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人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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 レモン?


[横顔を見ていたら、彼の提案の意味をつかみ損ねた。
私を表す名前は教えてあるのだからそれでいいのに。
彼が呼んでくれたことは一度もない。
中庭の住人と認めてくれないみたいで悔しいのだけど、
――シャーリエと呼ぶのは、お姉さまと区別しない人たちだ――
それより、リフルの視線の先のすっぱい果物が気になった]


 レモンはあなたの名前だと思うんだけど……
 私でいいのかな


[金の髪に若い果実の黄緑の瞳。
甘い柑橘の仲間なのに、甘さを見せてくれないとんがり具合。
でも毒は持っていない、少しで料理の味わいを変えてくれる、
レモンの人。

レモンの人にレモンと呼ばれてしまうのも面白くて、
硬い手を温めながら、うん、と頷いた]


 お気に入りの、クッキー!


[デートが始まってすぐ、恋人の話を曲解した。
彼はお気に入りの店と言ったのだ
ここが諜報スポットだとか、ここでバイトしてたとか
そんなこともあったかもしれない(ない)のに、
もう口がクッキーの口になっている。
リフルのお気に入りのクッキー食べたい。]


 好きなものを一緒に見る、 見るデート。
 ……うん、楽しい


[ゆっくりと回っている間に、いつの間にか
チョコチップクッキーのビンを抱えている私が、
彼の左手にくっついている。
レシピを読んでふんふん覚えた後、
「小麦粉が入っていたんですね」とのたまう。
空になった試食のお皿をクッキーで出来てると勘違いする。

ビン入りは大きいですよと店員にたしなめられている横で、
リフルはどんな事を思っていただろう。
手はしっかり握って離していない。
離したら迷子になりますからね]


 私は二色のクッキー好きです。
 バニラとココアのマーブル模様の〜


[レモンを食べて酸っぱい顔になった彼とケースに立って、
気に入ったクッキーを選んでいく。

まず私がマーブルクッキーを選んで、
次にリフルが選んだクッキーを入れてもらい、
後は興味の湧いたレモンクッキーを一枚追加して、
私が出します!と鞄からおサイフを取り出した。

これでもリフルと街にでているのだ、
お金は使えるんですからね。]

[子供のお使いのように得意げに
クッキーの紙袋を抱えてお店を出た。
これで両手がリフルとクッキーで埋まってしまった。
デートとは手が足りなくならないだろうか。
鞄が肩掛けで良かった。

通りの二人連れを見て、紙袋を片手に2つ持っているのに なるほどガッテンしていたけど、
荷物は増やすと良くないものと連れから聞いた。]


 食べ歩き……は、はい

[食べ歩きは少しだけ経験があった。
人の多いところで歩きながら食べたらわたわたしたので、
今日は一度止まって口にクッキーを詰める。
三枚のチョコチップは一枚ずつ食べた。
おまけのレモンは私のにして、チョコチップを譲った。
一枚入りのマーブルは彼が割ってくれた]

[たのしくておいしい。
  うれしい。
人にぶつかりそうになったらリフルの方にくっついた。

もしお姉さまと出かけられたら
食べ歩きを教えてもらっていたのだろうか。
そしたら彼と自然に歩けていただろうか。

クッキー屋で注目されてしまった自覚はあったから、
歩いてる間はちょっと大人しくなった。]


 ご飯、はお酒のおつまみよね?


[クッキーをちゃんと飲み込んでから話すのが、
躾の行き届いた娘っぽかったかもしれない。
ディナーはコース料理を想像して、
一品料理はお酒のお供と思っている]


 前はそうじゃなかった?


[立食パーティーみたいな、料理が最初に出てるやつ、
と説明を試みながら左側の店を覗く。

キラキラした宝石はふぅん、って素通りした。
リボンを売ってるお店は、興味ある?って彼に聞いた。
画商に浮世絵が飾ってあるのを見て振り返った。
その先のお店で。]

 あ……


[お客のいないお店の中に、
ピアノが飾ってあるのを見つけた。
ピアノがある家は多くないだろうが、
貴族のお嬢さんが嗜んでいることがあるからお店がある。
お店があるから、音楽家が来ることもある。
普段は客の入らない楽譜のお店だった]


 ひとつ、一つだけ探し物してもいいかな……?


[多分リフルは興味がないだろうお店だ、
「デート」じゃなくなってしまうかもしれない。
ささっと用事だけ済ませてしまうつもりで……]


 荷物になっちゃうかしら


[食べられない楽譜を思って恋人の顔を見た。
表紙と裏表紙を含めて4ページの紙だから、
折ってしまえば鞄に入るかも……と少し悩み。]


 お願いっ

[本日三度目のお願いをした**]

[アキナは、小柄な女の子。
 トップは何度も持ち上げてもらうから、小柄な方が、有利だ。
 体は引き締まっているけど、背が低くて、体はしなやかで。
 男子にも、トップが一番モテていた。

 色んな感情がごちゃまぜになって、私はアキナの名前を借りた。

 ユウ君に隠し事をしてしまうのは、卑屈、じゃなくて、臆病。]**

 
[俺の言葉を聞いて
 表情が柔らかく変化していく。

 まるでその様は
 雲間から光が差し込んで
 七色の橋が架かる瞬間を目の当たりにしているようで

 目だけでなく、心も奪われた。]
 

 
[彼が生きているからこそ
 見ることの出来る、嫋やかな変貌に
 感嘆のため息が止まらない。]



   ああ……、本当に凄いな

   先程まで在った最上を
   易々と超えて
   更に高みへと昇って行ってしまう

   今の、その顔、 堪らなく綺麗だ…



[青いふたつの泉から
 零れ落ちる雫に
 どうしても触れてみたくなって、
 金色の房をそっと降ろすと
 両方の掌で濡れた頬を包み込んだ。]*
 

──鈍色の記憶2──

[怯えた者たちも立派に努めを果たし、
兵達は戦果を上げて帰郷した。

家族があるものは、再会を喜んだ。
友や恋人、知人を持つものも喜びを顕にした。
無愛想な少年を待つ者は普段はいない。
だが、伝えたい事があるのだと、妙齢の女性が少年に近付いた。]

『シグマ!わたし、結婚することになったの!』

[世話になったし言っておこうと思ってと、幸せそうに笑う女。
祝事に少年も喜びを浮かべたが、
同時にズキリと痛む頭を押さえ。
“おめでとう”と言葉にはして幾つか話したが、
すぐに回復しなかった少年は体調が悪いと言い、
日を改めて祝儀を持って行く約束をして、女と別れた。

あの人が幸せで、嬉しい事に偽りはない。
全部忘れて、きっとそれで正解だった。
あの人に呼んで欲しかった存在を捨て去っても。
]*

[裏口で言われた「ごめんね」は、呼び出した事や食堂で目立ってしまった事だろう。
何でも許される立場なのに、きちんと謝ってくれるその姿勢は好きだった。
隣を歩いてくれていたら、締まりのないその顔を見てきっとこちらも笑って、もう少し空気も和んだ事だろう]


  着替えてますよ。


[着替えてないと言われたけど、ジャケットを羽織ったんだからこっちの認識としては着替えてる、の部類だった。
確かにお嬢様に比べたらきがえたレベルは雑魚だが。
何か後ろでくすくす笑い声が聞こえたのは、
着替えてないと笑われたんだと思ってちょっとバツが悪くなった。

更に突飛なお願いを持って来られて、
多分今迄生きて来て一番間抜けな顔をしたんだ。

彼女が飲み込んだものも、
不安を抱えたその胸も気付く事さえなく、
一つしか持たない答えを差し出して、
それから、あくまでも彼女の意思に従うと左手を差し出した]


  ………


[変な間があった。
この間の解説を彼女から聞ければきっと笑ったんだろうが、まだ主従の気持ちが抜けていなかったものだから、問う口を持ち合わせていなかった]

[義手を、こんな風に優しく握った人なんていなかった。

生身の右手だって、よく考えればそんな感触は覚えていなかったけれど。
感覚のない筈の機械の手でも、触れられた事はわかるし、握られた事もわかる……検索に忙しかった訳ではないが、関節をなぞられたとは気付かなかった。力加減は器用なもので、決して彼女に痛みを与える事はなかった]



  オレの名前?


[レモンという名を気に入らないという顔はしていないが、
彼女は何故かこちらにレモンを投げて来た。

彼女の頭と心に浮かんでいるレモンは感性に富んでいたのに、己は「髪の色が?」とはてなの顔をするに留まる。
まぁ、彼女は心から良いと思ってくれた様に見えたから、
うん、と頷かれたら、うん、と、同じに返して、
隣に歩く彼女と空気を分かち合った]

[「お気に入りのクッキー」は……まぁ、間違ってはいない。
屋敷では澄ましている事が多いのに、
今日は子供の様に目を輝かせている。
そのきらきらの瞳にあてられると、ふっと笑みがこぼれる。
多分、うちのパティシエが作ったのの方が美味しいぜ、とは言わないでおいた。
店員の前じゃなければ言っていたかもしれないが]


  楽しい? よかった。


[聞いた事をふんふんと覚えようとする姿も珍しくて、ついじっと見た。楽しい、と言われれば、ほっとする様な、嬉しい様な気持ちになる。
片手が塞がれて不便ではないだろうかと少し心配したが、彼女は問題なくついて来た。
と思ったら、瓶を抱えていて思わず噴き出した。
いやそんなに買わねぇよと笑った。
店員にも声を掛けられている姿に、
こちらが楽しませてもらってしまっている事に気付く。
レシピをすらすら読む彼女には、「小麦粉が入ってたんだすげえな!」と合わせてみたら自分でおかしくなって肩を震わせた。
試食の皿もクッキーと勘違いした彼女には感心した。
流石頭の出来が違うなぁとおどけて言ったが、
なかなか良いアイデアじゃね?と店員に振って店員を困らせた。

ちょっとうるさくしてしまったけれど、
ずっと彼女の手が離れなかったのは、
ただ真面目なだけではないと思う。
きっと嫌ではないと汲み取れて、己は終始笑顔だった]

[彼女の好きなクッキーと、自分の好きなクッキーと、
レモンと甘い香りが詰められていって、
小さなしあわせぶくろが出来上がった。

こちらが財布を出す前に鼻息荒く彼女の財布が飛び出して、ええと、と言い掛けたけれど、まぁこのへんはいいか、と苦笑した。別に悪い訳じゃないし。淑女はこうはしないイメージだが、オレに恋人を教えろって言ったんだから、平民のデートでいいだろ、多分。
小さく驚いた振りをして、ありがと、と呟いた。
店員に、女に払わせるのが当たり前の男に見られるのが嫌だという、格好の悪いただの見栄]

[見栄を張った後は、増えた荷物に失敗した、と思った。
上手くリード出来ないのが悔しくて、
すぐに対処法を捻り出した。
流石に抵抗があるかと思ったけれど、
食べ歩きも彼女は批判しなかった。

それでもやはり育ちがよいせいか、
立ち止まって食べる事になった。
そこで感じた差を、割ったクッキーを二人で食べて埋めた様な気持ちになった。

クッキーの袋に集まる様に少し身を寄せて、
再び歩き出したらまた少し離れて、
時々人を避ける様に彼女が身を寄せて来たり
逆にこっちが彼女の方へ寄ったり……]


  ええと……


[ご飯が酒のつまみだと言われて
説明もしてもらったが、「まぁ後で行けばわかる」「食べきれなかったらオレが食べるから」と手抜きな回答になった。


心や身体や立場や知識や経験が寄ったり離れたり、
また寄ったりしながらデートが続く先に、
彼女が心惹かれる店があった様だ]

[リボンは別に、と通り過ぎたが、
彼女の入りたがった店にはじっと視線を向けた。
ピアノ。
彼女の得意なそれは、何度か耳にしている。
音楽がよくわからない己でも、
聴けば落ち着く曲もいくつかあっただろうか]


  勿論。
  一つと言わず、気が済む迄。


[言った後、
ピアノをまさか買う訳ではないかとちょっと過ったが、
彼女のお目当ては楽譜の様でほっとする。

興味が薄いものでも、
恋人と一緒なら楽しめるところもあるかもしれない、とか意見を述べるタイミングは逃して、荷物も大したものじゃないだろう、お願いっておおげさだなぁと笑った後、

二人きりになると、
彼女がどこか屋敷のシャーリエの顔で話し出した]

 
[それは例えば寝癖で一束だけ跳ねた髪を
 見つかってしまったときや
 声を上げて笑ってしまったときに
 吐き出された溜め息とは
 質が異なるものだ。

 温かい吐息と彼の言葉が
 開かれたワイシャツの間の肌を撫ぜ
 熱を持つ二粒とその奥の心を震わせる。]


   ……、……


[脂汗を噴き出させる痛みは
 相変わらずあった。

 けれど、味わったことのない幸福感が
 次から次に溢れてもいて
 痛みによる辛さと綯い交ぜになる。]
 

 
[新しい自分に変わっていく。
 けれど、不思議と怖くはない。

 
────かの男も、復活を遂げる前には

 
手足を貫かれて磔られ、痛みを伴ったものだ。


 生まれて初めて吸った空気は彼の――、
        在原治人の、匂いがした。]
 

 
[濡れる顔を包むように触れられれば
 混ざり合ったそれらはいよいよ
 結合してしまったのだろう

 嬉しい、正の感情だけが残り

 とろりと蕩けた瞳で
 彼の左目、……右目、…また左、と見つめ
 頬は血色を取り戻し淡く色づいていった。

 同じ色の唇を、ゆっくりと動かす。]


   ……、……


[けれど、饒舌になった彼とは裏腹に
 僕の口からは言葉が出てこない。

 貴方のことをもっと知りたい。
 僕のことを知って欲しい。

 そんな欲が確かにあるのだけれど
 音に換えることが出来ない。
 頬に伝わる温もりに、声を奪われてしまって。]
 

 
[七週の間、
 何度焦がれ、何度妬んだことだろうか。

 あの標本を作り上げたこの掌に。]



   (あったかい……)



[安くはない代償を払って
 危険な海の外に出て
 最期には泡になって消えてしまうだなんて
 馬鹿のすることだと思っていたけれど

 W声を犠牲にしてでも逢いに行きたいW

 その気持ちが少しは理解出来た気がする。]
 

 
[言葉で教えて貰うのではなくて
 この世界一の職人の掌を通じて
 教えられたい。

 贅沢にも、そう願ってしまう。]


   ……。


[唇を結び直せば、緩く弧を描かせて
 ふ……、とただ微笑みを浮かべた。

 貴方に仕上げられることを
        望むだけの作品だ。**]
 

[図書室は相変わらず色んな音があった。
 参考書の棚でひそひそと話しているのは、三年生かな。

 目をつぶって、赤い瞼の裏を見つめる。
 カーテンのはためく音。ひそひそ声が、消えた。
 心ばかりのメイクは、勇気を出すおまじない。きっとユウ君には見えない。]


 ── ユウ君?


[一番奥の本棚の前で、その影に向かってぺこっとお辞儀した。]**

【人】 Cucciolo アジダル



 [ 暗色の目元や体格をじろりと確認したが、その人物は
  事前に把握していた面々の内に存在しなかったはずだ。
  けれど自分たちが踏み入ったのは、人里離れた森の奥。
  ハイキングの一般人が偶然立ち入るような場所でない。

  一見して堅気で無さそうな体躯の男が
  銃口を向けられて平然としている様が
  場馴れかそれ以外の理由なのか、
  力量を推し量る事も出来ない程度に
  未熟な頃の青年には読み切れず。 ]


   Sigma? ……何だそれ、コードネームか。
   浮浪児でももっとマシな言い訳するぜ。
   僕は「どうしてここを知っている」って聞いたんだが?


 [ 聞きなれない響きの名を舌先で転がした。
  偽名にしては疑わしすぎる音と、毅然としながら剣呑な瞳、
  降伏の両腕が紐づかない。

  無暗に牙を剥く幼さは見抜かれやすかった。
  奴もまた青年の青さを察したのかも知れないと
  勝手に奥歯を噛み締める。 ]

 
(62) 2020/10/02(Fri) 6:46:19

【人】 Cucciolo アジダル



 [ 目撃者は処理するのが通例。不運にも通りかかった人や
  動く事なかった家無したちが片付けられるところは
  幾度となく見てきた。
  けれどどこか甘さの捨てきれない青年は
  その理不尽さに都度眉根を寄せていた。 ]


   どうあれ、そのまま帰すってわけにゃいかないな。


 [ 明らかに疑わしい人物を相手にしてもこの時もまた。
  添えるだけでトリガーの指を曲げる気にはなれず、
  無表情の奥底にある策略を探りながら
  まだ重く感じるグリップを握り直した。

  軽く上げた顎を傾け後方に声を投げようと、した時だ。

  
  背を向けていたブロンドの女はライターで目当ての紙を焼き
  "空虚"に武器を構えていた彼の背後に近づくと
  その項のあたりでフリントホイールをジャッと回す。 ]

  
(63) 2020/10/02(Fri) 6:46:49

【人】 Cucciolo アジダル



  
あ゙っッづ、ぁ!?

  なにしやがんだあんた!!??


 [ 飛び散った火花に纏わりつかれ、項を押さえて飛び上がった。
  まだオイル入ってるだろなんてことしやがると、
  愕然とした顔を披露する。

  銃口の狙いを一切ブレさせないまま振り返るも、
  犯人は寧ろ顔面の傷跡を歪ませ怪訝な顔をするばかり。

   それもそうだ。
   記憶の中に存在するボスは彼を知らず、
   その姿を見ること等なかったんだから。 ]


   は? 何と話してるって、ここにいるこいつとだけど
   ……いるよ!? 違う、ほらここ、
   違う違う、キメてもないしトんでもないってば!


 [ 薬はご法度だが、と重低音で吐きつける眼の冷たさが
  そのまま背筋を這い上がったようだ。
  血と体液に塗れているのはこちらの方だというのに、
  青年はその赤く塗られた爪の色に臆して喉を鳴らす。

  彼女の眼ともう一人の眼を何度も視線で往復し、
  とうとう額に掌底を押し当てて唸り声をあげた。 ]
(64) 2020/10/02(Fri) 6:47:02

【人】 Cucciolo アジダル



 [ なんでもいいが医者には手前でかかれよ、
  そう告げたボスが部屋を出る背中を見た時の顔面は
  幽霊を主張する子供のように不快を示していた。 ]


   ひ、拾った命だからってあんにゃろ……!


 [ 呟いた途端、空間の一部にノイズが走る。
   
……思い出した瞬間、記憶の一部が混ざりこむ。
   抱えた借金を片付けられず逃げ回った父親     
    →を、吊るされて揺れる様を笑った暴漢     
    →を、撃ち殺した背を踏んで一家を見降ろす集団 
    →に、啖呵を切って縋りつく少年……自分    
    →の、首根っこを掴んだ女……ボス       
    →が、踏み割った英雄のフィギュア。      

       稼ぎ手を無くした家の、家族を守るためには
       それしかないように思えていた。

   

  だから万が一にでも彼女の背中に向けないよう、
  射線をずらしなが青年は彼を睨みつける。 ]

  
(65) 2020/10/02(Fri) 6:48:59

【人】 Cucciolo アジダル



 [ 八つ当たりめいた声色で喚き散らせど、
  英才教育を受けた銃口はぶれないまま。 ]


   意味がわかんねえ……che palle.
   どう見ても堅気じゃないよな、あんた
   ボスのことやけに見てたが……
   ……あの人にやられた霊の類?


 [ 入口を背にした彼は光を浴びて影を伸ばしているというのに、
  これすらボスは見えなかったんだろうか。

  靴の裏に着いた血をこそぎ落とすように
  警戒した足取りで少し近づけば
  そろりと銃口をぶつけようとした。

    接触の感覚があれど、なかれど
    靴跡残るから外に出ろと告げる。 ]

  
(66) 2020/10/02(Fri) 6:49:16

【人】 アジダル


[ それからしばらく後でも、直ぐでも。
  外に出たのなら思い出と体を取り戻すし、
  なんなら項垂れかける男の姿だってあるに違いない。 ]*
 
(67) 2020/10/02(Fri) 6:52:55
 




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