【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → 名もなき医者 リカルド「…どいつもこいつも。どうしてそう生き急ぐかね。」 ため息を一つ零した。 こうなったら聞かないのは彼も、友も同じこと。 「ヴェネリオと同じだな。お前さんらはよく似てるよ。」 嗚呼、本当に。 最後まできっと彼らは一緒なのかもしれない。 「そいつの中身は茶だ。笹の葉を使った茶でね。甘いのが苦手なお前さんでも飲める筈だ。疲れた時に飲むと良い。」 先の質問の答えを漸く返してから、手をひらりと振って。 「そんじゃ、俺はお邪魔になる前に暇を頂戴するとしよう。」 (-104) 2022/08/21(Sun) 1:16:33 |
【秘】 花で語るは ソニー → 名もなき医者 リカルド「アンタの立場って、そんなことまでしなくちゃならないの? 出世頭の扱いだったって聞こえてくるけどね。それとも、それがお気に入りられなのかね」 意外だとは感じたものの、思い当たるなにかというのは今はまだ、無かったらしい。 それに気づいていたなら何か変わりはあったかもしれないが、さして伝えるべき話でもないだろう。 解いたタイを片手にくるりとまきつけ、ジャケットとベストの釦を外して肩をぬいていく。 いつかの時にも同じことをしたのに、まるで勝手も手付きも違う。 ただただ情交を想起させるだけに留まっていた時よりもずっと手の平は膚に張り付き、 アルコールの摂取の為に上がった体温が僅かに掌を湿らせる。 それがまた乾いた皮膚とはずいぶんと違う密着と、人間の気配を神経を喚起させるようだった。 シートから錠剤を外す音。死角にあった片手に錠剤をいくらか握り込む。 本当は隙を見てそれを飲ませるつもりだったのだろう。唯のお楽しみなら、不要なもの。 されど最終的に至る目的の為には、相手を弱らせる必要があった、それまでだった。 それが、耳に聴こえた囁きのために動きを止める。僅かに顔を離し、見合わせて。 → (-115) 2022/08/21(Sun) 2:23:10 |
【秘】 花で語るは ソニー → 名もなき医者 リカルド「――私怨も、だって?」 反射光と間接光に照らされる顔が、一層暗く陰になった錯覚さえあった。 せせら笑うような声は一瞬、強い怒気を混じらせて震え、 首のあたりで未だきっちりと締められたシャツの釦を外していた手はほとんど反射的に、 相手の首に指を掛け、締め上げるように掴んだ。ほんの一瞬、一瞬のことだ。 「調べたのか? それとも、ああ! あの人に聞いた? そうだよなあ、アンタはお気に入りだもんな。それくらい聞かされて当然か。 オレのことを話して、それで面倒な生き物の飼い馴らし方でも教わったわけ?」 瞋恚、或いは悋気。歪んだ口角に乗せられた激情はおよそ尋常のそれではなかった。 それくらいで相手が怯んだりしないのだとしても、動揺しないのだとしても。 およそ今までの取引の中で、よく変わる表情の内の一片も今とは重ならないだろう。 威圧の為ではない。脅迫の為でもない。意図的に感情を表出させたのではない。 煽られたからカッとなった、そう言うのが一番近いものだったかもしれない。 息を大きく吸い、己を抑え。指の力はすぐに剥がされ、相手の呼吸を阻害する時間は長くはなかった。 己が冷静でないのを自覚して、衝動に任せる自分自身を制止して。 それでも相手を改めて見るジェイドの内側には、凍りついたアイスブルーがあった。 「……ああ、もう。いいか。 全部受け止めるっていうのなら、そうしてよ。リック」 舌の上に乗せるように錠剤を口に含む。溶け出す前にすぐさま、相手の唇に己のそれを合わせた。 唾液の絡んだ舌がぬるりと粘膜の内側を撫ぜ、下顎に寄り添っているだろう舌を掬い上げる。 舌下に、パステルカラーの薬がねじ込まれる。自らに影響を及ぼすのも構わず、唇を食んで閉ざす。 メタンフェタミン、MDMA、カフェインの混合剤。発汗や喉の乾き、性欲の増進と勃起不全。 共感性と多幸感が脳を占め、神経への刺激を過剰に増幅させる。 瞬時には効かずとも、舌下から吸収されれば自ずと変化を感じるだろう。 (-116) 2022/08/21(Sun) 2:23:30 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルド―――……ック…… ―――…い、リック……!! 「起きろ馬鹿野郎、あんなけ言って死んでんじゃねえか」 「だらしないやつめ。 どんな色っぽいことに逢わされたんだか」 確かに聞こえる聞きなれた声。 あなたが目が覚めると隣には足を組んでる上司がいる。 心地よい静かな揺れで、しっかりしたソファー。 高級車のような空間に二人はいた。冷蔵庫とドルチェにお酒まで備え付けられており、とんだ霊柩車もあったものである。 「目覚めの気分は如何だ? 俺はもう最高だぞ、反吐が出るほどにな」 (-140) 2022/08/21(Sun) 13:31:54 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → 花で語るは ソニー「そんなわけないだろう。 俺を引き取った家は医者として有名な家だったからな。 詰め込まれた知識を利用して腕を磨いてただけにすぎん。 この事は、今まで上司にすら一度もしゃべってはいなかったくらいは、秘密裏に準備していたんだ」 一度使えば秘匿も何もない。 ぺらぺらと喋る様は、もう特に隠すこともないと思ってるかのようだ。 ぱさり、と落ちるシャツの音が嫌に耳についた。 張り付いた手は熱くじっとりとしていて、試着室の時とは全く違うということを感じさせてくる。 貴方が懐から出した見覚えのある薬は、間違いなく自分が売ったドラッグだ。 薬に耐性などつけてない己の身体には、さぞ覿面の効果が出るであろう。 ▼ (-142) 2022/08/21(Sun) 15:32:51 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → 花で語るは ソニー「―――ぐっ、そ、うだ、私怨もだ」 「どんな私怨かまでは知らん。 上司は、自分の尻拭いをさせてすまないと、言っていた」 「貴様は、あの方に正しく贔屓をされていたはず。 俺がその事を貴様にも、あの方にも言わずにいたのは……そこには情があるのだと思っていたからだ」 首を締められれば流石に苦悶の声を上げるものの、 違うのか? と、真顔の瞳が貴方を捉えた。 自分が、幼馴染達に情があるように、同じような子供を出したくなくて子供に情けをかけているように、 あの方が俺を拾ってくださったように。 貴方にも、心の何処かにそういった物があったはずだと、この期に及んでも信じている。 「貴様を飼いならすつもりなど、ない。 俺がそんなことをしたところで……貴様は救われるのか? ただ、これ以上重ねれば、貴様はどこにも戻れなくなる。 アルバファミリー、とは、大事な家族なのではなかったのかっ」 俺とて、大事な物を傷つけられて、殺してやりたいと思った心を必死に耐えている。 口移しで飲まされてゆくドラッグが、じわりじわりと思考を破壊していくのはまだ少し先のこと。 「は……ぅ、」 持ち前の強い精神力でどこまで耐えれるかはわからないが、 俺が、俺である間は、決して目の前の男を見放さないと、心に誓った。 (-143) 2022/08/21(Sun) 15:34:12 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → デッド・ベッド ヴェネリオ何か、名前を呼ばれている気がする。 とても聞き慣れている、心地よくも有無を言わさぬ強さで――― 「…………はっ!?」 意識が覚醒し、周りを見渡せば。 何故か己は高級車の中にいる。 寝かされていたソファーはしっかりとしながらもふかふかで、とても寝心地が良かったように思う、のだが。 「…………、ヴェネリオ、さん?」 何故、貴方が今ここに。という言葉が出て来ない。 いやまてよ。 確か俺は、ソニーと話をつけるためにクラブに行って、 何でも受け止めるといえば薬を強制的に飲まされて、 散々ヤられた挙げ句、俺が売った銃で殺され…………殺…… 「いやっ、ちょっと待ってください。 百歩譲ってここが死後の世界とやらで、高級車に乗せてもらってるのは無理やり理解するとしても……、どうして貴方までここに居るんですか。……幻?」 そんなまさか、なんて思いながら、おそるおそると触れられるのかと手を伸ばしてみた。 (-144) 2022/08/21(Sun) 16:06:48 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルドもし事情を知れば酷い死に様だなと笑っていただろうか。 触れられたかもしれないその体に、生きていた頃の熱はもうない。 「幻かもな、だけど俺は死んだ。 大通りで銃撃戦があって打ち所が悪かったんだ」 「そういうことになってる」 視線を向けた男はいつのまにか煙草を咥えている。 そして、一本あなたに差し出した。 (-145) 2022/08/21(Sun) 17:05:04 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → デッド・ベッド ヴェネリオ「そういう事、って……」 「ヴェネリオさんが死んでどうするんですか……。 ボスの死以降、貴方がいなければノッテが纏まらない状態だったのはわかっていたでしょう。 俺は貴方に、次のボスになってほしかったんですよ」 だから俺は、命を懸けたのに。 その隣に居ることができなくても、お役に立てればそれでよかった、のに。 あの男に何かが響いたかは今となってはわからないが、それでも憂いを晴らす努力はしたのだ。 「……、いただきます」 死後の世界とはやはり幻みたいなものなのだろうか。 煙草まで吸えるとはなんとも高待遇なものだな、と。 小さく苦笑して、その煙草を受け取った。 「火、おつけしましょうか」 いつのまにか、手の中には大事なジッポが握られている。 (-159) 2022/08/21(Sun) 18:57:42 |
リカルドは、なるほど、と呟く。 (c13) 2022/08/21(Sun) 20:01:16 |
リカルドは、俺たちが集まったのには、どうやら理由があったらしい。――そう理解した。 (c14) 2022/08/21(Sun) 20:02:19 |
リカルドは、「ばかだな、お前は」と、呟いて手を伸ばす。 (c15) 2022/08/21(Sun) 20:03:21 |
リカルドは、でもその声は届かない。 ――死者の声は届かない。 (c16) 2022/08/21(Sun) 20:04:00 |
リカルドは、その手が触れることも、もうないのだと。悟った。 (c17) 2022/08/21(Sun) 20:04:25 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルド「……俺がボスだ? 寝言は寝てから言え。 俺はツィオかお前にやらせるつもりだったぞ」 「火は貰うか、これもどうせ夢だ」 いつ醒めるかわからない、おかしな夢。 二度と起きるはずのない、幻の世界。 「……本気でやり残したことなくなっちまった。 ビックリするほど、未練がねえ。これって冷たいのか? おいていけて精々してるんだぜ、もっと見ていたくはあったけどな」 (-166) 2022/08/21(Sun) 20:19:24 |
【秘】 Niente ラウラ → 名もなき医者 リカルド/* もったいないおばけ様こんばんは、おやつはたい焼きです! しんみりして悲しいので死者語りしませんか? そんなお誘いに参りました。 勿論お手隙かつ死者語りに問題なければですが。 問題なければ都合のいい夢のような空間でお会いしましょう。 (-168) 2022/08/21(Sun) 20:22:51 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → Niente ラウラ/* もったいないおばけです、お誘いありがとうございます。 もちろん死者語り、喜んでお受けしますよ。 死亡ロールをやってるくらいでのんびりしてるのでいつでもOKです、状況描写などもお任せしますのでお好きなように投げて来てくれればと思います。 (-172) 2022/08/21(Sun) 20:57:44 |
【秘】 Niente ラウラ → 名もなき医者 リカルド死後の世界なんて、そんな都合のいいものはあるのだろうか。 あるいは今際の際の夢だろうか。 考えたところで分かるはずもない。 考えたところで知れるはずもない。 ならばここが何処かを考えることなど無粋だ。 知らない場所。何も無い空間。 あるいは、望むものが存在する夢の世界。 そんな場所で、女は目を覚まし 過ごしていた。 「────……」 誰かと語り終えた後か、あるいは前か。 僅かに甘い香りを纏わせて、ぼんやりと 歩き続ける。 さて、貴方の姿をどこかで見かけることは叶うだろうか。 この不思議な世界で、託した者と託された者。 皮肉にも同じ日に命を終えた2人が、出会える瞬間は──。 (-184) 2022/08/21(Sun) 23:13:39 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → デッド・ベッド ヴェネリオジッポの火をつけ、貴方の煙草に火をともしてから、自分が咥えた煙草にも火をつける。 二本の紫煙がゆらりと揺らめいて、まるで現実のようだな、と不思議そうに眺めた。 「俺もツィオもボスっていうガラじゃないでしょうに。 俺は貴方の右腕でいられれば、それでよかった」 ツィオにも、マウロにももう触れることも、声をかけることも出来ないのだと悟ったばかりだというのに。 不思議な夢もあるものだ。 それでも、これが最期の夢ならば、貴方と共に在れるのは嬉しいことだと思う。 「……俺は悔いだらけですよ。 ソニーにももう少し言い方があったのではないかとか…… マウロには辛い生を歩んでもらうことになってしまったなとか…… ツィオともう少し話がしたかったとか、色々考えますからね」 (-189) 2022/08/21(Sun) 23:42:45 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルド「やるときになったらやれるんだよお前達は……あ?」 「お前、ソニーと何があった。 俺のお気に入りだ、傷つけてるんじゃねえぞ。 大体暗いんだよお前は。 それぐらい、生きて居るあいつらが頑張って解決するだろ。 死んでからしてやれることはない。 生き返る機会が来るまで無駄な事考えてないで切り替えろ」 "ソニー"が暴挙に出た大半の理由を背負っている自覚のある男は、どうも 身内贔屓 だった。"彼"にはあまりみせてこなかったのが、少し名残惜しい。 無駄なことと切り捨てるのも、それ以上悲しんで欲しくないからだ。自分を追い詰めて欲しくない。だが、あえてきになることと言えば―― 「そーだ。お前等……俺の何処が好きなんだ?」 そんな戯言を煙と一緒にはき出した。 (-198) 2022/08/22(Mon) 0:35:18 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → Niente ラウラ――男は。 どこか遠くを見つめ、紫煙を揺らしている。 右手に上質な煙草、左手に古いジッポを手にしたまま。 「ここに居ると……皆の声が聞こえてくるんだ」 先程は、ツィオの声がした。 今は、マウロと2人でもみ合ってるのが手にとるようにわかる。 「これが先に死んだものの宿命なんだろうか」 なぁ、どう思う? と、貴方に目を向けた。 (-199) 2022/08/22(Mon) 0:39:34 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → デッド・ベッド ヴェネリオ「ソニーはただの取引相手でした。 油断ならないから、俺が必ず直接対応するようにしてた男で」 「それだけ、だったんですけどね」 2人並んで、タバコを吹かしながら。 ぽつりぽつりと会話を重ねる。 あの日あった事は、死に際で報告もできてなかったから、今、初めて話すことだ。 「あれにしてみたら、俺は一番排除したい人間だったでしょう。 何せ大好きな貴方の右腕だったんですから」 「俺は別に、アレに好かれようと思ってたわけじゃないですし。 ただ……私怨も想いも全部受け止めるから、八つ当たりは俺までにしろと言ったんです」 「貴方や、マウロやツィオに、これ以上被害がでなければ死んでも構わないと思ってましたからね」 まぁ、結果このようになってしまったんですけどね、と苦笑する。 マウロならちゃんとわかっているだろうけれど。 マウロ殺しの汚名を押し付けられて、死んだのだ。 「他のものはどうかしりませんが。 俺は、貴方にはどこか人を引き付ける魅力があると思いますよ。 言うことは無茶苦茶でズボラでも、大事な時は守ってくださる。 ずいぶん可愛がられたと思っていますが……、違いましたか?」 (-201) 2022/08/22(Mon) 0:52:09 |
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