［狂喜、っていうのは
　きっと今の俺のような状態を言うんだろう。

　普通でなんか居られる筈がない。


　驚きなのか、戸惑いなのかは
　分からないけど
　かわいらしい声を上げるタロを>>?0>>?1
　慮ることもなく、
　腕の傷の手当てすらせずに　
　キツく抱きしめた。

　内側に彼の
　熱を、鼓動を、息遣いを感じながら
　惚けた脳で名前を呼び
　ただひたすら喜びに浸たる。］
　

　
［だって、そうだろう？

　俺にとってタロの存在はもう
　水とか空気とかと同じ
　無いと生きていけないものになっていて、

　好き、とか
　愛だとか恋だとか
　そういう次元を疾うに超えてる。


　死の淵ぎりぎりで
　生きることを赦された。

　彼の肯定には>>3:?11
　そのくらい大きな意味があったのだから。］
　

　


　　　　っ、……ん、？　…ぁ、あ…！



［耳元で響いた声が
　いつになく艶っぽくて、

　はっ、として腕の力を弛めると
　皮膚を透かした
　柔らかな赤が目に入った。>>?4

　出会った日にも
　こんな風に染まっていたのを思い出し
　そして、
　エレクトしまくってる自身を
　押し付けていることに漸く気づいた。］
　

　
［タロに嫌われたら、おしまいだ。
　世界の終わり。
　その先にはしかない。］
　

　
［やらかした、と
　胸中で頭を抱えかけて、
　けど…、もうひとつの存在も感じ取る。>>?4

　思わず、俯いて
　下を確認してしまった。
　己と同じように主張してくれている、モノがある。］



　　　‥‥‥タ、ロ　？



［えと、つまりは
　どういうことだろうか。

　自分の血に
　欲情する男だって分かってて
　それでも好いてくれてるってこと…？

　いや、いやいや。
　もしかしたら無意識のまま
　刺激してしまってたとかもあり得るし。
　都合の良い思い込みをしてしまうよりも…、］
　

　


　　　あのさ、　これは…　その、

　　　お前に欲情してるの　分かってて、　それでも…　？


　　　……っていうか
　　　もし、仮に　そうじゃなくても

　　　一緒に暮らすっていうのだけは
　　　どうしても、撤回して欲しくねーんだけど、

　　　もう、俺────‥‥



［声が掠れる。
　喉と唇が渇く感じがして
　さっきとは別な意味で、舌で表面をなぞってから
　もうひとこと、だけ。］
　

　


　　　タロなしじゃ、無理。　生きていけない。



［こんなこと言われたら
　優しい彼は、断れないんじゃないかって
　分かってて告げた。

　ズルいのは、百も承知だ。
　姑息だろうが、卑怯だろうが
　手放せないものは手放せないんだ。何が何でも。］*