167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】
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パリン、と音がした。
水の入ったグラスが撃ち抜かれる音だった。
「いらっしゃいませ。」
平然とそう言う女の前には、銃を向けた大の男が複数人。
店の扉が蹴破られて、カウンターを盾にして銃撃を躱して。
返すように3発、小型拳銃を発砲して3人を殺す。
しかしそれで装弾切れ。
まだ相手は複数人。狭い店内、
肉弾戦で勝てるようなものでもなし。
ここまでか、と諦めたのが今の状況。
『噂通りのいい腕だ。私達はその腕を買いに来たんだ。』
『どうだ?私達と一緒に来ないか。』
恐らくリーダー格の男が、銃を向けたままにそう言う。
腕を買いに来た、とはよく言ったものだ。
頷かなければ、この散らばったグラスと同じ末路を辿るのだろう。
ノッテで良い扱いを受けたのかと言われれば、そうでもない。
幼い頃に拾われ、行き場がないのを良い事に汚れ仕事ばかり押し付けられ。
うまく仕事をしたら今度は恐れられ、距離を置かれるようになった。
殺した人間は何百人。同じファミリーの者だって、命令さえされたら殺した。
それを褒められる事もなく、今まで便利な道具として生きてきた。
ノッテに尽くす義理など、女にはなかった。
だから。
「そう。」 女は口を開く。夕闇の瞳が前を見据える。
「興味がないわ。」
「だって私、ノッテ
・ファミリーだもの。」
本名:なし(レヴィアはコードネーム)
死因:銃による失血死
発見場所・遺体の様子:
路地裏のアンティークショップ店内にて、
複数発の発砲を受け負傷。
現場には他組織の者の遺体が三人分あったことから、
店内にて戦闘が行われたと見られる。
死体発見時、女の腕には黒と白の猫のぬいぐるみが
守るように抱かれ、手には古い懐中時計が握られていた。
#死亡報告書
女を弔う音色は、もう流れない。お店は今日は、静かだった。
もう誰の元にも戻らない。きっと子守歌を聞く事も無い。
死んでいった人間と、それから死に損なった自分の為に。
きっと魔女の行動にこう言ったはずだ。「興味がないわ。」「……馬鹿ね。」
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