【鳴】 インタリオ[ 埃と腐臭の漂う廃屋と見紛いそうなその家。 夜闇に紛れ入り込んだ悪魔は、 横たわる少年と鼻先が触れ合う程に顔を近づけそう言った。 不規則に乱れる呼吸、上下する薄い胸 翠の虚ろさも、香る死も手に取るように伝わる。>>=6 このまま放っておくだけで、彼は死に至るだろう。 それは人間でも判断可能なものの筈であった。] お前を誑かしに来た悪魔さ [ 少年の態度は、愚かで無知ではあるが不遜とは判断されず。 男は猛禽の瞳を細め、黒色の口を開けて嗤う。 長い爪を持った白指が、温度を確かめるように熱い頬を撫で 鼻から流れ出る血液を拭い、離れる。 ] (=7) 2022/05/21(Sat) 16:14:41 |
【鳴】 インタリオもう気づいているだろう?母親は無実の罪で死んだ このまま後を追って殺される、本当にそれでいいのか? [ それと共に距離も正常に戻しながら、視線だけは外れない。 翠色を射抜き、奥底を見定めようと悪魔の両眼は瞬き一つ無く。 諦めを湛えた虚ろに呼び掛けを続ける。 ] 移民だからといって、酷い話だよ ああ、でも……それだけじゃないのかな 中々大きな畑を持っていたらしいじゃないか 人間らしい残酷な行いだ。なあ [ 家族の生い立ちすら、知ったことのように口にし。>>=3 幼子では考えが及んでなかっただろうことも教え。 少年が起き上がることも困難なのを良いことに、 母親がどのような拷問で心を折られていったのか、 魔女狩りを主導する者達の真意は何処にあるのか。 悪魔はその全てを語り聞かせた。 彼がどのような反応を示そうと、最後まで。 ] (=8) 2022/05/21(Sat) 16:16:59 |
【鳴】 インタリオ吊し上げられた女は魔女では無かった。 ……では、本当に罪があるのは誰? お前の母親を殺し、父親を狂わせたのは、誰? [ 黄色い爪先が不健康な色の唇を擽るようにゆっくりなぞり撫で、 分かりきった答えを正しく口にすることを悪魔は求める。 嘆きすら消えた諦めの下から、何かを引き摺り出そうとする。] オレの手を取り願えば、この村が滅ぶところを見せてあげられる どうしたい?思った通りに、答えを口にしてご覧 [ 傍らに跪き、まるで従者の如く手を差し伸べる。 悪魔の甘言、誘う仕草。その実主導権を握るのがどちらなのかなど、 魔女の呪いという妄言に覆われた熱病に侵される子供は、 果たして考える余裕などあるだろうか? 小さな掌が最後には重なると、悪魔は最初から分かっていた。 ] (=9) 2022/05/21(Sat) 16:17:31 |
【鳴】 インタリオいい仔だ [ 蠢く黒色へ姿を変えた男と無数の羽音が、その身体を包む。 見捨てられた子供が幾ら暴れても泣いても、 誰も助けに来ない、異変に気づくことすらない。 村の生贄たる少年は、十字架を背負わされる前に奪われた。 ] (=10) 2022/05/21(Sat) 16:18:31 |
【鳴】 インタリオ[ 予兆無き蝗害に襲われた農村は 何処から現れたのかも分からない無数の蟲達の群生行動により、 畑作作物のみならず、草本類すらも食い尽くされていった。 ただでさえ病が蔓延している、死者は出続けていた。 一層村人達の疑心は加速し、幾多の人間が魔女に仕立て上げられた。 五ヶ月もの間飢餓は続き、最期には何も残りはしなかった。 村人達の命すら、一つ残らず。 それらの苦から悪魔により解放された少年は、全てを見ていた。 時に村を見下ろす夜として、 時に死体に集る羽虫として、 時に彼らの希望を貪る蟲そのものとして、 ―――― 一体となった悪魔の嗤い声を聴きながら。 ] (=11) 2022/05/21(Sat) 16:19:02 |
【鳴】 インタリオ[ 全ての命が死に絶えた、かつて人の住処であった場所。 少年の母親が焼かれた広場にて、その身は再び体現した。 今や彼らを取り巻く世界は彩りの殆どを失ってしまっている。 病の根絶を目的とし、国が村を焼き払ったからだ。 万緑の色と、黒と猛禽が向き合う。 数ヶ月ぶりに四肢を得た少年に手も差し伸べず見下ろして。 悪魔は笑顔で、口を開いた。 ] おめでとう。お前の復讐は終わったね 村人も、委員会の役人も、お前が生きた証拠も全て消えてしまったよ ああ、そうだ……最期に名前を聞いておこうかな [ 大した興味も無かったが、ほんの気紛れでそう問い掛ける。 唯一の生き残りとなった少年を殺すことにより、 完全に村を滅ぼすつもりであった。 この世界において、悪魔は神よりも余程人間に手を貸してきたが 決して無償の奉仕などは行わない。 特にこの悪魔の場合は、不幸な人間の魂の収集を好んでいた。 故に、教えもしたのだ。 その復讐が、彼自身からも大切なものを奪ったことを。 お前にはもう生きる意味すらありはしないのだと。 ]* (=12) 2022/05/21(Sat) 16:21:16 |
【秘】 落星 クロウリー → インタリオ[嗚呼そのとおりだとも。 地獄のように変わった世界に響いた嗤い声は、 ────貴方のものであり、幼い私のものでもあったのだから!] (-83) 2022/05/22(Sun) 1:46:26 |
【鳴】 インタリオん? [ ただでさえ邂逅の夜とは違う距離感、 俯けば更に聞き取り難くなった声、内容が分からない。>>=20 その言葉が何か少年の結末に影響するとは思わなかった悪魔だが、 これで最後という思いが、聞き取る為に屈ませた。 その結果、予想外なことが起きる。 ] ……っ!! [ 刃物や銃も効かない悪魔が、残骸の一片に傷つけられるわけもなく。 充分な生活が出来ていない子供の行動への対処など容易。 だが、一度霧散し再び収束した時、驚きに目を見開いていた。 好かない名前に面白くなさそうにしていた表情など>>=19 今や欠片も存在しない。 ] (=22) 2022/05/22(Sun) 2:48:36 |
【鳴】 インタリオッ、は…… あはははははは!! [ 無垢を感じさせない子供の仕草、残酷に響く声。>>=21 暗黒めく口内を露わに悪魔は大笑いを無人の村で響かせた。 夜闇に佇む枯れかけの露草は、活力を再び手に入れた。>>=16 それはとても拗れた方向に。 与えた歪みは全て計画の内ではあっても、 用意した道から外れながら近づいてくるのは想定していない。 泣きじゃくる子供は完全に潰えてしまったらしい。>>=15 ] お前の口説き文句は薄っぺらいな 土いじりとお祈りしか知らない子供が、何の役に立つ? 病か人か悪魔か、 どれを選んでも殺されるしか選択肢が無かったちっぽけな存在が [ 顎に手を添え、持ち上げて上を向かせた。 肉食鳥と食虫植物の光彩が合わさる。>>=13 その温度は冷え切って、声には吐き捨てるような色を含む。 勘違いしてはならない。 少年もまた、悪魔にとっては弱者たる人間の一人でしかない。 ] (=23) 2022/05/22(Sun) 2:49:28 |
【鳴】 インタリオ……いいさ。役立つ為の教育を施してやろう 満足させたらもっと相応しい名前も考えてもいい それまでお前は、名無しだよ [ だが、一瞬でも悪魔を驚かせた褒美というべきか。 はたまた、長い刻を暗躍する人ならざるものの気紛れが働いたか。 その誘いに今度は自分が乗ってやることにしたらしい。 そうして彼は再び黒に包まれる、世界から消失する。>>=18 今度は随分と長い時間になるだろう。 何しろ行き先は地獄、悪魔の知識をそこで授かるのだから。 痕跡も本人も見知った人々も、何もかもが無くなった。 誰もゾラを見つけない。二度と、永遠に。 ]* (=24) 2022/05/22(Sun) 2:49:57 |
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