【人】 ヴィム[ 青年がそれを口にしてもなお ウーヴェは腑に落ちていない様子だった。 呆れた笑いの中にほんの小さな暖かみが 生まれたのは、きっと彼のおかげなのだろう。 こちらの謎を解き明かそうと覗き込む瞳に 青年は己の真実を、ひとつ、彼へと伝えるだろう。] (12) 2022/05/23(Mon) 3:06:35 |
【人】 ヴィム「世界には、いつだって悪役が必要なのさ 英雄を讃えるために必要なW犠牲Wが、ね。 その時のW犠牲Wに選ばれたのが僕だった。 ただそれだけのことだ。」 (13) 2022/05/23(Mon) 3:07:52 |
【人】 ヴィム[ その事実を嘆いたのではない。 ただ、知らなくていい国の有り様を 伝えてしまったことが、ただただ申し訳なかった。 しかしウーヴェという男もまた 己のことをよく観ていると、青年は思い。] (...そうか......気づかれてしまったか。) [ 青年は観念したかのように その問いかけへの答えを差し出すことにする。] (14) 2022/05/23(Mon) 3:09:14 |
【人】 ヴィム「あの日、僕が守りたかった 全てが今はもうこの世にはない。 この世に居ないW友Wに会うまで この世界から消えることもできない 僕は、W 亡霊 Wなんだ。」 (16) 2022/05/23(Mon) 3:15:47 |
【人】 ヴィム[ あの時はそこまでしか話さなかったけど 今夜だと興味を隠そうとしないウーヴェに 青年は思わず吹き出すように笑う。 きっとその日の夜は酒を片手に ほかの仲間達も居るようならば彼らも混じえて 歴史を、語り伝えることになったのだろう。]** (17) 2022/05/23(Mon) 3:17:54 |
【人】 ヴィム[ ちなみに少女の落し物については 「僕が預かろうか? きっとあの子はここに来るだろうし 渡しておいてあげるけど、どうする?」 と、レイには打診してみたけれど 最終的な判断はどうだったんだったんだか。]** (19) 2022/05/23(Mon) 3:22:00 |
【人】 ヴィム[ 師と愛弟子の思惑は交差し、すれ違い。 ある日、愛弟子はついに怒りを漏らす。 「どうして僕を認めてくれないの。 僕はもうあなたに負けないくらいになったのに。」 哀しみと怒りを抱えた愛弟子は 目尻に涙を抱えたまま家を飛び出してしまった。 己がこの時止めていれば 己がこの時彼女をちゃんと一人の冒険者として 扱ってあげていれば。 師の後悔は、数えあげればキリがない。 それが後の歴史で、惨劇を引き起こすこととなる。] (21) 2022/05/23(Mon) 3:30:32 |
【人】 ヴィム[ 当時、メルヴェイユの国政は不安定を窮めていた。 隣国同士は戦争を起こし続け 彼女が宝だと言った魔法は、兵器に成り下がる。 メルヴェイユも例外になく いつ隣国から攻め込まれるやもしれぬ事態は 到底耐えられるものではなく。 他の国へ赴く冒険者は国と国を渡る売国奴だと そう罵られてしまうことさえある時代だった。] (22) 2022/05/23(Mon) 3:32:39 |
【人】 ヴィム[ しかし真に恐ろしいことは 冒険者の存在が戦争を仕掛ける大義名分に なってしまう可能性。 冒険者が我が国が得るべき資源を奪った。 冒険者が勝手に我が国の土地へ入り込んだ。 理由などなんでもいい。 冒険者は国土を問わず自由に冒険できる などという一般論など先の時代では無価値。 世界は、 W悪役W を欲していたのだ。] (23) 2022/05/23(Mon) 3:35:06 |
【人】 ヴィム[ そんな紛糾の世界の中で 愛弟子は仲間達を集めて言う。 「もっと大きな仕事をしよう。」 それは全て、愛する師に認めさせるため。 たかがそれだけの事でも 彼女にとってはそれが全てだったのだから。] (24) 2022/05/23(Mon) 3:36:05 |
【人】 ヴィム[ 愛弟子の一行が己の土地に踏み込んだと 知った隣国は呆れるぐらいの行動力を見せた。 「メルヴェイユは我が国へ侵攻するつもりだ。 悪しきを討ち、我が国を守れ。」 即席の大義名分の元、 問題は発覚して数時間で部隊は整わせる。 それはそれは呆れるほど、手際良く。 その頃には何も知らない愛弟子の一行が ただ真っ直ぐ、洞窟の奥を目指していた。 その事態を察したのはたった一人 遠くの気配に気づくことが出来た Violet=Mirrorのみ。] (27) 2022/05/23(Mon) 4:32:21 |
【人】 ヴィム[ メルヴェイユの国民は何も知らない。 国に気づかれないまま自体を収めなければ 愛弟子に待つ未来は、ただひとつだけだ。 全てを悟った青年は独り 隣国の軍勢の前へと立ちはだかる。 己の宝を...愛する弟子の未来を守るために。] (29) 2022/05/23(Mon) 4:37:19 |
【人】 ヴィム[ しかし国と魔法使いの戦争は三日三晩続き その事実は次第に明るみとなってゆく。 その果てにはメルヴェイユにも行き届き、 「隣国が我が国を攻め入らんとしている。」 伝えられた事実は国を大きく揺るがすことになる。 青年の決意を、嘲笑うかのように。] (30) 2022/05/23(Mon) 4:40:09 |
【人】 ヴィム[ 国に悟られずに事態を収める。 到底成し遂げられないその目的のため 青年は一人、また一人と兵士の命を奪う。 怯え逃げ惑う兵士を追いかけては その命が尽きるまで攻撃の手を緩めることはなく。 胸元の紫色の薔薇が赤く染まってもなお 青年は兵士の殺戮をやめることはない。 戦い、戦い、闘い。 ついに青年は最後の一人を仕留めると 辺り一面は紅の花畑へと変わり ひとつの戦争が、終幕を告げた。] (31) 2022/05/23(Mon) 4:41:25 |
【人】 ヴィム[ 返り血に塗れた青年は痛みに顔を顰め 足を引きずりながら愛弟子の元へと向かう。 クロエが戦争の引き金を引いたと 誰にも悟られてはならない。 彼女を、守らなければならない。 そう遠くない時間に、メルヴェイユの兵士が 戦場となった地へと到着するだろう。 青年に、選択の余地はなかった。] (32) 2022/05/23(Mon) 4:43:02 |
【人】 ヴィム[ そして、青年は辿り着く。 パーティの仲間達が全滅し 独り洞窟から帰ってきた愛弟子の元へ。 仲間達を失い悲嘆にくれる愛弟子の頭を 血にまみれたこの手ではもう撫でることもできない。 師の惨状を目の当たりにし 驚いたような愛弟子はすぐに気づく。 自分のせいで、こうなってしまったのだと。 しかしそれでも青年は 決して彼女を責めることなどなく、告げた。] (33) 2022/05/23(Mon) 4:48:36 |
【人】 ヴィム「僕はメルヴェイユの転覆を企て 隣国を唆し、攻めさせた。 お前の仲間を死に追いやり 国の皆を混乱に陥れた。 だけど僕の計画に気づいたお前は 一人立ち向かい、この国を救った。 これが、真実だ。」 (36) 2022/05/23(Mon) 4:56:08 |
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