15:15:30

人狼物語 三日月国


203 三月うさぎの不思議なテーブル

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


メモを貼った。

【人】 厨房担当 ゲイザー

― 過日:法事当日 ―

[とある地方の古刹で、母方の祖父の三回忌は執り行われた。

 祖父は2年前の時点でそれなりに高齢だったが、鬼籍に入ったのは穏やかな老衰からではなく、事故にも等しい急性の病から。とはいえその病が出たのも年の所為とは言えたかもしれないが。
 父親を亡くした「おかーさん」は、落ち着いた様子ながらも時に俯き。
 青春の日々から共に過ごした夫を亡くした「おばーちゃん」は、声こそ抑えながらも、たびたびハンカチで目元を拭っていた。

 祖父を失くした速崎璥は、まるで何も思っていないような顔で、席に着いていた。
 「女性」の参列者の中でただひとり、黒のジャケットとスラックスのフォーマルスーツを着ていた璥は、それ以外の理由でもこの場の自分を「異質な者エイリアン」と感じていた。]
(39) 2023/03/07(Tue) 7:03:12
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。
(a11) 2023/03/07(Tue) 7:07:36

【人】 厨房担当 ゲイザー

[あれから、今はまだ遠い地の『うさぎ』でのことを思う。

 それこそ海外ドラマの中の多種多様で愉快なエイリアンのように分裂でもできていれば、騒動の件を別にしても、店に残してしまったスタッフ>>2:575>>2:594の負担を減らすことは叶ったかもしれないし、「大咲&速崎のクッキー」を、速崎抜きの大咲ひとりでサーブさせるという事態も避けられただろう。
仮に村がコンソメに焼かれていたらエイリアンでも救えないかもしれないし、誰が一番可愛いかスマッシュ大乱闘にどこまで乱入するかも謎だが。

 クッキーの三種類目は初めから大咲ひとりの手で届けられるもので――その行方は知らぬまま、一先ず置いて。


 手を重ねずに膝の上に置いている、参列者席上の速崎璥の頭の中にこの時あったのは、けれどこうしたことではなく。
 今の時点ではどうにもならない、昨夜の思い>>2:563でもなく。
 以前の夜に店を訪れた「タイガー」――美澄のことだった。
 その美澄のアリスブルーの未来>>2:670については、おそらくこの時の速崎は知らぬまま。]
(40) 2023/03/07(Tue) 7:39:02

【人】 厨房担当 ゲイザー

[あの晩に美澄(「タイガー」呼びの了承も貰った!)と話した時>>2:41の速崎は、やはり、至って明るく応対し続けていた。

 美澄からイギリスにいた旨を告げられた時、相手の来歴を質すような己の非礼でタイガーを傷つけることにならなくて良かった……と内心思いほっとしたり。
 ハラムとハラルの違いをはじめとした宗教事情になれば、うんうんと世間話の態で相槌を打ったり。

 そしてアレルギーの話題にもまた、「ですよね〜」と頷いていたのだが――。
 この時美澄が口にした「申告」の語は、この本音が紛れもなく「作る側」の言い分だと示すもの。
 紺の暖簾の上の白い「みすみ」が、この時に再び、速崎の脳裏を過る。

 それでも、この場で速崎が見聞きしたことが、ただこれだけに終わったならば。
 「ああ、あのご飯屋さんの親戚か孫かなあ」くらいの感慨で留まっていたのかもしれない。]
(42) 2023/03/07(Tue) 8:47:12

【人】 厨房担当 ゲイザー

[美澄は、泣いていた。ぐずぐずと泣いていた。
 大咲との話の中で(その話の中身>>1:369>>1:370を聞き取れなかったが故に、速崎は昨夜の「なんで」の続きが判らないままでいた)「ばあちゃん」の語を口にしていた>>1:341>>1:396
 大咲や嘉数の差し出す温かさのおかげか、一度涙が止まって見えて、けれどもまた目元を拭って>>2:42>>2:44

 その後に美澄がほろりと口にした「こんな店で仕事できたら」まで、きちんと頭に入ってこなかったのは。
 いつものゲイザーの笑顔の裏で、一瞬だが、ぼんやりと頭を過ったものがあったから。]


 ( タイガーは、泣けるんだ。
   「ばあちゃん」亡くなって――お店無くなって、
    もう、大分経つのに、泣けるんだ。 )


[実際にこう呟いてしまえば、「うさぎ」としての明るい笑顔が崩れてしまう気がしたから、この時は、努めて口に出さないようにしていた。]
(43) 2023/03/07(Tue) 8:47:28

【人】 厨房担当 ゲイザー

[……配布された経典を開いて読む仕草しながらも、法要の読経は上の空。
 未だに泣くことができる若き虎と、
 もう泣かなくなってしまったエイリアン。]


 ( 去年も、 ……泣かなかった、な。
   結局、おじーちゃんが死んだその時、だけだ。 )


[こうして法要が終わった後、久々に顔を合わせた祖母や母、父やきょうだい、親戚らと話をしながら。
 その日は母方の実家に泊まって過ごすことにした。
 『うさぎ』のもとへ飛び立つのは、明くる日の朝だ。]
(44) 2023/03/07(Tue) 8:47:47

【人】 厨房担当 ゲイザー


( おじーちゃんのことも、すぐに泣けなくなった。私は。 )


( テンちゃんにひどいことしても、別れても。
   あんなに、苦しかったのに、泣けなかった。 )


 ( ……マシロのことだって、私、泣いてない。
   行ったり来たりの繰り返しなのに、泣けてない。 )
 
(45) 2023/03/07(Tue) 8:52:35

【人】 厨房担当 ゲイザー



( 



  ……あの時>>2:470、なんで私、泣いたんだろ。** )
 
(46) 2023/03/07(Tue) 8:52:53
 ― 白うさぎは混乱中 ―



[ 分かってるのに、ちゃんと聞きたくて嘘をついた。
  そんなちょっとした我儘で零した「勘が良くない」を
  可愛い嘘、なんて言われて大咲は更に混乱する。
  あのもう頭と頬と胸全部が熱くて、砂糖みたいに甘くって
  限度を超えてしまいそうなんです。
  平常心、平常心……と言い聞かせるよう心中で唱えながら
  そういえば、お互いのこと、実はあんまり知らないなと
  気付いたのは 連絡先が差し出されてから。 ]


  ……合意がある場合でも、ナンパって、言いますかね


[ 出来れば、その、ナンパじゃなくて。
  貴方が好きなんですって言うための、…ううん
  私と貴方を知るためのチケットに、なりませんか。

  なんて思いも込めて、掴んだ服。 ]

 

 

  ……〜〜〜!?


[ 駄目です大咲キャパオーバーです助けて店長!!
  いや店長ヘルプしてもらっても解決しませんが!
  「待て」ができなくなるとか可愛いとか
  そんな、これ以上わたしを熱くさせてどうするんですか。

  何かを堪えるように唇を噛む神田と同じくらい
  間抜けなきょとん顔と赤い頬を晒した大咲は
  「終わったらすぐ連絡するのでっ」と言い逃げて
  厨房を抜け、バックヤードへ駆け込み、
  いつの間にか鎮座している新顔を抱きしめた。

  製作者によもや目撃され、可愛いと思われていたり
  貴方の心の中の主張なんか勿論知らぬまま
  白うさぎは落ち着くまで忙しさも忘れ、
  焼きたてパンみたいなふわふわうさぎで心を落ち着けた。* ]

 

 ― うさぎの穴から出た後は、 ―



[ 二連トラブルがあってもうさぎの穴は営業を終えた。
  大咲は爆速で洗い物や後片付け、在庫確認、
  明日のランチ向けの軽い仕込みを手早く済ませる合間。
  店へ個人置きしているタンブラーをひとつ持ち出し
  いつもお客様へ提供するのと全く同じ手間と時間を掛け
  淹れたコーヒーを、タンブラーに注いだりも。 ]


  ごめん皆、クローズ作業終わったからもう帰るね!
  ちょっとあの、大事な用があるんだ!


[ 制服から私服へ着替え終え、鏡で前髪を整えると
  面々に声を掛け、大咲はスカートを翻した。

  黒色のドレープ袖のブラウス、白のマーメイドスカート。
  クリーム色のボアカーディガンを羽織り、
  タンブラーを鞄へ仕舞って、スマホを取り出せば。
  渡された連絡先、…声が聞きたくて電話を選ぶ。 ]

 

 

  あの、……大咲です
  今退勤したから……えっと、会いにいって、いいですか

  すぐ向かう、ので!


[ 神田ブレンドのコーヒーは
  まだまだ寒い春先の夜の中、待ってくれたお礼として。
  在庫ちょっと勝手に使ってごめんね店長!
  人生掛かってるんです、可愛さに免じてゆるして!

  そう。店長やスタッフ達には遠慮も照れもなく
  「大咲かわいいもんね〜」とか言えるのに。
  なんで一人の言葉に、あんなに乱されたのか、とか
  解答欄はとっくに埋まってる。

  きっと通知音に気付いてくれた貴方がいる場所へ
  時計うさぎみたいに慌てて向かえば、
  貴方はどんな顔でそれを迎えてくれただろう。 ]

 

 

  ごめんなさい、お待たせしました、神田さん
  これ……寒かったと思うので、良かったら。

  ……えっと。家の方向、どっちですか?
  私、ここから一駅だけ電車に乗らなきゃで。
  でも終電までまだあるし、明日はシフト無い、ですし。

  ちょっとだけ、ゆっくりめに歩いて、いいですか
  …………顔見ながら、話したい……です。


[ もし話し終えるだけの時間がなければ、電話でも。
  そんなことも頭を過ったけれど
  特別、な貴方には、やっぱり直接聞いて欲しい。

  徒歩圏内に家があると教えて貰えるのなら
  何だったら、近くの公園へ寄り道をしてでも。 ]

 

 

[ どうするかの結論はともかくとして。
  コーヒーは無事に神田の体を温めるには至れたか。
  いつもなら気兼ねなく歩ける見慣れた道も、
  今日ばかりはまるで異世界みたい。 ]


  ……改めてみたいになるんですけど。
  うさぎ、喜んでくれて、ありがとうございました。

  誰かにこの話をするの ……初めてだから
  上手く話したり出来ないかも、しれないですけど。
  聞いてくれますか、──知りたいって言ってくれたこと。


[ 伺うように、瞳を見上げる。
  肯いてくれたなら、今まで誰にも言いたくなかった、
  ──言えなかった過去のことを、貴方に話したい。
  同時に、抱え続けていた夢の、もうひとつも。* ]

 

メモを貼った。

メモを貼った。

[がっついている自分を見せるのが恥ずかしくてつい「ナンパ」なんて言葉で自分の行動を茶化した。
それなのに、ああもう。
「合意」なんて言ってくれちゃって。]


 っは〜〜〜〜〜〜


[外で待つ間、桃色に染まった顔を思い出す。
その顔を見る前にもう、心は彼女のことだけを求めていたけれど。]


 ……ああもう堪んないな。
 落ち着け僕。


[自分が心を向けることであんな表情を見せてくれるのかと思えば、跳ね上がった感情が身体を渦巻いて気を抜いたら叫びだしそうになる。
店の真向い、もう灯りの消えているビルの壁にごちんと頭部をぶつけた。
火照った頬から冷たい壁が体温を奪っていく。]

――通知音――

 はい、神田です。

[退店してから今まで時間はあった筈なのに、余裕なんて全然手に入らなかった。
驚くべき速さで通話ボタンを押し、緊張があからさまな応答をする。]

 向かいのビルにいるよ。
 もう車も殆ど通ってないけど気を付けて。

 
――逢いたい。


[待っていると約束をした自分に「会いに行っていいですか」と言ってくれるものだから、先程まで同じ空間にいたのに胸がきゅうと苦しくなった。

いつもより近くで聞こえる、いつもとは少し違う電話口の声。
同じ条件で自分の声を聞く彼女も同じ胸中でいてくれたらいい。]

[程なく駆けて来た彼女の姿を見つけて片手を挙げる。
嬉しさを隠せない緩み切った表情は、暗がりで真白の瞳にどう映っただろう。]

 お疲れ様。
 忙しかったのに帰り急かしちゃって此方こそごめんね。
 わあありがとう。
 そわそわしちゃって口が乾いてたから助かる。

[タンブラーを受け取って早速蓋を開ける。
すぐに立つ湯気の香りは自分ブレンドだとわかれば、飲む前にもう身体の内側が温かい。]

 私服初めて見た。
 可愛い。
 あーもう僕「可愛い」しか口に出せなくなりそ。
 

[一口飲んで蓋を締め直すと、見かけた時からずっと思っていたことを言わずにはいられなかった。
タンブラーを持ち替えて、片手を差し出す。
んん、と喉を鳴らして心の準備。]

 まだ寒いので、手を繋いでもいいですか?

[自然に繋げる程スマートな男ではないので背伸びをせずに正直に誘います。]


 終電あるないに関わらず送るつもりだけどね。
 一駅くらいなら歩いても帰れるし。
 僕ん家はすぐそこ。高層マンションて訳じゃないからここからは見えないけど。

 じゃあ、ゆっくり歩いて、少し遠回りしようか。

[近所なので土地勘はある。
駅を一度通り過ぎる形で散歩道に。
桜はまだだが梅は綺麗に咲いている。

電車が動いている時間では人通りもある程度あって、歩きながらでは真剣な話は難しいか。
その先にある公園のベンチまで、歩幅を合わせて二人で。

今日の料理の感想を改めて喋ったりしながら。]


 こっち来たことある?
 今は草しかないけど、5月の前くらいになったら藤棚が綺麗だよ。

 うーん、草の屋根程度じゃまだ寒いかな。
 これ使って。

[モバイルプリンターも入る大きなリュックには、仕事先の椅子が冷たかった時に使う携帯用座布団が入っている。
バッテリーを接続してスイッチを入れれば、程なく温かくなる筈だ。

外のベンチで綺麗なスカートが汚れるのも嫌だしね!と強調したから、自分がベタにスカート好きの男だということはバレるかもしれない。**]

 

[ 数コールどころか、覚悟の間もなく音速で通話が始まる。
  ナンパだと茶化した真意なんて知らない大咲は
  「緊張しているのはお互い様なのかな」なんて考えて、
  第一声に微かに咲いながら。 ]


  ……私も、逢いたいです 待っててください


[ 待ってるって、約束してくれた。
  それは理由や場所は違えども、これで二度目。

  通話が切れ、はふ、と知らずのうちに息を吐く。
  胸が苦しくて、でもそれは嫌な息苦しさじゃなくって、
  そわそわするような 込み上げてくるような。
  貴方もそんな胸中だったかな。…そうならいいな。 ]

 

 

[ そうして駆け寄った先、片手を挙げる彼の姿。
  夜の暗がりでも分かる緩み切った表情に滲む色。
  直視すると照れてしまうと分かっているのに、
  目を逸らすことは 出来なかった。
  急かしてごめんと謝られれば、気にしないで、と笑いかけ
  タンブラーを手渡して。

  落ち着いていたはずの心がまた爆発した。 ]


  か、かわい、ぃ ……です……?
  ……ぅ。
  神田さんにかわいいって言ってもらえるの、嬉しい、けど
  …………照れちゃう、ので……控えめで……。


[ 言わないで、とは言いたくないけど。
  ああ今日もっと可愛い私服で来るんだった。そんな矛盾。
  服の好みが知りたい。彼の好きなタイプのことも。

  高野といつだったか交えていた気になる人談義、
  こっそり、こっそり、大咲は聞いていたけれど
  結局収穫は得られないままだったから。 ]
 

 

  ……ッはい。
  私も、手。……繋ぎたい、です


[ 正直な誘いには、頬を赤らめながら
  きゅう、と柔く彼の手を握った。
  スマートに自然に繋がれたら、慣れてるのかな、とか
  そんな風に少し、もやもやしてしまったかもしれない。
  だから。聞いてくれて良かった。 ]


  え。でも、一駅分送ってもらうなんて、申し訳ないです
  お家が近くなら余計に。
  営業後の仕込みで終電逃した時も歩いて帰ってますし…


[ そう。この業界は帰宅が遅いのだ。
  寒空の中待たせた上に一駅も送らせるのは、と思えども
  けれど「じゃあ後日」とはなれなかった。

  彼が進むまま、駅を一度通り過ぎ、
  梅が春を報せる道を不意に眺めながら。
  歩幅を合わせてくれているだろう彼に甘えつつ、
  穏やかに語らいながら、公園のベンチまで。 ]
 

 

  いえ、普段出勤ルートしか歩かないので……
  良いですね、藤棚。見たいな。
  いつもお店のことばっかり考えて、花の移り変わりとか
  ……そういえばろくに見てなかったかも……


[ 問いには首を横へ振り、春の訪れを想いながら。
  春夏秋冬の彩りを楽しむことを、こうして教えてもらって。
  背負っている大きなリュックから取り出された、
  温かさを与えてくれる携帯用の座布団に目を瞬かせ。 ]


  …良いんですか? ありがとうございます。
  …………ふふ、スカート、好きなんですね?


[ 遅れて耳へ訪った強調は流石に察するものがある。
  大咲も好きで制服にスカートを選んでいる。
  お揃い、だ。
  少し揶揄うように笑い、それからそっと、息を吐く。 ]
 

 

[ 神田が横に座れば、大咲はぽつりと口を開く。
  強調された言葉によるスカート好きの露呈により
  僅かに緊張は緩んだけれど、無くなったわけでもない。 ]


  んー……どこから話せばいいかな。
  ちょっと話すの下手でも、許してください。

  私ね、母子家庭で。
  物心ついた時からお母さんしかいなくて、多忙な人で。
  机の上に毎朝置かれてるお金で生活してたんです。


[ 何の仕事をしているのかも、良く知らない。
  ただお金は置かれ続けていたから何となく
  多忙な人なんだと思っているだけ。 ]

 

 

  で、小学校の……高学年くらいのころだったかな
  お母さんが作れないくらい忙しいならと思って
  興味もあったし、料理し始めたのが切欠でした。
  美澄くんのおばあさんがやってたお店。
  あそこで食べたあったかいご飯が美味しくて。
 
  大事な人と、一緒にご飯食べたいなぁって、
  ……そんな思いも、ちょっとだけ。


[ まあ最初は悲惨でしたけどねぇ、と茶化した。
  重い空気にしてしまうのも嫌で
  別に、それ自体を引きずっているわけでもなくて。 ]


  毎日作った料理を置いておくんです。
  そしたら朝起きて、一口も食べられないまま残ってて、
  でもお金は毎朝置かれてて。


[ 嫌いな食材も知らない。アレルギーでもあるのかも。
  そんな風に思いながら、そんなわけないと知っていて
  何年も。 ]
 

 

  高校一年の母の日に、初めて、ケーキを作ったんです
  周りに何を言われても、お母さんは
  お金をかけて私を育ててくれたから。
  お礼のつもりで、これなら食べてくれるかなって。


  そしたら、……次の日、捨てられちゃってたんですよね
  料理は捨てずに残すだけだったのに、
  わざわざ捨てるくらい迷惑だったんだ、と思って。

  私がお菓子を渡すの、迷惑だって思っちゃうのは
  ずーっとそれを引きずってるだけなんです。


[ 寒々しい筈なのに、不思議と寒くないのは
  彼が用意してくれた温かい座布団のおかげでもあり
  きっと繋がれたままの、手の温もりがあったから。
  「いやー、そっからは数年荒れましたねえ」と言って
  えへ、といつもと変わらぬ笑みを浮かべた。 ]

 

 


  でもやっぱり、料理が好きなんです。
  だから生まれ変わるつもりで、今のお店に頭下げましたね
  作ったものを食べてくれるだけで十分嬉しいし、
  喜んでくれたらもっと楽しい。

  美味しいって言ってくれる人はいっぱいいるけど
  神田さんは特に、幸せプラスとか、色んな感想とか
  "また私のクッキーが食べたい"……とか。
  ……多分、神田さんにとっては何気ない言葉でも
  私にはなにより欲しかった特別をくれました。

  勝手に救われた気になってたんです、……重いですけど。


[ 一回だけ作ったのは、ここでなら、と思えたから。
  でもやっぱり怖くて一歩下がり直してしまったとも。
  知って欲しくて話す時間は随分長く感じたけれど
  まだ告げたいことは、ひとつあるのだ。 ]

 

 

  私、お母さんのことは恨んだり嫌いじゃないです。
  育ててくれたのは本当だから。

  正直まだ、お菓子…特にケーキを作るのは怖いです。
  ……でも、いつかもし、大事な…特別な人ができたら
  いつか作っていきたいって、ずっと、思ってて。

  あの。…………あの、ですね


[ 言い淀む。
  けれど"言わずに後悔した"過去が大咲の背中を押した。
  どんな顔で聞いているか、怖くて見れずにいた神田の方を
  恐る恐る見上げて、髪を揺らして。 ]

 

 


  神田さんのこと、好きです。
  ……お客様としてとか、そういうのじゃ、なくて。

  いつか特別な人に作りたいと思ってたケーキ、
  神田さんが、食べてくれませんか。
  他の、まだ作れないお菓子も全部、一番最初に。

  後、あと、……一緒にご飯も食べたいです。


[ だから、"勘の良くない"私に、
  どうか頷いて 答えを教えては、くれませんか。** ]


 

【人】 厨房担当 ゲイザー

― 過日:法事後の帰還 ―

[速崎璥は、御堂宛てに送信したメッセージ>>2:562の通り、あの早退の夜から2日後に飛行機で戻ってきた。
 『うさぎ』の穴に裏口から転がり込み、フォーマルから制服に着替えたのは午後になってから。
 昼営業は遅刻という形になったが、これは事前の連絡通り。
 それでも速崎は店長に深く頭を下げ、バックヤードのデスクに差し入れのお菓子の袋を置く。]


 この前はマジ……本当に、ご心配ご迷惑おかけしました。
 これ、地元のお土産です。みんなで食べてください。


[なお、「旅行からの復帰時に旅行先のお土産を職場に差し入れする」という暗黙の慣習については(『うさぎ』にもあるか否かは置いといて)昨今疑問が呈されてもいるが――。
 速崎は早退の際に本当に迷惑を掛けた自覚があったため、個人の意志で、このお詫びの品を差し入れている。]
(85) 2023/03/07(Tue) 13:38:49

【人】 厨房担当 ゲイザー

[さて、この差し入れの品>>85というのが、包み紙で包まれた小さなチョコレートを詰め合わせた袋2種。
 それぞれ金貨と、緑色の三つ葉のクローバーシャムロックを象ったもので、アイルランドのとあるチョコレートブランドから市販・輸入されたもの。
 金貨も三つ葉もそれぞれ、店長を含めたスタッフ全員の分の枚数がちゃんとある。

 ……「速崎、お前アイルランドに帰省していたのか」と誤解されかねない差し入れだが、履歴書を見れば速崎が
日本のXX県出身
であることは明白である。
 これは単に、速崎の地元にたまたまアイルランド料理店があり、3/17の聖パトリックスデーのためにお土産として売られていたチョコレートを買ってきたというだけのこと。

 この差し入れ、もしかしたらホワイトデーの何かしらのお菓子と被るものになってしまったかもしれないが、そこはあまり気にしていない速崎なのだった。*]
(86) 2023/03/07(Tue) 13:41:41

【人】 厨房担当 ゲイザー

― 過日:帰還日の夜 ―

[それからの速崎は、またいつも通りの笑顔で『うさぎ』の業務に就いていた。
 この日は大咲とも、また栗栖とも、顔を合わせることは叶わなかったが――。]


 あ。 ……ハヅキさ、


[『うさぎ』の穴を潜った葉月からの「おかえり」>>74に、思わず「さん」と言い掛けた口を止める。
 ――しんみりとした出迎えは、無し。
 店の営業中ということもあって、速崎はカウンターから、屈託なく確りとした声色で答えた。]


 ハヅキん、ただいまー。
 オレンジのスーパーゲイザーは、
 約束通り、お店に戻ってきましたよん。
 
(96) 2023/03/07(Tue) 15:02:13

【人】 厨房担当 ゲイザー

― 過日:帰還日の夜 ―

[それからの速崎は、またいつも通りの笑顔で『うさぎ』の業務に就いていた。
 この日は大咲とも、また栗栖とも、顔を合わせることは叶わなかったが――。]


 あ。 ……ハヅキさ、


[『うさぎ』の穴を潜った葉月からの「おかえり」>>74に、思わず「さん」と言い掛けた口を止める。
 ――しんみりとした出迎えは、無し。
 店の営業中ということもあって、速崎はカウンターから、屈託なく確りとした声色で答えた。]


 ハヅキん、ただいまー。
 オレンジのスーパーゲイザーは、
 約束通り、お店に戻ってきましたよん。
 
(97) 2023/03/07(Tue) 15:02:13

【人】 厨房担当 ゲイザー

[自分の事業を抱えた遠藤を、この『うさぎ』という古巣で「おかえり」と迎えていた時>>1:35のことをふと思い返す。
 速崎自身はまだまだこの古巣に入り浸っているベテランではあったけれども、なんとはなしに少しだけ不思議な感じがした。この時点でもう既に、店長や、或いはあの夜のショートメッセージを知る瑞野>>51が来ていたならば彼からも、「おかえり」の出迎えはあったかもしれないが――]


 いいですね、「おかえり」って待ってて貰えるの。


[呟く口調こそ軽いが、やはりどこかしんみりした響きになってしまうのは否めない。
 とはいえこの時の心持ちは決して重苦しくはなく、寧ろ、温かい。]
(98) 2023/03/07(Tue) 15:02:31

【人】 厨房担当 ゲイザー

[それから、明らかにブラックボードを見ていないオーダー内容が葉月>>75から飛んできた。
 この言動だけであれば、単に文字通り「会えるのを待ってた」から、とだけ速崎は考えていたかもしれないが――。]


 ( ……うん。やっぱり、そうなのかな。 )


[いつかの夜に、「変な意味じゃ」と焦りながらフォローを入れていたこと>>1:244>>1:247。あの一昨日の夜に、飛び出すウサギの背を追い掛けて引き止めに来たこと>>2:275>>2:276
 ここまで積み重なれば、この速崎にもある程度の想像が叶う。]


 じゃあお任せで作っちゃいますね〜。


[想像した上で、葉月に何を告げるかは、後。]
(99) 2023/03/07(Tue) 15:04:43

【人】 厨房担当 ゲイザー

[まずは完全なるお任せ指定で振られたオーダーに応えるのが先。
 とはいっても、ここでまたすぐさまにお家芸(?)のスターゲイジー・パイを出すことはなかった。
 これは、「オレンジのうさぎ」の帰還だって「なんでもない日」の一つだ、ということの証左のようでもあったが――。]


( まだよく、わからないよ、おばーちゃん。
   ……     のために泣けたの、
    本当に、おばーちゃんの言う通り、なのか。 )


[一晩という時間では、精神の休養こそ叶っても、新たに生じてしまった問い>>46への解には辿り着けないまま。
 辿り着けないが故に、心からのお祝いだとかお祭りだとか、そういうメニューは頭の中に浮かんでこなかったのだ。]
(100) 2023/03/07(Tue) 15:06:24

【人】 厨房担当 ゲイザー


 ハヅキんお待たせ〜!
 本日限りの、ギネス風味のシェパーズパイです。
 お皿のほうめっっっちゃ熱くなってますんで……
 くれぐれも気を付けて、ゆっくり食べてくださいね。


[だからこの夜は、察していながらも何も踏み込まないまま――葉月に「そのこと」をはっきりと告げる>>2:502ための準備が整っていないまま。
 ただいつも通りの元気を取り戻しただけのゲイザーが、この日、葉月の前にいただけだった。

 ちなみにここで出されたシェパーズパイだが――。
 丸型の深皿の底に、牛挽肉と玉ねぎ・マッシュルームを炒めたものをギネスで煮込んだ具が敷き詰められ。
 その具を覆う形で、バターとクリームチーズ、黒胡椒を利かせたマッシュポテトが盛り付けられている。
(パイとは呼ばれるが、いわゆる小麦粉のパイ生地は使われていない)

 イギリス料理としても知られるこの料理は、けれど今日は、あくまでアイルランドのギネスビールを用いている。
 スタッフ向けの差し入れのチョコレートとは異なる形での、「地元のお土産」>>86めいた一品である。]
(101) 2023/03/07(Tue) 15:16:16

【人】 厨房担当 ゲイザー

[なお、この夜営業の後、速崎は体調不良を起こして何日か店を休んだ。

 これはこの日会った葉月の所為でも、この日会えなかった大咲の所為でも、或いは速崎が「泣けた」者の所為でもなんでもなく。
 この三日間の過密スケジュールを強行した挙句、薄着の制服で夜を駆けて体を冷やす>>2:592という自己管理不足の所為である。
 帰還直後のあまりにもみっともないダウンぶりではあったものの、
有給の残りはしっかり利用した。


 この時から、来たるいつかの日>>49>>50までの間、もし仮に大咲が『うさぎ』に来ることがあったとしても。
 速崎の欠勤タイミングもあってか否か、この二人が『うさぎ』で再会することはなかっただろう。*]
(102) 2023/03/07(Tue) 15:17:33
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。
(a21) 2023/03/07(Tue) 15:27:25

厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。
(a22) 2023/03/07(Tue) 15:28:35

厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。
(a23) 2023/03/07(Tue) 15:28:51

【人】 厨房担当 ゲイザー

― 現在:体調不良からも帰還 ―

[もはやこれ以上の不在の負担は掛けられまい……という妙な気迫は、再びの過労の素になりかねない。
 あくまで自然体で、速崎は今日の夜の業務に就こうとした。
 店長が揃えてくれた今日のオススメ>>0のメニュー案に思考馳せながら仕込みを進めていく。
 やがて、『うさぎ』の穴を潜り抜けてきたのは――>>49>>50]


 いら―――


[作業に追われて――敢えて自ら追い込んでいたのかもしれない――頭から一時追いやっていた、その人の「ただいま」が、笑顔が、そこにあった。
 一瞬、ぽかんとして間の抜けた顔をした速崎がオープンキッチンにいた。
 けれどもそんな間抜けなシーンは、本当に一瞬。同じキッチンにいる瑞野>>64が、こちらに合わせるようにして挨拶の言葉を口にしてくれたから]


   ―――っしゃいませ!


[瑞野の声に重なる形で、速崎も挨拶の言葉を最後まで言い切れた。]
(109) 2023/03/07(Tue) 16:49:04

【人】 厨房担当 ゲイザー

[瑞野が今日のオススメの鶏肉を挙げた中、けれども速崎は――]


  ………クリリンちっす。


[「ちーっす」といういつもの調子のいい響きではなく、本当にぽつんと気の抜けたような響きを零した。]


 クリリン。
 ホントにお財布、空になって、
 来れなくなったのかって思ってた。


[本題をすぐに思い浮かべられなかったが故に、その場しのぎのように紡いだ冗談ではあったが。
 実際、あの日の晩から今日まで全く姿を見かけなかった栗栖に対し、一時本気でその可能性>>2:198を考えたことはあった。あくまで一時だ。
(何せあの晩、速崎は栗栖の退店を見届けていないのだ)]
(110) 2023/03/07(Tue) 16:50:24

【人】 厨房担当 ゲイザー


( ……うん、 )


[『うさぎ』への帰還当日には、まだ導き出せなかった解>>100
 それから日々を経て、幾日かの休養をも経て、今はもう自分なりの答えに辿り着いている。
 けれども栗栖にそれを告げることよりも、もっと必要なことがあると、この時点で速崎は考えていた。]


 ただいま、クリリン。
 ちゃんと、私、帰ってきたよ。


[なんとか精一杯に、明るい笑みを満面に浮かべて告げた。
 今はあくまで営業中だ。「オレンジのうさぎ」のゲイザーは、努めて明るく、屈託なく、時におどけて立ち振る舞おうとする。

 もうひとりの来店者――あの晩には入れ違いの形になっていた栗花落>>79の姿にも気づけば、なおのこと、明るく。]
(111) 2023/03/07(Tue) 16:51:11

【人】 厨房担当 ゲイザー



 ツユリん、―――おかえり!


[栗花落の素性を察した今でも、店の中で呼び掛ける名前はあくまでこのあだ名。
 あの春人を演じる「セロ」であっても、これまでの「ツユリん」と変わらず接しようという、そんな呼び方で迎え入れた。]
(130) 2023/03/07(Tue) 17:43:07

【人】 厨房担当 ゲイザー

[それから差し出された小さな紙袋に、きょとりと瞬くも]


 そっか、ツユリんもお仕事慌ただしそうですもんね。
 フライングでも全然嬉しいです! ありがと、ツユリん。


[この程度であれば、「セロ」だとも声優だとも、芸能人だとも解らない言い回しになるだろう、と。]


 で、これ今見ちゃっても……ってそれどころじゃないな今!
 帰ってから見てみます〜。


[
勤務中だと気遣われた手前にこの態である。

 軽めの紙袋越しに伝うのは、お菓子かな?と察せられる程度の、雪玉かこぶしを思わず丸い膨らみ。
 そして、少しの厚みと手ごたえを感じさせる、ひとひらの紙のような感触。]
(131) 2023/03/07(Tue) 17:43:58

【人】 厨房担当 ゲイザー


( ……アレのチケット?
  
いや考えすぎかな……いやマジでそうならなおのことここ職場で見たら不味いな……色々……
  )


[こう考えながらも、期待故に、ちょっとにやにやとしてしまった笑みが零れてしまう。
 紙袋の中に本当に、あの『ラスト・サタデー』の監督の最新作にして、セロの出演作である映画の招待券が入っていることを知るのは、もう少しだけ後の話。]
(132) 2023/03/07(Tue) 17:44:40

【人】 厨房担当 ゲイザー



 で、そうそうオーダーのほう!
 辛すぎるの以外、でかしこまりました〜。
 ……ツユリん、良い食べっぷりっすね!


[実際に食べる前からこう言ってしまう辺り、大分速崎も勢いに乗ってしまっている。
 カウンターに着いた栗花落>>80に頷いてから、瑞野>>92と遠藤>>129、それに一応ホール担当ではある嘉数の姿をも目で追って]


 オススメ全部、いっぱい食べられるメニューなら―――…
 うちらの総力戦で行ってみる?
 シャミーが杏仁マンゴータルト、で……


[手伝いを頼むというよりも、本当に「みんなでやろうぜ」という態の提案。]
(133) 2023/03/07(Tue) 17:51:00

 僕は出来ない約束はしない主義なんだ。

[これは「かわいい」を控え目に、というお願いに対してだけれど。
これまでやこれから自分が結ぶ約束は、「できる」と確信しているものだという意味も籠っている。]

 諦めて。
 多分これ控え目になる日は来ないから。

[けらけらと笑う。
揶揄っている訳ではない。]

 ああでも、誰か周りにいたら我慢しなきゃいけないな。
 そんな可愛い顔、僕以外に見せたくない。

[我慢なんて出来るだろうか。
まだまだ知らないことはたくさんあって、知る度に「可愛い」が勝手に口から零れてしまうくらい、既に真白でいっぱいなのに。

――ほらまた。
肯定するだけじゃなくて、恥ずかしがりながらちゃんと「自分も」と伝えてくれるところが、自分は――]

 この手が僕の幸せをつくってくれるんだよなぁ。
 特に大きい方じゃない僕の手でも包めるくらいの大きさで、いつも。
 ふふ、あったかい。
 あったまり過ぎて手汗かいたらごめんね?

[予防線を張っておくのを忘れない。
既にじわりと滲みそうなのを止める術は持っていない。]


 僕ができるだけ長く一緒にいたいからだよ。
 登山が好きだから歩くのは全然苦じゃないの。
 ああそう、車も仕事で必要だから持ってるんだけど。
 次、仕事で終電逃した〜って時は呼んでよ。
 駆けつけさせて。

[ぎゅっと手を握った。
今まで夜に一人で彼女が歩いている時に何かが起きなくて良かった。]

 そうそう、勿体ぶる訳じゃないけど、
 仕事の話は後でね。

 藤棚は咲きそろったらまた見に来よう。
 夏になったら小学校がひまわりの鉢植えずらーって並べるし、
 秋は老人会の人が焼き芋焼いてお裾分けくれたりもする。
 この冬に大人げなく中学生と雪合戦して負けたから次は別の楽しみ方考えてるとこ。

[公園に着くまでの会話は、浮かれているからか自分の方が饒舌だった。
尤もいつもお喋りだから、目立たなかったかもしれないが。

彼女のスカートが好きだというのがバレて指摘されたら照れて少し唇を尖らせて。]

 スカートだけじゃなくて、その如何にも女の子って感じのデザインのブラウスも、モコモコの上も好みだよ。

[と白状した。
それを彼女が着ているから余計好きになりそう、とも。]

[ベンチに並んで座っても、繋いだ手は解かないまま。
荷物を下ろして、タンブラーは横に置いて。
彼女が気持ちを整えるのを待つ。]


 ホントに嬉しかったからね。
 僕も改めて、ありがとう。


[改めて礼を言われれば、礼を返す
前置きをする彼女の瞳をしっかり見つめて「うん」と返した。]


 全部聞かせて。
 順番もマシロちゃんが話したいようにで大丈夫。


[「初めて」。
あんなに仲の良いうさぎ達にも話さなかった、話せなかったこと。
知りたいと踏み込んだ覚悟は繋いだ手にもう片方の手を重ねさせる。]


 ――うん。

[それから始まった打ち明け話。
最初は彼女の家庭環境から。

料理を始めたきっかけを知ると「へえ」と眉を上げ、自分の記憶にもある店の話題に店主の笑顔を思い出しては目を細めた。
小学生の真白が悪戦苦闘をして料理を作る様子を想像して、茶化す言葉には「うんうん」と頷いた。]


 ――っ、


[ああそれなのに。
想像だけで可愛さいじらしさに頬が緩んでしまうのに、彼女のやさしい気持ちのこもった料理は。
話の腰を折りたくなくて堪えたが、上向いていた唇は下がり、眉根に皺が寄る。]


 
は?!
 え。


[だが、母の日のエピソードは、それよりもなお悲しい記憶だった。
堪え切れずに険のある声が零れ、聞いた内容を反芻した。

彼女がお菓子を作るのに勇気が必要だった理由。
技術的に全く問題がないのに、「迷惑」と口にして恐れてしまう理由。

 (なんだそれ。なんだよ。)

荒れましたね、なんてさらっと言う彼女の笑顔がいつも通りで、「数年」を折り畳むことにした彼女の苦労を思う。
生まれ変わるつもりで白うさぎとなって、たくさんの料理で人を笑顔にしながら、彼女はずっと高校1年生の自分を背負っていたのだ。]


 っ、


[僕は、と思わず口を挟みそうになったが話はまだ終わっていなかった。
彼女が「恨んでいない」と言ったところで自分はもう今後彼女の母親を許せはしない。

「いつかもし」なんて聞いたら、そのポジションは自分にと身を乗り出して、今度は間違いようのない言葉で自分の想いを告げようとした。
恐る恐る見上げてくる瞳を見つめて口を開きかけ、]



 っっ!!


[ひゅっと空気の音が鳴る。

言いかけた言葉の前に重ねていた方の手が離れて彼女の肩に触れ、繋いだ手はぐい、と強く引く。
彼我の間にカメラがあることはすっかり頭から抜けていた。
唐突に転んだ時でさえ、絶対に話さなかったカメラの存在を忘れる瞬間がくるなんて、とは後から思い返して驚いたこと。]


 
好きだよ!


[近くに人がいるかどうかも見えていない。
抱き寄せた彼女の耳に届く鼓動に負けない大きさの声ではっきり言う。]


 あー先に言わせちゃった。
 カッコつかないなぁ。

 ……好きだよ。
 マシロちゃんが。
 知りたい、手を繋ぎたい、抱き締めて独り占めしたい。
 そーいう意味で。


[そっと体勢を戻した。
ここは外だし、固いカメラが身体を圧迫する痛みもあるから。]



 一番に食べたいし、マシロちゃんが作り慣れてお店で出すことが平気になっても食べたい。
 聞き飽きるくらい「おいしい」って言うから覚悟しといて。

 いつか、マシロちゃんにとってお菓子をつくることで思う記憶が全部僕になればいいって思ってる。


[強引に引き寄せたから彼女の前髪は乱れてしまったかもしれない。
そうでなくても肩から離した手は吸い寄せられるように髪にそっと触れた。]


 一緒に「いただきます」と「ごちそうさま」をしようね。
 後、僕結構自炊する方だから僕の料理も食べてほしいし、一緒に作ったりもしたい。


[お金しかくれないのにそれを「育てる」と評して、理由も知らされないまま料理おもいを否定されても「恨んでいない」と言う程求める彼女の母親にはなれないけれど。
タイムマシーンに乗って、辛かった時の彼女の頭を撫でることも出来ないけれど。

傍に居たい。
傍にいるのは自分でありたい。]


 話してくれてありがとう。
 僕は普通の家庭で育ったし、親に対して何かしてあげようみたいなやさしさを持ってないから否定された経験もない。
 マシロちゃんのお母さんが食べなかった理由も考え付かないし、正直部外者だけど「ふざけんな」ってムカついた。

 ……「わかるよ」って安易に言えない自分のうっすい人間性が嫌になる。

 けど。
 
 マシロちゃんに一番幸せにしてもらえるのは僕だって自信だけはあるよ。
 僕が君のことで幸せになることを喜んでくれるなら、マシロちゃんを一番幸せに出来るのも僕なんじゃないかなぁ?


[たくさんの料理を評してきたライターの割に語彙が貧困だと言われればぐうの音も出ないが、気持ちのままに。]



 ……どういうとこが好きか、言ってもいい?


[疲れているなら別の機会にするけど、と前置いて。**]

メモを貼った。

【人】 厨房担当 ゲイザー

[栗花落のオーダーで妙に気合が入ってしまっていたこの時は、多分、まだ貝沢>>103>>115が『うさぎ』の穴に辿り着いていなかった頃で。

 この少し前に、今日再び『うさぎ』に戻ってきた(昼営業時にも来ていた!)遠藤>>114からの「ただいま」に速崎は振り返っていた。]


 シャミーおかえり〜。
 いや、ホントにあったかかったんだね今日。
 天気予報では言ってたけど。


[屋内での勤務を続けていると解らない感覚を伝えてくれる、他愛ない言葉。
 チョコレートの時期外れの話題にも、「あれ地元のお土産です」という、履歴書の内容を覗き見していなければ誤解を招く返答をしたりする、そんな、いつも通りの遣り取り。]
(146) 2023/03/07(Tue) 18:12:11

【人】 厨房担当 ゲイザー


[そんな他愛なさに浸りながら、けれどもまだ、抱えている言葉を出し切れていない、と。
 話題に上がった法事帰りのチョコレートに急かされるようにして、速崎はキッチンを走る。]
 
(147) 2023/03/07(Tue) 18:12:58

【人】 厨房担当 ゲイザー



 あ。
 そっか、タルトはナギーだね、りょーかーい!


[遠藤>>144の言葉で、速崎ははっとした。気合だけで提案するとこういうことになる。
 アスパラの前菜のことにも頷きながら、]


 じゃあブロッコリーは、私がやっちゃおっかな。


[ブロッコリーはいくらメニューが被っても悪くない。
 好き嫌いが別れる件は兎も角として、速崎はそう思っている。]
(152) 2023/03/07(Tue) 18:19:06

【人】 厨房担当 ゲイザー

[栗花落に向けてのメニューのため、赤紫と緑の蕾のままのブロッコリーを洗ったり、ハーブやパン粉を見繕ったりしながら――。

 少し前、別のオーダー>>141をゲイザー指名で告げた栗栖に、速崎はなんとか、至って明るいいつもの顔を向ける。
 空まではいかないが本当に軽くなった、の返答に「まじかよ」の驚愕が一瞬顔に出るも。
 楽し気で朗らかな笑顔は、事の深刻さを特に示していない――ように見えた。

 改めて告げられた「お帰り」という一言も、微笑も>>142
 他愛ないようで、なんでもないようで、ただ温かいだけのもののようなのに。]


 ( ……なんで、泣きそう、なんだろ。 )


[ふと気づかされた感覚を、笑顔と忙しなさの裏に、一度押し込めていた。]
(158) 2023/03/07(Tue) 19:14:21

【人】 厨房担当 ゲイザー

[その後、栗花落からのオーダーに取り掛かってから――。
 栗栖に、真正面から笑いながらも告げられたのが
これ
>>142である。]


 …………
え?

 え、大丈夫、じゃなかったのあれ??


[実際のところ、あの時の速崎の言動のどの辺りに「傷付いて」いたのかまでは、ここでは栗栖は言っていない。
 それにも関わらず、「失言」そのものに傷ついていたという意であると思い込んだ速崎は、混乱やら気まずさやら――胸の痛みやらで、瞠目しながら荒く息を吐いた。]
(159) 2023/03/07(Tue) 19:15:00

【人】 厨房担当 ゲイザー



 ……………… 
ごめん。傷つけた。



[「流せないんだ」と笑う栗栖>>143の前で、弱弱しくぽつりと零す。
 けれども咄嗟に出てきた声はあまりにも微かで、栗栖にちゃんと伝わっているか、自分でも自信が持てない。]


 ( こんなんじゃ、ダメ、だ )


[そう思った矢先に、真面目な目で見つめられる。
 この時、最低でもふたつ分の料理を抱えている最中だというのに、この時ばかりはどうしても手が止まった。
 手が止まって目を離せなくなってしまったのは、栗栖への負い目故かそれとも――この時の速崎には判らない。]
(160) 2023/03/07(Tue) 19:16:08

【人】 厨房担当 ゲイザー

[真剣な眼差しで語られる、友人自慢。
 「俺の友達」とはっきり語られた葉月のこと。
 その人と栗栖との間にあった一悶着を、その解決の場面だけでも見届けていたから、なおのこと自慢話から受ける真実味。
 それに速崎自身も、葉月の勇気を――きっと勇気がなければできなかったその行動を、間近に知っている。]


 そうだね。ハヅキんはさ、かっこいいよ。
 ……ううん、ちょっと違う、かも。
 かっこ悪くても、かっこ悪いなりに、
 一生懸命頑張って、優しくて、真面目で。
 自分なりに真面目に考えて、私に向き合って、
 勇気、振り絞ってくれる人だよ。


[葉月の昔の姿は勿論のこと、女癖悪く振舞っていた頃>>2:501の姿さえも、店の中でばかり葉月と会っていた速崎は知らない。
 けれども仮に知ることがあったとして――それでも速崎の目に映る今のその人の姿は、あくまでこの言葉の通りだ。]
(161) 2023/03/07(Tue) 19:20:27

【人】 厨房担当 ゲイザー

[その上で速崎は――笑みの消えた顔で告げる。
 悲しげな顔でも青い顔でもなんでもなく、ただ、淡々と事を告げるだけの無表情で。]


 ……そんなハヅキん、なんだもの。
 私は、あの人と付き合っちゃいけない。


[この言葉は本来なら、葉月その人に直接告げなければならないこと。けれども告げるチャンスがあった日には、まだ自分の中で、その解――「付き合っちゃいけない」理由を示すことができなかったのだ。

 葉月の姿は、今の速崎の瞳には映っていない。
 大咲の出勤にも気づかないレベルで、目配りが行き届いているようでいて実は妙に余裕のない慌ただしさ故に、仮にこの時葉月が既に店にいたとしても気づいていない。
 それ故に、まるで陰口めいた言葉のようにも、内心でふっと感じてしまう。]
(164) 2023/03/07(Tue) 19:24:14

【人】 厨房担当 ゲイザー

[そして、ここまで言葉に出してしまった以上。
 その理由も、速崎璥はここで栗栖に打ち明けざるを得ない。
 ――意識しての判断というより、それこそ「失言」めいた率直な衝動で。]


 だって私は、あんたが好きだから。
 クリスが――クリスさん、が――クリリンが。


[ドラマやアニメに描かれるような、初々しい恋の慌てふためきだったり、興奮だったり、或いは甘美さだったり交歓だったり――そういうものを意識していた訳ではない。
 璥という「異質な者エイリアン」の中にあったのは、ただ]


 好きじゃなきゃ、私は泣けない。
 なんでか判らないけれど――私はあんたにしか、泣けない。
 そう気づいた以上、私は、あんたとしか付き合えない。

 
(165) 2023/03/07(Tue) 19:25:33

【人】 厨房担当 ゲイザー



  …………好きなんだ。

[ただ、涙を止められない程の苦しさ。]
(166) 2023/03/07(Tue) 19:28:14

【人】 厨房担当 ゲイザー

[……勤務中に、それも何かのサプライズイベントでもない時に言うべき言葉でないことくらいは(言った後になってだったが)速崎にも解った。
 かといってまたあの時のように、栗栖に背を向けて立ち去ることはしなかった。]


 ( 私は、 ちゃんと、話し合う、よ。 )


[「言い過ぎ」た後にはなってしまったが、それでも自分から一方的に断ち切りさえしなければ――。
 いつかの誰かさんの、重くはないけれど真剣な声>>2:202が脳裏に過る。

 ブロッコリーとチキンのことも思考には入れながら、速崎璥は、涙滲んでしまった両目で栗栖を見つめ返す。*]
(167) 2023/03/07(Tue) 19:35:16
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。
(a30) 2023/03/07(Tue) 19:42:15

厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。
(a31) 2023/03/07(Tue) 19:44:27

【人】 厨房担当 ゲイザー

[……いつかの夜のテーブル席、彼女と栗栖の賑やかな会食>>1:549>>1:572のことは覚えている。
 なにせあのテーブルに、さりげなくかつ堂々とサーブしに行った当事者だ。具体的な会話は聞かずとも、雰囲気の良さが確かにあったな、と覚えている。
 勿論、あの時の料理を、ふたりとも美味しく食べてくれていたということも!

 それでも、速崎が自分の中の「好き」に辿り着いただけの時点であれば、この記憶に映る色合いは何も変わらなかった。
 葉月に対して「付き合えない」と伝えようという意志は確かにあっても。
 それはイコール、栗栖に対してもそれを伝える、ということではなかったのだから。

 けれども今は、もう、言ってしまった>>165
 貝沢その人が、今この店に来ているか否か>>103にもちゃんと気が回っていないまま――。
 あの思い出がこれからどんな色合いになるのか、この時の速崎璥には、まだ判らない。**]
(178) 2023/03/07(Tue) 20:11:33
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。
(a36) 2023/03/07(Tue) 20:15:17

 

[ 
大咲もしかして死んでしまうのでは……?

  お願いは華麗に躱され、けらけら笑う神田の方を
  桃色うさぎに改名した方が良いような頬の色で
  うぅ、と見つめるしか出来なかった。

  出来ない約束はしない主義 と、いうのは。
  きっと、可愛いを控え目に、以外の意味も込められていて
  これから彼が結んでくれる約束の糸は
  絶対解れたりしないことを 教えてくれているみたい。
  ……みたいじゃなくて、実際そうなのだということに
  気付かないほど、大咲も勘は悪くないが。 ]


  …………見せたくなかったら、隠して、ください。
  その、……神田さんが。


[ 私は「可愛い」以外にも、貴方がくれるもの全てを
  きっと頬を染めて受け止めてしまうので。 ]
 

 

[ 自分も繋ぎたいと紡いで重なった掌が温かいのは、
  きっとお互いに緊張と、跳ねる心臓が脈打つせいだ。
  彼から齎される言葉のどれもが大咲の心を揺らすから、
  張られた予防線に垣間見える緊張は寧ろ有難くて。

  どうにかいつものように軽口を叩く……より早く
  ぎゅっと強く手を握られ、急速に頬に熱が集まった ]


  ……ん、と。
  私も出来るだけ長く一緒にいたい、です。
  だから 今日は……ううん、これからも
  お言葉に甘えたいし、甘えます、けど

  次の日予定があったり、体調が悪い時とかは
  絶対無理して応えようとは、しないでくださいね。


[ 迷惑じゃ、なんて言葉は彼の心配を助長させてしまう。
  でもここだけは譲れませんから、と。
  代わりに終電後、ひとりで帰る時は歩くのをやめて
  タクシーなり何なり、安全な帰宅方法を選ぼうか。 ]
 

 

[ ちゃっかり「登山好き」は頭の中にメモして
  神田さんフォルダへ丁寧に保存しておこう。
  一緒に藤棚を見に来ようという未来の約束に、頬を緩め
  「はい」としっかり頷いて。
  饒舌なお喋り内容は、ふふ、と楽し気に笑って聞いていた。
  中学生と雪合戦して負けたなんて、可愛いな。
  じゃあ次は私と雪うさぎ対決しましょうよ、とか。
  そんな返事をしながら。 ]


  ……こ、これ以上喜ばせてどうするんですか、ほんと…


[ 困ってないけど、困ってしまう。恋は矛盾だらけだ。
  これから可愛い服を買うのに更に時間をかけてしまうし
  常に貴方のかわいい、を更新できる自分でいたい。

  そんな時間を経て、ベンチに座って。
  優しい言葉に背中を押され
  大咲は初めて、お菓子作りを厭う理由を語っていく。
  重なったもう片方の掌が、心の雪を解かしていく。 ]

 

 

[ ご飯を食べてくれなかった話の時は。
  横で何かを堪えたのを、話しながらでも感じていた。
  話を途切れさせないようにという配慮を有難く受け取り
  しかし、ケーキの話はやっぱり、
  隣から穏やかでない色を含んだ声が零れ落ちてくる。

  だから食前には言いたくなかったのだ。
  こんな話を聞いた後に、彼だけのうさぎのクッキーをなんて
  もし同情でも覚えさせたらと思うと、言えなかった。
  ……料理の味を変えてしまうというのも勿論だけれど。

  優しい人だ。他愛なく人を喜ばせることができる人。
  大咲なりの恋の向け方は、多分、隠し通せてはいなくても
  それゆえに、あの時語ろうとしなかった。
  もし彼が他に想う人がいたとして、大咲の過去の話が
  邪魔してしまったらどうしよう──と。

  料理人としての自己肯定感は高くても。
  ひとりの大咲真白を肯定するには、
  あの日のケーキがどうしても傷痕になっていて。 ]

 

 

[ 恋ってもっと、甘くて穏やかで優しいことばかりだと
  そんな風に考えていたけど、現実は全く違う。
  好きだから辛くて、好きだから出来なくて、
  恋しているから、何故か過去の傷をまた掘り返して。

  全部知って欲しい。全部知りたい。
  私以外とじゃなくても幸せでいてほしいとも思えるのに
  でもやっぱりその時傍にいるのは、私がいい。


  ──好きだと告げた瞬間、彼の片手が肩へ触れ
  驚く間もなく繋がったままの手を強く引かれて
  勢いのまま、大咲は彼の胸元へ抱き寄せられた。 ]

 

 

  ────……っ、


[ 大咲の心音に負けないくらいの大きな声だった。
  咄嗟に、いつも大事にしてるカメラがあることを思い出し、
  けれど見開かれたままの目と言葉を紡げない唇は
  そのことを指摘する余裕もない。
  遅れて気付いた彼がそっと体を離すのに
  「あ、」とどこか名残惜し気な声だけが零れ落ちる。 ]


  ………… ……  は、じめて、です
  今まで、お弁当がないこととか授業参観とか……
  三者面談に来てくれないこと、とか
  そういうのから察して、かわいそうって
  言われたことはいっぱい、あった、けど


[ 彼は、母に怒ってくれたという。
  かわいそうじゃなくて、あの日の、母に。 ]

 

 

  ……怒ってくれたのが、嬉しいです
  私には、怒りたくても怒る権利は無いって思ってて
  お母さんにとって邪魔だって、……知りたくなかったから
  捨てたことをなんでって問い質したとして、

  最悪の未来を、考えたくなかったから……


[ だから、嫌いじゃない。恨んでない。
  でも、好きってわけでも、ない。
  触れ合わないのが私からの、せめてもの優しさだった。

  好きになった人が、あの日の自分の代わりに
  ふざけんなと言うくらい怒ってくれる。
  それだけでまた彼に救われて、紡ぐ声はひどく掠れて、
  「薄い人間性」なんて言葉には強く首を横へ振った。 ]

 

 

  全部、神田さんとしたいことばっかりです。
  ご飯もケーキも他のお菓子も食べて欲しいし、
  神田さんのご飯も、一緒に、食べたい。
  一緒に作るのも、きっと楽しいだろうなって思います。

  今まで知らなかったこと、全部知りたいし
  ……私だけの、神田さんになって、ほし ぃ …し


  お互いを一番幸せに出来るって、信じたい。
  ……ううん。一番幸せにするって、約束します、私。


[ 語彙なんか、私の方が滅茶苦茶だ。
  でも今は気持ちの儘に喋って、伝えたいことを伝えて
  貴方と一緒に未来だけ、見ていきたい。

  いつか作るお菓子の記憶が全部、ぜんぶ、
  貴方の笑顔になるように。
  作って差し出す時の、私の笑顔に、なれるように。 ]
 

 


  話したいと思わせてくれたのも
  受け止めてくれたのも、ありがとうございます。

  ……神田さんの恋人にしてください。
  うさぎの穴は例外、ですけど
  神田さんを独り占めさせてほしい、です。


[ カッコつかなくていいんですよ。
  ずっとそんな、照れさせられてばっかりだと
  いずれ溶けてしまいそうなので。

  私だって、好きなんですから
  言わせてください。恋は先手必勝です。 ]

 

 


  えっ。



[ いやあの、疲れてはいないんですが。
  でも照れずに受け止められる自信が全くないというか
  聞きたい気持ちと、聞いたら心が爆発する自信があって

  ……あの、複雑な乙女心という言葉の意味、
  私、ちゃんと今、心の底から理解した気がします! ]


 

 


  ………… ぁの。
  私、恥ずかしがると、逃げる癖が……ありまし、て……

  ……捕まえておいて、くれますか……


[ でも、聞きたいんです。
  貴方が好きになってくれた私のこと。

  そしたら私、自分のことを
  大事に出来るようになる気がするから。* ]

 

メモを貼った。

メモを貼った。

 ― 白うさぎの幕間閑話 ―



[ 早退の夜から二日後に戻って来た速崎は、しかし
  翌日から更に数日、今度は普通に体調不良で欠勤した。
  新しいアリスブルーのうさぎ店員はまだまだ慣れぬ身、
  大咲は急遽シフトを増やし、休日を出勤日にしたりして
  どうにかこうにかうさぎの穴を連携プレーで回した。
  神田とは、夜の退勤後、共に帰る夜もあっただろうか。

 
けいちゃんマジ今度こそツラ貸しとけ〜!?

  ……とは、まあ、体調不良者には思うまい。
  営業後に店裏へ呼び出してタイマンしても良いのだが
  あの時の後姿を思い出すと、どうしても。
  コーヒー豆をそのまま噛んだ後のような気持ちになる。

  "かわいそう"で傷付いたのは、栗栖と速崎だ。
  勝手にそこへ大咲の過去が付いてきただけ。
  零してしまった「なんで」の話し合いは、…未だ。
 
(あ、お土産はちゃっかり食べました。ええ。
美味しかったけど、けいちゃんどこ帰ってたん…?)
* ]

 

 ― アスパラガスの日に ―



[ 漸く得た夜シフトのみの日だった。
  ああ〜夕方からの出勤最高……とかなんとか思いながら
  既に仕込みや準備をする瑞野にそのテンションのまま
  (あの日の視線の先を思い出したのもあり)
  スマホ片手に、MVを見せに行くくらいにはご機嫌だった ]


  瑞野さん、見てくださいよこれ〜っ
  最近友達から送られてきて、ずっと聞いて …て…?


[ そんな他愛ない雑談、の、つもりが。
  予想外の反応に「これは…………」と勘付き
  "本当にヒーローなんだ"という言葉と、クレジット。
  大咲は大変に偉いので、深くは突っ込まなかったが ]

 

 

  (…………ふふ、瑞野さんも、そんな顔するんだ?)


[ あーあ、高野さんってば勿体ない。
  こんな瑞野さんを見れないなんて。
  でもこれは"うさぎの特権"の一種類なので。

  何だか遠くないうちに彼のものになってしまうような
  妙な確信めいた予感もあるからこそ。
  お兄ちゃんみたいな先輩スタッフの横顔を
  微笑ましく見守るに留めました。偉いでしょ〜?* ]

 

[明確な告白の前に、これからも「可愛い」と言う宣言をしたり、終電を逃したら送っていくと申し出たり、随分と厚かましく「彼氏面」をする自分に対し、彼女から返ってくるのは嫌悪でも固辞でもない。
親に甘えることなく育ってきたという成育歴はこの時点では聞いていなかったが、甘え方まで絶妙に可愛いものだから、何度も唇を内側に巻き込んで堪える羽目になった。
本当に隠せる場所ならともかく、ここはまだ彼女の店からほど近い路上なので。]

 頑張りはするけど無理はしないよ勿論。
 仕事を疎かにするやつがきちんと仕事をしてる人の横に立つなんて恥ずかしいし、
 体調不良で無理してうつすのも嫌だし、長引いて会えない日が出来るのも嫌だし。

 でも言っとくけど、僕の仕事はかなり融通が利くものだし、
 身体もすごい丈夫だからね?

[これは守れる約束だ。
自分が彼女の夜道を心配するように、彼女が自分の健康やスケジュールの心配をする権利を持っていてほしい。]

[明かされた話は、自分の人生において似た経験がないものだから、「同じ気持ち」になることはできない。
本当の意味で共感できないことを、耳障りの良い言葉で表現しても嘘になりそうで。
だから彼女の心を救える適切な言葉を探し出せない不甲斐ない自分を正直に晒した。
彼女自身が嫌いになれないと言う母親に怒っていることを隠さなかった。]


 「かわいそう」が言える人は「持ってる側」だよね。
 僕が使うのは「こんなおいしいものが嫌い?かわいそう!」みたいな時だけど。


[その言葉、さっきも聞いたような、と過ったが、食事に夢中だった時に流れた言葉だとは思い至らない。]


 マシロちゃんは、蔑ろにされたことを怒って良いと思うけど。
 
 ……そうか。
 甘え方がわかんないくらい放っておかれたから、
 怒っても「大丈夫」って思えないんだ。

 ああもうなんで!
 なんでこんな、
 
 ……僕の好きな子を傷つけたなって、怒鳴り込んでやりたい。

[呻くように低く呟く。]

[今度は衝動に駆られたスピードではなくゆっくりと引き寄せる。]


 好きだよ。


[切実な響きを耳元に落とした。
彼女が甘えを預けられる場所になりたいという願いを込めて。

約束で自分はまた更に幸せになれる。]


 うん。
 「うさぎの穴は例外」ってちゃんと言えるところも好きだよ。
 マシロちゃんが料理とお店を好きなの、ずっと見て来たからね。

 恋人。うん。
 
――ああ、

   ……「もう離さない」って、こういう時に出てくる言葉なんだなぁ。

[高野の真似をして自分には似合わないと笑った言葉がこんなにしっくり来る日が来ようとは。
実感が籠った言葉は、あの時よりは客観的に笑えるものになってはいないと思うけれど。]


 はは、かーわぃ、
 そうだね、ぴょんって背中向けるの得意だよね。
 
 僕は力もそんなに強い訳じゃないけど、この手は絶対離さない。


[抱擁を解いた。
抱き締めていたら表情が見られないのが惜しいから。*]

メモを貼った。

メモを貼った。


 僕はね、印象に残りにくい子どもだったんだ。

 教室の一軍でも、逆にはみ出し者でもなく、体つきも成績も至って普通。
 さっきも言ったけど、家もサラリーマンの父とパートの母と3人家族で、仲が悪い訳でもなければ比べられる兄弟もいない。
 マンガだと最終回になっても名前が判明しないモブみたいな。

 平凡な人生ってね、笑顔になることがないんだよ。
 テレビ観ても「面白い」がわかんない。
 友達はいたからそれなりに学校生活は送れてたんだろうけど、僕自身にも中学までの思い出って特になくて。

[語り始めたのは自分のつまらない半生。
ドラマティックな出来事がまるでないから、食事の肴にもならない。
だから、あれだけ店に通っていても、きっと誰も知らない。]

 中学何年生だったかの時にスマホを買ってもらって写真を撮り始めて気づいたんだ。
 「カメラを向けたら人って笑うんだ」って。
 そんなことを中学生になるまで知らなかった自分にぞっとした。


 で、笑顔を学ぶ為に写真を撮り始めたんだ。
 ポートレート専門じゃなくてグルメ専門になったのはね、
 「おいしい」って思ったら自分でも笑顔になってる気がしたからだよ。
 おいしいものを食べてたら笑顔になれるって思ったら、
 今度はおいしいもの探しの方にハマっちゃって。

 こりゃあ普通高校に行ってる場合じゃないなって、写真を専門的に学べるコースがある通信制にしたんだ。
 在学中にバイトで始めたグルメ記事が割と評判になって、今ではフリーのグルメライターです。
 SNSでごはん日記もつけてて、そっちの名義でもPR記事とか手掛けて商品もらったりもしてる。

[時間に融通が利く仕事で、それなりに収入があるというネタバラシ。]


 うさぎで仕事のことを言ってなかったのは、完全プライベートで行き始めて気にいっちゃったから、
 「これがいつか記事になるかも」って思われて提供されるのは悲しいなぁと思って。
 同時に、記事にしたらそれなりの反響があるって予想できるから、宝物を見せたくないって気持ちもあって。

[その独占欲は知恵に語ったのと同じだ。]

 まー、今となっては高野さんとかさ、貝沢さんみたいな――ああ後一人声優さんがいるけどこれは内緒かな、所謂「ギョーカイ人」がいるからね、ますます記事にはしないんだけど。

 SNSに前にシャミちゃんのもう一個のお仕事の紹介を偶然知らずに紹介しちゃったことがあって、リアクションかなりついてたから、SNSにも載せない。

 だからあの店に行くのはこれからもただの「神田」だよ。

[苦い後悔の話はまだ本人にはしていない。
彼女を多忙に陥らせた罪滅ぼしが出来る日もいまだ取り置き中だ。]


 前置きが長くなったけど。

 笑顔がよくわからないモブの神田くんは、あの店で自然に「幸せ」ってことを実感したんだ。
 初めは料理が美味しいからだって思ってて、それは勿論そうなんだけどね。

[じっと彼女を見た。
見ていると口角が自然に緩む。
今の自分は、「笑顔がわからない」なんて決して言わない。]


 マシロちゃんが笑ってて、
 マシロちゃんの料理で僕じゃない人もみんな笑顔になってて、
 「楽しんでほしい」って気持ちを聞いた時にね、「ああそっかぁ」って。

 あの日マシロちゃんに言った「幸せプラス」って表現ね、
 ずっと考えてたりどこかで使った言葉じゃなくて、あの場で自然に出た言葉なんだよ。

 僕を幸せにしてくれるのはマシロちゃんなんだって、思った。
 ただの客に過ぎない奴が店員さんに対して思うには重すぎるけど、これが君を意識した最初。

 最初のうさぎクッキーの写真を撮ったのは確かに習慣だけど、
 「また食べたい」って気持ちになったのは、無意識でも既に君が僕を幸せにしてくれるって本能で感じてたからなんだ。

 「ナンパじゃない」って言いながら写真を渡したのは、何気ない行動じゃないよ。
 喜んで欲しいって、顔を思い浮かべながらプリントしました。

[先程は口をはさめなかった、自分の行動の裏側にある気持ち。
あれがきっかけで彼女が自分を意識してくれたのなら、あの時既に好きだったのだと言いたくて。]


 料理に対して謙遜しないところが好きです。
 仲間の料理を人前で得意げに話すところも好きです。
 誉め言葉を否定しないで、照れてても一旦受け止めてくれるところも、
 それを聞いてどういう気持ちか素直にきちんと伝えてくれるところも、

 料理だけじゃない、マシロちゃんの存在自体が僕を幸せにしてくれてる。

 今言語化できるのがこれくらいなのが悔しいけど、
 もっともーっとある君の好きなとこは、
 これからずっと傍で聞いていて。


 好きだよ、マシロちゃん。
 「マシロちゃんの」料理が食べたい。お菓子が食べたい。

 僕を好きになってくれてありがとう。

[よく聞こえる白うさぎの耳は、全部を聞いてくれただろうか。
思いの丈を離せば随分と長話になってしまった。
「送るよ」と促して、先に立ち上がろう。*]

メモを貼った。

メモを貼った。

――牛しゃぶの話――

[店名を見れば、またランチのラインナップを見れば、この店は洋食屋さんなのだろうなと判断する一見さんも多くいるだろう。
だが自分は知っている。
望めばそれに必要な具材がない時以外は和食も作ってくれることを。

日本人の中にこの色嫌いなやついる?いねーよなあ!
とばかりの鍋つゆの色。
先に入れられた大根には出汁の味がしっかりと浸みている。

甘い白ネギ、シャキシャキの水菜、傘でたっぷり煮汁を抱えられるしいたけ、どれも好きな野菜だ。]


 はわわ……見てこのレースみたいな牛肉……
 まさにアート……ナギちゃん天才……


[菜箸が思わず震えた。
薄さを確かめるように、兄弟たちに掲げて見せる。]


 これをしゃぶ、しゃぶ、しゃぶ、 ……と、


[自分の取り皿にそっと置き、箸を持ち帰る。
まずは肉だけを口に入れ、「ほどける〜〜」と震えた。

それから野菜を巻いて。

青ネギと、生姜とをかけて。

最後に細切れしか残らなかった鍋つゆにご飯を入れて卵雑炊にしてもらったのを、3人で競うように食べた。]

[また3人で、或いは高野も入れて4人で、楽しく鍋をつつきたい。
そんなことを呑気に思い返したのは、浮かれた帰り道の翌日のこと。**]

メモを貼った。

 

[ 母親を嫌いになれないから、誰かに怒って欲しかった。
  大咲が言えないこと、癒えない傷を肯定されたくて。
  だから自分を救うために綺麗な言葉を並べるのではなく
  思っていることを吐き出すその誠実さが、好き、だ。 ]


  ……持ってる、側
  そうですね、……だから私、傷付いたのかも


[ 同じ世界にいたいのに、違う場所へ落とされたみたいで。
  持ってないと、なにか駄目なことが、あるのかなって。

  呻くように低く呟く貴方の方が、
  今はよっぽど、私よりも痛いような声音をしている。
  速崎へ零した"なんで"や、話し合いも、
  大咲はタイマンと言いつつ本当に怒る気はなかった。

  怒って、相手を失うのが怖いから。
  ……けれど、貴方が私の代わりに痛がってくれて
  こんな風に怒りを露にしてくれた、それだけで。
  過去の私が、泣き止んでいくような気がするんです。 ]

 

 

[ 緩やかに引き寄せられて、耳元で囁き落ちる言葉。
  そこには好意を伝える以上の切実な声色が満ちていて、
  ああ、甘えて良いんだと、思えた。

  甘え方はまだ手探りで、何もかも生まれたての迷子みたい。
  でもそこに貴方がいてくれるのなら
  私は、私のままでちゃんと、立っていられる。 ]


  ……うさぎの穴は例外って分かってくれる、
  ううん。同じ気持ちでいてくれる、神田さんが好きです

  ────それ、高野さんのMV……見ましたよね?


[ あの日ふざけて言い合っていた言葉。
  宛先が私だったら良いのにな、って思いながら聞いていた。
  揶揄うようになんとか声を返したけれど
  離さないで、ちゃんと、捕まえていて欲しいのです。
  ……白うさぎは脱兎が得意なので。

  体温が離れても、手の温もりは繋がれたまま。 ]

 

 

[ それから語られるのは、まず、貴方自身のこと。
  店員とお客様という立場の時は聞けなかった話だ。
 知りたくて、識りたくて、じっと貴方を見つめながら
  私は聞いていることを示すように頷きも時折挟む。

  父親と母親がいて。平凡な人生。
  大咲にはドラマ越しでしか知らない想像の世界。
  けれど、貴方のことなら何でも教えて欲しくって。
  "平凡な人生は笑顔になることがない"なんて
  そんな言葉に、ぽかん、と口を開けたりもしたかな。

  ……普通の人に憧れたことも、あったけれど
  彼らには彼らなりの悩みや人生や景色があるんだ。
  些細な、でも大事なこと。うん、と頷いた。 ]

 

 

  …………、


[ 写真が趣味の人なんだろうな、という大咲の認識は
  ここで大きくひっくり返されることになる。
  笑顔を学ぶため。
  常に楽し気にしているお店の貴方しか知らないから
  そんな理由も、想像なんて、していなくて。

  美味しいものを食べたら笑顔になるという言葉には
  「分かります」とばかり、瞳を輝かせた。
  フリーのグルメライター。SNSのご飯日記。
  だから昼夜問わず店へ来れて、融通も効くと言ったのか。

  ひとつひとつ、パズルのピースが嵌るような気持ちだ。
  他の誰でもない 特別な貴方 のこと
  耳に入る言葉はどれも新鮮で、知れることがうれしくて
  カメラを向けなくても、貴方がいるだけで笑えるんだ、と
  示すように私は自然と咲っていた。 ]

 

 

[ ──うさぎの穴を秘密にしている理由も。
  それだけ私が愛しているあの場所を、
  貴方も大事に想ってくれていることが分かるばかり。
  何故か業界人も多いとなればその配慮は有難い。

  …そういえばシャミ先輩、最近忙しそうだったな、と
  体調不良の理由を知っている大咲は
  シャミちゃんの、という話題で不意に思い出したけれど。

  そこは当人同士、或いは本人が糸を解くところだろう。
  故に察するに留め、ただの神田だよ、と言う彼に ]


  ────はい。


[ 勿論です、としっかり声を返した。 ]

 

 

[ じっと見つめられるなら、視線はそらさない。
  ……それ自体は結構大きな一歩なんですが、その、
  笑顔が分からない人の頬のゆるみ方じゃないですし
  そんな風に咲う理由も、あの、……自惚れでないなら。 ]


  ────── ……  っ


[ 聞かせてくださいと言った身で。
  愛されることに慣れない心は、降り注ぐ言葉に閾値を超え
  うさぎの目と同じように顔も耳も赤くした。

  「ナンパされても歓迎ですよ」なんて
  写真を貰った時、冗談めかして返したのを思い出す。
  あーあ、これ全然脈無しだ、と寧ろ思っていたのに
  ……私のこと。想ってくれてたんだ、とか。 ]

 

 


  ……あの時、ナンパして欲しかったんです、ほんとは
  今それ言うの、恥ずかしい…ですけど。
  神田さんの笑顔が好きだったから。
  高野さんと話してたこと、気にしちゃうくらい

  私を幸せプラスって言って幸せにしてくれた
  神田さんの笑顔も言葉も、全部、

  ────神田さんが好きです。わたし。
  今は、あの、……照れちゃって
  ぜんぜん……上手く言えないですけど

  隣で言い続けるから、神田さんからも、聞きたいです
  ……神田さんが好きでいてくれるなら
  私も、私のこと、ちゃんと大事にしたい。出来ます。


[ きゅ、と私から貴方を今度は抱き締めた。
  赤くなった顔も、感情が波打って潤んだ瞳も、
  隠すことなく体温を分かち合って。 ]

 

 

  はい。神田さん。
  "神田さんに"、全部全部、食べて欲しいです。

  ────そんなの、こっちのセリフですよ。
  好きになってくれてありがとうございます。
  ……好きを教えてくれたのも。


[ 初恋なんですよ、これ、と打ち明ければ
  全部ちゃーんと聞き届けた白うさぎの目に
  貴方はどんな顔で映っていたかな。

  へにゃへにゃ頬を緩める私は、春に浮かれたうさぎの顔
  先に立ち上がる貴方へ合わせて
  「送ってください」と頷き。

  そのまま、手を繋いで 穏やかな夜の帰り路
  春の訪れを感じながら、一緒に、帰りましょう。** ]

 

メモを貼った。

【人】 厨房担当 ゲイザー

[「許してあげる」>>179、と栗栖は確かに言った。
 速崎のか細い頼りない謝罪は、確かにその耳に届いていたのだ。
 それで十分、とばかりの優しい声音に、本当に涙が滲んでしまいそうになったのを、この時はなんとか堪えた。]



   あり、がと。


[か細い声なりに、この時はなんとか笑えた、はずだ。]
(348) 2023/03/08(Wed) 9:43:15

【人】 厨房担当 ゲイザー

[その後の栗栖の反応>>180>>181には――後から思えば、速崎にとって意外なことがひとつ・・・含まれていた。
 この時自分からぶちまけてしまった涙と情緒の所為で、当初は何も深く考えられなかったのだが……]


 ……そうだったん、だ。
 そう、だね。うん。


[「好き」への答えよりも前に告げられた、『大丈夫』の答え合わせと、お礼>>181
 どうすれば『大丈夫』なのかも、「ありがとう」の言葉そのものも、今の栗栖と同じ立場にいた過去の自分にはできなかったこと。
 目を合わせたまま微笑むその人の言葉に、否応なく、滲んでいた涙がぼたぼたと墜ちていく。
 この時、速崎の手元には何の食材もなかった。その意味では、ここで涙を落としても大丈夫なはずだ。]
(349) 2023/03/08(Wed) 9:43:32

【人】 厨房担当 ゲイザー


 にて、る?


[その言葉が出てきた>>184時は、涙しながらも意外げに瞬いた。
 深く思考できたわけではなかったが、もしかしたらそうかも、とも思う。
 距離近いように見えて引いている一線。
 そしてその一線を確かに、あの「失言」の時も、この時も、自ら踏み越えていた。]


 ……うん、バグだな。


[そう肯定した時には、泣いたまま、笑みが零れていた。
 それからはただ、うん、うん、と小さく相槌を返していた。
 もう一度の「ありがとう」にも――微笑みと共に告げられる、現在形での「友達」の意思にも。]
(350) 2023/03/08(Wed) 9:43:51

【人】 厨房担当 ゲイザー



  ―――…、そ、っか。


[「ゲイザーとは付き合えない」>>185
 栗栖からそう告げられた時――不思議と、すとんと腑に落ちた気がした。
 これは、直前の言葉からある程度予想できた答えだったから、でもあったけれども。]


 うん、それじゃ、無理だよね。
 『特別』になりたい人が、いるんじゃ、私とは無理だ。
 正直に、言ってくれて、ありがと。
 クリス、さん……ううん、クリリン。


[皆に分け隔てなく言える「好き」ではなく、「恋人に」「なれたら良いな」と、そう明確に伝えてくれた。
 栗栖から視線を外さずに、迷いなく、その返答を受け入れる。]
(351) 2023/03/08(Wed) 9:44:17

【人】 厨房担当 ゲイザー



 私の「好き」――恋心は、すぐには、消せないと思う。
 そんなヤツでも、いいんなら。
 私も、あんたとは友達になりたいし、友達でいたい。


[軽口を飛ばし合える程度に親しい「店員とお客様」ではない、かといって恋人でも「特別な好き」でもない、友達。
 泣き笑いのままでその望みを口にしながら、ふっと零す。]


 正直に言うと、私――…
 クリリンに告る気は、なかったんだよ。
 こんな私でも、恋、できるんだって。
 そう気づけただけで十分だった。嬉しかった。
 ……流れとか勢いとかで、言っちゃったけどさ。


[一瞬だけ目を逸らしたのはばつの悪さからで、けれどもその「言っちゃった」ことに正面から向き合ってくれた人へと、再び目を合わせる。]
(352) 2023/03/08(Wed) 9:44:44

【人】 厨房担当 ゲイザー


 だから、あんたが別の誰かに恋してたって、
 全然気にしない心算だったし、
 実際、あんまし気になったりとかしなかった。

 ……だから、さ。
 友達として、あんたの恋、応援させてよ。
 誰と付き合いたいとか、そういうのは聞かないけど。


[こう栗栖に告げた時、自然と笑うことができた。
 そしてこの時、速崎が頭の中にぼんやりと思い描いていたのは、「やっぱりカッチだったりするのかなあ」程度の、確証のない想像だったのだけれど――]
(353) 2023/03/08(Wed) 9:45:07

【人】 厨房担当 ゲイザー



 ( ……あれ?
    なんか、引っかかる、な )


[幾らか落ち着けた今だからこそ、ふと思う。
 ついさっき、栗栖が「俺の友達」――葉月を自慢していた時>>143のことだ。]


( なんであいつ、あんな顔してたの?
  自慢してきたのはそっちだってのに。 )


[葉月自慢に葉月への賞賛で返した時>>180、何故か、驚きでもされたような――。
 努めて疑問は口から零さないようにしながら、奇妙な思考が4倍速再生くらいのスピードで過っていく。]
(354) 2023/03/08(Wed) 9:46:07

【人】 厨房担当 ゲイザー


( 別に「友達」として応援したとか
  そういう訳じゃ、なかった?
  じゃあ、なんであんなこと突然…… )


[皆様方もお察しの通り、速咲璥は
下手したら店長に怒られるレベルで
、オーダー対応どころか店内への目配りもできていない。
 故に、あの時葉月が店にいたかどうかもよく把握していないのだが、速崎なりに認識している限り、あの時は、いなかった。
 実際彼の来店>>173は、丁度速崎から告白したタイミングだ。]


( 本人いないとこで、かっこいいとかベタ褒め。 )


[速崎自身もそういう返しをしていた訳だが、それは置いて。
 そこで妙な違和感がこみ上げてくる。
 あの二人は仲直りの後、これまで、どんな感じでいた――――?>>145]


 ( ………………まさか  )
 
(355) 2023/03/08(Wed) 9:46:49

【人】 厨房担当 ゲイザー


( 
Triskeleみつどもえ……
 )

  Tris ......tan. Sir Tristan.


[意味がわかるとアウティングになりかねない単語を紡ぎかけた口を止め、別の語に言い換える。
 あの『アーサー王伝説』、そして『トリスタンとイゾルデ』の登場人物の名。
 詳細は省くがこの物語群も相当な人間関係で、けれども基本的には異性愛の関係性の暗喩で済むだろう、と。]


  ...don't wanna be Sir Lancelot
        or Iseult of the White Hands
  I just wanna be your friend, sincerely...


[過った可能性のあまりの可能性に、今度は速崎の言語野がバグった。
 全く以て聞き取れなくても問題ない呟きを真顔で零した後、(本当の咳払いはキッチンではできないので)咳払いするような素振りをひとつ。]
(356) 2023/03/08(Wed) 9:47:44

【人】 厨房担当 ゲイザー


 とにかく、クリリンの恋は応援する。
 応援するって言っても、私に何かできる訳じゃないけど。
 ……向こうも、自分なりに真面目に・・・・・・・・あんたに向き合える人なら、
 上手く行く――かは兎も角として、
 悪い思い出になんか、きっと、ならないでしょ。


[かつで自分の口で紡いだ誰かさんへの賞賛>>161の一部を引用する形で、今一度屈託なく笑って告げる。
 仮に勘違いであったとしても、誰であっても、自分なりに真面目に考えてくれる人なら、とばかりに。
 こうして一通り告げた後、これまでのサボりを返上する形で気を取り直そうとして――。]
(357) 2023/03/08(Wed) 9:50:20

【人】 厨房担当 ゲイザー

[思い出したように、ぽつり、付け加える。]


  縁、切らないでくれて、ありがと。
  ……私、わりとバッサリ切れちゃう方だから、
    あんたに「切りたくない」って思って貰えて、嬉しい。


[栗栖がそう言ってくれた背景>>339までは、「貧乏」のことを知っている今でもまだ判らないけれど。
 これだけ笑って告げたら、さあ、真面目に調理を再開しよう。**]
(358) 2023/03/08(Wed) 9:50:47
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。
(a62) 2023/03/08(Wed) 9:55:42

【人】 厨房担当 ゲイザー

― ゲイザー、再起動 ―

[栗栖との一件で、本人も気づかないうちに周囲に>>173>>174波紋を>>234>>240広げていた>>228>>296速崎だったが。
 調理に戻ると一度決めれば、その後の作業は早かった。

 ちなみに、先程栗花落から貰ったシュネーバルとチケットの入った(とはまだ知らない)紙袋は、この間に一度バックヤードに引っ込めている。
 ペアチケットの2枚目の行方がどうなるかは、少し後の日になってから決まるのだろう>>171。]
(393) 2023/03/08(Wed) 16:10:07

【人】 厨房担当 ゲイザー


( 名残のやつ>>0……ホントは、
  蒸し物や煮物がベストだけれど。 )


[栗花落には既に、イカ墨のリゾット>>230の具やトマト煮込み>>317と言う形でブロッコリーは供されている。
(「春のたまごふわふわ」>>285>>286>>287でも使われているが、こちらは高野に出されたものだ)
 キッチンやカウンターの状況、注文リストのメモに目を遣りながら、速崎は既に出してきたパン粉とハーブとを見やり]


( うん、ブロッコリー主役でやるなら、
  ここはやっぱり、煮込みとは変化つけよっか。 )


[当初の考え通り、香草焼きで。
 名残野菜の身の詰まった硬さについては、カットする大きさでカバーしようと。]
(394) 2023/03/08(Wed) 16:11:00

【人】 厨房担当 ゲイザー

[ブロッコリーは小房に分け、一口で難なく食べられる程度の小ささに切り分ける。
 硬い芯も本当は捨てるに惜しい部位なれど、水分の抜ける焼き物であることを考慮して、今回はできるだけ切り落としていく。
 蕾の割合が多めの小房がひとつ、ふたつ、みっつ……たくさん!
 これをフライパンに入れ、下味程度の塩と水を入れ、蓋をして蒸しておく。

 それから、他の具材も。
 香草焼きならブロッコリー単体でも(速崎は)無限にいけるが、食感や色味の変化も欲しいところ。
 アスパラガスやたけのこは主役食材として何品か出されている>>211>>212>>281からパスとして――。

 ここで選んだのは、赤と黄のパプリカ、ブラウンマッシュルーム。
 パプリカはブロッコリーの小房より少し小さめ程度に、四角くカット。マッシュルームは元々小さめのサイズのものを選び、石突を切り落とした上で、そのままの丸形で出すことに。]
(395) 2023/03/08(Wed) 16:13:58

【人】 厨房担当 ゲイザー

[こうして、予め蒸したブロッコリーと他の野菜類を、グラタン用の深皿に移して詰めていく。
 ここで用いたグラタン皿は、内側が白、外側は黄色。
 皿の外側には浮彫という形で、花弁のまとまったダリヤの花のモチーフが描かれている。

 蕾ながらも緑の花畑めいたブロッコリーの中に、パプリカの四角い赤色と黄色、マッシュルームのまん丸い薄茶色が入り混じる、野菜の盛り合わせ。
 この上に振りかけるパン粉は、粉チーズと、パセリやオレガノ、タイム、黒胡椒を含むハーブソルトと混ぜ合わせたもの。
 ハーブソルトの中には唐辛子が含まれているものもあるが、今回用いたソルトには含まれていないことを確認済み。

 この上にさらにオリーブオイルを掛けてから、オーブンに投入。
 焼き上がれば、皿の真ん中あたりのパン粉が、ほんのり狐色に焦げている。]
(396) 2023/03/08(Wed) 16:16:25

【人】 厨房担当 ゲイザー



 ツーユーリーん!!
 大変お待たせしちゃいました〜!
 こちら、ブロッコリーと三色野菜の香草焼き、
 あっつあつのお皿に気を付けながら、
 たーーーーっぷり食べちゃってくださいね!


[足取り軽く、口調も軽く、けれど努めて落ち着いて(熱々のグラタン皿は危険物!)。
 赤く腫れてはいるけれど、涙はもう滲んでいない目で。
 速崎は栗花落に、満面の笑みと共に香草焼き>>395>>396の皿をサーブする。]
(397) 2023/03/08(Wed) 16:18:08

【人】 厨房担当 ゲイザー

[……と、カウンターで注文を待っていた栗花落にも、先程の自分と栗栖とのあれやこれやは見聞きされてしまったかなと思い、笑顔のままで眉をへにゃりと下げた。
 あの時栗花落が、葉月が駆け出した後の扉を閉めようとしてくれた>>188>>206ことには気づいていないまま。]


 さっきのは見なかったことに〜…とは、言いません。
 ゲイザーにも、あんな暗くて、未熟で、ダメなとこ、
 あるんだなーって、笑って受け流しちゃってください。


[苦笑いを明るい笑みに変え、「ごゆっくり」と言い残してから、速崎は別のオーダーの準備に向かった。

 さてこの香草焼きは、葉月が店に戻ってきてから>>369>>370>>371栗花落に届けられたもの。
 その葉月の告白>>293に対して速崎が何を答えたかは、これから語ることにしよう。*]
(398) 2023/03/08(Wed) 16:22:26
[その傷を負うのは自分ではない。
これは彼女の痛みとは比べてはいけない程身勝手なものだ。

「傷ついた」と明かせる相手はこれまでにいたのだろうか。
一人で痛がっていたのかもしれないと思うと堪らなくなる。

腕の中に閉じ込めた真白がこれ以上誰かに傷つけられないように守りたい。
現実的にどんなに不可能であっても、そう思うばかりで。

高野とのやり取りではピンと来ていなかった台詞がストンと腑に落ちた。]



 バレたか。
 マシロちゃんも知ってたんだねアレ。
 あの時はまだ片想いだったからね、僕が真似しても浮いてたけど。
 今なら実感籠って言えるから。

 あんなにいい声じゃないけど、
 マシロちゃんにとって「こっち」を本物にして。

 「もう離さない」

 白うさぎの時間が終わったら、後は全部僕の。

[真白も見ていたなら、あの時は彼にドキドキしていたのかもしれないが。
本歌取りしてしまえとばかり真剣に想いを込めて告げた。]

[取り立てて面白みのない生い立ちは、苦労した人から見れば腹立たしいものかもしれない。
そんな思い込みや勝手な引け目でこれまで語っては来なかった。

お喋りなようでいて、その9割は料理の感想を言っているだけの男。
中身は随分つまらないと自分では思っている。

そんな話でも、彼女は静かに聞いてくれた。
自分のプロフィールをこんな顔で聞いてくれる子がいるなんて思わなかった。++66
その社会的立場は置いておきたいという我儘には、相槌だけではなくきちんと言葉で約束してくれた。

話しているのは自分なのに、たくさんの彼女の情報を自分がプレゼントして貰っている感覚。
想いはたくさんあるのに言葉にできるのはほんの一部。

自称「勘が良くない」君でも間違いようがないくらい、
「愛しい」っていう笑顔ができるのは他ならない君のおかげだと――

どうやら伝わっていたらしい。]


 耳まで真っ赤なの、ほんっと可愛い。


[ほら、言うのを控えたりなんて出来ない。]


 ええー全然気づいてなかった。
 「信用してる」みたいに言われたから、僕は君にとって「男」って思われてないんだな〜って内心ちょっとしょんぼりしてたよ。

 白うさぎさんの耳は、特に僕に対して感度が良好だったんだ?

[店内の注文や要望をよく聞いているから、耳が良いのは誰に対してもだと思っていたが、自分が自分の注文以外が向かう先に自然と視線を向けてしまっていたように、彼女もこっそり此方を気にしてくれていたという事実。
嬉しさに緩みっぱなしの口元が逆に真顔に戻れなかったらどうしようかと思うくらい。]

 じゃあこれからはずっと大事にできるね。

[もう離すつもりなんてないから。]

[真白の腕が背に回る。
預けられた体温が心地好い。

「これ以上ない」

そんな熱に浮かされて言葉を紡いでいけば、とんでもないものが返って来た。]


 っ!
 それは反則でしょう……。

 僕が幸せになることで、君に好きを教えてあげられた?
 ああもう、すごい殺し文句だ!

 初恋を僕がもらっちゃっていいの?
 絶対返さないよ!


[耳が熱い。
彼女を揶揄えない程に自分も今真っ赤になっている自信がある。]

[送ろうか、と立ち上がったのは、時間がもう遅いというのもあるけれど、
これ以上彼女の可愛さを摂取したら過剰摂取で倒れてしまいそうだと思ったからだ。]

夜は更け、人はよりまばらに。
彼女さえ体力が残っていれば徒歩で帰路につく。]

[公園から見える位置にあるマンションの5階が神田家。
一人暮らし、実家は他県。
客用布団もあるから、仕事帰りに体調が悪くなったら使って。

25歳、誕生日は冬。もう過ぎた。
A型。ご存じの通り身長も体重も顔も声もすべて平均的。

たくさん食べても太らないのは、健康で新陳代謝が活発なのと、多分趣味が登山だから。

今まで好きな色を聞かれたら、美味しい食べ物が多い「茶色」と答えていたけれど]

 ちょっと前から白が特別になったよ。

[車検ついでに秋に車を買い替えた。
前は何も考えずに黒に乗っていたけれど、どうしても白から目が離せなかった。

そんなことをつらつら話して。]


 休みって何してる?
  ――これはデート計画に関わってくるからね、好きなこといっぱい聞かせて。
 インドア?アウトドアもいけちゃう方?

[あまり質問攻めにしたくはないと思っていたけれど、しつこかったかもしれない。
この夜が最後ではなく、店でだって色々聞けるのに、「また今度でいいや」と自制できなくて。

明日は休みだと聞いたが、月にどのくらい休みがあるのか、とか。
旅行に行くとしたら休みは取れそう?とか。

一駅、ゆっくり歩いた筈なのに、あっという間に着いてしまって別れ際。]


 そうそう、さっき言えなかったけど。
 「全部全部、食べて欲しい」っていう言葉はね、
 ちょっとこう、一瞬別の意味に捉えちゃったよ、って懺悔しとくね。

 話の流れでご飯っていうのはわかっててもね!

 ……すけべ心があるっていうのは、憶えといて。

 
じゃ!おやすみ!


[顔を隠すように手を振って、踵を返す。
初恋だと言う彼女のペースに合わせるつもりだけれど。
信頼される男でいたいけれど。

ああ、Madam March Hareで理性に聞く料理を注文しなきゃ!**]

メモを貼った。

【人】 厨房担当 ゲイザー

― 再起動前 ―


 
応援してもらって別にいいでしょ。



[とまあ、その自論だけははっきり真顔で伝えた上で>>359
 バグからの回復後、「友達」としての栗栖>>360からの言葉に、はっとして目を見開く。
 葉月本人だけでなく、自分自身も、彼のことを見くびっていた――そのことを突きつけられた時、まるで頭でも打たれたように、くらりと眩暈が過った。
 それでも、栗栖から顔を背けずに、言葉の続きを聞く。]


 ……うん。


[口に出さないことも多いから、どれだけの者が気づいているかは知れないが――。
 「貧乏だから可哀想」の件に限らず、速崎には、頭のどこかで「他者を自分より低く見る」きらいがある>>0:3>>1:409。大咲の試作品の件は、あくまで商品としてのクッキーへの指摘だけだったけれども。
 この背景については、語る機会があれば、またどこかで。]
(404) 2023/03/08(Wed) 19:15:58

【人】 厨房担当 ゲイザー

[問いかけ>>361には、ほんの少しだけ、返答までに間があった。]


 ……、堪えたよ。
 ハヅキんなら多分、私なんかよりも、
 ずっと、堪える、でしょ。


[確かに同じ立場なれど、それでも、完全に同じ人間としては語れない。
 そんな迷いを滲ませた答えを、力なく、笑みの消えた顔で呟いた。]
(405) 2023/03/08(Wed) 19:16:33

【人】 厨房担当 ゲイザー


 ―――そうだったん、だ。


[その事件>>1:4>>1:6>>1:24>>1:25>>1:26があった日、速崎に何があったのかは置いて、その現場を速崎は見聞きしていなかった。
 結末だけ>>1:115>>1:130に触れていた耳は、事の次第をここで漸く知ることになる。]


  そうだったん、だね。
  ……私が、テンちゃんにできなかったこと、
    ハヅキんには、できたんだ。


[ふっと昔の心残りの名がここで零れたが、それはここでは些細なことだろう。
 ただ、明らかにドスの入った声ではっきりと告げられたことに、目は逸らさないまま、苦しげな息をひとつ吐く。]
(406) 2023/03/08(Wed) 19:16:55

【人】 厨房担当 ゲイザー

[それから「友達自慢」の意図を知らされれば>>362、別の意味で気恥ずかしくなり――。]


 ……マジ、バカな勘違いしてごめん。
 恋愛脳のバグだって笑ってくれて、いいよ。


[思い返す。「怖かったら」というのは、「傷つけた相手に謝るのが」怖ければ、ということだろうと>>143
 だからこそ、葉月を引き合いに出してその勇気と根性を伝えたのだと。
 速崎はそう理解し直して、ひどく苦い笑みを浮かべた。]


 うん、じゃあ、ちょっと肉作ってくる。
 私のお任せでやっちゃっていいね?


[その鶏肉の何かを手がけるのには、少し時間が掛かるが――。
 ともあれ、この程度の事で、との言葉に気の抜けた笑みを零しながら、キッチンの仕事に戻っていった。*]
(407) 2023/03/08(Wed) 19:17:34

【人】 厨房担当 ゲイザー

― そして、再起動後 ―

[これはおそらく、栗花落向けのブロッコリー香草焼きを作っている間のこと。
(フライパン中は火から目を離さなかったが、それ以外の工程なら、多少場を離れる程度の余裕はあった)]


 あ……、ハヅキん。
 いらっしゃいませ〜!


[カウンター越しに葉月>>293の来店に気づき、いつも通りの明るい笑顔で振り返った。
 速崎の目に涙や涙痕はもうなかったけれど、泣いたこと示すように赤く腫れてはいた。]
(408) 2023/03/08(Wed) 19:18:00

【人】 厨房担当 ゲイザー

[それから告げられたのはオーダー……ではなく「好き」の告白。
 言われた直後こそ、不意打ちを受けたようにきょとりと瞬いたものの、すぐに、ああ、と理解して。
 身体ごと真っすぐに葉月に向き直り、落ち着いた態で、紡がれる言葉に耳を傾ける。]


 ハヅキさん。
 ……ううん、ハヅキん、でいっか。


[「こたえてくれなくて大丈夫」とは言われたが、それでも答える。
 ちゃんと真剣に向き合っていることを示すように、「さん」で一度呼びはしたけれど――やっぱり「なんでもない」今まで通りの呼び方がいい、と。]


 ありがと。ちゃんと、教えてくれて。


[眼鏡越しの葉月の両目を覗き込むように見つめて――見つめる目ごと緩める形で、表情を笑みの形に崩した。]
(409) 2023/03/08(Wed) 19:19:38

【人】 厨房担当 ゲイザー


 知ってたよ、前から。
 ハヅキんの顔に、仕草に――助けてくれたことに、
 「好き」がすごく出てたから。


[「助けてくれた」はかなり抽象的な言い回しだが、これについては少し後に説明されることになる。]


 それでもさ、ただ「好きっぽく見える」だけなのと、
 ちゃんと言葉にして伝えてくれるのって、違う。
 思いをはっきり言葉に出すのって、勇気要るもの。
 それも、ついうっかり……とかじゃない、
 ちゃんと自分で心に決めて、口に出すのってさ。
 
(411) 2023/03/08(Wed) 19:20:23

【人】 厨房担当 ゲイザー


 私は別の人が好きかも、とか、
 私にフラれるかも、って思ってたんでしょ?
 そう思った上で「好き」を伝えに来たハヅキんは、
 ものすごく勇気あると思う。……うん、勇者だ。


[璥という人間が栗栖に対して行ったそれは、「好きでいるだけ」を良しとした者の事故的な吐露でしかない――少なくとも、この時の璥はそう思っている。
 けれど自分の心と、葉月祐一という人の心のかたちは違う、と。
 「関係ない」、「伝えたかっただけ」、とその人は言ったものの、そこに至るまでにどんな心の旅路があったか>>174>>175>>176>>238>>275は判らない。
 判らないなりに、自分とは異なる苦悩があったのでは、と考える。]


 ってか、あのスターゲイジーパイを
 がっつり食べてくれた時から既に、
 ハヅキんは勇者だったもんな。あっははあ。


[星を見つめる魚のパイを葉月と栗栖に食べて貰った夜を思い出しながら、気楽で他愛ない調子で笑い声をあげて――。]
(412) 2023/03/08(Wed) 19:24:10

【人】 厨房担当 ゲイザー

[そんなふざけた調子は一度止めて、真剣な、けれども穏やかな笑顔で。
 葉月の目を真正面から見つめて、はっきりと言い切る。]


 うん。
 私の心には、好きな人がいます。
 そして、他に好きな人がいる私は、
 ハヅキんの恋人になることはできません。


[自分の告白を既に葉月が聞いているとは知らないまま――。
 他の誰かに守られながら自分は黙り込むこと>>2:499>>2:500など考えずに、自分の口で直接告げる。
 けれども昔のように、結論から入って用件だけで終わらせるという形にも、この時はしなかった。]
(413) 2023/03/08(Wed) 19:25:32

【人】 厨房担当 ゲイザー


 ( ……本当は、あいつへの恋心は、
   消しちゃいたいん、だけどな。  )


[抱えているものをつい正直に零してしまう癖はあれど――。
 この望みに関しては、努めて意識して、速崎は黙っておくことにした。
 
友達になってくれたあいつではない、
自分への「いつか」を期待させてしまうかもしれない言葉は、出さない。

 今のこの「恋」が、自分が死ぬまでに消えてくれる保証はない。
 そして、自分の中に葉月への「恋」は無い。
 そう思えばなおのこと、無責任な期待など抱かせてはいけない、と。]
(414) 2023/03/08(Wed) 19:28:48

【人】 厨房担当 ゲイザー



 ……とまあ、そうお断りした上で。

 こんな・・・私でも好きになってくれて――
 って言ったらハヅキんにも、テンちゃんにも
 失礼になっちゃうから、訂正。
 女の子とか男の子とか、パイ焼きとかじゃなく、
 ちゃんと、ひとりの人間としてのゲイザーを
 好きになってくれて、ありがとう、ハヅキん。

 私は、あなたに好きになって貰えたことを、
 心から、とても、誇りに思います。


[葉月の目に目を合わせたまま、ちゃん屈託なく笑った。]
(415) 2023/03/08(Wed) 19:29:29

【人】 厨房担当 ゲイザー

[オーダーの件が気に掛かったこともあり、一旦ここで話を終えようとしたのだが]


 それと……そうだ。
 この前出迎えてくれた時に言いそびれちゃったから、
 ちゃんと今、伝えたいんだ。


[あの日>>148>>149>>150に言うことも考えてはいたが、当時の自分の迷いだけでなく、あまりにも美味しそうにシェパーズパイを食べて貰ったことで、伝えるタイミングを見失ってしまっていたこと。]


 私がお店飛び出していった時、
 ハヅキんが追いかけてくれて、声かけてくれたから。
 私はあの時、ちゃんと足を動かして進むことができた。
 ……本気で急いでたのに、動けなかったんだよ、あの時。


[背を摩って貰ったとか、肩を抱いて貰ったとかがあった訳ではない。それでも後を追って言葉だけでも届けてくれたことに救われたのだ、と。]
(416) 2023/03/08(Wed) 19:30:44

【人】 厨房担当 ゲイザー



 だからハヅキんは、私を助けてくれた恩人。
 命の恩人、って言ったら大袈裟かもしれないけど、
 そう言ってもいいくらい、かっこいい人です。


[もう一人からの「かっこいい」の太鼓判は、当人自ら押して貰おう。
 「かっこ悪くたって、頑張らなくたって、いいんだよ」の自論>>1:466は今は封印して――。
 葉月ににっと笑いかけてから、今度こそ本当に、ブロッコリーの香草焼きの仕上げに奔走する。*]
(418) 2023/03/08(Wed) 19:32:07
 

[ 一緒に痛がってくれるのが嬉しい、なんて言ったら
  貴方は果たしてどんな顔をするのだろう。
  同情でも何でもなく、あの日の傷を肯定してくれること。
  例え立場が違っていても その想いは確かでしょう?

  これから先、二度と傷付かないなんてことはきっとなくて
  でもその代わりに私の隣には貴方がいるし
  貴方の傍にも私がいる。
  ──守られるばかりじゃなく、一緒に、どんな痛みも傷も
  向き合っていきたいな …そう思えた。
  うさぎだって、いざという時はやるんですよ。 ]


  ……私が一番好きな声は、神田さんの声、ですよ
  だから、その
  …………あんまりドキドキさせないでください……


[  真剣な声音が本気なんだと教えてくれる。
  そろそろ本気で担当カラーを桃色にするべきか。 ]

 

 

[ 好きな人のことなら、どんな人生でも聞いてみたい。
  寧ろ貴方が私みたいな道を歩いていなくて良かった、と
  そんな風に想うのは 大咲のエゴだけれど。
  「取り立てて面白みのない生い立ち」と思っているなら
  今から私が色を付ける余地が幾らでもあるということ。

  カメラを向けなくても美味しいものがなくても
  目の前に貴方がいれば、私は自然と咲えるんですよ。
  ……なんて、それはきっと、未来で示していける筈。 ]


  ────……ぁぅ、……。


[ かわいくないです、と言葉を否定したくはなくて
  でもいつものように肯定で茶化せもしない。
  形にならない声が零れ、赤い耳を隠しかけるけれど。 ]

 

 

  ……だ、だって、脈無しだと思ってたんです
  ナンパでも歓迎ってうっかり言っちゃって、
  どう返せば気まずくならないかなって、その……

  信用してたのも、本心ですし……


[ 「言わないでください……」といよいよ顔を覆った。
  気になってつい貴方の声を聴いてしまうし、
  常に探していたのも事実であるだけに。
  本人から指摘が来ると、ほんとにもう、居た堪れない。
  恋は盲目という先人の偉大な言葉が頭を過る。

  正直、遠い世界の、違う感情なんだとさえ思っていた。
  誰かを好きになる。その人に好きになってもらう。
  ──どうやって? 抱えた答えは出ないまま。
  一生縁がないなと思っていたのに、
  気付けば林檎が落ちるように恋へ転がって。 ]

 

 

  返されても、受け取りません。
  私の初恋、ちゃんと、最後の恋にしてください

  ──わたしも、好きでいて貰えるように頑張る、ので。


[ 抱き締めた体温は春先の夜に負けない熱さで、
  お互い耳まで赤い、そんな一幕。

  帰ろうかという提案の真意は知らずとも
  これ以上可愛いを言われると死んでしまいそうなので
  私の命も無事に救出されましたよ、お揃いですね? ]

 

 

[ 帰り路では色々な話をした。
  お店にいる間は聞くに聞けないプライベート。

  一人暮らしはお揃いです。一駅先、女性向け物件。
  実家は……まだ同じ場所にあるのか分からない。
  23歳。誕生日は冬なのも、お揃い。
  何型なんだろう。教えて貰ったことはなかった。
  155cm、体重はトップシークレットです。女の子の秘密。

  あと、好きな色は白です。名前が真白だから。
  ──神田さんは? と聞けば ]


  ……ず、るぃ ひと、ですね……


[ そんな不意の、会心の一撃。
  一生勝てそうにないんですが、どうしましょう、神さま。
  脱兎しなくなっただけ大咲偉いと思いませんか。
  代わりに、きゅ、と手を繋ぐ。 ]

 

 

  休みの日は……んー。
  新しい服とか、仕事の時は使えないけど可愛いコスメとか
  買い物に行くことが多い、ですね。
  あ、流行りの曲を聞くのも好きです。

  好きなこと──料理とかわいいものと、後
  これは今日気付いた好きなこと、なんですけど
  好きな人のことをいっぱい知るのが、好きです。


[ だからインドアもアウトドアも両刀です。
  しつこいなんて全然思わなくて、寧ろ質問は嬉しくて。
  友達はいるけど、荒れていた頃の子ばかりだから
  遊びに出かけたこともあんまりないです。

  だからいっぱい教えてください。
  新しく出来た好きなこと、教え続けるので。
  そんな風に笑いながら。 ]

 

 

[ 月のお休みは大体これくらいです、と教えたシフト。
  多分、世間一般の会社員よりもぎゅうぎゅう詰めで
  欠勤が出たら増やすこともままあるけれども
  一人で家にいるよりは、と入れすぎた節もあり。

  今後はちゃんと出来る範囲で調整しますと宣言して
  旅行にいくとすれば、なんて未来予想図には ]


  ──取ります! 絶対!
  ……長くても三日とか、四日が限界、かもですけど


[ せめて新しい人が増えてくれたらなぁ。
  という期待は、意図せずして直近にて叶うことになるが。

  一駅分。いつもと変わらない距離のはずなのに。
  ゆっくり歩いても、どうして短く感じるんだろう。 ]

 

 


   ………………  ……   ぇ、


[ 固まった。
  一瞬別の意味。全部食べて欲しい。べつのいみ。
  ご飯以外? ええと、つまり、し、したごころ?
  ふと頭を過る、カウンター席、男性陣の恋愛話


  ち、ちが、ちがうんですいえちがうこともないんですが
  そんな そんな ……あの、その、
  確かに言われてみれば、主語が抜け落ちているような
  その意味を理解出来ないほどお子様ではない、ので。 ]

 

 

[ 顔を隠すように手を振り踵を返す貴方の服を掴み、
  迷路みたいにぐるぐる回転する頭で導いた答えは。 ]


  あ、あのっ、 ぃ……いやじゃ、ないです
  だから懺悔とか、しなくてよくて…

  ……おぼえておく、ので
  いやじゃないことも、憶えておいて、ください


  じゃああの今度こそおやすみなさい!!!


[ 何言ってるんですか私。何口走ってるんですかわたし!?
  引き留めてまで言いたいことも要領を得ないくせに
  白うさぎは脱兎を決め、家の中へ駆け込んだ。

  ずるずるその場へ座り込むと、まっかな顔を覆って ]
 

 

[ 真白と書いて、ましろだから、白が好き。
  でも白色ってね 何色にも染まっちゃうんですよ


     ──いつか遠くないうちに
     貴方の色に、染めてほしい です。* ]


 

厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。
(a69) 2023/03/08(Wed) 19:55:50

厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。
(a70) 2023/03/08(Wed) 19:56:16

 ― アスパラガスの日にて ―



[ 速崎と話し合おう、と大咲は思っていた。
  連日何かと慌ただしく、思うように顔も合わせられず
  ようやく被った出勤日。
  仕込みの用意や時間が奇跡のすれ違いを見せ、
  結局大咲はここまで声どころか挨拶も交わせないまま。
  何かに空回るような速崎を見てしまえば

  勝手に傷付いただけの大咲が、声を掛ける余地もない。 ]


  (……ど、どう、どうしよ)


[ そうこうしているうちに衝撃の告白が聞こえ
  結局あの日以来、礼も言えていない葉月が来店し
  「なんでもない日」ではなくなった一日の幕開け。 ]

 

 

  …………けいちゃん



[ 大咲に出来ることは、ない。
  恋の実が色付かずに落ちる瞬間を見聞きしてしまっても
  今この場の大咲は、幸せと美味しいご飯の、白うさぎ。

  なんで、と零した先日の自分を思い出す。
  過去なんかひとつも教えなかったくせして
  どのツラ下げて傷付いたとか言えるんだろう。

  でもこの三年、一緒に笑い合って料理をして
  あの記憶と日々が全部、壊れてしまう気がしたんだ。
  ──けれど、言い切らずに話し合おうとする速崎は
  クッキーを作った日の記憶と、どこか、重なる。 ]
 

 

[ その時すでに神田は店内にいたか。
  或いは幸か不幸か、この騒動を知らないか。

  今日のうさぎの穴はなんだか、少しだけ苦しい空気。
  それでも営業は閉店時間まで終わらない。
  大咲は過日のように動揺を露にすることなく
  しかし今日ばかりは空気になるしかないと気配を消した ]


  (なんかもう、感情も考えもぐちゃぐちゃだけど
   私はやっぱり けいちゃんと終わりたくないな)


[ だって、信じたいってあの時確かに、思ったから。
 ────だから今は見守りもせず
  本人たちにとって良い結末へ向かえるよう祈るだけ。 ]

 

 


[ 貴方が来店のベルを鳴らすなら、
  「いらっしゃいませ!」といつものように明るく笑って。
  それとも貴方が既に、うさぎの穴へいたのなら
  お仕事中の白うさぎは、自然な動きで
  貴方の声を拾うため 近くへ移動することになる* ]


 

メモを貼った。

【人】 厨房担当 ゲイザー

[とにかく肉、
――といくなら、折角丸鶏があるのだしローストチキン……とも一瞬考えもしたが(丁度葉月が美澄にオーダーしてはいる>>308>>311)。
 速崎はこれまでのサボりを鑑みて、焼き時間の長いそれを採用しなかった。
 スタッフィングにレモンを丸々一個(ただし縦切りにして)ぶち込む図までは脳裏に過っていたのだが――それは別の機会に。


 予め丸鶏をバラして分けられていた鶏むね肉から皮を取り。
 塩、生姜、ローリエと共に鍋に入れ、幾らか沸騰させてから火を消し、鍋で蓋をして暫く放置。
 レンジで蒸せば時短にはなるけれど、ここはじっくりと全体に熱が通るやり方でいく。大丈夫だ、ローストチキンに比べれば大したことはない。]
(442) 2023/03/08(Wed) 21:33:16
ゲイザーは、その後の顛末>>372>>378には気付いていない。
(a76) 2023/03/08(Wed) 21:35:28

【人】 厨房担当 ゲイザー

[鶏むねに熱が通り切るまでの間、和える具材を用意しておく。
 まずはアーモンド。スライス済みのそれをフライパンで炒る。
 それからセロリ(かなり前にオススメ食材として掲示されていたが、今回用いるのは最近仕入れたものだ)の筋を取り、茎を薄切りに、葉を粗くみじん切りにしていく。
 あと用意していくのはマヨネーズ、ヨーグルト、カレーペースト、アプリコットジャム……]


 鶏むねってさ、モモとかに比べると
 固いとかなんとかで避けられがちだけど。
 ちゃんと疲れを癒してくれるのも、鶏むねなんだよね。


[熱が通るのを待つ間、なんとはなしに、小声でそう呟きながら。]
(443) 2023/03/08(Wed) 21:36:11

【人】 厨房担当 ゲイザー

[十分に熱が通ったところで鍋から引き上げた鶏むね肉を、粗熱を取った後に手で裂いていく。
 切るのではなく、繊維に添う形で、
裂く

 勿論、食べやすくなる程度の大きさになるようにして。

 それからボウルに、先程用意したマヨネーズとヨーグルト、カレーペースト、アプリコットジャムを。
 塩、胡椒とレモン果汁で風味を整えてから、ボウルの中身全体を混ぜていく。
 こうしてまずボウルの中に作られるのは、少し甘みのあるまろやかなカレーソース。

 このカレーソースに、裂いた鶏むねを、薄切りにしたセロリの茎を、さらに乾煎りしたアーモンドスライスも投入して、再び混ぜ合わせる。
 こうしてカレーソースとセロリ、歯ごたえのある食感のアーモンドを纏わせたチキンの出来上がり。
 ちなみに材料の全体の割合としては、鶏肉が少し多めだ。

 皿に盛り付けてから、最後に、粗みじんにされたセロリの葉を散らしていく。
 今回用いた皿は、料理が載る表面は白の無地、テーブルに面する裏側はミモザイエロー。]
(444) 2023/03/08(Wed) 21:37:26
[下心を見せれば、怯えさせてしまうかな、とは少し思っていた。
けれど零しておかないと、いつか爆発して傷つけてしまいそうで。

「全部食べて」に違う意味がないことがわかっていても、
下心のある男にはそう響いてしまうことがあるから気を付けなよ、と警戒を促す意図も込めて。

居た堪れなさに逃げ出そうとしたら、逃げ足の速い白うさぎさんは捕まえるのも上手だった。]


 っくぅ……
 君は、本当にもう……
 ずっるぃ、


[今日一顔が赤くなったと思う。
降参。オーバーキルです。
早速勝ってるよ]



 忘れらんなくなるでしょ!


[「いやじゃない」と繰り返された。
「憶えておいて」の打ち返し。
そうやって言葉にしてくれるところが好きだから、
今日だけで何度も彼女に堕ちている。]

[繋ぐ手がないことがもう寂しい。
連れて帰るうさぎクッキーを代わりに掌に収める。

住んでるところが女性向け物件で良かった。
実家の場所が曖昧なのは、独立して母親と縁を切ったということか。
2個下。
まだ若いかな、と思う程度には自然と彼女の家族になる自分を思い浮かべている。

相槌を打って、血液型はもしもの時の為に調べておくことを勧めておいた。
刃物も火元もある職場だからね、心配させてほしい。

20cm弱の身長差、声も届きやすい。
体重は何キロでも構わないけど、密かにお姫様抱っこには憧れてるから鍛えておこう。

真白から「白」を選んだのは君。
「白」を見たら「マシロちゃん」に全部繋がるようになったのが僕。

彼女が自分の好みを変えたという話の何が狡いのかその時はよくわからなかった。
別れ際に言うことになるとはね。]

[休日はもっとメイクが濃い?
と少し立ち止まって覗いてみたり。

飲食店勤務だからと好きなことでも控える姿勢を尊敬する。
我慢しなくて良い日に思いっきり「かわいい」マシロちゃんに逢わせて。
それをデートのテーマにしよう。
力は強くないから、買い物の荷物は片手で持てるくらいにして。
片手は繋ぎたいから。

音楽は流行を追う。お揃い。
洋楽にはあまり詳しくない。
カラオケはすごい上手い訳でもすごい下手な訳でもないと思ってる。
この声を好きでいてくれるなら、2割くらい上手く聴こえるのかな。
試すのが楽しみだ。]

[彼女をひとつひとつ知って、自分と過ごす彼女を想像する。
「食べることが好き」以外のプロフィールを知りたい人がいるなんて思ってもみなかったけれど。

 『それもおそろい』
 『好きな子のこと知るの、すっごい好き!』

探せばきっともっとある、「おそろい」。
違っていても、お互いきっとそれを尊重できる。

「つまらなくないかな」って不安にならずに話せる相手がいるっていいね。

まるで恋愛初心者のような口ぶりは、過去の交際ではそれを実感できなかったと伝わるか。]

[横を歩く真白はずっと笑っていて。
自分もずっと笑っていた。

「ナンパでも歓迎」って言われたあの時、お互いが自分が相手の範囲外と思っていたのは今後も折に触れて笑い話になるだろう。
あの時はお互いの本心に気づかなかったのだから、演技は上手くいっていたということか。
これから先は下手になる一方だと思うけれど。]

[最後の恋にして、と言われた。

 「うん。約束する」

と、即答した。

この恋を失ったら、きっともう恋なんて出来ない。
絶望で塗りつぶされて、どこを探しても白が見つからない、そんな世界、耐えられる気がしない。*]

【人】 厨房担当 ゲイザー



 クリリン、お待たせ〜、かな。
 ……うん、本当にお待たせ、だ。


[そのオーダー>>141自体は、もう大分前に、ひどく大分前に耳にした気がする。
 そこからここまでの間に辿り着いた肉料理。
 手で裂かれたチキンに、ヨーグルトとマヨネーズを混ぜたカレーソースが纏われている様が、少し不格好に見えるかもしれない――けれども、そういう料理だ。]


 こちら、コロネーション・チキン。
 戴冠式、って名前はついてるけど――
 なんでもない日にだって、十分食べたいやつ。

 ひとりで食べても、シェアして食べても
 どっちでも、美味しくいけるやつだよ。


[この皿にただチキンだけを供するのも少し寂しい気がして。
 端的に言ってしまえば「カレーマヨチキン」になる料理>>442>>443>>444の傍には、緑のクレソンも彩りに添られている。]
(447) 2023/03/08(Wed) 21:57:25

【人】 厨房担当 ゲイザー



 って訳で、鶏むねでも食って気合入れやがれ。


[カウンターでひとり撃沈していた>>431、多分、そんな時に。
 甘くて辛くて苦みもある、そんなイギリス料理を一つ、栗栖の傍に差し出した。**]
(451) 2023/03/08(Wed) 21:59:25
――アスパラガスの日――

[ゲイザーがあの日早退したのは、元からの家庭の事情というところまでは聞いた。
去り際に店内が少し妙な空気になった理由を真白は知っているようだが、恐らくまだ解決には至っていないのだろう。

というのも、教えてもらったシフトを元に何度か来店しても、ゲイザーの姿は店内になかったから。

ゲイザーを気にしているかのような、少し元気のない様子は気になるし、話して楽になることならいくらでも聞くけれど、真白は解決してから話すつもりだろうか。
自分が出来るのは、真白が話したいと思った時に傍にいることだけだ。]

 やあ。空いてる?

[いつもの台詞で店内に入る。
前はこっそり立ち位置を確認していたけれど、もう隠さない。
常連は自分達の関係が変化していることをもう知っているし、新規客がいたら牽制しないといけないので。

自然な動き?
うさぎさんがぴょんと跳ねている幻覚が見えるな?]

[来店したのは少し遅めの時間帯。
一緒に帰りたいと思ったら、前と同じ早目の時間だと食後に席を埋めることになるから。
この店は普段から食事が終わっても急かしたりはしないけれど、彼女の働く店で自分が困った客になるのは避けたい。

その結果、
幸か不幸か三角関係の告白劇は見逃していた。
カウンターには明らかに限度を超えて飲んだと思われる酔客の姿。]

 うーん、今から美味しく食べたいから、
 今日はテーブルにしとこ!

[勿論、彼が決壊してしまうなら、同業者のよしみで介抱するつもりではある。]



 たけのこ!おいしいよね。
 てんぷらがいいな。穂先多めで。

 あとねー、アスパラを鶏肉で巻いたのが食べたい。

 マンゴーはタルトだって?食べないわけがない!

[黒板を見つつ「いつも通り」の声色で意気揚々と注文する。
飲み物はホット烏龍茶にしよう。

ゲイザーがいて、もし今日真白と話をするなら――

遅くなった時に二人共を車で送れるように。*]

【人】 厨房担当 ゲイザー

― ところで、こんなこともあった ―

[ブロッコリーの香草焼き、コロネーション・チキンを手掛けていた間のこと。
 こちらの作業の際に隣で手を貸してくれた瑞野>>112から、あのお土産のことをぽつりと伝えられた。
 それだけなら、「ぜひぜひ〜」というゲイザーの笑顔だけがそこにはあったのだが]


 うん、……実家・・
 そうだねー、みんな普通に元気だったよ。
 おかーさんは、まあ大分?持ち直してたし。
 おばーちゃんは、まだ堪えてるとこあったけど。
 あとの人たちはまーまー、平常運転って感じだ。


[言葉を額面通りに受け取り、率直に「実家」そのものことを、淡々と答え――結果として、人の死を経た家族の経過を話すことにもなった。
 あまりにも淡々と答えすぎていて、大分前提情報の足りない個人の話題になってしまっていたかもしれないが。]
(461) 2023/03/08(Wed) 22:29:55

【人】 厨房担当 ゲイザー


 法事で人手足りなくしたたけでもアレなのに、
 あんなハチャメチャな帰り方して、ごめん。
 あの後、店長もみんなも、ナギーも上手く
 お店回してくれたんでしょ。


[あの後の顛末を聞く機会がなくたって、簡単に想像できたことだから。
 予想できた店への波紋>>113を思い、ふっと視線を下に落としていた。]
(463) 2023/03/08(Wed) 22:30:26

【人】 厨房担当 ゲイザー


 今はもう、クリリンとのことはケリついたから、
 そこはもう、心配しないでいいよ。
 ……マシロとは、まだ、何にも話せてないけど。


[あの夜以外、速崎は何故か大咲と顔を合わせていない。
 彼女にちゃんと会って話をしたい、という意思はちゃんと自覚していたから――おそらくこれは速崎が無意識に避けているのではなく、完全に偶然のすれ違い、の可能性すらあり得るものだろう。]


 あ、でも、ナギーが変に気回したりとか
 しなくていいから!
 私があの子を傷つけた……かもしれない、こと。
 それはちゃんと、自分で話つけてくるよ。


[だから心配しないで、とばかりに屈託なく笑うも。]
(465) 2023/03/08(Wed) 22:31:20

【人】 厨房担当 ゲイザー


 ……でもさ、ナギー。
 うち(実家)の話聞いてくれたの、嬉しかった。ありがと。
 地元もさー、色々あって、ちょっと息苦しかったりとか
 ……なんて愚痴は今はやめとこ。お仕事が先だね、うん。


[まるで瑞野を「聞き役」として扱うような感謝になってしまったけれど、それでも名乗りを上げてくれる>>113のであれば嬉しいのだ、と。

 ……なお、ここでいう「話」の中に、「海外ドラマの話題」は含まれていない。
 同僚のプライベートもあまり詮索してこなかった速崎は、目の前に同志がいるやも>>1:21>>1:533という可能性に、この時まだ気づいていなかった。**]
(466) 2023/03/08(Wed) 22:32:31
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。
(a82) 2023/03/08(Wed) 22:37:01

 

[ 葉月が速崎を気にしているのは知っていたけれども、
  速崎が栗栖に好意を持っているなんて気付かなかった。
  けれど貝沢も栗栖が好きで、栗栖も満更ではなさそうで
  ……その時点で全員幸せのハッピーエンドは存在しない。
  顛末として、明らかな深酒も気にかけてはいたけれど
  今日ばかりは致し方あるまい、と止めることはなく。

  あの日の妙な空気の理由は、
  気付いていないならまだ教えてはいなかった。
  栗栖の過去を無断で教える羽目になりかねないし
  全部が終わった後、話せるところだけ聞いて貰おう、と ]


  ────あ、神田さん!
  いらっしゃいませ、お好きなお席へどうぞ!


[ それはともかく、貴方の幻覚は実際その通り。
  白うさぎはこの空気感からの寄る辺を見つけ、
  ぱっと笑顔で、ぴょん、と跳ねては彼を迎えた。 ]
 

 

[ この店の、お客様と雑談をしても良し──どころか
  和気藹々とすることが寧ろ持ち味ということもあって
  まあ、変に勘違いをする人も、いないこともない。
  故に彼の牽制は実際功を為しているのだが、
  そちらは大咲が知る由もなかった。
  最近厄介なお客さん減ったなぁ、くらいの気持ちだ。

  少し遅い時間帯の来店の理由には察しがついている。
  てっぺんまで飲む、と決めるような日なら別でも
  夜のご飯を楽しむだけなら時間が余るのは確実で。
  気遣いながら通ってくれる彼の優しさが、うれしい。 ]


  前みたいにカウンターで事故っちゃったら、
  今の葉月さんだと大変ですしね〜?


[ なんて揶揄って、笑い声を一つ。
  その頃には店内も幾分か明るさを取り戻していて、
  ご機嫌な瑞野というレア中のレアまで見た後となれば
  絶対"アレ"じゃん!…と、野次馬しそうになるものの ]
 

 

[ いつも通りの声音、普段と変わらない笑顔。
  連日の出勤と今日も開催された騒動で疲弊した心に、
  恋しい彼の"普段通り"が安心感を与えてくれる。 ]


  はーい、承りました!
  たけのこの天ぷら、穂先多めと……アスパラの鶏肉巻き。
  マンゴータルトはですね、今日、瑞野さんが──


[ 作ったんですよ、と言いかけて、つい。
  やっぱり堪えきれない大咲は、瑞野のいる方を見た。
  何故か新人を息子にしたらしいご機嫌な瑞野。
  私の方が! 先に!
  お兄ちゃんみたいに慕ってたんですけど〜〜!?

  ……とは、言わない。大人なのだ、大咲は。 ]

 

 

  ……なんか瑞野さん、ご機嫌なんですよねー、今日。
  デザート以外は、私が作りますね。
  今なら手が空いててすぐ取り掛かれますし
  ちょっとだけ待っててください。


[ 見詰める大咲の顔は、仕事の為のナチュラルメイク。
  あの日教えた「お休みの日はラメを使うのが好き」という
  些細な、好きなことのひとつ。
  万が一でも料理に入ると困るから、勤務中は使えない。

  でも、私服は可愛いを常に気にするようになった。
  理由は──言わなくても、分かりますよね?

  白うさぎはオーダーを受け、おしぼりと温かい烏龍茶を
  まずは手早く机へお出しして。
  厨房の方に戻っていく。 ]

 

 

[ それにしても、春だなぁと思わんばかりの食材たちだ。
  たけのこの天ぷら。アスパラを鶏肉で巻いたもの。
  となれば前者はあっさりめで、後者には味を足そうか。

  まずはたけのこを手に取り、水洗いを終えれば
  穂先が多めになるよう食べやすい形へ切っていく。
  穂先は柔らかい分、薄く切ってしまうと噛み応えがないから
  厚めに切ることを意識して。

  鍋へ水と切り終えたたけのこ、店の特製めんつゆを入れ
  中火で煮汁が殆どなくなるまでいったん放置。
  ……という工程を一から踏むと時間が掛かってしまうので。
  和食を望まれた時に対応できるよう、
  ある程度は仕込んでおいた。穂先や根元は好みがあるから
  指定があれば選べるよう、きちんと考えて仕込んでいる。

  いや本当、その日の食材に合わせて注文を予想して
  予め仕込んでおいたものが使われると、安心します、ね ]

 

 

[ 仕込んでおいた水煮のたけのこを取り出し、
  器へ移して、残ってある煮汁に浸しながら広げて冷ます。

  待つ間に今度はアスパラ、皮を取り除いた鶏の胸肉。
  後はゴボウ、人参、干ししいたけを用意して
  胸肉に包丁で切り目を入れ、開く。
  塩と料理酒を全体へ振りかけて通るように軽く揉み込み、
  アスパラのかまを取り
  皮を剥いた(削いだともいう)ゴボウと人参を
  ある程度の太さの棒状へ切れば、しっかりと茹でる。

  干ししいたけは水で戻してしっかり水気を切った後、
  半分にカットして。
  開いた鶏肉の上へ茹で冷ましたゴボウ、アスパラ、人参の
  彩り三兄弟を乗せ、タコ糸で巻いて縛った。 ]

 

 

[ フライパンへごま油を引き、
  みりん、醤油、砂糖、料理酒を混ぜたものを用意して。
  天ぷらと一緒に食べても引き立つように、
  気持ち、味を濃く作ろうと、量を調整しつつ。
  先に巻き終えた鶏肉を並べ、転がすように全体へ火を通し
  一度余分な脂をキッチンペーパーで拭き取れば
  混ぜ終えた調味料と一緒に再度フライパンへ移し
  もう一度、今度はシイタケも加えて加熱する。

  粗熱を取る間に、ボウルへ天ぷら粉と水を混ぜ
  たけのこの汁気を軽くペーパーへ吸わせたら
  天ぷら粉へくぐらせ、油でじゅう、と揚げていこう。
  大葉も合わせるかと思い立ち、追加でそれも。

  完成した大葉とたけのこの天ぷらを見栄え良く並べ。
  粗熱も取れた鶏肉を一口サイズに切っていけば、
  中はちゃんと綺麗な市松模様になっていた。 ]

 

 

[ 後は一緒に加熱したシイタケを見栄え良く乗せて、
  いわゆる"八幡巻き"の完成だ。

  ……あ。いえ別に、あの、名前が同じだからとか
  そんな他意は。いや。その。
  無いとは、言わない。
  マンゴータルトは食後だろう、と二皿を手に
  神田の元へ笑顔と一緒に帰っていこう。 ]


  神田さん! お待たせしました!
  ご注文の、たけのこの天ぷらと……その、
  ……鶏肉のアスパラ巻きです!

  タルト、食後にお持ちします ……ご、ごゆっくり!


[ 咄嗟に料理名に詰まって、結局言えないまま
  白うさぎはいつもの癖でぴょんと背中を向け、かけて ]

 

 

[ やっぱりくるんと振り返った白うさぎは
  「あの」と小声で話し掛ける。
  お店の中、今は店員とお客様だと分かっているけれど

  ……ちょっとだけ。
  しんどい気持ちを、約束で、甘やかしてくれませんか。 ]


  
今日、お家に泊まっても、いいですか
体調が悪いとかじゃないんです、けど

……少しだけ。隣で今日は、休みたいです。



[ そんな雰囲気もきっと、
  貴方が牽制したいご新規様の心を折るのだろうな。** ]

 

メモを貼った。


 うーん、葉月さん、何があったんだろ……。
 記事の感想言いたかったんだけどな……。

[そわそわとカウンターを見遣る。
高野が送っていくと言っているので、自分の出番はいらないかもしれない。
昔から存在を認知しているとはいえ、自分は彼の家を知らない。
高野が把握しているのは、やはりあの記事がきっかけだろうか。

自分も見に行った公開録音の様子が端的にまとめられている。
「いつもと同じ穏やかな笑み」という表現が特に、記事を読んでいる「現地未参戦」のファンにとってその様子が一瞬で思い浮かべられるだろうから秀逸だ。

その後のインタビュー部分も、高野の「今」の姿を捉えるものに焦点を絞っていて、過去の栄光を強調したり事故のことを蒸し返したりしない、とても誠実な記事だった。]

 「人」を見るのが上手いんだよなぁ、やっぱ……。

[ないものねだりだが、自分には彼のように人に寄り添う記事は書けない。
共感力が圧倒的に劣っていると思っている。
彼自身は自分への評価が低いけれど、このこの記事のPV数で少しくらい自信を持ったら良いのにな、と思っている。*]

[注文した品が到着するのを待つ間、ぐるりと店内を観察しては見たものの、「何があったか」には思い至らなかった。
葉月の想いも、ゲイザーの心の向きも。

何せ高野と食事を共にした時、高野は沙弥と「いい感じ」に見えていたくらいのポンコツなもので。
ああでも「ご機嫌」な那岐が誰の方向を見ているかというのは――流石にわかる。
なるほど、話したそうな空気は読めていたということか、と一人納得。

ところで秘めた内心は隠したままなのだろうか。
ちょっとヤキモチ焼いてる彼女も見てみたいのだけれど。
それを見た自分がヤキモチを焼くとはわかっていても。]


 わ〜やったー!
 思ってたより早く出て来てびっくりだよ。
 同じ注文の人が前にいたり?

[注文を予想して仕込みをある程度しておくというのを聞いたら、「先見の明!」と小さく拍手した。
アク抜きまでならどの味付けでも転用できるが、天ぷらの下味はなかなか他には使いづらいのではないだろうか。]

 うん。天ぷら、と。

[にこにこ。
視線は、肉巻きの中のごぼうで止まり、彼女のラメのない目元に止まり。
アスパラしか指定していなかったその「中身」に、ごぼうを入れた時点で「わかっている」と思っている。]


 
呼んでくれないの?



[料理名なら、その可愛い声で自分の名前を構成する3文字が聞けるかなと思ったが中々難しいか。
白うさぎが背を向けるなら無理強いはしない。]

[――と、彼女が振り返った。

まだ、「白うさぎ」でいる時間に、彼女の方からこうして至近距離に来ることは珍しい。]


 うん、おいで。


[先程までにこにこと料理名を言わせようとしていた悪戯っぽい笑顔から一転、穏やかに。

理由は今は聞かない。
彼女が自分だけの「マシロちゃん」になってからだ。]



 僕は布団派です。
 来客用は浮かれてついこないだ新調しました。


[隣で過ごそう。

約束をして、冷めない内に料理を頂くことにする。**]

メモを貼った。

 




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