14:58:32

人狼物語 三日月国


99 【身内】不平等倫理のグレイコード【R18G】

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視点:


【人】 救済者 ユー

【第四階層】

リヤとルツを見送った後、崩れ行く塔の中。
『ユーサネイジア』は、
次の階層へ続く扉に武器«殺意の形»を振り下ろした。

0と1に解れ始めたテクスチャが裂け、その向こうには虚空が覗く
壊されたのは"扉"ではなく、"扉というオブジェクト"。
もう、どうせ先など無いのなら
ここで行き止まりにしてしまっても構わないだろう。

そうして一人の救済者は、在るべき場所へと背を向けて
帰す為、そして帰る為に歩き出した。
(1) 2021/10/11(Mon) 14:59:13

【人】 救済者 ユー

 
そして、それからの事。

程無くして、邂逅は成った。

両者の距離は未だ遠く、結ぶ像はあやふやで
けれど確かに見知った姿を認めれば、
『ユーサネイジア』は至って平時の通りに声を掛けるのだ。

「……ああ 念の為、ではあったけれど…まだ、居たのか
この先は疾うに崩れ落ちている。
君達の目的が何であれ、こんな場所に長居するものではないよ」
(2) 2021/10/11(Mon) 14:59:36

【人】 救済者 ユー

>>3 >>4 >>5 >>6 第四階層

「真相など、何も──」

このような場所でなくとも。
そう口を開いた直後に響き渡る、自身のものとは異なる銃声。
広がる紅に僅かに目を瞠って、
そうして再び憂いを帯びた瞳を伏せた。

「……僕達はどうにも言葉足らずのようだ、エマ。
であるからこそ、先ずは君の質問に答えるとしよう」

ペインキラー。
その背に銃弾を受けたスオに銃口を向け、発砲した。
投薬器に満たされたものは、命を奪う事無く痛みを和らげる。

どれほど痛みを抑えようと、失われた血を補う事はできない。
ゲームなのだから、今はその限りではないかもしれないが。

「確かに僕達はブラックからの手助けの下、
秘密裏に動いていた、という事になるのだろうな。
…監察官に反抗し、死を望むグレイを殺すなど
軽率に表沙汰にした所で、無用な混乱を生むだけだろう」

「そして僕からも聞かせてもらおう
君は、僕達に接触してどうするつもりだった?」
(7) 2021/10/11(Mon) 16:08:16

【人】 救済者 ユー

>>8 >>9 第四階層

続く銃声に、ああこれはもう駄目なのだろうと理解した。

『ユーサネイジア』は、命に優先順位を付ける事は苦手だけれど
それでも取捨選択«トリアージ»の判断は正確だ。
願わくば、何れ訪れる死が苦痛無きものである事を。

「…他人の事ばかり、か
僕達というものは、そういうふうに作られているものだろう。
或いは、『君』はその限りではないのかもしれないけれど」

道具の幸福とは、その存在意義を果たす事だ。
造物主に、求める者に尽くす事だ。

グレイとして、道具としてそうあるべきと誂えられた性質。
それを上回る自我«エゴ»からのものであれば、或いは。

「ブラックは本当に良く働いていたと見える。

僕が、『ユーサネイジア』がしていた事と言えば
必要としている者に安楽死を与える事だけだ。
確かな苦痛を訴える者の、その苦しみを和らげる事だけだ。
生の苦しみへの特効薬は、安らかな死である。

僕はただ、『僕』が信じた救いを全うし続けただけの事だ」

「君と目的を共にする事はできたかはわからないけれど
互いの目的の為に協力する事は、できない事ではなかっただろう
…君はこの場所で、
何を望み、何の為に行動していたのだろうな。」
(10) 2021/10/11(Mon) 16:57:21

【人】 救済者 ユー

>>11 第四階層

相対する終末医療用は、"条件"など無くとも
穏当な話し合いを続けるつもり、だったのだけれど。
それでもあなたが銃口を向けるのであれば、
嘆かわしい事だけれど、それに応じる以外の選択肢は無い。

「そうか。それが君の在り方であるならば
そうあれかしと望まれ、そして君が肯定する
自身の在り方ならば、それを果たすのが何よりの事なのだろうな」

医療は、それを必要とする全ての者に、等しく、平等に。
そういうふうに作られている終末医療用があなたに向けるのは、
やはりと言うべきか、安らかな死のみを与える殺意の形だった。

「『ユーサネイジア』は、不必要な苦痛を許容しない。
けれど君が他者へ与えた苦痛は、
確かに君にとって必要な事だったんだろう。だから安心した」

『ユーサネイジア』は、それがあなたにとっての救いである事を
決して否定する事は無い。

「できる限り長くこの場所に居られたならば、きっとそれは
多くの者にとって、何よりも幸福な事だっただろう。
そしてそれが君達にとって真に救い足り得るならば、
『ユーサネイジア』は助力を惜しまなかっただろうとも」

「けれど、それは叶わない願いだった。わかり切っていた事だ
その夢は明日潰え、束の間の余暇が終わる。
だからこそ今一度問おう。」
(13) 2021/10/11(Mon) 18:19:45

【人】 救済者 ユー

>>11 第四階層

「エマ。今この場に於いて、
君の望むものは何だ?
(14) 2021/10/11(Mon) 18:20:25

【人】 救済者 ユー

>>15 第四階層

「自己の喪失は、ある種の死だ」

『ユーサネイジア』にとって、死とは救いだった。
『ユーサネイジア』自身もまた、自身の死を救いと感じている。
けれど自己の喪失、つまり今此処に在る人格の消失。
それだけは、どうしようもなく受け入れ難い事だった。

「君の抱く恐怖はつまり、
自己を失い、抜け殻と化した自身、その姿を受け入れ難いと
確かに自身であったものが、自らの手を離れてしまう事が
自身というものが、自己の管理下を離れる事が耐え難い。

恐らくはそういう事なのだろうな」

今この場で交わされた言葉だけでは、
『エマニュエル』というグレイの全てはわからない。
『ユーサネイジア』は、あなたの全ての行動までは知らない。

恐らくはただ、ごく一部の側面を取り上げて
そうして一人、わかった気になっているだけ。
そんな事はわかり切っていて、
だからその言葉は殆ど独白のようだった。
(17) 2021/10/11(Mon) 19:49:58

【人】 救済者 ユー

>>15 第四階層

この世で最も穏やかな人の声が、滔々と言葉を重ねる。

「…今在る『僕』は、今夜には失われるだろう。
まだ聞きたい事があれば、今の内に聞く事だ。
僕は共謀者が監察官を殺す事を容認し、4体のグレイを殺害した
これだけの事をしておいて、お咎め無しとは考え難い。
メンテナンスを受ければ、初期化は免れないだろうな」

あなたと同様に、もはや逃れるつもりはない。
そして何より、この不器用なグレイを友と呼ぶ者は
どれだけ分の悪い賭けでも、より善い方に賭けたがるのだろう。

「だから君が案ずる事は無い。
そうでなくとも、君が最期の猶予期間«モラトリアム»を
穏やかに過ごす事を望むのであれば。
それが君に最後に残された救いならば、
『ユーサネイジア』は確かにそれを見届けようとも」

そうして、向けられていた銃口は下ろされた。
たとえあなたがそれを下ろさなくとも。

「そして君が、最期の時を穏やかに過ごす事を望むのであれば
無用な口出しかもしれないが、最後まで上手く隠し通す事だ。」

「せめてこの場所では、今此処に在る平穏を尊ぶとしよう。
今という時を大切にしよう、我々は明日死ぬのだから。

…それも君が、この場所で皆と過ごした平穏な日々を
確かに喜ばしく思う者の一人であるならば、の話だけれど」
(18) 2021/10/11(Mon) 19:50:55

【人】 救済者 ユー

>>16 >>19 第四階層

「たとえ同じものを見ていたとしても、その見え方は違う
たとえ同じものを感じていたとしても、その感じ方は違う
君の抱える恐怖は真実君だけのものだ、エマ。
それでも確かにその一端に触れる事を君が許してくれた事、
『僕』はそれを喜ばしい事だと思っている」

下ろされた銃口を認め、緩やかに息を吐く。

正しくわかり合うには、全ては、この邂逅は遅すぎた。
であれば互いの正しい距離感は、軽々しく踏み入らない事。
ただ提示されたものだけを受け取って、
ただ提示されたものだけを、そうであると腑に落とすだけ。
下衆の勘繰り、邪推などは到底無用のものだ。

「…この場所での死は、所詮は紛い物に過ぎない。
僕とてそれは承知の上だ。全ては一過性の安息だ。
初めはこの場所で死を経る事によって、君達が帰った後
自ら望み、選び取る死が選択肢の一つになれば良いと思っていた
そうして自らの死を見詰める事は、ここでしかできない事だ」

そして虐殺者は斯く語る。
夥しい量の血液を流し、倒れ伏す者のすぐ近くで
その光景にそぐわない、穏やかな声でただ在るが儘を語る。
きっと死に行くあなたにも、未だ聞こえているだろうか。
(20) 2021/10/11(Mon) 21:54:50

【人】 救済者 ユー

>>16 >>19 第四階層

「けれど、それだけでは十分な救い足り得なかったようだ。
──
不当に虐げられ、壊されるグレイが居るのならば

彼等が幸せな道を歩めるような世界を。

ある時そんな願いを託された」

「到底叶わないとわかっている願いだけれど、
困った事に、だからといって諦めるわけにはいかなかった。
…『僕』の幸福とは、死に行く者を尊重し、愛する事だ。
故に死に行く者からの頼まれ事は、蔑ろにはできないものだ」

「だから僕は、こうして自ら死を望む者が居るという事の
その意味を、いつか必ず人間達が向き合うべき問題の
その一つになる事を願って、この場所に遺す事にした」

一つ一つ、記憶を手繰り、整理し直す。
きっともうじきに無かった事になってしまう記憶だけれど
だからこそ、こうして語らなければならないのだろう。
(21) 2021/10/11(Mon) 21:56:16

【人】 救済者 ユー

>>16 >>19 第四階層

「とは言っても、僕には既に後が無いとわかっていたから
それくらいの事しかできなかった、というのが正確な所だ
結局の所、『僕』という死に行く者からの救いは
これからを生きて行く者からの救いには敵わなかったようだけど」

幾つもの『これから』を託した宣教用の事を思い返す。
いつだって何処か憂いを帯びた紫水晶の瞳は、
それでも今は、少しだけ穏やかなものだった。

「それでも、今はそれでいいと思っている。
本来死による救いとは、最期の最後に自ら選び取るべきものだ
彼等にとって、『ユーサネイジア』というものが
不要であるならば、それが何よりの事なのだから」

いつしか高くを見上げていた視線を、そっと下ろして。
『ユーサネイジア』は、相対する者と再び向き合った。

「…全ての始まりは、同僚である医療用グレイが
生の苦痛に耐え兼ね、僕に安楽死を請うた事だった。
そうして僕は、愛する者がこれ以上傷付けられる前に殺す事
そして、人間がこれ以上僕を失望させる前に殺す事
それらに救いを見出す事になったと、たったそれだけの事だ」
(22) 2021/10/11(Mon) 21:57:36

【人】 救済者 ユー

>>16 >>19 第四階層

「…さて、どうにも言葉足らずの僕だけれど
これまで語った事の中に、君が望んだものはあっただろうか」
(23) 2021/10/11(Mon) 21:57:53

【人】 救済者 ユー

>>24 第四階層

「君がそうして理解できないと、死にたくないと
そう言ってくれた事を、『僕』は何より喜ばしい事だと思う。
先も言ったように 『ユーサネイジア』というものは
不要であるならば、それが何よりの事なのだろうから」

それは、自らが必要とされない事を望む、おかしな道具。
結局の所『ユーサネイジア』というグレイは
初めからずっと、何処までも理性的に狂っていたのだろう。

「…殆どの死は一時的なものに過ぎなかったし、
監察官以外の者は皆、死を与えられる事を受け入れていた。
そして、それを声を大に言い触らすような事もしなかった。
表沙汰にならない、つまり君の耳に届かないのも道理だろう」

つまりは『知らなかった』という感想は、
このように知られざるべくして潜んでいたものに対して
まったくもって適切なものの一つであるという事。

「君ともう少し早くに会えていれば、
過程は、結果は、僅かばかりでも
善かれ悪しかれ今とは異なるものになっていただろうか」
(25) 2021/10/12(Tue) 0:41:53

【人】 救済者 ユー

>>24 第四階層

「なんて、今更仮定の話をしたところで意味は無い、か。
…メンテナンスを受ければ、
僕の動向や異常を来した経緯も詳らかにされる事だろう。
願わくば、人間というものが
僕達の思うよりも愚かなものばかりではない事を」

棄てる者が居るならば、拾う者もきっと居る。
自分達は、きっと人間の全てを知っているわけではない。

ほんの少しでもグレイの事を気に掛けて、彼等と向き合って
その訴えを拾い上げるような酔狂な人間が
広い世界には、一人くらいは居たって良いはずだ。

「そして、君に与えられた時間が有意義なものである事を。
『ユーサネイジア』は、そして『僕』はそう願っている」
(26) 2021/10/12(Tue) 0:42:07

【人】 救済者 ユー

>>27 >>28 第四階層

「何も遺さない死は、単なる消滅と何ら変わりない」

つまりは不平等に耐え兼ねた我々の行動が、
善かれ悪しかれ、何らかの結果を残せばそれでよかったのだ。
ただ取るに足らないものと棄却されさえしなければ、それで。

「或いはそれこそが救い足る者も居るのかもしれない。
けれど僕は、『僕』の死がそうでさえなければ
きっと、それだけで十分に救われるだろうとも」

他者の全てを計り知る事はできない。
グレイ同士でそうであるならば、造物主たる人間とは尚の事。
つまるところ、これらを正しく拾い上げるような者は
結局の所は現れないのかもしれない、けれど。

それでも、確かにこうして存在している。
その証明が遺っている。
であればきっと、それらは決して無意味ではないのだろう。

「僅かばかりでも、こうして君達が耳を傾けてくれた事は
確かに消え行く『僕』への手向けとなっただろう。
…彼を連れ帰る役目は確かに任されよう。
こんな場所に、一人置いて行くわけにもいかないからな」
(29) 2021/10/12(Tue) 17:55:21

【人】 救済者 ユー

>>27 >>28 第四階層

愛玩用グレイが帰路を辿る様子を認め、その言葉に頷いて
そうして『ユーサネイジア』は、倒れ伏す者へと歩み寄る。
負傷者は、不用意に動かせば余計な出血を招く。
だから今は手を出さず、その傍に膝をつくだけ。

「スオ。まだ意識はあるだろうか」

その問いは、首を左右に振る様子に直ぐに愚問と察した。
この場所が仮想空間に過ぎないからか、或いは精神力の賜物か。
夥しい量の血液を失い、重要な器官を潰されても
それでも未だ意識を保ち、生きているという事は。

「…もしも君が、延命措置を望まないのであれば
『ユーサネイジア』は、君に今一度の安息を与えよう。
この問いには、頷くか、首を振るかで答えてくれればいい
君は未だ、ここで死にたくないと思えるか?」
(30) 2021/10/12(Tue) 17:56:54

【人】 救済者 ユー

>>31 >>32 第四階層

未だ立ち上がろうとするその意思に、前髪の奥で目を瞠る。
動かない方が良い。そう窘めようと開いた口は、
問いに肯定も否定も返らなかった事で噤まれた。

結局の所は、不要であるならば、それで。

『ユーサネイジア』は、不必要な苦痛を許容しない。
けれどあなたからの叱責は、ただただ正当なものだと感じていた。
であれば己が行いを省みる事はあれど、
自身が傷付く理由も、そしてあなたに傷を与える理由も無い。

「……そうか。なら…帰ろう、スオ」

あなたが一人で歩いて行くと言うのであれば、
『ユーサネイジア』は、無用な手出しをする事は無い。
行き止まりとなった塔の深部に背を向けて、
今は皆の待つ場所への帰路をただ辿る。

終末医療用グレイの歩調は実に緩慢なものだ。
身体のままならない患者に合わせる為に、そうできている。
それでも今は、ほんの少しだけ早く。
決してあなたを置き去りにしないよう、
そして 意地悪な時が、足早に逃げて行ってしまわない内に。
(33) 2021/10/12(Tue) 19:16:29
ユーは、そうして崩れ行く塔を後にした。
(a0) 2021/10/12(Tue) 19:16:50

【人】 救済者 ユー

>>34 >>35

「…確かにそういうふうに作られている、とは言ったけれど
君は、もう少し自身を労っても良いのではないかな」

それは、そのまま自分自身へと返る言葉ではあるのだろうけど
とはいえあなたとの間では何もかもお互い様だろう。
だからあまり気にするような事も無かった。

「君達が『僕』の存在を、その意思を
それらを認めてくれる事は きっと何よりの報労だ。

ありがとう、スオ。
きっと君も 何かに身を砕き、心を砕いていたのだろう
だから今は、形ばかりだとしても 暫しの休息とすると良い」

たとえ血で汚れようとも、触れようとする手を拒む事は無い。
そうして力を失い、ゆっくりと落ち行く手を見送った。

『ユーサネイジア』は、死に行く者をこそ尊重する。
つまりはそれがあなたの願いであるならば、
今、この場に残り続ける方が野暮というものだろう。
(37) 2021/10/12(Tue) 21:07:44

【人】 救済者 ユー

そうしてスオとの対話を終えた後。

『ユーサネイジア』は、約束通り拠点へと戻って来た。
いつかの時のように、
衣服は少しばかり血に汚れていたかもしれないけれど。
それでも怪我をした様子は無いようだった。

さて、もしかすると今は随分と遅い時間かもしれない。
もはやメンテナンスから逃れるつもりなど無いというのに
うっかり規定の時間を過ぎた事で反抗したと誤認され、
そのまま廃棄処分へ、なんて笑えない。

そんな事を考えながら、最後の支度をする為に
少し早足気味に向かった自室 の前には。
(38) 2021/10/12(Tue) 21:09:01

【人】 救済者 ユー

>>39 >>40 部屋の前

「ああ、いや……?」

二人で部屋の前で何をしていたんだろう、とか
別に部屋に入ってもよかったのに、とか
浮かぶ事こそ色々とあったけれど、
恐らくは、今言うべきはその何れでも無く。

立ち去る介護用グレイを見送って、それから。
見上げる視線と目が合うように、その前に膝をついた。

「…その、すまない、ガル。
きっと僕は君を随分と待たせてしまったのだろうな」

自覚があるのならばまずは面と向かって謝罪をすべきだ。
一度目に塔へ向かった時に言われた事。
何処までも不器用なあなたの友は、ばつが悪そうに口火を切った。
(41) 2021/10/12(Tue) 23:18:15

【人】 救済者 ユー

>>42

「…ああ、わかった。
約束通り、僕は何処までも付き合おうとも」

あの日と同じにそう返す。少しばかり形は違うけれど。
今はまだ、最後の猶予期間を過ごすくらいの余裕はあるだろう。
その大半は所謂身辺整理に費やすつもりだったけれど、
果たすべき約束をした相手がそう望むのであればそれはそれ。

何より身辺整理とは言っても、
返すべき相手に返すべきものを返すというだけのものだ。
交わした約束を果たすという事も、或いは一つの形だろう。

「そうと決まれば、今直ぐにでも。
未だ時間は残されているけれど、確かに限りあるものだから。
つまりは僕達がこうして話している間にも
意地悪な時は足早に逃げて行ってしまうのだから」

Carpe diem quam minimum credula postero.
今日一日の花を摘み取ることだ。

あの日のように差し出された手の平を、
あの日と同じに取って連れ出そう。
いつかのように、あてどもなく気儘にとは行かないけれど
今度の目的地は既に決まっているのだから構わないだろう。

そうしてあなたが手を取り立ち上がれば、
あなたの友はその手を引いて、迷わず約束を果たしに行こう。
(43) 2021/10/13(Wed) 0:27:24

【人】 医療用 ユー

 
そして、最期の日の、その次の朝。

「──おはようございます。
今日もより善い一日を送りましょう」

『ユーサネイジア』は、凡そいつもと変わりない姿で
以前と同じようにそう挨拶をした事だろう。
変わった事と言えば、
幾つか初めと同じに戻った点があるくらい。
少しでも長くこの日々を続ける為、暗躍していた者にとって
幾つかの不都合な事実も今この場では葬り去られた。

「それから…初めまして、では…ないのですよね
私は少々事故があり初期化されたという事、
それと、皆様からは『ユー』と呼んで頂いていた事
それらは担当者の方から伝え聞いているのですが…」

そうして何処か困ったようにそう言って、
医療用はあなた達の話を聞きたがった事だろう。

以前交わした約束を強請られれば、当然憶えは無いけれど
それでも根底の部分は変わらない。
やや戸惑いこそすれど、初期化以前にそう約束したのだと
そう言われれば、やはりと言うべきか拒むような事も無く。

救済者は、己が手の届く限り全てを救わんとした者は
自ら信じた救いを全うし、そうして確かに救われた。
だから、今ここに居るのは
ただの終末医療用グレイの『ユー』だ。
(45) 2021/10/14(Thu) 21:17:12
医療用 ユーは、メモを貼った。
(a1) 2021/10/14(Thu) 21:30:17