170 【身内RP村】海鳴神社の淡糸祭
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
| [ 宵稚の好きな食べ物、好みの味 >>1:72 あの頃は濃い味が好きな宵稚に合わせた 料理を作る練習をしていたな。 最初は全然美味しく作れなくて それでも 10回に1回くらい 成功したものを 「たまたま作ってみたんだ。」と 部に差し入れる形で持っていったりして。 (牛乳とにぼしの差が身長に出ていたのか ……今からでもにぼし、食べてみようか) ] (0) 2022/08/21(Sun) 7:20:45 |
| [ 育ち盛りの男子の好きな茶色い食べ物達。 例に漏れず宵稚もコロッケが好きらしく 俺も好きなものランキング入りだ。唐揚げとかな。 そんな好きなものを小中学でリサーチした俺は 高校生になれば 二人で音楽に没頭する時に よく作って差し入れをしたものだ。 部の差し入れを続けていてよかった点だよな。 継続、という形で違和感なかっただろ? なくなっていった買い食いの数と比例して 俺のお手製の差し入れは多くなっていたかもな。 お陰様で上京しての一人暮らしの料理には 困ることはなかった。 ……ただ君の食生活を心配はしていたんだ。 ] (1) 2022/08/21(Sun) 7:22:16 |
| [ なんだなんだ? 宵稚だって甘そうなもの頼んでるじゃんか >>1:73 どんなものかスマホで調べれば 可愛らしいカクテルで その後に続いたカクテル言葉は……。 『 自分勝手な人を嫌う正直な人 』 中々に奥が深いな、なんてスマホと 現物を交互に眺めていたら まさかの半分が俺に来た。 半分……。 要するに宵稚も正直になるから 俺も自己完結してないで正直に話せと? いやいやそこまでの意味はないはずだ。 もしかしてこれが記憶のない一部かもしれない。 ] (2) 2022/08/21(Sun) 7:23:10 |
| そうかな へへっ、褒めてもらえた。嬉しい 俺まだまだ頑張れる気がしてきたよ [ 照れたように笑って、 宵稚の肩に額を付けて。 酔いのせいにして少し甘えさせてもらった。 ] 俺のイケメンボイスで いつか宵稚を心地良い世界へ 連れていってみせるからな 伝えたいんだ。 俺の声で、君に。 俺の全てを。いつか、伝えることが出来たら、と。 ] (3) 2022/08/21(Sun) 7:24:07 |
| 怖い……怖かった でも宵稚と一緒にいれば 平気なんだ 海の音、波の音、俺は好きだから だからそんな重い話じゃないさ 大丈夫、大丈夫 二人で見る海、聞こえる音 俺には全部宝物だったから [ 海の家でのバイト >>1:75 海辺で奏でるギター。 海は俺たちに必要であり なくてはならないものだ。 ] (4) 2022/08/21(Sun) 7:28:20 |
[ 声に手を伸ばした。
波の音を後ろに、海を背にして。
その視線の先に──────────
それはいつかみた夢。
夢は未来を映す幻。 ]*
音楽は君の好きなもの
君の好きな食べ物も知ってる
[ 君の好きな曲の癖、あったかな。
学生の時、沢山聞いた君の曲。
俺は最初は凄い凄い!と喜ぶことしかできなくて
でも勉強したんだ。君の好きなもの理解したくて
知っていくと俺も楽しくなってきて、
曲の話し合いとかも出来ていたかな。
君と違う視点での意見とか出れてたらいいなって。 ]
君が作った曲だよ?
伝えたいもの込められてるよ
自信を持って!!
俺の歌を聞けーーー!!くらい言ってさ
"それしかない"なんて言わないでよ
俺は宵稚の存在に救われてるんだから
まるで、そんな
言い聞かせてるみたいに……
| * 寛大なお心に感謝します [ なんて大袈裟に改まっていったものの。 正直に告げられた事実に >>1:76 俺は再度頭を地面に擦り付けることになる。 ] 連れ込みを?! 酔っ払いの俺はなんて 大胆なことを…… ということは 夢の中で会えた宵稚は 夢だけど夢じゃなかった?!?! 待て待てまず連れ込んだ俺が 寝てしまってる現実が辛い [ どこか嬉しそうな宵稚の姿に >>1:77 連れ込まれたんだからな?! 俺以外に油断するなよ!!!と 心の中で 叫んでおきました。 何せ加害者は俺……!! ] (5) 2022/08/21(Sun) 10:48:11 |
| [ 昔に戻ったみたいと言われれば >>1:77 確かにそうだけれど でも、あの頃から悶々としていた 俺としては複雑で。 顔にも複雑さが出てしまってたかもな。 酸っぱいものを口に入れたかのような 顔になってたかも。] はい、はしゃいでしまいました だって宵稚と会えて嬉しくて…… 緊張は……今は別の意味でしてるというか [ 土下座をしている俺。 俺を見下ろす宵稚。 あ、なんか別の扉を開きかけt……。 いけないいけない。 頭を軽く2、3度振って。 煩悩を打ち消そう。 ] (6) 2022/08/21(Sun) 10:48:35 |
| [ 楽しそうな宵稚を見ると やっぱり嬉しいんだ。 君の願い事。 それは、俺にとってのご褒美のようなもの。 ]* (7) 2022/08/21(Sun) 10:48:44 |
| ― 参 ― [ 高校からの彼は買い食いが減り お金を気にすることが多くなった。 その理由は後からわかることになるのだけれど それからは俺も負担にはならないように お金が絡むことはあまり出さないようにした。 それなのに。 ] 無料の言葉に騙された [ 宵稚にメッセージを送った後 >>1:70 URLを俺も開けば 無料の浴衣はあるものの オプションが色々と。 着付けやヘアセット、 お得パックの字も並びを見て やっぱ浴衣ナシ!と すぐ送り直そうとしたんだ。 ] (8) 2022/08/21(Sun) 12:40:53 |
| …………。 [ すぐ送ったら気にしてしまうかもしれない。 俺が気を遣ってるって思ったら 嫌に思わないだろうか。 後、 俺は宵稚の浴衣姿が見たい。 最後が一番強い思いではあるが お祭りは楽しんでこそだ! 浴衣レンタル分宵稚に楽しんでもらおう! まずは俺も浴衣に着替えて…… (と言っても俺も一番安いプランだけどな) ] (9) 2022/08/21(Sun) 12:41:33 |
| [ 宵稚からもメッセージが届けば >>1:82 その偶然に面白くなる。 同じプランならそうなるよな。 ] 『 俺ら色違いだな 良く似合ってるよ、格好良い 』 [ その写真を見れば笑みが漏れてしまう。 ニヤけてしまうのは 着てくれたことと、似合っていたことと 後色々なものが要因だ。 ] (10) 2022/08/21(Sun) 12:42:26 |
| [ 生の浴衣姿の宵稚を 集合場所で見ることが出来ると。 ] [ 見てください。これが俺の推しです。 なんて全世界に発信したいくらいで。 思わず口から変な例えが出てしまう程だ。 咄嗟に口元を押さえて 指でGJとジェスチャーで伝えた。 その後お祭りに向かう前に ホテルの人に二人で写真を撮ってもらったり 俺は宵稚を撮しまくったね。 ]* (11) 2022/08/21(Sun) 12:43:14 |
| ― 祭 ― 俺も草履にすれば良かったかな [ カランカランとまだ慣れない歩き方 音だけはそれらく鳴っているけれど 宵稚の草履を見ながらつぶやいて。 ……んん? となると 下駄の分 俺の方が身長が高くなるのでは?? 視線が少し高くなったことに 足取りも軽やかになる。 ] (12) 2022/08/21(Sun) 13:51:02 |
| 今日も飲むぞ〜〜!って気分だけど ハイ。反省してます 少しだけ…… 少しだけ…… [ ガッツポーズで飲むぞと アピールをした次の瞬間に がっくりと項垂れて 反省の意を体を使って表す。 少しだけと思ったところで 焼き鳥にビールなんて組み合わせを聞けば >>1:84 ] それ、最っ高だな! 早速行こう (13) 2022/08/21(Sun) 13:51:12 |
|
[ 宵稚の浴衣の裾を掴んで先を急かした。 中々見つからない焼き鳥とビールを 探しながらも射的を眺める宵稚に近付いて。 ]
なになに? おーーー射的か
わかるわかる 子供の頃はそれがわからなかったんだよな よーし、いっちょやってみるか 勝負しようよ、勝負
[ 目指すはゲーム機!と意気込んで ガチの集中力を発揮させたりな。 結果は……残念賞。 ]
(14) 2022/08/21(Sun) 13:51:18 |
|
[ 残念賞はぬいぐるみキーホルダー ペンギンanimalのぬいぐるみが 宵稚にどことなく似てたから 彼の帯紐に括り付けて満足した。 ]
(15) 2022/08/21(Sun) 13:54:13 |
| したかったこと。あるよ お祭りを二人で回って 楽しんでさ 海鳴神社にお参りもして それから、それからさ…… 静かなところに行こうか [ その頃には日も暮れる 黄昏時から逢魔時へと変わる頃。 祭りの提灯の赤色が目立つ時。 神社の建物の横の 祭りの灯りが遠くで見えるくらいの距離。 虫の鳴く音が聞こえて ここなら落ち着いて話せるかなって 思ったんだ。 ] (16) 2022/08/21(Sun) 13:58:27 |
| 今日さ、こうやってお祭りに来れるなんて 思わなかった 付き合ってくれてありがとう また一緒に回れてとっても楽しかった 俺、高校時代から 宵稚のこと誰よりも知ってるって思ってた でも、知らないこともたくさんあった 君の"特別な口癖"嬉しかったよ 無理させてたらごめんね たくさん甘えてしまった 俺がもっと早く気が付けていたら そう、今でも思う ねえ、今からじゃ遅いかな 今からでも君の家のこと両親のこと もっと俺に教えてくれないか? ……俺に話せそうだったら、でいいよ (17) 2022/08/21(Sun) 14:00:55 |
| [ 君の方を向けば その表情は見ることが出来たかな。 ] [ その時提灯の色が 人知れず一つだけ黒色に変わった。 ]** (18) 2022/08/21(Sun) 14:01:08 |
| * 何言ってんだお前。 [まさにその言葉しか出てこなかったが、 まあなんか楽しそうならいいかとスルーした。 言っていた通り、色違いのシンプルなもの >>10はしゃぐ態度でああ海音だなと確認するけれど] ……浴衣着ると、 お前大人っぽくなるな。 似合ってる。 [ストンと、言葉から漏れ落ちたのは本音だった。 後々本人も気づいたようだけれど、 >>12小さいころ、追いかけてた背中を思い出す。 写真を撮られる際、 >>11俺の方から、海音の方へと体を寄せ合って。 撮られる時くらいおちつけと宥めたりしていた]* (19) 2022/08/21(Sun) 17:23:46 |
| ― 祭 ― 少しだけ、なぁ… そんなに酒好きになるなんてな [甘い飲み物、二人で食べた茶色い食べ物 >>1。 そういった少し子供っぽい嗜好の印象が強かったから 酒を純粋に楽しめる姿は少し羨ましかった。] ん、…クク、大丈夫だって。 売り切れなんてしないだろ。 [裾を引く手に、やっぱり動いてると、 昔馴染みのある海音だなぁとおかしくなって。 俺自身も、昨日より自然と笑えるようになっていた。 ―――祭りの音。 昔に、戻ったみたいだ。 ] じゃ、ゲーム機は当たらなくても、 なんとなくいい方が当たった方が、 焼き鳥、奢りな。 [そういって自分も拳銃を構えて、 500円分の健闘をする。結果は── 残念賞だった。] (20) 2022/08/21(Sun) 17:25:09 |
| このペンギン、辛気臭えなあ。 [無名の安物だろうそのキーホルダーに >>15すぐ愛着がわけでもないけれど。 俺も同じように クリオネanimalの顔があしらわれた ネクタイピンのようなものが当たったので、 海音の襟の所につけておいた。 どっちも残念賞なので焼き鳥は各自現金払いだ。] (21) 2022/08/21(Sun) 17:25:26 |
| ああ、……そうだな。 [ >>16 お前と来る祭りはいつも楽しい。 高校の頃は、お参り、何を願っていた? あんなに毎年行っていた筈だけれど、 思えばコイツ自身の「願い」って、あまり聞かなかった。 口を開けば、俺と一緒に居る事って言いそうだけど。 ――それは、本当の願いなのだろうか。 お参りも済ませて、 静かな所、と誘われるままに、ゆったりと歩く。 喧騒が薄れていく。 神社の傍、葉擦れの音と波の音が混じって、 潮風と一緒に間を通り抜けていく。] (22) 2022/08/21(Sun) 17:26:04 |
| [飲みかけの酒を片手に、お前の話に耳を傾けて。]
……ああ。 俺も、昨日今日、会えてよかった。
仕事の事で自暴自棄にもなってたからさ。 少し吐いて、楽になったよ。
[今の話は本来、海音に知られるべき事かと。 それすら悩んでいたのだから。]
俺は…俺は、逆にさ。
昔から、海音の傍にいるのに、 お前を知ろうとしなかった。
ただ縋ってたし、…それは今も変わらない。 そんな俺でも、昨日今日、 こうしていてくれるの、すげえ嬉しかったよ。
[謝る彼に対して、首をゆるり、横に振り。 その後続いた言葉に、一拍、沈黙を置いて。] (23) 2022/08/21(Sun) 17:26:31 |
| ………、……。
あのさ、海音、その前に…。
[俺が振ったと、"勘違い"して、 勝手にその先に──境界線に踏み込むお前に。
静止を、かけようとした。] (24) 2022/08/21(Sun) 17:27:01 |
| [お前に真剣に向き合おうとした覚悟の 表情 或いは、その 言葉 より、 >>18 祭りの灯が陽光に反し、 世界が、涅に色憑き、変わり果てるのだ。 ] ** (25) 2022/08/21(Sun) 17:31:27 |
| (n0) 2022/08/22(Mon) 3:38:40 |
| (n1) 2022/08/22(Mon) 3:39:03 |
| (n2) 2022/08/22(Mon) 3:40:43 |
| (n3) 2022/08/22(Mon) 3:41:31 |
| (n4) 2022/08/22(Mon) 3:41:49 |
| (n5) 2022/08/22(Mon) 3:41:57 |
| (n6) 2022/08/22(Mon) 3:42:19 |
| (n7) 2022/08/22(Mon) 3:42:32 |
| ─ お祭り前:写真 ─ [ 俺なりの最高の褒め言葉 >>11が 通用しなかったのは この際置いておこう。 ] そう? かな 似合ってるのなら嬉しい ありがとう 宵稚も素敵だよ 男前が (3)1d6割アップしてる (26) 2022/08/22(Mon) 7:30:43 |
| [ 宵稚の浴衣姿は中学が最後だったかな >>1:79 俺はというと しっかり高校まで浴衣で 宵稚にアピっていたな 少しでも色んな俺を見てもらおうと思って。 多分本人何も気にしていない感じだったけどな。 いやいや何事も小さいことからの 積み上げが大事なんだよ。 それに今、似合ってるって言ってくれたから。 その言葉がこんなにも嬉しい。 浴衣を着ないと普段は子供っぽいのか?? という疑問は考えないようにしようと思う。 ] (27) 2022/08/22(Mon) 7:32:09 |
| ─ お祭り ─ [ 二人して射的は残念賞 >>20 それでも俺にとってこのクリオネは >>21 特別な一つとなった。 ] 現実は世知辛いな〜 でもこのクリオネ気に入ったよ、可愛いし ありがとな [ 襟のところに付いたクリオネを 触りながら少し照れてお礼を言う。 まさか貰えるなんて思わないだろ? 交換みたいなもんかな……って考えると 照れてしまったんだ。 ] 辛気臭いペンギン……じゃなくって ハードボイルド顔のペンギンだって 可愛いとこあるんだよ、多分 あ、ほら、鳴いた! [ お腹あたりを押すとピィって 音を出すペンキンのぬいぐるみ。 ペンギンってピィって鳴くっけ? まあ細かいことは気にしない気にしない。 ] (28) 2022/08/22(Mon) 7:32:37 |
| 少しは楽になれた? 良かった そう言ってくれると 俺のいたことにも意味があったなって 嬉しくなるよ 俺だけ浮かれて 嬉しかったらどうしようって思ってたからさ ……宵稚は俺のこと知ってくれてるよ 今までも十分 これ以上抱えたら 君だって沢山抱えているのに 俺のことまで背負わなくていい 俺は宵稚を支えたいんだ 俺で良かったら……なんだけどな [ だから教えて欲しかった。 (29) 2022/08/22(Mon) 7:32:42 |
| [それは時間でいえば、刹那。 立ち眩みかと、勘違いした。 確かに、俺はその雑踏を少し煩いとすら思っていた けれど、けれども── 世界は此程迄に、静かだっただろうか? >>n2 ] ────海音? ** (30) 2022/08/22(Mon) 11:21:09 |
― 妖 ―
……………、…… 海音?
海音、どうした?海音?
[目の前にお前は居る。
此方から言葉を、声を掛けても、
その声が伝わっていないらしい。
なにかの膜が、俺たちの間に張られているようだ。
もう一度、名前を呼ぶ。
押さえた片耳の中、お前の声は聞こえない。
その代わり──、蛍のようなお前の代わりに。
あたりに浮かぶは、
だった。
が、光って、漂っている。]
……なんだ、これ
[赤とも、蒼とも違う。
そもそも、"黒が光っている"なんて、
常識的に考えられない事だ。
――― けれど、コレを俺は知っていた。
]
──勘違いかと思いましたが、
久しい顔じゃあ御座いませんか
人魚の落とし子よ
秉燭の儀は終わっていますよ
また道に迷ったのです?
[だんだん海音が黒く塗りつぶされる
。
そこにいるのが解って、何度も呼びかけていれば
足音も気配も無く声のみが背後から落とされる。]
っ、……は?
[祭りの前、海音と会う前。
否、もっとその前、その前、ずっと。
ずっと、海音の居ない間。
俺を苛み続けていた声だった。
『声』と称するには悍ましく、曖昧で
水中を漂っているような反響をする。
繰り返し、繰り返し、
夜な夜な同じ言葉を囁き続けていた。
この言葉は、この村に帰ってきて、
あの時 明瞭に『言葉』になっていたのに。
――何故今の今まで忘れていたのだろう。]
[その顔は、人の形をしていた。
身体や足も、人の形をしていた。
祭りを楽しんでいるのか、
面紗で顔がわからない。
けれど、真似事のように身につけた浴衣の袖から、
四肢と同じ様に、揺蕩う触手が伸びている。
ひとつひとつが、淡い光を放っていて
黒の光と同じ様に、漂っている。
揺蕩う姿を見続けていれば、
自分が海中の中にいるのかとさえ、錯覚する位。
足音も気配もなかったのは。
此の様に常に地に足を付けず、
泳いでいるせいなのだろうか。]
……な、に、なんで、
アンタ、浮いて…
[現実的ではないと頭が理解しているのに、
受け入れられないのが、人間というもので。
──、だって、俺、いい大人だ。
そんな迷信、信じてるわけが無い。
だが…今コイツは、なんて言った?
久しぶり?
そう、そうなんだ。
どうしてだか俺はコイツに、此の光に覚えがあった。
]
嗚呼
其れが貴方の産みの親が仰有っていた
海鳴の坊で御座いますか
[『声』は海音に顔を向けて、妖艶に微笑む]
此度の件に関しては、
海月火は関与しちゃあ、居ませんが――
貴方自身がまた此処に来れたのは、
其方のお陰かもしれませんねえ
……何を言ってるか
さっぱり解らない、と言った顔をされます事。
私はもう『貴方の願い』に関して、
全て終わらせた、ということですよ。
[それは、どちらに向けて言った言葉か。
けれども、『声』は、楽しげに宙を泳いで]
っ、な、なに、やめ、やめろ
[俺の周りに、黒の光が楽しそうに漂う。
ただくるくると回り続けていたのではない。
ずるり、
と、光からずり落ちるように、
何本もの管が垂れ下がり、蠢くのだ。
後退る。危険だと、逃げろと警笛鳴る。
―――逃げる? どこへ?
]
[求めたい相手の声が、聞こえないのに。
縋りたいその手が、握れなかったのに。]
―――、ヒ、
[一瞬の怯みをついて、
海月が、管が、光が、頭に絡みつく。
そのひとつ、否、
二つが――額を這い
、]
や
め
、ッ……!!!!!
[あろうことか、
耳孔にズルズルと侵入してくるのだ。
刺し貫くような、脳への刺激に、絶叫した。]
[ごぽ、ごぽと。
大きな水泡が弾けるように「喉」を鳴らす。
管が何かを呑み込んでいるように、
数度膨らんでは、頭に乗った海月が煌めく。
やがてそれは海月とは別の光の玉となって──
光の中に『記憶』を映し出した。
それは、いつしか、お前にも見られてしまうのだろう。
話せることも、話せないことも、 全部、全部]
― 回想:真 ―
[一度目の"来訪"。それは偶然だった。
子供にはよくある罪。迷い子。
五つの時。俺はこの世界に来たことがある。]
……あれ、
かいと、かいと?
おとーさん、おかーさん
……みんな、どこいったの?
[此の時から――『言い伝えなんて迷信』で。
ただ皆とはぐれてしまっただけと思っていた。
……だって、俺はこの時から、
父と母と、海音以外、どうだってよかったから。
愛する人が、世界のすべてだったから。
]
………、…。
──♬、…♪……
[悲しみに蝕まれる心を抑えつけて、
ごまかすように、海音だ大好きだと言ってくれた、
二人の大好きな、歌を歌う。
歌っていれば、見つけてくれやしないかと、
淡い期待を抱いて、歩く。]
『篳篥の音にしては、か細いと思えば。
生まれたての稚魚で御座いましたか』
[『声』は初めて、その時俺に声を掛けてきた。
人間の姿をして宙に浮く様をみて、
幼い俺は――恐怖で足を竦ませていた。]
『唄がお好きで?』
[『声』は尋ねる。俺は無言で頷いた。
『声』は続けて尋ねる。
どんな唄が好きか。謳って、何を得るのかと]
あのね、あのね…うたうと、
みんな、わらってくれるの
ぼくがみんなをえがおにできるの
[面紗の下、『声』は静かに微笑んだ。
俺もだんだん、何もしてこないソレに対して、
恐怖というものを薄くしていってしまう]
…だからね、ぼくね
うたがうまくなりたいんだ
すきなうたをずっとうたって…
みんなをえがおにしてあげるの
。゚ ゚o .゚
..。゚ ゚o
。o゚
[その時、気づかれてしまったのだ
其れが『願い』であると、気づかれてしまったのだ
妖に、人の生の短さ等些細な話で
『みんな』という言葉の意味を履き違えたまま。
――俺にとって、『みんな』とは、
父と母と、海音だったのに。]
私達の好みも千差万別
私の好みは、雑味な願いが混ざる前の──
純な子が望んだ欲が、熟した果実
其れが美味であり、私の魂をも満たすのです
十年です
十年、胎の中で願いを孕ませなさい
期が熟した頃に、歌えましょう
宛ら人魚の様に
その身を贄とし、永久に歌えましょう
[その後、俺は何事も無かったように。
迷子として祭りから抜け出して――
悲痛の顔を浮かべた両親の腕に抱きとめられた。
心配したんだから、と怒り、悲しみ、安堵。
全てをぶつけられて、それで終わりだった。
――終わりだと、思っていた。]
[それは、俺に覚えのない記憶の断片。
脳を強請られて、引きずり出された記憶。]
おとうさん、おかあさん。
あのね、ぼく、みんなとはなれたときね
だれかにあって、みちあんないしてもらったの
なにか…おはなししたようなきがする
でも、わすれちゃった
ぼく、ありがとうっていえたかな
[子供の曖昧な世迷い言を。
両親は、青褪めた顔で聞いていた事なんて――
俺は、知らなかった。
わすれて、いた。]
[十年後。その願いが果たされる迄。
俺は『歌』を忘れていた。
『声』の言う通り、
歌を、愛を、心に秘めて孕ませたまま。
今まで見向きもしなかったもの。
軽音部、譜面、ギター、音楽。
十年を境に、その才は一気に花開いた。
願った事も忘れて、
愛する人に、歌を聞いてほしくて。
一番は海音だったけれど――
家に帰って、聞いてほしい人が、いたんだ。
]
親父、おふくろ、俺、曲作ってみたんだ。
ちょっと聞いてくれないか?
[両親、というものは。
本当に子の事をよくわかっているものだ。
その歌を聞いて。
『俺』が、『何』を、『誰』に願ったのか。
その時、大方を悟ったのだ。
――曲を聞き終えて、おふくろはただ一言。
『素敵な歌ね。』と。それだけだった。
高校生が作った稚拙な歌だから?
その時から、俺に対する愛情が薄れていたから?
――その、どちらも違った。
父も母も、刻限が迫っていると気付き、
俺の前で平静を取り繕うので精一杯だったのだ。
]
[それは、俺に覚えのない記憶の断片。
管を通じて、送り込まれてくる『誰か』の記憶。
お金を机の上に置き、書き置きを残す。
朝から晩まで、村に残る書物を漁る。
自分たちの寝る暇も惜しんで
何度も、何度も、何度も探して。
ときには村を出て、専門家にも訪ねた。
言い伝え、伝承、呪い、代償。
科学的根拠の無いもの、けれど確かに近づくもの。
それに抗う手段、方法、対策。
――その全てが、水の泡に帰そうとも、
愛する子の為に、全てを尽くす親の姿。]
["刻限は、次の祭りの夜"。
夫婦は、夢に出てきたその『声』を捉えた。
血の繋がりと、執着の成せた結果だろうか
――その真実は、定かではないが。
夫婦は、子とは別に神社に足を運ぶ。
楽しそうに笑う子と、その友の姿を一瞥して。
黒い提灯に――捧げたのだ。]
「どうか、息子を、あの子の人生を、
幸せを、奪わないでください、神様。」
。゚ ゚o .゚
..。゚ ゚o
。o゚
――ならば。
声に値する程の供物を寄越しなさい
人魚の落とし子には才がある
それをみすみす逃すのは口惜しい
『お前たち』にならば、出来るでしょう?
私の眷属となりなさい
さすれば、子の命と幸せは下界に
[親は、なんでも知っていた。
俺の願いが、歌を歌い続けることも、
その所以の幸福の根幹が、
『アイツ』だということも。
―――その日から、
家に金が置かれる事もなく、
俺の親は、俺に姿を見せなくなった。
* "その日"と、同じだったのだ*]
しら、知らない、
知らない、知らない知らない知らない
こんなの、
こんなの嘘に決まってる!!!
[絶叫した。痛みに、ではない。
苦し紛れの現実が、妖の呪いを受けていたなんて
信じられなかった。受け入れられなかった。
誰も、愛情を断ち切ってなんて、いなかった。]
『でも、謡えているでは或りませんか』
[『声』は笑う。
眷属を自身の隣に侍らせている。
動かない身体で、眼球だけ、彷徨わせる。
どれだ。どれなんだ、
俺の父と母が、
もはやどれなかもわからない。
]
お、オ、俺、俺は、俺は、俺は俺は!!
俺は、親父もおふくろも、海音も、
ただ、俺の隣に居ないだけで、
歌えば、歌ってれば戻ってくれるって思ってただけだ!!
お前たちに叶えてもらった願いじゃない!!
全部"俺"がいちから作ったんだ!!
[ドク、と脳髄がまた痺れる。
俺の感情を吸い上げるように、管が嚥下する。
光はさっきよりも赤く、あかく。
黒と違う淀みのようだった。]
『君の音楽、どれも良いね』
『採用しよう、我が社から売り出す事を約束する』
[コンポーザーとして、どこにも所属せず、
ネット活動や路上演奏で稼いでいた頃。
その言葉は、希望の光のように思えた。]
『では、この楽曲は
××さんの曲として、世間に公表するから』
[大手音楽会社に、曲を提供した時。
その一言で、光は一瞬で陰る事となる。
俺は、契約上、自身の名を明かせなくなる。
無名の俺が、曲を多くの人間に広める方法。
その手段として、会社はこの形態を取った。
ネット活動も制限されてしまった。
"ゴーストライター"
それが、俺の本当の今の仕事の肩書。]
[当然、始めは納得いかなかった。
いや、今だって納得が行っていない所もある。
けれど。現実は、厳しいものだった。
誰をも魅了する
人魚では、ないのだ。
俺の『歌』は――
ただ、俺が愛する人へ愛を伝えるときに、
自分の思い通りに、曲が作れるだけ。
何度かチャンスが訪れたとしても。
『俺自身』は、売れないままだった。
アイドルの突発的なヒットチャート
サブスクリプションで聞けるR&B。
J-POPに、レゲエが混ざった恋の歌
全て、俺が作った曲だと、世間は知らない。
形態を変えれば、たちまち、大衆は笑顔になった。
『歌』だけが、皆に愛されるのだ。]
有涯、生在る者の望む至高の幸福とは
如何に欲に塗れているものか
随分下界で苦労されているようですね
叶った後に関しては
私は一切、関与をしておりませんが
人魚の落とし子よ
再度『願う』のならば、叶えましょうか
真実を知り、何か新たに願う事はありますか?
……それとも、海鳴の子
ここに来た理由は、他の妖が原因でしょうが
私は、貴方の願いも、聞き届けますよ
[他人事のように、当然のように。
揺蕩う『声』に、悪意は感じられなかった。
ただただ、感性が違うのだ。]
お、れ、俺は、―――俺は……
[意識が、朦朧と、する]
| [ 伸ばした手。 何も掴めないのならいらない。 手の消失。 ] [ 真実の見えない瞳。 君の姿が見えないのなら必要ない。 眼の消失。 ] [ 動けない足。 君の元へ近付けないのならいらない。 足の消失。 ] [ そうしてひとつ、またひとつ、 消して────。 ] (31) 2022/08/23(Tue) 4:46:58 |
| (でも声は、声だけは───── 声がないと伝えられない。 君に伝えられなくなってしまう。) [ 伝わらないのなら声は****。 声の**。 ] (32) 2022/08/23(Tue) 4:47:24 |
| [ もしそれらが本当に消えていったとしたら。 俺というものは何でできているのだろう。 ] (33) 2022/08/23(Tue) 4:47:34 |
[ 火花が爆ぜたような一瞬のこと。
知らぬ声が耳ではなく
脳に響く。
でも今、気にするべきはそこじゃない。 ]
宵稚!!!!!!
[ どうして、届かない。
手を伸ばせば膜のようなものに遮られる。
突然周りの空気が変わった。
頭のどこかで
これは現実ではないような気がしていて。
それでも夢とは違う。
だって、夢がこんなに苦しいはずがないんだ。
宵稚が俺の名前を呼んでいる
声が聞こえずとも口の動きでわかる。
だから俺も伝えるんだ。口を開いて
”ここは危険だ”
と
ただの直感。
でもそれはきっと正しい。 ]
[ 周りが暗くなろうと
俺は目の前の膜を破ろうと必死で
何度も手を叩きつける。
俺の手がダメになったっていい。
今、君の元へ行けるんだったら
なんだったってする。
けれど急に力が強くなるわけもなく
ただ力一杯足掻くことはやめなかった。 ]
[ その声は俺にも響いた。
俺と宵稚以外、
先程俺に語りかけた声とも違う
また別の声。
まるで君に知り合いに話しかけるような
懐かしさも込められていた。 ]
[ 俺は知らない。
君がその声に悩まされていたこと
聞けなかった。
知らなかった。
俺がずっと一緒に居れたなら
知れたかもしれないことを。
拳を握りしめて
膜越しに異形を光を睨み付ける
俺の中にある感情は
恐怖でも畏怖でも驚愕でもなく
明確な怒りだった。 ]
宵稚の両親のこと
知っているのか……?
まず、話し合いするなら
俺をそっちへ行かせてくれよ
[ 機嫌の良い声。
この状況でその余裕が俺には癪に触るんだ。
全く対等ではない。
落ち着け、落ち着けよ俺。
余裕があるということは
俺たちを格下とみているということ。
あまりにも今は情報が少ない。
『声』から得られる情報で
俺は理解しなければならない。
俺の中で答えはほぼ出ていた。
村の言葉を借りるならここは隠り世。 ]
[ 君に迫る危険に
俺は助けにも行けず
ただただ名を呼び続けるだけ
届かない、
彼の苦しむ叫びも聴こえない
けれどわかる、伝わるんだ。
その苦しさが。
握った拳に爪が食い込む。
血が流れ滴り落ちる。
口の中も歯を食いしばりすぎて
血の味が広がっていった。 ]
[ 握りしめていた手に冷たい何かが這う。
ソレは舌のように柔らかく滑っていて
俺の手の血を啜り、傷口を広げていく。 ]
……っ! な、何を
[ 手には何かが張り付いているような感覚が
あるものの何も見えず、
ソレが不気味さを増している。
ただやられっぱなしなんて
俺の性分じゃないもので
その滑ったものを拳で強く握った。
ピクピクと動く感じがわかって変な感覚だ。
このまま潰せないかと力を込めようとした時、
別方向から同じようなものに首を締め付けられ
手を離す。 ]
ぐっ……
[ 首に巻き付いて段々とキツくなっていく。
かろうじて息ができるものの
酸欠になるのも時間の問題で。
苦しさで口を開けた瞬間を狙っていたのか
口の中に先程よりも太く、それでいて
同じような滑りを持ったソレが
口の中に入っていく。 ]
んん゙……ッ!
ーーーー!!
[ 食いちぎろうと歯を立てれば
首を絞める強さが増し
口の力が緩めば口の中を好き勝手にされる。
じゅぶじゅぶと音を立てて動くソレに
耳まで侵されているように感じて。
口にあった血は全て吸い取られた。
唾液も吸い取りながら喉の奥へと進む。
苦しくて涙が溢れるけれど
俺が手を伸ばすのは
手の届かない宵稚の姿が見える場所。
苦しんでる様子が見える
俺が、俺が助けるんだ。
]
[ 光に映し出されたもの
それは俺の知りたかったこと。
君が話せなかったこと。
君自身も知らなかったこと。
俺がこのまま見ていていいものか迷った。
君の口からではなく
君の許可なく知ることを……。
けれど知らなくてはいけないんだ。俺は。 ]
[ 満足したのか俺の口から、首から
俺はソレらから解放されていた。 ]
なあ、俺の血は美味しかったか?
だが誰もタダでやるなんて言ってないからな
何事も等価交換、だろ?
特にこの世界では重要視される
これは交渉だ
この膜、破ってくれよ
さっきの血で足りないなら
足りるまで採っていいさ
先に手を出してきたのはそっちだからな
少しなら血のサービスをしてあげようか?
……わたくし共と渡り合おうだなんて
何と無謀な
けれど面白い。……良いでしょう
確かに
貴方の血は甘美でした
[ 首元に先ほどのソレが巻き付き
ちくりと痛みが走る。
出そうになる声を抑えると
勢いよく音を立てて
血を吸われていく感覚と
快楽が体に伝わる。 ]
気付きましたか
血を吸われると気持ちが良いでしょう?
貴方の苦しむ声を聞きたかったのですが
喜悦の声でも宜しいのですよ
へぇ……?
いい趣味してんな、褒められたもんじゃないけど
俺をってところは褒めてもいいさ
もし宵稚が……って考えるだけで
俺は俺を許せなくなる
でもせっかくだけど、俺は一途なんでな
……ぅ……ッッ
[ 解放されれば脳に送られた快楽と
血を失ったことによる貧血で
頭がぼんやりと蕩そうになる。
それでも俺は君の元へ行くことをやめない。
今行くから、
俺が行けば大丈夫だから
隔てられていた
膜が消える。
それと同時に俺は駆け出して
宵稚への元へ目指すんだ。 ]
宵稚、宵稚
大丈夫だよ、もう大丈夫
俺がいるから
俺がきたから
大丈夫だ
[ 宵稚を後ろから抱きしめて
彼の目を俺の手で覆い隠す。 ]
[ 意識がふらつく君を寝かせようとしたけれど
君は大人しく横になってくれたかな。
願いを聞き届ける。という声に
俺は静かに視線を移した。 ]
さて、まず初めに言っておくと
俺はアンタが嫌いだよ
俺の大切な人を苦しめて傷つけてさ
俺が許すと思う?
そんな奴に俺が願うわけがない
俺が願うとしたら
もう一人のヤツだ
あっちはあっちで怪しさMAXだけどな
俺が昔に会ったこと思い出したよ
”糸”だろ
このお祭りが
淡糸祭って言われてるの俺は知ってるんだ。
だから小さい俺でも覚えられた。
その時は。だけどな。
思い出せたから、何もかも。
願う前に確認なんだけど
俺が願うのは
『 宵稚と彼の家族の”幸せ” 』
どう? 抽象的でしょ
ちなみに揚げ足取るなんてことはしないよな?
代償に払うのは俺のこの先の幸福を全部
足りなければ寿命でも血でも記憶でも渡せるけど
俺は宵稚と一緒にいるって決めたから
死ぬわけにはいかないし
誰の眷属にもなる気はないよ
[ 鳴海の家、海鳴の血筋
交渉に使えるかわからないけれど
手札はまだある。
けれどそれらを出す前に
この願いが可能か不可か
出来るのならば代償は足りるのか
気付かれないように
俺は相手の様子を伺うことにした。 ]**
願うことなら自由ですよ
わたくしは願いを叶えるだけ
ですがその前に
其方の領分にも関わることですから
さて、どうなさいましょう?**
[耿耿とした太陽とは違う、眩く管が、視線を泳ぐ。
そのどれもが、俺の耳に入って、
頭を、脳を、神経を張って行く度、
激痛と感情の並に痛哭する。
耳に入れる音を選ぶ様になっていた。
知りたい事しか、知りたくなかった。
俺の人生なんて『そんなもの』で、
望んだって得られないんだって。
ありふれた夢を抱いた学生時代と、
それが有耶無耶にされる大人の人生と。
ほんの少し、青く色づいた春で。
それで全部なんだって。]
あっ…ぁ、……ぉ
おれ、 おれの、
俺の、 願い は
[もうそれ以上を望むべきじゃないって。
『声』が反芻する。願いを叶えると。
―――……でも、でもこの願いは――
]
[地に足が付いている筈なのに、
深く暗い海底のような寒さだと気づいたのは、
その体温を感じてからだった。
]
………ぁ、
かい と ?
[耳には未だ管が通っている。
『それ』が映し出す様々な記憶は、
脳に直接映し出させるような心地がしたのに。
視界はまた暗くなって。けれどもその暗さは、
酷く酷く暖かくて――…寧ろ、熱くて
]
[身体は横にはなりはしなかった。
──ただ、お前に背を預け、委ねていた。
うまく身体が動かない。
脳から垂れる管が、自分で抜けない
──抜きたい、と思わない、思えないんだ。
それでも、妖たちと
──海音の声はずっと聞こえて
………………………
]
どう、と仰せられても
落とし子の幸福はこの子達が願っていますし
この子達なら、既に「幸せ」そうですし
[ 片手を胸元まで掲げる
二つの海月火が手の上で、踊っていた ]
この子達も貴方も、
勘違いをしているようですから申し上げますと
「幸福」は我々妖ならず、神に祈るものでしょう
私達が叶えらるるは願い──「欲の形」
願う者にとっての幸福とは何でしょう
それを、心得ていなくては叶えられません
その落とし子が良い見本ではありませんか
親が身を代償にし願いしところで
叶えられしは下界の生のみ
揚げ足もなにも
『糸』がその支離滅裂な望みを叶えられるなら
寧ろ叶える所を私は見てみたい所です
何が支離滅裂かといえば、もう──
[『糸』をゆるりと見遣って、静かに微笑む
その後、人差し指をくるりと回せば]
『ひ、ぁガ、あアアアああああ!!』
[『落とし子』の身体がのけぞり、
手の中に閉ざされた瞳孔を開ききって、
悲痛に叫ぶ声だけを漏らす
痛哭や嬌声を好ましく思うアレなら、
気に入りの坊ではないとはいえ、
人魚の悲鳴は中々良い余興になるだろうか]
私達に軽く嬲られる事すら、
貴方は許せないのでしょう?
自覚がお有りではないのですか?
ソレこそ、貴方の「幸福」であり、
「欲の形」そのものだと
ですから、どう、と仰せられても
私からすれば、それは交渉ですらない
落とし子の幸福――
例えば、『苦痛のない余生』を願うのならば
貴方の『幸福』はほぼ無価値に等しいのですよ
…どのみち、私は嫌われているようですし
[困った困ったと、肩を竦める仕草
けれども、少しも声に焦りも戸惑いもない
ただただ、楽しげに、海を揺蕩うように]
──『糸』が叶えるのならば、
海鳴の坊の記憶を落とし子から奪って、
否、寧ろ肉体を貰えばいいのでは?
落とし子の身体で、別の魂が生きている
それならソレにとっても幸福で
坊にとっての絶望で―――
[項垂れていた身体に力が戻る。
抜けていた力を無理やり奮い立たせ、
管の意志に逆らうように、腕を上げて。
何も見えないようにと
『嫌なもの』を覆っていた手を握って
無理やり、引き剥がす。
震える声は地の底から沸き立つような、
自分でも驚くくらい、低い声だった]
… ふざけるな、
どいつも、こいつも、
いつも、いつもいつも、いつも、
何時もいつも如何なる時も
俺が居ない、俺の聞こえない所で、
いっつも、全部、決めやがって
俺が、いつ、
俺は不幸だなんて、いったんだよ
苦しいよ、辛かったよ、
リスカだってしたかったし
酒と一緒に睡眠薬飲んだこともあったし
いっそこの村に帰ってきた時
身投げして死にてえなとすら思ったよ
でも、それは『不幸』だからじゃねえ
理不尽だったから、でもねえんだ
作ってた歌が、届いてるかわからなくて
孤独で押しつぶされそうだったから
自分の心の弱さだって、わかってたんだよ
心が弱いだけで、俺の人生は『普通』だった
此の村にたまたま帰ってきて、
海音に、久しぶりに会って。
親父だって、おふくろだって、
とんでもねえ姿になってたってさ、
歌が届いてるってわかったんだ。
『普通以上』に幸せだろうが…!!
それをわけわかんねー野郎に『願って』さぁ
俺の『もとから幸せな人生』を、
否定してくれんなよ、………
なあ、海音
[凭れかかっていた身体を一度離して、
力の入らない身体を意地汚く這いずって、
振り返ってから、もう一度お前に縋る。
周りを見て──俺の事を見ているようで、
全く見ていないお前に、つい、叫んだ。]
なんで、お前の幸せを代償に、
俺が幸せになんなきゃいけねえんだよ
[湧き上がるのは、有り余る怒り。
こみ上げるのは、置いて行かれそうになる悲しみ。]
ふざけんな。……ふざけんなよ
俺だってお前が
幸せでいて欲しいって
思ってるに
決まってるだろうが、
一人で抱え込んでるのは、
いつもてめえじゃねえか、
馬鹿野郎!!!
[ガリ、と、着物越しの太腿に爪を立てる。
ほぼ引っ掻いてるのと一緒だ。構わなかった。
そのまま立ち上がって、肩を掴んだ。
掴んで、叫んで──拳を振り上げる力はなかった。]
俺はいつだってお前の言葉を聞いてるさ!!
あんな奴らの盲言より、
お前の言葉が一番迷うんだよ!!
俺の歌が良いって、聞かせてって、
それはお前の『願い』じゃねえのかよ、
俺が歌は、お前の幸せにならねえのかよ!!
バケモンに願ったら歌が聞けなくなるとか、
ちったぁ考えたりしねえのかよ……!!
[両肩を大きく揺する。
どれだけ声を大きくすれば、
本当に「聞いて」くれるのか、
全然、遠慮とか、加減がわからなくて]
いつも、いっつもさぁ!
一人で全部終わらせようとすんなよ!!
俺の【音】じゃなくて
俺の、【言葉】を聞いてくれよ!!
お前が幸せじゃなくて、どうして
俺が幸せになれるって思ってんだよぉ…!!!
[ボタ、と、水泡──否。涙が浮いた。
肩を揺する力が抜けていく、震えてしまう]
お前はいっつもそうだ!!
ずっと一緒に居るって言いながら、消えるし
「来た」って言いながら、離れるし
死ぬわけにはいかないって言いながら
平気で、自分の事を代償にしようとするし、
大切って言っておきながら、
気持ちは変わらないって言っておきながら、
俺の気持ちは、知りたいって、言わない し
[わからない、わからない。
コイツに、どんな言葉を伝えたら、
俺の「幸せ」が、「願い」が、通じるのだろう。
どんな歌を歌ったって駄目だった。
どんな話をしたって、駄目だった。
何かを、伝えようとして、
何かを塞ぎ込んでるお前を知っている。
でも、そのこじ開け方がわからなかった。]
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