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人狼物語 三日月国


113 【身内】頽廃のヨルムガンド【R18G】

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【人】 仮面の役者 フランドル

 
「へえ」

かつん、金属製の踵を鳴らして掲示板の前に立つ。

「──よそ者は何処でも煙たがられるらしい。
 …ツケが回って来たかな、色々と。

 まあいいさ、観客がそういった筋書きをお望みとあらば。
 この三文役者は絞首台にだって上がるのさ」

芝居がかった調子は常よりもやや静かなもの。
けれどある種の死刑宣告を受けてなお、
役者騙りは役者を気取るらしい。

「とはいえ顔は勘弁して欲しいものだなぁ…」
(0) 2021/12/12(Sun) 21:24:23
フランドルは、前日連行された死霊術師の事を思い返した。顔はまずい。
(a0) 2021/12/12(Sun) 21:24:58

【人】 仮面の役者 フランドル

 
「や、どう考えてもふんだくられるだけふんだくられて
 『約束はしていない』なんて言われるオチだろう、それは。
 どうせろくでもない目に遭わされるなら、
 せめて誰ぞの手くらいは噛んでやりたいものだなぁ」

与えられるかもわからないお慈悲を乞うよりも、
多少手傷を負ってでもやり返してやりたい質らしい。
政府の者に聞かれていれば自身の首を絞めそうな発言と共に
死霊術師の言に大仰に肩を竦めて見せた。

「まあ、"たまたま目に付いた"んだろう。
 嫌疑を掛けられる理由なんて、大抵はそんなものさ。
 しかしどうにもこの街の人間は
 人の顔を狙うのが好きらしいからなぁ…」

この役者、よくよく様子を見ていた者ならば
つい先日も顔に真新しい傷を拵えていたと知っているはず。
やっぱり顔は無事では済まないかも。
(3) 2021/12/12(Sun) 21:49:28

【人】 仮面の役者 フランドル

 
馬鹿な事をしたよ、お前は


ぽつり、呟いたのは誰に対してか。
この場に居る誰かに宛てたものとも限らないけれど。
そして、それが誰かに拾われるとも限らない。

「──『不幸せなのは我々だけではないようだ。
 この世界という広大な劇場は、我々が演じている場面より
 もっと悲惨な見世物を見せてくれる。』」

「願わくば、カーテンコールは笑顔で迎えられるよう。
 哀れな役者は、次の場面に期待するとしよう」

長台詞の後に、かつん、金属製の踵を一つ鳴らして。
役者騙りは一度部屋へと戻って行った。
(6) 2021/12/12(Sun) 22:58:42
フランドルは、悲劇のままで終わるつもりは無い。
(a5) 2021/12/12(Sun) 23:03:41

【独】 仮面の役者 フランドル

/*

『不幸せなのは我々だけではないようだ。
 この世界という広大な劇場は、我々が演じている場面より
 もっと悲惨な見世物を見せてくれる。』

個人的引用メモ。言うまでもなく、シェイクスピア。
(-32) 2021/12/12(Sun) 23:51:43

【秘】 仮面の役者 フランドル → 残氷 の エアハート

「……ああそうだ、俺は俺だ
 この忌々しい血があって、あの家に見捨てられて
 あの息苦しい街で、暗い路地裏でそれでもお前と生きてきた」

瞼を下ろし、変わる事のない事実を苦々しく吐き捨てる。
結局の所は、互いに望まぬものだとしても、この血が無ければ。
皮肉な事に、きっと貴方と出会う事も無かったのだろう。

「どんなに認め難くても、
 
結局はそれら全ての上に今の俺がある。

 
事実は変えられない。その何れが欠けても今の俺は無い。


 …結局、消し去るなんて事はできやしないんだ。
 だからせめて、この血も生まれも関係の無い所に行きたかった
 ……そうでなくとも、他の誰が俺をどう扱おうと
 お前の中で変わらず在り続けるなら、俺は、…」

貴方の中で、"ただのフランドル"のままで居られたなら。
それが何処であろうと良かった。
自ら望む居場所はただ貴方の傍らだけだ。最初から最後まで。

「──ハーディ?」

不意に、ふつりと不自然に途切れた言葉に視線を上げて。
様子がおかしいとは初めから感じていたが、これは。
この豹変ぶりは、喩えるなら、何かに上書きされたような。

──フランドル・スキアーという騎士は。
貴方と並び立つ為なら、正道を外れたやり方も厭わなかった。
それはたとえば、幻術──精神に干渉する術も例外でなく。
(-36) 2021/12/13(Mon) 0:30:02

【秘】 仮面の役者 フランドル → 残氷 の エアハート


当然、"そういった手口"を使う側の思考は想像に難くない。
そして、外部から人を意のままに操ろうとする時。
完全なる上書き、まったく異なる意思を植え付けるよりも
元あるものを都合良く偏向させる方がずっと手っ取り早い。
何より合理的だ。誰だってそうするだろう。

つまりはそういう事なのだろうと予想は付く、が。

「…ああくそ、…
 そうだよ、俺はお前が居なきゃだめなんだ
 お前の意思決定に縋らなきゃ生きる事も死ぬ事もままならない
 昔からそうだった。お前だってよくわかってるだろ」

言葉のみで揺さぶりを掛けるには限度がある。
上から他の術を仕掛けてロジックエラーを引き起こしてやるか、
或いは一発ぶん殴るにはご丁寧に掛けられた枷が邪魔だ。
打つ手が無いわけではないが、急いて事を仕損じるくらいなら。

「だから、
"それがお前の意思なら"

 俺が受け入れない理由は、何も無いんだよ」

素肌に触れる外気と、それから。
ぶち撒けられる液体に内腿が僅かに震えて、けれど。
その後は、身体の力は抜いたまま。
(-37) 2021/12/13(Mon) 0:30:56

【秘】 仮面の役者 フランドル → 灯屋 レイ

 
「ま、何のかんのと皆上手くやってるようじゃないか。
 身軽な冒険者ゆえの余裕、というのもあるのだろうけど…」

そう、何だかんだと言いはしても。
ぱっと見、あの酒場の人々はそれなりに上手くやっている。

何かと世話を焼くのは勿論の事だけれども。
貴方のように、決して踏み込み過ぎない距離を保つ事も。
各々の気遣いの形は違う。心地良いと感じる距離感も。
それを互いに折り合い付け合って、その上にあの場がある。
しがない役者騙りはそんなふうに思っている。

「…ふむ。」

そうして、貴方の言葉に一つ。
納得とも何とも付かない息を零して。
揺れるカンテラの灯りに一度視線を遣って、それから。

「──ある者は、この街への憎悪から。
 ある者は、捻じ曲げられた思想の下に。
 そしてある者は、革命そのものに心は無い。」

「それが今この街の裏で動いている者達だ。
 勿論、彼らがその全てではないだろうが。
 …君の期待に適うかと言えば、少々難しいだろうなあ」

"科白"を読み上げれば、少々困ったように笑って。
貴方が降り掛かる火の粉を払う力を持たないように、
三文役者もまた、これくらいの事しかできはしないのだ。
(-51) 2021/12/13(Mon) 2:48:54

【秘】 仮面の役者 フランドル → 埃運び オーウェン

 
「そうかい」

言葉を待つ、暫しの沈黙の後。
貴方の答えを聞き届けた後、かつん、もう一度踵を鳴らし。

「なら、やはりそう遠いものでもないらしいな。
 
お貴族様と下賤の民の合いの子。

 "不義の子"もまた、上には捨てられ下には疎まれる。
 君は君で私は私だ、何も同じというつもりも無いが。
 考えようによっては、同輩とも言えなくはないだろうさ」

声色は、変わらず世間話のようなもの。
同類への情を滲ませる事も、腫れ物に触るようにする事も無く。
ただ事実を事実であると提示しているだけ。

同情や仲間意識が欲しいわけでも、与えたいわけでもない、が。
知らないよりは、知っていた方が行く納得もあるだろう。
何より一方的に明かすというのもフェアではないと思うわけだ。

「まあ、そこらは仕事には持ち込まないけれどもね。
 結局私はよそ者、この街にも君にも大した思い入れは無い。
 こうして敢えて問うたのも、
 君がこんな危ない橋を渡るって事に納得が欲しかっただけ。」

「望むらくは。
 せめて君が生きている間にここが崩れる事を願っておくよ。
 その後に君が、こことは何の関係も無い
 何処か遠い所で生きていけたなら、もっと良い」
(-54) 2021/12/13(Mon) 3:30:41

【独】 仮面の役者 フランドル

/*
ねえ〜〜〜また優しい狼になってない?
なあフランドル〜もっと無情になってくれや〜

周りが良い子すぎて冷たくする理由が無いねんな。
こっち寄りならまあ仲良くしといた方がええやろし…
みたいな顔しよるねお前 墓下がそんなツラだよ 生意気だね
(-55) 2021/12/13(Mon) 3:36:18

【独】 仮面の役者 フランドル

/*
そういや死神お嬢様がレイ殿なら
もしやもう既に狼バレしてる?秘話の時空内ではバレてないけど
わりい〜ッ オレ、狼〜ッ 諜報のはずがこんな事に
(-59) 2021/12/13(Mon) 4:30:35

【独】 仮面の役者 フランドル

/*
ん?いやまあ仮定の話ですね…
でもま秘話した相手を占うの みんなやるよね わかる〜
(-60) 2021/12/13(Mon) 4:32:02

【独】 仮面の役者 フランドル

/*
あれ?アッ……オレ擬狼だから占われてても
狼バレしてへ……あれ?人間人外判定を偽装するわけだから
役職がわかる系の占いには普通に狼バレするのか?
あれ?どうなってんだろうこれ わからんになってきた
(-73) 2021/12/13(Mon) 7:51:10

【秘】 仮面の役者 フランドル → 残氷 の エアハート


不要となった血筋を葬り去る方法。

殺す。絶つ。奪う。
様子が変わる前後に発していた、不穏な言葉。
推測や憶測は幾らでもする事ができた。

けれどその何れも望むものではなかった。
もしもそれができるほどの力を得たというのであれば。
しがらみとなるものは、何もかも、あの街に捨てて。
そうしてただ、何処か遠い所へと行きたかったのだ。

二人で、何のしがらみも無い所へ。
たったそれだけの事が、こんなにも難しい。
(-74) 2021/12/13(Mon) 9:05:03

【秘】 仮面の役者 フランドル → 残氷 の エアハート


そんなどうにもならない想いとは無関係に"尋問"は進む。

騎士だ何だと言っても結局は男なのだ。
そうして陰部に触れられれば嫌でも身体は熱を持っていく。
けれど貴方の様子に、その手付きに何も思わないわけがない。
だから素直に快楽ばかりは受け取れなくて。
蟠る遣る瀬無さにただ唇を噛み、顔を背けて快楽に耐えていた。

貴方が一度上を退き、戻って来てもそうしていたんだろう。
とはいえ、ぐ、と押し当てられたものには流石に戦慄した。
──ろくな前戯も無しに?冗談じゃない。
口答えをしようと口を開き、

「──は、 ぁ" あ、ぐ ぅ"っ、 」

無理矢理に押し入る圧迫感には堪らず苦痛の喘ぎを漏らす。

強引に、内側から内臓を押し上げられれば当然息が詰まる。
意に反して身体は強張って、冷や汗が滲む。
殆どえずくように浅く呼吸を繰り返せば、
それに合わせて露出した腹部が頻りに上下した。
熱いんだか寒いんだかもうわかりやしない。

「ッ……は、…くそ、しっかり興奮してんな、変態」

とはいえ悪態はしっかり吐いてやった。
お望み通りに«What You Will»。こっちの方が燃えるんだろう。
(-76) 2021/12/13(Mon) 9:06:09

【独】 仮面の役者 フランドル

/*
お望み通りに«What You Will»
『十二夜』の副題。もう一生シェイクスピア引用人間になろうかな
(-75) 2021/12/13(Mon) 9:08:53

【人】 仮面の役者 フランドル

>>+5 三日目 アイシャ

貴方が花を受け取ったなら、
こちらもカーテシーに応えるように恭しく一礼をして。

「……私の生き方、か。
 期待に応えられるよう努力はするが、さて…」

顔を上げて呟いたのは、何とも曖昧な言葉だったけれど。

貴方から受け取った花を確かに携えて、
そうしてその日は部屋へと戻って行ったはず。

──黄色のラナンキュラス。
それが持つ意味も、それそのものも。
"影"を名乗るこの役者には、少々眩しすぎるものだとしても。

今はまだ、私物の少ない役者騙りの部屋に。
この日、捨てられないものが一つ増えたんだろう。
それはきっと、確かな事。
(11) 2021/12/13(Mon) 9:58:01

【赤】 仮面の役者 フランドル

 
「さて、随分遅くなってしまったが…
 この分ならホドも上手くやったと見て良いな」

「問題は、次だ。
 俺は未だ取り立てて吊るし上げるべき輩を見付けてはいない。
 身動きも…正直なところ、取りづらいな、これじゃ。

 だから任せきりにはなるが、
 あんた達が出ると言うなら任せる。
 とはいえ行けと言われれば従うまで。それくらいだ」
(*0) 2021/12/13(Mon) 10:13:36

【独】 仮面の役者 フランドル

/*
初日から気配は感じてましたけどもね。
こういう返しをしてくるのはもうお前なんだよな。
オレ達、またいつもの距離感だよ……
(-103) 2021/12/13(Mon) 20:25:14

【秘】 仮面の役者 フランドル → 残氷 の エアハート

 
「だ、れの せいだよ、ッ……」

はくはくと浅い呼吸を繰り返し、その合間に減らず口を叩く。
被虐趣味は無いし、自分で自分を痛め付ける趣味も無い。
つまりは身体を力ませるだけ損なわけで、とは言っても。
理屈では理解していても身体が言う事を聞くとは限らない。

「はッ、は …最ッ悪、だ
 ぅ"、…罵られて善がるなよ、救 えない、やつ」

強姦じみた、というより事実殆ど強姦ではあるものの。
そのように扱われ、当然というべきか萎えていた自身も、
明確な快楽を与えられれば再び芯を取り戻して。
それと同時に腰を掴まれ、無理な抽送に腹の中を嬲られる。
ずり、と中で動く度に内臓を引き摺られるような心地がする。

「なんだ、っぁ"、えらく目に 掛けてくれる、じゃないか
 そ、んなにするほど、ハ、俺の事好きか、よ
 そうでもなきゃ、 革命軍ってのは、っ 随分、暇らしい…」

少々底意地の悪い事をされる事はあれど、
こうまで乱暴にされる事は以前は一度としてなかった。
その差が溝が、どうしようもなく昏いものとして胸の内に蟠る。

それでも性感帯を擦られれば身体は嫌でも快楽を拾う。
減らず口を叩く中に、徐々に上擦った吐息が混じり始めた頃。
(-110) 2021/12/13(Mon) 22:10:58

【秘】 仮面の役者 フランドル → 埃運び オーウェン


「私情だけじゃあ生きていけないし仕事も成り立たない。
 けれど私情抜きでは前にも後ろにも進めない。
 一貫した信念の根底にあるのは結局は私情なんだろう。
 それが悪い事とも思いやしないが、なあ。

 まったくもって、この世というものは生き辛い
 この街に居ると、どうにもそう思わされる。」

誰に言うでもなく、殆ど独白のように長台詞を咏んで。

「──言われずとも。
 どっち付かずの
"卑怯な蝙蝠"
は、自由にやらせてもらうさ」

これもきっと、貴方のそれとそう変わりない。
たとえ、その結末が寓話的なものであったとしても。
互いに"勝手にする"だけだ。初めから、ずっと。

「さて、長話も何だしそろそろ招かれざる客はお暇しよう。
 君がこうして幾らか腹の底を明かしてくれた分、
 これからは──仕事の上では、君の事を信用できそうだ。

 ではね、未知なるオーウェン«Unknown»。
 "野良猫"に宜しく頼むよ」

役者騙りはいつも通り、堂々とした笑みのまま。
席を立ち、一度、ひらりと手を振って。
そのまま貴方の部屋を後にして行くだろう。
(-112) 2021/12/13(Mon) 22:35:41

【秘】 仮面の役者 フランドル → 灯屋 レイ

 
「──ああ、ようくご存知頂き……残念だ。」

陰が差す。
貴方と同じに息を吐くように、ぽつり、一人科白を零し。
陰を名乗る男は、真っ直ぐに見据える月と相対する。

「改めて自己紹介させて頂くとしよう。
 私は路地裏の陰のフランドル«フランドル・スキアー»。
 内部告発を行うつもりも無く、けれど革命に乗る気も無い
 けれど革命軍に身を置く、どっち付かずの
"卑怯な蝙蝠"
だ」

「革命に心は無い。あの立場は都合が良かったというだけだ。
 …ああ、君にとっては最も忌むべきものかもしれないな」

革命に心は無く、自らの利益の為に属しているのなら。
それは、この街を良い方へ向かわせるどころか。

「他ならぬ自分の目的の為に、他者を踏み台にしている。
 この街の構造とそう変わりないのだからね」

強い灯りを灯せば、陰もまた色濃いものとなる。
逆もまた然り。
この陰もまた、この街の底に揺蕩う薄闇を形作る一つだった。

一つ違うのは、決してこの街に帰属する事は無いという事だ。

これでは寓話的な末路も頷けるというものだ。
そんな事は承知の上で、それでも。
全てを擲ってでも、追い求めてやまないものがあったのだ。
(-113) 2021/12/13(Mon) 23:12:09

【秘】 仮面の役者 フランドル → 残氷 の エアハート

 
「っあ、くっ、そ ああ、そうだよ
 俺が好きなのはお前だけ、
 俺を救えるのは、ッ ぁ、あ──」

出掛かった反論は、上擦った喘ぎに呑まれて。
けれど達するには至らず、蟠る。
与えられる熱も、遣る瀬無い気持ちも、蟠り続けるばかり。
ただ只管に、行き場を無くしたものが自らを苛み続ける。
貴方が居なくなってから、そんな事ばかり。

薄々勘付いてはいた。
これまでの言葉の端々から。
"そういう事"をされていたのだろうとは、わかっていた。
わかっていて、だから何ができたというのだろう。
できる事と言えば、悔恨と無力感に苛まれる事ばかり。

結局は無力、今は為されるままに嬲られる事しかできはしない。
多少強引であろうと体内を暴き、粘膜と粘膜を擦り合わせれば
次第に貴方をよくよく覚えている身体は態度を変え、
突き入れられる度に内壁は歓喜し媚びるように打ち震えた。
反対に、引き抜く動きには追い縋るようにわなないて。

どんなに唇を噛んで堪えても、これだけは隠す事ができない。
自分の身体の浅ましさに反吐が出る。
(-132) 2021/12/14(Tue) 5:24:46

【秘】 仮面の役者 フランドル → 残氷 の エアハート

 
もう何もかもぐちゃぐちゃだ。
遣る瀬無い感情も陵辱し尽くされる身体も、
きっと貴方の内面も。
何もかも、今更な話かもしれないが。

そうして抽送が随分と滑らかになった頃。
一点を執拗に責め立てられれば堪える事もままならない。
暴力的なまでの快楽を叩き込まれ身体を貪られ、
減らず口を叩く口も身体も反抗心もぐずぐずに蕩けていく。
後ろでばかり達する事を強いられて、女のように啼かされる。

それでも、いつまで経っても、音を上げる事は無い。
時折縋るように嬌声を漏らし、
その合間に、熱に浮かされたように貴方の名前を呼ぶだけ。

そうして、長い夜が更けていく。
(-133) 2021/12/14(Tue) 5:25:50

【秘】 仮面の役者 フランドル → 残氷 の エアハート

 
──そして、三度目の御布令が出た日。

「……エアハート」

役者騙りの騎士、"卑怯な蝙蝠"は再び貴方の元を訪れた。

「次に"消える"のが誰か、忘れたとは言わないだろう」

いつも通りに衛兵が立ち去って行った後。
張り出された紙切れを、睨むように見ていた姿を知っている。
そこにあった感情が如何なるものかは、定かではないが。

預かっておいてくれ。

 しくじったのは俺だが、お前以外の誰かに折られる気は無い。
 お前以外の人間に預けるのも、気が進まなくてな…」

そう告げて、そちらに差し出したのは。
この役者騙りが常に提げている細剣と短杖。
貴方と別れるずっと以前から使い続けているもの。

「気が向かなきゃ、返さなくたって構わないさ
 "首輪付き"にそんなものを渡せば当然目を付けられるだろう。
 何より、…それはある意味、"お前のもの"だからな」
(-134) 2021/12/14(Tue) 5:49:17

【秘】 仮面の役者 フランドル → 残氷 の エアハート

 
「…なら、安心して消えられる」

ぽつりと呟いたのは、『忘れた』という言葉に対して。
或いは預かる事を受託した事についてかも、しれないけど。
何れにせよ、この陰の気質を思えば、答えは明白だ。

「流石に丸腰じゃない。却って怪しいだろうからな
 左手«マインゴーシュ»は手土産としてくれてやるつもりだ」

貴方の手にそれら二つの得物を預け、手放せば
幻術を利用して隠し持っていた短剣が露わになる。
見る人によってその色を変える、薔薇の意匠のそれは
果たして今の貴方には何色に見えているのか。

「──
最初からそうだった。

 俺が剣を執ったのは、そも、お前と共にある為だ。
 最初から最後まで、この剣を捧げる先は、お前だけ。
 だからそれは、
確かにお前の剣だよ


きっと、覚えが無くたって仕方ない事だと思う。
貴方に掛けられた細工に関わらず。誓いは遠い昔からのもの。
だから声を荒げる事はせず、けれど確かにそう告げた。

剣、というものが指すものは。
何もこの細剣だけに限ったものではない。
剣、杖、この身、貴方と共にある為の力の全て。
たとえ独り善がりだとしても、
(-136) 2021/12/14(Tue) 6:50:56
フランドルは、貴方の剣だ。
(a22) 2021/12/14(Tue) 6:51:07

【秘】 仮面の役者 フランドル → 灯屋 レイ

 
「…何処も彼処も行き場を失ったものばかりだ。」

ほんの一瞬、静かに目を伏せて、ぽつり。
遣る瀬無い想いを乗せて、また一つ呟いた後。
寄る辺の無い剣、陰を落とすものを失った陰は語る。

「外征騎士フランドル・スキアー。
 私の心は、この剣は唯一人の友の為に。
 この国もこの街も、そこに住まう者達も、それ以外も。
 決して私が信じ、この剣を捧げるものではない。」

よそ者の騎士。
役者騙りの"卑怯な蝙蝠"、そのもう一つの貌が、これだ。
騎士を名乗るものが、元騎士を詰問していたという事実。
そして友に剣を捧ぐと言うならば、その心の在り処は。

「──いつだって同じ事だ。
 私達はいつだって、犠牲の上に立っている。
 生きていくには、誰かを犠牲にしなければならない。

 路地裏では、誰かが食事を分け与えさえすれば
 その日を生き延びる事ができる人間が山程居る。
 けれどその日の食事を分け与えれば明日死ぬのは私達だ。

 この街もこの革命も、政府の粛清も全体を俯瞰すれば皆同じだ
 
きっと誰もが明日を生きる為に藻掻いているだけだ。

 それを変えようなんて大それた事は、私には考えられないよ」
(-137) 2021/12/14(Tue) 8:22:30

【秘】 仮面の役者 フランドル → 灯屋 レイ

 
少々長台詞を吐いた後に、深く溜息を吐いて。
そして、役者騙りの騎士はもう一度口を開く。

「……私が卑怯者を演じる"哀れな役者"であるならば。
 君は差し詰め"観客"と言ったところかな。
 ──如何なる舞台も観客無しには成立しない。
 私はそれを悪とは思わない、けれどね」

"卑怯な蝙蝠"の役は、そろそろ下りる事になるだろうけど。
まだ、この街という舞台を下りたつもりは無い。

「もしも君に舞台に上がる気があるのならば。
 この三文役者は、少々手を貸す事もできなくはない。

 『──この世界はすべてこれ一つの舞台、
  人間は男女を問わずすべてこれ役者にすぎぬ』。

 
何でもないという事は、何にでもなれるという事だ。

 君は現状を知ってもなお、観客、或いは傍観者を気取るかい?
 革命の本来の目的も見失った馬鹿共の
 横っ面張り倒す千載一遇の機会はご不要かな?」

──曰く、"卑怯な蝙蝠"とは、誰にでも良い顔をするもの。
今はまだ、そんな役を演じている途中。
信じる事は、難しい。そんな役者の差し伸べる手だ。
(-138) 2021/12/14(Tue) 8:24:07

【独】 仮面の役者 フランドル

/*
『この世界はすべてこれ一つの舞台、
 人間は男女を問わずすべてこれ役者にすぎぬ』

デイリーシェイクスピア(As You Like It)……
(-139) 2021/12/14(Tue) 8:25:51

【神】 仮面の役者 フランドル

 
かつん、かつ、かつん、…

いつものように、金属製の踵を鳴らし。
明日、また明日、また明日、と。

上がる階段は十三階段、行き着く先は絞首台──
(G0) 2021/12/14(Tue) 8:53:16

【神】 仮面の役者 フランドル

 
では、ない。

ヨルムガンドの街の何処か。
それなりに高く、それなりに見晴らしも良く
それなりにこの街が一望できる場所。

「『──さあ、牢屋へゆこう。
 ふたりきりになって、籠の中の鳥のように歌おう』。」


役者騙りは一人、そんな何処かの手摺にでも凭れ掛かって。
暫くの間は、茫と街並みを見下ろしているつもり。

「…………」

今はもう、細剣も短杖も引っ提げてはいない。
それだけで、随分と身軽に感じるものだった。
(G1) 2021/12/14(Tue) 8:53:45