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人狼物語 三日月国


205 【身内】いちごの国の三月うさぎ

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視点:


[ 受け入れる側の負担や日々の努力について
 察するに余りあるとはいえ、どれほど現実的に
 伝えてくれていただろう。

 言ってくれなければわからないからと
 聞くことは少なからずあったとは思う。

 事後の処理を手伝うこともあれば、
 知識云々ではなく、セーフセックスを
 強く意識したし、指先、特に人差し指と中指の爪は
 常日頃から整えるようにしていた――とて。

 覚えのない快楽を、紡ぎ合う日々の中
 より負担が嵩むのはどうしたって、受け入れる方。

 ――現にこうして、自分には必要のない所作をひとり
 こなしている。

 それに興奮してしまう相手で申し訳ないとは、少し。 ]

 朝晩とかね、
 ああでも、ここなら朝も気にせず
 お風呂入れるな


[ 初めて二人ででかけた日に、
 温泉にも行けたら良いとは言っていたけど
 まとまった休みを合わせるのは、難儀するから。

 旅行に出かけるのは今日が初めて。

 湯当たりしないで、と添えられた言葉には
 そうだね、と頷いて。

 だいぶ抜けているとはいえ、アルコールを 
 摂取した後の風呂、に油断は禁物。

 泉質によっては湯当たりしやすい等々も十分
 考えられるので。 ]

 いいね、この辺は来たことないから
 新しいもの、いくつも見つかりそう。

[ ぬくい湯の中では、重みはそうそう感じまいから。

 同意を得られれば嬉しそうに笑い、
 湯の中で片膝を立てる、とその拍子に
 ぱちゃり、水面が跳ねた。

 そのうち、挨拶すらも換算しなくなるが、
 まず最初に数えるのを、意識的にではなく
 気づいたらやめていたのが、約束、だった。

 口にする度、罪悪感を蓄えることがなくなって。
 叶えるために、ほんの少しの無理もするが、
 それを無理だとも思わなくなって、

 叶うことしか、言わないと言えばそれもそう
 ではあるのだが。叶える努力を労力に思わなく
 なったから。 ]

[ また一つ、約束を結んだからには、
 近い未来、ここにもまた来ることになる。

 ――といってもまだ、夜と呼ぶほど
 深い時間ではないから、まだまだ
 ここでなければ、という項目は増えるだろう。 ]

 ……痛い?

[ 問うても、そこから手を離すことはなく。
 伺うように、顔をあげると、
 問う意味は、なかったのかもしれないと
 苦笑いを一つ。

 名前が呼ばれ、手が重なって。
 そうではない、と分かってしまったから。 ]

 ん、 なぁに

[ 酒気を強めに含んだ時に呼ばれたのと
 同じように反応を返し、重なる手に指を絡ませて。
 擽ったそうに竦められた首筋にも、
 優しいだけのそれを贈って。 ]

 優しくするって、言ったからね

[ これもまた、数える程にも満たない、
 約束の一つ。

 重ねられた手を湯から上げて、
 自分もまた肩を湯から出して、

 戯れるように、慈しむように、
 すっかり湯の香に包まれた指先、に唇を。

 唇で触れてもわかるくらい、温まっていても
 体の奥にまたゆっくり、火をつけるように。

 指先、指の付け根、掌、手の甲、手首と辿り

 一度体をお湯からざばりと、あげて、
 風呂の縁、岩の上に腰を落ち着けたのは
 このままだと、のぼせかねないなと思ったので。* ]

[彼を受け入れると決めたこと。
 それは、努力という言葉で表すのは少し違った。

 男が求められる側になることに対して、
 いざなってみれば、抵抗はなかったけれど。
 自身が"そういう側"になることは、
 今まで考えていなかったのは確かで、知識の浅さや、
 経験の無さを、どう補おうかと思ったことはあるけれど。

 異性同士でも同性同士でも。
 愛を伝え合うことに変わりはないと思ったら、
 以外とすんなり受け入れることが出来たから。

 寧ろ、受け入れる側より。
 俺で勃つのか、ということの方が気にかかったけれど。
 初めて夜を迎えた日に、彼のものを見た時。
 それは、杞憂に変わった。

 受け入れる身体には、まだ、なってはいなかったけれど。]

[彼の方は彼の方で、細やかな意識を、
 俺に向けていたことは、時折、気づいていた。

 爪切りを使わずに爪研ぎを使うようになったこととか。
 今日みたいによっぽどの余裕がない日以外には、
 ゆっくりと時間を掛けて、身体を解してくれる。

 これ以上ないぐらい、愛されているな、と。
 感じて、照れてしまうぐらいには。少し。
 自覚は、あるのだけれど。

 それを言葉にするには俺にはまだ出来ない。

 だから理性の皮を被って、普段どおりに接して。
 何てことはない会話に笑うふりをして。
 波打つ心を抑えたりする時も、時々。]


  ああ、朝風呂もいいですね。
  夜と違って、また空気が美味いだろうな。


[アルコールの代わりに、頬を染めるのはお湯の熱さ。
 
 出すものを出したこともあって。
 少しすっきりとした頭で、髪から滴る水気を払う。]

[彼が訪れたことがあるのなら、彼に任せて。
 彼が訪れたことがないなら、二人で一緒に。
 俺が知っている場所なら、俺が先に立って。

 二人で過ごす場所を増やせていければいい。

 写真に収められないぐらいの場所と思い出を作って。
 どこに居ても彼を思い出せるぐらい一緒に。

 約束を交わさなくても、自然と傍にあれるように。
 
 この時、二人で暮らすことを考えるのは、
 まだ随分と先の話だったけれど。
 旅行かばんの中には、彼からもらった
 うさぎの形をした合鍵は、今日も一緒に連れてきている。

 彼が感じた後悔を、喜びで埋められるぐらい。
 時間を費やして、増やして。共に、過ごしていけたら。]

[少し先の未来は、そんな時間を共有する証。
 
 街から離れ、山間に建つこの宿は。
 周囲の明かりが少なく数多の星と、月が空に浮かぶ。

 衝立で仕切られている露天風呂のスペースの隣から、
 声は聞こえない。隣が居ないのか。
 それとも、今入っていないだけなのか。
 風呂場ですらないのか、確認することは出来ないけれど。

 湯船の中でもしっかりと感覚を与える掌に、
 目を伏せれば、前髪に水滴が溜まる。]


  ……痛くは、ないです。


[掌の形が分かる程、痕は残っているけれど。
 そこに痛みは全くと言っていいほど感じなくて。
 寧ろ、それよりも。]

[重ねた手に、少しだけ力を込める。
 俯いたままの前髪から、ぽたりと水滴が落ちて。
 湯船に、一滴、波紋が落ちて。]


  景斗さんのものに、
  ……なれたみたいで、いい。



[はにかむように、微笑んで。
 彼の掌の上から、愛しむように脇の痕をなぞる。

 愛おしい痕。
 彼に付けられるものは何一つ嫌じゃなかった。

 身体中に付けられるキスマークも。
 身体の奥に残される仄かな熱も、
 彼が引き抜いた時に僅かに感じる空白も、全て。

 彼が其処に居たと実感できるから。]

[――ただ、今は。
 
 そんな邪な考えは一切なかった。はず、なんだけど。
 名前を口にしたのは、腹に当てられた手が
 思いの外大きくて、温かくて。

 首を竦めたら追いかけるみたいに、唇が。
 薄い肌に吸い付くから、ン、とまた声が溢れる。

 優しくはされている。確かに。
 殻に覆われた卵を扱うみたいに、優しく。

 手を持ち上げられて、指先に落ちるキス。
 それが、指先では収まらずに、
 付け根を辿り、上がっていくみたいに。
 掌と、手の甲に滑って、手首まで。]


  ……っ、 ……けいと、さんッ……


[戯れのはず。たったそれだけなのに。
 手首に落とされた唇に、ぴくん、と反応してしまう。]

[そんな浅ましい自分を、彼のせいにするみたいに。
 焦ったように名前を呼んで。
 は、と少し湯で火照っただけじゃない熱を零して。

 少し、距離を取るように。
 彼が湯船から身体を上げたことに、心なしホッとした。
 のも、つかの間。

 風呂から上がったせいで余計見えるようになった、
 彼の裸体は、もう見慣れたはずなのに。
 湯に浸かったせいで、いつもより色づいた瑕が
 妙に目に毒に思えて、思わず視線を逸らしてしまう。

 手は、まだ彼に取られたまま。]


  ……それ以上、されたら……、
  
また、……シたく、なる、から、



[取られたままの手をきゅ、と丸く丸めて。
 顔を背けた分、耳朶が赤いのが伝わってしまう。
 先に火を付けたのは、あなたのほう。
 だから、どうか。笑わないでほしい。**]

[ 苦しさを快楽に変えていく日々も、
 痛みより快楽が上回るように丁寧に愛する日々も。

 君のためでもあったけど、
 自分のためだと知ったら、どんな顔をするだろう。

 はじまりはたしかに、快楽を拾えるように
 なんていう気遣いからだったけど。

 性欲が湧き出て止まらないことすら
 それを制御することすら、楽しいと思ってしまった
 自分であるから。

 ゆっくりと時間を掛けて、体がひらいて
 くれるのを待つことも、

 しつこいくらい弄り倒して蕩かすことも、
 楽しくて、しょうがなかった。 ] 

 朝食の前に起きれたら
 入ろうか。きっと景色も随分変わってる

[ 朝は弱い彼を揺り起こす事になるだろうけど
 星空の代わりに、抜けるような青空を
 山から降りてくる、新緑の香りを、

 独り占めするのは惜しいから。

 ひとりだった頃から、それほど多くの
 時間は経っていないのに。

 どんな小さな事でも、ふたりで。
 が楽しくてしょうがなくて、
 一人だった事など忘れてしまうくらい。 ]

 そう、

[ 痛くはないと君が言う。
 前髪からぽたりと、水滴が落ちて、そのあと
 溢れてきた言葉に、なぞるように
 動く手に、水面がさわぐ。 ]

 その感覚、ちょっと羨ましいかも
 俺もほしいな、君のものって印

[ 熱い湯に浸かっているから
 以外の理由で心臓もさわいだ。

 独占欲の印だとか、浮気防止だとか
 人は如何にもな理由付をしたがるものだけど

 美しい白に、その赤が似合うから
 愛おしいから、気づいた時には、
 もう、いくつも散っているそれ。

 今夜に至っては、抗えない欲の塊を
 押し付けたために、色付いてしまったもの。 ]

[ 抑えられないからではなく、
 煽られたからではなく。

 ――また、罪滅ぼしでもなく。 ]

 ……うん?

[ 優しく したい。
 優しく愛したいから贈ったもの、に
 ぴくんと反応を示して、焦るように
 名前を呼ぶから、素知らぬふりして、
 指の間に舌を這わせて。

 夜風に晒されても、冷えると思わないくらい
 ぬくまった体から視線が逸らされて。

 聞こえた言葉に、小さく相槌を打ち ]

 願ったり叶ったり、かな

[ 零すと、丸まった手を彼の目線の先へ引く。
 前ちょっと詰めて、と。

 狙い通り、君の背と、岩肌の間
 人一人分の隙間ができれば、
 するりと自分の体でその隙間を埋めて。

 脚の間に、君の体を挟み、
 片手だけじゃなく両手とも、両手で捕まえて
 細い首に、リップ音を響かせると ]

 
逃げちゃう?


[ 肩に顎を乗せて、赤い耳朶、
 君の弱いとこ、の近くで楽しげに問いかけた。* ] 

 

[ ────ああ、ずるいなぁ、と一体何度思ったことか。
  "私のことが好きだから"。
  他の誰でもない、"私"を明確に求めてくれるその言葉。
  誠実で、叶わない未来の話はしなくて、結べる約束だけを
  硬く結んでくれる、そんな "貴方が" 好き。 ]


  ……────ッ ん、ぅ…っ


[ …とはいえここは人通りの多い屋外、なので。
  舌の熱が交わる度に鳴ってしまう水音と
  零れる吐息ひとつにさえ、緊張で心臓が鳴っているのに。

  じく、と疼くお腹の奥を此方も我慢したのだから
  不埒な手をどうにか制御した貴方と、これでおあいこ。
  ……ですよね? ね? ]

 

 

[ どうして今言ったか。
  男の事情を身も心も女の自分が察するのは難しい──
  ……とかではなく、考えなしに言ったわけでもなくて。 ]


  …………だって。
  
夜綿さんが嫉妬させるから……。



[ 本当はね、夜に言うつもりだったんです。
  でも、思った以上に
  他の女の人と近い距離で、匂いを移されて帰って来たのが
  心のおもちを真っ黒焦げにしてしまったみたい。

  夜綿さんを一番幸せにしたいのも、出来るのも、私。
  ────…一緒に幸せになれるのも、私だけ。


  「二人で」作る"しあわせ"のひとつ。 ]

 

 



   [  それじゃあ、もっと
せにしたいな。
        ────幸せプラス、まだ有効ですか?  ]


 

 


     ………… ぁ、あぅ、 あの、


       いまそういうこというの だめです……


[ 言い出したのはこっちだけれども。
  必要以上にどうして意識させてくるんでしょう、
  いじわる。ばかばかばか。
  覚悟なんてとっくに決めているからこそ、考え過ぎて
  頭が強火で茹でられたみたいに思考がぐちゃぐちゃだ。


  確かに練乳の時、ちょっぴり煽った自覚はあります。
  ──……仕返しですか? ああもういじわる! ]

 

 

  ひゃぅっ、!?


[ 背中へ回していた腕の内側、日頃人目には触れない部分。
  腕を上げさせられ、脇に近い部分を吸われると
  まっしろな肌に鮮烈な赤が咲いて、声が零れた。

  オフショルダーだから痕はつけちゃだめって、
  あんなに"待て"をしたのに、最後の最後にしてやられた。
  寧ろこの服を選んだのが悪手だったかもしれない。 ]


  ……ッもう、ばか、
  痕つけないでって言ったのにっ!


[ 暫く腕を上げられないどころか、
  意識しすぎて腕を動かすのもぎこちなくなる気がする。 ]

 

 


  ……温泉、一部屋に一つ、なんですよね?

  一緒に入ります、から!
  ちゃんと他の人の匂い落ちたかどうか、
  自分の目で確かめたいので!


[ ぷいっと顔を背け、口早に紡いだ内容は果たして
  貴方にとっては予想内か、予想外の爆弾か。

  ともかく数十分後にチェックインを済ませて
  部屋に到着するまでは
  一切片腕を動かそうとしない不自然な白うさぎがいた。* ]

 

[早朝の誘いにはふたつ返事で頷いた。
 せっかくの部屋付きの露天風呂を、
 一度だけで済ませるには勿体ない。

 夜の食事が豪勢だったからきっと朝食も期待できる。
 旅館の朝に出てくる海苔が美味しいのは、
 どこの旅館も共通している。
 ほかほかの白米に乗せて、しなっていくのを想像したり。

 かけ流しの湯から溢れ出てくる湯を見つめたり。
 そうして見上げた夜空は、澄んでいてとても美しい。]

[印が欲しい。

 その言葉に言葉に詰まって、水面に視線を落とした。
 彼からは確かに見えないかもしれない。

 脇腹ほどはっきりはしてないけれど。
 そちらこそ痛みがしそうなものなのに。]


  ……印なら、ついてます。
  背中に。

  
……俺の、爪の痕。



[頬を染めながら、チラと彼の方へと視線を投げて。
 トン、と空いた手で自身の背中を指すように示す。

 もしかして知ってて言わせてるのだろうか?
 それとも、爪の痕以外にも
 残して欲しいものがあるのだろうか?]

[ぱしゃん、とまた湯を散らして腕を下ろす。
 片手は彼と重なり合ったまま、どちらとも離そうとはせずに。]


  それとも、きすまーく?


[そう具体的に痕の話を挙げてみる。

 そういえば、俺からはつけたことがないかもしれない。
 彼が、"視られる"仕事だからというのが水面下にある。
 付けられる分には一向に構わないのだけど。

 元々独占欲も所有欲なども持ち合わせない質だったから、
 人に痕すら残したことはないから、余計に。

 付けて欲しい、と言われたら。
 それはそれで、少し、心臓が跳ねそうな。]

[湯船の中で、ドッドッと心臓の脈が聞こえそうな程。
 熱くなってきているような気がする。

 反応を伺うみたいにこちらを見上げながら、
 持ち上げられた手に舌を這わされて、
 指の合間の柔らかい部分をなぞられる。
 ぞく、とまた微かに身を震わせて、指を折り曲げ。

 前に、と促されたら言われるままに尻で移動して。
 空いたスペースに彼が身を滑り込ませる。

 まるで後ろから抱き込まれるみたいな状態になって、
 こちらから見えるのは、彼の足と前に回された手だけ。

 ただ、後ろからいつもよりも近くに体温を感じる。

 捕まえられた両手が彼によって捉えられ。
 少し、自由を奪われる。

 温泉で赤らんだ背筋もきっと彼の眼に晒されていて。
 首筋に、唇を落とされて。]


  ……  ンっ、


[期待に震えるみたいに、顎を逸らしてしまう。]

[天を仰ぐみたいに上向けば、目に映るのは外の景色。
 視界を遮るのは、木造で出来ている衝立のみ。
 
 背徳感と羞恥で、心臓が騒ぐ。

 ワルイコトをするみたいに
 少し悪戯の音が乗った声音で、誘われて。]


  ……逃げ、ない
 


[ふる、と小さく首を振って。
 囚われた手を彼の掌に重ねて、指を絡め。
 恋人だけの繋ぎ方をして、彼の胸元に背を凭せ掛けた。*]

[ チェックアウトの時刻は遅めの11時。
 朝食もそれほど早い時刻には、しなかったはず。

 並んで、ゆっくり眠ることも、
 ぽやぽやとした朝を過ごすことも、

 この上ない贅沢のひとつ、だから。

 それだけは何が当たり前になってもきっと
 変わることがないだろう。

 先に起き出して、あどけない寝顔を
 眺めることも、いつまでも宝物みたいに、
 抱えていたいと思うから。 ]

 ………あぁ うん、
 そうか、……そうだね……

[ 言葉に詰まってた彼に、
 心から不思議そうな表情をしたのは
 許して欲しい。

 ――自分が相手に付けたもの、
 に関しては意識が働いていたとしても

 自分も、付けられている側 とは
 思っていなかったものだから。

 ついてます、と言われれば
 妙に納得したように頷いたから
 察してしまわれたかもしれないが ]

 言われてみればそうだなって
 気づいちゃって、

[ 照れるように、小さく笑う。 ]

 それは興味あるね、とても。

[ 話題は夜を思わせるものでも、
 まだこの時は、さほどそれを匂わせるような
 触れ方はしていなかった、かな。 ]

 付けられたことないから

[ 仕事柄、気をつけろとは再三言われていたのは
 過去の話。

 一度だって付けられたことはないのだが
 それでも口酸っぱく、言われていたのを
 思い出して笑う。

 現在もそしてこれからも、売り物にする
 つもりは毛頭ないので、気にしたことは
 なかったけれど、

 そういう相手だという意識があったのかもしれない。
 一度だって刻もうとしなかったのは。

 ――単純に興味がないだけである可能性も
 否めないけど。 ]

 どうせなら、この辺とか

[ 顎を緩く持ち上げれば、
 まっさらな首筋が見えただろうか。

 これからの季節、特に隠す理由も
 なければ晒している場所へ、

 ――の印は誰かに見つかったところで
 いいでしょ、と言わんばかりに微笑むだけだろう。

 己は、という話ではあるので、
 見知った顔にそれを見つけられた彼の
 気持ちまでは汲んでいない、冗談の類。 ]

[ でもその想像が、この後の行動を
 後押ししたのは間違いない。

 どこに何をされると、"そう"なって
 しまうのか、心得は十分にある。

 思惑通り後ろから抱え込むような
 形に落ち着いて、濡れた後ろ頭を
 眼前に捉えたら、ゆるく両手を握って。

 ――その状態で逃げるか問うのは
 この夜に星の数を数え切るのと同じくらい、

 意味のない、問いだったのに。

 期待に震えるみたいに、顎を逸らして
 律儀に答えをくれるから。 ]

 ……、ちょっと興奮してるの、
 分かっちゃう?

[ 腹に回した手でほんのすこし、
 体を抱き寄せたら、反応し始めてる熱が
 腰の当たりに触れるだろう。

 声を潜めれば、かけ流しの湯の音に
 紛れるだろうし、そもそも隣がどうで
 あるかなど知る術もないというのに。

 その状況に、酔ってるみたいに
 興奮してはいる。してはいるけど。 ]

 こっち向いて?

[ 手も、舌も、くちびるも。
 やさしくしたい、と訴えて。

 目線がぶつかったなら、先に目を閉じたのは
 こちらのほう。* ]

[真昼間の車内で濃密な口接けを交わしている。
駐車場は広いし平日ということもあり前後左右には停められていなかったから、少しくらい声が漏れたところで即聞かれてしまうということはないだろうが。
それでも聞かれるかもしれないという危機感が鼓動を速め、
その鼓動を脳が興奮によるものと勘違いしたのか、
――或いは元から自分がそういうことに興奮する変態だったのか、
危険性を知りつつも暫く離してはやれなかった。

車内に消臭剤をスプレーして、不快な香水の匂いは目立たなくなったけれども、こんなに甘いキスをしていたら、興奮で立ち上る自分達の体臭が車内に充満しそうだ。
それは同行者に対して申し訳がないから、後でまたスプレーをしておこう。

自分が兆している、段階で。
彼女が鼻に抜けた声を堪え切れず出した段階で。
彼女の方も内から滲む情欲があったことは察している。

おあいこ――おそろい。]

[練乳の件では白うさぎさんの天然ぶりを痛感したものだけれど、
告げられた「お願い」のタイミングは、意図的だったようだ。

初めての夜に急いでしまった自分の慾に、
追いついた、ということだろうか。
嫉妬によってそれが早足になったようだけれど。]


 ……寂しくなっちゃった?


[言葉だけ聞いていれば、先刻の自分の行為で
放置されたことを指すようで。

そっと下腹を撫でる。
真白がよく表現する「胎で自分の熱を感じたい」という欲求を指すように。]



[  一生僕に
せをプラスしてくれるんでしょう?  ]
 
 

[煽った狼の獰猛さを思い知らせるように囁いた言葉は、
狙い通り真白の内側をざわつかせたらしい。

脳を鈍らせることに成功した狼は容赦をせずに白い肌を摘まみ食い。
怒られても笑うだけ。]


 首周りは綺麗なままだよ?
 腕を上げなければ大丈夫。


[そもそも女性の脇付近なんて、見せられないとじろじろ見ないものだろうし。

それでも意識してしまうのだろう、随分と動きが不自然だ。
くすくすと上機嫌のまま合流したが、二人には単にデートに浮かれた男にしか見られなかっただろう。]

[爪痕のことは意識から抜け落ちていたのか、
 指摘してみて、一瞬呆けたような顔。

 自ら痕をつけました、なんて。
 口にさせるのは止めて欲しい。
 それが、堪らずに縋ってしまった痕だから。

 はにかむようにされたら、居た堪れなくなって。
 湯を掬って、ぱしゃんとそちらの方に向かって、
 訴えるみたいに、肌にかけて顔を背けた。

 彼の背中を見るのは、自身の身体にしっかりと
 残された彼の刻印を見るよりも恥ずかしいから。

 これ以上は突っ込まないでほしい。
 と、暗に示すつもりの水掛け。]


[「一緒に入る」だって?

 ――"飛んで狼の腕に入る白うさぎ" ってところかな?]
 

[けれど、キスマークなら話は別。
 興味を示す彼に、笑って。

 にぎにぎと繋ぎ合わせた手を、握って離して。
 弄ぶように、指同士遊びながら。]


  俺も、付けたことないですね。


[初めて同士の挨拶を向けて、ふ、と笑みを深める。
 まるで付けてほしいみたいな口振りが可笑しくて。
 だけど、こちらから付けましょうか、とは言わない。
 
 求められれば別の話だけれど、
 望まれなければ特に肌に痕を残すことはしない。
 
爪痕は意図的に付けたわけじゃないからカウントしない。


 身体を資本とする彼に、あまり。
 そういった縛りを付けたくない思いがあるから。]

[どちらが誘ったのか、これじゃあもう分からない。
 首筋から腕を下ろして、もう一度手を握り合って。
 お湯の温度と同じくらい馴染んだ彼の掌に包まれる。

 逃げるつもりなど毛頭ない。
 もとより、逃がす気がないことも知っている。

 そこで逃がすような彼だったなら、
 今、こうして一緒に過ごしてはいないだろう。

 耳朶に近づいた声が甘く、誘う。
 湯を割って腹部に腕が回って身体を引き寄せられ。]


  …… ッ、…… 



[ここがどこか分からせるみたいな台詞に、
 薄く唇を噛んで、零れそうになった声を殺して。]

――宿――

[荷物を置いて、ドアに貼ってある避難経路を一応チェックして頭に入れておく。
部屋によっては家族風呂が部屋とは別棟にあるようだが、この部屋は内風呂を挟んで続きの間のような構造になっているらしい。

つまり、内風呂で身体を清めてから露天に向かうも良し、
家族形態によっては内風呂だけで済ませる場合もあることを見越しての設計だろう。]


 マシロちゃん。
 ――外すよ?


[正面を向いて腕を回す。
首の後ろでチェーンの金具を外す間、前髪にキスをして。

脱衣所の湿気で傷んでしまわないように、部屋付きのドレッサーの上に置いておく。
服を脱ぐなら脱衣所のつもりでいるだろうか?

待てる筈がないでしょう?
コルセットスカートから、トップスを抜こうと触れた。]

[抱き寄せられた腰の下、臀部の辺りに。
 膨らみ始めた彼のものが、つん、と当たる。]


  ……ん、 当た、ってる 、……


[囁き合って、手を絡めただけ。
 直接的な刺激はまだ、互いに与えあってもいないのに。
 自身の身体で、また反応を示してくれているのかと思えば、
 背徳感に、ぞくぞくと震えが走る。

 ぽたり、とまた雫が落ちる。
 それが、きっかけだったみたいに。
 
 振り向かせるようとする声に、
 おず、と俯きがちに首を傾けていった。]

[伏せた眼で覗き込むみたいに、見上げたら。
 それを待ち望んでいたみたいに細められて、
 瞼が降りていくのに、自然。

 こちらも、再び眼が伏せられていく。]


  ……、 
は、
 ン、ぅ ……


[ちゅ、と啄むだけのキスを何度か交わして。
 じわりと熱を高めていくみたい。

 そのうち、触れ合わせるだけじゃ足りなくなって、
 薄っすらと眼を開き、唇を開いて、舌を差し出して。*]




 バンザイして、さっき僕がつけた痕、
 見せてみて?


[脱がせたら今日は明るいところで下着が見られるだろう。
オフショルダーって、ブラジャーはどうなっているんだろうね。*]

[ つけてしまった、という側からの
 水掛けをもろに食らっても、機嫌は少しも
 損なわれない。

 その痕がどうして出来たのか
 を考えれば答えは明白なので。

 縋らなければ耐えられないほど。
 その先は今は考えるまい。

 濡れた前髪を掻き上げたそばから
 もう一発、喰らいかねないので。 ]

[ 握って離して。湯の中で
 遊ばせるようにすると、水面が波打って ]

 じゃ、つけて、今度。

[ 今、でも勿論いいんだけれど。
 今つけられたらまず間違いなく、明日の朝
 見せつけてしまう気がしたので。堂々と。自分から。

 ――見えないような所になら?

 大歓迎では在るけれど、それより。 ]

[ 掠める唇の感触を覚えている体が
 ゆるく反応してくれるので、自分に
 付けられる痕の話は、のちほど。

 振り返られる瞳に淡い欲のいろ。
 自身の指でなぞる首筋が、より
 "そう"しやすいように、逸らされる。 ]

 
ほしいくせに、


[ 目視で確認できるかぎりでは、
 まっさらになった白い肌が温まって
 上気して、今はほんのり桜の色。 ]

 さっきは素直に言ってくれたのにな?

[ せっかく綺麗になったのに。
 伺うような視線と絡んだなら。

 互いの 望み通り。まずひとつ、
 シャツを着れば隠れてしまう場所に赤を散らして。 ]

[ 本当に逃がすつもりがあるならば、
 わざわざ両手両足を駆使して、捕まえようとは
 しないだろう。

 これがただの、戯れであることは
 互い知れている。

 声を漏らすまいとしている姿に、
 ふ、と笑ってしまったから、その息がまた
 耳を触って。 ]

 ん、また勃っちゃってる。

[ 聞こえてしまうかも、その背徳感が
 更に煽ったことは認めるけど。

 温まりながら手を取り合って、
 なんでも無いことで笑っていても
 白い背中を、染まる耳を、
 見ていたら、つい。

 熱くなってる君もまた、見たくなって。 ]

[ 受け入れるように、瞳を伏せるその瞬間が
 たまらなく、すきで。

 唇を合わせたときに、僅かに口角は
 あがって。 ]

 …… ン 、 
ふふ


[ 啄み離れて、また吸い付いて。
 合間に、笑い声を滲ませて。

 もっと、が聞こえない代わりに、
 舌先で唇をつついて。

 開かれた唇から、赤い舌が覗けば
 おいで、という代わりに、ちう、と
 やさしく吸い付いて。 ]

[ ちゃぷ、とお湯の跳ねる音が聞こえたら
 絡まる舌先をそのままに、片手が腹から
 そっと這い上がっていることに気づくだろう。

 つん、と胸の尖りをつつき、
 親指の腹で、くるりとそれの輪郭を一周。

 甘やかな声が上がりそうなタイミングで
 唇を解放し、抱き寄せれば、先程より顕著に
 反応していることが、伝わるか。

 ゆっくり、やさしくあいしたい。
 から、抱き寄せたほうの手は、
 撫でるように背を登り、とんとんと叩いて。* ]

 

[ 問いかけられた言葉の真意は分かっている。
  ──彼の掌が、そっと優しく
  熱を慾して疼いたままの下腹を撫でたから。

  さみしい。……そうだ、二重の意味で。
  さっき離れていた時間への寂寞と、
  埋まらない胎の熱への寂しさが絡まり合っているのだ。 ]


  ……わかってるでしょ……。


[ 答えなんて、貴方なら とっくに。
  ────訊くなんてステップを踏まなくても。

  「さみしいです」と素直にか細く、百点の解答。
  ざわついてうるさい自分の身体が
  まるで制御が効かなくて、自分じゃなくなったみたい。 ]

 

 


 [  それさえ
せなのだから、
    貴方も私の
プラスだ。


      仕合わせて、──しあわせになって  ]


 

 

[ つまみ食いの位置は、それはそうなのだけれど!
  意識してしまうから痕を付けさせなかったのに、
  これでは計画が失敗だ。
  笑って白うさぎの文句を流す狼に、もう、と息を吐く。 ]


  ────……悪戯ばかりだと、お預けしますからねっ


[ なんて、例え実行したところできっと
  お腹が空いて我慢出来なくなるのは此方の方な気もする。

  手綱を握っているつもりが、
  ふとした瞬間にはしれっと取り返されてしまっているので。
  ──これが惚れた弱みというやつですか、先生?
  また今度、ゆっくり教えてくださいね。
  特別授業はもう勘弁、普通の授業でお願いしたい所存。 ]

 

 ― 宿 ―



[ その気遣いは大変とっても有難く存じます!
  恋人と過ごす自分、というのを多少見せることは承知だけど
  恋愛方向の察し合いで気まずくなるのは避けたいところ。
 
親戚のお兄さんみたいな位置にいる常連様と
兄のように思っている同僚がいちゃついている場面は、
たぶん、全人類気まずくなると思いませんか?



  ────なんて閑話休題は置いておくとして。
  好奇心旺盛な白うさぎは、部屋の造りをじぃーっと見つめ
  「ふーんなるほどね」みたいな顔をした。
  今度はちゃんと理解していますとも。

  荷物を邪魔にならないところへ置き、
  休むよりとにかく早くその匂いを落とさせようと
  先に脱衣所と内風呂へ向かわせようとした が。 ]


  えっ、


[ 狼さんは少しも待ってはくれないらしい。 ]

 

 

[ 首の後ろでチェーンを外され、前髪にキスが落ちる。
  銀色がしゃらりと音を立ててドレッサーへ置かれる音。
  まさかここで脱がされるとは露程も想定していなかったから
  零れた声音には、焦りが滲んだ。 ]


  ま、まって、せめて脱衣所…で……ッ


[ 言っている間に不埒な手がスカートへ伸び、
  オフショルダーのトップスを抜こうと動いている。

  ここで脱がされたら、明るい場所で下着も肌も
  全部見られてしまうのに。
  ──ああ、でも、"好きに喰べて"と 言ったのは、自分 ]

 

 


   〜〜〜〜〜……ッッ
   …………こ、ぅ ……です、か……。


[ 恐る恐る、緩やかに両腕を上げた。
  ぴんと腕を伸ばすのではなく、痕が見えるぎりぎりの位置で
  上げるのをストップして。

  とはいえそれも、服を脱がされるならば
  無駄な弱々しいうさぎの抵抗にしかならないだろう。
  オフショルダーは簡単に脱がせてしまえるし、
  コルセットスカートも、留め具を外せばするりと落ちる。


  顔を真っ赤にして、羞恥でふるりと震える白うさぎの
  今日の"食べられるための下準備"は
  ストラップが無い代わり、胸元でリボンを結ぶことで
  膨らみを固定する造りの、薄桃のレースブラ。
  ショーツも合わせれば まるでいちごのような。* ]

 

[驚きの声が上がる。
それもそうだろう。
まだここは部屋の中で、入って5分も経たない内に脱がせようというのだから。

席に着く前に箸を持つようなものだ。]


 今日は行儀悪くても許してくれるでしょう?


[聞く耳を持たない。
悪戯ばかりだとお預け?

もう十分待った。
ここは「ご褒美」と行きたいところ。

呪文のように伝えた「これからのこと」が効いているなら
真白も相当腹が減った頃だろう。]



 そう。上手。


[目を細めた。
恥じらいながら上げる腕の角度まで満点だ。
国語も体育も
成績表は間違いなくオール5でしょう。

逸る気持ちを抑えて生地を傷めないように脱がせる。
留め具を外してスカートを落とし。]


 ……さっき食べたいちごの果肉みたい。
 それともプレゼントかな?リボンついてるけど。


[このリボンは外せるものなのか。
端を持って持ち上げる。

片手をつい、と動かしながら、もう片方の手でベルトのバックルに手をかけた。
見なくても音で気づくだろう。
自分もここで脱ごうとしていることに。*]

[つけて、と望まれたなら、数度瞬いて。
 彼と眼を見合わせた。

 本当に付けてほしいらしい。

 ぷ、と噴き出してくすくすと肩を揺らして笑い。]


  いいですよ、上手くつけられるか、
  分からないですけど。


[付け方なら知識としては知っているけれど。
 本当に付けたことはないから、本番勝負になる。
 痣のように広がった場所では目立たないだろうから、
 付けるなら上半身だろうか。
 
 細めた眼で少し、伺うように彼の肢体を眺めて、
 意地悪く笑うのは、少し垣間見えた俺の男の性というもの。]

[その代わり彼にも、晒した肌に痕を望む。
 首筋をなぞった指を辿るように、水滴が肌を滴り。

 潜められた声に、温まった肌と同じくらい
 頬を染めたなら、少し責めるような声に俯いて。

 こくんと、喉を鳴らしてしまう。]


  ……つけて、
  景斗さんの、しるし、



[乞われるままに、おねだりを口にして。
 もじ、と腰を揺らす、微かに身体が揺れる度に。
 ちゃぷんと、跳ねるお湯の音。

 水滴がこんなにも卑猥に感じてしまう程。
 高められているとは気づかない、まま。

 ひとつ、服の下に隠れる場所に落とされたなら、
 満たされたような吐息を、洩らしてしまう。]

[少し身動いでも、腰周りには彼の足が両サイドにある。
 笑う気配がする度に、耳を擽られて。
 ぴくん、と身が跳ねてしまう度に、 
 そこが弱いのだと見せつけてしまう。

 腰を引いたら、彼のものが存在を訴えて。
 言葉でも教えられるから、また火を灯される。]


  ……俺で、感じてる…… ?


[いつか、俺で感じて欲しいと言ったときみたいに。
 自身の身体に反応する彼のもの。
 分かっていても、何度でも確かめてしまう。

 口にされる度に、必要とされていることを、
 実感するみたいに。

 悪い癖、だと思う。こんなこと。
 でも、求められる程、自分の身体も熱くなって。
 まだ反応していなかった、それが僅かに熱を持つ。]

[キスは愛を確かめ合うために交わすもの。
 たくさんの愛の形があるけれど、
 彼と交わすのは、親愛でもあり、情愛でもあり。
 言葉にできない程の、込められた愛も。
 
 言葉にできない分、行動で伝わればいい。
 伏せた睫毛が、震えて。
 彼の笑う気配に、少し首を傾げる。]


  …… ッ 、 
、ぁ ……


[突付かれた先で開いた唇の隙間から、
 覗かせた舌先を、甘く吸い上げられたら、
 ひくん、と震え、閉じかけた眼を薄く開いて。
 もっと、と誘うように、視線を絡め。]

[次第に深くなっていく口づけに、とろ、と瞼が落ちていく。 身体を預けるみたいに、力が抜けていって。
 彼の肩口に寄りかかり、解けた手が肌をなぞって、
 上に上がり、胸の頂きに優しく触れる。]


  んっ、 ンぅ……ッ ぁ……、


[ぞわ、と肌が粟立つみたいに毛羽立って。
 指の腹が輪郭をなぞる間に、解放された唇から、
 あまい、感じ入った声が溢れて。]


  ……は、  ……ンッ、
 
  ………、?


[声を隠すように自身の手の甲を口元に添える。
 とん、とん、と背を叩く手は。
 意図が察せず、染めた目尻で見上げ。首を傾げて。*]

 


[ つまり、今日はお行儀悪く喰べられるということ。
  それを承知の上で、初めての夜のあの快楽を憶えていて、
  なお差し出した約束の日。結んだ糸を解くのは今日。

  ぐちゃぐちゃのどろどろに蕩かされる、下準備。
  未だ知らない気持ち悦さと快楽を教えられて
  ────輪郭も朧になるくらい、今から二人、溶けあう。


  ……喉が渇いて、心臓がうるさいくらいに鳴って、
  さみしいままのお腹が"はやく"と訴えている。

  満たして。 貴方の 熱 で。
  充たして。 貴方の 愛 で、


        ──────……おなかが すいたの。 ]


 

 


  ……その、…………今日のために
  夜綿さんと そういうコト、したくて、買った…ので

  
プレゼント……です、



[ リボンは引っ張れば解けるし、ホックはフロントだ。
  あからさまに喰べられることを意識したデザイン。
  持ち上げた端を引けば、リボンの下にフロントホックが見え
  容易く下着を脱がせられることだろう。

  はずかしい。顔を覆ってしまいたい。
  弱々しく両手を上げたまま、視線をうろつかせていれば
  貴方に関しては何かと敏感な耳が金属の音を拾い上げる。


  ────まって、ここで、ぬぐんですか?
  見なくても彼が取ろうとしている行動が分かって、
  あう、と顔が火照っては
  既に聴覚から犯されているような気持ちにさえ。 ]

 

 

[ 彼が間近で身じろいだからだろうか。
  不意に、忘れかけていた別の──例の匂いが微かに届いて
  白へ戻りかけていた餅が黒く焦げた。 ]


  ……上だけ、私が脱がせても いいですか…

  や、です その服
  ────別の人のにおい、するもん……。


[ さすがにズボンを脱がせる度胸はまだない。
  が、まるで存在を思い出させるように香るその匂いは
  許せないので、シャツは自分が脱がせたくなった。

  小動物が必死にマーキングするような必死さだ。
  許しを貰えたなら、心をもやつかせる匂いを帯びた服は
  拙い手つきで脱がしてしまおう。* ]

 

[ 本気にしていたなかったのか、
 肩を揺らして笑うので ]

 上手くつくまで、何度でもして?
 好きなとこ、どこでも。

[ 誘うような色を伴って、言うと
 眺める目線に応えるように、笑うけど。

 すっかり痕を付けられるのに
 慣れてしまった彼の体に、先に贈ることにして ]

 はぁ……かわいい

[ つけて、と口にされると、もじ、と
 腰を揺らして、お湯がゆれて音を立てる。
 綺麗についた、とばかりに吸い上げて赤く
 色づいた箇所を人差し指でするりと撫でる。

 許可を得てしまったものだから、きっと今夜も
 いくつも散るだろう赤のひとつを贈って。 ]

[ 身動き一つも逃すことの出来ない距離。
 笑うことを咎められることもなく、
 ぴくん、と愛らしく跳ねる体に、唇が
 吸い寄せられるのは、仕方のないことだと思う。 ]

 もう、君でしか感じられないくらい。
 感じてるよ

[ これだけ存在を主張する象徴があって尚、
 先程だって熱烈に求めたために、どうなったか
 知っていて尚、

 問いかける言葉ごと、愛おしいから
 伝えることは惜しまない。

 だから何度だって問いかけて良い、
 その度、蕩けた声が君を襲うし、
 その声がまた、君を熱くさせるから。 ]

[ 歯列をなぞって、舌を絡ませて、
 応えるように熱い舌が向こうからも
 絡んできたなら、ぴちゃと水音が響く。 ]

 ふ、………すき  ン

[ 口付け一つで、与えられる物、
 贈るもの、の良さを知ってしまったから。

 口内に囁くような言葉は、受け取る前に
 食べられてしまうようなもの。

 視線が絡めば、あまく、目を細めて。
 啄むものから、絡まるものへ、そして
 奥まで食らうようなものへ自然と変わっていく。 ]

[ とろ、とまぶたが落ちて、
 くたりと、体を預けるみたいにされたら ]

 かわい、

[ 呟いて、焦らすようにまた、くるりと
 ゆっくり、指の腹が動く。 ]

 俺は聞かせてくれると嬉しいし
 興奮するけど、


 他の人に聞こえちゃうのは、ちょっとなぁ

[ 子供をあやすような手付き。
 優しい触れ方、で思いついたのがそれ、
 だったから。 ]

[ だけど、 ]

 でもちょっと、意地悪したくもなっちゃって

[ 染まる目尻、傾げられる首が
 愛らしいから、悪戯したがる手がつい

 つぅ、と背中を辿る。

 やさしくしたい、がこちらの意見。
 そちらの要望はまだ、聞いていない。 ]

 どうされたい?

[ 問うのが悪い癖なら、
 恥ずかしいこと、言わせたいこれもきっと、悪い癖。* ]

[くつくつと笑いながら、
 いつもと少し毛色の違う約束を交わして。
 
 それが叶えられるのは今日か、先の話か。
 期限が決められていないのであれば、いつでもいいだろう。
 
 期待に満ちた目を向けられるのを、
 今はさらりと受け流す代わりに、
 肌に新しく咲かせる花が、ちり、と淡い火を灯す。]


  ……、……ぁ、


[微かな痛みと共に彼の所有印を残されることに、
 僅かな興奮を覚えて、甘いため息を漏らして。

 愛おしげに撫でる手が心地良い。
 首筋付近では自分で見ることは今は叶わないから。

 撫でる指先に、彼と眼を見合わせて。
 ついた?と問うて、返される頷きに。
 ふわりと、満足げな笑みを零して贈り物を授かって。]

[水滴を滴らせる肌に彼の唇が滑る。
 撫でるような唇が、時折、舐め取る仕草に代わり。
 ぞわ、と沸き起こる快感に打ち震え。
 身じろぎしかできない彼の腕の中で、身悶える。

 俺でしか。
 感じられないのなら、それでいい。
 そうなって欲しい。


 熱を持ち硬さを示し始める下肢が押し付けられて、
 その大きさを覚えている箇所が、きゅんと疼く。
 先程も荒々しく暴かれた場所。

 多少強引に暴かれたとしても、
 その欲を向けられることが嬉しくて。


 その言葉に、ふにゃりと蕩けるような顔を見せて、
 擦り寄るように、濡れた髪を頬に寄せて、甘え。]

[お湯が揺蕩う音とは違う水音が、耳を擽る。
 耳元により近い、顔の先。
 互いにこれ以上ないくらい顔を近づけて、
 空中で舌を絡めあえば、卑猥な音を立てて糸が滴る。

 キスの合間に告げられる告白に、
 ふる、と身を小さく震わせて。]


  ……ぁ、ッ…… ふ、ぅ……


[溜息にも似た甘い吐息が溢れる。
 言葉を送り込まれて、吹きかけられる息ごと飲み込んで。
 次第に首が、後ろへと傾いていく。

 飲み込みきれない唾液が、唇から溢れて頬を濡らす。
 向けられる強い視線に眩しそうに目を閉じて、

 
あ、
と、思う頃には。]

[ぞくぞく、と背筋から震えが込み上げてくる。
 悦びにも満ちた、快感。

 こんなの知らない。

 赤く熟れた唇を解放されて、くてんと肩口に頭を預け。
 胸を喘がせるようにキスで乱れた浅い呼吸を繰り返す。

 甘い声を上げてしまった場所を、
 彼が喜んで、指が同じ場所をくるくると描く。]


  ……ん、 ……ン、ゥッ ……


[声が聞きたいと言いながら、
 衝立の向こうを意識させるその口振りに、また身体が震え。
 背を撫でる手すら、欲を煽って。
 手の甲で唇を塞いだまま、弱く首を振る。]

[は、と息を零す頃には、また目尻に水が溜まっていた。

 羞恥を煽るのが上手い人。
 でも、甘やかすのも上手くて、少し意地悪い。]


  
……ぁ、ぅッ…… ン、ッ……



[長い指が背の窪みを添っていくのを、
 声を押し殺しながら背を反らして、快感を逃して。

 そっと、腰を抱き寄せる手を両手で持ち上げる。
 その手を、自身の赤い尖りに触れさせれば。
 とくん、とくんと、高鳴る心臓の音も聞こえるだろうか。

 周囲を撫でられただけで、ぴんと立ちあがった頂き。
 そこに彼の掌を押し当てて。]

[トップスを脱がせる時に手が豊かな胸に触れた。
偶然ではなく、態とだ。
合意の上で触る権利を得ているのに、
偶然を装って「ラッキースケベ」を狙う慾張り。

少し触れただけでも真白の鼓動が高鳴っているのが分かる。

明るい部屋で、脱衣所でもない場所で脱がされる羞恥。
これからされることへの期待。

空腹の音は自分からもする。]


 っ……!
 ホントにプレゼントなんだ?


[リボンモチーフはよくあるものだと思っていたが、
「そういう意図」の下着と聞けば、
可愛らしさが途端にいやらしさに変わって見える。

いやらしいことをする為に買う下着はどこで買うのだろう。
実店舗にそういう下着が普通に置いてあるなら
偶然手に取ったということも考えられるが

通販だとしたら、検索窓にはどんなワードが?
出て来た画像を見る間、サイズを選択し、カートに入れ、顧客情報と支払い方法を確定する間。
ずっと自分に脱がされることを考えていたのなら

どれだけ「食べられ待ち」だったことだろう。
嬉しさに口元が緩む。]



 ありがとう。
 受け取るね。


[しゅるりと解いた下にはホックが。
流石にずり落ち防止の為か、片手では外しにくそうだ。
手早く自分のジーンズを脱いでから両手で中央に寄せ、ホックを外す。

まろびでた双丘を目にして思わず感嘆の息を漏らした。]


 ……綺麗。


[下着だけではなく、身体そのものも今日の為に磨かれている筈で、
余計なシミや吹き出物もない滑らかな肌に、
身体を重ねる毎に色味が鮮やかになる胸の蕾。
あまりじろじろ見ていたら隠されるだろうかとも思ったが。]


 うん、もちろん。
 引き裂いてもいいよ。


[対自分にだけ感覚が研ぎ澄まされる白うさぎさんの餅が膨れる様子を見て微笑む。
真白が今日を思い出すならこの服は古着屋にでも売ってしまおうか。
引き裂くならば廃品回収で。

他人のシャツのボタンを外すには、両手を使うより他ないだろう。
黒こげの餅の救済を急ぐ真白は気づいているのかどうなのか、
既に上裸な以上、両手をこちらに伸ばせば乳房を隠すものは何もない。]

[真白の腕の外側から腕を回し、両手の人差指で先端を爪弾く。
ぐりぐりと蕾だけを弄り、それ以外の場所には触れない。]


 ……ひとつめ。
 首のボタンは固いよね。

 ふたつめ。
 学生の時に知り合ってたら、第二ボタン、貰ってくれた?


[外れたボタンの数を数えながら、蕾を押して、離して。]


 …………頑張れ、あと半分。
 ふふ、もじもじしてる?


[胸への刺激が強ければ、スムーズに脱がせるのは難しいだろう。
わかっていて袖を抜くまでは止めない。

親指を足し、2本の指で摘まんで扱く。
こんなに執拗に摘まんでいたら、ずっと起ったままになりそうだ。]



 ……最後。
 はは、焦らされてるみたいだった。
 ちんこ勃ちすぎて痛い。


[今日は行儀の悪い日。
下品な言葉を使ってみるけれど、眉を顰められたりするのだろうか。
鼻白むならもう言うのは止めておこう。**]

[ ついた?と言う問いに ]

 きれいに、ついた

[ と頷くと、満足げな笑みが溢れる。
 景斗さんのもの、にして。
 それを聞いて付けられた鬱血痕に、
 満足そうにされると、疼いて、困る。

 今日はもう一度、出したのだから
 もう少し大人しくしておいてほしいが、

 迫り上がるのも仕方ない、とも。

 肌に触れることも快楽を得る方法の一つ
 ではある、身を以て知っている。けれど。

 それほど大きな波打つようなそれでは
 なくとも、ぷるりと震えて身悶えるような
 姿を見せられては、血流がそこに集中しても
 致し方なく。 ]

[ わかるでしょ、と言葉を紡ぐことはなくとも
 少しだけ体を寄せれば、そこが熱に浮かされて
 膨張し、硬度をあげていることは伝わるだろう。

 一度ならず何度も、それを、
 飲み込んでいる身なのだから。

 快楽を得るよりも、勃ち上がるそれを
 見るときのほうが嬉しそうに見える、のは
 欲目だろうか。

 暴き立てられることを期待して
 も少しはあるかもしれないが、それ以上に、

 自分の姿で声で、触れ方で、口付けで
 そうなるのが嬉しいと言うように、蕩けた顔を
 見せるから、敵わない。 ]

[ 聞き飽きるくらいに、聞いているだろうに
 今でも、その言葉を言うと、絶対に聞き逃さない
 その敏感な耳も、告げられた事を自覚して
 小さく震える体も、甘い吐息も。

 すべからく、いとしくて。

 飲みきれない唾液を追うように、
 舌が頬へ沿う。

 舐め取るみたいにして、もう一度唇へ
 一滴残らず飲み干すようにして、
 すっかり赤くぽってりとした唇を解放すれば
 くてんと頭を預けられる。 ]

[ 声が聞きたい、我慢しているその姿も
 見たい。耐えるようにしているの、とても
 劣情を煽られるので。

 それも嘘ではないけれど、
 
我慢しているのに、漏れてしまって
 どうしようもない、そんな顔を見たい。


 ――潜んだ本音も、見透かされているかもしれない。

 手の甲で唇を塞いで、首を振っているから。
 それも、いつまで持つのかなとか
 思っているから、いじわる、なのは否定できない。 ]

[ 背をしならせて、快感を逃がそうとも
 逃しきれないものはいくつもあろう。

 それに、 ]

 うん?

[ 取られた手が向かう場所、とくとくと
 心音は早い。

 すっかり立ち上がって、ぴんとしているそこに
 導かれた手に、どうしてほしいかなんて
 わかりきっている癖にと、詰ってもいいのに。 ]

[ 潜められた声で伝えられるおねだりに
 頬が緩んでしまうから、いじわる、なんて
 長く持たないと思う。 ]

 ……うん、いいよ。
 こう?

[ あたたかい掌を、ゆっくりと押し付けるように
 当てて、先程と同じように指先は円を描く。

 持たないと思う割に、まだもう少し
 そういう趣向は続いているようで。

 ゆら、と腰が揺れれば君のは俺の腹に擦れ、
 俺の、は君の臀部に押し付けられる。 ]

[飲みきれなくて溢れさせた唾液も、舌先で掬われる。
 頬を、口元を、なぞりあげるザラりとした舌を、
 無意識に目が追いかけて、再び唇へ戻れば、
 うっとりと細める目が満足そうに弧を描いて。

 凭れかけさせた頭、濡れた髪が彼の肌に張り付く。
 横から覗き込むような姿勢。
 その横顔を何度見てきただろう。

 手を伸ばして、近い頬とは反対側の彼の頬を抑え、
 ちう、と吸い付くだけのキスを、強く唇を窄め、キツく。
 
 そうすれば彼の頬の少し張り出した部分に薄く、紅い痕が残っただろうか。
 酷く鬱血するほどでは無いけれど、確かに薄く残る痕。
 こんな目立つ場所に、付けられるとはまさかの本人にも思っていなかっただろう。]



  あと、ついた、


[悪戯が成功したみたいに、目を細めて肩を揺らし、笑う。
 さすがに顔は売り物だからと怒られるだろうか。
 明日にはきっと同行者である神田や大咲にも見られるだろう。
 最近のファンデーションはカバー力が強いというのは、
 知恵に聞いたんだったか。
 困ったら、メイクで隠してもらうことにして。
 パウダーの下に、所有の印。

 くすくすと今度は痕がつかないように、
 触れるだけのものをもう一度顎先へと送って。]


  っ、……ぁ、……


[お返しにと腹部を撫でる手に擽られたなら、
 漏れそうになる声をまた、噛み殺したりもして。]

[導いた手の下で、心臓が脈を打つ。
 俺の生きている音が、きっと伝わってる。
 彼に触れられるだけでこんなにも鼓動が早くなること。

 押し当てた手のひらの上から、手の甲を推し重ねれば、
 既に弱い刺激で尖り始めていた頂きが手のひらに擦れ。]


  ……ぅ、ンっ、 ……


[小さく息を飲んで、ぐっとまだ動いていない手を押し付けて。
 自ら刺激を望むように、数度上下に擦らせる。

 こんなに、淫らに刺激を求めるようになったのは、
 触って、感じさせて、身体を作り替えた、あなたのせい。]

[小さく息を飲んで、ぐっとまだ動いていない手を押し付けて。
 自ら刺激を望むように、数度上下に擦らせながら。]

[手を離せば、もう抑えていなくとも。
 彼の手がゆっくりと快感を引き出すように動き始める。
 指の腹が色付いた輪郭をなぞり、それだけで肌が沸き立つ。
 ただ、それだけじゃ刺激が弱すぎるから。]


  ン、ッ……、……つねって、
  つよくして、……なめて、ほし、



[ちゃぷん、と閉じ込められた腕の中、身じろいで。
 向き合うような姿勢に変えて、彼の膝の上に乗りあげて。
 膝に乗り上げた分だけ、高くなった位置。
 尖った赤い部分が彼の目の前に晒されて。]

[腰を擦り寄せるように彼の腹部に、押し付ければ。
 緩く勃ち上がった先端が、彼の腹筋で擦れるから。]


  ぁ、ンっ…… 


[まるで彼の身体で自慰をするみたいに。
 数度、腰を揺らめかせて、快感を拾い上げていく。

 か細い声をふるわせて、まだ、大丈夫。と。
 潜めた声が響かないか、気に掛けながら。*]

 ふ、

[ 覗き込むような姿勢から、頬を抑えられて
 柔らかな感触、のち、吸い付かれて、
 笑い声を堪えるように、息を吐いた。

 顔にくるとは流石に思わなかったので。
 今は確認しようがないけれど、本人が
 ついた、というのなら、きっと赤く色付いているのだろう ]

 予想外なこと、してくれるなぁ
 あとで、鏡見ないと。

[ 目を細めて笑われたなら、こちらも笑う。
 明日まで綺麗に残っていたら、きっと
 隠そうとはしないだろう。

 むしろ昨日愛された印ですがとばかり。

 ――知り合いはともかく朝食を運んでくる
 仲居さんに見られるのは少し恥ずかしい気もするが

 大変、気分が良いので重なる手を
 擽るようにして。 ]

[ わざと、のゆるい刺激でも
 甘い声が耳を擽って。

 足りない、と言いたげに自ら
 擦らせて。 ]

 うん、

[ 身じろいで姿勢が変われば、目の前に
 つん、と尖った乳首が晒されれば、
 白旗を上げる他、ない。

 片方は、きゅ、と親指の腹と、人差し指の
 側面で摘むようにして、もう片方は、尖らせた
 舌先でつついて。

 擦り寄せられた腰、腹部に触れるモノへは
 自分で快感を拾っているようだから。 ]

[ 空いた手が、支えるように、
 臀部へ向かう。

 まだ、声を潜めることにも意識が
 いっているようだから、

 そちらはそっと、撫でるだけで。 ]

 きもち?

[ 問うて、胸の尖りを甘く噛んで。
 もう片方は指の先で引っ掻いて。
 ぱちゃ、とお湯が跳ねれば、目を伏せて。* ]

[意表を突けたのならしてやったりと、
 双眸を細めて、猫のように笑い。
 無い喉をごろごろと鳴らすように、擦り寄って。
 鏡で確認するというからまた声を立てて笑ってしまう。

 嫌がる素振りもなく、確認したい辺り、
 付けて欲しいと言っていたのは本音のようで。
 それなら遠慮することもないか、と。
 これからのことを考えながら。

 彼が恥ずかしげもなく堂々と痕を見せることに対して、
 後日、付けたこちらの方が居た堪れなくなって、
 持ってきていたキャップを目深に被って、
 顔を隠してしまうようになるのは、もう少し後のこと。


 擽ろうとしてくる手を、避けようと身を捩れば
 ぱしゃぱしゃと水音が立って、秘めやかな笑い声が響く。]

[上手くおねだりは出来たみたいだったから、
 彼の手を離しても、その場に残ったまま。

 自身の空いた手は彼が好きだと言っていたように、
 しとりと濡れた髪を、撫でる。

 口にした通りに、尖りを指先で摘まれて、
 まだ弄られていない方には、唇が近づいていく。
 
 触れる前の擽る吐息に、身震いして。
 唇に包み込まれたなら、満足したような溜息が溢れる。]


  ……ッ、ん …… 
ン、



[ぬるりと舌先が這って、尖りを突ついて。
 歯を軽く立てられて、甘い痺れが胸元から背へ。

 身悶える度に、下腹に擦れる先端から先走りが零れ、
 ぬる、と湯とは違う粘ついた液の感触が這う。]

[髪を撫ぜる手とは違う手を、口元に当てて。
 自身の指に熱い息を散らして、伏して。

 気持ちいい、問いかける声に。
 こく、と浅く頷きを返す。]


  ……ッ、ン、 
……きもち、
……



[歯を立てられたなら、仰け反るみたいに身を逸らして。
 口元に胸を押し付けて、震え。

 強い刺激に、そちらにばかり集中していたせいで、
 下方へと伸びた手に気づくのが遅くなって。]


  ……ぁ、 ……ぅ、ン……


[窄まりを指の腹が撫でれば、
 まだ飲み込んでもいないのに、きゅうと悦ぶみたいに。
 そこが、ひくひくと、呼吸をして。
 一気に、顔に熱が集まり、頬を染める。]

 

[ 今日彼と過ごすために選んだオフショルダーのトップスを、
  彼自身の手で脱がされる。
  途中、彼の掌が膨らみへ触れれば、びくっと肩を揺らし
  「ひぅ、」とちいさな声を零して。

  ────可愛いデザインは、可愛い儘で受け取って欲しい。
  "そういうコト"をするのに相応しい下着を、と
  恥を忍んで通販サイトを巡り巡ったのだ。
  好みは知っている。多分、女の子らしくてかわいいもの。
  それだけじゃ足りなかった。


  ──美味しく喰べて貰うには、プラスが必要では、と。
 
「えっちなことをする時に着ける下着」というワードは
  検索履歴から真っ先に削除した。記憶も消したい。
  物理的に不可能なので、黙して秘すべしである。
 ]

 

 


  ……ゃ、 あんまりみないで……、


[ 緩んだ口許と、受け取るね、という言葉。
  空腹の狼を煽るには足りるプレゼントだっただろうか。
  下拵えも自分ではしっかり決めてきた…つもりだし
  ボディスクラブやスキンケアは入念に、
  一日も怠らなかった。準備万端すぎて今更恥ずかしい。

  身体を重ねるごとに色付く蕾と同時、
  なんだか最近、サイズもまた大きくなった気がしている。
  ──まるで"育てられている"みたいだな、と思っては、
  お風呂の時やや意識して目を逸らしてしまうようになった。

  なんて余談は、嫉妬の黒で蚊帳の外。
  見られて恥ずかしいから胸を腕で隠すよりも、
  その、他の人の匂いがするシャツを脱がす方が先。 ]


  さすがに、引き裂きはしない……ですけど
  新しい代わりの服、今度買いにいきましょう。


[ つまり、もう二度と着ないでというお願いだ。
  ボタンを外すために両腕を伸ばす。 ]

 

 


  ッン、ぁ ふ……っ!?


[ 大人しく脱がされてくれると思っていたのが間違いだった。
  ボタンに掛けた指先がびくんと跳ねる。
  彼の人差し指が、胸の先端を爪弾いてはぐり、と弄って
  背筋にもうすっかり憶えきった快楽が奔った。 ]


  〜〜も、ばかぁっ、わるいこと しない、で……っ


[ ひとつ。首元の固いボタンを外す。
  ふたつ。震える指でどうにか、外して。

  第二ボタン、あげた子は過去にいるんですか。
  なんて訊いたら、返事によってはまた餅が焼けるので
  問いかけには顔を真っ赤にしながら頷くのみ。
  貴方がくれるものは、なんだってほしいもの。 ]

 

 

[ 早くこの縄張りを荒らす匂いを脱がしてしまいたいのに、
  不埒な指と快楽が邪魔をする。
  必死に声を耐え、はふ、と熱い吐息で痺れを逃し、
  それでもざわつく身体を指摘されれば ]


  ──わかってる、なら、 んぅっ、
  ……っゆび、とめて……っ


[ みっつめ。
  ぷちん、と今までの倍程度の時間をかけて外し終える。

  止めてと懇願しても指先の悪戯は止まらないどころか、
  親指の動きまで加えられ
  すっかり赤らんで存在を主張する胸の先端を摘まみ、
  快楽の海へ落とすように扱かれて、
  じん 、と頭まで甘く痺れては下腹部が熱を増す。 ]

 

 


  ──…ひぁ、っや、んン……っ!


[ 堪えていた甘い喘ぎも、ついに決壊して流れ落ちる。
  シャツのボタンを外し切ったのはもはや意地だ。
  じくじくとお腹の奥が疼いて、
  "それ以上"をとうに知っている身体が、
  この先を慾している。 ]


  …………や、わた さん、も
  ……そんな、言葉、使うんですね……?


[ 今日が"特別お行儀の悪い日"だからだろうか。
  驚いたように思わず反応してしまったけれど
  嫌悪や怯えの感情はなく
  むしろ、普段とのギャップに獣めいた"雄"さえ感じて

 
────……まるでこちらが煽られる、ような、
 ]

 

 


  …… はやく、ぬいで …ぬがせ、て。


   ────……わたしも、おなか……あつい です、


[ だから、二人っきりで熱を交わす時間には不必要な
  その嫉妬の炎を燻らせる匂いを、早く消して。

  貴方の手を掴み、自分の薄い下腹へ導いては
  "埋めてほしい"とねだるように、擦らせる。
  ──……すこしは煽られてくれるだろうか。* ]


 

[友人と何かの折に会話をした時に、

「上下揃っていない下着は萎える」だとか
「ババシャツはない」とか
言っている奴がいたな。

萎えはしないけど、まあ可愛い方が好きだな。
みたいに言った気がする。

巷に溢れている可愛いデザインの下着、
勿論装着者の好みだったりサイズの問題もあるだろうけれど、
恋人との旅行につけてくるということは、
見られて――脱がされることを意識して選んでいる訳で。

その時間をきちんとありがたいと思うことは大事だと思う。

検索履歴は見ないけれどね。
検索するなら「そう」だろうな、と思ってるよ。]

[見られる為のプレゼントでしょう?

見た目も極上だし、触れば掌や指に吸い付くようだ。
「セックスの準備」という以上に、
自分に愛される為に頑張ってくれていることが嬉しいし、
その嬉しさを表現できないなんて彼氏失格だと思っている。]


 うん、選んで。
 これから新調する度にマシロちゃんに選んで貰ったら
 僕は中も外もマシロちゃんでつくられてることになるね。
 楽しみ。


[「中」は真白の作る食事のこと。
今も自分の血肉は彼女の食事からつくられている部分が多いが、
洋服も真白の見立てで揃えるなら、「彼女専用カスタマイズ」されているようで嬉しい。

もう着ないシャツは捨てて帰るのだけは少し忍びないので、
帰ったら古着回収の日に出すことにする。]



 だって我慢できない。


[悪戯をしない方がスムーズに外せるというのを理解できない訳ではない。
ただ真白が可愛く茹る様が見たいだけ。

自分は普通の高校ではないから私服登校だったけれど、
真白にボタンをあげそこなったのが悔しくて今から学ランを着たい気分になった。
言わないので年を考えろというツッコミも発生しない。]


 ふふ、可愛い。


[止めて、の答えにはなっていない。
だが弄っているのは胸だけなので、真白の腕の動きを直接阻害するような体勢にはなっていない。

つまりは真白が下腹部の熱にもどかしさを感じている間、
自分の方もどんどん頭を擡げて来たものに対して慰めを与えられなかった訳で。]



 僕だって男だからね。
 でもマシロちゃんが嫌なら今日だけにする。


[「もう言わない」とは言わないのは、直後の反応に嫌悪が見られなかったから。
導かれた下腹を擦る。
本当に白うさぎは狼を煽るのが上手い。

そのままショーツを脱がせた。]


 ……糸引いてる、



[もうこんなになってるなら、ここでいれちゃおうかな、と思わなくもないけれど。
他の女性が近づいた形跡を洗い流してから、という真白の希望は叶えたいので。

脱ぎ落したジーンズの尻ポケットから一枚コンドームを抜いて口に咥える。

両手は空いている。]



 んっ、 ……ょ、


[密かに少しジムに通っていました。
今までの軟弱な身体では出来ないなと思って。

数週間、の成果ではあるが。
真白が華奢であるおかげで何とか
「お姫様抱っこ」の形にはなっただろうか。
下肢にある熱が少し邪魔なので軽々という訳には行かなかったが、内風呂までは落とさずに。]

[棚にパッケージを置いて、シャワーを手に取る。
双方にまず湯をかけてからボディソープを手に取った。
ポンプを押せば泡が出てくるタイプのソープだ。

真白の胸元にもこもこと泡を渡した後、小首を傾げる。]


 ……洗って、他の人のにおい、落としてくれる?


[ボディタオルもブラシも手に持たないまま。*]

[ してやったりと、猫の目で笑うのを
 やられたなぁって顔で見てた。

 確認しないとと言えばまた笑うから
 あまりの可愛らしさに目眩がして、

 くらりとした拍子に、額を首筋にぺたりと
 つけて。自分も笑う。

 擽ろうとした手は、避けようと身を捩られて
 ぱちゃりとお湯が舞う。

 笑い声は密やかに、お湯の跳ねる音に
 隠れるくらい。

 ――後ほど、鏡に写った自分を見て、
 だらしのない顔をするのだろうが、
 それはまた、あとで、の話し。 ]

[ 濡れた髪に、濡れた手が触れる。
 温泉で温まった手が、通るたびに、
 あたたかさと心地よさで、息を吐いて。

 待ってた、とばかりに満足したようなため息が
 聞こえてくれば、可愛がる指にも、熱が入る。

 濡れたそこは、乾いた肌より
 指にとどまりやすいから、捕まえるのも、容易で。

 摘んで力を加えると、ぴくんと体が揺れる。
 擦れる熱から先走りが溢れていることまでは
 まだ、知れずとも ]

 っふふ、 

[ 浅く頷いて、素直に答えられると、
 こちらの熱も、角度がぐっと変わるが
 まだこのもどかしいような、優しい時間を
 過ごしていたいので、見ないふりを。

 ――もっとも、その上に乗っかってる君には
 伝わってしまうのだろうけど。 ]

[ 一気に上り詰めるでなく、
 ゆっくり、を望まれるなら、

 こちらの要望とも上手く、噛み合うことだろう。

 撫でられる手が、耳を掠めれば、
 
、と小さく声を取り落とした。

 教えるばかりではなく、
 教えられる事も多々、あった。

 が、耳に触れられて、ぞわ、と
 するのは初めてのこと。

 ――作り変えられたのはこちらも同じ
 今の今まで気づかなかっただけ、
 なのかもしれない。 ]

[ 何度も吸い付いた胸の尖りは
 赤く色づきながら、強請るように
 唇を押し返してくる。 ]

 こっちも、

[ 指と唇との位置を入れ替えるように、
 まだ吸い付いて居ない方に、ふ、と
 息を吹きかけて。

 尖りを弄っていた手は湯の中へ
 湯の中で尻を撫で回していた手は、
 色付いた胸の尖りへ。

 湯の中へ入れた手は相変わらず
 やさしく、撫で回しながら、
 揺らすように、力を加えると、

 ちょうど自分の熱が擦れて ]

 

[ プレゼントは受け取り手がいなければ成立しないモノ。
  巷に溢れた"可愛い"のデコレーション、
  女の子が一晩の魔法に掛かるための少しのスパイス。
  磨いて、努力して、もっと可愛い私になって、
  ──そのご褒美は貴方からの愛がいいな。 ]


  ……ふふ、そうですね?
  全部私に作られてくれるの、うれしいです。


[ 食事は相手の身体を構成する為に不可欠。
  人間の細胞は何ヵ月周期で変わる、とかいうんだっけ。
  "神田さんブレンド"をカスタマイズしたように
  貴方の存在ごと私色に出来るなら ──それは。

  その未来は、とってもとっても、愛おしい。
 
まず第一歩は持ち帰ったそのシャツを
  古着回収の日にぽいっとしちゃうところから始めて。
 ]

 

 

[ ────この匂いの持ち主たちは知らないし、知れない。

  貴方が我慢できない獣みたいな側面があることも、
  貴方から与えられる"可愛い"の甘い味も、
  貴方に触れられることで生まれる熱の疼きも、すべて。

  私だけが見られる世界。
  ──…第二ボタンのもやもやは、近いうちにきっと
  昔の思い出話で晴れることになるだろう。
  学生時代はセーラー服だったから、
  私服登校という概念のことを失念していた。 ]


  …………いや、ってわけじゃ……ないです…。
  ただ、その
  聞き慣れなくて、そわそわしちゃうというか、


[ でも、嫌じゃない。
  寧ろ知らない貴方がいる方が嫌だ。

  そんな想いで導いた下腹部、擦る掌の温もりが
  心地よくて身体の力を緩めた。 ]

 

 


  ────── ……  
いわないで、ばか、



[ ああもう、言葉にされると自覚してしまうのに。
  幾夜も重ねた肌と、拡げられ続けたナカは
  きっと今すぐ挿入されても貴方の形になるだろう。

  けれど、他の人の匂いはいや。絶対に、だめ。
  落として、いつもの私と貴方になってから。

  ──……口に咥えられたものが何か、なんてことも
  今の自分はよく知っている。
  「ぁ、」と声を零し、まごついた。 ]

 

 


   ( ……それ、いらないって、
        …………でも だめか、な、 )


[ 今日は周期的には安全な日で。
  間違ってもこの日に被らないように、薬も飲んだ。

  だからゴムもいらない、……けれど
  困らせてしまうだろうか。
  自分を思い遣って毎回欠かさず着けてくれているのに、
  はしたないって、思われはしないだろうか。 ]

 

 

[ ────なんて考えていたら、
  火照った身体が、彼の腕に抱え上げられていて。 ]


  ひゃ、ぁ っ!?


[ 数週間の密かな努力は知る由もない。
  お姫様抱っこの形で抱えられたことを悟り、
  「お、重いですから、!」と必死に訴えるけれど
  抵抗虚しく内風呂まで運ばれる。

  骨格自体が華奢なのと、太りづらい体質のおかげか
  実際は女性の中でも軽い方に分類はされるのだが。
  それと乙女心は全くもって別問題!


  明日から絶対賄いはちょっと控え目にしよう、と
  誓いを立てながら、彼がシャワーで湯をかけてくれるのを
  ぴるる、と小動物のように浴びて ]

 

 

[ ──……ここでいったん別行動、と
  そんな風に事は運ばないのが現実である。

  何故か自分の胸元にもこもこの泡を渡され、
  「?」と同じような角度へ小首を傾げた。
  あれ、この泡は貴方のものでは? ──というように。 ]


  ………… あの、……それは、


[ 手には何も持っていない状態で。
  やわい胸元にもこもこのボディソープを落とされて。

  その状態で、「洗って」と言われるのが何を指すか。
  理解した途端に顔がいちごよりも赤く染まって、
  寄せればたぷ、と揺れる豊かな胸をそろりと抱えた。

  他の人のにおいがついているのは、いや。
  落としてと地団太を踏んだのは自分。
  ────……羞恥で目元も赤らめて、頬を膨らませ、 ]

 

 


    ────…… ばか。 すけべ。
    なにで、 って言わないの、ずるいですよ…




[ こんなの今日だけなんですからね、と
  身体を密着させて、泡を落とされた胸を引っ付けて
  洗うように上下へ動かす。
  どうしても胸の先端が肌と擦れて、甘い息が零れ、
  そのたびに「んぅ、」と声を堪えながら。


  手で洗ってほしいなら、最初から掌に泡を渡すだろう。
  けれど彼は「なにで」とは指定しなかった。
  ────……狙いの正解が何にせよ、
  とんだ意地悪でずるい狼だ。* ]

 

[くるりと輪郭をなぞって、摘んで。
 軽く爪を立てられたら、身を捩って。
 じわじわと快感と熱を引き出されていく。

 半身を湯の上に出しているというのに、
 身体は火照って、吐き出す息も甘く、熱い。

 幾度も往復する指が、ツンと尖りを押して、
 その指を押し返すみたいに膨らみが硬くなって。]


  っ、……ふ、……ぅ、  ンっ、


[湯船の温度に逆上せているのか、それとも。
 彼の愛撫に高められていっているのか分からなくなる。

 ただ、分かるのは。
 胸を擽る髪が、唇が、確実に快楽を与え続けて、
 初めてのときは感じもしなかったその場所で、
 ぬるつく程、先走りを零し、兆しを見せていること。]

[自身のものが張り詰めていくと同時に、
 あまく、腰を揺らしてみれば。
 臀部に彼の勃ち上がったものが擦れる。

 はぁ、と期待に満ちた溜息を洩らして
 焦れるようになったのは、いつからか。
 すっかり作り変えられた身体は、
 彼を飲み込むことを、望んでいる。

 緩やかに髪を撫でていれば、胸元で彼の肩が揺れて、
 笑っているのだと、気づけば。]


  …………、 ……?


[とろんと落ちた瞼で不思議そうに小首を傾けて、
 つん、と、彼の髪を一房引いて。]


  ……ぁッ、 
……ン、



[彼の刀身がぐっと膨らみを増せば、
 臀部に触れる大きさが如実に伝わってしまって。

 ついと、塞いでいたはずの唇から甘い声が、零れて。
 また、自身の手の甲で、唇を塞ぐ。]

[溜息のような吐息を零して、見下ろせば。
 前髪から雫が落ちて、彼のこめかみを濡らす。]


  
おっきく、なってる……、



[確かに分かる育ち具合。存在感はさっきよりぐっと増して
 柔らかな肉肌を突付くから、目尻を染めて、呟いて。

 まだ、だめ、と訴えたその場所の近くを、
 彼の刀身が擦るから、は、は、と短い呼吸が解ける。

 ほんとうは、触れてほしい。
 けれど、口にするもの憚られるし、
 触られたら、すぐに達してしまいそうで。

 
言えない。

 

  ……は、ぁ…… ッ、
 

[代わりに、彼の胡座に跨がるように沈めた腰、
 少し浮かせて、姿勢を変えて。
 双丘の合間に彼のものを挟み込むようにして、
 体勢を変えたなら、後孔と会陰を刀身に当てて。]


  ……ンッ、 ……ぅっ、
  は、ッ……ぁ、ッ ……ァ、


[緩やかに腰を上下に揺らめかせたらば、
 ちゃぷ、ちゃぷと二人の間から波が広がっていく。
 
 さっき彼の指が触れた場所が、彼のもので擦れて。
 気持ち悦くて、生理的に浮かんだ涙が溜まる。

 一度、気持ち悦さを覚えてしまったら、
 止まれなくて、声を堪えながら、波を何度も作って。]

[一緒に高め合うように、ゆっくりと。
 快感をじっくりと拾っていく。
 湯が張っている分だけ動きは緩慢で、遅く。
 空気に触れるよりも、少し感じが鈍い。

 きゅう、と彼の頭を抱き込んで。
 抱き込んだ手が、彼の耳を掠めたら、
 彼からも感じ入る声が聞こえて、堪らなくなる。

 抱き込んだ頭がもぞりと動いて、
 粒を育てた彼の顔が上がって、反対側へ。
 どちらも、と同様に育てるみたいに唇が降りて。]


  ……ぁ、ッ、 ……ンッ、
  
だ、 め 
ッ……、


[感じ過ぎると、思わず出てしまう否定の言葉。
 だめ、はイイ、ってことはもう知られているのに。
 更に頭を抱き込むみたいに胸元に押し付けてしまう。]

[自分の内も外も彼女によってつくられて。
じゃあ彼女は?というと。

こうやって自分のことを思って服を選んでくれるし、
自分が初めて抱いた時から身体つきもどんどん自分仕様に変わってくれている

狼同様、白うさぎもたった一人のつがいの為に内も外もつくられている。

変わるご褒美に欲しいものは互いの愛。
そしてそれをごはんにして、また変わることができる。]

[自分にとってはフィクションでしかなかった「第二ボタンイベント」、
真白にとっては自分が初恋というのを聞いてはいても、
彼女に渡そうとしたやつはいたのではないかと思うと
想像だけで面白くないから、後日自分が私服だったことも含めて
話す機会はあるだろう。

同じ場所に「帰る」日が続くようになったら、
卒業アルバムも見たいし。
セーラー服が出てくるなら着てみて欲しい。


自分の中にこんなに慾が肥大する余地があったのだと自分でも驚いている。]


 その「そわそわ」は、「感じてる」ってことだよ。
 耳が覚えたら、ちゃんとこの奥が「欲しい」って反応してくれる筈。


[自分が発した卑猥な単語に嫌悪がないなら、子宮を外から撫でながら都合の良い解釈を植え付けてしまおう。
行儀が悪い日がこれからは来ないなんて言ってないしね?

それに自分は知っている。
真白はもう既に、達する瞬間に「イく」と声に出せるということを。]

[それでも避妊具はまだ扱うのは自分主体。
口元に咥えて抱き上げれば間近に見える訳で。

中央に丸く凹凸がある。
口径は普通サイズ。
でもこれ以上のサイズがあるなんて、彼女は知らなくて良いこと。
より長いものがあることも、一生体験しなくていい。]


 ん? ――んん、


[狼狽えたように見えたのを、近くで見た所為かと思った。
「駄目な日」はちゃんと教えてくれるので、そこから計算すれば
周期は大体把握しているけれど、絶対なんてものはないし。
服薬までは、知らないので。

セーフティセックスは信条だ。
つまりは、今までこの性器は直に女の胎を擦ったことがない。]


 重くはないけど、初心者だから上手くなくて。
 絶対落としたくないから掴まっててね。
 ちゃんとコツ掴めるまで。


[今日だけではないということ。
勿論好きな男にされるのは初めての真白には衝撃の展開だっただろう。
だが諦めて慣れてほしい。
好きな女の子を腕に抱えられるという幸せを感じている男の顔、
その位置その角度からよく見えるでしょう?

時間にしてほんの数十秒。
無事に下ろしてシャワーをかける。
内風呂だからか普通の湯だ。予め適温なのが嬉しい。]

[そして手から胸へと渡した泡の意図はどうやら察してくれたようで。
頬を膨らませながらも結局触れてくれる。
立ったままだから洗える範囲は少ないが、上の方は掌に残った泡で自ら清めておこう。]


 心理学のテストもきっと満点だね。優秀。


[ずるい出題者は笑ってされるがまま。
背を向けて、上半身をぐるりと泡塗れにして貰う。]


 乳首ずっと起ったままだから、コリコリしてる。
 擦れて気持ちいいんだ?
 可愛い、僕、も。きもちぃ、


[一周泡がついたなら、下半身までは要求しない。
「ありがとう」と身体を離して、残りは自分で、と備え付けのボディタオルのパッケージを開けた。
2枚入りの片方を真白に渡せば、自分がつけられたこの泡を真白に返すつもりはないことがわかるだろう。]

[天を衝く剛直を洗えば自分の手でも気持ち好くなってしまうのを恐れたが無心を心掛けた。
恐れて洗いが甘いのは許せないので。

内風呂にいちごの香りのボディソープ。
流石双方の商売に乗っかっているだけのことはある。]


 におい、消えた?
 確かめてみて。
 一緒に流すから。


[抱き寄せてシャワーを流した。
互いの身体を覆う白い泡が消え、火照った肌が露わになる。

真白の合格は得られただろうか?
同じ匂い、と此方も鼻先を近づけつつ。

棚から別のパッケージを取り出して。]



 毛先ちょっと濡れちゃったね、ごめん。
 髪の毛は後にして貰っても良いかな?


[シャワーキャップに抵抗があるなら、ヘアバンドで上に上げてもらうとか別の方法を考えよう。
とにかく髪の毛の処遇は自分よりも彼女の方がきちんとできるだろうからお任せだ。

その間、視線は設置されたもう一本のシャワーを捉えていた。**]

[ 苺みたいに、真っ赤になるそこ。
 デザートをいただく時、みたいに
 じわじわとゆっくり、愛撫を施すと

 腹のあたりで、ひくひくと、刺激を求めて
 擦られるそれに気づいた。


 初めて抱いた時にも、片鱗は見せられていたけど
 キスと、緩やかなふれあいと、胸の尖りへの刺激。

 それだけで、とは言うまい。言えない。

 いつだって、どこを愛撫する時だって、
 感じて欲しい、啼いて欲しい、気持ち良くなってと
 唇を通して、指を通して、伝えていたつもりで。 ]

[ その結果、愛されるのが上手に
 なってしまった。いとしい、みだらなからだ。

 それを愛しさと呼ばず、なんと呼べば
 いいのか。

 君がそれを知っているなら教えて欲しい。 ]

 なってるよ、
 そんな気持ち良いって反応されたら。 

[ 笑った事を不思議そうに見ていたから
 ぐ、とそこを押し付けてやると、
 おっきく、なんて言うものだから、
 尚更押し付けるようにして。

 君で感じて、こうなってる、
 分からせるように、腰を揺らして。

 水中では重さなどあってないようなもの。
 ゆっくりとした動きは、突き上げるときの
 それと似た動きで。 ]

[ まだ、だめ、とそう言われて
 舌の根も乾かぬうち。

 短い呼吸で、染まる目尻で、変わった姿勢で

 限界が近いことを連想させるのに、
 言わない、から ]

 ――あ、
それ、 ちょ、  ン、

 
[ まだもう少し、ゆっくりってそう思っていたのに
 柔らかな肉の合間に挟まれたら、
 焦るような声が出る。

 それでも緩やかに動く腰は止まらず
 ちゃぷり、ちゃぷりと跳ねるお湯が肩を、耳を
 濡らして ]

[ 散らばったものを掻き集めるようじゃなく、
 ひとつひとつ、拾うように。

 高まっていく快楽から、逃げられようもない。
 抱き込まれた腕が触れるだけでも、
 びく、と体が震えるほどに、体ぜんぶ、
 飲まれていくようで。 ]

 俺のが、ダメかも、

[ 更に抱き込まれて、呟いて、
 また尖りを食んで。

 
――そこで漸く気づいたのだが、

 
もう取りに戻る余裕なんて、ない。
]

[彼と身体を重ねるたびに、少しずつ。
 開かれて、慣らされていった身体は、
 小さな快感も拾える程敏感になって、恥ずかしい。

 なのに。
 
 身悶えて、啼いて、縋るたびに、
 褒めるみたいに彼が頭を撫でて良かったね、と言うから。
 まるでそれが正解だったみたいに覚え込まされて、
 快楽に従順になっていく。
 
 一度外れた箍は、際限が効かなくなってしまう程。
 淫らに、彼を求めるようになって。

 自分がこんなにも貪欲で浅ましいとは思わなかった。

[だけど、そんな俺を彼は。
 かわいいと、いとしいと言ってくれるから。

 涙を散らして縋ってしまう。
 もっと、と口に出せるまで数ヶ月。
 口に出せなかった分、身体は素直に、
 彼を求めてしまうけれど。――呆れないでほしい。

 善がる俺を見て、形を大きく変えて。
 硬くなったそれを押し付ける。
 反応を喜んでいる彼に、きゅう、と胸が疼いて。

 髪に頬を擦り付けて、甘えて。]


  ……ぁ、ぁんッ
 ……ゆらさ、ないでっ……



[自らも腰を擦り付けていたのに。
 彼にされたら、それ以上感じてしまうから。
 身体の奥が疼いて、後孔を突付く熱さに身悶える。]

[焦れったいけど心地いい快感の波に飲まれて。
 腰を揺すって刺激を求め、瞳を伏せる。
 ぱた、ぱた、と髪から溢れる水滴が湯に幾度も落ちて。

 気持ちいい、しか考えられなくなっていく。
 もうちょっと、もうちょっと。]


  は、ッ……ぁ、ンッ、
 …ンッ、 んっ


[入り口を擦るだけの淡い刺激を求めていれば、
 直接、昂りを会陰に擦られる彼のほうは、
 きっつかったのか、上擦ったような声が聞こえて。

 少しだけ、動きを緩やかなものに変えて。
 それも、次第に完全に止めて。]


  ……、……ン……、?


[とろ、と蕩けきった表情に映る瞳は。
 しとどに濡れて彼を映し出し、ぼうっと呆けた頭は、
 うまく思考が回らなくて、こてりと首を傾げて問う。]

[後孔を擦り上げる先端から、ぬめりを感じて。
 彼も感じているのだと分かって。
 抱きしめた身体が、僅かに震えただろうか。

 だめかも、という声に。]


  ……ん、  ……ぁ、ッ


[今度は問いかけるではなく、相槌の音を重ねて。
 抱き込んだ頭が、動きを制するみたいに粒を食むから、
 びくん、と背を丸めて、はふ、と吐息を逃がす。

 表情も頭も、これ以上無いぐらいに蕩けたのは。
 今まで、きっと彼も見たことがないくらい、あまい。]

[ 持って生まれたもともとの、
 ではないのは承知済み。

 肌を重ね合ううちに、覚えてくれることを
 褒めるように、良かったねと重ねて、
 心だけじゃなくて、体も、好きになって
 くれて、――そうして、俺は自分の瑕も、
 どうでもいいものじゃなく、好きになれた。

 底なんてなくとも構わない。
 際限など、決めたい人が勝手に決めればよろしい。

 奥の奥、君も知らなかった君と出会う度、
 何度だって、恋する気持ちを知っていくから。 ]

[ 恋を覚えた体はときどき、
 焦がれて焦れて、疼きを君にも
 知らせてしまうけど。

 ――呆れはしないだろう

 この温度を教えたのは君で、
 手を取って二人、溺れてきたのだから。

 甘える君が、あまく、なく。 ]

 可愛い声、――…もっと、欲しいな

[ ちゃぷん、ちゃぷん、泡立つほどでもない
 水音のまま、揺すり、揺すられて。

 次第に追い詰められていって、
 お湯の中、とろりとした先走りの蜜が零れて ]

[ 自分の意志とは裏腹に、入りたがるように
 そこを突き回してしまう。

 ドアを叩いて、あけて、と言うみたいに。 ]

 ――……は ぁ、

[ 腰の揺れが緩やかなものにかわり、
 止まっていくのに、蕩けきった表情を見てしまったら
 こちらの思考も溶けていく。

 しとどに濡れて、首を傾けて、
 あまく息を吐いて。

 主義に反する。このまましてしまうのは。
 その思考すら、奪い去って ]

 ……このまま、 入れさせて。

[ 卑怯すぎる問いを投げる気はない。
 ダメと言われても止まれないからではなくて。

 こんな時に問えば、良いとしか言えないだろうと
 思ったから。 ]

 
――ン、………あっつ、


[ 全て埋め込んだら、切なげに眉根をよせたまま
 なきごと、ひとつ。 ]

 
熱くて、キツくて……

 
出ちゃうかと思った、


[ ふ、と浅く呼吸を繰り返した。

 あってもなくても、そう変わらないだろう
 あんな薄いスキン一枚なんて。

 そんな風に思っていたものだから。

 隔てるものがなにもなくて、
 直接奥まで、触れてる熱さに、
 みっちりと包まれる感覚に、軽い吐精感を感じるほど。

 ――これは覚えちゃいけないもの
 だったかもしれない。こんな手放せない感覚を
 知ったら……、箱ごと屑篭に放りかねない。 ]

 ――ン……、やばい、気持ち良い

[ ゆっくり蕩かした火照った体を、
 これまでにないくらい、ゆっくりと揺すって

 揺するたびに、勝手に声が漏れていく。
 湯けむりの中、真っ赤に染まる肌が跳ねるたび、
 襲い来る感覚もまた、癖になってしまいそうで。* ]

 

[ ──第二ボタンを渡そうとした人こそいなかったが、
  そういえば卒業式の日は、妙に話しかけてくる人が多かった。
  当然自分は友人を優先したのでそこで話は終わったけれど。

  卒業アルバムを見せる機会があるなら、
  他愛なくそんな思い出話をすることもあるかもしれない。
 
セーラー服は捨てずに置いてあるので
彼の慾も、遠からず叶えることは出来るだろう。
 ]


  ……そう、なんですか……?
  じゃあ、えっと ……おぼえ、ます……。


[ 彼が口にした直接的な単語へのそわつきは、
  "感じている"ということらしい。
  外から子宮を肌越しに撫ぜられれば、ぞく、と奥が疼く。
  ──成程、言われてみればそうかもしれない。
  植え付けられた解釈を丸呑みし、白うさぎは成長する。

  目に見えない内側も、彼の手で作られていく。
  ──愛という名のごはんをご褒美に。 ]

 

 

[ 避妊具は用意も着けるのも彼に任せきっている状態。
  ドラッグストアで売っている、ことは知っているけれど
  見たことはないし見に行こうとも思わない。
  だからサイズがどうこうなんて知識もいらないものだ。
  ──自分には今後一生、彼だけなので。


  それはそれとして、避妊具を口に咥える仕草は
  なんだか胸を高鳴らせるものがある。
  少し目を奪われたのはきっと気のせいなんかじゃないし、
  だから「いらない」と言い出すきっかけを見失った。

  周期を把握されていることは知らないが。
  服薬せずとも殆ど"駄目な日"にはならないというのも
  それなら、彼には知られているのだろうか。 ]

 

 


 [ 被らないように、なんて建前で。
   肌を重ねるたび覚え込まされた、薄膜越しの彼の熱を


   直接たべてみたくなってしまった … なんて、
   本音の話 呆れられるのが、すこし、怖いような。
   でも、そんな風にえっちに育てたのは
   ……狼さんなのだから責任を取ってほしい。 ]


 

 

[ コツを掴めるまでということは、今後もあるということ。
  でもやっぱり重いから、と無駄な抵抗は飲み込んだ。
  ────……自分を腕に抱えている、それだけなのに
  貴方が、幸せそうな顔を浮かべたのが、よく見えたから。
  ここは自分だけの特等席だと思うと
  抗う気もなくなって、ただ、彼の方へ腕を回した。


  そして特等席から下ろされ、シャワーを浴び、
  自分はずるい出題者の意図を正確に汲み取れたらしい。
  優秀、と褒められても、気恥ずかしさが拭えないまま。 ]


  ……っ、これだけできもちよくなるようにしたの、
  やわたさんですよ……っ


[ 近頃ブラのサイズが少しキツくなってきたのも含め。
  擦れるだけで気持ちよくなるように育てて、
  先端を敏感に起つようにしたのも、貴方なのに。

  冷静に考えたら、少し前までの自分なら
  自分の胸で彼を洗うなんて、出来やしなかった筈なのに。
  ──……向けられた背も合わせて一周分。
  さすがに下半身は勇気が出ないので、
  ボディタオルを手に取る様へ、ほ、と息を吐いて。 ]

 

 

[ 片方をくれたのはいいが、泡を返す気はないらしい。
  ばかばか、と内心で甘く罵倒してから一枚を受け取り、
  仄かに甘いいちごの匂いがするボディソープで身を清める。

  もこもこの白い泡が身体を覆った頃、
  抱き寄せられて、またシャワーが上から降ってくるのを
  ぷるる、とうさぎのように浴びながら。 ]


  ん〜……。
  ……ふふ、うん、もう大丈夫です。
  ちゃんと消えてる。


[ すり、と頬を寄せ、同じ匂いになったことへ
  ご満悦の表情を浮かべながら、満点合格の花丸を。

  そういえば毛先が水気を帯びて雫が滴っている。
  後にして貰っても良いかと問われれば、頷いて
  備え付けのヘアゴムが入ったアメニティの袋を破き
  長い髪をゆるくシニヨン状に纏めあげた。 ]

 

 


  やーわたさんっ
  終わりました!


[ 縄張りを荒らされなくなった白うさぎは、
  彼の視線の先も、別のパッケージも気付かずにご機嫌だ。

  ご希望通りにしましたよ、と弾んだ声で彼の気を引き
  大きな瞳で彼を見上げた。* ]


 

[新雪マシロじぶんをつける快感。

何も知らない子が男の言うがまま「おぼえる」と言うことを「かわいそう」だと言う人がいるかもしれない。
だが自分達ふたりだけの秘密なら。

「かわいそう」に「可愛いそう」と字を充てて。

し行為に変えてしまおう。
きっとその変換は、真白の中にもある筈だから。]

[胸に渡した泡で自分の身体をコーティングしてもらう。
タオル越しよりももっと「真白」で上書きされる感覚。

肌を滑る蕾が固くしこったままで、その感触が悦いのは自分の所為だと詰られる。
あまいごはんでえっちに育ったという自己申告は男を歓ばせるものでしかない。
反省しない狼はわらったまま。

上だけで終えようとタオルを渡したのは、暴発を恐れたから。
上だけでも密着していたら真白の腹にぬめりを与えてしまったので、
此方からの泡のお返しは勘弁してもらった。
いらない匂いをいちごの香りと共に流す。]

[シャワーの水流に身体を竦める様はまるで本当にうさぎのよう。
ボディチェックを終えてにこにこと笑う真白の笑顔が移る。
普段あまり見ない髪型が可愛くて――勿論シャワーキャップだったとしても同じことを言うが――「かわいい」と呟いた。]


 良かった。
 マシロちゃんのその笑顔が待ち遠しかった。


[ご機嫌で見上げてくる真白の瞳に映る自分も満面の笑み。

だが白うさぎさんは、縄張りを取り戻したことに気を取られ、
その下で獰猛に涎を垂らす狼の凶器のことを忘れてやしないだろうか?

露天の家族風呂までは扉ひとつを隔てて。
そこにおでかけするのを待てない行儀の悪さは立てかけてあったマットを敷いた。]



 今度は僕が洗う番だね。


[いま自ら洗った真白は疑問に思うだろうか。
マットの上に座って胡坐をかき、右腿の上に座らせる。
大きな鏡は曇り止め加工がしてあって、胡坐の中心で主張している屹立もその横に腰かけた真白の身体もくっきりと映っている。

先程まで使っていたシャワーの下にあるもう一つのシャワーを手に取った。
フックの横に貼られた説明書きには「ビデ」とある。
本来は乳児の陰部を洗う為に設置されたものだろうけれど。]


 ……うん、湯加減もちょうどいい。
 ほら。


[シャワーのように水流は分散されていない。
カランから出る湯のように真っ直ぐな強い水流を真白の秘部に当てた。*]

[水音を立てて身体を交差させて、
 快感を高めあっていきながら、ときに。
 溢れた声を拾って彼が可愛いと嘯くから。
 小さく首を揺らして、羞恥を逃がした。

 どう聞いても男の声であることは変わらない。
 身体を揺さぶられて、濡れた分だけ、
 普段の話し声より艶を含んでいたとしても。

 今まで耳にした女性の声よりは到底低い。]


 
 ……ふ、
 ……や、ぁッ……ンッ、


[恥ずかしいのに、次から次へと声が零れて。
 小さく抵抗を見せても、膝を揺すって波を立てるから、
 また、自分じゃないみたいな甘い声が、鼻につく。

 許されていることは分かっているけれど、
 未だに慣れない気持ちはあるのは、どうにもできなくて。]

[愛されたい、可愛がられたいと思うと同時に、
 恥ずかしい姿を見られたくないとも思う。
 
 彼にだけしか見せたことのない姿を、
 もう何度も、何度も、見せてはいるけれど。

 先端を擦り付けるみたいに後孔へと押し付けられたら、
 一瞬だけ、ぬぷ、と先端が入り口に入り込んで、
 すぐに孔から抜けていく。]


  ……ぁ、ンぅッ……、 は、……
は、ぁ



[追いかけるみたいに襞が中でうねり、
 堪らずに腰を捩って、身悶えて、天を仰いで。

 一度覚えてしまった熱さと大きさを思い出して、
 奥が、きゅうきゅうと疼いてしまう。

 喉元を逸らして、息を虚空に吐いて身を落ち着かせ。
 再び、視線を絡ませあったなら。]


  ……ン、ぅ、……ぁ、ッ……
ンっ、


[先走りのぬめりが割り開くのを助けるように、
 つぷ、と先端が入ったと思えば、
 先程まで受け入れていた場所は、彼の形を覚えているのか。
 ゆっくり、形を確かめるみたいに内壁を擦って、
 奥へ、奥へと沈んでいく。]

 
  ぁ、 ぁッ、 
〜〜〜〜〜〜……ッ、



[彼の腕に手を添えて、助けを借りながら。
 彼を全て飲み込んでしまえば、声にもならない。
 熱を吐き出すだけの、溜息が零れ。

 添えた手に僅か、力を込めて。彼に縋る。]

[彼の昂りと一緒に入ってきてお湯と、彼自身。
 身体の奥にしっかりと感じて、涙が浮かぶ。
 は、は、と浅い呼吸を何度も繰り返しながら、
 蕩けた表情は未だ晒したまま。]


  ……おゆ、  はいって、る……、

  ……ぁ、……けいと、さんのも、
  いつも、 ……より、 あつ、ぃ……っ、



[いつもは彼が意識的に付けている薄膜がないだけで、
 こんなにも熱く、脈動を感じるくらい。
 彼を近くに感じて、とく、とくと心臓が早まる。

 彼も同じように感じているのか、
 熱いと漏らす吐息は、それ以上に熱を訴えて。

 出ちゃう、という嘆きだけは、耳に拾えば。
 目を細めて、微かに肩を震わせて。]

[自身もまだ身体に熱を籠もらせたまま、
 落ち着かなくて、呼吸を浅く紡いでいれば、

 彼の手が俺の腰元に落ち着いて、
 ゆっくりと腰を揺らめかせていく。]


  ……アッ、 …… ?

  ぁッ、ぁン……ッ、……は、
  だ、め……まだ、……ゆっ、くり……ッ


[少し揺すられるだけでもさっきとは全然違う。
 身体の奥で彼をまるごと感じて、少しの揺れも、
 ダイレクトに腰に、その奥に響いて、弱い場所を突くから。

 ぱちゃぱちゃ、と湯を跳ねさせながら、
 まだ、彼を感じていたくて、抵抗するみたいに。
 首を揺らして、ゆっくり、と内腿で彼の腰を挟んで。*]

 

[ 彼から与えられるものだけで出来ている。
  知識も、愛も、家族も、温もりも。
  ──積もったばかりの自分新雪、刻まれる貴方


  かわいそう、が
しになれるなら
    ────貴方はその方程式に不可欠な定理の礎、
        いなければ始まらない。 ]


 

 

[ ホイップクリームのような白い泡。
  デコレーションの仕上げはいちごの香りと互いの匂い。
  それだけで十分、他にはなにもいらない。

  反省しない狼さんの笑みは見えていたけれど、
  もう、と愛しむように息を吐いて苦笑した。
  苦い色はボディチェックを終えれば喜色に溢れ変わり、
  ご機嫌なままマロンブラウンを纏め上げて。 ]


  ふふ、私だけの夜綿さんに戻ったので。
  ────……もうつけて来ないでくださいね。


[ レンズ越しの貴方も満面の笑み。
  嬉しくて、楽しくなって、心が弾む。

  好きだからこそ、彼をほしいと思う人の気持ちは分かる。
  理解ってしまうから、手離せない。
  傍を離れていかせないための努力は惜しまないから、
  だからごめんね、とあの女性たちに心の中で謝って。

  ──縄張りと愛しい人の匂いを取り戻したうさぎは、
  狼の熱のことや待ち受ける"食事"のことも
  すっかり失念し、お風呂入るかな、と呑気に見上げていた。
  持ち込まれた避妊具を見ていた癖に。 ]

 

 

[ 扉一枚の向こう側には露天風呂があったはず。
  行く? 行かない? と伺っていれば、彼の腕は
  その扉ではなく立てかけられたマットを敷いていた。 ]


  …………、?


[ ──…あまりにも当然のような、自然な流れだったから
  つい首を傾ぎつつ、導かれるがまま
  彼の右腿の上へちょこんと座ってしまったけれども。

  いや、少し考えれば何かおかしくはないか。
  そもそも自分は今身体を洗ったばかりで、彼も見ていて、
  百歩譲って彼の手ずからもう一度やりたいとしても
  大きな鏡の前にわざわざマットを敷く理由は。 ]


  …、ッゃ、 まって、


[ 鏡は曇らないよう加工されているのか、
  熱を主張する彼の屹立も、自分の身体もぼやけず映る。
  使わなかったもうひとつのシャワーを手に取る動作。

  嫌な予感がして、思わず腰を浮かそうとして、 ]

 

 


  ────〜〜……ッふぁ、あ、や ぁ、ンん……っ!?


[ ──ほら と、言われても、こまる。

  熱くも冷たくもない絶妙な微温湯が、
  強く、一本線を描いて真っ直ぐに秘部へ当てられるのに
  堪らず零れた甘い声は、内風呂の中で常より響く。 ]


  ひぁ、あ、〜〜ッん、ッゃ ァ、やめ……っ


[ ふるふると頭を振り、身体を捩らせて。
  強制的に与えられる強い快感の痺れを逃そうとするけれど
  抵抗も虚しく、瞬く間に腰から力が抜けていく。

  洗うなんてとんだ詐欺だ。ただの名目だ。
  水流が秘芽を掠めれば肩が跳ね、快感に逃げ腰になる。
  "洗われている"はずの秘部からは
  水ではない、とろりとした蜜が溢れて。* ]

 

[ 溢れる声を拾い逃すことのないように
 肌を近づけて。

 艶を増して、蕩けて、
 抑えられなくなっている声を拾うと、
 尚更止まらなくなってしまう。

 耳元近くで聞いていたら,
 自分のほうがあてられてしまいそうで。

 揺するうちに、先端がぐり、と入り口へ
 当たり、受け入れられる前に、抜けていく。

 欲しがるように、腰を捻って、身悶える姿を
 見てしまったら、ゆっくり、なんて
 言ってられなくなってしまって。 ]

[ このまま、溶かして欲しい、君の中で。
 答えは返らない。

 瞬きを忘れてしまうみたいに目を見開いて、
 言葉もなく、手の動きも止まって。

 けれど、おいでと呼びかければ
 腕の中におさまって、

 ゆるりと、水面が揺れる。

 見つめ合ったままで、ゆっくりと腰が
 落ちるのを待っているようでいて、
 押し込むように、己の腰も動いてしまう。 ]

[ それでもゆっくり、押し進めるつもりが、
 奥へ奥へと招かれるように受け入れられて
 ぐ、と唇を噛んだ。

 収まり切って、揺するまでの間、
 立ち上ってくる熱に耐えるように、

 短く、息を吐いて。

 顔を僅かに上げたまま、受け入れて
 涙を浮かべる君を、見てた。

 蕩けた表情のままで、また
 そんなつもりはないのかもしれないが
 煽るようなことを言うから ]

 熱くしたのは、君だよ。
 ………あ、……また、……
 
[ どうにかそう、返し、大きく息を吐くことで
 自分自身を誤魔化そうとしてみるが、
 誤魔化されてはくれないようで、ずくんと中で疼いて。 ]

 ……まだ?

[ だめ、まだ、ゆっくり。

 そう紡がれて、揺らぎを落ち着かせるけど
 一番奥に到達したまま。

 ほんの少し、呼吸をするための動作でも、
 中に埋まったそれが、感じ取って、
 脈打って。

 腰を挟まれたら、ふ、と笑って ]

 ――ン、……  ッ

[ 擦り合わせるような口付けが連れてくるのは
 焦りよりも、幸福感だった。

 とく、とく、と早まる君の心臓の音が、
 重なるように早まって。

 ずっと、こうしていたいと思わせるから
 遅れて、こうしたかったのだろうかと
 思い当たれば、そのまま、触れ合うだけの
 やさしい口付けを繰り返す。

 同時に近く、焦げ付いて、
 ちぎれるように、快楽に追い立てられる時まで。* ]

[狭い内風呂に二人きり。
いちごの香りのホイップのデコレーションを楽しんだ秘密の時間を過ぎたら
後は二人の秘蜜の時間。

かわいそうを可愛そうに、それを愛す可しと変換する為に必要なのは自分だけではなく真白も。
連立方程式にはxyが出てくる。

 ……確かそうだったよね?]


 勿論。つけられる距離には近づかない。


[つけてこない、をより具体的に。
真白だけの距離に誰も入れないと誓う。

そこまでで小説ならば章が変わり
映画なら場面が転換するのが定石だろう。

だがこれは二人だけの物語げんじつなので。]

[白うさぎさんが察した時にはもう狼の腕の中。
浮かせかけた腰を引き留めて、鏡に映る肉色を隠してしまう前にビデシャワーを当てる。]


 あーすごい、気持ちよさそ、
 鏡だとえっちな顔と下と両方見えてお得だなぁ。


[風呂に喘ぎが反響する。
いつもと響きが違って興奮する。

水が絶えず滴っているから、当てた下から水ではないものが溢れていても判別は出来ない。
確かめるには直接触る必要があって。]



 ……ぬるぬるだね。
 あんまり解せてないけどもう挿れちゃって良いかな?


[秘芽に水を当てながら、蜜壺を指で掻きまわす。
シャワーの音で蜜の音が聞こえないのが残念で、
水に邪魔されて鏡に熟れた媚肉がよく見えないのが悔しくて、
洗う名目で始めたビデだがすぐに止めてしまった。

湯気でも曇らない鏡に映るのは、
上方の棚に置き去りにしてしまった避妊具のパッケージを見遣る視線。
彼女の頭よりも後ろに存在する自分の表情も映っている。
真白がそれに気づけるとしたら、感じ入っている自分の顔も直視していることになる。

さて、いつ上に手を伸ばそうか。
あんまり可愛く啼いてくれているから、先にイかせてしまおうか。
悩ましいところだ。*]

[深く繋がりあったまま、暫くの間。
 どちらからも呼吸をする音だけが響く。

 互いの熱に煽られぬように息を吐き、
 少し、どちらかが身動ぐだけで。
 小さく呻くような声と、あえかな声が溢れる。

 圧迫感のある熱を受け入れたまま、
 打ち震え、へたりと臀部を彼の腿の上に乗せて。
 腿に乗りかかっている分だけ、高い目線。
 
 自然、彼が下から覗き込むような形になって、
 潤ませ、伏した瞳が彼の目にも映り込んでいる。

 煽ったつもりは、毛頭なくて。

 火照った理由を自分のせいにされたなら、
 ふにゃりと幸せそうに、表情を崩しただろうか。]


  ……ッぁ、 また、
 おっきく……、


[中で彼のものが膨張すれば更に、お腹を圧迫する。

 少し、苦しいけれど。
 それ以上に満たされる幸福感のほうが、よっぽど強い。]

[動きをやんわりと制したならば、
 少し、物足りなさそうな声が返ってきて。]


  ……ンッ、 ……ま、だっ……


[こくこくと、首を縦に揺らせば。
 言葉通り、緩慢に突き上げる動きが優しいものに変わる。
 まだ、少し名残惜しそうに、
 つん、と先端で奥の扉を突付かれたら、ぁぅ、と声が跳ねて。
 自分でも驚いて、かぁ、と頬が染まった。

 それでも、慣らすみたいに動きが止まって。
 ただ、中に埋まっている昂りだけが、
 脈打っているのがじっくりと内壁を伝って、
 お腹の奥から、心臓を撫でるみたいにじんわりと、響く。

 咄嗟に挟んだ両腿の力を緩めれば、
 力んでいた力が抜けた分、
 また、ず、と彼のものを飲み込んで、息を詰め。]

[見上げる瞳が弧を描いて、意地悪く囁く。
 う、と小さく唸って、首を引き、薄く唇を噛んで。]


  
……だって、



[いっしょに、と言ったのはそちらの方。
 動かされたらこちらが保つ自信がなかった。

 さすがにそれを言うのは、羞恥が勝って言葉に出来ず。

 彼も、口ほど焦れてはいないようで。
 戯れのような口づけを顎先に贈って、唇へとズレていく。]

[くすぐったいそれを首を竦めて、受けて、
 唇の端で止まったキスは、誘うように開かれるから。

 両手を頬に滑らせて、彼を瞳を閉じ込め。
 同じ分だけ隙間を開けた唇を触れ合わせてから。

 少し首を傾けるようにして、舌を伸ばして割り入れる。
 彼の口腔を探るように、ちろ、と先を尖らせて。
 迎え入れられた舌が吸い上げられ、ン、と声が溢れる。]


  ……ぅ、ンんっ、 ……は、
ふ、っ
……、


[柔らかな舌が軟体動物みたいに動き、
 上も、下も繋がりあったまま。

 頬に添えていた手を、するりと首裏へ回して。
 彼の身体を引き寄せていく。
 もっと、二人の隙間を失くすみたいに。]

 

[  + 貴方 = 家族
  連立方程式はきっと、これが正解。
  ここから愛す可しに繋がって、「可愛そう」が出来るのだ。
  単純で、けれど複雑怪奇な運命のお導き。

  具体的に示された解決策も百点満点。 
  真っ黒なおもちもまっしろに戻れる回答に、
  「良くできました」と笑って。


  おとぎ話ならこれできっとハッピーエンドの閉幕で、
  小説なら次の展開、映画なら暗転を迎えるかもしれない。
  けれどここは二人っきりの舞台物語だから

  ────白うさぎの次の居場所は、狼の腕の中。 ]


 

 


  〜〜ッンぅ、あ、 ふ、ぁン、ん……っ
  っや ァ、も、ばか……ぁっ……!


[ 敢えて言葉にしてこちらの羞恥を煽ってくるのは、
  彼の無意識の癖なのか、わざとやっているのか。
  甘ったるい喘ぎが響くのが嫌で声を堪えたいのに、
  快楽に慣らされた身体は我慢がきかなかった。

  身体と神経中に痺れが奔って、お腹が疼く。
  ナカがさみしくて、熱で早く埋めてほしくて、
  ──はしたないと思うのに、その慾に耐えられない。 ]


  ────ひぁ、ん、ッンぅ〜〜……ッ!

  いぃ、から ッ……はやく、いれて……っ


[ 秘芽に当てられる快楽以上に、ナカへ挿入ってきた
  彼の指が気持ち悦くて、きゅうとキツく締め付ける。
  掻き回される度に粘着質な水音が響き、
  問いへ必死に答えながら 熱い息を吐いた。 ]

 

 

[ もう少しでいつもみたいに視界が弾けそう、というところで
  水が止められ、秘芽への刺激が止まる。
  蜜壺が「もっと」をねだるようにきゅうきゅうと収縮し、
  ──"イく"ことを教えられた身体は、
  その感覚を求めて、彼の指をさらに奥へ招き入れようと。


  ぼんやりした頭のままふと見つめた鏡。
  湯気の中でも曇らない鏡の中に、上を気にする彼の姿…と
  快楽に蕩けた自分の顔が映っていて、堪らず目を逸らした。

  ……いつも、あんな顔をみせているのか。じぶんは。
  今更理解した事実に頭が沸騰しそうなくらい恥ずかしい。
  けれど同時に、自分よりも何か別の個所へ気を取られる
  彼の姿が過って ふつ、とこころが煮立った。


    ────こっちみて、と弱く胸板へ凭れ掛かり、 ]


 

 



   ────……ね、 …いれてたべて……?


[ 私のナカに入りたい、と慾を零し続ける貴方の熱。
  その熱でしか届かない奥をいつもみたいに突いて、
  ──気持ち悦く、して、慾しいの。


  だからよそ見しないで、こっち 向いて。
  うさぎは寂しいとしんでしまうのだから。* ]

 

[ i:実際には大きさなどが見えない数。
 xyを足して出来るiは数字でなんか表せない。

家族を作ろう。
iは2乗したら-1だけれど
愛は掛ければ掛ける程幸せを増やせる。

国語、体育、数学と。
二人はいつでもお互いの出題意図を見透かすように満点が取れるよう。]

[一瞬記憶が飛んでいた。
どうやったのかよく覚えてはいないが、
きっと真白の身体を持ち上げて胡坐を解いた後、
後ろから抱き寄せる形で挿入したのだと思う。

ふと鏡の中の自分と目が合って。
――次に真白の顔を見た。]


 ぅあ、これヤバ……ッ
 え、ゴムないだけで、こんな、


[快楽に歪んだ顔が鏡に映る。
初めて膣に避妊具なしで挿入した衝撃は強く、
圧倒的な射精感に抗うのに苦心する。]



 すごい、ナカ全体、吸い付いてくる、
 えー……ぬっるぬる、で、あったかぃ、


[動くよ、の予告もなく腰が動いていた。
鏡には剛直が秘唇を割り開いてぬこぬこと行き来する様子が映っている。

普段は顔が見たくて対面の体位を取ることが多いが、
背面でも鏡を使えば解決すると知ってしまえば
寝室に鏡を置きたくなって困る。]

[美味しそうに赤く膨れた秘芽に人指し指を当てて、
その上の髪の毛よりやや暗い色の繁みに親指を置く。
下の毛は染めてはいないだろうから、これが真白の地毛の色なのかなと思う。
マロンブラウンの髪色はとても似合っていて好きだけれど、
地毛の色もきっと可愛い。

――というのは置いておいて。

ぐい、と前に突き出すようにすれば先端が子宮口を探り当てる。
まるで早く飲ませろと言わんばかりに鈴口に吸い付いて来て、
熱い溜息を吐いた。]


 は……っ、んん、 ……イイ、
 ちんこ溶けそう、


[熱に浮かされた掠れ声が再び性器の名称を口に出す。
耳に濡れた音を響かせ、同時に数か所を責め立てた。

ここは風呂場なので、たとえ粗相があっても問題はない。
そこを見越した訳ではなく、
単にあっという間に訪れそうな射精の瞬間に
彼女も高みに連れて行きたい一心で夢中になっているだけなのだが。**]

[ まだ?と問えば、まだ、と返ってくる。
 焦燥感がないではないだろうに、

 それでも、位置秒でも長く、
 繋がっているのを望む故だろうか。

 首を縦に降られたら、突き上げる動きは
 一時、緩やかなものに変えて

 もどかしさを髄まで味わいながら。
 小さく零す声を聞いた。

 触れ合わせた唇が、全身の自由を
 奪うほど、あまく。 ]

 ……ン、

[ 割り入れられた舌を、優しく吸い上げれば
 また、幸福感と、同時に、襲い来るのは
 剥き出しの、欲。 ]

[ 唇に歯を立てられて。
 角度を変えて、奥まで迎え入れて。 ]


 ――は、

[ 笑い合って。
 穏やかに、繋がったまま――。 ]

[ いられたなら、良かったのに。

 奥から湧き上がる欲を抑え込むのにも
 やがて限界が来る。

 ぴったりと繋がったままの体を
 押し出すようにして、一度、ずる、と
 熱を引き抜くと、 ]


 まだ、でも。もう俺が無理。
 そっち、手ついて。

[ 君の両手を取って、ひやりと冷たい岩肌へ付かせて。
 立ち上がると同時に、腰を湯から引き上げて。 ]

[ 常日頃、顔を見ていたいからと
 そういう体制ばかり取っていただろうか。

 少なくとも、こういう場で
 その白い背中を見ることはなかった筈で。

 体を折って、後ろ首から腰に至るまで
 舌で辿り、最後には、ひく、と
 蠢くそこへ。

 舌先を尖らせて、蕾の周りを撫でれば、
 少量、お湯が漏れ出してきたか。 ]

 ――入るよ、

[ ちう、と付近に吸い付いて、唇を離すと
 腰を掴んで、ぐり、を先端を押し込んだが最後。

 一気に奥まで穿つように挿し入れて、 ]

 っう、………あ、 
締ま、るッ!


[ その一時を耐えたなら。 ]

 ご、めん とまんない、ッ あ

[ 上り詰めるまで、打ち付けるのみ。
 苦しげに吐息を吐き出しながら、
 もっと、近くにと言わんばかりに、両手を
 岩肌に付かせたくせに、体を起こすのを
 手伝うように腰を掴む手を、腹より上まで
 滑らせて、 ]

 も、 やば、

[ 赤い粒にたどり着けば、きゅ、と指で摘んで。

 
――声が漏れることがなくとも、

 
これほど、肉のぶつかり合う音と、水音が響けば

 
何をしてるかなんて、瞭然なのだろうけど。



 そんな 細かい事 気にしてられる余裕はない。* ]

[歯がぶつかったとしても笑い合えるくらいの、
 余裕はまだ互いにあった。
 もう少し、と彼の身体に寄りかかり、
 ちゅ、ちゅ、と触れるだけのキスに切り替えて、
 時折、やっぱり物足りなくなって、
 舌を絡めあって、唾液を交わし合い。]


  ……ッ、んぅ……、


[こくん、と喉を鳴らして飲み干して。満たされる。
 熱い火照りと長い、長いキスにとろんと眦は下がったまま。

 身体を持ち上げるような動きに、
 中から彼のものを引き抜かれていけば、
 動き出すのかと、甘い誘いに乗ろうとして。]


  ……、……?


[全部引き抜かれてしまって、首を傾げた。]

[無理、というのに抜いてしまったら。
 ふわふわとした頭でそう考えながら、手を取られ。
 言われるままに、湯船から上がるけど、
 少し、物足りないような顔になってしまったかもしれない。
 だって、これからだったのに。
 と、淡い期待に濡れた瞳を向けて。

 膝から下はまだ湯に浸かったまま、岩場へと移動すれば、
 触れた岩場は少しひんやりしていただろうか。]


  ……けい、と、さん……?


[両手を岩場について、彼の動きが見えなくなる。
 お湯と彼ですっかりと火照った身体に外気が晒されて、
 少し、冷たい空気が気持ちいい。]

[不安そうに少し後ろを振り返れば、
 彼の身体が覆い被さるみたいに影が重なって。

 首に、ちうと唇が落とされる。]


  ぁ、ッ……、んッ、……


[ぴく、とそれだけで胸を反らして吐息が零れ。
 肌を撫でるようにゆっくりと彼の唇が下がっていく。

 背中から腰、腰から臀部。
 そして、先程まで彼を受け入れていた場所へ。]


  ……ゃ、……
そこ、ッ……ン、ぁぅッ……




[舌先で形を辿るように円を描かれて、ぞくぞくと震え。
 ひくついた孔からさっき押し込まれた
 湯が、ぱた、ぱた、と湯船に滴り落ちる。]

[あられもない場所で彼の息が吹き掛かるのが恥ずかしい。
 岩肌にくたりと身を預けて、肩で息をしていれば。
 低い艶やかな声が、耳を擽って。]


  ……んぁ、っ……く、ぅンッ
……ん゛ッ ……!



[淡い愛撫に疼いていた場所に、先端が入り込み、
 一息に、ズッと奥まで貫かれて。
 一瞬、呼吸が出来なくなる程身体を飲み込まれた気がした。]


  〜〜〜ッ、……ぁ、うッ……、
は、ぁッ……、



[背筋から駆け上ってくる急速な熱が、また身体を火照らせ。
 一気に彼の熱を感じて、ぶわりと身体中に熱が広がっていく。
 落ち着かせようと、息を吐き出そうとするのに。
 動き出すのは、彼の方が少し早かった。]

 
 
  
、ぁッ……ッ、ぁっ、……


[ぱちゅん、と腰を打ち付けられて。一度、二度。
 足りないと言わんばかりに岩に寄り掛かっていた身体を、
 引き寄せられて、腰をしっかりと握り込まれて、
 深く繋がるように、密着させられる。

 中を抉る熱さと、その深さにくらくらとして。]


  ……あっ、 ……
だ、
めッ……、
  
これ、ッ、おくまで、 とどいてッ……ぁ、ッ、


  ぁ、ぁッ……、や、ッ……ふか、いッ……


[声を抑えようとする意識もとうに薄れ。
 淫らな感じ入る声と、肌がぶつかる音が露天に響く。]

[音が、恥ずかしい。
 敏感な耳が、何をしているか分からせるみたいに音を拾って。
 ふる、と首を振れば、また髪から水滴が飛ぶ。

 がくがくと、膝が揺れて立っていられなくなりそうで。
 彼の表情が見えないまま、ひたすら腰を打ち付けられる。
 いつもよりも、余裕もない声が尚更。
 自身を求めているようで、きゅうと胸が疼いて。

 その疼いた場所を、狙っているかのように。
 指が、きゅ、と摘まむから。]


  ふぁ、ッ……ぁっ、ぁッ……ぁンッ……、
  ……、ッ、あ、 ……だ、め、 なんかッ……


[クる。

 一気に込み上げていくるような感覚が、
 下半身から駆け上ってくるみたいに、ぞわぞわと。*]

[ キスが途切れて、自身を引き抜くと、
 どうして?という顔で見られて、
 ごくり、喉が鳴る。

 淡い期待に、欲に濡れた瞳に、
 気を失う程抱き潰してしまいたくなる
 衝動を覚えたから、一旦それを落ち着けるために

 首から背筋を唇で、辿って。
 これから何をするか、教えるみたいに、
 ひくんと疼く蕾を舌でなぞって。

 悦ぶみたいにまたひく、と動くと
 湯が少量滴り落ちて、

 ――酷く扇情的だった。ので、
 衝動自体はそれほど落ち着かないまま
 自身をそこへ、ねじ込んでいくと ]

[ いっとう、甘い声が、己の熱をあげていく ]

 ン、奥まで、届いて ぁ、
 すご、 もっと、 
俺を駄目にして、


[ 体を引き寄せ密着すると、離すまいとするように
 奥までぎゅうと囚われて。

 感じ入る声と、ばちん、と肌を打つ音で

 脳髄まで痺れるような感覚が全身を駆けるように
 巡って、巡って。

 それを相手も感じているのか、ふると首を振って
 膝を揺らして。視覚から得られる興奮でまた、
 打ち付ける動きは早まって。 ]

 絞り取られそ、……だめ?
 好き、でしょ

[ 赤い粒を摘むとより、声が、熱が高まるから
 ほんのすこし、の意地悪を口にして ]

 熱ッ……、ぁ、 良い、………

[ ぐりぐりと、乳首を摘んだままで
 律動を早めていくと、疼きは最高潮に達して。 ]

 那岐、……那岐 ッ

[ 熱に浮かされて、うわ言のように何度も名前を呼べば
 伝わるものもあったかもしれない。 ]

[ しっかりと、体を抱きとめたまま。
 引き抜くこともしないまま。

 しなる背中に、唇を寄せる。

 一つ、二つ、と赤を散らして、
 白い背中に咲いた
を、
 
 焼き付けるように、じっと見ていた。* ]

[腰を支える手が肌に食い込む。
 痕が残っていた場所に更に花開くみたいに。
 
 途切れ途切れの声が、情事を更に生生しく伝えて、
 深く、繋がっていることを意識させる。
 
 とん、とんと最奥を突付く先端が、
 こじ開けるみたいに更に、奥へとめり込んで。]


  うぁ、ッ……、や、
こわッ、……いッ……、



[感じ過ぎてこわい。いつかも訴えたように。
 波が急激に津波のように襲ってくる。

 制するように腰を掴んだ手に手を重ねて、
 弱く首を持っても、撓る腰は淫らに跳ねて、
 飲み込んだものを、きゅううと強く締め付ける。

 もっと、奥へと自分の意志とは相反するみたいに、
 彼を、招き入れて、奥へ。]


[好きかと問われて、また弱く首を揺らす。
 首を振る度に、水滴がいくつも湯に落ちて波紋を作り、
 頬だけでなく、背中が染まるぐらい羞恥に熟れて。

 やだ、と思うのにその声に煽られるみたいに、
 きゅん、と中は悦ぶみたいにひくついた。]


  ……ひ、ぅッ……、…ぁッ、…ァッ、
  こんなの、しらな、 いッ……ぁッ、やッ……

  ……はっ、ぁッ、……も、だめッ……、ッ…


[中を執拗に何度も突付かれて、
 彼の手が痛みを与えるくらいに、赤い尖りを弄る。
 胸と、後ろと、声が弱い耳を擽って。

 ぶるっ、と身体が大きく撓る。
 好きな声に、愛してる、と囁かれたら、]

  
  ……アッ、……ッ、ぅ ……キちゃ……ッ


[声にならない音が、跳ねる。]

[ガク、と岩場についていた手が滑って、
 へたりと頬を冷たい岩場に押し付ける。
 
 汗だけじゃない、涙も、飲み下せなかった唾液も、
 口端から滴らせただらしない姿態を見せながら、まだ。
 達し続けている身体が、ぴく、ぴくと震えている。]


  ……ぁ、ぅッ……、


[もう何度もイってるのに、
 擡げたままの熱はまだ身体の中で渦巻いたまま。
 お腹の下が苦しくて、つらい。]

 
[ぼろぼろと大粒の涙を零しながら、
 背中に落とされる朱への、弱い刺激にすら、
 小さく身体を震わせる程、肌が敏感になっている。

 そんな姿態が彼の眼に映っていることも、
 脳裏に過る余裕も、今はないまま。

 岩肌に懐くように身体を寄りかからせて、
 彼に背を向けたまま、肩で何度も、呼吸をしていた。*]

 


[ 俗にいうところの、ナマで、というのが
  安全日であっても可能性を十分孕むことは知っている。
  家族を作ろうと言っても、"もうひとり"は
  まだ早いのはこちらも同じ思いで。
  ────……二人きりを、楽しみたいから。


  けれど、肌を重ねて体温が馴染むたびに。
  夜を過ごして、熱を教え込まれるたびに。
  快楽を交えて、きもちいい、を覚えさせられるたびに。


  ──薄膜越しじゃない、あなた、が慾しくなった。 ]


 

 


   ────……ッぁ、ンぅっ、ふぁ あ、あ……っ!


[ びくん 、と身体が跳ねて、快楽が迸る。
  後ろから抱き寄せられるように挿入ってきた彼の熱が、
  解れ切っていないのに すっかり蜜で蕩けて
  迎え入れるように蠢く膣肉の奥へと進んでいく。 ]


  ひ、ぁ……っ、あ、つ ぃ……ッ


[ 挿入の衝撃だけで媚肉は僅かに痙攣し、
  甘く、まだ軽い絶頂を迎えたことを彼の熱へ報せている。

  薄膜がないだけで。
  たったそれだけで、お腹が火傷しそうに熱かった。
  歓喜を訴えるように奥からとめどなく蜜が溢れ、
  彼の熱がナカを擦るための手助けをする潤滑油替わり。
  予告もなく律動されることへの文句も言えない。 ]

 

 

  〜〜〜ッや、いっしょ、ッンぁ、ふ……っ!?


[ すっかり敏感に育った媚肉を直に擦られながら、
  同時に熟れた秘芽へ指先が宛がわれたのを感じ取り
  強すぎる快楽へびくびくと脚を震わせた。

  ぐい、と突き出された熱杭が、子宮口を抉り当てる。
  ゴム越しではない、やっと触れ合った熱の温度へ
  子宮口は喜んでいつもより強く吸い付いた。 ]


  ──────〜〜〜…ッひぅ、ぁ、んン……!


[ 涙で潤んだ視界に、鏡に映った二人が見える。
  どろどろに蕩けきった顔の自分と、
  交わりへ夢中になって自分を貪る彼の顔。
  "たべられている"実感が湧いて、また背筋が震えて、 ]

 

 

[ 貴方の声をよく拾い上げる耳が、
  "そわそわする"と例えた、直接的な名称を聞き取った。
  熱に浮かされた掠れ声。粘着質な音。
  聴覚も、視覚も、──ナカも外も全部犯されている気分だ。

  またさっきのようなそわつきが肌をざわつかせる。
  腹の奥が疼くのは、────これが? ]


  ──……ッは、 ンぁ、や、きもち、ぃ……っ
  ふぁ、あ、んンっ、 すきっ、それぇ…ッ


[ きもちいい、奥が"ほしがって"いる。
  物覚えの良い白うさぎは譫言のように喘いで零し、
  「おく、もっと」とねだった。

  ずっと甘くイっている。
  ──同時に、覚えのない感覚が這い上がってきて。 ]

 

 

[ 奥を突かれ、秘芽を弄られ。
  数か所も性感帯もくまなく責め立てられるうちに、
  その"なにか"はぞわぞわと這い上がって止まらない。

  すっかり力の抜けた腰を捩ってどうにか動かし、
  快楽で思考力を失った頭が逃げようと訴える。
  好きにたべて、と散々煽って焦らして、
  ────実際その通りになったのが気持ち悦いくせに。 ]


  っやだ、ぁ、まって、おねがぃ、

  なにか でちゃ、うっ、
  ……ゃっ、とまって、とまってぇ…………ッ!


[ いつもの脳髄まで痺れるような絶頂の前触れではない。
  痴態を見せたくなくて、必死に頭を振り、
  熱杭から逃れようと腕を前へ伸ばした。* ]


 

[挿入した衝撃で蜜壺が戦慄くのを、
薄膜を介さずに直接受け取った。
蠕動に誘われて出たがる胤を必死で宥める。

温度が低い方が温度が高い方を「熱い」と感じるのではなかったが。
どうして――二人とも、熱い、のか。]


 ん、


[真白の喘ぎに紛れて此方も普段より高い声が出る。
浴室に反響はしないが、真白の耳には届くだろう。

声まで溶けているかのようにあまい。]

[膣と陰核両方に愛撫を与えると快感が強すぎるというのは
知識の上だけではなく真白の反応からも覚えたこと。
前回は真白だけを高みに追いやったことで寂しがらせ、
途中で止めたけれど、今回は。

すぐに追いつく予感がそこまで来ているし、
「欲張っても良い日」という許しを得たので。]


 ん、ああ、「みつけた」んだね、
 そう、いっぱいされるの、きもちいい、でしょ、
 マシロちゃんを大好きな僕が、
 大好きって気持ちを全身で伝えてるの、


[快感は怖いものでも嫌悪するものでもないということを
自分で見つけて「すき」と教えてくれる。
白うさぎは本当に優秀な恋人ごちそうだ。]

[ずっと小さな痙攣が刀身に響いているし、腕や肩も粟立ったまま、
びくびくと震えている。

鏡にははじめての角度で挿入った先端が腹膜を押し上げている様子が映る。
掌を固定する為に置いた親指の位置は、ちょうど指を挿入して
鉤状にしたところに存在する性感帯の位置。]


 ん、逃げちゃだーめ、


[すき、という感覚を見つけたのに、それが続くとまだ見つけていない感覚に出逢ってしまったらしい。
捩る腰を捕まえるのに、片手は心許ないが秘芽から右手は外したくない。
耳朶を甘く噛んで「おねがい」する。
語尾にハートマークでもつきそうな、甘い声。

絶えず下肢を苛む凶器の激しさとは対照的に。]

[前に腕を伸ばしても、そこに自分はいない。
まるで鏡に映る自分に助けを求めているようだ。]


 大丈夫、僕も、 っ、「おそろい」、
 …は、 、でる、


[身体を捻られたらより内壁に絞られて息を詰める。
もう堰き止めるのは無理だ。]

[ぐ、と突き上げて、
コマンドと共に、自らの熱を最奥に叩きつけた。*]

 

[ お腹の中がずっと火照って、あつくて、疼く。
  二人とも同じくらい温度が"熱い"のか。
  或いはどちらも感覚がおかしくなっているのか。

  包み込む方も、包まれている方も熱いなんて。
  ────肌を重ねるのがこんなに気持ち悦いなんて
  誰からも聞いたことがない話。
  耳に届く、溶けた砂糖菓子のように甘くて高い声。
  いつもと違う貴方の声。 ]


  ン、んぅっ、 ふぁ、あ、きもち ぃ……っ
  ぁふ、〜〜〜ッ


[ 与えられる愛と、熱と、知識。
  白うさぎはそれらを咀嚼してご馳走貴方の恋人になる。

  シュガーにはちみつをコーティングしたような、
  ひたすら甘ったるい声が溢れて止まらない。
  大好きな人に、愛を教えられることのきもちよさ。
  ──どこもかしこも快楽の痺れが奔る。 ]

 

 

[ 薄い腹を押し上げる先端が、ぽこりと腹を変形させている。
  親指が浅瀬の気持ちいいところを押して、熱と擦れて、
  快楽の海に溺れてしまったような そんな状態だ。

  きもちいい。すき。
  きもちいい、──すき、 でも、これは、だめ、


  いつもみたいな、お腹の奥じゃないところがおかしい。
  ぐずぐずになった思考ではどこが、なんて分からないまま
  未知の感覚に震えては無意識に逃げを打つ。 ]


  ────ッや、だって、だってぇっ、
  ほんとに だめなのっ、これ、だめなやつ……っ


[ 語彙まで馬鹿になってしまったらしい。
  骨の髄さえ溶ける前にせめていったん休ませて、と
  お願いしようとして、先手を打たれた。
  耳朶を甘く噛まれ、「ひゃぅっ」と肩が跳ねる。 ]

 

 


  ────ッや、ァあ 、ッひぁ、ン、ん…!


  も、むりっ、
  でる、でちゃ…ぅ……っ


[ 絶えず秘芽も浅瀬も奥も責め立てられて。
  粘着質な水音は激しさを音で教え、聴覚を犯す。

  前に伸ばした腕は鏡像の彼しか掴めない。
  空を切って、必死に頭を振るけれど、もう限界だ。
  息を詰めた彼が「おそろい」と紡いだ言葉が
  どこか遠くに けれど確かに耳へ届く。 ]


 

 


    ──────〜〜〜……ッふ、ぁ  あ…ッ!?



[ ぐ、 と奥を抉るように強く突き上げられて、
  ──最奥に求めた熱が溢れていくのとほぼ同時。


  頭も視界もまっしろに弾けては、身体が大きく震える。
  ナカが強く収縮し、子宮口は鈴口にキツく吸い付いて。
  ぷしゅ、と下腹部からは──蜜ではない、
  さらりとした透明なものが噴き出した。

  がくがくと脚がふるえ、肩で必死に息をする。
  くた、と彼の方へ寄り掛かって、熱い息を零した。 ]

 

 

[ 自分が潮を噴いたことなんて知らない。
  まだそれは知識にないことだ。
  だから、何が起きたか分からない子どものような顔で、
  ただ胎に叩きつけられた白濁の熱さを
  薄腹の上から撫ぜて ]


  ………ッふ、……おなかのなか、
  ちゃんと やわたさんで、いっぱい……


[ 一気に高いところまで快楽が上り詰めたせいか、
  頭が全く上手く働かない。

  だしちゃえ、なんて抗えないコマンド、ずるい。
  彼が出すものと自分が出してしまうものは
  きっと違うのに。 ──そこまで思い出して、漸く
  何かとんでもない粗相をしてしまったのではないかと
  慌てたように瞳孔が開いて、彼を見上げた。* ]

 

[ 怖い、知らない。
 何度か聞いたことのある言葉。

 ――ここまで昂ぶる前だったら、
 聞いて、止まって。やさしく問いかけて。

 焦らすようにすることもできただろう。 ]

 駄目になってよ、いっしょに。

[ 弱く首を揺らして、
 腰を淫らに揺らして、奥まで招いて
 食べてくれるのに、まだ理性が働いて
 いるようなら、より深く、より激しく。

 抉るように、中で暴れて見せた。 ]

[ ぺたりと、岩場に頬をつけて、
 涙と、唾液と、締まらない口元から
 零しながら、まだ熱に浮かされ続けて
 いるであろう、体を抱き込むようにして、

 ゆっくり、と自身を引き抜いた。 ]

 そのまま、

[ その言葉は聞こえたかどうか。
 後回しにしてしまってはまた、後ほど
 熱してしまうだろうからと、

 ゆるりと体を起こし、腰を支えながら

 指を後孔にゆっくり
 押し込んで、掻き出すように動かして。 ]

 苦しい?ごめんね、もうちょっとだから。

[ ――見てしまったのは不可抗力、
 と言い訳はするまい。

 己の出したものが、そこから
 出てくるたびに、悪いことをしたような
 気持ちの他に、酷く満たされるような
 気持ちが湧き出てしまったので。

 自身の欲で汚してしまうことで、
 満たされるなんて、知りたくなかった。

 知ればまた、次の機会を待ってしまう気がして。 ]

[ ぬるつきがなくなれば、ざば、とお湯で
 流して。

 ――水面に浮き出る汚れについては
 ついでに、桶で浴槽の外へ流して。 ]

 動ける?座って、

[ 動くのも辛いようなら手を貸して、
 浴槽の縁に腰掛けるように促して。

 彼の脚の間に入り、肩近くまで湯に沈めて。
 渦巻く熱を吸い上げるように、先端部分に
 唇を数度つけて、ぱか、と口を開いて、
 熱を口の中へ招いた。* ]

[欲張りな狼は、ありとあらゆる絶頂を白うさぎに与えようと試みた。

所謂「外イキ」と「中イキ」、「奥イキ」、
声を鼓膜に届けて脳を揺さぶる「脳イキ」まで。
そのどれが真白の絶頂のトリガーを引いたのかまでは知らず、
すべてが作用したのかもしれない。

初めて自分の胤を飲んでくれる彼女に、
特別な快感ごほうびを。]

[「だめ」と繰り返す理由は予想出来ていた。
一応、知識だけはあるので。
ただ、実は目の当たりにするのは初めてだった。

「でる」ことがわかるもの、なのか。]


 ……っ!〜〜〜〜っ!!


[反射的に目を閉じそうになるのを必死で堪える。
薄目の視界に鏡が映る。
手で感じるのと同時、鏡の真白の秘所から間欠泉のように液体が散った。]

[鈴口を逃すまいと子宮口が覆い被さってくるようだった。
真白の痙攣の下、自分の腰もぶるぶると震える。
歯を食いしばった筈なのに、顎には唾液が滴る。
分泌を制御出来ない程の強烈な快感だった。]


 ……ふ、


[きちんと受け取った感触はあったらしい。
まだ時折小刻みに震えながらも腹を撫でる真白の表情は
どこかぼうっとしているようで。]



 まだ「いっぱい」じゃないよ。
 もっと飲めるから、頑張ろうね?


[手を当てた腹にはもうそこを押す固さはないだろう。
だがまだ抜けない程度には芯が残っている。
このままじっとしていればまた固さを取り戻す自信がある。

ただ今は、真白のトんでしまった感覚がゆっくり降りてくるのを待っている。]

[とろんとしていた瞳が何かを思い出したように光を取り戻した。
鏡ではなく自分の方を直接見上げてくるからついキスをする。
「ちゅ」という、先程まで響いていたいやらしい音に比べたら
随分と慎ましい音。]


 思い出した?
 マシロちゃんもいっぱい出したこと。


[腰を支えていた方の手で真白の顎を動かして再び鏡を向かせる。
脱力した身体は自分の方に凭れているから、
ピストン中のように前のめりになって離れてしまうことはないだろう。
もう片方の手は真白の蜜や潮でびしゃびしゃなので、
口元に近づけるのは憚られた。]



 ほら、鏡まで飛んでる。
 あの水滴、シャワーじゃなくて
 マシロちゃんの……ココ、から出た潮ってやつ。


[射精後に少し理性が戻った状態で、「そこ」の名称を口に出すのは流石に躊躇った。
男性器の名称は子どもでも言うが、女性器の俗語はそもそも真白の辞書には登録されていないかもしれないし。]


 かっわいかった。
 僕で思いっきり気持ち悦くなってくれたんだなぁって
 嬉しくて、僕もいっぱい出しちゃった、し。
 ……まだ全然イけそう。


[芯が少しやわらかくなり、こぽ、と音を立てて外れた。
開いたままの河口から白いものがとろりと出そうになるのを掌で押さえて
しゃくりあげる下腹に少しでも多く留まらせようと足掻いた。*]

[いやも、だめも、受け入れてもらえずに。
 堕ちよう誘われて、また内股がひくんと痙攣を起こして。

 ふる、とまた弱く首を振っても叶わない敵わない
 煽り立てる声に震えて、身体を揺すられて、
 限界なんてもうとっくにきてるのに、
 それ以上を求めるように、腰をきつく抱かれて、
 逃さないと言わんばかりに、奥を抉られて。

 岩につく腕も、かたかたと震え。
 中で膨らみ、彼が熱を吐き出す頃には、
 喉をつく声も掠れて、ただただ揺さぶられていた。]

[彼が中で果てたことも、理解しているものの。
 声をかけることも出来ずに。
 収まりきらず、言うことを効かない身体に、
 翻弄されて、止まらない涙を流し続けて。]


  ……は、っ、……は、……ぁ、ッ……


[只管、呼吸を繰り返す生き物のようになっていた。
 滴るもの全てを制限できないみたいに、
 呆けて、震え続ける身体には何もかもがつらくて。

 気遣うように引き抜かれていく行為すら、
 酷く中を通じて、身体に痺れが走るみたいにじんじんする。]


  ぅあッ……、ぁ、ぁッ ……
ふ、
ンッ……


[もう出ないと思っていた声も、溢れ。
 つらい、と訴えるように、首を揺らすのに。]

[くたりと力の入らなくなった身体を、
 彼の腕に支えられて、少し安堵したのも束の間。

 腫れあがった孔をついて、指が突き入れられて。]

 
  ッ
 ! 

  
やっ
……まだ、 イってる、からッ……
  ん、ンッ、……ぅッ、……ぁ、
んッ……


[高める為ではないのだとしても、その行為がつらい。
 長い指が、中を引っ掻くように蠢いて、
 入り口まで引き抜かれたら、また差し込まれて。

 ゆっくりと、言われても。
 尚更その緩慢さが、指の動きが伝わってしまって。
 腰が、びくびくと踊るように跳ねて、唇を噛む。]

[処理を彼に任せた後、彼の手を借りて。
 よろつきながら、岩肌の縁に腰を掛ける。]


  ……ン、


[辛うじて返事をできるぐらいの意識はあったけれど、
 まだぼうっとするような心地が残ったまま。

 ……だから、抵抗することも忘れていた。

 達したはずなのに熱を持ったそこに彼の顔が近づいて、
 大きな口で先端に吸い付き、飲み込まれたら。]


  ぁッ、 は、ぅッ……、
  ……も、……だめ、って……、言ッ……ぅンッ、


[温かい口内に包まれて、先端が喉奥に締め付けられたら、
 少し落ち着いていた熱が、
 すぐに兆しを見せ、彼の口内で膨らんでいく。] 

 

[ どれがトリガーを引いたのか、自分でも分からない。
  全身余すところなく甘く気持ち良くて、蕩けてぐずぐずで
  最奥にずっと求めていた
ご褒美
が弾けた。

  ────その瞬間、もうだめだった。
  耐えられなくて、いつものイき方とはまるで違うモノが
  這い上がっては外に出たがって。
  幾夜も喰べられ 幾度も開発されたこの身体は、
  ついに潮を噴くことまで憶えてしまった。 ]


  ………ぅ、……?

  ん、 ……がんばり、ます……?


[ ちかちかと視界の裏で白が弾け飛んでいる。
  薄い腹を押し上げていた硬さはないけれど、柔くもない。
  腹の中に残ったままの熱を、ぼんやりした意識で撫ぜて
  よく理解もせずに「頑張ろうね?」と投げられた疑問符へ
  うん、と子どものように頷く。 ]

 

 

[ がんばる。──何を、だっけ?
  思い出さなきゃいけないことが他にもあった気がする。
  そう、例えば、自分が今しでかしたことだとか。

  は、とそこで意識が降りて、輪郭を取り戻した。
  見上げた彼から優しいキスを与えられるのを
  目を閉じて受け止め、羞恥に頬を火照らせる。 ]


  ────……ッや、……
しお、?



[ 力の抜けた身体ではもう碌な抵抗も出来ない。
  顎に宛がわれた彼の指が、また鏡の方を向かせてきて
  まるで鏡まで飛び散った水滴を見せつけるよう。

  実際恐らくはその意図なのだ。意地悪な狼は。
  彼の口から紡がれた二音で真っ先に思い浮かぶのは
  調理に欠かせない調味料だけど、それではない。

  しお、────潮。
  シャワーでも結露でもないこの透明な水滴が、
  「なにかでる」と抵抗した感覚の正体、らしい。 ]

 

 

[ 俗語の類は脳内辞書には書かれていない。
  潮というものも、そもそも最初はイく、という言葉さえ
  辞書になかったような性知識だ。
  本当に義務教育レベルのことしか知らない身だから、
  少しの理性が掛けたストップは正解だっただろう。 ]


  ……ぁぅ……。
  わけ、わかんないくらい、……きもちよかった……


  ────……ふぁ、 ンッ


[ ナカから熱杭が抜けていく感覚を快楽として拾い上げ、
  まだ敏感なままのナカはその微弱な刺激で
  弱々しく、今度はすこしだけ潮を零す。

  びくびくと収縮を繰り返す媚肉のせいか、
  栓が無くなったからか、白濁が膣内を伝い落ちていく。
  直感的に、「さみしい」と本能が訴えた。 ]

 

 

[ 意識が降りただけで、まだ身体は戻っていない。
  初めて潮を噴くくらいには深く大きく達した余韻が尾を引き
  時折制御出来ずに、脚や肩がぴくん、と跳ねた。

  ──いっぱいだったはずなのに、熱が抜けて、おちて。

  ちゃんと、憶えたのに。
  教えて貰った"きもちいい"を、熱の吞み方を、快楽を。
  与えられたご褒美が足りない。
  贅沢だろうか。──足掻く貴方も同じだろうか? ]


  やわた、さん、


[ 甘い、溶けたアイスのような声音だった。

  とくんとくんと心臓が早く動いている。
  肌を交える時、こうして不意に意地悪な面が見えるたび
  どうしてか鼓動が早鐘を打つのだ。
  顎を動かして鏡を見せようとする少しの強引さ、
  快楽から逃してくれなかった あの甘い声音。

  ────おかしい、こんな熱の上がり方。
  そんな 、…そんな気質じゃなかったはずなのに、 ]

 

 


  なか、……こぼれ、ちゃった ……から


[ しゃくりあげる膣のせいか、どうしても溢れた白濁が
  つぅ …っと太腿を伝う感覚がある。

  とはいえまだ微量で、大半はナカに残っているけれど
  "まだ慾しい"と雌の本能が慾張って言うことを聞かない。
  気怠い腕を動かし、すり、と彼の熱へ直に触れる。


  あんな痴態もかわいかった、と言ってくれるなら。
    ──まだもっと、可愛く幸せにして。

  貴方の手で 貴方の熱で 際限なんてないくらい。 ]

 

 


[ 男性の熱を硬くする方法なんてよく知らない。
  だから撫ぜるように触れる細い指先は、
  本当にただ、誘うために肌を重ねにいっただけ。


  それで煽られてくれるならリターンは十分。
  足りないなら、気怠い体をどうにか動かして、
  舌を交える深いキスをしてでも、
  もう一度をねだろう。** ]


 

[ 己との情事で、涙を流して、
 全身を震わせて、感じてくれるのを
 一番良いところから見てしまったから。

 二度目だというのに、いつも以上に
 吐き出しているのを如実に感じ取って。

 引き抜いた際に、こぽ、と溢れ出て
 来たものが脚を伝っていくのを、

 見ても居ないのに感じていた。

 上限のない快楽を喰らい続けているのか
 引き抜くだけでも、声を上げているのを
 拾おうとする耳を叱咤するように、
 唇を噛んだ。

 これ以上が欲しくて、啼いているのではなく
 これ以上ないくらいに、耐えているのだと。 ]

[ 落ち着いてからすべきだったのかも
 知れないけれど、なにせスキン無しで
 一番奥で、気持ち良く達してしまったものだから
 掻き出すなら、早いほうが良いと判断した。

 ――その判断については後ほどか後日か
 正しい方法を聞き出すことにして。 ]

 ごめんね しんどいね

[ やさしく、声を掛けたところで、
 何が変わるわけでは、ないのだろう。

 イき続ける事の苦しさについては、
 分かってあげられないのがもどかしい。

 泣き縋るように、やだぁと潤んだ目で
 見られて、――さっきより余程、ひどいことを
 しているような気持ちになる。 ]

[ それでもどうにか、処理を終えるまでの間
 身悶えて、苦しげに度々、指を締め付けて
 細やかに痙攣しているのを、横目に、
 煩悩を打ち消すように、息を吐きながら耐えて。

 処理を終えて指を引き抜けば、かくんと
 膝が揺れて、湯船に落ちてしまいそうだったので

 腰と上半身を支えると、よろつきながらも
 岩肌の縁に腰を落ち着ければ

 かろうじて、と言った返事が返って。

 ――大いに、反省した。
 外で、ここまでしてしまったことに。 ]

[ 反省は、している。心から。
 けれどそれと、これとは、また別で。

 熱を蓄えたままで辛いだろうから、
 そういう気持ちも確かに、ある。

 けれど、奥の奥まで招いて、
 中で扱くようにして、ダメになるまで
 愛してくれた君に、少しでも

 それを返してあげたい、から。 ]

 ん、あとで、いくらでも
 責めて良いよ

[ 辛さのほうが勝るなら、それでも
 諦めただろうけど、口内に招いて。
 君の中、ほどではなかろうが奥の方まで
 受け入れたら、兆しを見せ、膨らんでくれたので ]

[ 頭に置かれた手が、どうしたいかは
 分からない。

 くちゅり、唾液の絡む口内で膨らみゆく
 彼の熱に、熱烈な口付けを思わせる動きで
 舌を絡ませて。

 頭に置かれた手を、ゆるくあまく、自分の手で
 握り込んだ。

 逃れようとしているなんて、思わない。

 自分がしたいことを、受け入れてくれると
 信じ切っているから。 ]

 ――ン、 ふ

[ その時が来るのを待つように、喉の奥で、
 きゅ、と先端を締めつけて。* ]

[催眠術のコツは、相手がぼうっとした意識の時に暗示をかけること。
いままさに自分が真白に対してやっていること。
だが催眠術は魔法ではないので、すべての人に同じ効果があるものではない。

「かかりたい」と深層意識で思っている相手にはかかりやすい、ということは。
真白には自分の言うことを「聞きたい」という意識がある筈で。]

[子どものような頷きに自然と口角が上がるのは「可愛い」という感情。
「潮」という単語を聞いて、自分が派手に噴き散らかしたものの正体だと知って赤くなる様を見て笑みを深めるのは――

やっぱり「可愛い」という感情の発露だ。]


 そう、僕も聞いたことしかなかったけど。
 女の子が気持ち悦くなった時に出ちゃう、
 普段のぬるぬるよりぬめってなくて
 おしっこみたいに色や匂いがしないもの。


[料理人の彼女なら「塩」の方を思い浮かべるだろう。
混同して料理中に思い出しては手元が鈍るかもしれないので、
定義づけてその真白の知識の「しお」と差別化を図る。

別に出たものが潮ではなく尿であったとしても構わなかったどころか
正直それはそれで興奮しそうだったが、
いちごのボディソープを邪魔するアンモニア臭はないので、
間違えてはいないだろう。]

[気怠い身体で会話をしていれば、射精の波が引いて繋がりが解かれる。
白濁を零すまいと掌を準備していたものの、
奥深くで放ったそれが落ちてくるよりも先に
真白が新たな分泌液を零した。]


 ……癖になっちゃうかもね、噴くの。


[顎に触れたままの指が真白の喘ぎの隙に咥内に入り込む。
軽く一周し、先程のピストンを追体験させるように前後に揺すった後、反射で溜まった唾液を掻き出すように指を抜く。]



 うん。なーに?


[舌の使い方を忘れてしまったのだろうか。
呼ぶ声の輪郭が曖昧だ。]


 うん、そうだね。
 また――――


[飲んで貰わなきゃ、と告げる前に。
それを望む言葉が真白の口から出る。

正しく煽られたのだ、ということは。
鏡を見ていれば十分わかる筈。]


 もういっかいでも、 うーん、
 あともう3回くらいは……?


[こればかりは出した後の身体次第。
気持ちの面ではずっと今夜は出し尽くして抱き潰したいのだけれど。]

[身を捩る気配が感じられたなら、両手で真白を支えたまま両脚の膝を立て、先に立ち上がった。
そこから腰を抱くようにして立ち上がらせる。
ちゅう、と一度唇を強く吸い]


 身体、冷えちゃうから温泉行こうか。


[さて、次も上手く彼女を運べると良いのだけれど。
成功報酬は、温泉の中で。
真白の手を雄茎に触れさせたままキスをして、
真白によって育っていく様を感じさせる――というのはどうだろう?**]

 

[ 白紙の脳内辞書に、またひとつ彼の手で知識が与えられる。
  ──きもちよくなった時に、出てしまう、透明なもの。
  定義づけはすんなりと吞み込まれ、
  何か粗相をしてしまったわけではなくて良かった、と
  安堵でほっと息を緩めた。
  「聞いたことしかなかった」という彼の言葉から、
  "なかなか起こり得ない現象である"ことを察せるほど
  まだ思考回路は回復していない。



  ────癖になるのは、こまってしまう。
  潮を噴くまでの気持ち悦さが毎回訪うのもそうだし、
  ……出してしまった時の快楽も、癖に、なったら?
  身体が自分のものではなくなってしまって
  全部、彼に作り替えられて 名実ともに彼のモノになって

  ──彼無しでは生きられない身体になってしまいそう。 ]


 

 

  ン、 ぁ、む……っ


[ 微かな喘ぎの合間を縫うように、咥内へ指が入り込む。
  顎にも触れ続けているせいで逃げられない。
  指は軽く口の中を一周し、
  まるで熱杭の挿入を思い出させるように前後へ揺すっては
  それだけで滲んだ唾液を掻き出すみたいに引き抜かれて ]


  ……っは、ふ、


[ 咥内を弄られるのも、きもちがいい、けれど。

  ──…もっと気持ち悦さを得られる場所を
  自分はもう、知っている。憶えさせられて、いる。

  お腹の奥がまた疼いて、痺れが止まらない。
  慾しい、おねがい、──また 熱を 奥で、飲ませて。
  だって 折角出して貰ったものが、零れてしまった。 ]

 

 

[ 狼さんは思惑通り煽られてくれたらしい。
  鏡越しの顔でそれを察し、いたずらっぽく笑う──前に。 ]


  ………ぇ、と……。


[ …それは冗談なのか本気なのか。
  今一つ掴み切れなくてまごついている間に、
  両手で自分を支えたまま彼が先に立ち上がった。

  次いで腰を抱かれながら、導かれるように自分も立ち
  強く吸われた唇の快感に「んぅ、」と小さく喘いで。 ]


  おんせん、……。


[ 思考は完全に戻ってきていない。
  内風呂に備え付けられている浴槽のことか、と考えて
  ────露天風呂の存在がすっかり頭から抜けていた。

  甘えるように両腕を伸ばした。
  両脚も腰も、力が抜けて思うように歩けないので。
  ……なんてのは、半分くらい建前で。 ]

 

 


  ……だっこして、つれてって。


[ 出来る限り貴方とくっついていたいから。

  運びやすい体勢があるなら、その通りにする。
  なるべく負担をかけないように頑張るから、抱っこしてと
  今までなら言い出せなかったような我儘を。

  温泉の中で温まって部屋で続きをするつもりなのだと、
  ……そんな風に思ってもいたものだから、なおさら。

  きっと彼の思惑を知っても、結局自分は
  "彼の言うことを聞きたい"と思ってしまっているので
  顔を赤くしながら、熱を慾してしまうのだろうけど。* ]

 

[すべての女性が極まる際に出るものではないというのは経験済ではあるが、そのレアケースに際し自分は興奮するということが今わかったので。
真白が噴いてしまうことを恐れないように言葉を選んだつもり。

癖になるかも、というのは逆に
「癖になりますように」の意。

狼の言外の意だって、白うさぎは素直に汲んでくれるから。

自分はとっくに真白以外では満足出来ない身体になっている。]

[咥内で指を動かしたのは先刻の追体験。
感じさせたい前戯イントロというよりは、
寂しさを募らせて本番サビを盛り上げたいインタールード。

煽り、煽られ、
その時間は長く続かないことが互いにわかっている。
鏡に映る慾に火照った顔と――頭を擡げ始めている雄。]


 時間はたっぷりあるようで、
 抱き合ってたらきっと「足りない」って思っちゃうから
 なるべく長くマシロちゃんのナカにいさせて。


[3回くらいは、というのは冗談ではなく予想で、
もしかするとそれ以上の可能性だってある。

まだふわふわしている様子の真白に微笑んで立ち上がると、
今度は鏡像ではなく本人に腕が伸びてくる。]


 ん
ン”



[喉奥に高まって来た感情が痰のように絡まって思わず咳払いをした。

抱っこって。
「だっこして」って!!!!!!


少し舌足らずなのも相俟って、壮絶に可愛い。
何故こんなにかわいいいきものを構わずにいられたのだ彼女の親は。]



 足開いて、腰にしがみつける?
 手は首に巻いて、そう、上手。


[両手を脇に差し込んで持ち上げた。
そのまま爪先はマットを掠るくらいで宙を掻き、自分の身体に当たる。
その足をしがみつかせ、正面から抱き着く形を提案した。
体重をぐっと上半身に預けてもらい、自分が太腿を持てば、
横抱きよりも安定して運べる筈だ。

ただしこの場合、彼我の間で豊かな胸は形を変えるし、
股を開いた状態で腹筋に当てると移動中に秘芽が擦れる可能性がある。]


 ……ぬるぬるしてる。
 出てきちゃったかな?


[太腿を持つ手から指を伸ばし、確かめるように前を探った。*]

 

[ 狼さんの思惑通り、白うさぎは安堵をしただけで
  潮を噴くことへの恐れや嫌悪を抱くことにはならなかった。
  もうあの頭を焼くような快楽を憶えてしまった以上は、
  きっと、言外の意も 叶う未来になるのだろう。

  ──幕間でさえ気を抜かせてくれない狡い一面さえ
  すき、に変わってしまうのだから、どうしようもない。
  穏やかなピロートークめいた会話は文字通り言葉だけ、
  伴う行動は慾を互いに煽ろうとするものばかり。 ]


  ……ん。
  わたしも、ずっとナカ、いてほしい……。


[ なるべく長く、というのをゆっくりとした交わりと解釈し
  三回くらいは──なんて言葉が
  まさかそれ以上の可能性も孕んでいるとは思いもしない。

  だから、微笑みに揺蕩うような咲みで返して、
  甘えたな子どものように腕を伸ばした。 ]

 

 

[ せりあがる何かを堪えるような咳払いが聞こえて、
  小首を傾ぎ、「はやく」と目で訴える。
  想いを交わした最初の頃なんて、
  「手を繋ぎたい」とお願いするのも少し怯えていたのに。

  今ではすっかり彼限定で甘やかされ、甘え慣れたおかげか
  おねだりは受け入れられるものと思い込んでいる。
  ──だって彼は、いつだって自分のことを
  "可愛い美味しい"と言ってくれるから。 ]


  ……やわたさん、だっこ。


[ とはいえ今は少しの時間も惜しいので。
  駄目押しのようにもう一度、今度は名前を呼びながら
  「ん!」と腕を掲げれば、彼の両手が伸びてきて
  脇へ差し込まれ、身体を持ち上げてくれる。

  白うさぎは、へにゃ、とご満悦の笑みを浮かべた。 ]

 

 

  え、と……こう……?


[ 爪先がマットの際で宙を掻いた弾みで、
  太腿を細筋の白濁が伝い ぽたりと落ちる。
  溢れないようにきゅう、と下腹部へ力を込めるけれど
  足を開いて正面から抱き着く格好では思うようにいかない。

  彼の首へ腕を回し、指示される通りに四肢を動かして。
  体重を預ければ望んだ通り、抱っこで移動の完成だ。
  ふにゅんと彼と自分の間で柔く形を変える胸も、
  ────…歩く間にどうしても擦れる秘芽への刺激も。


  彼の肩口に頭を凭れ掛からせて、必死に声を殺し
  バレないようにしようと ──したのだけれど。 ]


 

 


   っひゃぅ、 ンッ……!


[ 不意に訪った秘部を探るような指先の刺激へ、
  押し殺せていたはずの声が溢れ出た。

  びくん、と身体が揺れれば
  胸の先端と秘芽は彼の肌と擦れ、痺れるような快感を生む。
  確かめるまでもなく、少し触れればきっと
  白濁と、それ以上に秘部を潤す蜜が分かるはず。 ]


  ……ッや、こぼしちゃう、から……っ


[ 頑張って膣を締めて、どうにか奥に溜まる慾が
  これ以上出て行かないようにしているというのに。
  抱っこをねだってこの体勢になった以上、
  抵抗は言葉だけでしか出来ない。

  不埒な指の悪戯を咎める声さえ甘い色。
  ──……頭が茹って、ばかになったみたいで。 ]


 

 


  …………それ、に、
  
さわられるだけで、きもちいいから ……だめ、



[ ──今は、まだ。

  だって、触れ合うだけの二箇所さえ快感を奔らせるのに。
  意図的に弄られたらすぐまたイってしまう、と
  掠れた声で訴えて、ぎゅうとしがみついた。* ]


 

[くったりと身体を岩場に預けて掻き出される時間は、
 実際にはそんなに長いものではなかったのかもしれない。

 それでも敏感になってしまった身体には、
 とても長い時間のように思えていた。
 様子を伺うような声は、半分うつろに曖昧で、
 半ばがくがくと震えるように、浅い頷きを返して。

 堪える。

 震え上がる身体を戒めるように、
 岩場に爪を立てるように、力んで。
 涙で濡らした頬を、冷たい岩場に押し付けて。
 
 ようやく抜かれていった指が無くなった頃には、
 縋る腕も弱く、膝も落ちてしまいそうだったけれど。]

[彼が悪いわけではないことは分かっている。
 ただ快楽に墜ちていくのがこわかっただけ。

 何も知らない場所に沈むには、最初、
 どんな一歩も恐れてしまうものだから。

 悪くないと分かっているのに、
 いや、も、だめ、も口をついてしまうのは許してほしい。
 そう口にしていないと、自我が壊れそうで。
 
 
もっと、違う言葉を口にしてしまいそうで。


 少し、落ち着いた身体を浴槽から溢れた湯で濡らした、
 岩肌に落ち着けて、責めていいという声に。
 否定するように首を振る。

 責めたいわけじゃないから、
 そんなことは言わないでほしい。]

[それでも、口に含まれたら、また。
 だめ、と言ってしまうのだけど。

 柔らかい口腔に含まれて、腰が抜けそうになる。
 思わず、背を丸めて、くしゃりと彼の髪を乱して。]


  ……ッ、ぁ、  ……は、ぅッ……


[躊躇いもなく口に含まれて、追い立てるように
 上下に揺らされたら、まるで身体の中に入っているような
 錯覚すら覚えて、くらくらする。]


  ンッ、ぅ……
、めッ ……ぁッ、ぁッ、



[呂律の回らなくなった口をなんとか、回して。
 何度も、弱く首を振っても、彼の口が追い立てて。]

[眼を細めて、出して、なんていうから。
 ぶる、とまた快楽の波が押し寄せてくる。

 ぼろ、とまた大きな粒が目尻から零れて。
 つらいのではなく、感じ入って出てくる生理的な涙。

 片手は髪を掻き混ぜながら、もう片方の手で。
 再び自身の口元に手の甲を押し付ける。]


  は、ぅ……っン、んぅっ……、ぁ、


[腰元から這い上がってくる何かを堪えようと、
 しても。促すみたいに喉で締め付けられ、
 舌で溢れ出す汁を絡め取られていく。] 

[髪を撫でていた手を取られて、重ねられ。
 あやすように、握り込まれ。
 こわくないと、伝えるみたいに強く訴えられたなら。]


  ……アッ、 ……クるッ……ぅ…ッ、

  だ、
め、  くち……、はなして、ッ ……

  ……ゃッ、 も、  でちゃ、……ッ



[中に吐き出してしまうから、と。
 首を振り揺らしたまま、手の甲を薄く噛んで。

 堪らえようとするのに、喉奥が絞るみたいに、
 窄まれば、堪えきれるはずもなく。] 

[両親に甘えることを許される環境にいなかった真白は
もしかしてこれが最初の「記憶にあるだっこのおねだり」なのではないだろうか。

自分といることで、甘えを我慢する閾値が下がるのは喜ばしい。]


 はいはい。


[すぐに反応を得られなくても不安になったり取り止めたりしない。
「聞こえてないの?」と言わんばかりの催促が愛おしくて、
くすくすと笑いながら迎えに行った。

一度射精したことによって脱力感はあるものの、
真白の体重なら難なく持ち上がる。
近づいたことに満足する笑みがまた可愛らしい。]

[そこまでは、物言いも含めて少しあどけなさを感じる反応だったが、いざ裸の性器が触れ合うとなると簡単に雌が顔を出す。
声は殺せていても、不規則に乱れる鼻息までは止められやしない。

そのまま弱い刺激をどこまで耐えられるか観察しても良かったのだけれど、ジム通いで少し硬くなった腹筋にぬるりとした感触がなすりつけられるのを知らんふりは出来なかった。]


 またすぐに飲ませてあげる。
 お風呂入れば水圧で出てこないかもだし。


[首を横に傾けて、肩口に預けられた頭に自分の頭をこつんと合わせる。
どんなに力を入れていてもこの体勢で零さないのは無理があるし、零れてきているのは自分が放ったものだけではないだろう。
とはいえ、あまり悪戯をし過ぎると、この短い道中にまた「寄り道」をしてしまいかねないので、それ以上は触らずにいた。

この「だめ」は「置いていかせないで」の「だめ」なので、素直に頷いておく。

いくら心身共に焦れていても、おそろいでないと意味がない。]

[露天に繋がる重めの引き戸を開けると、昼間の暑さが和らいで少し寒いくらいだった。
まだ夜というには早く、色素が薄れた空に微かに細い月が見えるくらい。
照明もまだついていないが足元が見える程度には明るく、岩肌の凹凸を感じながら進んだ。

流石家族風呂、4人くらいなら一緒に入れる大きさがあり、
木の手摺が設置してある。
真白を抱えたまま足から湯に降りた。]


 お、おお〜……
 流石温泉、ちょっと熱い……?

 座るから、掴まっててね。
 マシロちゃんのお尻からお湯に当たる……


[びっくりして手を離してしまわないように予告して
そうっと一緒に浸かっていく。
高めの温度は肌に食い込むようで、身体を沈めながらぶるっと身を震わせた。]



 まだ星はそんなに見えないね。
 夕飯食べてからまた入ろうか。


[その体力が残っているかは別として。

完全に底に腰を下ろせたのなら、真白の手を片方首から外させて、湯の中に導いた。
まだ柔らかい部分が多くある場所に触れさせて、でもそれ以上は何も求めない。]


 マシロちゃん、すき。


[外では声は反響しない。
はっきりと口にしてから唇を重ね、スタンプを押すように何度もつけたり離したりを繰り返した。

その内キスが深くなる頃には、真白が手を添えているそこは扱かれていなくても段々形を変えていく。*]

[ これからずっと、この先もずっと。
 一緒にいたい。

 一つでも多く、知り、
 一つでも多く、理解し合いたい、

 そのうちの一つとして、今日の日もあればいい。

 肌を重ね合う中でもそれは変わらない。
 これは良い、これは痛い、これは怖いと
 伝え合う中に、責めるよう言葉一つくらい
 
 あっても一向に構わない。

 君に関してのこと、特に、我慢ならずに
 口にしてしまうことが多いことだし。 ]

[ 恋するにあたっての、酸いも甘いも、
 苦痛も快楽も、君から知りたいから。

 背を丸めることで、心理学的には
 快楽に怯えていると取る事ができるらしい。

 良くそうしているのを見るから、
 今日もすこし、怯えているのかもしれない。 ]

 ん、 いいよ、

[ 口をついて出てしまう言葉の裏側は、
 知っている。どうしても出てしまうだけで、
 本当は駄目でも、いや、でもないことを。

 駄目と言われる度、良い、と返してきた
 これまでも。そして今日も。 ]

[ ぼろ、と零れた涙が頬を伝って
 顎先に落ちて、まだあたたかいまま、
 自分の手に落ちてくる。

 泣いちゃうくらい、良くなって

 その願いが通じたような気になって
 尚更、恍惚とした表情を浮かべたまま

 とくとくと脈打つ愛しい熱を、
 口内で抱きしめるように、口を窄ませて。 ]

[ ゆるりと手を握りこんだなら。
 くちをはなして、と彼が言う。

 に、と微笑って、一度だけ静かに
 首を振るようにして。

 ――前にも言っただろう。
 そんな寂しいこと、言わないでと。
 それについさっきも、中にと。

 それでもまだ、遠慮があるようだから、
 つい、意地になるみたいに、窄めたままで
 吸い上げてしまう。 ]

 あ。

[ 舌で追いかけそこねたそれを指の先で
 拭って口の中へ戻すと、いつかと同じように
 名残惜しげに、先端にちう、と吸い付いて
 解放し、ごく自然に、喉を鳴らして。 ]

[ 背を丸めてしまうのは、強すぎる快楽に
 怯えてしまうから、らしく。

 背を逸らすのは、
 より深く感じ入るため らしい。

 聞きかじった話を思い出して、ひとり
 小さく笑うと、 ]

 良かった?

[ 聞いて、両腕を組んで、君の膝の上に
 乗せて。落ち着くまではそうしていただろう。

 冷える前にもう一度湯に浸かるように促してから
 洗い場に向かい、髪と体、顔を洗って、
 自分ももう一度湯船に浸かって。

 星空と、君とを交互に眺めていたけれど ]

 湯あたりする前に、あがろう。

[ ただでさえ燃え上がってしまったから
 ゆっくり浸かるどころではなかったの
 かもしれないな。

 抱き上げるつもりで、膝の裏へ
 片手を入れたけど、素直に甘えて
 くれただろうか。* ]

 

[ 抱っこのおねだりをした記憶は、過去一度もない。
  頭を撫でてといったり、手を繋いでといったことも。
  全部全部、彼が初めてのことだらけ。
  ────彼なら、甘えることを許してくれるから。
  そうして自分にもまた、"甘えられる"ことへの
  嬉しさをいつも教えてくれる。

  二人でしか作れない、幸せの掛け算。 ]


  おふろ、


[ はた、と気付く。
  零れた呟きは、こつんと頭を合わせに来てくれた
  彼の耳にもよく届いただろう。

  またすぐに飲ませてくれると言って、
  でも内風呂の浴槽は通り過ぎていく。
  ──そこでようやく、露天風呂の存在を思い出した。


  ……いやまさか、まさかそんなことはない。きっと。
  過った考えを否定し、じれったい微かな快感を耐え、
  「だめ」の意図を汲んでくれた狼に身を預ける。 ]

 

 

[ 引き戸を開ける音は重々しく、日暮れの寒さが肌へ触れた。
  夜の帳はまだ降りず、昼と夜の合間、
  どっちつかずの昼夜が混ざり合った空へ微かに細い月。
  照明が無くても地面や少し遠くのものなら目視できる。

  家族連れを想定しているのか、
  肩口から頭を離し振り返れば、大きな露天風呂が見えた。
  降りて自分で入れるくらいの力は残っていたけれど、
  言い出さず、抱えたまま湯へ浸かるのへ甘えて。 ]


  ……っわ、ほんとだ、ちょっとあつい……かも…?


[ 掴まっててね、という予告にはこくんと頷き
  そっと一緒に入った温泉は少し温度が高いような。
  じんわり肌へ広がる熱さへ、ほう、と息を吐く。 ]

 

 

[ まだということは、夜になれば星が見えるのだろうか。
  特別夜空が好きなんてこともないけれど、
  都会の街中に住んでいれば星なんて殆ど見えないから
  純粋に気になって、夕飯後にもう一回入ろうという言葉に
  「うん」と少し弾んだ声で返事をする。 ]


  えへ、……だっこしてくれて、ありがとう。


[ 最初の夜から、交わった後は朝起きるまでの間
  敬語が抜け落ちるのが標準になった。
  無意識だったことへ気付いたのは途中から。
  気付いてもなお、続けている。

  ────……身体でも、心でも、その他からも。
  彼と交わったことへの実感がほしくて。
  それに、何てことない時に敬語を外すのは

  ……やっぱりまだ、気恥ずかしい、し。 ]

 

 

[ 運んでくれたことへの礼を言い、
  促されるままに首から外した片手を湯の中へ沈める。
  てっきりここで体勢を一度崩して
  隣同士座りながら浸かるのだと、思っていたけれど。

  ──導かれた先、まだ柔らかい彼のモノへ触れた途端
  さっき自分が煽るために撫ぜたことを思い出す。 ]


  ……ぁ、やわた さん
  わたしも。────わたしも、すき、


[ 浴室と違い、外だから声は響かない。
  名前を呼ばれ 好きと紡がれれば、心臓が跳ねた。

  幾度も幾度も重なる唇を受け入れ、
  自然と唇を開けば、外だというのにキスも深まっていく。
  粘着質な水音が鳴って、熱い舌が交わって、 ]

 

 

  ンぅ、あ、 ふ…ァ、ンん……ッ


[ キスで与えられる快楽がきもちよくて。
  ──手を添えているだけなのに、少しずつ形を変えていく
  彼の熱が愛おしくって。

  ……擦ってあげたら、もっときもちよくなってくれる?
  硬くなって、すっかり貴方の形になった私のナカへ
  ぴたりと嵌るいつもの熱杭になるのだろうか。 ]


  ──────……、


[ ここが外だということは、頭の中から消えていた。
  添えるだけだった掌が、彼の熱を包み込む。
  そのまま優しく──加減が分からないから
  恐る恐るともいえる動きで、そうっと扱いた。* ]

 

[首に抱き着いた真白の声が擽ったくて少しふるりと身を震わせる。]


 そう。
 ここの内風呂は今から湯を張らないといけないし、
 折角このまま露天に行けるんだから
 二人で浸かろうよ。


[特に何も秘めていないかのような口調で。
だから真白が「まさか」と思ったのも無理もない。

内風呂と違い、露天は――露天なので。
高い壁に阻まれているから隣の部屋が何をしているかは見えなくても、大きな声を出せば空気を介して伝わってしまう。
実際に外に出れば、隣か或いは別の家族風呂か大浴場か、かけ流しの湯の音が複数聞こえてくる。]

[空はまだ薄暮の頃。
温泉を楽しむなら夕食後が定石だろう。
だから狙ったという訳でもないのだが。]


 どういたしまして。
 乗り心地はどうだった?


[甘え初心者である筈の真白は、決して行き過ぎない。
だっこ、と断られることを想定しない甘えを見せても、
下ろせばこうして礼を欠かさない。
彼女が我儘で困ると愚痴を零していた友達もいるが、
自分は困ることがなさそうだ。
強いて言えば、此方の方が甘えられることに飢えてしまって困る可能性くらい。]



 うん。 ――すき。


[返る言葉にまた返す。
情事後のボーナストラック、真白のタメ語。
色を帯びていなくても声は甘いままで、
いつも朝が来なければ良いのにと思う。

だが普段の敬語も愛おしいから、余計にこの後戯が特典めいて嬉しいのだとも思う。]


 っ、そう、
 マシロちゃんがさわったら、
 どんどんおっきくなるよ、


[このくらいの声量なら、止めどなく湯殿に落ちる水流の音で目立たない。
外にいるのに外界から切り離されているような不思議な気分だ。]


 きもち、イイ、


[は、と息の塊を吐いてまた真白の唇を深く探った。
添えられているだけで、育つ様子を感じて貰えたらそれで良かったのだけれど、
察しが良いのか知識があるのか、ゆるりと掌が蠢いて幹に刺激を与えて来た。
まだ恐る恐るの掌に擦りつけるようにすれば、屹立はどんどん体積を増していく。]

[水面に真白の豊かな胸が揺れていて、白さに目を奪われた。
真水でないなら口に入れたらあまり良くないかもしれない。
痕を残す自分だけなら良いが、その後キスを我慢することは出来そうにないので。
白い肌を吸わない代わり、湯の中でやわやわと揉みしだく。

……やはり育っている気がする。
肥ってもいないのに。]


 マシロ、ちゃん、 
  …は、  じぶん、で、 いれられる……?
 そこ、持ったまんま、跨って。
 いりぐちにハメたら手を離して腰を下ろす。

 ……やってみて?


[鼻先や頬にキスを散らしながら、今度は此方からおねだりを。
ここが外だということは一秒だって忘れていないが、
育った剛直はもう一秒でも待っていられないくらい真白の膣を欲しがっている。*]

[零れた涙が彼に落ちて、濡らしても。
 気づくことができないくらい余韻が酷くて、
 射精後の脱力感が一気に襲ってくる。

 彼が口から溢れさせたそれも、
 視界の端に留めてはいたけれど。]

 
  ……飲、……っ、  ……


[溢れたものまで、指で掬い上げ口に含むのは、
 少し、いやかなり恥ずかしかった。
 何度その光景を見ていたとしても。

 ただ、上がった息を肩で呼吸しているぐらい、
 口を挟める程の余裕もなかったから。

 小さく呻くだけになってしまって、
 その反抗は、彼には通じないだろう。]

[いくら湯に浸かっていたとしても、
 濡れた肌を長い時間、夜風に晒していれば寒気も伴う。

 自分も彼も吐き出したものを手で掻き出したとはいえ、
 すぐにまた浸かるのはさすがに抵抗があったけど。
 冷えた空気には抗えずに、少しだけ身を浸した。

 肩口まで温もれば、外の温度に合わせて、
 少し高めに設定されたお湯が心地いい。

 温もってから身体を二度目の身体を洗い流して、
 丁寧に彼が指で掻き出した場所は、
 少しだけ、シャワーで洗い流していれば、
 彼からもまた、手伝う声が上がったかもしれない。


 少しだけ、また触れ合って。じゃれあって。
 逆上せてしまう前に身体を冷ます。
 
彼に逆上せた頭と表情だけは、残ったまま。

[身体を気遣うように差し伸べてくれた手は、
 気怠さを残した身体には、ありがたかったけれど。
 
 足元が濡れた場所で寄りかかるには、気になってしまって。
 やんわりと首を振って申し出を断った。

 甘い雰囲気を壊したかった訳じゃないけれど、
 二人して滑ってしまったら、元も子もないので。

 手だけを借りて、脱衣所まで戻り、
 水気を取り払った後、宿の据え置きの浴衣に身を包んで。]


 
  …………けいと、さん


[つんと彼の浴衣の袖を引っ張ってから、
 ン、と甘えるように両手を伸ばしたら、
 さっきの誘いのお返しだと気づいてもらえるだろうか。

 ドライヤーは部屋にも持ち運べるはず。
 髪はまだしっとりと濡れたままだけど、
 後で、彼に乾かしてもらうとして。

 今は、先程断った彼の腕の中に甘えるように身を寄せた。*]

 

[ ──我儘で困ると思われる可能性を考えていないのは、
  彼がそれだけ甘やかし上手だからか。
  ゆっくり一歩ずつ、許容してくれる範囲を探っている。
  探すたびに際限なく受け止めてくれるものだから
  つい、甘えすぎたと後で自省することもあるくらい。

  乗り心地はどうだった?と尋ねる声に、
  頬を緩めて口を開く。 ]


  ふふ、──とっても良かった。
  だから、また抱っこしてほしいな。


[ 人に抱っこされるのは今日が初めてだ。
  横向きも、さっきみたいな正面も、楽しかった。

  まるで大事なものを運ぶようなしっかりした抱き方で。
  貴方の幸せそうな顔や声を間近で見聞き出来る、
  私だけに与えられた特等席。 ]

 

 

[ キスが深まるにつれ、粘着質な水音が大きく響いていく。
  甘やかな喘ぎ声は水流の音や、
  二人が身じろぐたびに湯の水面が揺れる音で目立たない。
  間近に彼の熱い吐息が聞こえて、
  彼限定で鋭い聴覚はその唇から零れる言葉ばかり拾い上げる。

  ──だから、すっかり忘れていたのだ。
  熱に浮かされるあまり ここが外だということを。 ]


  ッん、ぁ ふ……っ


[ 性行為への察しは、育てられて少しずつ良くなった。
  ──知識は、本当に、微かだけ 自分でも。

  "男の人 気持ち良くする 方法"なんて検索して、
  出てきた一番上の記事をちょっと読んだことがある。
 
恥ずかしくてすぐさまタブを消したが。

  なるほど、擦られるときもちがいい、というのは
  でたらめな内容でもなかったらしい。

  けれど、そこからどうすれば良いのかまでは知らなくて
  掌に擦り付けられる熱がどんどん膨らんでいくのを、
  早鐘を打つ心臓と一緒にただ、掌で感じて。 ]

 

 

  ひぁっ、 ……ゃっ、ンん……ッ


[ 成長期は終わった筈なのに、また大きく育った胸は
  温泉の水面に浮かぶように揺れている。
  湯の中でやわく揉まれれば瞬く間に快楽が奔って、
  声を押し殺し、はふ、と息を吐いた。

  だめ、やめなきゃ、────だって 外、なのに。

  別部屋なのか大浴場か、
  誰かがすぐ近くで風呂を使う音が此方に届いているならば
  逆も当然同じことで、──だから、これ以上は、 ]


  ……ッぇ、あ…

  じぶん で、……いれる、って、
  でもここ、外……、


[ 顔に降るキスの雨は甘いのに、指示はちっとも甘くない。
  躊躇いながらどうにか言葉を返すけれど、
  湯の中でも目視できるくらい育った熱杭を見てしまえば
  腹の奥が疼くのが、とめられない。 ]

 

 

[ ちゃぷん、と水面を揺らし、彼へ跨る体勢を取った。
  彼の熱を優しく支えるように持って、
  そ、と先端を自分の膣口に宛がい、ふるりと肩を震わせる。

  ────……外、だけど。
  声を堪えれば。激しくない動きにしてもらえば。
  そんな言い訳を心の中で誰にでもなく繰り返し、
  ゆっくりと少し、腰を沈めて。 ]


  ……────ッふ、ぁ、 …ッぁ、んぅ…っ
  ゃ、……おゆ、あつぃ…っ


[ 丁度浅瀬の性感帯を、彼の亀頭が擦ったところで
  腰を下ろす動きが止まり、薄い腹へ手を当てた。

  ナカを拡げられるにつれて湯が熱と一緒に入り込み、
  いつもよりも熱くて──堪らなくきもちがいい。
  潤んで蕩けた媚肉に湯の熱さも加われば、きっと
  彼の方も同じような快楽を得られているだろうか。 ]

 

 


  っは、 ンぅ、……っちょっとだけ、まって、
  ゆっくり、いれる、から……っ


[ そう言いつつも、腰は亀頭を吞み込んだ状態のまま
  一向に下りる気配がない。

  焦らしているつもりは欠片もないのだけれど、
  このまま一気に奥まで迎え入れたら、
  声を押し殺せる自信が全くなかったものだから。

  蜜で潤み、一度交わったおかげで解れ切った蜜壺は
  奥へ奥へと迎え入れたがるように蠢いているのに。
  まるでこれでは狼とうさぎの根競べだ。
  また僅かに沈めては、奔る快感を逃すのに必死になって
  一向に腰が進む気配はない。* ]

 

[真白が望むならもう少し鍛えて片腕に尻を乗せて抱き上げるのもやってみたい。
勿論一番は横抱きで、真白がお姫様の気分を味わえるように安定感を強めたい。

甘えを受け止めきれないと思う際限はどこかに存在するかもしれないが、今のところ遠くにも見つからない。
真白を本当に好きだから、無理なら我慢はしないとは常々言っていることで、つまりは許容範囲なので安心してほしい。]

[得た知識が検索結果ならまだ良い。
誰かから聞いた「誰かの経験相手」なら真白と近い気がして餅を黒くしていただろう。
身近に男性の恋人を持つ人物がいても、これからもうっかり聞く機会がありませんように。]


 
ふー……っ、ふ、



[あっという間に育ちきり、吐息も荒くなる。
じょうず、と呟いたつもりで声にはならず、唇だけが緩慢に動いた。

もう、立ち上がって移動する猶予はない。
元よりそのつもりもなかったが。]



 うん、外だね。


[どうやら思い出してしまったらしい。
胸だけでは刺激が弱かっただろうか。残念だ。]


 でも――出来るよね?


[おなかのさみしさを耐えられない身体にしたのは自分だという自負があるから言える台詞。
ゆっくりと真白が動き出すのを目を細めて見つめていた。]



 っ、 ナカ、すごぃうねる、


[温泉の血行促進効果によるものか「仕上がった」蜜口が太瘤を包み込んで歓待する。
思わず仰け反れば背に岩肌が擦れる。
そのチリとした痛みで辛うじて快楽に飲み込まれるのは免れた。]


 ん、 待ってあげたい、 ……けど、


[焦らされている訳ではないのはわかる。
亀頭と共に入り込んだ湯の熱さは少ししてから馴染んで来たが、裡はずっと温かさを伝え続けている。
その奥に、もっと気持ち悦くなれる場所があることを知っている。

――還りたい。]


 っ!ん、ん、 !


[少しだけうっかり精を漏らした気がする。
絶頂にはまだの予感があるのに不思議だが。
自分の身体なのに違う生き物みたいだ。

水面が揺れ、段々と輪郭がはっきりしてきた月が水面に反射する。

 "兎波を走る"

まだ悟りを開くには未熟な男は、水面をばしゃばしゃと揺らしながら、真白の蜜壺を犯し始めた。*]

[ 問いに、言葉をつまらせるのを見て。
 ――問うべきではなかったのだろうかと僅か
 不安になる。

 軽い気持ちで問うたのを、後悔するより
 少し早く、控えめに頷いてくれただろうか。

 見上げる視線に不安が少しだけ、混じったのを
 続く言葉が、ふわりとかき消していったから

 反応は示さないまま、撫でられる手に
 促されるように、目を伏せて。 ]

[ 内風呂に移動する気も起きず、
 湯から身を上げれば、甘い香りのボディソープ
 で体を洗って。髪を洗って、嗅ぎ慣れぬ匂いへの
 違和感を感じつつ、

 彼もシャワーで洗い流すようなら
 手伝いを申し出て。

 遠慮しないでだとかじゃれ合いながら
 洗い場を後にして。

 抱き上げるつもりだった腕は、支えるだけに
 留めたが。 ]

[ 浴衣に身を包んで、濡れた髪を拭っていると
 つんと袖を引かれて。

 タオルを首掛け、微笑むと、
 背中に手を回し、一度ぎゅうと抱き締めたあとで

 抱き上げて、部屋まで向かい
 座椅子の上にそっとおろして。

 これではどちらが甘えているか、わからないなと
 声を上げて、笑い

 ドライヤーを手に戻ると、短い君の髪に
 先に温風を当てていく。

 さほど時間もかからずに、乾ききって
 しまったなら、自分の髪も乾かして。 ]

[ 冷えたお茶で喉を潤して、
 窓の外を眺めた後に、スマホに目をやって。

 ――夕食からこちら、結構な時間が経っていることに
 少し驚きながら。

 眠るまで、飽きもせず、腕の中の
 ぬくもりを抱き締め、やさしく撫でているうちに
 眠りについてしまったのだったか――。 ]

 ………ん…ぁ………?

[ 明け方近く一度目が覚めた時にはまだ、
 窓の外は暗かったはずだが。

 次に目覚めたときにはすっかり
 部屋の中は明るくなっていて。

 普段以上に長く眠ってしまったことに
 ぼんやりとしたままで、驚きつつ

 旅館の布団って寝心地が良いものだから
 そのせいにしてしまいつつ、ごろりと
 寝返りを打つ。

 朝は弱い、と自称する恋人はどうして
 いたか。引き寄せたスマホのアラームは
 まだ、鳴らないし、朝食まではまだ余裕はある。 ]

 うーん、

[ 二度寝の誘惑も捨てがたいが、朝風呂の
 贅沢もまた……そんな風に悩んでいると、
 カーテンの隙間から差した光が目に入って。* ] 

[袖を引いて、少し高い位置にある彼を覗いて、
 笑みを深くされて、腕の中に閉じ込められたら、
 肩口に、ぽてんと頭を寄せて甘えた。
 
 両腕に抱き込まれる大きさを覚えてしまったなら、
 もう、抜け出せない。忘れられない。
 着慣れていない浴衣は少し生地が薄く、
 風呂上がりの温もった温度を伝えている。

 其処に居ることを確かめるようにゆっくり瞬いてから。
 名残惜しそうに、身体を離して。

 膝裏に差し込まれた腕に身を預けて、
 首裏に両腕を回せば、慣れた様子で運ばれていく。

 ……なんだか、出会った時よりも、
 運び方が慣れてきたような、不安がないような。

 彼がもし知らぬところでそれを意識していたとしても、
 まだ、それは知ることのない、話。]

[窓際の座椅子に降ろされて、はふ、と。
 風呂上がりの開放感にほっとした息をついて。

 どちらが甘えているのかは分からずとも、
 互いに触れ合い、離れがたいのは事実。
 傍に居たい理由を付けて、隣を望む。
 そういう時間が、付き合い始めた頃は、
 もう少し、たどだどしかったように感じるから。

 その頃に比べたら、甘え方は上手くなったと、思う。 

 少し、腰は重かったか。気怠さが纏わりついていて。 
 出されたままだった茶碗を取り、水分を補給して、
 すっかり乾いていた喉を潤した。

 姿を一度消した彼が、ドライヤーを手に戻るのに
 気づいたら、座椅子に座り直して。
 頭を垂らして、乾かしてもらっただろうか。
 
 温風が心地よくて、無言になれば。
 うつらうつらと眠気が襲ってきて、かくりと船を漕いで。]

[いつの間にか、ドライヤーが終わっていた。
 一瞬手放した意識が、戻ってきて。
 傍らで聞こえるドライヤーの音に、ごし、と瞼を擦る。]


  変わる。


[と、申し出て、受け入れられれば。
 動けない分、座椅子の前に俯いてもらって、
 温風を当てて乾かしていっただろうか。

 濡れていた髪をぱさぱさと揺らせば、水気が抜けていく。
 正面から乾かしている分、視線が合いやすく、
 手持ち無沙汰にした彼と目が合えば、微笑んで。

 もう少し、と口パクで伝えて。
 長い髪を、後ろに流して、乾かしていく。]

[大きかった一房が、さらりと流れるようになれば。
 温風を切って、見上げ。
 いつもの表情が覗いたら。]


  うん、格好いい。


[……と、満足気に仕上がりに頷いただろう。]

[そんな穏やかな時間を過ごして、どちらともなく。
 布団に入り込んだ。
 二つ並んだ布団を、隙間なくくっつけて。
 枕を隣り合わせ直して、床に入り。

 待っていたように伸ばされた腕に、身じろぎ。
 腕の中に身を収めると、閉じ込められる。

 睡魔が訪れるのは思いの外、早く。
 数度背中を叩かれるだけで、うと、と瞼が落ち始め。

 ぬくもりに包まれながら、船は眠りへと旅立っていく。]

[疲れ果てた身体は、睡眠を求めていたのか、
 朝まで目覚める気配もないまま、ぐっすりと眠っていた。

 瞼の向こうが少し、明るくなったような気がするけれど、
 瞼はまだくっついていたいと、言うから。
 逆らえないまま、言うことを聞いていた。

 ただ、眠る前にあった温もりが、無いような気がして。
 少しだけ、重い瞼を持ち上げて、姿を探し。
 その背中を見つけたら、もぞ、と身動いで。]


  …………んぅ、……、



[ぬくもりを求めるように、
 ぴと、と両手と額を彼の背中に擦り寄せた。

 夏が近づいているとは言え、まだ朝は春眠暁を覚えない。
 要するに、もう少し寝ていたい。]

 

[ 友人の中には幾人か恋人を持つ子もいるけれど、
  その誰かから聞いた経験の話さえ餅を黒くさせるとは
  さすがの白うさぎも悟れない域の話だ。
  今まで話題に上がったこともないから、多分
  今後も黒くさせずに済む ──はず。 ]


  ………ぁ、ぅ、


[ 出来ない、と言えない身体にしたのは彼なのに。
  お腹の寂しさと疼きを埋めてほしい。
  ────こんな、淫らな身体になってしまうことなんて
  少し前の自分は想像さえしていなかった。

  外だと分かりながら、「出来るよね?」だなんて言葉。
  澄まし顔で内風呂を使わない理由をさらっと紡ぎながら、
  もしや最初から狙いはこれか。意地が悪い。 ]

 

 


  …………がんばる……。


[ 小さく零し、目を細めて見つめてくる視線を感じながら
  ゆっくりと跨り、──挿入れようと努力したのに。

  外でも良いからきもちよくなりたい気持ちと、
  誰かに聞こえてしまうかも、という背徳感。
  いつも甘やかしてくれる彼が夜だけこうして
  意地悪になることも、心をそわつかせる。


  感情と、想像以上の気持ち悦さが動きを鈍らせた。
  自分で彼の熱をナカへ迎え入れ、
  その動きが彼に快感を与えているのが間近に見えて。

  はふ、と息を吐く。
  この先に待っているいつもの快楽を思い、腰が引ける。
  ──慾しい。でも、勢いよく腰を沈めるのは
  自分で理性を手離すのと同じで …まよって、 ]

 

 


 
    ────  ッや、 まって、…!


[ 耳に届いた、待ってあげたい"けど"という前置き。
  謝罪の四文字が嫌に頭へ響く。


  頑張るから、がんばるから待って、と
  制止を掛けるのが間に合わない。 ]


 

 


   ッぁ、ふぁ、や、 ────……ッンん……っ


[ ばしゃ、と律動に合わせて水面が波を打つ。
  輪郭を得始めた月がそれに合わせて欠けてはぼやけ、
  形を取り戻してはまた欠けて、を繰り返した。

  うさぎは月を見て跳ねるという。
  狼は月に向かって吠えて、狼人間になるらしい。


  ────絶頂から下りて来られないまま、
  媚肉を犯す熱杭に甘い喘ぎを零しかけ、必死に堪える。
  どこかから誰かのはしゃぐ声が聞こえていた。
  いつものように喘ぐと、バレてしまう。 ]

 

 


  ッひ、ンぅ、……っふ、 〜〜〜ッ、


[ 聞かれてしまうかも、という想像で中が締まる。
  それさえ気にせず犯されているのが、
  ──どうしてか、たまらなく、きもちいい。

  なんで、おかしい、こんな。
  声を殺すために必死に唇を塞ぐだけのキスをねだりながら
  絶えず奥へ流れ込むお湯の熱にさえ神経が撫ぜられる。


  子宮口は満腹を求めるように、蜜を纏って鈴口へ吸い付き
  蜜壺も同じ、奥へと悦んで熱杭を咥え込む。
  この状況下で拒むどころか、身体は快楽を慾しているのが
  言葉にせずとも明白な ナカの動き。* ]

 

[無くしたものが確かに埋められて、
 とろ、とまた瞼が落ちてくる。微睡みに落ちるのは早い。

 寝乱れて浴衣が肩から少し下がり落ちている分、
 ぬくもりと求めてしまうのは仕方がない。
 
 腿まで覗いている脚も、
 冷えた足先を温めるように、足首をすり、と絡めて。*]

[ 出会った頃よりすんなりと抱きかかえることが
 出来るのは、多分、抱えられる側に心得が
 出来たから、と思う。

 協力的だと自分よりも大きな体であっても
 持ち上がることがあるのだから。

 信頼して首に手を回してくれるなら
 前よりずっと手慣れた風になっても、おかしくはない。

 温風を浴びて眠たげにする君が変わる、というから
 ドライヤーを渡して、前から乾かしてもらうことにした。

 世話を焼かれるっていうの、とても心地よかったから。
 ――弟妹はおらずとも、門下生は多く。
 どちらかといえば兄の顔をしている期間のほうが、
 長かったから。

 髪が乾いて告げられた言葉には、
 僅かに照れて、頷いただろう。 ]

[ そうして溶けるように眠ったため、
 夢を見ることはなかったかな。

 起きるか起きまいか、悩んでいると
 側に在ったぬくもりが離れたことに、
 気づいたのか、僅か数センチの隙間を
 埋めるように、ぴたりと擦り寄ってくる君は、 ]

 ん?起きる?

[ まだもう少し、眠っていたいようで。
 体を起こすどころか、微睡みのなかへ
 落ちていきそうだが。一応声を掛けて、
 振り返ると――。  
うわ、絶景。

 声なき声で呟いた。 ]

 そうだね、もう少し寝よう。
 こっちおいで。

[ 浴衣で寝ると、そうなるだろうと昨晩
 予測はしていたけれど。

 寝乱れて肩からずり落ち、緩んだ合わせから
 腿まで露出していて。

 実際目にすると、大変悩ましいお姿で。
 眠たげな姿もまた、あどけなさの他に、
 壮絶な色気を感じて、長いため息をついた。
 
 ――これ以上見ていると、昨晩の反省すら
 吹っ飛んでしまいそうなので。
 あと三秒、と決めて、眺め終われば

 布団の中に招き入れるように寄り添って。 ]

[ ――それが間違いだったと気づくのは
 慌ただしく、着替えを済ませた朝食の直前。

 布団の中に招き入れて、擦り寄ってくる
 ぬくもりに、僅かな眠気が勝てるはずもなく。

 と、いうか――、自分の節操の無さに、
 呆れてしまわれても、致し方なく思う。

 触るだけ、一回だけ。

 それを遵守はしたけれど、今までにはない
 起こし方をしてしまったことは、否めない。

 朝の光を浴びて、浴衣の合わせから覗く
 赤が鮮やかで、とは言い訳に違いないだろう。 ]

 ――ええ、とても

[ 浴衣を着直そうとしたところで、
 それでは見えてしまうからと、慌ただしく
 私服に着替えたところで、ドアノックの音がして。

 布団の上げ下ろしと、朝食の準備に
 伺いましたという仲居さんが、
 よく眠れましたかと、問うのでそう答えたあと。

 ――……あら、と小さく零した仲居さんが
 恥ずかしげに目を逸らしたところで、

 頬のそれ、に気づいたけれど。
 朝食を終えて、合流する際には、
 マスクをつければ、隠れてしまうだろうから

 特に何を言うこともなく、ごゆっくり、と
 彼女らが去れば、何食わぬ顔で、熱いお茶を啜った。* ]

[ぬくもりを求めるみたいに擦り寄った時、
 彼が起きているのかどうかは、確かめていなかった。
 眠っていたなら問題なかったし、
 起きていたら、もう少しと布団の中を長引かせたかも。

 だから、降り掛かる声には、]


  ……んー…… 、


[ぐずるように返事とも否定ともつかない反応を返して、
 身体はより、近づけるように額を擦りとぶつけて。

 絡めた脚を、もぞ、と動かして。
 脚に挟んでもらって、ぬくもりを求め。
 もう少し、うとうとと船を漕いでいて。]

[誘いの声に、ン、と寝ぼけたまま頷いて。
 眠ったときと同じように向き合う形になれば、
 もぞもぞと、胸の内に身体を落ち着けた。

 包まれる温かさが好ましい。
 身じろげば尚更、浴衣がずれて肩を露出して。
 腰元には帯が纏わりついている程度。

 邪魔な裾は後ろに残した分、
 顕になった腿でぴとりと片脚を挟み込んで、
 抱き枕のようにすれば。

 瞼を下ろしたまま、夢見心地にふにゃりと、笑んで。
 抱き込まれた安心感に満足して、
 くぅ、とまた眠りに誘われていく。]

[揺蕩うようにゆらゆらと、眠気に誘われるまま。
 しばらくの間、寝息を立てていた。

 もぞりと、動く手は抱き直すものだろう。
 その手が、悪戯に動くのに気づかないでいたら。]


  ……ン、



[鼻から抜けるような甘い声が溢れる。
 一度だけじゃなくて、数度。
 胸元がすぅすぅして、くすぐったくて。
 
 顕になった腿の間に彼の太腿が割り入れられて、
 朝の兆しを見せていたものを、下から押し上げられて、
 吐息混じりのあえかな声が、喉を突く。]

[約束していた朝風呂は、予定していたよりも、
 少し短く、慌ただしいものになったかもしれない。

 寝乱れた布団を仲居さんに直してもらうのは、
 とても居た堪れなくて。
 対応は彼に任せてしまって、少し長めに湯に浸かり、
 脱衣所でそのやりとりを聞いていた。

 何食わぬ顔で対応しているその人。
 朝から悪戯を仕掛けてくるような人です。

 仕事慣れから来ているのか、そもそもの性格なのか。
 今はその対応に助けられながら。

 彼女たちが部屋を後にしたタイミングで、
 ようやく脱衣所の扉を開けて、
 様変わりした部屋の眺め、タオルで口元を抑えながら。]


  ……上がりました、


[湯気を立ち上らせつつ、彼の向かい側に
 腰を下ろして、朝食を共にする。

 いつもとは、少し、――――違う朝。*]

[自分としては意地が悪い自覚はまるでない。
ないのだが、自分が求めたことで真白が恥ずかしそうにして
そしてここが重要なのだが――

 
結局拒否しない


というシチュエーションに相当興奮するタチだということがわかった。

「いまはだめ」のような取り置いてくれという願いは大体聞き入れるが
恥ずかしさが枷になっているだけならば、自分の言葉で視線で手で
それを外させたいという慾は留まることを知らない。

甘えん坊はどちらなのだか。]

[ここが外ということは咎められてもどこ吹く風で、
それならせめて挿入のタイミングは真白に任せようとしたものの、
限界まで育てられた刀身が子宮に会いたがって我慢ができなくなった。]


 ンぐぅ…………っ


[肩に鋭い痛み。
その衝撃も飛んでしまうような内壁の締め付けに、唇を塞いでいながらも喉奥の声が外に出る。

真白が達したことは痙攣から明白で、それでも止まれない。
抗うように抜き挿しを繰り返す。

いつものセックスのように肉と肉がぶつかる音は聞こえないが、
水音は派手に起こり、深くキスで互いの声を飲み込もうとする二人の頬にも飛び散った。]


 ・・、 ……ッ、 ッッ、


[段々外が暗くなり、岩風呂の周りの照明がつく。

どこかの部屋から聞こえるはしゃぎ声。
隣は高野と那岐なのだから、もう少し遠くの部屋から。

ただでさえ真白は体格の割に声がよく通るのだ。
甘く濡れた声だけは絶対に自分がすべて飲まないといけない。]

[ドドドドと間断なく注がれる湯は湯殿の温度を下げてはくれない。
何度か揺すっている内に頭がぼうっとしてくる感覚がある。
耳で響く鼓動だけが強く。

高まる射精感。]


 っん!


[唐突に、ここで射精してしまうのは障りがあるのではと思い至った。
内風呂の浴槽ならば栓を抜けば良いが、ここはいくらかけ流しとはいえ、循環にどれだけかかるかわからない。
零れてしまったら、その白濁をすべて掬えるか、自分には自信がない。

腰を支えている手を片方離し、背後の岩に手を掛けた。
繋がったまま湯から出ようと腰を浮かせる。

浮力によって水面付近までは難なく真白も持ち上がったが、
何せピストンの最中、そこから完全に持ち上げるのが難しい。
試みている間に何度か彼女の悦い場所を外して突き上げてしまい、焦らしているみたいになった。]


 
ふぐ……っ!



[力を入れて持ち上げる。
拍子に先端が臓器にめり込む感覚があった。
自分のものはそこまで長大ではなかった筈だが、
とにかく真白のポルチオを掘り当てたのは確かだ。

搾り取られる動きに目を強く瞑って。]

[尻を岩肌に強かに打ち付けた。
視界に火花が飛ぶ痛み。
弾みでぶるりと剛直が真白の裡から飛び出た。
くぱりと開いた洞の肉色が目に映る。]


 くっ……!


[もう一度挿入したいというのは叶わなかった。
外れた衝撃で堰が切られ、先端から しろ が勢いよく噴き上げる。

真白の腹に、そして胸元にも。唇の近くにさえも。

図らずも練乳を零した時に一瞬過った真白の姿を現実に見てしまった。]



 うあぁ……やっちゃった……ごめん……


[何とか湯舟には入らなかったが、真白の身体には2度目とも思えない量が散っている。
汚したことよりも]


 ……ここに、飲ませそこなった、


[腹を撫でて。
白兎のオーダーを完遂できなかったお詫びを。**]

[ あたたかさを求めて、擦り寄って
 いるのは知っていたし、眠たげな声が返ってきたから
 二度寝にしけ込む、つもりだった。のに。

 ぐずるような反応をして布団の中へ入ってきて。
 脚を絡めてくるのも、ぬくもりを求めての
 行動だとは分かっていた。

 寝ぼけたままで、頷いて、胸にぴたりと
 張り付いて、ほとんど意味を成していなかった
 浴衣が更にずれ込んで、布団の中で
 剥がれていく。露出した腿が、挟まるように
 脚を割って、抱き枕よろしく抱き込まれれば

 あちらはほっとしたのか、ふんにゃりと笑うから。 ]

[ 一方的ではなく、共犯に興じるつもりに
 なってしまってからは、だいぶ手が早かった筈。

 なにせ、たっぷり寝て、目覚めもすっきり
 してしまって、こちらも兆しが見え始めていたから。

 赤い花のほど近くにもう一輪、それを咲かせて
 撫でさするだけでも、摘める程度に尖ったそこを
 きゅう、と摘めば、愛らしい声があがって、
 漸く状況を察した君が、焦ったように名前を呼ぶ。 ]

 うん?なに、おはよう。

[ 不釣り合いな挨拶を投げやって、そっと勃ち上がった
 それに手を伸ばしたところで、ばか、と
 可愛く罵られただろうか。

 ――可愛い文句を聞いていてもいいのだけど、
 焦らされる前に、その口をあまく
 塞いでしまうことにして――。 ]

[ 昨晩に比べれば、さっくりと事が済んだとしても
 半分布団の中で、事に及べばどうしたって、
 熱は籠もるし、汗もかく。

 時計を眺めて、彼女らが来る前に
 風呂へ促して。

 あたかも、そういうことがありました、
 という風に見えない程度に布団を畳み、
 着替えを済ませて、彼女らを迎え入れた。

 無論、窓を開け放ったままで。

 彼女らとのやりとりを聞いていたのか、
 準備が整った段階で、脱衣所から
 出てきた彼に、おかえり、と声を掛けて。 ]

 朝食も、美味しそうだね。
 いただきます。

[ 穏やかな時間を始めようとする。

 ――つい一時間前まで見せていた顔とは
 別人みたいに、にこやかに。 ]

 朝からこんなに沢山の種類があるって
 贅沢だよね。

[ 夕食もそれは見事なものだったが、
 朝食とて、引けは取らない。

 朝採りであろう野菜をたっぷりと使った
 和え物、炊きたての御飯、温泉卵。

 貝柱で出汁を取ったであろうスープは
 お茶漬けのようにしても、良さそうだ。

 普段であれば、これほどの量を食べることは
 ないけれど。諸事情で、なかなか空腹だったので。 ]

 お味噌汁、おいしい。

[ 今日の予定はどうだったか、昼食はどこかで
 取る予定だったかもしれないけれど、ぺろりと
 平らげてしまいそうだったし、 ]

 ご飯もうちょっと いこうかな

[ 炊きたてのつやつやした米があまりにも
 美味しくて、おかわり、も視野に入れていた。* ]

[共犯と呼ぶにはすっかり熱を上げられて、
 緩やかな高まりが収まらなくなっていたのは、
 すっかり彼の手によって、作り変えられて
 甘く柔らかくなってしまった身体のせい。

 おはよう、なんて平然と挨拶を交わしていても、
 手は布を押し上げる下肢に伸びていて、
 そっと握り込まれたら、息を詰めて、
 ぴくんと跳ねるみたいに、腰が疼いてしまった。

 かろうじて返せた言葉は、悪態一つ。

 腰がぶつかって彼も兆しているのが分かったら、
 小さく唸りながらも、降りてくる唇を受け入れて、]


  ……ぅ、 
ンッ、 ……



[とろ、と眠気よりも彼に溶かされるように、
 瞼が降りていく。瞼の裏に浮かぶのは、彼の姿。
 
 その後は、もう、――――言うまでもないだろう。]

[仲居さんたちが朝食を用意する間に、
 ドライヤーを使う時間は十分にあったから。
 半分以上乾いた髪は、軽く水気を残したままだった。]


  ……ただいま。


[おかえり、というから反射で応える。
 やっぱりその表情にさっきまでの艶を帯びた姿はなくて。

 ギョーカイジンってみんなこうなのかな。
 みたいな、余計な考えた浮かんだけれど、
 それを口にするのは辞めておこうと思う。

 知ったところで、俺の知っているギョーカイジンは、
 彼の一人なので、何の役にも立たない。]

[並んだ朝食の前に腰を下ろせば、
 ほわりと仄かに炊きたての御飯の香りがした。
 食事を目の前にしてしまえば、
 そんなことも忘れて、表情が綻ぶ。]


  いい匂いですね、……美味そう。


[自身でも朝食はそれなりに作るけれど、
 これほど数は多くはない。

 手抜きでピザトーストにする日もあれば、
 休みの日には時間を掛けてブレックファーストも。
 
 彼と朝を一緒に過ごすようになってからは、
 和食が好きな彼に合わせて、
 朝食を日本食にすることが増えてきている。]

[ほうれん草をツナを和えたものは
 砂糖と醤油で甘くもさっぱりとしていて好みの味だった。

 それだけ食べても美味しいけれど、
 炊きたてのご飯に乗せて米と一緒に食べれば、
 熱さと甘さが相俟って、より美味しく感じる。

 一般的な味噌汁ではなくスープなのは少し珍しい。
 昨夜の海鮮も美味しかったし、貝柱が使われているなら、
 海もそう遠くはないのかもしれない。

 スープを一口飲んで、ご飯を運んで。
 貝類の出汁が十分に効いている味を堪能する。

 焼きたての魚は、焼き鮭。
 温泉卵の他に、定番の厚焼き玉子。

 鮭の身をほぐして、口に運べば程よい塩気が
 口内に広がって、鮭の旨味を引き立てる。]


  旨い。


[シンプルに、一言。それだけでいい。]

 

[ まさか"結局拒否しない"ということへ相当興奮する、なんて
  そんなタイプだとは思いもしていない。
  彼も知らなかった彼自身のことなら、それも当然か。
  羞恥や照れだけで「だめ」と言いながら、
  プレゼントの包装を紐解くように 彼の言葉、視線、指先で
  導かれるままに受け入れるのが最近の定石。

  ────甘え、甘えられ、食卓は出来上がる。 ]


  ……〜〜ッふ、…ぁッ、ん、……ン…っ


[ 喉奥から唸り声のように聞こえる、彼の声。
  媚肉の収縮と締め上げへ抗うように挿入は止まらず、
  水音が派手に鳴っては頬へ飛び散った。

  意識して声を殺し、深いキスで呑み込んで。
  それでも零れ出てしまう甘い喘ぎはきっと、
  この水音が掻き消してくれるはず。 ]

 

 

[ 外が薄暗がりの幕が下りるにつれ、照明で肌が照らされる。
  ───もうすぐで、瞬きの間に夜になるのだろう。
  夜でさえない時間からこんなえっちなことをして、
  こんな風に、外で彼自身のモノを受け入れる、なんて。

  ……──仕事柄か、或いは元々の声質なのか
  声がよく通ることの自覚は少しくらいはあるからこそ
  必死に我慢しようとしていたのに。 ]


  ッンん、っぁ、 ひァ、ぅ……っ


[ 温泉の熱と、ナカを満たす慾の双方で全てが茹る。
  思考回路が焼けて、ぼうっと輪郭を失って、
  ……どうして声を我慢しないといけないのか
  一瞬理解らなくなってしまうくらい。

  何を思ってか、彼が片手を腰から離して腰を浮かせた。
  せめて律動を止めてくれれば手伝えたのに、
  腰の動きを続けたまま移動しようと試みるものだから
  上手く意図も汲めなくて、気持ち悦い場所を突いて貰えず
  「やだ、ぁ、」と焦らされていることへ泣き言を。 ]

 

 

[ そこも微温湯のような快感を与えてはくれるけど。
  ──もっと悦くなれる場所をもう知っているから。


  還ってきて、と ねだる前に。 ]


  ──────〜〜〜〜っ、……ッッひ、ん ン…!!


[ ぐにゅ、と最奥に先端がめり込むように突き上げられる。

  ばちばち音が鳴るくらい、視界が白んで
  力が抜けていたはずの脚が快楽の衝動で水面を蹴り上げた。
  ばしゃり、音が鳴ると同時に熱杭がナカから抜けていく。


  強すぎる快楽に腰が抜ける。
  ぺしゃりと膝から崩れ落ちているうち、
  もう一度ナカへ入って来ることなく、彼の熱からは
  勢いよく、あつい しろ が噴きあげて、肌へ舞い散り
  腹や胸元──顔にも飛び散って。
  まるで外からもやけてしまいそう。 ]

 

 

 
[ 思えば彼の白濁を肌で浴びたのは、
  これが初めてであるような気がして、ぽかんと呆けた。
  練乳を胸に零した時の再来みたいだ なんてこと
  考えられる思考の余地もない。 ]


  …………ん、む


[ 唇の近くについた慾の残滓を指先で掬い取り、
  熱に浮いた思考のまま、咥内へ運び入れる。

  苦いような、何とも言えない味が舌の上へ滲んで
  ──それなのに彼のモノだと思えば
  その苦味さえ甘いような気がするのだから、不思議だ。
  練乳の時はお行儀悪く舐め取らずティッシュで拭ったが、
  今回は、白うさぎも少し、お行儀が悪い。 ]


 

 

[ 飲ませ損なった、と謝ってくれるのであれば。
  ──そんなところも可愛いと思ってしまったので、
  別に 気にしなくたって構わないのだけれど。 ]


  ……ね、まだ できますか?

  からだ、あらった あと。
  ……へやでもういっかい、ここにも、のませて。


[ オーダーのやり直しは無事に通ったかどうか。
  ──きっと通してくれるという自信はあるけれど。

  どちらにせよ白うさぎと狼の夜は、帳が降りたばかり
  ここはフィクションではなく二人の現実。
  月が見守る夜に、互いを白へ染め上げる時間は
  まだまだたくさん残されているのだ。 ]

 

[ 朝食を済ませ、合流までの時間。
 外を散歩しようと言い出したのはどちらだったか。

 川のせせらぎに混じって少し遠くに、
 水の流れる音がする。

 自分たちの居室の他にも部屋に備え付けの
 温泉からか、それとも足を踏み入れる
 ことがなかった家族風呂や、大浴場の方か。 ]

 蛍って見たことある?
 随分昔に、祖父の家で一度だけ
 見たことがあるんだけど、

 夏はそういうとこに行けたらいいなって。

[ 約束を口にすることへの戸惑いや罪悪感を
 消してくれたのも、君だったから。

 なんて大げさな理由なんか、いらない。
 ただ君と、見たことのないものを、一緒に見たいだけ。

 これが最後ではなく、これが最初なのだから。
 これから何度だって、そういう機会は作れるのだ。 ]

[息を殺せば膣が締まるのだということを初めて知った。
くぐもった声、ピストンの所為でずれた唇の端から漏れ出る喘ぎ、
絶対に他の部屋には聞かせたくないのに、今この交わりを解くことは出来ない。

まるで本当に月明かりで獣と化したようだ。

突く場所が偶然ずれたのを厭う声に「かわいい」と告げたかったのに、喉からはやっぱり唸り声のようなものしか出なかった。]

[力を溜めてから持ち上げた。
拍子に先に散々焦れていた真白が待ちわびた場所への捺印で達する。
耳を澄まされていれば外に感づかれるかもしれない不自然な水音と辛うじて押し殺せた声。
その後すぐに弾けた己の射程も弾速も気遣えず、飛び出た白は下品にも真白を穢した。

こんな粗相は初めてだ。
それもそう、普段はどんな勢いで出てもすべて避妊具の中だ。
デコルテを伝う白濁が昼間の練乳を思わせて、
あの時妄想してしまったからこんなことになったのか、など。
気怠い頭で考えていたら。]


 !
ちょっ!
練乳じゃないんだから!


[練乳の時だってきちんと拭き取っていたのに。
そんなもの舐めなくても良い。
おろおろと口を漱がせようとして、
源泉は駄目だと思い直す。

内風呂まで戻る必要がありそうだ。
どちらにしても、真白のこの状態を露わないと。]

[下肢に蔓延っていた絶頂後の痺れのようなものが落ち着いて、
内風呂に戻ろうと立ち上がりかけたら、
とっておきのオーダーが待っていた。

部屋で、なんて条件つき。
普段様々な客の我儘オーダーを「幸せプラス」の皿に変える魔法使いは、オーダーを出す側になっても指定が上手い。]


 僕だって、どんなマシロちゃんでも愛してる。


[まだ「できる」というのはこの後の部屋で見せようか。]

[真白を抱いて内風呂に戻る。
再びいちごの香りで汚れを洗い流した後、真白にはバスチェアに腰かけて貰って首を上向かせた。
もしかすると旅行用に自分用のシャンプー等を持って来ているかもしれないが、
部屋に一度戻る前に簡単にでも洗っておかないと、
目視しそびれた場所に白濁が散っていないとも限らないので。]


 痒いところはないですか〜。


[なんて美容院ごっこも楽しんだ後は脱衣所で拭き合いを。
二度激しく求め合ったからか、じゃれあいではすぐに昂らずに済んだ。]



 ――あ、そういえば……
 ごめんね、すぐにこっちに運んだから……
 待ってて。


[部屋には脱ぎ散らかした服が散乱し、荷解きもまだの状態。
この後に食事の用意もあると思えば慌てて腰タオルで自分だけ一度脱衣所を出た。

散らばった服をかき集め、真白の鞄と引き出しにある浴衣を持って脱衣所に戻る。
寝巻は自分で持ってきたのならそれを使っても良いし、
先程は浴衣から見える位置には痕をつけていないので、
浴衣でも大丈夫だろう。

あとは真白がどちらを脱がされたいか、という気持ちだけ。

男物の浴衣は特筆すべき点がないシンプルなものなので、着崩れに備えて下に白シャツを着て羽織り、少し太いベルトのような帯で結ぶ形だが。
女性ものは何着か選べるようになっていて、浴衣スリップと兵児帯もあるので着たまま大浴場に行くことも想定されているのかもしれない。]

 

[ 月に向かって跳ねるうさぎと、
  月の明かりで獣になる狼。

  似て非なるふたつ、──水面に揺れては消える月の中
  うさぎが狼を食べて 狼もうさぎを喰べている。
  言葉を失い、思考を奪われ、熱と互いの温もりを縁に
  たったそれだけを握り締め、どうにか輪郭を保ち。


  ────そんな、本当にけだものじみた交わり。
  知っているのは私たちだけで良い。

  月も星も、夜が明けたら太陽の明かりに隠れて、
  次の夜闇が訪れれば、もうすっかり忘れてしまえ。
  "二人きりの 秘蜜の交わり"になるようにと。 ]

 

 


  えへ、……やわたさんの味、覚えたくて。
  "こっち"でも。


[ 自分が唇の近くに付着した白濁を舐めるだけで、
  途端におろおろするのが面白くなって。
  くす、と笑いながらそんな風に軽く言葉を返した。

  今までは薄膜の中に吐き出されていた、彼の慾。
  練乳のように甘いわけがなく、苦いような──
  例えるのも難しい味がする。
  けれど彼の味だと思えば、難なく飲めてしまう気さえする。


  とはいえこのままだとキスが出来ないのは寂しいから、
  ちゃんと口を濯いで、熱の残滓を洗い流そうか。 ]

 

 

[ 愛してる、の言葉には満足げに咲って。
  「ん」と当たり前の顔で腕を伸ばせば、抱っこが叶い
  そのまま内風呂へ戻り白濁をいちごの匂いで洗い流した。

  勿体ないかも、──なんて少しの未練はあるものの
  洗わなければ先へ進めないジレンマ。
  バスチェアに腰掛け、指示通り首を上へ向ければ
  不思議そうな顔で目を瞬かせる自分の顔が
  彼の瞳には映っていたことだろう。

  美容院以外で髪を誰かに洗われるのも、
  記憶の限りでは初めてのこと。 ]


  ん〜〜……きもちよくて、むしろ寝ちゃいそう……
  ……なーんて。あははっ。


[ この後にまだオーダーが控えているのだから。
  ごっこ遊びには戯れで返し、鈴を転がすように笑いながら
  大人しく──楽しそうに髪を洗われていた。

  脱衣所で拭き合ってのじゃれあいも、
  その余韻と二度の交わりのおかげか 戯れで済んで。 ]

 

 

[ 待っててと言った彼が腰にタオルを巻き、一度出て行く。
  言いつけ通り良い子に待ちわびていれば
  自分の鞄と、浴衣を持って帰って来てくれた。

  女性用は幾つか浴衣に種類があるらしい。
  一応パジャマも持って来ているけれど、せっかくなら
  浴衣を着て温泉気分を楽しみたい気持ちが強い。
  ────たまには違う飾り付けも良いでしょう?
  でも、生憎と浴衣には縁がない人生だったので。 ]


  や やわたさん……
  浴衣、着方わかんない……たすけて……


[ 選んだのは、夜色の記事に白い小花柄の浴衣。
  帯はシンプルな赤茶色。
  そもそも浴衣の下は下着を着けるものなのか。
  ──無い方が狼さんの食欲を煽れるかどうか。

  情けなくへにょんと眉を下げ、手助けを乞いながら
  浴衣を着終えた後は、ドライヤーで長い髪を乾かした。 ]

 

 

[ 髪が長い分、乾かすのには時間を要してしまう。
  自分が戻った頃には彼が内線での連絡を終え、
  朝まで誰のことも気にしなくて良い空間になるように
  準備を整えてくれた後のことだった。

  料理をのんびりと楽しみたい気持ちもあるけれど
  燻り続ける熱を、あまり長く待てる余裕もない。
  後で食べるということが出来ない料理だけ先に頂いて、
  刺身や鍋は、"慾"の後にさせてもらおうか。 ]


  やーわーたーさんっ


[ 何はともあれ、布団の用意も終えて貰ったなら

  ────後はもう二人の時間。
  無邪気なうさぎの声音で彼へ抱き着き、腕を回して、
  赤い舌をぺろりと覗かせ ]

 

 



   [  ──── 朝が来るまでは、
           この夜は二人だけのもの。*  ]



 

[じぶんが育てた白うさぎ真白
「好き」がはっきりしている自分は服装や髪型について言葉にしてきたし、
初めて身体を重ねた夜から彼女の性感を暴くことに執心してきたけれど。
ひらいた華は思っていたよりもずっと――

                   えっちじぶんごのみだった。

足りないならたべて、なんて煽る台詞。
明日助手席でぐったりするかもしれないのに、
手加減が出来る気がしない。]

[撫で方を教わって、洗い方はとりあえず自己流。]


 寝たら朝になっちゃうよ?


[食べられたいのにそれでもいいの?なんて笑って。
身体を拭く間もずっと笑い声を響かせていた。]


 着てから外に出るなら下着はつけてて欲しいけど、
 ……脱がせちゃうからね。


[スリップはとりあえず今はおいておいて、ショーツだけ。
ブラジャーはつけずに後ろに回って一緒に浴衣を持つ。

自分の名前の「夜の空」に咲いた「白い花」。
まるで狙ったみたいな柄が嬉しい。

背中心を合わせて、次は身頃。
女性の場合はおはしょりを作ることになるが
女性の着付は慣れないのでちょっと戸惑った。
身八つ口から手を入れたら素肌の胸が当たるし。]


 帯は蝶結びにするね。


[というか蝶結びしかできないのだが。
腰紐で固定した上から兵児帯を被せて蝶結び。
それなりには出来た、と思う。]

[そしてドライヤーを教わるのはまた今度、と部屋の方へ戻って仲居とのやり取りも済ませてから、浴室に呼びに行く。
名前を呼んで抱き着く様は無邪気なようでいて。]


 ……お刺身、冷蔵庫に入れてからね。


[抱き着いた手を押さえて電車ごっこのような様相で傷むのが心配な食材だけしまっておく。


 「おなかがすいた」は、目の前の食事が食べたいという意ではないことは、表情がよく物語っている。]



 やっぱりこの衣紋は抜けてる方が色っぽいよね。


[布団まで着いたなら、体勢変更。
後ろから項にくちづけて袂に手を入れる。
ブラジャーに守られていない胸を揉んではだけさせてから今度は前に回った。]


 ね、裾持ち上げられる?


[折角のデコレーション。
普段はしないことがしたくて、跪いた。]


 



[裾を分け、ショーツの上から秘部に息を吹きかける。
替えの下着を何枚用意しているかは知らないから、
早目に脱がせてしまおう。

真白の両手が塞がっているのを良いことにずらして、
今度は直接ちゅう、と口接ける。*]

 

[ 二人だけの食卓に並ぶのは、
  夜綿狼さんが育てた真白白うさぎ
  一緒に作った愛情料理
  太陽というよりは月のようなやわらかな灯に照らされて
  愛は花開き、戀はもっともっと絡まり合う。

  明日助手席でぐったりしてしまっても構わなかった。
  はしゃぎ疲れた、なんて言い訳の下準備は終えてある。
  ────手加減しないで、骨まで愛して。 ]


  朝になっちゃう……のは、やだ。だめ。


[ そうは言っても朝は平等に訪うもの。
  だからこれは、ただの戯れ。

  響き合う笑い声、──憧れた家族のかたち。
  家族を識らなくても、こうして自然に"なれる"のは
  相手がきっと貴方だから。 ]

 

 

  ……外へのお散歩なんて、"行けない"でしょ?


[ 行かないのではなく、行けない。
  にんまりチェシャ猫のように口角を上げて笑い、
  ショーツだけ身につけて浴衣を着せてもらう。
  夜の空に咲いた白い花、──だからこれを選んだのだ。

  恋人になってから、夜が好きになった。
  貴方の名前。貴方の愛し方。貴方を象徴するものみたい。
  朧月夜みたいに心が安らぐひと。
  ──夜空の月明かりには、白い花が一番似合うはず。 ]


  蝶結び!
  わあ、かわいい……!


[ 女性の着付けには少し慣れていなさそうな手付きに、
  ふふんと満足げにしながら、最後まで任せてしまう。
  着方が分からないのは本当だし
  下手に手伝うと悲惨に変えそうな予感がしたので。

  不器用ではないけれど、慣れないことは当然下手だ。
  ──脱がされるための服を着せて貰うという
  シチュエーションに少し楽しみを覚えたのも、否定しない ]

 

 


  ね、ね、似合う? かわいい?


[ くるんとその場で浴衣の袖を翻し、一回り。
  無邪気にはしゃぐ様相だけならば
  腹の奥で男の精液を慾する雌の側面なんて、
  想像もつかないだろう。

  期待通りの返事が貰えたなら「えへへ」と頬を緩め
  髪を乾かし、丁寧に櫛で整える。
  持参したヘアオイルのおかげで艶々のさらさらだ。
  ──それもこれも、美味しくなるための下拵え。


  自分で覚えた、自分なりの味付けと飾り付け。 ]

 

 

[ 傷んでしまう食材を冷蔵庫に仕舞うのを見守り、
  「はぁい」といい子のお返事でぺたりと引っ付く。
  こんな風に甘え倒してしまうのも、
  少しは自重を覚えなければ …とも思うのだけど。

  だめなことは「だめ」と言って、無理をしない、と
  "約束"してくれた彼が受け入れてくれるのなら
  これは多分、言ってもいい我儘なのだ。 ]


  ん、 ンぅ、……っふ、


[ 布団に着けば、早々に項へ口付けられて
  袂から彼の手が入り込み、何にも守られていない
  やわい胸を揉まれては 甘い声を零す。

  育つくらい触れられた両胸もすっかり華開いた性感帯。
  待ち侘びた刺激へぽやんと浮かんだ思考回路は
  彼のお願いを聞き入れ、素直に裾を持ち上げた。 ]

 

 


  ──── ッひゃ、んっ!?


[ 跪いた彼が裾を分け、ショーツに覆われた秘部へ
  あつい吐息を吹きかけたのに、脚をびく、と跳ねさせる。
  なに、と混乱しているうちに下着をずらされ
  咄嗟に持ち上げた裾を握り締めた。 ]


  ッや、 ぁぅ、っ……!
  だ、だめっ、そんなとこ、……っ


[ 直接秘部へ口付けられる感覚と熱。
  抵抗は言葉だけ、脚も手も制する気配はない。

  ──いつもならしないこと。
  未だ知らない快感を教えて貰えるに等しい行為に、
  心臓が跳ねているのは、どうか、バレないで。* ]


 


 よくわかってるね。


[行かせてあげない、と微笑む。
二人の名前を象徴する柄の浴衣姿の真白はこの部屋限定。
それは、自分の着つけに自信がないとかそういうことではなく。
――浴衣は首元を隠せないので。]


 うん、すっごく似合っててかわいい。
 あ、カメラ置いてきたな。
 スマホで撮ろ。


[乱す前に一枚。
インカメラで確認しながら浴衣のツーショット。
今までずっと自分の写真は撮らなかったが、
真白と恋人になってから積極的に撮るようになっている。
後で写真を見返した時に、彼女の隣に自分がいないのが寂しいと思ったので。]


[甘えられることが嬉しいというのは多分真白限定。
素の自分は本当はそんなに優しくはないと思っている。
人が与えられるやさしさの量が決まっているのなら、全部を真白に振りたい、なんて昏い考えまでは明かさないけれど。]


 後れ毛とか堪んない。


[項は痩せている真白は特に痕を残しにくく、ついた赤もすぐに引いてしまうだろうからまたつけないと。
胸を揉んで真白の身体に火を灯しておいて、下に潜る。]


 ん、らめじゃない、でしょ?
 まだクリ膨らんでて吸いやすいし。


[ちゅう、と音を立てて吸うと同時、指を沈ませたなら、
一度内風呂で丁寧に洗った筈なのに湿り気を感じた。

咥内に唾液をたっぷり含ませ、卑猥な水音を態と立てて舐める。
指を抜いたら今度は陰核を指腹でぐりぐりと押しながら舌をスリットに滑らせて。

真白を見上げる。
口の形だけで「おいしい」と告げて、舌を見せつけるようにまた舐め始めた。*]

[――――これは余談の、蜜月の話。

 
 翌日の休みが合えばいつもの流れで
 彼の家に尋ねることになり、その日も。

 少し遅めに帰宅した後、
 二人で珈琲を飲んで休憩を入れて、
 先に風呂を促されたので、遠慮なく汗を流しに向かった。

 泊まる日に、何もしないで抱き合って眠る日もあれば、
 互いにどちらともなく熱を求める日もあった。

 そういう"準備"をするのは、出来るだけ。
 彼には見つからないように密かに浴室で済ませることも
 度々、あって。]


  …………、


[今日も後ろに伸びていった手は、
 相変わらずぎこちないまま、自分の身体を解す為に、動く。]

[『俺で勃つのか?』という考えは、
 以前にもあったけれど、これもまた。

 『俺で興奮するのか?』という疑問符はあれど。
 求められていることは把握してしまった。

 エプロンと彼の前にしゃがみこんで、
 エプロンを拾い上げた後、布面積の大きさを確認しながら。

 少し、躊躇い。]


  ……服の、上からで、いいなら。



[ぽつ、とこちらも零すように返した。

 さすがにエプロンだけを身に纏うのは恥ずかしいが過ぎる。
 ……し、料理人の手前、
 どうしてもエプロンというものが意識的に制御をかける。]

[そうして、立ち上がったなら用意された
 エプロンを拡げ、頭から被って後ろ手にリボンを括る。

 エプロンの裾より少し短い丈のパンツが前掛けに隠れるが、
 上はTシャツの上に胸当てをつけるという、
 何ら不思議はない、エプロンの形。

 女性のように胸の膨らみもない。
 それでも気のせいか、最近胸筋周りが
 肉付きがよくなってきている気はするけれど。


 汚れのない、何の変哲もないエプロンを装着して。
 くるりと、半身を回して。背中側を見せれば、
 後ろはリボンだけで少しずり上がったハーフパンツと、
 Tシャツが覗いているだろうか。]


  ……これで、い?


[首だけを後ろに向けて、彼の様子を伺いながら、
 これから、いたします。というのなんだか少し恥ずかしい。*]

 

[ ──行かせてあげない、なんて少し束縛めいた物言いが
  心臓を加速させるのは何故なのだろう。
  自分にはそんな性質は無いと思っていた筈なのに、
  彼限定で、まるで被虐心が芽生えているような。

  いやまさか、と内心で必死に否定して
  考えを振り払おうと、くるくる回ったのだ。 ]


  えへへ、その写真、帰ったらアルバムに入れたいな。
  夜綿さんの浴衣、夏祭りとかでも見れるだろうけど
  今日の姿は今日しか見れないから、大事にしなきゃ。


[ 自分も今までずっと写真を撮られることは無かったから
  増えた二人の写真は、どれも大切な思い出だ。
  アルバムを作るという行為も、写真に残すということも
  彼と恋人になってから覚えた優しい喜び。
  そこに貴方が映っていれば、もっと幸せ。 ]

 

 


  ……もう。痕つけるの好きなんだから……。


[ 彼の薄昏い考えまでは知らない。
  けれど識る時がもしも来るのなら、きっと少し驚いて
  それから「うれしい」と咲ってしまうのだと思う。

  項に残される赤い独占欲の花を止めはしない。
  うさぎの穴で暫くは髪型を考えなければならないだろうが、
  薄まる頃にはまたつけられているのだろう。

  独占したい、と想ってくれている証なら
  たくさん余すところなく刻んで欲しいし、つけて慾しい。
  ──今度、自分もつけ方を教わってみようか。
  いつかの"魔除け"ならぬ、匂い避け。 ]

 

 

[ ──なんて戯れを口に出来たのはそこまでで。
  一度また火が灯った身体は快楽を得るために熱を帯び、
  既に期待で膣が蜜で潤んで、秘芽も熟れたように膨らみ
  誂えたように彼へ差し出される。 ]


  ──〜〜ッひぁ、ンっ、 ふ、ぁあっ、ンん……ッ!!


[ すんなりと指を迎え入れた媚肉はきゅうと締まって、
  蜜の潤いを皮膚越しに彼へ伝えた。

  ぬるついた舌が水音を立てながら秘部を舐め、
  ナカから抜けていった指が今度は膨らんだ秘芽を
  指腹でぐりぐりと強く弄り、快楽の痺れを奔らせるのへ
  もう押し殺す必要のなくなった喘ぎを零し。 ]

 

 


  ンぁ、 ん、ゃ、だめ、だめなの……っ
  きもちぃ、から
  すぐイっちゃ、ぅ …っ♡


[ 声も瞳もすっかり蕩けて、
  "我慢"から解放されたせいか、いつもより甘ったるい。

  自分を見上げる彼の口が、確かに四文字を形作り、
  また卑猥な音を立てて舐め始める。
  ────だめ、とめなきゃ、そんなところ、


  ばちばちと瞼の裏がしろく弾ける。
  背徳感と快楽と、いつもと違う追い詰められ方への
  ──……これは 名前を付けるなら、興奮、? ]

 

 

[ ナカからは次第に蜜が溢れて、
  彼へ快楽を憶えていることを体で知らせている。
  爪先から頭までを一気に気持ち悦さが迸って、
  だめ、と彼の頭へ弱々しく触れた。 ]


  ふ、ゃ あっ、ン、 〜〜っ♡
  っは、ぁふ、イっちゃうから、はなして ぇ…ッ♡


[ だめ、と必死に訴えるのとほぼ同時。
  びくん、と大きく身体が跳ねては震え、絶頂に達し、
  その快楽に堪らず涙を流して何度も息を吐いた。

  お腹の奥がむずがるように疼いている。
  さっきみたいに噴いて布団を濡らさなくてよかった、と
  僅かに安堵し、すっかり力の抜けた四肢を投げ出して ]

 

[ その姿を今から、自分が
 欲望の赴くままに、汚すのだ。

 理想が期待になり、
 期待が現実に変わった瞬間、

 ギラついた視線が、君の全身を舐める。 ]

 あぁぁ……… やばい、予想以上、………

[ 様子を伺うようにされて、
 たった二歩の距離を焦るように詰めて。

 ぎゅう、と後ろから抱き締めた。 ]

 
もう、勃ってる……


[ 抱きしめればゆるりと、どころか
 ぐわっと、熱を蓄え始めてるそれが、
 体に当たる。当たれば、どうしたって
 気づかれてしまうだろうから、口に出して。 ]

 すごい、興奮する……

[ 今夜、寝られなくても諦めて欲しい。
 明日は休みで仕事もない、昼まで寝てても
 構わないから。

 ぴたりと隙間なく、抱き締めたなら
 興奮気味に、熱い息を、聞かせながら
 悪い手が、するりと、Tシャツと肌の間に
 割り込んでいく。* ]

[狼がすぐに餅を黒く妬くことを白うさぎは散々目にした筈。

どうしても何か買いたいものがあって外に出たいなら
自分は喜んでパシリになろう。
でもノーブラで浴衣を着ている真白は駄目。
たとえ下着をつけても駄目。
着せたら思っている以上に可愛いから、誰にも見せたくなくなった。

いるかも――いないかもしれない「すれ違うだけ」の人にまで妬く始末。]


 うん、浴衣のも、今日撮った他のもね。
 またここに来れば同じ浴衣で撮れるかもだけど、
 同じ写真になるとは限らないし。

 ……てかマシロちゃんの浴衣って買い取れたりしないのかな。
 あんまり似合ってるからもう他の人に着てほしくない。


[いるかも――いないかもしれない「同じ浴衣を着る可能性がある女性」にまで、]

[痕をつけるのは魔除けの意味もあるけれど、
誰にも見せなくても真白の肌に自分の痕跡を刻んでおきたいという慾の発露の意味が近い。

施せるならそれこそ先刻のシャンプーも嬉しかったし、
赦してくれるならドライヤーやネイルだってやってみたい。

逆に真白につけたいと言われたら、諸手を上げて賛成する。
何度だって練習してほしいし、つけられた記念にこっそり写真を撮ってしまいそうだ。]

[男を咥え込むことを覚えた媚肉は舌をあしらうように動く。
気持ち悦くしているのは此方の方なのに、舌にある性感帯が刺激されて腰をもぞりと動かした。]


 ん、イッていーよ。
 イキやすいとこも好き。


[ずろろろ……とバキュームのような音を立てて吸引し、秘芽を摘まむ。
離して、と言われて手も頭にあるが、その力では自分を引きはがすことは出来ない。

びくんと身体が大きくしなるのに合わせて舌を抜き、
力の抜けた身体が一気に倒れてしまわないように
一度腕を出してクッションになる。]

[とさりと真白が背中から倒れた布団の上。
はだけた浴衣はこれからの行為の水分を受け止めてもらう役割を与えよう。
自分の浴衣も脱いで真白の臀部の下に敷き。

白い胸に思い切り吸い付いた。
明日の服は見えないものを選んだと聞いているから、遠慮なく。
何か所かに花を咲かせる間、3回目で少し角度が足りていないものを自分で少し扱いて準備した。]

[1、2回目よりも時間をかけてピストンを繰り返し、今度こそオーダー通り最奥で精を放つ。

繋がったまま手を伸ばして、サービスで枕元に置かれた急須から湯呑にお茶を入れて漱いで吐き出して。
今度はキスをしながら段々中のものが大きくなるのを感じさせて、もう一度。

もう出ないかなと言いながらも揺さぶって――それからどうしたんだっけ。

気づいたら寝ていた。*]

[エプロンを身に纏うのにそう時間は掛からない。
 たった布一枚、紐で結んで留めるだけ。
 それがキッチンのあらゆる助けになることを知っている。

 後ろ手に紐を結んでいるとき、
 ふと視界の端でそわそわしている姿に苦笑を零して、
 そこまで期待されていると、完成度の低さに、
 笑われてしまうかなと思ったものだったけど。

 いざ、お披露目するように半身を翻せば、
 想像以上に色欲の色の付いた目を向けられて、
 少し、ドキリと心臓が跳ねた。

 時折見せる堪えきれないような雄の顔に、
 これまでも何度、狼狽えさせられたことか。

 下から這い上がるように向けられる視線が、
 身体の隅々まで、見られているようで。]


  ……いつも通り、ですけ、どっ……


[普段通りを装うとして、手を伸ばされ、
 後ろから抱き竦められたら勢いに、語尾が跳ねた。]

[ぎゅう、と隙間なく抱き込まれて。
 意識せずとも腰元に硬いものが当たる。

 抱きしめられている分、身動きが取れなくて。
 興奮して掠れた声が、耳朶にちょうど当たって。]


  ……ンッ、 ……、


[それだけでぞく、と期待に身が甘く震えた。
 とくとくと、早まっていく心臓が収まらない。
 
 前に回った腕に、そっと手を添えて。
 もう一度、改めて後ろを振り向いたら、
 首を向けた先に、溜息を漏らす彼の顔があって。]