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人狼物語 三日月国


140 【身内】魔法使いの弟子と失われた叡智

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視点:


 

      では、流れのない水は
      澱み、穢れてしまうのでしょうか。

      例えば、あそこの湖は――


     [少年だった時分、師にそんな話をした。]
 

 
[同じ石を持つ男は、かつてこう言った。]


『湖の底に、お前の望むものは無い。』



[泡になるなど幻想で。底に沈めば濁るだけ。


そうして娘を睨睥する男は、
人を避けるように生きていて。
身を投げた娘への態度も、初めは冷たいものだった。

迷惑そうに帰れと言い放てば、
そんな場所は無いと言い返されただろうか。

迷惑ならば何故助けたのかと、そう問われたのなら

に導かれたから』

と、短く答えただろう。]

 

 
[無理矢理追い出す事をしなかったのは、
若い娘がこんな場所での暮らしに
いつまでも耐えられるわけがないと。
そんな理由で。

身の上を知ったとしても、同情心を見せたりはせず
犬猫が住み着いたかのような態度を取り。

城が娘を受け入れたなら、
掃除係として置いているのだと宣って。

娘が料理を作ったなら、それを食べ。
子守唄を歌うなら、聞くともなしにそれを聞き。



それは緩やかな変化。

まるで、そこに居るのが当然だと言うような。]

 

 
[偏屈な魔法使いから
眉間の皺が消えた頃には、

現在≠ニ変わらぬそっくりな顔をしていた事だろう。]
 




  汚れはね

  沈んで見えなくなるのよ



  表面には綺麗なものだけが見える
  だから表面だけの水を掬えば綺麗なの


  ───────それでも飲めるまでは綺麗になれないの


 
 


[ 「私が本気を出せばこの湖を飲み水に出来るわ」
   そんな大見栄を切ったこともあったわね

   吃驚したのよ
   少年の貴方から聞こえた湖の話に。


   心臓の音が速くなる
   落ち着けと言い聞かせて。


   長年生きていると表情を作ること
   取り繕うことだけは上手くなるわ。
   だから私の動揺はわからなかったかしら


   そう、”例えば”の話
   偶然水の話をしていて
   見えるところに湖があったから

   浄化の話の一つとして、
   終わらせることが出来たと思うわ。 ]



[ 


   
汚れは沈んで見えなくなる


   その娘も沈んで眠ってしまえば
   きっと汚れとしていつまでも
   浮かんでこれなかったでしょうね。



   あの時の言葉が聞こえてくるわ。



   『湖の底に、お前の望むものは無い。』



  
 その通りよ。

   望むものなんてここでは手に入らない。
   わかっている。わかっているからこれ以上
   現実を突き付けないで欲しかった。


   そこに沈めば濁るだけ。
   娘の冷たくなった心と体を凍らせるには十分ね。 ]

 


[ どこまでもひどい人
 


            ひどくて、正しい人。 ]




[ 助けたとされる人は
  ひどくて、正しくて、偏屈で
、優しい人


  悔しいから泣きたくなんてなかった。
  この男の前では泣き顔なんて見せられないと思ったわ。


  助けてくれたことはあの時は感謝すらできなかったのよ。
  生半可な気持ちで自死を選んだわけじゃないもの。
  他の人にはそんな理由でと言われることも
  娘にとっては生きるより辛いこと。
  簡単に死を選んだわけじゃないけれど
  逃げるために選んだことには間違いはなかった。 ]




[ 光に導かれた
  娘を助けた理由がこれよ。
  人命は大事よね。わかるわ。
  その娘もあの時のような絶望ななぜだか消えていたのよ。
  貴方のおかげかしら、なんて思ったのも束の間

  迷惑そうに帰れですって?!
  
迷惑そうに!!

  助けておいてよ???
  言いなりなんてもうたくさんだった。
  自分で生きる道を選びたかった。
  帰る場所がないからは
  ここに居座る理由にはならなかったかもしれない。
  でもそれは娘が自分で決めたの。

  死ぬことに比べたら
  貴方の冷たい態度もなんてことないわ。
  不思議よね、家では嫌われることを恐れていたのに。

  開き直ったのかしらねその時の娘わたしは。 ]




[ 無理矢理追い出されることはなかったわ。
  追い出されないだけでも有り難かった。

  だからと住み着いて  
  慣れない掃除をして存在意義を出そうとした。

  人間扱いは……されていなかったかもしれないわね
  珍しいペットを置いているような
  それなら愛想の一つでも
  良さげにした方が良かったかしら?


  あの時の私なら貴方が鳴けと言われれば
  言う通りに鳴いたかもしれないわね。
  今は鳴いてなんてやらないわ!
  素直な乙女なだけじゃなくなったのだから。 ]

 


[ 料理を作れば食べてくれた
  子守唄を歌ってみたこともあったわ。


  その時の子守唄は
  まだRequiemではなかった

  家にいるしかなかった私の自作の子守唄。

  機嫌が良い時の鼻歌も
  元気になる掃除中の歌も
  全部全部私のオリジナル。

  外にはたくさんの歌が溢れていたのかしら
  貴方は教えてくれた?
  知ることができたのなら稚拙な私の歌より
  立派な音色に惹かれたかもしれないわ。

  私は貴方が追い出すまで居続けると決めたのよ。 ]





[ 貴方は

     ひどくて、正しくて、偏屈で、
優しい人。
 ]



 


[ 小さい貴方、
生まれ変わりである

  ヴィスマルト・シェーンベルク

  同じ蒼鉛を持って生まれた。

  会いたかった、会えるまで生きようと決めた。
  会えた時は声にならなかった。


            よろけて、立っていられなくて
            膝をついてしまったわね。
            その時のこと貴方の記憶に残っていたのなら
            恥ずかしいわ
            突然だったもの。予告が欲しかったと思ったのよね。
            アガーテはきっとわかっていての確信犯だわ。



  何も覚えていない子
  前世の記憶なんて
  軽々しく持ってこられるものじゃないものね。


  それで良かった。
  
今の貴方の人生を生きて欲しかったから。

  私は今の貴方と会えるだけで良かったの。 ]

 


[ 会えたら傍にいたくなってしまった。
  私を弟子にしてくれる約束を
  ずっと忘れられなかったから。

  逆になってしまうけれど
  貴方からもらったもの、教わったこと
  返していきたかったのよ。

  いつの間にかもらった以上のことを
  教えてしまっていたけれど
……身体の使い方とか

  利子よ利子。サービスしたの。
  私をこんなに待たせた分のお礼よ。


  羽交い締めの挨拶だって
  鍛える為、だったけれど
  最初は足が浮いてた貴方が成長して
  足が地面に着くようになって
  受け流せるようになって……。
  成長が嬉しかった
  このまま幸せになって欲しかったの。 ]

 


[ 歓迎の花に驚いた小さな貴方は
  目を輝かせて可愛かったわね

  貴方を歓迎した城は
  お帰りなさいを伝えたの
  だからリアントの時にはなかったわ。
  その時は確か春風が体に向かって吹いてきたわね。


  リアントと話せば
  その違いに気付くことになるかしら?
  それとも歓迎の仕方が違うだけだと
  貴方は思うかしらね?


  いつも花の咲いている場所
  隠された場所を見つけるなんて凄いわ。

  私と貴方の二人の時は賑やかではなかった
  そもそも賑やかなヴィスマルトなんて
  想像できないじゃない?


  けれど安心できる、落ち着ける雰囲気は
  二人の間に確かにあったと私は思うわ。 ]