74 五月うさぎのカーテンコール
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[離れがたくて荷物持ちと称して彼女の家までついて行った。
近所の人に噂されて彼女が暮らしにくくなってはいけないので、別れ際は玄関先で握手を長く。]
また来れる日は連絡して。
普通のしてても、連絡があったらうさぎのタイに替えるから。
[いつもそうしているのに改めて話す。
少しでも時間が欲しくて。]
楽しかった。
また行こうな。
[これももう何度目か。]
……おやすみ。
[漸く彼女を解放する4文字を言って、手を離す。
また握りたくなるのを堪えたものだから、振る手は拳の形をしていた。**]
うん……
[どうだったかと言うのなら。
苦しいし吐きそうだし疲れるし不味い、けど。
結論は一つに収束する。]
ジンさん、素敵です。
すごい……よかった。好きになってくれてありがとう。
[反応薄いジンさんは今、あまり聞いてないんじゃないかと勝手に思う。
ぐち、ぐちと酷い音を立てて手を動かした。
重さを預け合って抱き合っている人を想いながら。]
俺、ジンさんとセックスしたいです……
[今だって、力の入らない彼を身体の下に折り敷いて、暴いて思うままに揺さぶる想像は消えてない。
でもそれよりも、甘く爛れる声だとか。
少しずつ熱をもって充溢していく質量だとか。
優しいこの人が頭を押さえつけて、理性の外にある欲望を見せてくれたこととか。
オカズの映像はきっと大きく変わった。罪悪感と苦痛を取り払ってくれた。]
手作りスープもオムレツも美味しかったけど。
ジンさん自身を食べて俺の腹の中にいる感じ、すごい、幸せ。
俺も貴方の中に入って一部になってしまいたい。
[たぶんあんまり聴こえてないだろうって決めつけて。
余韻で緩くなってるくちから声をこぼしながら、手を乱暴に動かして息を乱した。
熱を吐き出す瞬間、抱きしめる腕にいっぱい力を入れて。]
……したい。
ジンさん、「次」は。
──俺を抱けるかどうか、試してくださいね。
[手で受け止めたけどティッシュ届かない。
Tシャツの腹で拭って、ついでにもぞもぞ脱いで、裏返ったそれを腰のあたりに被せておいた。
もたれ合っていれば寒くはない。飲み会の片付けは、すこし、眠ってからにしよう*]
……嬉しい。
でも、一人だと寂しがっちゃいますから。
私も、これ、買いますね。
[手に取ったのは、既に彼が手にしているものの中にもある灰色のうさぎ。部屋に飾ってあるぬいぐるみ達と同じように。ペアにするつもりで。
灰色のうさぎを揺らして、いつか彼がしたいみたいに唇を寄せる。
まだ支払いの前だから、触れる寸前で止めておいてリップ音を響かせた。
紫うさぎには、いつも灰色うさぎが必要なのだ。]
[長い休みを取った旅行は、瞬きするほどの時間で過ぎていって、気づいたら帰路になっていた。
繋いでいた手を離し難くて、部屋の前で足が止まる。
温かい手に手を包まれて、この体温が感じれなくなることを惜しみながら、別れ際の彼の言葉に、淡く笑む。]
はい、また食べに行きますね。
[二人の合図はそろそろ周囲の人にも気づかれているかもしれない。うさぎが彼の首元で動く度に、好きな味が増えていく。]
次は夏に。
プールか、海……?
楽しみにしてますね。
[それよりも早く、何度もお店や彼の部屋に通うことになりそうだけど。
こんなに長く一緒に居たのは初めてだったから、また次の遠出を仄めかす。
握手が解かれる間際、指先を絡めてきゅっと握りしめて手を解く。
おやすみなさい。と別れを告げる声は密やかに。
彼の手に温められた手を小さく揺らした。**]
そか。
[聞いてないことはないが、返せる言葉は短い。
どこか非現実的なもののように麦の声が頭の中をするする通り抜けていく。
それを必死に捕まえて、返事をしていた。
すてき。よかった。
麦から聞くこの言葉たちを、きっとこれから少しは素直に受け止められ――いや、むしろ、色々と勘繰りすぎてしまいそうだ。]
[セックスしたいとまっすぐに欲を口にするのには、迷ったまま何も返せずにいたから、眠ってしまったと思われたかもしれない。
正直なところ眠気はあるし、眠ってしまったほうが麦にはいいのかもしれない。
自慰の声を聞かれ続けているというのは、想像するだに恥ずかしい。
……が、その声に興奮するのはこちらの本能なのか、眠気に身を任せるつもりがうまくいかない。
麦が自身を追い立てる動きも相まって、半覚醒くらいの状態のまま声を、乱れる息遣いを、耳で受け止めていた。
きつく抱きしめられて、吐精を知る。]
……そう、ね
[吐息に紛れた小さな音は、麦に届いたろうか。
互いの劣欲が吐き出されてしまえば、いよいよ訪れる静けさ。
誰が止めていたわけでもないが、意識はもう途切れていいと判断したようで、ふつりと切れた。
シャツを脱ぐ動きも、それをかけられるのも気づかないまま、ソファに沈み込む。]
[――眠りが深くなる寸前、夢を見た、気がする。
これが夢なのか、まだ意識したがる脳の妄想なのかは、定かでないが。]
……ふ、く、
[ゆっくり、力を抜いていてくださいと促され、マットレスに身体を預ける。
女のように濡れない場所。ものが入るべきでない場所を指先でなぞられ、そのままぬぷりと侵入される。
異物感に震えるも、それは想像していたよりは恐怖ではない。
俺の覚悟が決まったのか、愛ゆえか、それとも相手が丁寧でうまいのか。
あるいは、意識の深いところでは、求めているのか。
そんなことを考える余裕はなく、膝を震わせて――]
[目が覚めるのは、太陽が空をあかあかとした紫に染める頃*]
| ─ とうもろこしのパンナコッタ ─
[田舎の爺ちゃんと婆ちゃんのとこでは、コーンのことトウキビって呼ぶ。とうきびパンは夏の人気商品。 そう呼ぶと甘そうな気がするから、今でも心の中ではトウキビって言ってる。
削ぎ出した実と芯を一緒に鍋に入れて、日本酒を振ってじっくりゆっくり加熱する。芯から美味しいやつが出てくるっていうのはもとくんの教え。 甘く仕上がったら芯を取り出して裏ごしして、とうきびピューレ。 裏ごされた繊維の側はもちもちかぼちゃもちと同様の手口で賄いを彩るやつ。 多めに作ったからパンナコッタも余るかもね。余っちゃうかも。
エスプーマ作る分をよけておいて、あとは分量と温度さえ気をつければ簡単。 生クリームとアーモンドミルク、バニラビーンズと一緒に火にかけて、ゼラチンを溶かしたら濾し直して冷やし固めるだけ。 注文を受けたら、パンナコッタの上にカラメルソースで膜を作って、その上にエスプーマをふわんと盛り付けて。 一番上に、とうもろこしのかき揚げ(小)を乗っけてミントを添えたら完成。
本当は天ぷらにしたかったけど上手に揚げられなかった] (98) 2021/05/26(Wed) 18:19:41 |
| シェアハウスかぁ。 [カウンター周辺に、なんかうっすらハートマークがいっぱい飛んでる気がする。気のせい? 今、周辺地域の不動産情報を教えてくれた >>27>>28アッキはお酒飲みながら静かに御飯食べてるけど、でも凄い頻度で先輩と一緒に帰ってるから同じあれのムジナな気がする。 ゲイですか?ってまだ聞けてない。相談に乗って欲しい。] ルームメイト…… [ハートマーク。なんだか寂しくなってきた。 フロアが落ち着いてて、デザートの注文も途切れた隙にバックヤードに癒されに行く。] (99) 2021/05/26(Wed) 19:00:58 |
| 今日もお仕事してるジンさん格好いいですね!
[つい1時間前にも素敵って言ったが。 貢物は、当店のコーンスープのお味見カップ。スイートピューレとスープの味わいの違いを知りたいって、もとくんにおねだりした戦利品。 トルティーヤチップスは小さくてお客様に出せないサイズのを拾得物として。]
休憩しませんか?
[首を傾げると、ホワイトゴールドのイヤカフが覗く。普通にしてるとわからないくらい目立たないけど気にしてない。
もとくんが、お土産にみんなの色のキーホルダーを買ってきてくれた時。 もう本当に仲間の一員って感じがしますね。そう言って、試用期間の肩書きを外した。 持ち歩いている不細工うさぎのキーホルダーは白いシャツを着ていた。最近のフラウアが仕事中に着てるシャツもいつも真っ白。] (100) 2021/05/26(Wed) 19:02:10 |
| あの。あのね。仁さん。
俺、
[「次」の約束は店休日。絆は途切れず繋がっているけれど。]
今の居候やめようかと思ってて、部屋を探してるんデス。
[いつまでも親戚の家に世話にはなれないから、と。] (101) 2021/05/26(Wed) 19:02:49 |
| できれば、下の階とかに気を使わない物件で。シャシャンカから近くて。 お風呂とトイレは別、キッチンが広くて冷蔵庫は大きいのが良い。 寝室は狭くて、巣穴みたいなのが良い。
カウンターでお酒飲んで、ソファで居眠りして。 それで仁さんが隣にいて、仁さんと朝ごはんして出勤したいです。
[理想の物件はそうそう見つからないだろう。 シェアハウスがいいんじゃないかって、聞いた。] (102) 2021/05/26(Wed) 19:03:12 |
|
……仁さん、ルームメイトのお家賃はいくらくらい、デスか? ハグとキスつきで。できればメイクラブも。
[以前なら自分からなかなか言えなかった欲求を素直に口に出せるようになっていた。 いつの間にか、この短期間で変わっている関係。 愛しい想いは昨日より今日、今日より明日、もっと育っていく。*]
(103) 2021/05/26(Wed) 19:03:46 |
| [ダメですか、と耳をへたらせる(幻想)が、 続いた言葉にピンと立てた。]
良いんですか? 酒代、はい。任せてください。でも食べる分は食費も出しますよ。俺、エンゲルなんとか高いんで。
[笑み崩れてほわほわの顔でもう一度撫でを要求した。 色々出してみては酒の味の好みを探るのも、絶対に楽しい。] (111) 2021/05/26(Wed) 20:46:40 |
| 嬉しい。大好きです、仁さん。愛してます。 いっぱい好きなお酒を飲んで、キスしましょう。
[一旦保留のメイクラブも。です。
わりと、こう。 怯まず恐れずに押しに押すと、この落ち着いた優しい大人は勢いで流されてくれる一面もあることを最近知った。*] (112) 2021/05/26(Wed) 20:47:04 |
| はい、頑張ります。
[お酒の味、食事の味、きっと好みを見つけてみせるし、 好みの方を広げてくれる余地さえあるのだから腕が鳴る。]
合鍵が出来るまでは、一緒に過ごさせてくださいね。 おうちに帰ってから、また出かけるまで。
[そうだ、キーホルダーもある。 白いシャツのうさぎと金色のシャツのうさぎ。] (148) 2021/05/26(Wed) 22:48:38 |
| それじゃあ、働いてきマース。
……そんなに荷物もないし、次のお休みの日、引っ越して行きます。楽しみ。
[ふふ、と笑う。]
ルームメイト殿。 俺、受けた恩は必ず返します。 だからあなたをきっと幸せにしますね。
[幸福を共に。*] (149) 2021/05/26(Wed) 22:49:36 |
――温泉旅行の幕間――
[アラームが鳴って何分経ったのだろう。
まだ時間があると思っていた訳でもないが、彼女の中に一度放った後、離れ難くてそのまま抱いていたら、呼吸に合わせて柔く締め付けてくるものだからすぐに復活してしまって、今に至る。
結合部からは割と激し目の水音が響くものだから、聴覚にも煽られて、もう途中で止めようもなかった。
『失礼します。朝食をお持ち致しました』
そんな声が聞こえて、二人ともが硬直した。
『お客様……?』
……普通、こんな状況だと萎えるものなのではないか。
こんな状況になったのが初めてだから何とも言えないが。
驚くべきことに、一向に堅さは失われず、彼女の方も強く締め付けてくる。]
─ いつかの夢の話 ─
[うさぎの穴の灯が点らない休日にて。
窓の外では、太陽が空をあかあかとした紫に染めていた。
狭い巣穴に潜り込むのはひよこに毛のはえた若鶴と。]
……仁さん。素敵です。
[囁く声が濡れる。
おつまみと、キッチンで飲む美味しいお酒。
淡い酔いと共に交わす抱擁、愛撫、接吻。繰り返したその果て、
丁寧に丁寧に恐怖をほぐし、愛情を注いで。
互いを求めあう夕暮れ時。]
っ、 あー、すみません、今、起きまして……
[声を掛けられて無視が出来ないのが接客業のかなしい性。
つい応答したら、彼女の爪が背中に突き刺さった。
非難されているのかと思ったが、どうやら表情を見る限り、むしろめちゃくちゃ気持ち悦さそうで。
その様子に煽られて、つい腰を揺らしてしまう。]
今から着替えたいんで、準備はそちらでお願いしてても良いすか?
この後いただきます。
っ、ありがとうございます。
[ちゃんと澱まずに言えたと思う。
激しくすると音や息遣いでばれるから、先端を内壁に押し付けたままぐりぐりとしか動かせなかったけれど。
彼女の方は涙も流して声を堪えるのに必死そうだった。
『――では、失礼します。ごゆっくり』
長い長い数分だった。
汗なのかそれとも自分たちの秘所から溢れたものなのか、とにかく太腿がぐちゃぐちゃに濡れていた。]
力を抜いていてください──
[狭いシングルベッドのマットレスへ、
愛おしい人の肢体を沈めた。
押し拓かれて震える膝へ、口づける──*]
あ〜〜〜〜駄目だ、も、動く……っ
[散々背徳感で昂った数分が過ぎて、限界が来た。
一番自分が強く突ける体位を求めて彼女の身体をそのまま押し倒し、脚を持ち上げて上からどちゅどちゅと穿った。
そして幾らも経たない内に、再び彼女の胎内を白く染め上げたのだった。**]
―― 旅行の幕間 ――
[あえかな声と荒い息遣い、衣擦れの音だけが響く。
朝の明るい日の下で、ゆさゆさと身体を揺さぶられて堪らずに身をくねらせる。
アラームを止めようとした手は遮られて、背に導かれる。
スヌーズに切り替わった時計は定期的に時を訴えるのに、繋がった箇所は未だに酷い水音を立てて、理性を突き崩してくる。]
もぅ、……だめっ、……
[弱い抵抗は何の意味も果たさない。それよりも繋がった場所がきゅうきゅうと甘く締め付けて彼を離さないから身体は正直だ。
とろりと瞳が落ちて、甘い快楽に溺れていきそうになる。
そんな折に、隣室から声を掛けられてびくっと身体が跳ねた。]
……っ、……ッ !
[人の気配に身体が強ばる。思わず顔を見合わせた。
ふる、と弱く首を振って彼から離れようと身体を攀じったら、返って悦い場所に当たってしまって咄嗟に口元を覆った。]
……ンッ、 ふ、ぅン……
[普段どおり会話を進める彼に目を見開く。
隣に人が居るというのに再び始まる律動に視界が滲んだ。
仲居さんに気付かれないように懸命に息を押し殺してやり過ごす。
甘く送られてくる刺激にびくびくと打ち震えて、内腿で彼の腰を締め付けた。
羞恥に堪えきれないのに、それが返って刺激になってじわりと蜜が溢れて、彼自身の動きをより滑らせてしまう。]
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