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【秘】 無風 マウロ → 花で語るは ソニーマウロ自身、経験が全くないわけではない。 但し、それは追い詰める手段として。攻撃的なものでしかない。 恋だの何だのとは無縁の生活であったし、興味もなかった。 誰かと触れ合うことも、殆どなかったわけで。 だからこそ、今。 年下に見える君に、全く接点のなかったからこそ、素直に甘えてしまっているのだろう。 慣れていない同性との触れ合いに、口付けに。 であったとして、されるがままというのは性に合わないものだから。 舌先が唇をつつくのなら口を開き、絡めるように君の舌を追いかける。 お互いの吐息が混ざり合うのが、どうにも昂りを煽っていく。 「、……っおい……お前、外で」 外気に晒された肌に、生暖かい空気がまとわりついて。 酔っている頭にも、ここがそういった行為に適していない事は分かる。 誰も通らないのであるなら、それは気にすることではないのだろうけれど。 だから、気にしないで行為を進めていくことは出来る。 クソ、と悪態のようなものをつき 青年も空いている手を君の頭へ伸ばす。 指先で耳の後ろを、くすぐったさから扇情をあおるように撫でている。 (-379) 2022/08/23(Tue) 4:56:37 |
【秘】 無風 マウロ → 冷たい炸薬 ストレガ「………は?」 兄弟分と聞いて、ツィオのことがよぎる。彼があなたを通じてそんな言葉を掛けるものかと思っていたが。 しかし、続く言葉に 青年は目が点になったような顔をして。 上の言葉が漏れたのはその後だ。 そして少し置いてから。 「はは……ははは。何だそれ」 「どうなってんだよ、俺たちは」 もし奇跡というものがあるのなら。 それを信じてみてもいいのかもなと思ったのだ。 「ありがとな、ストレガ」 去っていくあなたの背中に、言葉を投げかけて。 青年も暫くすれば、その場を離れていったことだろう。 (-380) 2022/08/23(Tue) 5:05:02 |
マウロは、おまえらときっと同じ気持ちだ。 (a27) 2022/08/23(Tue) 5:05:37 |
【秘】 無風 マウロ → Niente ラウラ運び込まれた君の元に、近付いてくる男が一人。 未だ顔色は良くないものの、無理しないのならと出歩く許可を貰って。 その顔を見ておきたくて、足を運んだのだ。 アウトローなマフィア、特にノッテのような個人主義の集団でも、ファミリーであったものの亡骸を綺麗にしてくれる人はいるものだ。 眠る君の傍に腰かけて、暫くその顔を見ていたことだろう。 いつものような不機嫌そうな表情ではなく、どこか寂しそうに眉をひそめて。 「……わざわざ死に戻ったっていうのに」 「お前は何でこうなってんだろうな。ヴェネリオも、リカルドもそうだ」 「いや……先にやられた俺の言えることじゃないな」 「伝えるべきことがあったんだ。上司として、俺が死ぬ前に」 ラウラ、と 初めて君の名前を呼んで。 その前髪に優しく触れた。 らしくないとは分かっていても、それを止める事は出来なかった。 (-411) 2022/08/23(Tue) 14:07:56 |
【秘】 無風 マウロ → Niente ラウラ当然、返事はないし。 手に伝わる温度も、生者のそれではない。 形を整えるようにしたのなら、前髪から手を離して。 ふと、少し離して置かれていた 遺留品のショルダーバッグに目を向ける。 赤黒いものがこびりついて、元の色を覆い隠してしまっているそれに手を伸ばす。 「……何が好きだとか、何を持ち歩いてるだとか」 「結局、一度も聞いたことなかったな」 中に手を入れて、布に包まれた何かに触れる。 引き出して、開いてみれば。それは、"自室に置いていた写真立て"。 やっぱりこいつが持っていたのか、と視線だけを一度ラウラに向けて。 リカルドの手紙と、部屋を見た時からなんとなくわかっていた。 それがどういった意図だったのか、それまでは分からなかったけれど。 後ろの留め金に違和感を覚えて、フレームを外してみる。 変わらず入ったままの、3人の写真と、 見覚えのないメモ。 青年は黙って、そのメモに1枚ずつ目を通していくだろう。 (-430) 2022/08/23(Tue) 18:48:03 |
【秘】 Niente ラウラ → 無風 マウロ近づく足音に振り返る──訳もなく。 そこにあるのはただの器だ。動くはずもない。 貴方の声を死体は聞かない。 貴方の言葉を死体は聞けない。 名を呼ぶ声に──声を、言葉を……返せない。 触れる手も、何もかも 知ることなど出来ない。 それが死ぬということだ。ここには、何もない。 ▽ (-459) 2022/08/23(Tue) 20:47:31 |
【秘】 Niente ラウラ → 無風 マウロ持ち歩いていたものは些細なものだ。 けれどここにあるのは、たったひとつ。 ならば他はどこに消えたのか。…死者は語らない。 ただ、そのたったひとつが守るべきものだった。 そのたったひとつを 届けたかった。 ……なんて、それさえも理解は出来ないだろう。 フレームは、簡単に外れた。 そこにあるのは2枚のメモだ。 ならばそれを隠したものは誰か。 貴方はきっと知っている。名前も、あるし。 その文字を、見たこともあるはずだから。 小さめで、主張の少ない文字。 それぞれに書かれた内容は……違うもの。 勿論宛先も。……1枚は、届かないものかもしれない。 ▽ (-461) 2022/08/23(Tue) 20:48:20 |
【秘】 Niente ラウラ → 無風 マウロ1つ目のメモは、貴方に向けて。 急いだようには見られない文字がそこに並んでいる。 そして、それをじっくりと書く時間はあまり無かったようにも。 ならばいつ書いたのか。……それも、語られることは無い。 ──────────────────────── マウロ様 ラウラをお傍に置いてくださり ありがとうございました ラウラはマウロ様の不器用な優しさが好きでした ずっと お慕いしております 貴方に栄光と勝利が訪れますように ──────────────────────── …………。 ……。 ▽ (-462) 2022/08/23(Tue) 20:48:48 |
【秘】 Niente ラウラ → 無風 マウロもう1枚も、宛名が記されている。 少しだけ 端がくしゃりと歪んで、折れていた。 ──────────────────────── ツィオ様 ラウラは ツィオ様が好きです あの日 貴方に触れたことに後悔はありません 幸せに なりたかった ──────────────────────── ………………。 …………。 貴方がこの2枚をどうするか。 それは自由だ。 破いても、隠しても。燃やしても。 何だっていい。 咎めるものは誰も──いないのだから。 (-463) 2022/08/23(Tue) 20:49:22 |
マウロは、手紙を読んだ。遺されたそれに、何とも言えない顔をして。 (a54) 2022/08/23(Tue) 20:55:31 |
マウロは、「それも、知らなかったな」と言って。寂しげに、薄く笑っていた。 (a55) 2022/08/23(Tue) 20:56:16 |
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