167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】
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| 【祭りの屋台】
「さて、駄菓子は要らんかね〜」
この島では見慣れない、異国情緒溢れる屋台が一つ。 カラス面の男がのんびりと店番をしている。
屋台の上には東方の国にある駄菓子が溢れんばかりに積まれている他、珍しい玩具もあるようだ。
柄の悪い男らがどこかでピリピリしていようがお構いなし。 時折、赤い球が剣に刺さっているような風体の玩具を手に、遊んでいる様子が見られるだろう。 (18) 2022/08/09(Tue) 3:03:52 |
「近頃は、随分と」
祭りに華やぐ街の喧騒。
時折紛れ込む雑音。
その音は鼓膜を揺らさない。
「幻聴がひどいな」
在り得ざる残響は真実のものではない。
否定的な言葉も、肯定的な言葉も、何れも幻聴でしかない。
そうでなければならない。
「だが、あんたの声だけは聞こえない」
「もしも漸く全てが正しくなり始めたなら……」
酒、異性、熱狂。
少々口を滑らせるくらいなら薬に頼らなくていい。
このどれか、もしくは全部を浴びせれば良い。
そうして得たものを流すだけでちょっとした小遣いになる。
大変有難い事に。
罪悪感が全くないわけではない、が。
ただし、
バレる訳にはいかない。決して。
万に一つでもこの小遣い稼ぎがバレた。
その時は――
| >>@2【祭りの屋台】 「毎度あり。いやはや助かるね。」 子供だろうが大人だろうが、男だろうが女だろうが。 品物を買ってくれる客は男にとって何より有難いもので。 素直にそう口にして、会計を済ませる。 なお、目立つのは全くその通りである。 そうして物珍しげな視線と声に気付けば、笑みを浮かべて口をさらに開くだろう。 「珍しいかい?それは金平糖、と言う砂糖菓子さ。そしてこれはけん玉という玩具だ。どちらも俺の国では馴染みがあるものでね。」 けん玉の玉を、大皿に乗せて、そのまま小皿へ。 器用に玉が移動していく。 (26) 2022/08/09(Tue) 14:27:21 |
【街中】
祭りの影響か、どこもかしこも賑やかな喧騒に溢れている。
さざめき行き交う人波を眺める少年は、どこか所在なさげに息をつく。
スニーカーのつま先が、トンと石畳を蹴った。
口元の笑顔は標準装備。余裕ありげな表情に大きな身体、仕立てのいいスリーピーススーツ、磨かれてぴかぴかと光を照り返す革靴。羽織った外套を風に踊らせ、肩で風を切って歩く男は、まあそれなりに目立つ方。
君はため息をついて、足元に目を向けたのだろうか。
「君、一人?」
「子どもが一人で────迷子かい。どう、良ければ僕が保護者に」
俯いていたならぴかぴかの革靴が、顔を上げていたなら柔和な笑顔が、その目に映ったことだろう。
| >>@3 フラン 【祭りの屋台】 「如何にも。この島のずっと東にある国だ。ま、金平糖に限っては俺の国で生まれた訳じゃあないがね。」 気に入って貰えたなら何より、と笑みを深める。 「ふむ、一人で遊ぶのならば、けん玉や綾取り、折り紙があるな。誰かと楽しみたいなら、メンコでも良い。」 客に聞かれるならば、答えるのが店主の務め。 男は嬉々として玩具を並べていく。 先ほどまでこの男が遊んでいたけん玉。 そして毛糸を輪にしただけの綾取り。 さらには、色とりどりの正方形の紙たち。 ついでに、と出されるのはよく分からないキャラクターの描かれた厚みのあるカードのようなものだ。 何が貴方の好みに合うだろうか、と伺っている。 (46) 2022/08/10(Wed) 0:59:39 |
夜半。暗い路地裏を、硬く、鈍く、重く、靴底が打つ。
祭りの喧騒の裏側で、葬列が墓場を歩むように、ただ粛々と。
「──掃除屋が死体を作るなんざ」
「世も末だと思いませんか、あんたも」
答えは返らない。
端から答えを求めてもいない。
見下ろす眇目には、生者への情は無い。
「……家族が?へえ、そりゃ知らなかった…」
「で、あんたが浅はかな事仕出かす前に
顔を思い出せもしなかった程度の家族が、何だって?」
「…黙って死ぬ、それしきの事もできない奴ばかりだ」
「どうにもあんただけは、違うらしいがね……」
| >>@4 フラン 「あいよ。もしけん玉が壊れたなら、軽いものなら直してやれる。この住所に書かれた店に足を運んでくれれば嬉しいね。」 普段はこちらでやっているのだ、と紙切れを貴方に差し出す。 受け取っても受け取らなくても構わない。 「こんな大した技でもないものにチップとは、律儀だねぇ、青年。そちらも良い一日を。そして今後も御贔屓に。」 一礼したその背を、軽く手を振って見送る。 何事もなければ、そのまま別れとなるだろうか。 文明の利器があれば、けん玉も綾取りも遊び方が出てくるだろうが、店主の言う通り、見せられた技が初手の初手であることを貴方は後程知るのだろう。 (59) 2022/08/10(Wed) 17:51:52 |
| >>65 マウロ ゆらり。 気を抜いた貴方の背後から、もう1つの紫煙が漂う。 先の会議場でも嗅いだ香りに、心当たりがあるかもしれない。 「おや。こんなところで休憩かい。」 常と変わらぬ昼行灯は、ゆるりと声を掛けた。 (71) 2022/08/11(Thu) 1:50:14 |
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