【人】 日差しにまどろむ ダニエラピザのことなど知りもしない女が足を止めたのは、とあるサンドイッチ店。 「あい、どおも」 代金を支払い、包まれた商品を受け取る。 チャバタを縦に半分に切り、具材は野菜と生ハムにチーズ。 そんなオーソドックスなサブマリンサンドイッチ。 「また来まあす」 口髭の店主に手を振った。 店主の気前が良ければ味もいい。 そんな良店であるからこそ、足を運ぶのももう幾度目か。 レシートを財布に仕舞い、店先を離れる。 その足取りは、決して機敏とは言い難い。 それでも、確保したブランチのためと、また見回りへ返っていく。 #街中 (44) 2023/09/08(Fri) 22:21:19 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>39 黒眼鏡 勤務後。赤く染った空が同色に海を染めている。 「すみませえん」 店主の姿を探し覗き込む。 看板が出ているからには営業中のはずだ。 珈琲豆の香りと機械油の香りではどちらが優位か怪しいものだが、この店のそういうところを女は結構気に入っていた。 「コーヒーくださあい」 #Mazzetto (65) 2023/09/09(Sat) 6:06:14 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>66 黒眼鏡 ちぐはぐな店内。 そこに店主の姿がすぐになくとも居心地の悪さを感じない程度に女は豪胆だった。 寝惚けたような視線を漂わせ待つこと暫らく。 姿を見せた長身を見上げて、サングラス奥の笑顔に頷いた。 「どうもお。どっちもお願いしまあす。 あ。砂糖は2つで〜。」 席に腰掛け、カウンターに両肘で体重を預ける。 ぷらぷらと脚を揺らして、漂い始めるコーヒーの香りに目を閉じた。 こればかりは、喫茶店の醍醐味だ。 「いい香りですねえ」 以前来た時も、同じことを言ったかもしれない。 もう何ヶ月も前のことだし、お互いそんなこと覚えちゃいないだろうが。 #Mazzetto (70) 2023/09/09(Sat) 9:16:57 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>74 黒眼鏡 「えー、いいんですかあ。」 「らっきー。いただきまあす。」 湯気くゆるカップに手を伸ばし、まずはひと口。 舌先で転がして、その風味を味わう。 そうしてことりとカップを置いた手は、まっすぐクラッカーへと伸ばされた。 「でも、正解ですよお。」 「前にも来ましたあ。マスター、記憶力いいですねえ」 弧を描いた口許が口ずさむ。 「今日は、お仕事帰りなんですよお。」 「ふふ、お仕事、何だと思いますう?」 控えめな雑談も、また。喫茶店の醍醐味だろう。 乾いた音とともに、口の中に薄い塩味が広がった。 #Mazzetto (79) 2023/09/09(Sat) 12:19:13 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>80 黒眼鏡 「ああー。」 「惜しいー。」 けらけらと控えめに笑う。 頬杖で向けられた指先をじっと見た。 「答えはあ、どーしよっかな」 「また次に来る時の楽しみにしちゃおっかなあ」 「そおしたら、次も覚えててくれるでしょお?」 乱視のレンズを通して目を細める。 その頃には視線は黒い眼鏡の顔に移っていた。 「コーヒーおいしいしぃ」 「お店の雰囲気もいいしぃ」 「どおです?」 #Mazzetto (86) 2023/09/09(Sat) 14:50:46 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>93 黒眼鏡 「やったあ。」 「言いましたねえ?」 今日ですら、注文外のクラッカーを戴いているのだ。 次のサービスも楽しみになる。 そうでなくともこの穏やかな空間で飲んだコーヒーが美味しい、それだけで十分なのだというのに。 背を向けた長駆に小首を傾げ、またクラッカーをパリと鳴らす。 出てきた小箱に瞬きを重ねた。 「ええ?いいんですかあ?」 「ふふ、…マスターも、お上手ですねえ」 驚きはほんの僅かのことで、すぐにそう笑む。 こんなにサービスされてしまっては、次がもっと楽しみになってしまうじゃないか、と。 「それとも、みんなに同じことしてるとかあ?」 そう並べる女は只管に楽しそうだった。 #Mazzetto (98) 2023/09/09(Sat) 20:28:29 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>93 黒眼鏡 あなたの立てる雑音に混じり、カップとソーサーがかちりと鳴る。 その隙間でけたけたと女はまた控えめに笑う。 「そっかあー。」 「かわい子ちゃんで得しちゃったなあ。ありがとおございまあす」 満更でもなさそうに言って、手を伸ばした先ではクラッカーが空になっていた。 届けられたおしぼりを見つめて、んーと首を傾ぐ。 結局、使うことなく席を立った。 「もう帰りますからあ、大丈夫ですよお」 「あ、コーヒーおいくらでしたあ?」 財布の中にはずぼらさを象徴するようにレシートが数枚。 告げられた金額を丁度払って、会計は恙無く終わるだろう。 #Mazzetto (110) 2023/09/09(Sat) 23:22:19 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>112 黒眼鏡 「サービス、これ以上良くなっちゃうんですかあ」 「それはあ楽しみですねえー」 支払いを終え、チョコレートの小箱を手に取って。 「んー?…はあい」 「気をつけまあーす」 送り出される幼子みたいに返事して。 この日は、その場を後にした。 #Mazzetto (114) 2023/09/10(Sun) 1:05:04 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>130 ニコロ 「あ。」 「ニーコロさあん。」 偶然、と呼ぶにはあまりにも出来すぎて。 それでも確かに偶然とそこを通りがかった勤務中の女。 てってと後ろ姿に声をかけ駆け寄って、こんにちはあ、と間延びした挨拶。 「ニコロさん、今日は非番でしたかあ?」 ハーモニカに目を留めると首を捻った。 自分のことですらデスクの上を見ての通りの有様なのだから、他人の休みなど当然頭に入っていない。 (134) 2023/09/10(Sun) 16:31:09 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>151 ニコロ 「せいか〜い。」 にへらと笑う。ブイサインをちょきちょき。 そして書類仕事だろうが外回りだろうが気怠げにしか挑めない女は、あなたの提案に「おー」と短い返事。 「なるほどお。そーいうことなら本官にお任せくださあい」 「えーとお、市民さんの『ハーモニカを吹ける場所』、一緒に探してあげますよお。」 機嫌よく続けると、行きましょおと適当な向きに先導をした。 心当たりがあるわけでは決してない。行き当たりばったり。 #街中 (156) 2023/09/10(Sun) 23:10:41 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>158 ニコロ 「んー。ピザですかあ?」 きょと、と振り返る。足並みはそのままだ。 そうして少しだけ険しい顔をした。面白くなさそうな、そんな顔。 「まだですよお。昨日は商店街行かなかったから、知らなくってえ。」 「いつも通り、サンドイッチ食べちゃいましたあ。」 「そっちも美味しかったから、いいんですけどお……」 流行りに乗れなかった気がして、ちょこっと悔しい。 そう口を尖らせて。 「どんなピザなのかすら知らないんですよお、あたし。」 「ニコロさんは、もう食べましたあ?」 #街中 (161) 2023/09/11(Mon) 0:47:24 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>172 ニコロ 「ええー、いいんですかあ?」 などと語尾を伸ばしながら、明らかに声音が変わった。 ワントーン明るく。「待ってました」と続きそうな。 「じゃあお言葉に甘えちゃいますう。」 「ふふ。ありがとおございますねえ、ニコロさん。」 拗ねた口許はどこへやら。 緩んだ頬でそう告げて、適当な方に向いていた足が、迷わず商店街の方へ向けられる。 「そおいえば」 「ニコロさん、好きなパンとかありますかあ?」 「あたしいつもフォカッチャやサンドイッチばっか食べてるんですけどお、たまには別のもの食べよっかなあって」 軽い足取りのまま、到着までの軽い雑談。 #街中 (174) 2023/09/11(Mon) 12:50:47 |
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