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(n1) 2022/08/08(Mon) 0:45:52 |
(n2) 2022/08/08(Mon) 1:05:49 |
【人】 ソーネチカ花咲病。 それは身体に花が咲き、最期には大きな花弁となり 命を散らすことになる奇病。 薬などの有効な治療法は確立されていない、 罹った人もほぼいない、珍しい病。 (1) 2022/08/08(Mon) 1:21:33 |
【人】 ソーネチカだから彼女は、諦めようとしました。 静かに、来るはずの終わりを見据えて。 これはそんな彼女の、お話。 ―――独り、花に取り憑かれた人の、お話。 (3) 2022/08/08(Mon) 1:24:16 |
【人】 サルコシパラ 自分を産み落とすと同時に事切れる母 妻に取り残された事実に絶望し首を吊る父 空腹に泣く人を救うために喰われる家畜 疫病によって命を落とす幼子達 踏みつけられた花々のように 男の周りではいつも誰かが枯れている。 (6) 2022/08/08(Mon) 2:10:38 |
【人】 サルコシパラしかし男だけが死から逃れ 死に取り込まれる人々を見せつけられる。 それでいて、その散り際は美しくも儚く、惨く。 男はいつも怯え、惹かれ、無情を憂いた。 (7) 2022/08/08(Mon) 2:12:12 |
【人】 サルコシパラ───朝の一幕:自宅─── 「今日もお前は可愛いね。」 自宅の花瓶に活けられたバラを撫でると サルコシパラは口角を高く吊り上げる。 W人との関係を持とうともせず、 一心不乱に花を溺愛する青年。W W花と結ばれる為に生まれた男。W すっかり街では奇人の扱いを受け 奇異の目で見られることも何処吹く風。 サルコシパラの一日とは、大体そういうものだ。 (9) 2022/08/08(Mon) 2:18:47 |
【人】 サルコシパラただ以前と違うことを ひとつだけ挙げるとするならば。 「おはようございます。 今日も綺麗ですね。」 数年前から同居を始めた者がいるということ。 血縁も何もない。 仮面の中を見せることも滅多に無い。 それでも身寄りのいないサルコシパラにとって それはたった一人の家族のようなものだった。 (10) 2022/08/08(Mon) 2:21:38 |
【人】 サルコシパラサルコシパラに同居人が増えたと 驚きを隠せない街の人間に サルコシパラは笑いながら言う。 「そんな滅多な関係じゃないですよ。 毎日口説いて、毎日振られてますから。」 そう、サルコシパラと同居人… ウユニ との関係とはそういうものだ。** (11) 2022/08/08(Mon) 2:24:13 |
【人】 ウユニ 愛情深い父母のもとに生まれ Wお姉ちゃんWと慕ってくれる弟妹もいた。 私は、あの子たちに得意な裁縫で 服や帽子を作ってあげたりして。 そのたびに大げさなくらい喜んでくれて それがたまらなく、可愛いと思ってたの。 そこにはあたたかで幸せな家庭があった。 手入れされた花壇に咲く花々のように 私の周りには確かな幸せがあったはずだったのに。 (15) 2022/08/08(Mon) 15:56:16 |
【人】 ウユニそんな一つの家庭の幸せに亀裂が走った。 原因は……身体に花を咲かせた私だったの。 当時の私は、それが病だとは知らず。 家族に忌避されるとも、思っていなかった。 (16) 2022/08/08(Mon) 15:57:43 |
【人】 ウユニ 太ももに咲いた、まだそう大きくない花を 家族に見せて、相談したあの日を 私は今でも覚えている。 弟妹は異物を見るような目を向けて 理解が及ばないことへ怯えを見せていたし 母は見たくない、理解したくないと言わんばかりに 私から顔を背けていた。 眉間にしわを寄せて、 此方を見ていた父が吐き捨てた言葉も はっきり覚えているわ。 (18) 2022/08/08(Mon) 15:59:41 |
【人】 ウユニ最初は何を言われたか、わからなかったの。 どうしてそんなことを言われるのかも。 今ならわかる。 家族は皆、異質な存在になった私を 受け入れがたいと思ってしまったのだ、と。 (20) 2022/08/08(Mon) 16:01:10 |
【人】 ウユニ父の言葉をすぐには理解出来なかった私は どうして、 とか聞いたような気がするしそれに対する答えは、 見たくない、気味が悪い、 と言ったような忌避の言葉だった。 出て行けという父に、家族は誰も止めなかった。 もし、誰か一人でも止めてくれる人が居たなら 私はきっと縋ろうとしたと思う。 (21) 2022/08/08(Mon) 16:03:05 |
【人】 ウユニ「…今まで、ありがとう。」 でも、家族の態度から縋れないのだと 悟った、 悟ってしまった 私は震える声で、別れを告げて。 最低限の荷物を持って、家を出た。 (22) 2022/08/08(Mon) 16:04:19 |
【人】 ウユニ そうして、私はふらふらと 町から町へと彷徨って。 ただ彷徨うだけではなくて、 自分の身に咲く花が何なのかを知ろうと 行く先々で書物を漁った。 私はW花咲病Wという病気を患っているのだと 知ったのは、貴方に出会う前の事。 (23) 2022/08/08(Mon) 16:04:40 |
【人】 ウユニ───朝の一幕:サルコシパラの家─── バラへと声をかける彼の姿を眺めるのは ここに来てからの私の日課の一つ。 彼が街の人から何と言われているか、 知らないわけではない。 でも、私は花を溺愛する彼を変だとは思わないし 優しいのだ、と思っているから。 私が奇異の目を彼に向けることもない。 (24) 2022/08/08(Mon) 16:06:59 |
【人】 ウユニ「おはようございます。 あら、そんなことを言っては 貴方の可愛いバラが嫉妬してしまいますよ。」 いつもの挨拶に、私もいつものように返して。 小さく口角を上げてみせるの。 血縁者ではない、家をなくした私を 住まわせてくれる彼は、優しいと思う。 彼を家族のようには思わず、W友人Wだと、 そう思っているのが、彼と私の違いかしら。 (25) 2022/08/08(Mon) 16:08:09 |
【人】 ウユニ 毎日のように貰う言葉を 軽く受け流していた理由は、 ここにいるのも、貴方との時間も、 期限付きだと決まっていて。 踏み込まないようにしていたから。 私と彼の関係は、そういうもの。* (26) 2022/08/08(Mon) 16:09:08 |
【人】 ウユニ───出会い─── 花咲病のことを知った後の私は、 独りで散ることができる場所を探していた。 誰にも踏み込まず、踏み込ませず。 一人で静かに、終わりを迎えようと。 この街に来たのも、そんな経緯。 (27) 2022/08/08(Mon) 19:47:59 |
【人】 ウユニ道行く人に、この街を見渡せる場所はないか 聞いてたどり着いたのが、街の奥にある丘。 ついた頃には日が沈みかけて。 沈んでいく太陽を、ただ眺めていたの。 髪を、頬を、風が撫でて 黒のロングスカートがはためいていく。 風に揺られる花はこんな気持ちなのかしら、 なんて、ふと考えて、くすりと笑った。 (28) 2022/08/08(Mon) 19:48:56 |
【人】 ウユニ花弁 が一枚、風に乗って飛んでいったのに 私が気づくことはなかったけれど。 もし、見た人が居るのなら、 少し疑問に思ったのかもしれない。 (29) 2022/08/08(Mon) 19:50:40 |
【人】 ウユニ「困ったわ。 今日泊まる場所も決まってないのに。」 あまり困っていなさそうな口調で 呟いて苦笑いした頃だったかしら。 それとももう少し後だった? ―――私以外の人が居るのに、気付いたの。* (30) 2022/08/08(Mon) 19:51:57 |
【人】 サルコシパラ何をもって普通と呼ぶか なにをして奇とするか ただ一つ確かなことは 普通などという不安定で曖昧な戯言には なんの価値もないということだ。** (33) 2022/08/08(Mon) 22:39:50 |
【人】 サルコシパラ(よもやこの私が運命? 滑稽だろう?それでいて光栄だ。 私は貴女に選ばれたのだろうか。 貴女が私の事を選んだのだろうか。) (37) 2022/08/08(Mon) 22:43:30 |
【人】 ウユニ踏み込むまいという私の態度は 花々にとってどう取られていたものか。 踏み込まないから、知ることもなく。 彼のWこの子達もWの意味に気づかないほど 私は鈍くはなかったけれど 鈍く、気付いていないふりをしていた。 (41) 2022/08/08(Mon) 23:57:22 |
【人】 ウユニ 人が花を選ぶように 花だって、人を選んでいいはず。 言葉を持たない、自ら動けない花には それが出来ないだけで。 貴方に頼ろうと思ったのは 紛れもなく私の意思。 それを選んだというのなら、そうかもしれないわ。 (44) 2022/08/08(Mon) 23:59:53 |
【人】 ウユニまさか誰かいるとは思っていなかったから 後ろから声をかけられたときはそうね、 驚いてしまったから。 一瞬反応が遅れてしまったけれど。 (45) 2022/08/09(Tue) 0:00:24 |
【人】 ウユニ仮面の彼の方へと向き直った。 W普通Wなら仮面に驚いたり どうして、と聞いてしまったりするのだろうけれど 踏み込まないと決めている私はそれを聞かず。 そもそも、疑問に思うこともなかったわ。 (47) 2022/08/09(Tue) 0:01:44 |
【人】 ウユニ 人は皆、仮面を付けているようなもの。 いつ、本性を表すかなんて分からない。 彼の場合は、見える形で仮面をつけているだけ。 ただ、それだけのことよ。 それに、私だって本心を見せまいとしているのだから 仮面を付けているのと同じでしょう? (48) 2022/08/09(Tue) 0:03:04 |
【人】 ウユニ「……さっきの独り言も 貴方には聞かれてしまったのかしら。 私はウユニ。 この街には今日来たばかりです。 行く宛てがなくて、 どうしようかと思っていたところだったの。 貴方は、どうしてここに?」 軽い自己紹介の後に、小さな声で もしかして、貴方の時間を邪魔してしまったかしら なんて、聞いてしまったのは……。 何故でしょうね? いつもなら人の話は聞かないのに。** (49) 2022/08/09(Tue) 0:04:24 |
【人】 サルコシパラサルコシパラがウユニと同居を始めてから 最低でも1年は経つ。 しかしサルコシパラが知るウユニなど 氷山の一角、せいぜい数パーセントの欠片だ。 それが証拠に、その言葉が紡がれたきっかけ 過去のしこりをサルコシパラは察することが 出来ずに、見込みのない憶測を浮かべては ひたすらに首を傾けるばかり。 (50) 2022/08/09(Tue) 1:06:54 |
【人】 サルコシパラそう、全ては直感だった。 運命を感じたことも。 この場所で出会った彼女と ここで今生の別れにしてはならないと そう思わずにはいられないことも。 そこには合理性も理性も何もなく ただ情動に赴くままの選択。 己の直感に従った結果だ。 (52) 2022/08/09(Tue) 1:12:23 |
【人】 サルコシパラサルコシパラが彼女を放っておけなかったのは ぽつりと湧いて現れた同族意識のせいだったのか。 「安心してください。 貴女が住む場所を持たずに 路頭に迷っていることくらいしか 聞いてはいませんから。」 意地の悪い答えを返すと サルコシパラは被っていた仮面をずらして 街の人々には魅せない己の心境を零す。 (56) 2022/08/09(Tue) 1:39:50 |
【人】 サルコシパラ孤独にはなりたくないのに いつか自分から人を遠ざけ孤独を選ぶ。 矛盾に満ちた己の行動を 孤独を埋める形でひとつの線に繋げてくれた 彼女はむしろサルコシパラにとっては感謝の相手。 それが、ウユニのか細い不安への答え。* (58) 2022/08/09(Tue) 1:42:25 |
【人】 ウユニ 奇病のせいで家族に家を追い出されてしまった。 路頭に迷った理由はそれしか言っていなかった。 住まわせて貰うのはせいぜい数ヶ月。 密かに、貴方の知らないうちに出て行こう。 当初はそう思っていたから 過去を話す必要もないと思って。 思ったよりも貴方の家に長居してしまったのは 私にとっては誤算だったわ。 仮住まいだとしても帰る家があることに 貴方の傍にいることに、居心地の良さを覚えて それに甘えてしまっていたのでしょうね。 (59) 2022/08/09(Tue) 12:18:06 |
【人】 ウユニだから、なのかしら。 貴方の過去の断片を聞けば より、貴方から離れがたいと思ってしまうの。 貴方の悲しみに寄り添いたい、と。 今までそうしてはいけないと思っていたのに そうしたい、と思うのは…… 貴方のことが…。 (60) 2022/08/09(Tue) 12:18:58 |
【人】 ウユニ彼の強い意志に背を押されて。 私は、最善とは言えない未来を、 この手で選び取ってしまった。 貴方を苦しませると、予想できる未来を。* (61) 2022/08/09(Tue) 12:25:56 |
【人】 ウユニいいえ、本当はずっと前から。 選んでしまっていたのね。 あの日の出会いを始まりにするのでなく 終わりにするべきだったの。 今生の別れにするべきだった。 (62) 2022/08/09(Tue) 12:26:19 |
【人】 ウユニ寂しさを受け入れられない、という言葉は 私には当てはまることだったから。 心を見透かされたような気持ちになってしまうの。 でも、それだけではなくて…… まるで彼のことも指しているような そんな気もしてしまって、思わず発した言葉に 貴方はどう思ったのかしら。 (64) 2022/08/09(Tue) 12:29:15 |
【人】 ウユニ「私も独りなんです。 珍しい病気に罹った私を、 家族は疎んで追い出したから。」 そう、言った後、冗談のような口調で、 「ここに、行く宛てのない人が居るんです。 その人を連れ帰れば、独りじゃなくなりますよ。」 口元に手を当てて、静かに笑った。* (67) 2022/08/09(Tue) 12:33:00 |
【人】 ウユニ私はひどい提案をしたと思う。 貴方を利用します、 と言っているようなもの。 勿論利用されるのは構わなかったし 例えば家事とか、私にできることを頼まれるのなら こなすつもりでいたし、たとえ頼まれなくとも、 何かの形で貴方へ恩を返すつもりでいたの。 (73) 2022/08/11(Thu) 0:05:38 |
【人】 ウユニ 数年たっても秘密を守っていたのは そう、最後の線引きのつもりだった。 花咲病のことは、 これだけは、知られてはいけない。 知ってしまえば、病を背負わせること、 私の心に踏み込ませることと同じだと思うから。 彼のためだから、そうやって言い訳して ずっと言わなかった。 (77) 2022/08/11(Thu) 0:10:54 |
【人】 ウユニ*** 私は、弟妹の世話をしていたこともあって 家事は一通り、できるつもり。 掃除は特に、出来るだけ積極的にしていたの。 何故かって? 見たことのない花弁が いつも床に落ちていたら不自然でしょう? だから花咲病の痕跡を残さないように、と 出来る限り、私が使う部屋、 出入りする部屋は綺麗にしていた。 彼が触れて欲しくない物には触れないように 入ってもいい場所、触ってもいいものは 事前に確認していたから。 彼の気を悪くするようなことはしなかった… そのはずだけれど、どうだったのかしらね。 秘密を明かした後も、習慣づいてしまったものを 変えられなかった、というのはまた別の話。 (78) 2022/08/11(Thu) 0:48:45 |
【人】 ウユニ普段はそうやって家事をするだけではなくて。 街に出て、布を買ってきては 服や帽子を作って、 店に持ち込んで買い取ってもらう。 私はそんな風に生活にかかるお金を賄って。 住まわせてもらっている対価のつもりで 貴方へと稼ぎを渡そうとしていたけれど… 受け取ってもらえなかったのなら、 家のどこかに纏めて置いたままにしていたでしょう。 (79) 2022/08/11(Thu) 0:50:28 |
【人】 ウユニ裁縫が得意だとは彼にも伝えていたから。 彼の服のボタンが取れていたり ほつれていたりするのを見つけたときは 「それ、直しますよ? そのままだと着づらいでしょう?」 と言って、服を直そうとしたこともあった。 また、ある日には。 (80) 2022/08/11(Thu) 0:50:58 |
【人】 ウユニ「売り物にするには作りが甘くて。 もしよければ、貴方に貰って欲しいんです。」 と、もっともらしい理由をつけて 貴方にひざ掛けを作って渡そうとしたこともあった。 竜胆の刺繍飾りがついた、 充分売り物になりそうな、ひざ掛け。 (81) 2022/08/11(Thu) 0:51:29 |
【人】 ウユニ住まう場所を提供してくれる彼に 何かを返したい、そんな思いを形にした贈り物。 「使わないのなら、私が使いますし 無理に、とはもちろん言いませんから。」 押し付けるのは本意ではなかったから。 そう付け加えて、差し出したそれは 受け取ってもらえたんだったかしら…?* (82) 2022/08/11(Thu) 0:55:05 |
【人】 サルコシパラまたしばらくすれば 今度はウユニは自ら生計を立てる術を 身に付け、その手腕を発揮する。 裁縫が得意という言葉に嘘偽りなく。 確かにその力は本物だった。 なんと頼もしいことだろう。 そんな感心を抱くサルコシパラには 彼女の稼ぎを貰おうなどという発想などなく。 (85) 2022/08/11(Thu) 8:15:44 |
【人】 サルコシパラウユニがサルコシパラに稼ぎを 渡そうなどという時には仮面越しにも 伝わるほどの拒否感を滲ませて。 「それはあなたのものです。 もし私に渡そうなどというのなら 私は今すぐあなたの為に服を買います。」 なんて言って冗談交じりに 淑女が着るようなドレスのカタログを 見せたりもしたことだろう。 (86) 2022/08/11(Thu) 8:16:23 |
【人】 サルコシパラ幸せな日々というものを サルコシパラは日々感じるようになった。 ウユニの存在はそれだけ大きく。 次第にサルコシパラに強い感情も芽生えて。 それでもこの関係をより深めなかったのは 彼女が病に侵されているという事実が 頭の中にあったからだ。 (89) 2022/08/11(Thu) 8:19:25 |
【人】 サルコシパラウユニから病気のことを告げられた日の夜 サルコシパラは珍しく夜更けになっても 眠りにつかないまま自室にいた。 部屋が複数あるサルコシパラの自宅では リビングの他にサルコシパラの部屋と ウユニの為の部屋、そして空き部屋があり 夜は特段の用事がなければ 互いの部屋に入ることも滅多に無い。 脳裏によぎるのはもちろん ウユニの抱えている病のこと。 彼女の家族でありたいと願う者として 病のことを知るのは責務だと サルコシパラはそう考えていた。 (91) 2022/08/11(Thu) 8:39:15 |
【人】 ウユニ 貴方が私にどんな服を選ぼうとするのか 興味はあったけれど、そんなことを言えば 本当に買いかねない雰囲気すらあったから その想いは心に秘めていたの。 (94) 2022/08/11(Thu) 17:15:08 |
【人】 ウユニ 見ないふりをしていると 本当に鈍感になってしまうものなのかしら。 貴方がもしかしたら遠慮するかもしれない、なんて 不要な気を回して、 受け取ってもらえなくとも構わない、 そんな気持ちでいたのに。 貴方が大切に使う、って受け取ってくれると 心が弾む。あなたが喜んでくれることが たまらなく、嬉しいんだもの。 (96) 2022/08/11(Thu) 17:20:37 |
【人】 ウユニ病のことを打ち明けた日の夜。 私は、少ない自分の荷物の中から 小さな手帳を取り出して、読んでいた。 当てもなくふらふらとしていた頃。 花咲病について調べて、 わかったことをまとめた手帳。 貴方の目には決して触れないように 外出するときには、肌身離さず持って行って 家にいるときは鞄の中へとしまっていた。 (98) 2022/08/11(Thu) 17:49:03 |
【置】 ウユニ・花咲病に罹った者は身体に花が咲く。 ・最後には大きな花弁となり死んでしまう。 ・感情が昂ること、人としての自我が薄くなると 病の進行が早くなってしまう。 ・時間が経つと進行が早くなる。 ・治療法 有効な治療法はない。 花弁を食べると伝染する。 誰かに感染すと…… (L0) 2022/08/11(Thu) 17:52:28 公開: 2022/08/11(Thu) 17:55:00 |
【人】 ウユニ綺麗な字で箇条書きに綴られた項目はそう多くない。 それだけ、わかっていることが少ないという事。 私が知らないこともまだあるかもしれない。 最後の方の文章は一度書いて、その上から 線を引いて消してしまった。 誰かに感染すくらいなら 死のうと思っていたから。 (99) 2022/08/11(Thu) 17:53:14 |
【人】 ウユニ 何度読んでも書いてあることは変わらない。 ふ、とため息をついて、手帳をもとの場所に戻すと 明かりを消して、ベッドに横になった。 (100) 2022/08/11(Thu) 17:53:56 |
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