色んな人に色んな助けを貰っただけ。
　　　僕だけの力じゃない。

　　　……勿論必要なことは勉強したけど。




［　主に身内の力なんだけど。
　　あのお店はそもそも
　　僕一人だけの力でやってるわけでもないから。　］
　

　

***

［　話しながら目指していたのは
　　君と僕が初めて出会った高台。



　　とがいっしょに並ぶ時間に
　　僕たちは思い出の場所にたどり着いたんだ。　］
　

　　　ここだね。
　　　君と僕が出会った場所。

　　　君のお宝はこの木の下、かな。


［　どの位の深さに埋まってるんだろう。


　　手でも掘れるかなと思いつつ
　　周りを見ると、地面に小さいスコップが
　　転がっているのを見つけたから。　］
　

　　　どうする？
　　

［　君自身で隠したものを掘るか、
　　それとも僕が掘るか、
　　選んでもらおうと思って
　　スコップを差し出しながら聞く。

　　力仕事になるから、君が特にこだわりないのなら
　　僕がしようかなって考えつつ。
　　どっちが掘り起こすにせよ
　　開けるのは君にお願いしようと思っていた。

　　もうほとんど正解みたいなものだけど。
　　一応、君にあってるかどうか
　　確認してもらうつもりだったから。

　　僕に宛てた手紙の存在までは
　　流石に気づけてないんだ。　］**
　

　

［　あの時の言葉は自分に向けた言葉で。
　　




　

***



　　特別だって言う事が
　　君の嬉しいことだと思ってもみないから
　　仮に顔を見てても、
　　すぐに結びつかなかっただろうけれど。

　　
　

　　
　　


［　そう、純粋な動機じゃないから
　　君が褒めてくれても
　　困ったように苦笑いするだけで。


　

***


　　
　　自分でやるって言った君にスコップを渡して
　　このあたりだね、って
　　軽く地面を指でたたく。　］
　

　　　月明かりだけじゃ流石に暗いね。


［　スマホを出して君の手元を照らす。
　　明かりは多い方がいいだろうし。　］


　　そこに君の記憶が眠ってるはずだよ。

　　
　　



　

　　　


［　受け取ってビニール袋の中の手紙を取り出す。
　　正直、あの頃の君が
　　あの頃の僕へ向けて書いたものなら
　　おめでとう、とかそんな感じなのかなって。
　　簡単な物だろうとは思っていたけれど。

　　ひとまず見る前に、君の記憶をもどそうと。　］
　

　　　うん、いいよ。


［　片手に手紙を持ったまま。
　　君の手を両手で包むように重ねた。


　

［　戻った瞬間、泣く君を見ても
　　なんで泣いてるのか、
　　すぐ理解はできなくて。

　　見られたくないよねって
　　すぐに目を逸らして
　　君が落ち着くまでの間に、君からの手紙を読む。　］
　

［　そこに綴られていた気持ちを見て
　　察してしまうんだ。




　

　　　どういたしまして。


［　短く返して、君の言葉を黙って聞いていた。