぼやけた頭で反射みたいに舌に見立てた指に
熱い舌を柔らかく絡めて返す。

ずるりと擽るようにして引き抜かれてゆく指を
追いかけて唇から少し突き出した舌先に
今度こそ正しく舌の感触を感じたから
もっと寄越せと掴みやすかったネクタイを引いて
不快口付けを強請った。

個室の壁に反響して響く吐息の音は気分の悪さもあって
最中のそれみたいにやたら湿った音をしていたから
耳で聞くその音に頭がさらにばかになる。

きもちいいな、って思った瞬間に
一気に気持ち悪くなって嘔吐したが
きもちいいに完全に反応し出してた体は
嘔吐く息苦しささえ快感みたいに勘違いして
なんだかもうよくわからない。]

[すっかり馬鹿になってる頭が体を誤作動させたのか
それともそれが正しい反応なのか、それはさておき。

床に座り込んでいた足を開いて晒す
面白報告に相手も笑ってくれるから機嫌をよくして
口の中に残る残骸を唾と一緒に吐き捨てて
ペーパーで口元を拭いながら一緒に笑ったのも束の間。

確めるみたいな手が触れてくるから
嘘じゃないって押し付けてやったら、純粋に気持ちよくて。

笑いだしながらできるだけいやらしく腰を揺すってやった。
単純なもので、他人に其処を触れられただけで
頭の中はすっかりセックスの事を考えていた。
なにやってんだろうって考える理性なんて
もうすっかり酩酊しきってる頭には残っていない。

溜まってた、なんて言い訳もできなくはない。
前に女を抱いてから随分間が空いていたから
ふれてきたその他人の温度が、欲しくて堪らなかった。]

[ネクタイを引っ張る手を解いて手を繋がせたのは
かえる、と報告に行った先の友人だった。
そこはやめなさいと言われて素直に
ネクタイを放して促されるまま手を繋いだ。
想定と違う指の絡め方をしただろうけれど
細かいところを指摘されることはなくそのままになった。

コンビニに立ち寄った時も、出る時も。
繋いだままだった。体温が恋しくて。

男二人でおてて繋いでコンドームを買いに立ち寄ったなんて
思い出したらもうあのコンビニには二度と立ち寄れないだろう。]

[相手が男だとか、職場の後輩だとかは
大分前からあんまり認識してなくて
壁に押し付けられて打った背中の痛みも何処かとおい。

ただ、性急に求められるのが嬉しくて
くふふ、と口付けの合間に機嫌のよい笑い声が零れる。
濯いですらいないげろ臭い口の中を嘗め回されて
相手の唾液の味にすり替わって薄まって行く。
そっちの方が良いやってただそれだけの思考で
こっちからも緩慢に舌を絡めて返した。

人目があるところではわりとしゃっきりしてたくせに
未だ、ひとりぶん、人目がある筈の二人きりの部屋で
すっかりぐにゃぐにゃに戻ってしまって
支えきれない体重に引っ張られるように
ずるずると背中が壁を滑って行く。]


 ───は ……
 なぁ、もっと。


[ずり落ちた所為で口付けを解いたのは自分の癖に
何処か不機嫌にぐずる子供みたいに唸って。
首裏に腕を絡めて、甘ったれた声で強請る。

強請った癖に待てなくて、噛みついたけれど
いってることとやってることのちぐはぐさに気付くことはない。]

[ただでさえ酔って高い体温がさらに上がって
犬みたいに舌を出してはふはふ言いながら
玄関に座り込んだまま、出した舌を絡め合う。
ジャケットを脱いで剥いで、ネクタイを解いて解いて
二人分がその辺の床に雑にぽいぽい捨てられていった。

玄関の段差を這うようにして辛うじてよじ登ったけれど
靴が片方脱げなくて諦めたようだ。
もう片方は靴下ごとずるりと抜けた。

ベッドまでたどり着くのがもう面倒くさくて
ひんやりしてるフローリングの床に吸い寄せられて寝転がる
つめたい、きもちいい、ぬるくなった、移動。

口付けで気持ちは満足して寝床を探す様にもぞもぞしだす。
移動の最中すっかり落ち着いてしまった下肢は
口付けでまた反応し始めていたが
今はそっちの欲求よりも眠い方が勝っていた

開けた胸元を落ち着き切らない呼吸で上下させ
上気した頬を淡く染めて
とろんと蕩けた眼をして、こいこい掌で誘う。

一緒に寝ようと誘っているようだ。
寝るの意味は、無論、『眠る』の意味合いしかないが。*]

[噛み付かれるまま唇を合わせて
応えるうちに僅かに残ってた理性も溶けていった。
全然ロマンチックじゃない、獣みたいなキスで
口の周りが唾液で酷い有り様になっていっても構わず
半ば襲われるみたいに服を脱がされた。

始めてくる場所、室内は真っ暗、酔い潰れた頭。
トリプルパンチで全く足元はおぼつかない。
頼みは家主である相手だけなのに
その当人は這いつくばって歩く気すらないらしい。]

ははは、葛西さんが溶けてる。ウケる。

[普段涼しい顔してる相手がだらしない恰好で伸びてる。
その光景が酔っ払いのツボに入ったらしく
一人しばらく笑いが止まらなくなってしまった。

呼ぶ掌の動きに誘われてのそのそ近付いては
そこが床だってだけでまた笑いが込み上げてきた。]

ほら〜、風邪引くから〜。

[笑いが治まる頃には情欲もわりと治まっていて
相変わらず床に転がる相手を心配する余裕も出てきた。

さすがに男を抱きかかえるような筋力はないので
脇を抱えて引きずるようにベッドへと持ち上げる。
叩きながら声をかけたら相手も少し協力してくれただろうか。]

[玄関にコンビニ袋を放り出していたのを思い出した。
さすがに少し目が慣れてきたから、
脱ぎ捨てられた衣類に躓く事なく玄関に到着。

飲料を冷蔵庫に入れて、
勢いで買ってしまった避妊具を手にベッドへと戻った。]

誘ったのそっちだぞ。

この無責任男め。

[こっちもその気はもう萎えたし、
酔っ払いを同意なしでどうにかするつもりはない。
何より正気に戻った時の反応が怖いし。
でも散々その気にさせといて、当の本人は
もう寝る体勢に入ってるってのは妙に腹立たしい。

少しくらい仕返しの悪戯をしてしまっても、
後でネタになるくらいの冗談だったら許されるだろう。

箱を開けてびろんと繋がった避妊具を取り出す。
それを今にも寝そうな相手の目の前に垂らしてやる。]

6個入りだから、一人ノルマ3個ですよ。

中身出しといた方が、それっぽいかな。

[一つ切り離して開封。
抵当に伸ばして使用済み感を演出しておこう。

眠たくなるまでそんな工作で時間を潰すつもりだが、
俺より泥酔している家主は眠ってしまっただろうか。]*

── 修道院 ──

[監獄のような場所。
 此処での生は死と同然だと云う者もいる。
 此処に来たことで、全ては終わったのだと。

 けれど、それならば私はどうなのだろう。
 この修道院の門前に捨てられていた私は、ここより他を知らない。
 始まるより先に終わった生、なのだろうか。

 わかっている。考えること自体が無駄なこと。
 終わりを嘆く彼等が羨ましいだけなのだと。

 だから、今日もこうして]


  そうでしょうか?
  木桶の水はまだ汲んだ時のまま
  かわらずに冷えておりますが


[遅いと言われているのはわかっている。
 当たり前だろう、敢えて回り道をしているのだから。
 けれどそれは、単に困らせるためだけではなく]


  たまにはご自分でされては?

  暇をつぶすという意味ならば
  その方がよほど


[繰り返される毎日。
 仕事を一つ片付ければ、また次の仕事が現れる。

 けれど、全て片付けてしまったなら後には空白が広がるだけ。それが何よりも恐ろしいから]


  ……かしこまりました


[回り道も、反発も元を辿れば同じ。
 後に広がる空白の時間を少しでも遅らせるためのもの。
 だから結局は要求通り、彼女の服へと手をかけて]
 
  今日の色は、紫ですか?
  こちらの色は、青が強いようですが

 
[ぷつり、とボタンを外していけば裏地に使われたレースの色が目に入る。
 修道服に相応しくない艶やかな色、夢に見た色に近いと目を細めた*]
 

―― 修道院 ――

[此処は現世に現れた地獄のような常世の世界。
 煌びやかな世界を知る子女にとってはそう映る。

 だが、平民はどうだろうか。
 動乱を知る平民にとっては此処は楽園なのかもしれない。
 日々に食事に困ることはなく。
 暖かな寝床が用意されている。

 その差が一層と子女たちを浮世離れさせて見せているのだろう]


  そうよ。
  それにね、今は冬前よ?
  温めてないなら冷えたままで当然でしょう。


[一日は長い。
 だから此処での生活に於いて遅れることをとやかくと詰める必要はない。
 必要がないことをしているのは時間を弄ぶからだ。
 未だ十代の身にとって一日はとても長く感じるものだった]

  私にフォークより重たいものを持てと?
  そんな事を言うんだ?


[...は口角をあげた笑みを浮かべた]


  今夜のお風呂、連れていってあげないわよ。
  その手……痛いのでしょう?


自分のために作らせているあかぎれの手指を視線で示す。
 この修道院での娯楽は限られている。
 その中に地中より湧き出る湯があった。
 それを張った湯舟が地下にある。

 温かいと言っても色付きなので洗濯や飲料には向かないが、
 身体を温めることはできる。
 子女は従者を伴い其処に行く。
 時間は分けられているので混むことはない。

 臭いもあるので頻繁に入る子女は少ないが、
 ...は毎日のように其処へと通っていた]

  い〜のよ、見つかっても見ぬ振りなのだもの。
  少しくらいはお洒落をしないとね。


...が折れることはない。
 手を広げて着替えしやすいようにして脱がされるまま、
 着せられるままにしている。
 誰かにしてもらうことに慣れていると言っても良い。
 甘やかして育てられた王族の末娘に自分でを期待する方が酷だろうに――]


  そうそう、そろそろハロウィーンでしょう?
  皆全然乗り気ではないのよね。

  だから――。


[...は楽し気に笑う。
 夢の中での笑いのように、一寸変わらず少しでも世を楽しもうと空元気を振る舞う]


  今年は私たちだけでするわ。
  お部屋を飾って、衣装はお父様にお願いしましょう。
  衣装は貴女も着るのよ?


[...は着替えさせてもらいながら小首を傾げて貴女を見つめる**]

 

[ 神託の実は、伝説通りに赤色をしていた。

 ────粘液に塗れた拳大の、脈打つ塊。

 恐ろしい程に美しく鮮やかに、赤く、
赤く

 管を通して流し込まれる魔族の血液に
            丁度よく似た色彩の。** ]

──寝所──


 触ってみてからのお楽しみ?
 言うじゃない。


[試すような物言いに
今回は怒りを覚えることなく
むしろ心地よい程度の挑発であった。

その視線が下がっていくのも
これほど近ければ手に取るようにわかる。

彼女の瞳には無毛の身体が目に入るだろう。]



  
「恋人」



[彼女の言葉を聞いた瞬間
それはするりとメイベルの心に滑り込むけれど
メイベルには未だ恋人の概念が無い。]


  ────っ。


[だからそれを想像のままに行う。
唇を触れ合わせると互いの柔らかな感触を覚える。
感じたままに唇をもう少し押し付ける。

そうすると、もう少し長く、長くと想いが込み上げて来て
彼女の方のベッドに片手を着いて
更に彼女の方に身体を寄せる。]*

 
 そう、
「恋人」。

 メイベルは誰かを好きになったことはある?

 私はあるよ。
 この世界の相手でも、「原作」越しになら。

[ 目で微笑んで彼女に口づける。最初は軽いキスから。
 次には彼女がもう少し長く押しつけてきた。
 その間にも幾らかの強弱を加えて押したり、引いたりして。]

 
 ……ん。言葉がなくても。
 相手のことを思ってみたり、感じてみたり――ね。

[ 私の近くに手を突くメイベルに頷いて、乗り出した形の彼女へ
 伸び上がるようにして、キスをする。
 彼女へ身体が寄り添えるよう、少し身動ぎして場所を作って。]

 ……ふふっ♪

[ 楽しげな笑い声だけ、投げかけた。
 手をメイベルの裸身へ伸ばす。
 探る先は彼女の腕。どうしようか迷うようなら、
 まずは私のパジャマを脱がせて貰おうかな、って。]*

[ねむたい。一気に眠気が襲って来た。
もういえついたしねていいはずだねる。

床にぶつかってずれる眼鏡が邪魔だが
それを外すほんの僅かな動作すら億劫で
心地好い温度の床に擦り寄って懐く。

げらげら笑う声がうるさいけど
段々聞き慣れてきたら気にならなくなった。

うつらうつらと遠ざかる意識を
引き留めるように引き摺られてむずがるみたいに唸る。
けれど逆らうより従った方が早く解放される気がしたのか
逃げようとしたのか自分でもわからないまま
もそもそ起き上がって歩き出し、自分で寝室迄移動した。

片足土足のままベッドによじ登ってひと心地。
手を伸ばしてボスボス叩いて枕を求めたが
手が届かないまま力尽きて
ベッドの足元1/3くらいのスペースで落ち着いた。]

[夢現に足音を聞いていたら遠ざかって、戻ってきて
ぎしりと小さくベッドが鳴いた。
ガサゴソしてるから何してるのか気になって
眠い目を擦って這いずり転がり近付く。

探し求めていた枕の代理をみつけて
頭乗せたらそれは堅い膝だった。まぁいいか。

欠伸と生欠伸の中間みたいな吐息を零して
伸ばされる薄ピンクを眺める。

ああ、そういえばそんなの買ったな。
なんでだっけ、なんのために?

のるまみっつ。
鸚鵡返しに繰り返して切り離された残りから
真似るように一つ切り離す。
もたつきながら封を切って…
ああこれしってるやつだ、と思い出した。

ちんぽにそうちゃくするやつですね、わかります。

のるまはみっつ。みっつつければいいんだ。
そしたらねていい。
なんてぽやぽやしながら理解して

……目の前の、自分のじゃないファスナーを
唐突に、脈絡なく、遠慮なしに降ろした。]

[ずぼっと強引に手を突っ込んでごそごそすれば
ふにゃっとした感触を捕まえた。
引きずり出すのに少し苦労して
ぐにぐに擦ると揉むの中間くらいの感覚で玩ぶ。

たたせなきゃ、かぶさらないですね、はい。
なんっか気持ちよく無いなぁ感覚鈍いなぁなんて
自分のじゃないから当然なのに不思議そうに首を傾げる。

たたせるの、どうするんだっけ。
半分寝落ちかけてる頭で必死に考える。

『じゃあ、はい、勃たせて。』

いつかの自分の声が頭にこだまして
その時押し付けた小さな唇の心地よさを思い出す。

しゃぶるときもちいい。
だれが?
辺りを見渡して確認して
握ってるちんぽと俺しかいない、なんて納得して。
じゃあしかたないな、と手の中の柔い肉の先を
ぱくりと。唇で食んだ。]

[やり方が良く解らないことに不思議な気持ちになって
なんでだ?って思うけれど
そもそもさせたことはあってもしたことなんてない
なんて簡単な答えに辿り着けない。

先端だけ浅く咥えて、肉の割れ目を舌で擽る。
なんだか不思議な味がして唾液が溢れたから
塗り込めるようにして丸い切っ先を舌の腹で擦る。
まるで飴でも舐めるように口の中を舌が泳ぎ回り
亀頭とその境目迄を撫で廻す最中
時折エナメル質が過敏な皮膚に掠める。

二本の指で輪を作った指が包皮の名残を摺り下げるように
竿を下まで扱いて……
……あ。これならわかる、みたいな顔をして
そのまま上下に扱き始めた。

呑み込む事を忘れた粘ついた唾液が滴り落ちて
それを泡立てる速度で扱く指が、時折
根元で止まっては陰嚢との境目を撫で摩る。

自慰の時、そこを摩る心地よさを思い出して、
むずむずして、無意識に内股を摺り合わせた。*]


  ……誰よ、それ。

[アリアが誰かを好きになった事がある
と言った瞬間に私の心が赤く染まる。
彼女の細い腕を強く掴む。

私たちは
「恋人」
なのに。

──違う。
恋人、みたいな口付けと言うだけで
そんな知らない関係では無いはず。
思考の変化に違和感に気付くが、訂正出来ず。

困惑してると彼女が伸びをしてキスをしてくる。]


  ……ふん。
  触りたいのでは無かったかしら?

  それとも、触って欲しいの。
  あんたの元の体じゃない、その身体を。


[彼女の元の世界について話を聞けているなら
アリアの身体が元々の体でない事は聞けていただろう。]


  ……その身体をどうして創造したの。
  
  あんたもしかして。
  こう言う体型が好きなわけ?


[彼女に誘導されるまま
服をやや乱暴に脱がせれば
私と同じように平らな上半身が露わになるか。]


  教えなさい。

  言わないと……。


[敢えて強制の能力を使うこともなく
頭をゆっくりと沈めて、細い身体に唇を当てると
歯で噛み跡をつける。]*

 
 ひゃ、っ、

[ メイベルの雰囲気が急に変わった。
 怒ったような声にあう、って声にならないまま口を動かしてしまう。
 ごまかすようなキスになってしまった。
 後でちゃんと埋め合わせ、してあげないと。

 ――
「恋人同士みたいに」
そう言い出したのは私なのに、
  私まで呑まれてしまっている事には気づかなかった。]

 ……それは……どちらもだよ。
 ……元の身体じゃなくても……気持ちは、続いてるもん。

[ む、と唇を尖らせるようにして言う。]

 
 どうしてって……

[ パジャマに掛かる手を手伝うように腕と身体を動かして、
 脱がされてしまえば少女そのものの小さな身体が現れる。
 問い詰めるような言い方に、メイベルの身体を眺め返した。]

 体型が好きって訳じゃなくて。
 女の子を主人公で書いてみようって思ったの。

[ 教えなさいと言われれば答えは返そうとするものの、
 少し間に合わなかったか肌にちくりと痛みが走る。]

 ……んっ!
 ……本当、だってば……!

[ お返しだ。噛まれたとこと同じ辺りに手をやって、
 指先でつねるみたいにして返す。
 つるり、と肌が逃げたなら、また摘まもうとするのだけど
 メイベルが躱せば撫でるようになってしまうかも。]*



  ……んっ!

[ぴりり、とした感覚が胸に走る。
私は自分から避けたりしない。
客人で稀な力を持っているとはいえ
肉体的にはただの人間がすることを
私が避けたりするのは威厳が保たないから。]


 この世界で生きていくなら
 もっと大人の女の方が良いと思うけど?

 そうよ、やっぱり嘘だわ。
 あんたはアリアみたいな身体が好きなの。


[仕返しをして来た手を掴み
もう片方の手も掴んで、両手を彼女の頭の上で
ベッドに押し付ける。]



 それなら。

 私の身体だってアリアは好きになってくれるでしょ。



[私はやはり顔を近づけてアリアの間近で言葉を投げた。
その瞳は翡翠の物にどこか
蒼色
が混ざっている。

そのまま唇を重ね合わせると
今度は長い時間、息が苦しくなるほど口を合わせていた。

彼女が動こうとしても
出来るだけ手を拘束したままで。
本気で振り払えば、動けるでしょうけれど。]*

[少し冷静になったとは言え酒が抜けた訳でなく
突然膝枕してきた相手にまた笑いが込み上げてくる。

自由人かよ。]

そうそう。ノルマ3つ。

[自分の2つ目を開封しようとした手を止めて
寝惚けながら素直に言う事聞いてる相手を観察する。
やる事分かってんのかなってにやにやしてたら
いきなりこっちのファスナー下げられたもんだから
もうにやにやじゃ済まなくなった。]

間違ってないですけど、ははは。
葛西さん、扱いが雑!

もっと大事に扱ってー

[適当に下着に手を突っ込んで
色気の一つもない手付きで触れるのがくすぐったくて
また笑いのツボが刺激されてしまった。]

[何も分かってない寝惚け顔で俺のを弄ってる姿に
大声上げないように何とか堪えながら笑って
特に止めも手伝いもせずに好きに遊ばせておく。

だって面白いし。
こんな無茶苦茶な葛西さんなんて見た事ない。]

…ふぁ っ

[けど余裕かましてたそこを突然別の感触が襲って
不意打ちすぎるそれに変な声が出て腰が引けた。

え。え?
何で口に入れてんの、この人。]

どんだけ頭溶けてんですか…

[何やってるか、分かってんのかな。
俺の陰茎にしゃぶりついてる相手の髪を撫でながら思う。
お世辞にも上手とは言えないんだけど、
やっぱり男同士だからか時々めちゃくちゃ良い所を責められる。

相手の唾液でびちゃびちゃになって
舌や頬肉から伝わってくる体温に腰が疼いて、
聞こえてるか分からない相手に向かって
時折俺の好きな場所とかやり方を囁いたりして。]

葛西さん、じょうず…
そうやってるの、めっちゃかわいい…

[俺はちょっと物足りないくらいの今ので十分で
この人にフェラされてるって状況の方が良かったんだけど
まあ相手は酔っ払いでこっちの都合なんて関係なくて、
突然俺の陰茎は暖かい所から追い出されてしまった。

けど残念に思う余韻もないまま次のフェーズへ。
恐らく相手が普段してるのと同じ手付きで
俺の感覚とか昂ってくるスピードとかお構いなしに
淫猥な音をさせて無遠慮に擦り上げてくる。]

待って待って。
ちょっ、速いですって…!

[逃げようと思えば逃げられるのに
制止を求める頭とは違って身体は動こうとしない。

気持ちいい。もっと激しくしてほしい、ってのと
彼にされてる時間を楽しみたいって感情が入り混じる。

イきたいのにイきたくない。
もうめちゃくちゃだ。
身体を支えようと後ろに付いていた腕が振るえる。]

[自分の事でいっぱいいっぱいで
物足りなさそうに脚をむずがらせているのも気付かず、
小刻みに弾む息が限界が近い事を知らせる。

もうイきたくないなんて考える余裕もなくなり
早く吐き出したくて相手の手の上から手を重ねて
いつもやってるみたいに一番いいところを責め続ける。]

…っあ、ぅ、っはぁ…

[出るって瞬間、目の前にある彼の顔を見下ろして
薄いゴムで隔たれて外に出るはずのない白濁を
まるで彼の顔にかけているみたいな姿を思い描いた。

大きく呼吸を繰り返して余韻を味わって、
もう一度見下ろした相手がまだ眠っていなかったから]

まず1つ目、ですね。

[転がった姿勢のままの相手の足元に移動して
脱力した彼を仰向けにして強引に下着ごとスラックスを引きずる。

そこは完全ではないけど変化は確かにあって
男のちんこ舐めて勃てるとか素質あんじゃん?とか
エロい事で塗り替えられた頭で考える。]

[一度出して少し元気のなくなった己を
少し締め上げてもう一度勃たせてから再度ゴムを装着。]

こんなのやった事、ないですよね…?

[答えの期待していない問いを投げてから
相手に跨ろうとして変に突っ張るスラックスを脱ぎ捨てた。仕切り直して無防備に転がる彼を見下ろして
この人、こんなんで大丈夫かなってちょっと心配になって
まいいか、今いるの俺だしって変な納得をして跨った。

膝立ちで腰を下ろしたら反り上がった陰茎の先が
ぐいと柔く陰嚢を押し上げて
もう少し力を入れるとずるんと跳ねた。

内股、足の付け根、また陰嚢と
一番敏感な場所だけを避けて擦りつけて遊んで
あんまりふざけてると寝ちゃうかなって時折顔を覗き込んだ。]*

[ まるで頭髪のようだと思った。
 滑らかな銀の毛なみが、頭頂部の長角の間だけ色が変わっていた。

 見間違えだと信じたかった。
 その部分が乱れると、額に刻まれた紋様が垣間見えた。

 黒い痣のような、複雑に描かれた──── ]

違う、魔物に御印があるわけがない……!

[ そんな否定は言葉ばかりだった。
 生まれたのは、信仰で抑えきれない疑念。

 胸の中央、その奥の奥で
 今も神託の実が、あの赤い姿で脈を打つ。

 魔物の血と人々の称賛を浴びている日々では、
 意識から遠ざかっていたその感覚が蘇る。
 まだ消えてはいない傷跡が、痛覚を刺激し主張する。 ]




  「もうやめておけ、余計なことを考えるから
      そうやって身体までおかしくなるんだろうが。」

[ 何も仲間達は不理解だけで否定しているわけではなかった。

 痣の発熱と体調不良が始まったのも、実らぬ調べ物を始めた頃から
 ただでさえ発動に激痛を伴う力、無駄に体力を奪われるのは辛かった。

 心配してくれていた。俺達はきっと、本当に仲間だったと思う。
 それくらいは信じないと、あの日々に救いが見えない。 ]

[音声アナウンスが聞こえる。
どこをどうとかじょうずだとか。
これ何だっけって思いながら、
先っぽだけしゃぶってたものを口から引き抜く。

うん、いい感じに勃起したじゃん。
いいぞ、つよそうだ。

封だけ切って投げっぱなしだったノルマ分を取っり出して
少々もたつきながら被せて根元まで下ろして行く。
ラテックスだったかポリウレタンだったかの
透明なやつに包み込まれたグロテスクな肉は
窮屈そうで気の毒にみえて。

わかる、めっちゃわかるわ。
イきたいよなぁ、って心の中で語り掛けて
今楽にしてやるからなって良く解らない使命感で
自慰の続きをするつもりで扱き始める。

液だまりに先走りが溜まり始めてぷくりと膨らむのなんて
普段あんまり見てないからなんか面白くて
弄ってみたり、舌を這わせたり好き放題だ。

競り上がってくる睾丸を皺をのばして転がして遊んでたら
びくびく震え始めたから、あ、これイくなって
理解して、駄目押しに薄い膜越しにじゅ、っと
先っぽをきつく吸い上げてやった。]

[いつの間にか重なってた手が強引に
狙いを定めるみたいに角度を変えたから。
顔に掛かる覚悟をしてぎゅっと目を瞑ったけど
薄い膜に阻まれたそれが飛び出してくるはずもなく
無事に済んだ目元を、あれ?と不思議そうに瞬かせた。

きょとんとしながらも手癖で外して片付けて。
中身が零れないよう結んだそれをティッシュに包んで
ゴミ箱に捨てるまでの一連の動作の間
漸く理解したみたいな顔になる]


 なるほど…


[神妙な顔で頷く。
さてはおまえ、俺のチンポじゃないな?
それなら気持ちよさそうにイってたくせに
全然気持ちよくなかったのも納得だ。

ひとりしみじみと頷いてる間に
転がされて尻が涼しくなったがよくわかっていない。

芯を持ち始めてるけどまだぐにゃっとしてるのが
ぽろんと下着の引っ掛かりから零れて。
シーツに触れるのがちょっと気持ちよくて腰が揺れたら
相手からは誘うみたいに
尻を振ってるようにも見えたかもしれない。]

[なんかきかれた。こんなのってどんなのだ。
聞き返す前に微妙に閉じ切ってない腿の間に何かの感触。

擽っては逃げて行くそれを捕まえようと
腿の内側に触れた瞬間足を閉じて挟んでみる。
けどまた逃げられた、なんだこれ。
よくわからないけどちょっと気持ちよくて
ん、って鼻から甘えた音が抜ける。

気持ちいいけど、全然足りない。
入る穴を求めて無意識に、マットレスに押し込もうとして
シーツに擦り付けるかたちに腰が揺れる。

顔を覗き込もうとして被さる影に何度か目で気付いて
のろのろ見上げてみたら、何か知ってる顔が在った。
こんな近すぎるバグった距離感なのはこいつしかいない。
そんな観点であんまり見えてないけど間違いなく認識する。]


 御門……?
 なにしてんだ、これ。


[なんか、気持ちいいけど物足りなくて。
けどお前が居るとこでそんなことはしない筈だ。

何となくそんな気にならなくて自分でも処理してなかったから
シーツに擦り付けただけでももうがちがちなのに。
このまま気持ちよくなりたいのに、お前が居るならだめだね。
うん、しゃかいじんとしてしぬ。]

[あれ?でもここは俺の家で俺のベッドだ。
おまえがいるはずがない。
自分で連れて来たくせにすっかり忘れているようで
そう自分に断言できる妙な自信があった。
というか、このまま気持ちよくなりたいから
居ないで欲しいという願望に大分負けている]


 ……ああ、なんだ。
 ゆめか、これ。


[よかった、御門はここにいない。
よって続けてもしゃかいてきにしなない。
だいじょうぶだ、もんだいない。

そうか人肌恋しさに可笑しな夢を見ているんだ。
思い返せば確かに最近一番感じる他人の体温は
こいつのちょっとやりすぎなスキンシップくらいだ。
距離感バグってんだよなぁ、こいつ。
ならしかたないね、おれはわるくない]

[夢なら好きに触れていいですね、って
誰かに言い訳しながら体を捻って
唇を重ねてみたがちょっとずれた。
あれ?おかしいな。

やりにくいので殆どラリアットみたいな勢いで
ベッドの上に引き摺り倒す。]


 うん、御門だ。ゆめだな。


[近くで確認して、再度納得。
半端にずり下ろされて引っ掛かった
邪魔なスラックスと下着を足でけって脱げば
片足だけしつこく残ってた靴もついでに脱げて自由になる。

脱げ掛けの靴下が引っ掛かった足で
もっとこっちに寄れと口で言う代わりに力技で引き寄せた。
改めて唇を重ねるけれど
まだどこかへ行ってくれない眠気に捕らわれたままなので
唇を擦り合わせながら時々一時停止する。

夢なんだから都合よく女みたいな穴がないものか
適当に腰を揺らしてみたら棒にあたった。
なんだよ、リアルだな。まぁいいか。]

[どっちがどっちかよくわからなくなって
二本まとめてひっつかんでみたら
熱くてつるつるしたのが擦れて気持ちよかったから
擦り合わせるように捏ね合わせながら興が乗って腰を揺する。

重量オーバーのベッドが揺れて
マットレスのバネが支えきれずちょっと軋んだ。
もっと、密着させたくて足を絡めなおしたら
押し込む様に揺らすたびに乾いた肌と肌が当たって
ぱつぱつ鳴るようになって聴覚から犯されて
頭の中まで完全にその気になっていく]


 は  ……っ、…ふ  、ン……
 ふふ、なんか、…せっくす、してるみてぇだ。

 ね?
 へんなの。

 っ、……あーー…きもち…


[こっちは何もつけてないから、だらだら漏らしてるみたいに
溢れるカウパーがかぶせてあるつるつるの表面に擦れて
ぬるぬるするのが堪らなくて。
段々腰を振る速度が早くなってゆく。]

[まずい、まずい、このままじゃシーツ汚す。
まだ我慢してるつもりでもいまいちその辺の感覚が
普段より若干緩い自覚はあって
手探りに定位置のティッシュを探すが、
さっき床に落としたようで指に触れない。

焦れば余計に、変に焦れて。
良く解らない拍子に一気に堪らなくなったから
さっき足で脱ぎ捨てたスラックスを手繰り寄せた。
シーツを汚すよりそっちを汚す方が厄介な事くらいは
理解しているので目当てはそれ自体じゃない。]


 はあ……っ、あ、あ……っ、も、出す、出る……


[譫言みたいに吐息で喘ぎながら
間一髪で手繰り寄せた下着で先端を包み込んで、吐き出した。]

[濃いのが数回に分けて、どぷどぷとあふれ出す感触を
息を詰めてやり過ごし、はぁ、と充足の滲む溜息を零す
汚した下着はゴミ箱辺りに放り投げた。
多分音的にちゃんと入った気がするので確認はしない。

じんわり額に滲む汗に前髪が張り付いているが
もう払い除けるのも面倒くさい。
けど幾分か、瞬間的に目は醒めた。
多分この後倍になって雪崩みたいな眠気に襲われるけど]


 なぁ、これ…つぎ、どうするか、しってる?


[セックスみたいなこれの終わりが良く解らないので
目の前の男に聞いてみる。
返事を待つ傍ら唇に唇でじゃれつく。
なんかほんとにセックスしてるみたいだ。
とくとくと少し早くなった心臓の音が
摺り寄せて重なった相手の胸にも伝わっただろう。*]

えー…

いたずら…?

[なにしてんだって聞かれて、ぼやけ頭で考える。
セックスかなって思ったけどまだ入れてないし
そうだ、なんかヤったっぽい雰囲気にしとこうって
そう思ったのを思い出して適当な単語を選ぶ。

俺が何もしなくても腰が揺れ始める光景が
なんか面白くて少し好きなようにさせてみるけど
やっぱり見てるだけじゃ物足りなくなった。]

シーツに擦りつけてるだけなのにね。
よっぽど溜まってたんですか?

そこんとこ、どうなん――うわっ

[時折見上げてくる視線がまともじゃないのは明らかで
それでも相手の口から言わせたくて
答えが返って来るかも分からない質問を投げかける。

ちょっとウザいインタビュアーみたいな口調で
マイク替わりの拳を相手に近付けようと顔を寄せたら
突然衝撃に襲われてマットレスに沈んだ。]

[間近でなんか納得したみたいに俺の名を呼ぶ彼。
ゆめか。そうですね。こんなバカげた状況、夢だ。

でもいつもの夢とだいぶ違う。
いつもの彼は自分からキスしてくれないし
恥ずかしいから見ないでくれとか言うし、
もちろん自分で腰を押し付けたり絶対しないし、力もこんな強くない。]

…積極的ですね。どうしたんですかー?

[俺のこと、好きになってくれたのかなとか
ちょっと想像して浮かれてしまう。

まとめて掴まれた場所が少し窮屈だったけど
それでも夢中になって腰を振る様子がおかしくて
なんか自分の方が犯されてるみたいな気になってくる。

ギシギシと普段の夢じゃ聞こえない音が鳴る。
いつもよりずっと、色んなとこが気持ちよかった。
腕は2本しかないんだから気持ちい場所なんて限られるのに。
なんかあちこち触れてるみたいに
自分のじゃない熱が伝わってきて気持ちいい。]

[けどなんか物足りない。
気持ちいのにあとちょっとだけ足りない。
ああ、そうだ。尻いじってないや。

後ろの気持ち良さを知ってる身体は
もっとって強請るのに手が届く状態じゃない。
寂しがってるみたいにきゅうきゅうと尻の穴が収縮する。

ちょっと我慢してろよ。今日はお前の出番じゃない。]

せっくす、しましょうよ。
ふふ、ぜったい今よりきもちいーから…

[みたい、じゃ足りなくなって
訳も分からず腰を揺らす相手に囁いてみる。
耳元まで口を寄せなくたって、
聞こえてるのはやらしくて生生しい音だけだ。
きっと届いてはいるだろう。]

[動く身体のスピードが徐々に速くなって
相手の限界を近い事が伝わってくる。

一度出した俺の方も敏感にはなってはいるから
似た速度で追いかけてはいるけど、
相手が主体の刺激じゃ時々イイ所を外されて]

もうちょっと、…っ、
葛西さん、もうちょっと頑張って…ん、っふ…

[どうせなら今度は一緒にイってみたい。
頑張れって励ましたり、自分も腰を動かして
一番いいとこを擦ろうとしてはみたんだけど間に合わなかった。

一緒くたに布を被せられて押さえられて
突然寸止めされた快感が名残惜しくて腰を寄せる。
でも伝わってきたのは相手が吐精する僅かな震えだけで
放置を食らった俺の方は痛いくらいに張り詰めていた。

恨み節の一つでも言ってやろうと思ったけど
しおらしく胸を寄せてくる彼が可愛かったので
甘える唇に答えながら汗でへばりついた髪を払ってやる。]

次、は…

[だいぶぼんやりしてきた頭で考える。

せっくす。そうだ、せっくすするんだ。]

穴に入れるんですよ。

[どうやってやるんだったかって記憶を辿る。
俺自身は入れた事ないから、自分がやられた記憶を。]

こうやって、ひっくり返して…

[むくりと起き上がると寝ている相手を転がして
俯せの状態から腰だけ引き上げる。
気遣いとか全然ない乱暴な動作だから
彼の顔がシーツと擦れようがお構いなしだ。]

ここの穴にね、入れるんですよ。

[そう言って未だ中途半端で放置の先端を
どこだったかな、と感触と微妙な記憶を頼りに
尻たぶや割れ目に擦りつけながら探っていく。

そうして太腿の隙間に挟んでみたところ
上手く入りそうだなと一人で納得して、
自信満々に汗で濡れた内腿に陰茎を擦りつけた。]

[置いてけぼりにされた快感を追いかけるように
性急に腰を打ち付けては一緒に違和感が湧いてくる。
確かにぎゅうと締め付ける感覚はあるのだが
すぐにその窮屈さから放り出されてしまうのだ。

けど俺が入れる側でセックスするのなんて
初めてだったからこんなもんかって
考えるのをやめてひたすら陰茎を押し込んだ。

けどやっぱり決め手に欠けて
しかも段々疲れてきたのか頭が重くなって
無理かも、って思ったらイきたい気持ちが負けてしまった。

どうせまた同じようなこと妄想するし
いつか続き見れるかも知れないしなー…。

ふらっと上体が崩れたらそのままベッドへ落ちて
重い瞼を押し上げられなくなって]

…ねむ

[一言呟いて、意識を手放した。]*

── 修道院 ──

[温めていない水は冷えたまま
 彼女のいう通り、それは当然だろう。
 真夏でもない限り、木桶の水が自然と温まることはない。

 かといって湯を持ち込めば良いかといえば、それはまた別の話であり]


  温めたものであれば
  今度は逆に冷えてしまいますが


[湯を沸かせる調理場からこの部屋までの道のりは長い。なにより敷き詰められた石畳の床はシン、と冷えて温もりを奪うもの。
 湯を運んできたところで、どうせ部屋に着く頃には冷めてしまう。

 非効率なことならば、はなからしないほうが良いでしょうとため息まじりにぽつり]

[時間つぶしのやりとりの最中にも、手を止めることはない。
 また、口角を上げた笑みに反応することも
 
 フォークより重たくとも本は持てるでしょう。なんて心の中で言い返したとして、彼女の服を脱がすのも、着せるのもどうせ自分の役目なのだから。

 従者であるかといえばそれは違う。
 自分は彼女専属のモノではない、ただその役を多く任されているだけ。
 身寄りがないということはそういうこと。
 『万一』が起きた時に責任を取らせやすい、そんな位置だと自覚はあった。

 媚びれば良いのかもしれない、そうすればもっと生きやすくなる。
 湯も、薬も、目の前の相手に強請ればよい。そのはずなのに]


  構いませんよ
  温めたところで翌日にはまた水仕事ですから


[湯に浸かるのは嫌いではない。
 とはいえ彼女が来る前は、水浴びで身を清めるのが当たり前だった。
 慣れていることだと口の端をわずかに歪ませて]

[寝巻きを脱がせ替えの服を手に取る

 傷一つないキメの細かい肌。
 この肌ならもっと華やかな色──
 あの夢のような色が合うだろうかと思い浮かべたところで]


  ええ、ハロウィン
  洗濯物が増える日で……

  は、い??


[楽しそうな笑い声に混じり、予想外な言葉を聞いた。
 突飛な提案、けれど彼女ならばきっと出来るだろう。

 長い長いため息を一つ、リボンを結きつつ]


  室内だけ、でしたら……
  それ以上は叱られてしまいますから


[着替えは終わり。
 脱がせたばかりの衣服をくるくると丸め*]

[キスしながらなんか聞かれてなぁって思い返して
溜まってるのかと聞かれたことを思い出す。

どうしたもこうしたも溜まってんだよこっちは。
こんな夢みるくらいには]


 うん、してない。
 女途切れたのが3…4か月前?でぇ…
 最後にヌいたのいつだ…やばい、おぼえてない…。

 最近朝勃ちすらどーにかすんのめんどーで…
 って思ってたらだんだん、すくなくなってきたし

 枯れてんなぁっておもってたけど。
 わりとあるもんだなぁ、性欲。

 やばい、あったかくて、きもちい。


[若干呂律の怪しい声でぽやぽや応えて。
ぜったいいまより、なんて聞こえた言葉を繰り返す。
いまよりか、すげぇなそりゃ。
でもいまはいまでたりてるな。
でもいまよりきもちいいのはきになる。
何と応えるのが正解かわからなくて、んー、とか
ぼんやりした音で相槌かどうか微妙な返事を返す]

[今はいい、という結論が出る頃には
ちょっともうそれどころじゃなくて。
もうちょっと…待てと言われたことは理解したが
なんならもう擦らなくても無理だった。

だめだ、むり、もうでる。
まてっていわれたのに、無様にイってしまう。
そう考えたら余計に興奮して無理だった。
全部気持ちよく吐き出したのに背徳感に背筋がざわつく
さいこうにきもちいいのに今より上があるなんて
ちょっと俄かにはしんじられない。ので。

訊ねたうえでされるがままに身を任す。
俯せになればふにゃふにゃに戻ったやつが
柔らかく押しつぶされて形を変えた。

さっきここに入る穴がなかったのは確認済みである。
つんつん何かで突かれるさっきの続きかなって考えてたら
太腿の合間にずるりと勢いよく入って来た。]

[ちがう、これはセックスではない。
素股だ。

予想外過ぎる事態に思い切り虚無顔になった。
え、素股じゃん、え?教えてやった方が良いの?
うそ、素股をセックスだと思ってんの?え?
なにそれどういうことだってばよ。

困惑している間に打ち付ける動作に
リズミカルに下腹が圧迫されて
ポンプの仕組みみたいに、
良くないのがまた競り上がって来た。

あ、やばい、はきそう。

ごきゅ、と喉を鳴らして一度目の衝動をやりすごす。
ベッドの上に沈んだ男を押しのけて這い出る。

大人しくなったやつが正しく呼吸してるか
確める優もないまま、二度目の生唾をごくりと飲み下…

しても尚込み上げてくる口元を抑えて
転げるようにトイレに駆け込んだ。]

[落ち着いてよぼよぼ戻ってきたら
ベッドの上が占拠されていた。
え、おれのなのに。え、じゃま。

押しのけようとしたらゴロンと転がって
仰向けになった勢いで局地がぶるんと震えた。

めっちゃ勃起してるやん。

若々しくぴんと天井を仰ぐ切っ先が
なんだか無性に笑えてきて
その辺を探して漸く見つけてきたスマホで記念撮影しておく。

操作が一瞬良く解らなくなったのは
自分のじゃなかったからかもだし酔ってる所為かもしれない。

安らかな寝息が聞こえるのにバッキバキなのが
最初は楽しかったけれど、
なんだか取り残された哀れなチンポに見えてきたので
慰める意味でちょっと扱いてやる。

上手にイけたら綺麗にしてねかしつけてやろう。
なんてやってる間かやった後に仲良く一緒に寝落ちた。

未だ封を切っていない筈の3つはずり落ちかけてる
ベッドカバーと一緒に床に落ちて
ベッドに下に滑り込んでいるのかもしれない*]

―― 修道院 ――

[従者の名はカザリと言う。
 生まれた時から此処に居て不幸にも瘤に宛がわれた。
 他に成り手がいなかったのかもしれないが、
 少なくとも一番身の回りの世話を任せている。

 ...はカザリに完全に満足はしていなかった。
 視線を瞳から落とせば大きな膨らみがあろうか。
 更に視線を落とせば自身の足元が見える。
 見事なる絶壁がそこにあり凡その満足していない理由であった。

 ...は落としていた視線を挙げる。
 反対に満足している点は何だろうか。
 それはやはり何かと口答えをしてくれることだろう。
 他の従者であれば口を噤むことも言ってくれる。

 今もそうだ。
 普通のツッコミだがそれすら得られぬ場所が此処である]


  あら、それなら冷めないように考えれば良いのよ。
  例えば冷めにくい入れ物を用意するとか。


[夢の中ではそうしたものが出てきていた。
 中に入れたものの温度がそのままの筒とかだ。

 ...は会話を楽しんでいた。
 時間は有限だが無限にある]

  そんな事言うんだ?
  なら、余計にいけないわ。
  決めました。


[...は着替えの最中に手を合わせた。
 軽やかな音を立てると微笑を浮かべた]


  明日また水仕事でも今日は私のお風呂のお供よ。
  新しい石鹸を出しましょうね。
  ヴェネツの良い香りのを送ってくれたのよ。


[まるで猫のようにアマノジャク。
 嫌がると言うよりは否定的な反応をするとどうしてかその反対を行くようになったのは夢を見始めてからだろうか。

 ...は衣装を身に纏うとくるりとその場で一回転した。
 ダンスを踊るように優雅な動きにあわせて、
 スカートの裾が柔らかく翻りやがて重力に従い脚を隠した]

  またため息。
  いーのよ、叱ると言っても表面上だけだもの。
  それよりも聞いていて?

  貴女も変装するのよ。


衣装を丸めるカザリに対して宣言すると、
 用意してもらった水で顔を洗い始めた。
 冷たいなどと悲鳴をあげることもない。
 そんなことはもう慣れてきたことだった*]

――寝所――

[ メイベルの肌は滑らかで、体温はちょっと低めな気がした。
 痛い、と睨むでもなく返る言葉に眉を顰めてしまう。]


 な……。
 そんなつもりで考えたんじゃないもん、この子のこと。

 あなたが言うのがその通りだとしたって、
 そうなるまでの子供の時代って、誰だってあるでしょ。
 この子がそこをどう過ごしていくかって考えて、書こうと――


[ ――だからそんなメイベルに言われ方をする理由なんてない。
 いや今そこを議論するのは変でしょ?って、私の中で自制心が
 しっかり仕事してくれた。えらい。
 というか今のセリフ、もっと突っ込むべきところがある。]

 って、いうかー!


 そんな、ひとを犯罪者みたいに。
 いや、この世界だと違うのかもしれないけど。
 十二歳から結婚できたりするとか。

[ その辺までの設定は知らない、というか場所が変われば
 法とか慣習も違うだろうし。ましてここはメイベルの国なのだ。
 そういった感覚自体がないかもしれない。]

 小さい女の子は、可愛いって思うけど、
 なんかメイベルが言ってる「好き」の言い方って、
 そういうんじゃない感じするよ??

[ 両手を掴まれてベッドに押し付けられつつも、
 そこの否定だけはしておかないとまずい気がしていた。

 アリアの身体が、じゃなくて、
 アリアみたいな身体、っていうのが
 とっても不穏な感じがするのだ。
 それじゃまるで私がロリコンみたいじゃない!]

[ だけど、その後のひとことで、杞憂だったのかなって
 そんな感じにもなっていった。
 それなら?? どう繋がるのかすぐには理解できてなくて、
 ぱちくりと目ばたきしてしまっって。
 メイベルの声がすぐ近くで聞こえるのに意識を向けきれず。]


 ……身体、だけ……?


[ 彼女の言い方に目ばたく疑問がもうひとつ増えた。
 でもそれ以上問うことは、重なる唇に遮られる。
 この日になってから、だけどもう三度目か四度目のキス。

 
「恋人同士がするみたいな」
それ。
 手は頭上に押さえつけられて、抱きしめようとも出来ないけど。

 瞼を薄く開いては、
 頭を上げて求めたり、逆に引いて誘ったり。
 そうするうちに、私の頭は枕へ沈んで。]

[ 抑える手を振りほどこうとするとぎゅっと力が返ったけれど、
 もっと逃げようとしてみると何故だか、
 抑える力は少し弱まった。]


 …………♪


[ 本気で抗うなら、逃げてもいいよ。
 その意志が伝わってくるみたいで、私の頬には笑みが浮かぶ。
 メイベルと瞳を合わせようと見上げて、ゆるく力を抜いた。

 重なった唇を開くと舌を伸ばして、彼女のそれを探す。
 唇の向こうにあるのなら、割り開いて求めていこう、って
 思って、そのように眼差しで伝えていくのだった。]*

──寝所──


  犯罪者……?

[彼女の言葉には
何を言ってるの?と言う顔を隠さなかった。
そも彼女の世界の常識というものに今は疎く
それ故に引っかかるものが私にはわからない。]
 

  ??
  何言ってるのよ。
  好きになるって言うのはその生き物の身体に
  惹かれるって事でしょ。


[あるいは能力に。
とは言え私と彼女は同系統の能力で
そもそも惹かれるほどの優劣は無いはず。

だとすれば残るのは身体……というか外見しかない。
好き、と言うのは
そこに惹かれるものじゃないの。]



  そうよ。
  あんたが好きな身体、外見でしょ?



[彼女の言葉には
当然でしょう、と言うふうに応えた。
恋人同士……とは、少なくとも
相手が好ましいから、そうなるのだと思ってる。

相手をベッドに押し付けるようにして口付けをしてれば
彼女は途中から合わせてくる。
柔らかなベッドの上でゆっくりと動き続けていた。

彼女と瞳があった気がすると
唇よりも弾力のある存在が私の唇に触れる。
彼女の舌だと気付いて、それを受け入れようとして

けれど少しだけ顔を引いて唇を離すと
目線が合った彼女を見つめ、やはり同じように至近で声を落とす。]



  好きって、そう言う事でしょ。

  …………違うの?



[と、私はポツリと零した。]*

── 修道院 ──

[物心ついた時にはこの石造りの建物にいた。
 持っていたのは『カザリ』という名と、それが刻まれた銀のプレートだけ。
 どこの誰が産んだものなのか、記すものはどこにもなかった。

 とはいえ今の時代、捨て子はそう珍しいものではない。
 どの街にも一つや二つ孤児院は存在するし、貧民街に行けば親のない子同士で身を寄せ合って生活していたりもする。
 ありふれた存在──ただ、その中で少しだけ他とは違っていたのが、捨てられたのがこの修道院だったということだ。

 訳ありの子女ばかりが送られてくるこの場所。
 この修道院は、文字通り世間とは隔絶された場所にあるのだから。
 孤児院や貧民街、花街。そういった場所ではなく、手間をかけ此処に捨てた。
 それはきっと、必要があれば探せるようにするためで──]


  そう仰られても
  私は此処で養われている身ですから

  お嬢様方とは違う
  ……そういうものでしょう?


[幼い頃には迎えが来ることを夢見ていた。
 けれど結果として、迎えは来ずに此処にいる。

 『誰か』自分を捨てたものにとって、必要となる時は来なかったのだろう。
 だからこれは八つ当たりだと、よくわかっているけれど]


  ……石鹸もお風呂も
  そう望まれるのでしたら

  あぁ、でも洗うお手伝いだけで
  水浴びをと言われるならばそうしますが


[夢の中、異なる姿の彼女もお風呂にこだわっていた。
 やはり夢は夢、あれは記憶の整理だったのかもしれない。
 
 くるりと舞う彼女を視線で追いかけて]


  変装……は、構いませんが
  採寸はどうすれば?


[仕立て屋をここに呼ぶのだろうか、と顔を洗う彼女の後ろで首を傾げた*]

――寝所――

 むむ、む。

[ メイベルが語る「好き」のきっかけに、
 反論は浮かんだけれど上手く伝わるかの自信がなかった。
 彼女が言うのは身体や外見、目で見たり触れたりして
 確かに実感を捉えられるもの。だけど――]

 ……ええと、ね、メイベル。
  だけどメイベルも、
「恋人同士がするように」
って言われて。

 ……私の、見た目だけを欲しいって思った?

[ 改めて彼女を見る。
 挿画やイメージイラストだけでしか知らなかった彼女。
 こうして、私の目の前で、私の手を押さえつけている彼女。
 いまそこに居る、って実感する。] 

 
 メイベルの姿形、も。
 好き、って言えるよ。
 でも、それだけじゃない……と思う。

[ 口づけを交わしながら、私の中に生まれてる感覚は
 いったい何なのか、探ろうと目を閉じて。
 私の中にある彼女のイメージ。
 こっちに来る前と、来てからと。
 その違い。]

 
 「 好きって、そう言う事でしょ。 」

[ 間近で囁かれた声にそっとかぶりを振った。
 否定の度合いが強くなりすぎないように、そっと。]

 メイベルの中にある気持ち、もっと知りたい。
 私に分けてほしい。

 できたら、私のものにしたい。
 それから、私のも同じように。

[ 押さえつけられてる手を片方、抜いていく。
 もう片方の手は動かそうとはしない。
 見上げる眼差しはメイベルを捉えたまま、
 自由にした手で彼女の頭を後ろから押さえた。]

 
 ……そういうのが、
「好き。」
って、
   ことかなって、私は思うの。

[ 脚を動かしてメイベルの脚に絡める。
 膝の後ろへとふくらはぎを触れさせ、引いて、
 彼女の身体を私の上に誘なうように。
 両足で挟み込むのは彼女の左脚。
 太ももで捉え、擦りあげ、横に身体を倒せるならば
 そのようにして見つめようと視線を向けていった。]**



[ オルフェウスの語った内容はこうだった。

 定期的な輸血という手段での安定した
魔素
の取り入れは、
 かつて異形になりかけていた俺の身を救った。
 それは陛下の成長を見守り、新しい時代を作り上げる補佐と働く為
 十分に作用し続けていた筈だ。

 しかし、
 以前問われた50年前からは勿論、ここ百年程度
 緩やかながら、あの頃に近い状態になりつつある。

 より高位の魔族、もしくは人間に出来る限り近い者。
 或いは俺の力に似通ったものを持つ存在。
 魔素の提供者の変更、鎮静効果のある術や血に施す魔除けなど
 様々な方法を試し続けているが、効果がない。 ]



  「最期まで最善を尽くすが、……」

[ 果たせなければ、辿る先は他の勇者と同じだろう。
 戦いで倒れなかった代わり、力に呑み込まれ異形となった彼らと。
 
……そう、あの額に御印を持った魔物のように。


 そんな方法があるのかも分からないが、
 魔素そのものを取り除いたとしても、意味するのは死である、と。 ]



[ ────「魔素」
 切り崩すことなど出来ないこの世界の構築物
 旧き時代の負の遺産そのもの。
 今尚明確な解析、対処は我々には出来ていない常識の先にあるモノ。

 魔族と魔物が生まれた原因であり、彼らの血液の中に存在する。
 それぞれの正式名称は、魔素種族、魔素生物。
 また魔王は魔素種族統一王と呼ぶのが正しい。

 人類から一部ながら魔法の素質を持つ者が誕生するのは、
 異形にはなり得なかったが魔素を取り入れてしまった者達を
 祖先とする人々が時折隔世遺伝を起こすから。

 其れは目に見えぬまま、いつでも傍に在る。
 聖木と呼ばれたかの木により、隅々にまで行き渡っているのだ。 ]

[ 寄生木の実とは、魔素の濃縮物に等しい。
 故に人間に魔王を倒す可能性すらある強大な異能を授ける。

 聖木の根の周辺に強い魔物が多いのは、
 濃い魔素がそこから放出されているせいだ。

 実を授かり、根を巡る勇者は
 濃縮物された魔素に侵される身体を力の増幅と引き換えに、
 不安定なものへと変えてしまう。

 教会は全てを理解し、操っていた。
 遠き過去に自分達が生み出し迫害した、魔の者達を滅ぼす為。
 死体が見つかれば分かりやすい、消息不明でも大して変わらない。
 根は世界のあらゆる場所に張り巡らされている、
 どれかは与えた力を亡骸から取り戻すだろう。

 また都合の良い民を見つけて、“神託”を執行すればいいだけ。
 若く逞しい年頃の、身寄りの無い孤児や貧民
 誇れるものを持たない代わり、素直で従順な────

 そう。御印とは、新たな贄の目印に過ぎない。 ]



[ その話を魔王から聞かされ、幾つかの証拠を見せられた時。
 既に両者で命の取り合いは終わり、
 落ち着いた話し合いが進められていたが。

 あまりの内容に声を荒げ、結局は認めざるを得なく嘔吐した記憶。

 自身が助かる方法を除けば全てを知っている今は、
 表情一つ動くことはなく、ただ受け入れていた。 ]



「生きたいのか死にたいのか分からない奴だ。」



────俺はただ、あの方を支えたいだけだ。


「……それが生きたいということで、あってほしいがね。」

[ そんな去り際のやり取りを除いては、だが。 ]


[許せないものがあったとしたら。

話の内容でも、配下でも研究員でもなく。
いつか告げた主の言葉を、
彼があまり心に置いていないらしいことでもなくて。
ましてや、秘された紙片の内容でも
秘密を作っていることでもありはしなく。]



[気づかないと思われていることだろう────**]

――酔い潰れて数日後・ゲイバー――

[たまには顔見せろと友人から連絡が来て
その日数カ月ぶりに馴染みの店へと出かけた。
そう言えば異動になってから行っていなかった。

店に入るとマスターにも心配されていて
仕事が忙しかっただとか適当に理由を付けておいた。
実際には慣れない仕事で忙しかったのは最初だけで
後はあの人に絡むので忙しかったんだけど。]

恋人?

あー、好きな人は出来たかな。

[どうやら友人の方は俺に男が出来たと思ってたらしい。
まあ確かに、恋人がいた時に足が遠のいた時期はある。
飲みに出かけると浮気を疑われたから。
そんな事実はなかったし、面倒ですぐ別れたけど。]

[俺に好きな人がいるってのが関心を惹いたらしく
しばらくその人の事を話す事になった。
所謂ノロケ話だ。
他人のを聞く分には退屈だけど、
友人はその手の話が大好きらしくて飽きる様子がない。

けれどしばらくすると話を遮られて
「虚しくなんねえの?」と言われた。

何でって返したら呆れ顔が返ってきた。
その後しばらく恋愛初心者ってネタにされたけど
結局最後まで何が虚しいのかは分からずじまいだ。

取り敢えず俺はめっちゃハッピーですけど。
人を好きでいられるって最高じゃん、と思うわけです。]*

──寝所──


  …………。

  でも、恋人同士がすることなんて
  それぐらいしか思いつかないわ。


[見た目だけを求めたと言われれば
それは違う気がする。
けれど恋人と言われるとそれを求めるものだと
私の知識がそう言ってくる。

今回は元々強い強制を持ったものでは無かったから
無意識にメイベルは知識の方に従っていた。]


  
  それ以外、何があるのよ。


[ベッドに彼女の手を縫い付けながら
その答えが出るのを私は待った。]


  ……分からないわよ。
  そんなの具体的じゃない。


[押さえつける手が片方になれば
私も片手をベッドから離す。

押さえつけていた片手はアリアの手首から
上に上がり、手を繋ぐようにする。

空いた片手は彼女の背中に回り
脚のほうに絡みつく彼女と対照的に
小さな胸を押し潰すように彼女とくっついた。]


  今の気持ちが何なのか……言葉に出来ない。

  でも知って欲しいと、思う。
  それから……知りたいって……。


[は、む、と彼女の唇を
弱く食みながら、伺うようにして
彼女の顔を見ながら。]



  アリア、私は────。


[そこで、パキン、と音がしたように思えた。
メイベルの瞳に混ざる蒼色が薄れて
いつもの翡翠の瞳に戻る。

そうすると私は眉を寄せて
不思議そうな瞳を向ける。]



  ……私は……なんだったかしら?

  ん。
  今日は随分と近いわね、いつもは
  クッションに抱き付いてる癖にっ。


[繋いでいた手を離すと
その手を彼女の腰に回して
抱き枕のように彼女にくっついた。]


  一度こうして見たかったのよね。
  命令すれば良かった。


[ふふん、と楽しそうに笑う。]*

──かつて──

[ 海を越え、洞窟を通り抜け、砦を突破し、城を守る者達を討ち
 ついに魔王の目前へ迫ることとなった勇者一行
 しかし、今代では────自分達ではそこまでだった。

 魔族との争いの最前線で、代々人々を癒やす聖魔法の使い手の家系
 増えていく死者に涙一つ流すことを許されない苦しみを知りながら、
 自分達も同じように励まし続けてくれた賢者の女性が

 よく似た生まれ、戦うこと以外用意されなかった選択肢
 気が短くすぐに手を上げてしまう、長身と強面で人に避けられる容姿
 その奥底で不器用に仲間を思っていた逞しい戦士の青年が

 強すぎた魔力により家族から離れることになった生い立ち、
 小さな身体に抱えきれない程狂い咲いてしまった才能に
 振り回される人生の中、決して弱音は吐かなかった魔法使いの少女が

 焼かれ、砕かれ、切り裂かれて順番に物言わぬ骸と化していった。 ]


[ 青く、蒼く。玉座の間に満ちた輝きは今は赤で穢れている。
 その全てが人間、自分と仲間達が流した色。

 本性は黒い竜であるとされる魔王は、
 黒衣の男性の姿を保ったままに目前に立っている。
 剣に付いた血液を払う仕草にも、体力の消耗は見られない。

 戦いが始まる前と変わらない足取りで、こちらへ歩み寄る。 ]




「……なんと悍ましい、これが勇者の成れの果てか」

[ まるで化け物を見るように、その白い顔で眉を顰めて。 ]


[ 握りしめたままだった槍の刃を魔王の足が踏み付ける。
 幾度となる打ち合いで罅が入っていたそれは、呆気なく砕け散った。

 今や立ち上がる気力も無く、横たわり相手を見上げた姿勢では
 頬を伝った液体が、散らばる破片と変わらない銀の色をしており
 鉱物の光沢を放ち落ちてゆくのが見て取れた。 ]


[ きっと同じ色が、沢山の刃が
 この身体を裂くようにして突き出ていることだろう。

 鋭い金属結晶を自分自身から創り出し、
 自在に形を変えて実在化する。

 それが刃の勇者の異能だった。 ]


[ 始めはただの体調不良と思っていた。
 魔王領に踏み入り、厳しい戦いが連続していた頃
 漸くそれが代償とも言うべく宿命であると知る。

 何の情報も得られなかった己が、
 楽観視していた仲間達が、
 気付いた時にはもう引き返せない場所にいた。
 
 未だ人類は魔族には届かない、女神は奇跡を起こさない
 果たすべき使命は根の元で土に還ることである。
 理解したその時には既に立っているのは一人だった。

 数多の疑念を抱えながら、
 俺は結局皆と同じように、最後まで教会を信じていた。 ]


[ 魔王はそれ以上何も言うことはせず
 ほんの少しの間俺の右手辺りに視線を下ろしてから、
 この首を刎ねようと、ゆっくりと剣を持ち上げる。

 だが──── ]