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【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア「あ ぐ タイツに包まれた細い足がテーブルを強かに打ち、けれどあなたと違い純粋に筋力が乏しいだけの女の足はそのまま、反動とともに体勢を崩す。 息を飲み込む間もなく顔を打つ蹴撃。 痛みと熱が激しく弾け、視界がぐるりと回転した。 「…げほっ」 ひとつせき込み瞼をあげたときには、目の前に穴があった。 ――鉄と血、硝煙。 鼻の奥に溢れ出す鉄の匂いに、全身が強張る。 怯えたような、顔。 鼻と唇の端に、血の雫をぼこり、と浮かべて。 「………、……、」 許しを請うように、両掌をあげた。 化粧でも隠し切れないような青ざめた顔で、 震える唇で── ↓[1/2] (-199) 2022/08/18(Thu) 23:40:03 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア↓ 『姉さんッ!』『アヤぁつけに来たんか!』 ば ん、と。扉が蹴り破るように押し開けられ、ばたばたという足音が響いた。 店の奥から飛び出してきた従業員たちが、一斉に拳銃を構えあなたへと向ける。 ――そこに、如何程の隙ができただろう。 女が倒れ込むように、銃口から身を反らす間はあっただろうか。 どちらにせよその後は、頭に血が上ったばかな女の、衝動的な捨て身の行動だ。 ハンズアップした掌で頭部をかばうようにかざし、あなたの銃口を避けて一歩踏み込 む。 ――もうとする。 ぷ。 口の中で砕けた歯の欠片と、 鮮血と唾液が混じったものを吹きかけ る。 ――ようとする。 倒れ込んだ時にひび割れ、欠けた朱色のネイルの下から血がにじむのも構わずにグリップを握り締め、 銃口を跳ね上げるように両手で構え直 す。 ――そうとする。 「くたばれ、くそがき」 あなたがどうしようと、その言葉だけは口にして。 引き金を、引いた。 (-200) 2022/08/18(Thu) 23:43:27 |
ビアンカは、引き金を引いた。 (a23) 2022/08/18(Thu) 23:44:05 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ショウダウン ヴィオレッタ「本音。 どっちがいいのかなーって。 うん、ほんとにお店みたい。 美味しそうなご飯の気配、そしてステキなワイン、美人の店員──……」 椅子をぎい、と傾ける。 ごめんごめん、と口では呟くものの、その瞳はあなたをぼう、と見つめて。 「私はね」 「お嫁さんなんだよね」 呟くような言葉。空調の音にすら、紛れてしまいそうな小声。 ――笑いもしない。冗談ではないようで。 けれどグラスにワインが注がれると、にんまり、と楽しそうに笑う。 「――できたら通うよ? 常連客、一名確保だね」 グラスを掲げる。 「二人の夜に」 これはもう、完全に冗談だ。 にやにやと笑いながら、グラスに満ちた液体を揺らした。 (-201) 2022/08/18(Thu) 23:49:49 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ”昼行灯” テンゴ「ありがと。 美人だと得ですね」 いけしゃあしゃあと言って、アマルフィの夜明けのような満面の笑みを浮かべる。 「それとも、やっぱりあなたが変なのかな。 ……また来ますね」 するとスカートのどこかから、折りたたまれたユーロ紙幣を数枚取り出した。 それをカウンターの上にぱらりと重ねて、ひょいひょいと駄菓子を抱え込む。 「養ってなんかないから。 全部あとで返してもらうつもり。 ……この菓子代もツケとこうかな」 駄菓子で、さらに半額だというのに。 どうやら、守銭奴であることは間違いないようだ。 (-202) 2022/08/18(Thu) 23:55:09 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ諦めたように見せる標的が、その実全く諦めていない、 という光景は、もう何度と見てきた。 だから、手を上げた所で油断はしない。 ───しなかった、のだが。 「!」 扉の蹴破られる音、多数の声。 それにちらりと夕闇が動いた。 それは機械じみた女の、確かな隙であった。 一瞬の隙を突かれ、銃口を避けられ距離を詰められ る。 女は一歩引こうとするが、貴方の捨て身の行動の方が早い。 顔に体液の混ざったものを吹きかけられ る。 腕で防ぐことで目を潰されることは防いだものの、 視界は一瞬塞がる。 自動拳銃を握り、此方に銃口を向けられ る。 「─────」 女がぐらりと、後ろに倒れる。 ▼ (-205) 2022/08/19(Fri) 0:14:21 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ───ただしそれは、引き金を引くより前の話だ。 後ろに倒れながら、跳ね上げた脚で銃を構えた手を蹴り上げる。 引き金が引かれ、放たれた弾は天井へ。 照明を割り、ガラスが降り注ぐ。 辺りが一段暗くなる。 倒れれば、そのまま即座に姿勢を整え、足払いを。 頭に血が上った状態では、避けることは難しいだろう。 そうして体勢が崩れたならば、此方は跳ねるように立ち上がり。 足を振り上げ──── その脳天に向かって振り下ろす。 ゴンッ 当たれば鈍い音が鳴る。 痛みに体が鈍ったなら、貴方の手をシルクグローブの手が掴み。 バキッゴキッ 右手の指を3本へし折り、そのまま肘も折る。 最も簡単な武装解除。 てこの原理で込められた力は、女の細腕程度なら 即座に砕いてしまう。 ▼ (-206) 2022/08/19(Fri) 0:23:03 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ───まだ、終わらない。 頭のリボンを片方解いて、きっと痛みに俯く貴方の首にかける。 そのまま、ギリギリ、と上に持ち上げるようにしながら、 どんどん締め上げていく。 人間の身体は高性能だ。 首を絞められれば、その苦しさから逃れるように、 体が勝手に力を加えられた方へ引き寄せられる。 上に持ち上げられるように力を加えられていたのなら。 苦しさから逃れるように立ち上がってしまう。 そうして立ち上がったのならば。 貴方は、従業員と女の間に張られた、肉の壁となる。 女の力加減は絶妙だ。 首に痕は残るものの、死にはしない。 蜘蛛の糸が垂らされた地獄のような苦しみを貴方に与えて。 そうして。 「私はここに、お金を届けに来ただけよ。」 「背中を向けた所を不意打ちで発砲しようとしたのはそちらの方。」 「ここで私を殺したら、貴方と、貴方の所属する組織の立場は相当に悪くなる。」 「戦争の火種になりたくないのなら。」 「───表を開けてくださるかしら。」 底冷えするような声で、再度、告げた。 (-208) 2022/08/19(Fri) 0:32:11 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア――ああ、まずったな。 銃声が響き、あてどなく放たれた弾丸がアンティークのランプを砕く。 降りしきる硝子の雨の中は、どばどばと放出されたアドレナリンせいでいやにゆっくりと落ちてくる。 後悔の色が、色濃く脳裏に滲んでいた。 ビアンカ・ロッカは育ちが悪い。 それでも、この街でマフィアに尻を振って傅く日々の中 まだ自分にこんな狂犬じみた部分が残っていたことに驚いていた。 ――ちょっと脅すつもりだったのに。プロじゃねえか、こいつ。 足元を刈り取られ、肩から床に叩きつけられる。 潰れた肺から空気が絞り出されて、喉が締まって―― 「 ぎ 、ぁっ…」脳を貫くような衝撃に、再びぼたぼたと鼻血が落ちた。 あえぐように伸ばした手が掴まれて、爪を立てる間もなく伸びて── ばき、ごき。 伸びきった間接が軋む音は体内を伝わり、妙に確りと聞こえてきた。 「 あ 、、ッ、ぐ 、ぇああ あ ああ !!」痺れるような破裂音と、骨の内側から感じる熱。 錯覚だ。 一瞬遅れて、もう痛みとだけは認識できないような激痛が走る。 壊れた玩具のように、押さえつけられた格好で絨毯を転がって―― ↓[1/2] (-209) 2022/08/19(Fri) 0:48:26 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア↓ がくん、と。 その体が、持ち上げられる。 「っ、……ぁ、――ち、……──ぃぎ、、ぁっ、……ぅ、え…ッ」 釣りあげられた雑魚のように、足をばたつかせる。 床に散らばった硝子でずたずたになった肩口の肉が、暴れるたびに鮮血を溢し、 モノトーンの服をワイン・レッドに染めていった。 「……、……っ、」 かふ、と乾いた呼吸に、ぼごりという汚らしい水音が混じる。 血の泡が唇の端に浮かんで、絨毯を汚した。 「……、…〜〜!」 たん、たんと。 首を絞め揚げるリボンのふちを、掌がタップする。 「……、……わが、……った、…、も、…やめ、……て、…」 こちらを向く従業員たちの目と銃口は、戸惑うように揺れている。 ビアンカはそちらに向けて、掌を下に向けて振った。 ――ばらばらと、銃が床を向く。 「……、あけ、…るから、……はな、……、ってよ……」 涙でぐしゃぐしゃになったアイシャドウが、充血した瞳を不気味に彩る。 肩越しに無理矢理振り返った横顔に、抵抗の意思はないようだった。 (-210) 2022/08/19(Fri) 0:49:39 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ娼館の女たちは籠の鳥。 みんな各々に事情を抱え、或いは夢を持ち、或いは破れて、春をひさぐ。 彼女らが持つのは己の身体ばかり。華奢な脚と柔らかな羽根ばかりだ。くちばしを武器にすることは許されず、ただ甘いまやかしを囁くためだけにそれは使われる。 一夜の夢の延長線を白昼の下で紡いでいる。 誰も見ない戯曲の終わりが悲劇でも喜劇でも気にする者はない。 売って買われる身体。切り売られる性。都合のいいことだけを謳う唇。 それでも本質的なものを明け渡す気はないと言うように、いつも冷えた目の底。 だから男は君が好きだった。全くの本心、心の底から。 「なら、もっと強請ってくれればいいのに」 「これじゃ召使いにもなれやしないな」 微笑う男は、嘘などつかない。 男は、白馬の王子様ではない。 君の手を引いて連れ出すことは、ない。 ▼ (-224) 2022/08/19(Fri) 1:56:43 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ「もちろん」 いつもの調子で男は言う。 「僕はそのためにいるんだよ、ビアンカ」 微笑う男は、嘘などつかない。 つくことは出来るのだろう。 誤魔化しも出来るのだろう。 隠すことも出来るのだろう。 そのどれも、いつでも、男はしなかった。 いつもただ、真実だけを口にして笑った。 それは浅慮だったのかもしれない。 (-225) 2022/08/19(Fri) 2:01:59 |
【秘】 ショウダウン ヴィオレッタ → 小夜啼鳥 ビアンカ>> ビアンカ 「はいはい。お世辞でも、嬉し……――」 照れ隠しの雑な返事。 紫煙よりも淡く空気に溶けるような声と、見つめる瞳に それは続く言葉を失う。 今日も美しい貌。 綺麗で、艶があって、凛とした。 けれどそこに普段は見ない ――隠していたのかもしれない――儚さがそうさせた。 つい口を閉ざして注いだワイングラスから顔を上げると、 幻のように消えてしまって。自分の目を疑った。 仮定の言葉に苦笑をひとつ。 そう来るのでしたら、 少しくらいは夢の話に酔っても良いでしょうか? 「その時は常連客二名、にしてください。 趣味に合うワインを用意しますので」 あなたと同じ笑顔で要求する。 客ではなく大切な人を。 ――どうせ夢に酔うならひとりではなく二人で。 「二人の夜に」 言葉を追いかけ、グラスに口付けする。 (-229) 2022/08/19(Fri) 5:25:44 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ時間にすれば、10秒足らずの攻防戦。 素人の従業員では発砲などできなかっただろう。 貴方に当ててしまう可能性があるから。 悲鳴にも,血にも。 たじろぐ様子一つ見せず、その手で腕をへし折って。 食い込むリボンは、貴方の命をギリギリ潰えさせない。 マフィアの中で、最も死に近い女。 それがこの暗殺屋だ。 銃が床に向くのを見て、締める力を緩める。 きっと緊張状態から解除された貴方の身体は、 床に崩れ落ちる事となる。 そっと、貴方の血がべったりとついた自動拳銃を拾い上げた。 「物分かりが良くて助かるわ。」 「病院には早めに行くことね。」 汗の一つもかかない女は、そう告げて。 扉が開けられたなら、そちらへと歩を進める。 ▼ (-250) 2022/08/19(Fri) 11:06:57 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ店を出る、その直前に。 女は一度、貴方の方を振り向いて。 「何もなかったわ。」 「あの子とは。」 そう告げた。 何もない、わけがない。 血の香りがする女と夜鷹など、関わる場面は多くない。 しかして、マフィアが街娼を態々狙って殺す理由もない。 もし理由があるとすれば……"たまたま、仕事の場を目撃された"時くらいだ。 ───暗殺者は、自身の行った殺人を知る者全てを殺さねばならない。 だから。 『深く調べようとするな』と、言外に告げているのだ。 もし、知れば。 今度は貴方を殺さなくてはいけなくなるのだから。 「Addio.」 そうして女は今度こそ、店を後にしただろう。 後に残ったのは、床に散らばって汚れた、 くしゃくしゃの紙幣。それだけだ。 (-252) 2022/08/19(Fri) 11:15:43 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカ時間があると思っていた。 根拠もなく。 こんなところでこんな生き方をしていて、それでも、明日が来ることを疑っていなかった。 ——或いは、失うことの恐怖を、苦痛を、まだ知らずにいた。 一歩、二歩。 歩幅を広げて、少年はあなたの隣を歩く。 雑踏に紛れてしまいそうな、不明瞭な声を拾う。 「……ビアンカ」 たよりない女の細腕は、あの日、確かに少年を拾い上げた。 生まれたとき天使だったはずの子供は、 碌に使えもしないこの子供を、あなたは何故か放り出さなかった。 恋の魔法が憎悪へ変わると共にゴミへと堕した。 苛つかせることも多かっただろうし、実際、何度も怒られただろう。 世界の歩き方さえ知らされないまま呪いを背負い、生きて、 けれどそれは、理不尽に当たるあの女の声とは違って。 「あんただって、たぶん、あんたが思うほどばかじゃない」 「だって、あんたのお陰でおれは生きてる」 少年は歩き方を知った。 まだ、あなたのように堂々とは歩けなくても。 少年は人間になった。 それは、あなたと出会ったからだ。 (-261) 2022/08/19(Fri) 12:55:09 |
【秘】 ”昼行灯” テンゴ → 小夜啼鳥 ビアンカ「ふん、否定はしないさ。実際お前さんは美人の部類だろうからな。」 「ま、気が向いたら好きに来ると良い。その面倒見てるガキとやらにもよろしく言っといてくれれば嬉しいね。」 客は増えるに越したことはない、と言いながら。 貴方が帰るならばそのまま見送る構えだ。 (-282) 2022/08/19(Fri) 19:04:12 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 家族愛 サルヴァトーレ「ゆさぶって出てくるようなものは、女の子が欲しいものじゃないの」 くす、くすと零れる笑みは、喉の奥のふるえ、筋肉の動き、そしてこみ上げる喜びすらもてずから作り上げたつくりもの。 手を引かれることを、本当は望んでいたの かもしれない。 けれど、手よりも先を預けるつもりはなかった のかもしれない。 本心は、自分だけ。 どれだけ血とごみと、裏路地の泥にまみれても、籠の中の薄汚れた小鳥一匹だけを抱えて離さない。 ――そのことを彼女は誇り、そして蔑む。 そのままに付き合ってくれるあなたを、彼女はわりと、好きだった。 「理想はね、何も言わずともくれるものだし」 塗り固めたような笑みが、透き通るような微笑へ変わる。 瞼が僅かに伏せられて、あなたの笑みを受け止めた。 「――ええ。 信じてる。 もちろん、次はたっぷりサービスしてあげるから」 次、なんて言葉に。 いつだって、甘えていた。 (-390) 2022/08/20(Sat) 15:54:34 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ショウダウン ヴィオレッタ「お客さんでもないのに、嘘なんかつかないよ──…」 揺れるワインとグラスの面を、透かすようにあなたを見る。 瞳が。いつだってそれは、透かしたような玻璃の向こうに、 僅かに潤んで、掠れて、消えていく。 「うん。 ──……そうなったら、とても素敵。 ワインはそんなに飲まないからね、あなたに任せて──…… ふふふ、あっちはどうだったかなあ」 夢、なのに。 まるで、そこに誰かを見ているかのよう。 夢と酒に酔う彼女の瞳に、あなたならもうすっかり見慣れたであろう色がにじんでいる。 ――落としてきた過去。もう二度と戻らない、決してつかめないまぼろし。 彼女の夢は、もう叶わない。多分、ずっと昔には、もう。 乾杯と共に揺れるグラスに、艶のある唇が触れる。 流れ込む液体が、こくん、と一度喉を鳴らして。 「……おいし」 今日の彼女は、くるくると表情を変える。 この笑顔も、そうだ。 少し驚いたようなどこか子供っぽい笑顔を、あなたに向けた。 (-395) 2022/08/20(Sat) 16:19:36 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア「げほっ、…げほ…」 涎とともに零れ落ちた血反吐が、大きく開いた胸元とフリルワンピースのドレスを汚す。 同時に、ばたん、と扉が閉まる音。 従業員たちが今更ながらに声をあげ、後始末のために駆け回りはじめた。 ビアンカはあなたという嵐が去った後、踏み荒らされたカーペットの上に頽れる。 「……ぇほ、……げほ………」 従業員や娼婦たちが、気づかわし気に声をかけてくる。 ――かけられる言葉。 喧騒。 痛み。 肩の手当てをされながらも、それらすべてがどこか、遠い。 ↓[1/2] (-398) 2022/08/20(Sat) 16:53:04 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア↓ 「……何も、…ねぇか…」 充血し、涙をたたえた瞳が床に散らばる硝子を見つめる。 ばらばらと散らばったひび割れの中に、 いくつもの、幾重もの自分の顔が映っている。 ――そうしてその瞳に映るのは、くろぐろとした淀みと澱。 その色は、たくさんのものが混ざり合っていた。 ただその中央を、一筋の感情が縫い留め束ねている。 「なわけ、ねぇだろ、…くそがきが」 ――怒り、だ。 くしゃくしゃになった紙幣を、血に濡れた細い指が掴む。 あなたの後を追うようなことはない。 ただ、ぶすぶすと燻るような視線が、扉の向こうに消えていく背を一瞬だけ、かすめた。 (-399) 2022/08/20(Sat) 16:54:20 |
【秘】 ショウダウン ヴィオレッタ → 小夜啼鳥 ビアンカ>> ビアンカ 「”お客さん”とのあなたを知っているから、言うのですよ。 ……でも、まぁ……私も、」 あなたとの会話では見得も謙遜も要らない。 弱みも愚痴も、誰にも言わなかった夢も、隠さずに済む。 仕事先は知っていても連絡先も知らない、 けれど他人というにはお互いによく知っている。 あなたとの関係は―― ふと浮かんだ言葉は、ワインと一緒に流し込んで。 そんな青春い事を言える仕事でも、歳でもないのだから。 「えぇ、お任せてください。ワインも、料理も。 素敵な……きっと、素敵な夜になるよう、いたしますので」 女の夢もきっと叶わない。 金の為に手を汚して、子飼いになった時に諦めたのだから。 未練で買い続けている本は、棚の上の方に押しやられて 手の届くところには手品やマナーの本ばかりだ。 本当に今日は変わった表情ばかりするのですね また、思う。けれど、それは口に出さずに。 代わりに、トマトを一つ口に放り込んで、キッチンへ戻る。 「……何か、あったのですか?」 視線は料理を再開した手元へ向けながら、尋ねる。 (-406) 2022/08/20(Sat) 17:49:48 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → どこにも行けない ヴェルデ「そう?」 何もなかった。 意味もなかった。 ゴミ捨て場に倒れるこどもを見た時、なぜ傘を差し伸べたのだろう。 なぜ、その手を引いて連れ帰ったのだろう。 きっと、疲れていたのだ。 つまりは、ただの気まぐれだ。 何の道理も通らないし、 何の意味もありはしない。 ただ、かつて失ってしまったものが、 もう決して手が届かないはずのものが、 そこにあるような、気がしただけ。 「ま、あんたがそういうなら」 ――子供は嫌いだ。 けれどまあ、意味のないことなら。 「いいかな」 別に、そうしてもいいだろう、と。 隣にきたあなたを見下ろして、笑うのだ。 ↓[1/2] (-422) 2022/08/20(Sat) 19:08:44 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → どこにも行けない ヴェルデ↓ 「…あんた、でかくなったねえ」 あの時、ただ引いた力ない手は。 ほんの少しだけ、暖かくて。 ――もう二度と、失いたくはないと思っていたのだ。 (-423) 2022/08/20(Sat) 19:09:01 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ”昼行灯” テンゴ「あはは、あーりがと。 それじゃ、これもらってくね」 どこからか取り出した布のバッグを、ぽふんと広げる。 その中に駄菓子をからからと放り込んだ。 軽い音が鳴って、からっぽのバッグをほんのすこしおもくする。 「はいはい。それじゃ。 ──ありがとうございました」 傘とバッグを抱え直して、入り口まで。 ――そこで、急にぴしりと背を伸ばすと、深々と頭を下げた。 「また」 背を向ける。 どこかノスタルジーを感じさせる店内を最後に見た横顔は、寂しげだった。 (-424) 2022/08/20(Sat) 19:12:52 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ショウダウン ヴィオレッタ酒が入ると、ビアンカはいつも口癖のように言っていた。 マフィアなんて嫌い。 けれど、金のために体をうる自分は、もっと嫌い。 ――そうとしてか生きられず、そうである今に安心してしまっていることが、はらがたってしょうがないから。 「んー、…ふふ」 もうかなわない夢は、この先も叶わない。 力も、金も、学も意思もないひとりの女は、 いまさらかたぎの仕事に戻ることすらできないだろう。 グラスの水面に映る顔に、曖昧な笑みを浮かべ直す。 「ああ、……素敵。 ワインも、料理も。 ……友達も 」グラスを片手に持ったまま、空いた片手で手慰みに、手入れの行き届いた机をつんと突く。 一本、二本。指遊びをするかのように、白く細く指が、朱色に彩られた爪が互い違いに机に触れる。 「んー」 何かあったのか、と聞かれたら。 まだ酔ったわけでもないだろうに、甘く熱い息を口の端から漏れさせて。 ↓[1/2] (-428) 2022/08/20(Sat) 19:20:56 |
ビアンカは、もう、どうでもよかった。たった一つのこと以外。 (a42) 2022/08/20(Sat) 19:21:52 |
【人】 小夜啼鳥 ビアンカ大通りから一本逸れた場所。 石畳の上のベンチに、ひとりの女が座っていた。 モノトーンのフリル・ドレスに、傘が一本。 俯いたその横顔は十分に整っているといえるもので、 多少濃いメイクも夜の街灯の下、女の流れるような鼻梁や大きな瞳を美しく彩っていた──本来なら。 今はそんなメイクよりも目立つ大きなカーゼで、顔の左側が覆われてしまっている。その下の頬はどす黒く内出血していて、美しい輪郭の半分を醜くゆがめているようだ。 さらに骨折でもしたのか、包帯とガーゼで巻かれた右腕をサポーターで吊っている。気取ったようなネイビーのアームカバーが、ゴシックな服のうえですっかりと浮いていた。 ――それでも、祭りの陽気と酒精に浮かれ、声をかけてくる男もいた。けれど、そんな物好きな男も。 「見せもんじゃねえぞ」 顔をあげた女のどろりとした瞳で睨みつけられて、愛想笑いをして去っていった。 「クソが」 そちらを見もせずに悪態を投げつけて、充血した眸をまた降ろす。 左手に持った携帯端末をじっと睨みつけたまま、女はずっとそこに座っている。 ただ、何かを待つように。 (58) 2022/08/20(Sat) 19:37:16 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ「おや。これは手厳しい」 くっくと喉の奥で笑みを転がす。君の靴音と相まって愉快な調べを奏でた。 「君たちはよく似ているよ、本当に」 『君たち』と。 男がひとまとめにするのは、金の髪のあの子のことだ。素直で従順な彼もまた、男に対しわがままを言わない。 もう少し甘えてくれるといいのだけど、そんなふうに小さくごちる。 「────そう言ってくれるなら」 舌の上で転がす言葉。 ただの音は君の唇を滑って、甘やかな魔法になる。 「裏切るわけにはいかないな」 魅せられずとも、男はそう答えたろう。 (-441) 2022/08/20(Sat) 20:01:16 |
【秘】 ショウダウン ヴィオレッタ → 小夜啼鳥 ビアンカ>> ビアンカ その部分で、二人は似た者同士だった。 マフィアなんて嫌いで、でもそこに依ってしか生きられない女。 ただ、ソルジャーの女はそこに居る人々は嫌いじゃなかった。 ――好きだった。 皆に甘い男も、根は真面目な花屋も、 大人しい少女と、その保護者も、頼りになる先輩も、実は可愛い女性もけなげな少年も、 もちろん、美しい花も、だ。 だから律義な女があなたの口癖を 口にすることは、滅多になかった。 あなたが酔い潰れるか、席を外したその背中に、だけ。 朱い爪の散歩と零れた感想にはに頬を緩めた。 感想が嬉しくて、あなたの指遊びが可愛らしくて。 [1/2] (-453) 2022/08/20(Sat) 20:55:11 |
【秘】 ショウダウン ヴィオレッタ → 小夜啼鳥 ビアンカ小気味よい音を立てて卵をかき混ぜていた手が、止まる。 「……そう、ですか」 それだけ返して、再び手を動かし始める。 この稼業をしていれば別れは多い。ともすれば出会いよりも。 名前しか知らない誰かが 死亡・失踪・自殺、なんて日常茶飯事だ。 幸いにも、というべきか。 女が親しいと感じたもので少なかっただけ。 溶いた卵をフライパンに落とす。 ジュウ 大きな音が響く。 「 ……寂しいです 」そんな呟きのような本音は、掻き消えてしまったかもしれない。 [2/2] (-455) 2022/08/20(Sat) 20:56:59 |
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