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人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ

こうして年下扱いされることも、甘えをそのまま許容されることも。
先に心配したのはこっちなのになあと思いつつ、眠気には抗えない。

「何回でも来てもいいんですよ。
 連絡さえもらえたら、俺はいつだって嬉しいです」

とん、とんと腹を叩かれるままに眼がすこしずつ開かなくなり、眠気に誘われていく。
手に力が入らなくなった代わりに、何かを探すように貴方の服に指先が引っかかった。

「……おやすみなさい……」

ほとんど吐息混じりのそれは、聞こえただろうか。
(-2) 2023/09/20(Wed) 21:04:56

【神】 門を潜り ダヴィード

その日の朝、いつも通りに男はアジトへ顔を出した。

「え、先生が捕まった?
 ……慣れたくないですね、こういうの」

不安こそ不安だが、顔に出すと困らせる人がたくさんいる。
かといって情報部門の仕事なんて手伝えるはずもなく。

「やることないよりはいいか……
 何か買ってくるもの、あります?
 朝飯でも靴下でも替えの下着でも、何でも買ってきますよ」

昨日から働き詰めの人間だっているだろう。
手に持ったメモは瞬く間に真っ黒になっていった。

#アジト
(G11) 2023/09/20(Wed) 23:19:15

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「じゃあ来るよ。お土産持って」
「お前が良いって言ってくれるんなら、
 お泊りじゃなくて遊びにでも」

そうなったら、なんだか本当のただの友達みたいだ。
──マフィアだなんて大層な事を言って、
その中に混じるのはただのひと。自分も、きっと貴方も。
自分がひとだって? まさか。


とん、とん、と一定のリズム。
これがいいと言われるのはなんでだったか。
母親か自分の鼓動に近いからだったか。

「ん」
「おやすみ。ダヴィード」

服に貴方の手が触れる感覚。
それを自分の手で包んでやって、握った。
かすかに聞こえたその七文字に、穏やかな笑みを浮かべて。

ロメオもそのまま瞼を閉じた。
あたたかい。

これでいい。これがいい。
金でもない。名誉でもない、
なんでもないような細やかな幸せがこんなにも。

じきに広い寝室に、二人分の寝息が聞こえるんだろう。
(-53) 2023/09/20(Wed) 23:30:37

【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡

その日、貴方に面会の申し込みがある。
申し込んできた人物の名前は「デイヴィッド」。

正規の申し込みに限りなく近いそれは、どこで得たのか警察のツテを使ったものだろう。
これを受けるも受けないも自由だがどうする?と、その話を持ってきた警官は言う。
(-54) 2023/09/20(Wed) 23:34:52

【神】 門を潜り ダヴィード

>>G12

「ああ、フィオレさん!
 いらしてたんですね、よかった。
 お手伝いしてくださるなら本当に助かります……」

目を白黒させながらメモを読み返して、『かわいこちゃんの熱いキス』だの『アジトに湧く温泉』だのを二重線で消しているところだった。
残る品目は食料品と衣類くらいのものだから、二人でもなんとかなるだろう。

#アジト
(G13) 2023/09/20(Wed) 23:42:17

【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード

通してくれ、とアレッサンドロは答えた。
特に伺うこともなく、断るそぶりも悩むそぶりもなく。

もしそれに従い訪れたのなら、格子の向こう、
ベッドにごろりと寝転がる男の姿が見えただろう。
(-88) 2023/09/21(Thu) 1:46:15

【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ

とん、とん、とん。

そのまま意識を手放した男は、夢も見ない深い眠りについた。
夜明けの時間まで眠り、一度だけ貴方より先に目を開ける。

貴方が安らかに眠れているのであれば、寝ぼけ眼のぱやぱやした頭で

「よかった」


とだけ呟き、己の服が乱れていないか
醜い傷跡を晒していないか
を確認して二度寝を決め込むだろう。
朝が来れば、貴方が買ってきてくれたお土産を朝食にしよう。
今度は味の違う方を、また二人で。
(-127) 2023/09/21(Thu) 6:57:32

【神】 門を潜り ダヴィード

>>G18

貴方の普段の行動をある程度知っていれば、その知らせの重みを知るのは十分過ぎた。
落とした荷物を拾い集め、その中からひとつチョコレートの包みを取り出す。

自分のジャケットのポケットに入れて、ジャケットを脱いで。

「あの、ちゃんとクリーニングしたばかりなので。
 失礼しますね」

貴方の肩にかけようとする。サイズも肩幅も違うだろうから、すぐずり落ちてしまうかもしれないけれど、今できることはそれくらいだった。

その後、買い出してきた物品をアジト中に配達する仕事が開始された。

#アジト
(G21) 2023/09/21(Thu) 7:06:02

【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡

警官に連れられてきたのは案の定と言うかなんと言うか、貴方のよく知る男だった。
格子の向こうに貴方の姿を確認すれば、安堵からか大きなため息を吐く。

「……はああぁ〜〜……
よかった……いる……」


本音を言えばわんわんと泣きたいくらいだが、そこはぐっと堪える。

「怪我は?してませんか?
 ちゃんと飯は出てますか?食べれてますか?」

まず真っ先にそんな言葉が出るあたり、何かを任されて来たのではないようだ。
(-129) 2023/09/21(Thu) 7:40:02

【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード

ぱたぱたと引きずるような足音。
上下は貸し出されたらしいスウェット姿で、
いつもの黒眼鏡はかけていない。

「おう、ダヴィード。
 元気そうだな」

顔はさんざんにはれ上がっていて、片目の瞼は微妙に開き切っていない。
格子にもたれかかるようにして肘をつき、
あなたの様子に苦笑を浮かべる。

「見ての通り、転んで・・・顔打ったくらいだな。
 飯は出てるよ、ウマくはねえけど……」

「ってかお前、ペネロペにちゃんと言ってきたんだろうな」

オイ、なんて笑いながら格子をがちゃん、と揺らした。
(-134) 2023/09/21(Thu) 7:47:47

【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡

「…………元気、ですよ。
 ペネロペさんも、いそがしそうですけど。
 みんな助け合って、まってます」

覚悟はしていた。予想もしていた。
それでも貴方がそんな姿にされるなんて、許せなかった。
紡いだ言葉は嘘ではないがどこか上擦った調子だ。
眉根がぎゅっと寄せられて、先ほどとは違った涙を堪える。

「転んだ、んですね。
 何かに躓いて、たまたま、そうなったんですね?」

貴方がそう言うなら、そうでもいい。
今怒りに任せて泣いたって暴れたって、どうにもならないのは分かる。

「ちゃんと言ってきました。
 好きにやれ、忙しいから行けない、
 代わりに伝えておいてくれって。
 『喧嘩売りに行ったなら後が怖いぞ』だそうです」
(-148) 2023/09/21(Thu) 9:18:17

【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード

「そりゃよかった。
 あいつな、忙しくさせとくくらいが本人も楽しそうだから。
 どんどんケツ叩け」

無責任に笑う姿に、悲壮感とかそういうものはない。
むしろ仕事から解放されたような爽快感に満ちている。
…ここをホテルかなにかだと勘違いしているのだろうか?

「報告ごくろう。
 報告と連絡は部下の仕事、相談と確認は上司の仕事だ。
 お前はそのへん大丈夫だよな」

満足そうに頷くと…言伝を聞いて苦笑い。

「あいつは俺をなんだと…
 『まだ売ってねえ。売るとしたらこれからだ』って言っとけ」

売るらしい。
(-154) 2023/09/21(Thu) 10:04:09

【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡

「でもその状態で酒とエナドリ入れようとするんですよ?
 そのうち倒れるんじゃないかと気が気でなくて……」

それでも格子の外にいる。倒れたら駆けつけて何がなんでもベットに縛りつけることだってできる。
……すごく怒られそうだが。

貴方の背を追って来たんだからこれくらいは出来て当たり前だと思ってほしい。でも褒められるのは飛び上がりたいくらいに嬉しい。
貴方の前に立つと、男はいつも矛盾した感情を抱えることになる。

「売らないでくださいよ。
 ……間違えました、伝えます。
 これ以上、怪我しないでください、アレさん」

声は震えていた。肩も。
会えなくて怖かった、会うことでまた怖くなった。
貴方が帰ってこなかったらどうしよう。
(-172) 2023/09/21(Thu) 11:35:14

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

──あれから、お泊り会を終えて。
久しぶりによく寝たロメオは、
無事に次の日を迎える事ができた。
残りのお菓子を食べて、貴方にお礼を言って帰ったのだろう。

それから、数日経って。
ギルドで聞く声が少なくなり、いつもの顔が見えなくなった頃。
アジトで買い出しから帰ってきた貴方の後ろ姿を見つけると、
「よ」と横から現れて声を掛けた。

「ボンボローニ。揚げたて」
「食べる?」

うまそうでいっぱい買ったから、と紙袋を揺らす。
いつものおすそ分けに来たようだ。
(-227) 2023/09/21(Thu) 18:31:58

【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ

お泊り会が無事にうまくいって、今日はいいことがあるだろうな、だとか。
またこうやって集まれたらいいな、だとか。
そういったことを考えながら、貴方を見送ったのだろう。

買い出してきたブラックコーヒーと指定された店のサンドイッチをソルジャーに渡して、ようやく殆どの荷物を下ろしたところだった。

「ロメオさん!
 いただいていいのなら、ぜひ!」

傍から見れば貴方に会えて嬉しくて笑ったのか、それとも甘味に釣られたのか分からない光景だ。
男からすれば見知った姿がいつも通りに話しかけてくれたことがただ嬉しいのだろう。
はたして貴方から頼まれた品はあっただろうか。あればそれらも共に持っていそいそと寄っていくことだろう。
(-253) 2023/09/21(Thu) 20:52:56

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「おう、もちろんいいよ。お使いのご褒美」

フィオレにもあげるんだ、と紙袋の中身を貴方に渡す。
簡単な個包装はしてもらったので安心。
貴方に頼んだコーラを受け取って交換の形とした。

「甘いもんはエネルギーになるからな。
 踏ん張りどきだろ。多分……」

「上が居なくなると俺達下っ端も忙しくなるからな。
 なんとかやろうや。愚痴なら聞くし」

受け取ったコーラのペットボトルはすぐに開栓された。
プシュ、と爽やかな音。

「出来ることが少ないってのは歯痒いけどな……」
(-272) 2023/09/21(Thu) 22:17:45

【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ

「頑張った甲斐がありますよ。
 今はもちろん、皆が力を合わせるべきなんですが」

それはそれとして労われることは素直に嬉しい。
渡された中身をしっかりと両手に持って、ひとまず匂いを楽しむ。

「皆の帰る場所を守るって大事な仕事です。
 いつも通りにやりましょう、焦らずに。
 俺も、頑張るんで」

いつも通りに振舞うことを自分に許す。
拭えない恐怖や不安を持ちながら、好きな人と笑い、好きな物を食べることを許す。
大切な人が今なお暗い牢獄にいても、その人の帰還を笑顔で迎えるために、自分を大切にすることを許す。


ボンボローニを一口食む。
味覚はとっても正直なもので、甘味は疲れた体に染み渡った。
(-280) 2023/09/21(Thu) 23:30:15

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「……皆が帰ってきたときにここがいつも通りでなきゃあな。
 わかるよ。皆ちゃんと帰ってくるんだから」

「オレたちはここを守る……うん」

ちびちびとコーラを飲み、
……それでも尚、何か溜飲が下がらない物言いをして。

「……」
「弟捕まってんだよネ」「やだな〜……」

ポロッと、そんな事を急に言い出した。

「ボスでもどうにもならなかったら、
 オレ刑務所に火付けに行くから」
「その時になったら、まあ後はよろしく……止めないでね」

アハハ……と乾いた笑い。口元だけが笑っていた。
冗談交じりに貴方と話す事は多々あるが、
だからこそ、この言葉は冗談じゃないと
貴方は勘づくかもしれない。
(-322) 2023/09/22(Fri) 8:14:10

【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ

甘味を頬張りながら貴方の話を聞く。
いつもの貴方にしては様子が変だ。歯切れが悪いし、違和感がある。

「…‥弟さんが?」

初めて聞いた話だ。
弟がいることも、それがあのクソみたいな法律で捕まっていることも。
違和感がそこにつながれば返す言葉はひとつ。

「後はよろしくってなんですか。
 ボスでもどうにもならなかったら、一緒に行きましょうよ」

皆の帰る場所は大切だけれど、それは誰かが帰ってくるために守っておく場所だ。
男にとって帰ってきてほしい人が戻らないことが決まってしまえば、火を付けることに反対するような人間ではない。

「俺、無免許ですけど……車出しますから。
 皆でそのまま車に乗って、逃げちゃいましょう」

あいつらの追ってこないところ、どこまでも。
(-346) 2023/09/22(Fri) 12:11:56

【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード

「そのうち倒れるが、そのときは本望だろう。
 墓にエナドリを供えてやれ」

この男の基本は自己責任だ。もちろん、助けを求めればその分は援助してくれるのだが。
ただその“放任主義”を向ける相手をこそ“信頼”しているのだと、その言動が直接間接隔てなく、事あるごとに告げていた。
…勿論、一番信頼しているのは彼自身なのだけど。

「勝てばいいんだろ?」

にやりと笑うことばかり。
実際この十年、喧嘩らしい喧嘩はしていないとはいえ、だ。
─やっぱりこの男は、根っこはずっと喧嘩屋だ。

「…おいおい、なーにビビってんだよ。
 まあお前は大丈夫だ、ペネロペの言うこと聞いときゃな。

 ああそう、荷物。
 ありがとな」

思い出したように。
(-370) 2023/09/22(Fri) 15:21:49

【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡

「墓に入る前にベッドに叩き込みますよ。
 俺がいるうちは、ですけど」

勿論、彼はその通りにやり遂げるだろうし、限界を迎える前に休暇を取ることだって普段ならするだろう。
今が異常事態すぎるだけで。

「全員ぶったおして、勝って、帰ってきてください。
 それ以上怪我したらおいおい泣いて脱水症状起こしますよ」

過言である。脅迫にもならない軽口だ。

「……いえ、あのくらいは。
 こちらこそお駄賃ありがとうございます。
 あれ、何処のですか?」

キーケースはあの日から胸ポケットに入れてある。
かっこよくて気に入って、家の鍵も早速付けたらしい。
あれ、とは一本だけ最初から付いていた鍵のことを指している。
(-381) 2023/09/22(Fri) 16:19:39

【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード

「部下の仕事がわかってきたじゃないか。
 アホな上司をコントロールすることだ」

阿呆な上司代表は、胸を張ってそう言って。

「負けるつもりで戦うやつはいねえわなあ。
 脱水は怖いぞ、水をキチンと飲め」

仕事をしているよりも余程大真面目に返して、
オールド・ムービーのアクション俳優のように
拳をごきり・ごきりと鳴らす。

「ハハ、ああいうのかっこいいよな。
 古いセンスで申し訳ないが。
 いい革の一つくらい身に着けろと、昔よく言われたもんだが」


あれ、については答えず、一度言葉を切り。

「うちの店の地下にな、冷蔵庫がある」
「その奥に扉があってよ」

──アレッサンドロは、楽しそうに笑っている。

「そこにも荷物があるんだ。
 このクソ取締法が撤廃されたら、
 今度はアジトのそばにまで届けて欲しいんだよな。
 ジェラートのときと一緒」

………またお使いのようだ。
(-387) 2023/09/22(Fri) 16:46:37

【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡

「部下らしく皆にはきちんと生活してもらいますよ。
 アレさんも帰ってきたら養生生活ですからね」

口を出させてもらえるところなんて本当は殆どない。
心配だけでどれだけ貴方を繋ぎ止められるのか。

「ええ、ええ。
 帰ったらゴクゴク飲みますとも!」

大仰に肩をすくめる。不安が少しずつ散っていく。
貴方との会話はやっぱり、男にとって心地よい時間だった。

「……厳重なんですね。
 分かりました、その時には必ず」

男は『地下の冷蔵庫の奥にある扉』の鍵を貰ったのだと思っている。
そんな場所ならば置いてある物も相応に慎重さが求められる物品なのだろう。
一人納得をして、深く頷いた。
(-399) 2023/09/22(Fri) 18:32:52

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「ん。弟」「義理……?だけど」

説明が難しんだよな、と首を傾げる。
貴方の察する通り、歯切れの悪さの理由はそこにあった。
弟だけではない。今まで逮捕された仲間だってそうだ。
手段があればすぐにでも解放してあげたい。
けれど、手段はない。
できる事は現状維持、ボスの帰りを待つのみ。

それが嫌だ。

「……あんた、いい男だな」「ありがとよ」

我儘みたいに打ち明けた八つ当たりの一つを、
見送らず隣に立とうと言ってくれるのが嬉しかった。
無免許宣言に大丈夫かよと笑って。

「ボスの事信じてない訳じゃないけど。
 そうなったらあんまりにもやりきれないからさ」
「一人でやれば捕まったって迷惑かけない。
 皆逃げてくれれば、オレは別に」

「って、思ってるけど。あんたは怒りそうだし」
「一緒に来てもらうのも良いな」

今はまだもしも話にしか過ぎないそれを、
夢物語みたいに目を伏せて唱えた。
(-421) 2023/09/22(Fri) 20:32:39

【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ

「大切な人と言い換えてもいいです。
 関係性はどうであれ、そういう人なんですね」

男はとにかく、今のままであることに固執していた。
現状を守ってじっとしていれば、助けが来れば。
帰りを待つことに慣れていたのだと改めて思う。

「あんなクソみたいな法、嫌がってる人が大半ですよ。
 皆で逃げて、どこか遠いところで身を隠して、
 あったかいところでバカンスでもして……」

「俺は、ロメオさんが捕まっちゃうのも嫌です。
 一人で寂しいところに行くより、
 皆で一緒に逃げちゃいましょうよ」

だから、どうにかなってもならなくても。
貴方を一人で危険なところに追いやったりはしない。
(-462) 2023/09/22(Fri) 23:01:29

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「アハ。南国に逃亡? いいね、夢がある」
「ノッテで新しい商売始めるか。タピオカドリンクショップ」

それも楽しいな、と思った。
一部が変わるから嫌なのであって、皆で変われば怖くない。
それが良い変化ならいいな、と思った。
全員ムショに入るよか、よっぽどそれがいい。よっぽどだ。

「……今は随分悪夢みたいだ。そんな楽しい夢になりゃいい」
「離れ離れは嫌だ。虚しい。信じられるものが側にいて欲しい」

「…………昔」
「ノッテとドンパチして吸収されたファミリーがあんだと。
 その抗争も、別の縄張りの奴の差し金だったって」

「バラバラになったファミリーって、どうなんのかな」
「オレら、それよりマシなのかね……」

──今日は弱音がよく漏れる日だった。
普段言わないような事をとつとつと話して、
それから急に、ふと思い浮かべるように、人に聞いた昔話を。

「怖いんだよなぁ。オレァ今が幸せだから」
「幸せなのが怖いんだよ。不幸に責められてる気になるから」

「お前は捕まらないでね……」

ぼそぼそと、そんな風に言うのだ。
(-466) 2023/09/22(Fri) 23:25:38

【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ

「ノッテ印のタピオカドリンクですよ。
 
もういっそボスの顔を刷ってマスコットにしましょう


誰かに聞かれたら怒られるどころでは済まない冗談。
自分の手の届く範囲にいる大切な人間をぜんぶ掬い上げて、幸せな温かい南の国へ。
そうなればいい、いざとなったらそうしてやる。
半ば夢のような言葉は、約束にするには非現実的すぎた。

珍しい貴方の弱音をじっと静かに聞く。
共感を覚える点もあるし、そうではない点もある。

「じゃあとりあえず、俺を信じてください。
 絶対捕まらないで逃げ切ります。頑張ります」

「もしバラバラになったら俺が皆を迎えに行きます。
 来年には免許も取れるから、ピカピカの赤い車で」

そうならない方がいいのは承知の上。
何の根拠もない言葉だ。この男には強固な後ろ盾も、何か特別な力があるわけでもない。金も権力もなにもない。
貴方が何を抱えているのかも、知らない。

「そうしたら、怖かった気持ちが分からなくなるくらい、
 ロメオさんはずーっと幸せになれるかなあ」

そうした気持ちは、祈りと呼ばれるものだった。
(-483) 2023/09/23(Sat) 0:27:08

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「アハハハハ。ボスにも金払わなきゃな」

浮かれた妄想に過ぎないのだ。
きっとこれはそうで、それでも貴方がいざとなったらそれでも叶えようとするのならば、ロメオもきっと一緒になってそうするのだろう。夢は夢。夢は叶えたいから夢なのだし。

笑い声を上げた後、貴方の言葉をじっと聞いていた。
貴方の希望に溢れた言葉を聞いていた。
眩しかった。どうしてそんな事を言えるのだろう。
どうして保証もないのに言い切れるのだろう。

「………どうだろう」
「どうだろうな。でも……そうか」「うん」
「やっぱお前、いい男だよ」

『人並み』に背を睨まれている。
『幸せ』に後ろ指を指されている。
それは、それらがそこにあるから。近くにあるからだ。
もう失うのが怖いと泣いている心の内のこどもを、
そこにあるものたちがせせら笑っている。
期待をするなと蔑んでいる。

けれど。


「そう思ってくれるんなら、そうなるかもなあ」

ロメオは祈らない。自分の祈りに意味は無いから。
けれど、貴方の祈りには意味があればいいと思った。

「お前の幸せも続けばいい。ずっと」「手伝うよ」
(-495) 2023/09/23(Sat) 1:07:18

【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード

「俺の生活には何一つ恥じ入ることがないから…
 ほら、筋肉も現役時代そのママ」

力こぶなんか出している。保健体育の授業がこの国にもあれば、赤点必死の生活をしているのに。
トレーニングにだけは精を出しているらしき男は、
あなたの心配になんだか嬉しそうにからからと笑う。

そして安心させるように、壁をカンカンと拳で叩き。

「ま、首尾よくここを出られたらまた珈琲でも奢ってやるわ。
 おー、頼むぞ。
 ウチの鍵は開いてると思うが、あいてなかったら…」

えーどうしよう、と拳が一度とまり。

「まぁいいや。ぶっ壊せ。修理費請求したりしねえから。
 いいか、緊急時には魔法の鍵こそが必要な時がある」

あなたに良くないことばかり教える男は、
ガレージにある作業用の鉄オノの位置とかも教えた。
(-558) 2023/09/23(Sat) 9:23:04

【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ

「着ぐるみ作って?全世界チェーン展開……?」

いつぞや貴方に言ったように、今はまだそれを実行に移すことはない。
本当にしようとした時に挫折や苦しみを知ったとして、貴方が隣にいてくれるなら、怖いことなんて半分くらいに減るだろう。
男はそう思った。

「へへ、そんなに褒めても……何か出るかな……
 うーん、なにもない……」

ごそごそとポケットを漁るが端末しか出てこなかった。チョコの一粒でも残っていればなあ、と残念そうな顔をする。

男はずっと、ある意味では祈り続けているのだろう。
仲間の眠りが安らかであり、食事がきちんと取れているか周りの人間から気にかけられ、心から愛されているように、ずっと。
貴方たちが幸せでありますように。

「やった。
 じゃあ、ロメオさんも捕まったりとか……
 どこかに行っちゃったりとか、ダメですからね」

祈りが天に届くだとか、そういったことは深く考えていないのだろう。
神様は助けてくれなかったから、祈り続けていればいつか人が動いて現実になる。
その『人』に自分がなれるなら一番いい。
(-575) 2023/09/23(Sat) 10:28:50

【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡

「その『転んだ』傷が治るまでは禁止です、禁止!
 筋肉にも泣いてもらいますからね」

いったい何を禁止されるのだろう。おそらく筋トレや負荷のかかる行為全般を指している。
先ほどまでの暗い顔をさっぱり忘れてお節介なお説教をする姿は怒っている風な顔を装っている。

「珈琲、楽しみにしてます。
 ……開いてることを祈ってますよ」

それでも、もし緊急避難用の魔法の鍵を使うなら夜がいいだろうな。
電動バイクも借りっぱなしだから使わせてもらおう。
それから、ふと。

「そういえば、これも……ですか?」

途中で言葉を切り、人差し指をたてて口に当てる。
条件はジェラート屋の時と同じ。運ぶことだけを指すのか、誰にも言うな、というところまで同じなのか。念のための確認だ。
(-579) 2023/09/23(Sat) 10:42:56

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「名がデカくなるな……」

今はもしも話でいい。
逃げずに現状維持ができるのが一番なのだ。
今が一番いい。ロメオはそう思っているのだから。
けどまあ、慰安旅行くらいなら現実的かもな。

「良いよ出さなくて。ハハ……」

案外、ロメオは祈りに護られているのかもしれなかった。
穏やかな願いがヴェールになっているのかもしれなかった。
祈りのそれだけで、十分幸せに値する。
贅沢だ。

「……そんなつもり無いよ。必要がなけりゃね」
「オレは替わりが利くけれど、
 それはオレが消えていい理由とイコールにはならない。
 しっかりしがみついて、皆の言うこと聞いてるよ」

使い捨ての駒にされても構わないけれど、
そうされなければいいな、と思っている。
貴方も、自分も。

「捕まっても帰って来るよ」「オレはしぶといからね」
(-582) 2023/09/23(Sat) 10:54:08

【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード

エー、なんて不満の声が格子の向こうからっ越えてくる。

「こんなん直ぐ治るって〜」

…実際に負傷や外傷には強いタイプの男ではあるが、どうだろうか。
たのむよ〜、なんてわめく姿は、年を食っただけの子供のようだ。
筋肉くんも泣いている。

「おう、とっておきのブレンドを作ったんだ。
 …しょーじきどう違うのか俺にもよくわからんが、
 楽しみにしてろよな」

開いてる開いてる、と語るその言葉は無責任。
無責任かつ信頼感溢れる放り投げをしつつも、
人差し指を一本立てて。

「サプライズだ。
 頼むぜ」

に、と笑った。


「そうだ、あのジェラート屋開いてるときに行ったか?
 イチゴがオススメ。美味いぞ」

…ジェラートが似合うようで似合わない男は、能天気に言ってくる。
仕事の話は終わりということだろうか。
(-585) 2023/09/23(Sat) 11:14:43

【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ

「有名になりすぎてバレちゃうかも……」

そうしたらまた逃げる。皆で。
……そんな夢のような御伽噺が現実になることはない。
皆でこの場所を守るのだと、少なくとも今この二人は信じているから。

おせっかいの心配性、寂しがりやの男はきっと、何かできることがないかと思案を巡らせている。
そんな想いがまた積み重なり、貴方を守る祈りになればいい。

「役割としての代用はきいても、
 ロメオさんの代わりはいないってことですよ。
 ここめちゃくちゃ大事ですから、分かってくださいね」

念のため、念のため。
弟さんが泣くかもしれない。俺だって泣く。

「俺はその分、頑張って捕まらないように逃げますから。
 ……約束、ですよ」

きゅ、と目尻を下げて笑った。
(-599) 2023/09/23(Sat) 12:10:31

【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡

「だめです。
 珈琲は禁止にしませんから、それで我慢してください」

ぷいとそっぽを向く姿は拗ねた子どものようだ。
何とも言えない絵面である。

「……じゃあ名前を付けないとですね。
 試飲のお役目、承りました」

それでも貴方の言葉にはきちんと答える。
普通の子どもが拗ねた時にどういうポーズをとればいいのか、自身でも図りあぐねているところがあるのだろう。

条件の確認が済んだところで、ふと思いついたような顔をして。

「まだ行ってません。
 ……次のおつかいが終わったら、アレさんと行きたいです」

ご褒美として、お駄賃として?
形や呼び名は何でもいいし、ほんの30分ほどあればいい。
一緒にお出かけして、ジェラートを食べて、帰る。
それがほしい、とねだった。
(-602) 2023/09/23(Sat) 12:22:22

【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード

「へえい。
 まったく、お前は頼りになるなあ」

だるだると返答しながら、慰めているのか機嫌をとっているのか言葉をかけつつ。

「かっけえ名前で頼むわ。
 いいカップも欲しかったが、さてどこにしまったかな…」

店の倉庫も彼の部屋も、雑多なものが積み上がっている。
やはり本人も、そこに何が積み上がっているのか
サッパリ把握はしていないようだ。

「ん」

そして、あなたの"おねだり"にはしょうがねえな、と声を弾ませて。

「しゃあねえ、俺の身が空いたらな。
 マ気長に待ってろよ」

なんとも信頼感のない返答だ…。
(-605) 2023/09/23(Sat) 12:40:18

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「解ってる、解ってるよ。
 こんなオレでも、オンリーワンではあるらしい」

不思議な話だよな、なんて皮肉ったらしく笑った。
自分に何かあれば、確かにあいつは泣くかもしれない。
貴方も泣くかもしれない事は、
ロメオはまだピンと来ていないけど。

「おう。約束」
「……悪いな。愚痴っぽくなって。お前も愚痴とかないの?」

目を細めて、穏やかに笑んで。
それからお詫びに聞きますよ、と貴方に問いかける。
(-618) 2023/09/23(Sat) 13:47:32

【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡

「ええ、ええ。
 頼りにしてくだされば幸いです」

「早く帰ってこないと、勝手に掃除しちゃいますからね」

見られて困る物、というよりは処分していい物かどうか判別をする人間がいなければ、さっぱりきれいにされてしまうことは想像に難くない。
仕事道具もあるであろう場所に勝手に触れたことはないので恐らく冗談だが。

「はい。待ってます。
 ……出たら、忙しくなるでしょうから、待ちますよ」

本格的に寒くなってからのジェラートというのも、それはそれで悪くないかもしれない。
体を冷やしてからあたたかい珈琲でも飲めたら最高だ。
いつかの約束に思いを馳せて、男は穏やかな声でそう言った。
(-623) 2023/09/23(Sat) 14:05:17

【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ

「うんうん、それが分かってるなら大丈夫です」

「……愚痴、かあ。
 愚痴かどうかは、分からないんですけど」

しばらく考え込み、ぽつりぽつりと話し出す。

「俺、小さいころに色々あって。
 アレさんとペネロペさんに拾ってもらって……
 ずっとあの二人の役に立ちたいって、生きてきて」

でも、こんなことが起きて。
『俺の命は貴方達のものだ』って言ったら、怒られてしまった。
使い方を決めるのは俺で、ちゃんと手綱を握った上で二人のためを考えて行動しろって。
だから、俺がちゃんと考えられるようにならないといけない。
どうしたらいいんだろう。

そんな、愚痴というよりは相談事だった。
(-634) 2023/09/23(Sat) 15:01:40

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「───ふうん。なるほど」

少しずつ語られる、貴方の相談事。
役に立ちたいという気持ちも、命を捧げようという気持ちも、
ロメオには心当たりがあり、共感できるものだった。

「……観察かなあ」

首を傾げながら、思考しつつ口を開く。

「別にオレは目標とかも無くて、生きんのに必死で
 気が付いたらこんなスタイルの生き方になってたけど。
 まずオレみたいな生き方をしたら殴られると思え」

「人の為に生きるなら、人が何を欲してるか知らなきゃ。
 何が嫌で、何をしたら喜ばれ、何をしたら役に立つか。
 人を観察して、そういうのを吸収する。
 人間が正しく自発的な行動がとれるようになるのは、
 経験と知識があってこそなんだよ。挑戦するのもいいが。
 未熟者の挑戦は無謀と同義になる事もある。
 この世界でそうなると、死ぬ事もあっから……」

目標があればいい、理想があればいい。
その真似をしてみるのもいい。勿論背丈に合った方法で。
そういう事を、ロメオは言った。

「何かある?そういうの」
「どうありたい……とかでもいいけど」
(-636) 2023/09/23(Sat) 15:25:54

【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード

「好きにしたい時は、好きにしていいからな。
 俺はそっちのほうが嬉しいね。
 めんどくさいオッサンだから」

自分勝手にすぎることを言いながら。

「それはそれで、片付けの手間がはぶけていいなあ」

…実際やっても、怒ることはないだろう。
見られて困るものなんてあるのだろうか。

「おう。
 まー、ファミリーも無傷じゃすむまい。
 そーなるとお前やペネロペが出世できる目もあるってもんだ。

 お前さ。金か、女か? それとも立場?」

曖昧な質問。
(-637) 2023/09/23(Sat) 15:33:35

【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ

貴方の話を、男は静かに聞いていた。
時折頷いて貴方の話を『吸収』していく。

どうありたいか、何を理想とするのか。
それを説明するには、生い立ちを少しだけ掘り下げる必要があるだろう。
男は少し俯いて、また口を開く。

「……小さいころの、俺みたいに。
 汚い手を使わなければ助けられない子どもがいる。
 警察なんかじゃ助けられない、ちびどもが」

「俺、親が死んでから、本当は叔父に一度引き取られて。
 でも、そいつがどうしようもないクズで……」

今も体に消えない痕がたくさんあります。
そんな時にアレさんに助けてもらったんです。
叔父は死にました。俺は、それを心の底から喜びました。


「そういう助け方だって、あるんだって。
 拾われの贔屓っ子じゃなくて、恥じない生き方を……
 こう……あの……」

社会の暗部に助けられた、救われた人間であるからこそ。
贔屓されている末っ子のままではなく、闇夜を進むに相応の責任と覚悟を負った、二人に恥じない生き方を。
他人を踏み躙って今自分は生きているのだから。
……そういったことをしっかりと口にするには、語彙がまだ足りていないようだった。
(-651) 2023/09/23(Sat) 16:50:17

【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡

「帰ってきたら一日、片付けの日でも作りますか?
 荷運びバイトとして活躍しますよ」

先ほどの貴方のように力こぶを作る。
貴方のすることといったら首を縦と横に振るだけの簡単なお仕事だ。

「えらく直接的に聞きますね。
 ……ううん。俺はまだ、未熟です。
 女は正直、よくわかりません。
 でも金はあればあるだけ嬉しいし、
 立場があれば出来ることが増えます」

でも、相応しくないものを身に着けたいとは思わない。
貴方が選んでくれたものをただ纏うのではなく、相応しくあれるように覚悟を決めて選びたい。

「そういう意味では、立場……になりますか、ね?」

いつか貴方が手を差し伸べてくれた時のように。
(-656) 2023/09/23(Sat) 17:10:31

【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード

「オウ、いいな。
 つうて一人じゃキツいだろ、ロメオ辺りも呼ぶか?」

どこまで片づけさせるつもりだろうか…。
格子の中ということを忘れるくらいに、
なんだか楽しそうに笑っている。

「そか。お前は真面目だねえ。
 ……だが、俺も同感だ」

カポ・レジームにまで上り詰めた男は、掌を添えるようにして腕を組み溜息のような音を出す。

「立場のために生きてもしょうがねえが、
 やることのために立場を求めるなら、意外とうまくいくもんだ。
 頑張ってペネロペより偉くなって、あいつを顎で使ってやれ。便利だぞ」

そうしてこの、ろくでもない上司の誕生ということだろうか。
(-667) 2023/09/23(Sat) 17:59:43

【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡

「ああ、先輩がいてくれたら助かりますね。
 重いものも二人で動かせるし……」

何やら本人の与り知らぬうちに重労働の予定が入ってしまった。
それを可哀想にと思う人間はこの場にいなかった、悲しいことに。
勿論本人の予定を聞いてから調整すればいいのだが。

「まさか、そんな。
 いやでも、うーん、気持ち的には……?」

尊敬する人より上に行け、というのは発破にしても畏れ多い。
そのくらいの気持ちで食らいついて行け、というのならば理解はできる。
けれど、今はせいぜい背伸びをして肩を並べるのが想像の限界だった。
(-674) 2023/09/23(Sat) 19:17:11
 


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