167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
「内も外も関係ねえ」
「おっさんの仇は片っ端から潰してやる」
俯く視界に、磨かれた革靴のつま先が映る。
こうしたところからつい、相手を値踏みしてしまうのは仕事柄のこと。
けれど、降り落ちる声には覚えがあるから、そんなものは意味のないことだった。
視線を上げる。
金色の髪の隙間から。翠の目があなたを見る。
そのやわらかな笑みのようにはいかず――それでも少年は、すこしだけ口角を上げた。笑ったのだ。
「……迷子じゃない」
「祭りとか言ったっけ、……こういう感じに慣れないだけ」
「あんたこそまたおれみたいなのに構って、ほんと、物好きだな」
| >>5 ソニー 「誇りを持って仕事をされる方は尊敬しております。 お世辞などではなく、本心から」 裏の仕事も、 表の仕事も、等しく。 花の名をつけられた女は花屋へ笑みを返す。 空のグラスを見て、時計を確かめる。 それなりに引き留めてしまっていたようだ。 「はい、いつでもお客様をお待ちしております。 それと、今日はお付き合いいただきありがとうございました。 お仕事、頑張ってくださいね。 今日がソニーにとって良い日でありますように」 出口へ向かうあなたをにこやかに見送る。 振られた手には小さく手を振り返して。 そして、扉が閉まると小さな吐息が零れる。 一人となった寂しさ故のものか、 ”残業”から解放された安堵のものか、 それは本人にしか分からない。 ただひとり静かに酒を傾ける女が居た、ということ以外は。 (9) 2022/08/12(Fri) 19:20:58 |
廃倉庫に、硬く無機質な音が響く。
メンテナンスの為に分解された拳銃が、
汚れを除去され、注油を受け、また組み立てられていく音。
元は実に正義感溢れる巡査の相棒だったもの。
それが今となっては無造作に人間を手に掛ける輩の元にある。
何とも哀れなものだ。
「───全ては都合の良い幻聴だ」
カシャン。
最後にマガジンがセットされて、それきり静かになった。
| >> >>@0 フラン 【バー:アマラント】 今日も今日とて仕事の帰りにバーへ立ち寄る女。 寝こけている客の横を通り過ぎ、 いつも通りカウンターへ向かう…途中で溜息をひとつ。 踵を返して酔客の席の方へ。 この店内で”万一”を働くものがいるとは思えないが、 それでも些か不用心だ。 ましてや今はお祭りで外の人間も多い。 再度溜息を吐いてから口を開く。 「大丈夫ですか? お体の具合が悪いのですか?」 テーブルに突っ伏す人物へ声を掛け、揺さぶろうとするだろう。 (14) 2022/08/12(Fri) 20:21:13 |
| > >>@1 フラン 【バー:アマラント】 漏れた寝言にふふ、と小さな笑い声を零す。 それも身を起こす頃には収めていたが。 人違いとの言には微笑を浮かべ肯定の頷きを返す。 それから慌てて身の回りを確認する様子を傍に控えて待つ。 こういった対応は慣れているらしい。 礼の言葉には頷きと微笑を返して。 「おはようございます。 夢見はあまりよくなかったようですが、 ご気分は如何ですか?」 幾分かの安堵と若干の呆れを 微笑の下に隠しつつ尋ねる。 (25) 2022/08/12(Fri) 23:29:12 |
見上げる視線には目を細めて返す。それから隣に並んだ。立ち去る気はないらしい。
「そう? それならよかった」
「マンマとはぐれた仔猫のような顔をしているんだもの。余計なお世話だったかな?」
覗き込むように首を傾げてまたはにかむ。いつもの様子だった。この男はいつだって君に対して、子どもにするように接する。
実際子どもではあるのだけど、年相応より幼い対応に思える────君がどう受けとっているかは定かではないが。
「うん。確かに賑やかだ。逆に裏通りは静かなものだよ、みんな出払ってしまって」
「君はどうしたの。散歩? お使い? 仕事かな。それとも遊びに?」
「遊びに来たならやっぱり一人はいただけないな。保護者が必要だろう? 付き合うよ、どこに行きたい?」
元よりおしゃべりなこの男は、君といる時一層饒舌になる。強引というか、お節介というのも正しいかもしれない。とにかく気にかけている、世話を焼きたい。そんな様子が伺えるはずだ。……やっぱり、当人である君がどう受けとっているかは分からないけれど。
アソシエーテの女に拾われただけの子どもである君は、組織の末端も末端だ。ファミリーの人間が多く集まる場に顔を出すことなんてないだろう。この男がほかの人間にどう接するかなんて、きっと知らない。
いつも通りの子供扱いだ。少年はひとつ息をつく。
けれどこちらも、背を向けるようなことはない。
「……いい、声がかかるのはありがたいことだし」
他にいくらでもいる中で自分がこう構われるのは、やはりよくわからないけれど。
あなたはそういう人物なのだろうと少年は思っている。
他にいくらでもいるのだから、自分が特別だとは到底思えない。
「今は散歩。仕事したってべつにいいけど」
「……どこ行きたいとか、何したいとか。
それもよくわからない」
「こういうの、……初めて見た、から」
流れる人波へ視線を向ける。
誰も彼も、何がそんなに楽しいのだろう。
少年は、祭りも知らないようだった。
| > >>@2 フラン 【バー:アマラント】 「左様でございますか。 良い夢は幸運の兆し、悪い夢は不安や疲れの表れ と母から教わりました。 シニョーレはお疲れ、とお見受けいたしますが如何ですか?」 「こちらこそ、突然のお声がけ、失礼いたしました。 それでは――」 立ち去ろうとしたところで、見せられた迷いを帯びた顔。 小首を傾げて言葉を待つ女に青年は囁く。 (38) 2022/08/13(Sat) 11:28:18 |
君とは頭一つ程度慎重に差があるから、ただ立っていては表情が伺いにくい。普通に並ぶとつむじばかりが見えるのもあって、実際はそんなことないのだろうけど、少しいじけたように映る。
「そう。そうか」
ふむ、と指の腹が顎を撫ぜる。
通りの右から左へと視線を移す。人の流れやら年齢層、手に持った何がしかを眺めて。
「甘いものは好き?」
「少し歩いたところに美味しそうなジェラートの屋台が出ていてね。気になってたんだ」
「君と行ければ嬉しいんだけどな」
少年にはきっと欠落があって、けれど、最初からないものを『ない』と気付くことは難しい。
だから、年相応の楽しみをよく知らないままここまで来てしまった。
少年はついと視線を上げ、あなたを見た。
ああ、気を遣わせた。それはわかる。
それでも、どういう顔をすればいいのかわからない。
あなたが何か買い与えようとするときも、これは決まって同じ顔をする。
媚と身体を売るのなら、甘えればいいものを。
「……ん」
「あんまり食べないけど、嫌いじゃない」
「いいよ、行こう」
どうしたって、口が巧くないのだ。
| >>56 ルチア 買い物袋を抱えての帰り道。 街に溶け込む少女を見かけ、小さく首を傾げる。 今日は親鳥さんと一緒じゃないのですね 声を掛けようと開きかけた口は閉じて、僅かに緩める。 確かさっき―― 足早に踵を返して数十秒、再び同じ場所に。 …… こつこつ こつ 足音が少女に近づく。 「こんにちは、ルチア。 誰かを待っているの?」 片手には買い物袋とさっき買ったばかりの 露店のしぼりたてオレンジジュース。 もう片方の手にも同じジュース。 それをあなたに差し出しつつ尋ねる。 アジトの時よりフランクに、 ”顔見知りの子”に話しかけるような雰囲気で。 (68) 2022/08/14(Sun) 11:17:28 |
少し足りない様子の君を見る度に、男は君を愛しく思う。未熟であることは成長途上であることとよく似ている。それはまた幼さと同義で、守ってやりたく思うのだ。
同時に少し哀しくもある。無邪気に無防備に育つことの出来なかった君の過去を思って、男は君の髪を柔らかく撫でるだろう。
「お腹もすく頃だしね。串焼きの屋台も出てたよ」
「僕、あんまり食べたことないんだよね。肉は好きかい」
先導するようにゆっくりと歩き出す。大股の歩みはそのまま、速度を落としてはぐれないように。
「ああ――そっか、そういう時間か」
少年はあまり、食事に頓着しない。
というより、ほとんどの物事への執着が希薄だった。
毎日の食事がある、ということに、まだ慣れ切っていない。
「確かにあんたは物を食べ歩くようなヒトじゃないよな」
「今はだれも彼も何かしら持って歩いててさ、だからまあ、その方が自然なんじゃない」
その高価そうな外套に、スーツに、汚れがついては大変だ。
などと思うことこそ、価値観の差異なのかもしれないけれど。
時間帯もあるのだろう。道行く人々の多くは、あなたの言ったジェラートやら串焼きやら、ものを食べているのが目立つ。
流れる人混みの中を、身長差の分、どうしても狭くなる歩幅でついて歩いて。
串焼きの屋台を見つけると、くいと袖を引いた。
| >>83 ルチア 「あなたも買い物帰りだったのね」 こちらもワイン瓶の覗いた買い物袋を持ち上げて応じる。 隣で石壁に背を預け、空を見上げた。 「今日もお日様は元気だもの、仕方ないわ。 お祭りで人も多いし」 空になった手に自分のオレンジジュースを移して、ひとくち。 すっきりとした甘みと酸味が乾いた喉を癒してくれる。 ストローから口を離すと、ふぅと吐息が漏れた。 (88) 2022/08/14(Sun) 20:22:22 |
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